似非気狂い   作:覚め

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今思ってもハンセイの血液逆流は月の民にも効くかもしれないからやんない方が良かったな、と思う。
血の通う生物ならまず間違いなく死ぬからね。


殺之字

俺は今、人里にいる。何故か?神子に連れて来られたためである。先日、総統閣下ご姉妹と喧嘩しかけた時は人魚…わかさぎ姫とか言う人魚に助けられた。多分死んではないと思う。あいつも一応湖の生態系だし。しかしながら神子はそうも行かなかった。まず竹林なのに迷わず俺の家を訪ねている時点で逃げられないからな。何故そう気に入ってるのか話を聞けば、神様が人に宿ることは珍しくないが、その後の人間は珍しいとのことだった。すまん、中古品が珍しいってだけか?

 

「まあそうなるかな。中古品というか、壊れてない使用後が珍しいと言うか。」

 

「お前も身体か」

 

「安心してほしい。そんな目では見てないさ。いやまあ…うん。その、なんだ。今も使用後ではあるけど、使用中でもあるんだよ、君は」

 

「…まさか。ハンセイは死んだぞ?」

 

「いやまあわかるよ。それは。」

 

なに言ってんだか。よくわからないが、とりあえず神子に連れられて行くとそこはこいつらがよく布教を行なっている場所だった。布教かぁ…と、勝手に思っていると全然違った。早苗が暴れていたのだ。神子曰く、発端は神子陣営らしい。全体的に白いやつ、確か布都とか言ったかな。そいつが早苗を煽り、早苗がそれに対して煽りで返し、さらにそこにいた屠自古までもが煽り、早苗はその煽りが許せずブチギレ、屠自古と布都の二人がかりでボコられている最中だとか。

 

「命蓮寺の連中は?」

 

「我関せずと布教を行っているよ。感心すべきかわからないけど」

 

「それで、俺を呼んだ理由は?」

 

「…止めてほしい」

 

「嫌だよ俺は命蓮寺に行く」

 

「改宗ですか?」

 

「ひっ」

 

かなり驚いた。なんでそんな的確に改宗の台詞だけ拾うかな、お前。不気味に思いながらも応対。辞めなさいこんなこと。後お前あいつらは戦国の民なんだから戦うなら徹底的にやるんだぞ。報復とかされても知らねえからな。焼き討ちするまでやるんだぞ。わかったな?分かってるなら良し。分かってないならやめろ。今分かった?黙れ。やめろ。大体、お前だって宗教側の人間なんだからな。争いはやめましょうとか言えよ。神子側もだけどさ。煽る方が悪いとは言え、な?

 

「岩内さんに感謝するんですね」

 

「なんだこいつ」

 

「やってることがほぼ比叡山の延暦寺じゃ」

 

「今回に関しては我々の方が悪いんだ。布都も屠自古も、まずは謝罪をしようか」

 

「…、すまん」

 

「太子様が言うなら…ごめんなさい」

 

「岩内さんが許すと言うなら許します。」

 

「なんでだよ。ちなみに、発端の煽りって?」

 

「布都」

 

「…神がいなければ何もできない男を抱えた神は可哀想だと」

 

とりあえず早苗の頭は撫でてやった。良くやった。身の回りで許してはいけない罵倒は身近な人間の罵倒だからな。良くやった。ただし暴れるな。せめて里を出てからやるように。まあ実際ハンセイがいなければ前のようには動けないのは道理なわけで。反論する気はない。後さっさと帰りたい。帰して。お前らの喧嘩に巻き込まれてひぃひぃ言わされてんだぞ。言ってないけど。早苗はそんな俺を見てため息。俺が良いならそれで良い、とのこと。

 

「あんな野蛮な方々と共に過ごすんですか?」

 

「放せ星。俺はさっさと帰る」

 

「竹林まで来てるのにそれはないですよ〜」

 

「帰って寝るの!」

 

「ハンセイさんはもっと落ち着くべきですね。」

 

「大体お前、寺に帰らねえのか?寺から出家か?」

 

「…実を言うと、無くしものをしまして。見つけるまで帰るなと」

 

「で、お前は?」

 

「部下に探させてます」

 

もう知らん。家に入って鍵を閉め、さっさと寝る。扉をドンドン叩こうが無駄だ。残念だが俺の家は鬼の四天王が作った家。そんじょそこらのカスみたいな力では壊せもしない。ので、安心して眠る。大体、お前が俺に絡む理由ほとんどないだろ。今日はもう疲れた。何もしてないけど。早苗と神子のせいだ。1:999の比率で原因が偏ってる。クソが。疲れたよ、俺は。疲れたのでさっさと寝る準備をする。悪いけど、どんな音立てても俺はもう寝るよ。

 

「…うるせえな」

 

「でしょうね」

 

「うわっ!?え、何!?殺される!?」

 

「もう、そんなことしないわよ。それに、純孤も気に入ってるからね」

 

「あの人もか」

 

「ちなみに、私は貴方のことそんなに好きじゃないわよん」

 

「なんだよもう」

 

「嘘よ、嘘。殺しちゃった同類の代わりでもしてあげようかと思ってね」

 

「何すんの?」

 

目の前には赤髪女神。あんな化け物に対して何もしたくないのに、いったい何故こんな目に。何かしてくれると言うのだから何をしてくれるんだと期待していると、手に何か握らされた。あれ、何これ。と思って強く握った手を開いてみると、…あれ。何もない。あれ?と思っていると、ヘカーティアと名乗った女神が説明してくれた。俺に賢者の石くれたんだって。賢者の石、へぇ。賢者の。それってもしかして、あの有名な、魔法使いが全員求めたりする、賢者の石?

 

「そうよ。私だから作れる石。私に刃向かった貴方は地獄行きが決定してるけど、貴方には少し厳しいことをしたからね。」

 

「でも、手元にないけど」

 

「扱いに気をつけて。今まで通りに魔法を使えば全部吹っ飛んじゃうから」

 

「あー…こう使うなってこと?」

 

俺はつい浮いてみようかなと好奇心から浮いてしまった。結果、今俺は天井にものすごい勢いで頭をぶつけ、痛がっている。痛いよ。

 

「…ま、貴方魔法の使い方下手だから今と同じことくらいしか起きないわよ」

 

「酷い!」




ヘカーティア「才能はないし、私に刃向かうし、生意気にも私と同類の神引きつれてるし。」
純孤「でも私のお気に入り」
ヘカーティア「それなら私もお気に入り」
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