似非気狂い   作:覚め

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守矢ステップは廃れました


正体不明

「岩内さん!ご飯食べましょう!」

 

「…ねえなんで?ノックしてよ」

 

「窓開いてましたよ」

 

「ごめん寝起きだから言ってることわかんない」

 

窓開いてたらしい。俺の目にはどうも鍵の部分がぶち壊されて強制的に開いているように見える。早苗ヤンデレ化…良いわけねえだろ頭イカれてんのか?とりあえず拳骨。おかしいだろう、これは。何やってんだお前。いやお前じゃないって一体誰がいるんだ。言ってみろ。お前入ってきた時誰がいた?…知らない人?お前それは…嘘にしては下手すぎるだろ。大体俺の家に変な奴が…入るわけないだろ。今変な物音があったけど。何にしろ、なんか物音激しくない?雨降ってる?雨漏り?

 

「…」

 

「私、行きませんからね」

 

「ここに一人でいるなら逆に危険だろ」

 

「…そ、それも…そうですけどぉ…」

 

「大体人だったのか?どう聞いても獣の類だぞ」

 

「と、とにかくですね。二人一緒に行きますよね?そうなんですよね!?」

 

のっそり、のっそり。歩いて歩いて。物音がする場所に辿り着き、誰だ、と大声を出してみる。するとそこから出てきたのは…出てきたのは…?あれ、出てこない…じゃあ一体誰が…?早苗と目を合わせて首を傾げると、顔面に何か飛んできた。間一髪で避ける。何だ、やっぱり獣じゃないか。ただ飛んでいった方向に目をやるとそれはタケノコ。いつぞやの光るタケノコと同じような、タケノコであった。ネズミに回収されたはず。飛んできた方向を向けば、何やら変な…人らしきモノがいた。

 

「お前、誰だ」

 

「…」

 

「何だ、お前は」

 

「岩内さん、何を言ってるんですか?」

 

「?」

 

「霊夢さんですよ!この人は!」

 

「5・5←8↓」

 

「…は?」

 

「霊夢さんは何でこんなところにいるんですか?」

 

意味がわからない。何を言っている?早苗は何を聞いたんだ?俺には不明瞭な言葉が聞こえたのに、何故早苗は聞き取れたんだ?…もう年なのか、俺?いやでも確かに何を言ってるか全然わからないし…大体このモヤモヤみたいなのは何なんだよ。早苗が自覚してない時点でかなりやばいぞ。つまりはこれ、早苗でも影響を避けられないんだからな。つーか疑問を持て。何で博麗の巫女がウチの窓破って入ってくるんだ。戸を叩かれたらちゃんと返事はするし、ちゃんと開ける。そんなに不親切じゃないとは思ってるが。

 

「…早苗、少し相手してくれるか?」

 

「はい!それではこちらへ!」

 

「…1・1←4←.・2←4↑.・1←4→」

 

「そんなこと言って〜。こっちですよ霊夢さん!」

 

「…真実の鏡ってわけじゃないけど、定番だよなぁ」

 

不明瞭な会話から察するに、早苗が聞き取れているのは間違いない。発言通りに受け取られているなら、だが。それ以上に危惧すべきなのは…やはり、あれが巫女でない時だ。であれば誰なのか?正しく正体不明である。というわけだ。ガラス越しだったりビー玉越しだったりでいろんなもの越しにやつを眺めてみる。得られた結果としては何もわからないというのが一つあるが。それ以上によくわかったことがある。あいつ、こっちを見てる。早苗は正体不明を見てるのに気付いてない。つまり早苗も正しくは見れてない?

 

「0・4・3←0←3←9・6→(・9↑5・」

 

「何を言ってる」

 

「3↓1↑2・.←1↓7・1→6・8↓2↑5・(・3↑2↑5・1←5・2・」

 

「…はぁ?」

 

「4・(・2・9・2←2←4↓9→5・1←」

 

「…ちゃんと喋れ」

 

頬を叩く。実体はあるのか。良かった。モヤモヤが晴れたかと思えば出てきたのはよくわからん少女だった。ベーッとして来たので状況説明。守矢は悪戯をして謝りもしない妖怪を焼き、轢き、石鉢ですり潰したのちにそこら辺の妖怪の養分にする団体だと。やれるもんならやってみな、と言われたので首根っこを…。掴めない。早苗を呼び、捕える。卑怯だとか何だとか言ってたが知らん。人の窓ぶち壊しやがって。札はって弱体化させる。守矢印の札は中々強力で、妖怪だってデコピンで痛がる程度にできる。らしい。早苗曰くだ。

 

「くっ…殺せ!」

 

「古いぞ」

 

「年代的にはドンピシャですけどね。で、どうしますか?」

 

「窓破ったのお前?」

 

「…それはこいつ」

 

「早苗ぇ!」

 

「ひいっ!」

 

「…じゃあお前はどうやって入ったの?」

 

「ピッキングで鍵を」

 

「はー…で、お前誰」

 

「ぬえ。さっきまでは声も正体不明にしてた」

 

「宜しい。お前にもう用はない」

 

放流するわけにもいかず。早苗に誰か呼びに行かせる。その間俺がぬえの上に跨り、動きを封じる。うーん、しかし、そうなると…一体誰が来るのか。信頼できる誰かを呼びに行かせたら…諏訪子神だろうか。しかし妖怪退治ならそれこそ魔法使いか巫女だろう。まさか…二人ともだったりして。いや、それ以外なら…何があるだろうか。妖怪の山総出が一番ないな。流石にない。諏訪子神の呼びかけでもない。まあぬえってネームバリューだけならそれくらいはありそうだけど、どうせ博麗の巫女か魔法高いだろうな。

 

「来ましたよー!」

 

「正体不明の正体突き止めに来たぜ。確認だが荒らして良いな?」

 

「ダメです」

 

「こいつがぬえ…へぇ、意外と普通なのね」

 

「あ、赤巫女…!?」

 

「ん?」

 

「許してください…ただのイタズラだったんです…」

 

「…はあ?それで済むなら巫女稼業はいらないのよ。とりあえず封印しとくわね。三千年くらい」

 

「いやここは八卦路でだな」

 

「やはりストレス発散の代わりとして四肢吹き飛ばしてから」

 

「死んだ…」




ぬえ「私の正体不明の言葉!その解読方法は…フリック入力!『1・』が『あ』で『1→』が『え』!『(・』は『゛』だよ!解読したやつは暇な奴だ!」
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