荒れた人だから荒人
荒れた人里なら荒里
「…どうした、慧音」
慧音の元気がない。どうにもやはり、人里が荒れ気味なのが関係してるのだろう。俺はどうすることもできないが、いやはやどうする気もないのが事実。人里の人間は、何故か今を自由に生きて過ごしたいと言い出したのだ。結果、荒地も荒地。祭りが起きたと思えば中心には喧嘩があったりした。博麗の巫女が飛び降りる際に喧嘩してる奴らを踏んで次の喧嘩場所に向かうほどには荒れている。ちなみに、慧音は里で呼びかけていたところ襲われそうにもなったとか。
「慧音…流石に竹林までには来ないさ。だから、今は休んでろ」
「すまない、妹紅」
「すまないも何も、私に言われてもな。里の荒れ具合は里の外に住む人間にも影響を及ぼしてる。時期にみんな動き出すさ」
「思えんな」
「おいハンセイ…」
「気を悪くしたのならば謝る。だが、我の考えでは博麗の巫女は騒ぎを収めるのに全力を捧げている。主に動いているのは気に食わんクソみたいな神の耳を持つ女と僧侶だろう」
「命蓮寺と…ごめん、もう片方わかんない」
「豊郷耳だ」
納得、と言った感じの反応を示しながら、妹紅は納得行かないような口振りをする。何故人が急に荒れ始めたのか。それこそ、異変ではないのか?と。俺もそう思うが、ハンセイはどうだろうか。ハンセイ曰く、感情が渦巻いているらしい。何やら、希望がないのだとか。つまるところ人里の人間はもうダメぽ、もうやだ…ならもう良い!という…こう…大人がしてはいけない思考回路の果てで荒れているらしい。なんともまあ、短絡的な大人だこと。もう少しまともな大人はいないのか?
「同感だ。とにかく、少なくとも今は里に行かないことを薦める」
「だろうな…さっき誰に同感した?」
「どうでも良い。慧音は寝かしておけ。我は里の様子を見てくる」
というわけで里。何をするにも基本となる里は、今や腐臭がいつ臭って来てもおかしくはない景色となっていた。かなり臭い。歩きながらも周りを見てみると、うん、荒れている。道中でタオルを頂戴し、それで口を覆う。ハンセイもそういう気遣いできるんだな。でもお前さ、せめて盗むんじゃなくて借りるとか金置くとかしない?なんで手ぶらで当然のように持って行ったんだこいつ。わけわかんねーぞこいつ。そうしてある程度進むと、少し意外な光景が。
「これは…」
「いった…あら、アンタ」
「博麗の巫女か。今は危険な地域だから我が出ている」
「…誰も呼んでないのよ」
「現状は?」
「よくわかんないけど、里の上を飛んでたら石で落とされたのよ」
「不敬だな」
「どうでも良いわよそんなこと。とにかく、里が荒れてる。そのくせ守矢は来ないし」
「動いているのは僧侶とクソ神の耳だ」
「珍しいわね、名前に悪口つけるなんて」
「珍しくはない。我にとってはその神の耳はゴミであると言っているだけだ」
いつのまにか周りが囲まれていた。博麗の巫女を抱え、空を飛ぶ。ハンセイの目越しではあるものの、やっぱりハンセイの浮遊は安定している。良いなぁ…ちなみに、慧音が少し衰弱していたのは運んだのがハンセイではなく俺だったため。掻っ攫うように抱き抱えて飛んだためハンセイが出るのが遅れたのだ。ハンセイ…お前の出てくるタイミングがよくわからんぞ。詳しく言えば出てこない条件がわからないというべきか。お前本当に、条件は固定した方がいいよ。
「あら、この家私の神社より豪華ね」
「はぁ…」
「ハンセイ、なんで巫女が」
「なんでも何も、私がここにいて都合が悪い?」
「…はぁ。」
「慧音、里ではやはり僧侶とクソ神の耳が動いていた。どうにも、人間はあの演説に耳を傾けるつもりらしい」
「あまり悪く言わないでやってくれ。彼らも生きるためには希望を見つけないと生きづらいんだ」
「困ったな…私もカウンセラーはできないんだけど」
「妹紅には無理だろうなわがまま箱入り娘には」
「箱入りねぇ…」
「文句あんのか、文句」
俺にはどうも面倒なことがある。神子と守矢だ。しかしながら、過保護な諏訪子神が早苗をあんな危険な場所に放流するとは思えない。一旦は妖怪の山で信仰を集めているだろうな。俺はさっさとこちらの騒ぎを鎮静化させればかなり信仰を得られただろとか思ったが、やはりそこは諏訪子神のご意志とやらか。俺も危険というのは理解するが、それ以上にダメなのはやはり…守矢の幟が折られていたことだろう。早苗が見たらどう思うか。あとで諏訪子神に伝えとこ。ていうかいま伝われ。
「…良し。私も信仰を得て博麗神社の復権よ!」
「何言ってんだこいつ」
「復権の目処すら立っていないぞ」
「ま、まあ…異変ではいつも世話になっているから…」
「分社を建てることからだろう」
「何祀ったんだよそもそも」
「祀ってるものは知らないわね。建て方もわかんない」
「まあ少なくとも今は使ったら壊されるがな」
そう言って笑いが起きるわけもなく。慧音が少し眠ると言って布団に深く潜られた。…少なくとも、その負担は俺が使っていたものだ。いや、ほんと、すまん。妹紅はどれほど傷付こうが関係ないため、床で寝させる。俺と巫女は快適な椅子を探して眠りにつく…はずが。どうにも視線か何かを感じているらしく、ハンセイが眠らない。どうすんだよ、これ。え、眠れないんだけど?
「…アンタは、カウンセラーの役割できると思うけど」
「あんなことはやりたくない。のでやめさせてもらう。」
「何言ってんたまお前ら。さっさと寝かせてくれ…」
心綺楼のストーリーヨクワカンナイネ。
でも仕方ないね。