似非気狂い   作:覚め

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蛇足(冬)
この作品の全てが蛇足みたいな物なのは置いておき。


蛇足

「…春だ」

 

あ、やっぱり頭おかしいんだ。病院行ったらどう?病院あるかは別としても、今の発言って結構アレだからな。分かってる?お前の目の前にあるのはどう見ても桜の花びらだ。なんか…よくわからんけど、花びらだ。分かるか。ハンセイってば最近ずっと花びら集めてる。少女か?頭を叩けば乙女の音でもするのか?頭おかしい奴特有の花畑特有の風に揺さぶられる花の音でも聞こえるのか?今更純真さなんて戻らないんだぞ。

 

「うむ、十分集った」

 

「ハンセイ…」

 

「どうした妹紅」

 

「…その、恥ずかしいんだけど…さ。備蓄を…」

 

「どうだ。言った通りだろう。」

 

「当たるんだな、お前の予言って」

 

「我に出来ないことはない。自信と実例から来る言葉だ」

 

頭でも打たないとどうやら占いはできないらしい。しかし、こちら側としても薪が危なかったよな。せっかく出来た人里との繋がりを断たないようにしたのかわからんがハンセイは確か人里に薪だけはくれてやっていた。慧音への計らいなのか、それとも別の何かなのか。俺は知らんが、とにかく。妹紅が来てくれたおかげで薪を使わなくてもいいとか考えてるだろ。妹紅が来て良かったなハンセイ。それはそれとして妹紅は反省しろ

 

「駄洒落が」

 

「…私今なんか言った?」

 

「何も。」

 

「あ、そう?まあいいけど…火加減ってこれくらいか?」

 

「丁度だ」

 

「そうか。」

 

ハンセイが持つ備蓄のほとんどは野菜。と言うか大豆の類。つい最近まで辺りを歩き回り地図を書いて春になったら大豆が収穫できるよう計画してた。こいつほんと大豆が好きなんだな。調味料つけないからほんと不思議。どうやって食ってんの?料理出された妹紅の顔を見てみろ。こいつマジ?って顔してるぞ。つーかとうほとんど口に出してるような顔してるぞ。そりゃそうだ。一汁一菜だけなのに全部豆腐が入ってる。

 

「ハンセイって…寺の住職だったか?」

 

「我は仏教は修めていない。神道寄りだ」

 

「そう言うことじゃないんだが…うん、まあ、いいけど」

 

何この昼飯の雰囲気。怖いよ。妹紅が豆腐の中に感触を見つけるたびに期待して開くんだけど中は少し硬い豆腐。お前豆腐の作り方だけ修めた?好き嫌い良くないよ。…まさかこいつ肉を客に振る舞いたくないだけか!?嘘だろこいつバケモンかよ…なんてケチな奴なんだ。今日も一応てゐが肉を運んできたと言うのに。良いだろ少しくらいの施しは。精進料理が好きなら自分で食って妹紅に肉を出せよ。一応客人だし飯も何回か誘われているだろ。

 

「豆腐でも結構溜まるんだな」

 

「であろう。万能食材だ」

 

「…もしかしてお前、豆腐教信者?」

 

「容易に食べられる点で何よりも優れている」

 

「化け物かよお前」

 

そう言われて少し。人里から慧音が訪れに来た。ハンセイが住んでいるここは竹林の端なので、迷わずに来れている…らしい。実際どうなのかは俺も知らないし、ハンセイもここ数ヶ月は竹林から出ていないのでわからない。そして慧音は吉報を切り出した。何やら博麗の巫女が長引く冬を異変と称し、原因を探り始めたのだとか。悲しいかな、春とはそれほどに儚く遠いものだ。足音が聞こえる時は既に桜の花びらが落ちる音でもある。異論は認めない。

 

「つまりだ。公式にこれが異変となり、それが解決された場合には、ようやく春が訪れる。」

 

「よっしゃー!」

 

「妹紅に影響は出ないと思うが」

 

「なんでだよ。私だって冬だと何かと不便なんだぞ」

 

「火出るから関係はないな。むしろ冬の方が便利…まさか妹紅」

 

「違う違う!ちーがーうー!おいそこ笑うな!」

 

「おや、子供らしい。親はどこだ?」

 

「親は数千年前に置き去りだと言うぞ」

 

「気温に頭をやられた稚児であったか…」

 

妹紅の怒りのボルテージは下がらなかった。怒った挙句にあたりの竹に火をつけて回り、燃えてる竹を切って削って槍にして刺しに来たり。そんな時、何やら見知らぬ顔。白髪、緑の服。刀。…後ふよふよ浮いてる変なの。よくわからんな…こいつ。そうしていたら妹紅と慧音も気付いて三人で囲むことに…はならず。何やら堂々とした声で春を求めて来た。春、と言って差し出して来たのは桜の花びら。どうやらこれが春らしい。いかん、ハンセイの世界観が共有されてる奴が一人出て来た。恐ろしいことになるぞ。

 

「…交換を断るなら、力づくです…!」

 

「巫女がもう働いてるはずだぞ」

 

「えっ!?…っ…失礼します!」

 

「なんだあの子は」

 

「知らん。が、何やら訳ありのようだった。厠を借りたかったのだろう」

 

「配慮がない。見たところ女の子だったろう」

 

「捕らえた!」

 

「ハズレだ、馬鹿」

 

妹紅を気絶させ、場を落ち着かせる。手際の良さに俺自身驚きだ。ただ、ハンセイ以外全員が驚いてるから慧音視点でも異様に手慣れていたのだろう。それ以上に驚きなのはハンセイが人を気絶させる際に打撃を選んだ所だが。俺はてっきり首に手刀か、それとも首絞めかと思っていたが。グーで行ったよな、今。なんかこう、思いっきり振りかぶったよな。人のやり方ではあるけど…ハンセイとしてはどうなの?筋肉は文句にすんなよ。筋肉ないのはお前のせいだぞ。文句言うなよ。

 

「…やりすぎたか?」

 

「妹紅は比喩なしに死なないから、多分大丈夫だぞ。」

 

「…そうか。では解体して新たな桜の養分に」

 

「それはいけない」




妖夢、働いたら天敵の始業を知って即帰還。
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