自分を英雄だと勘違いしている元男がダンジョンに潜るのは間違っている 作:札幌53位
昨日の夜は夜通しベルの話を聞いていた。
俺と違い、ベルは
様々なファミリアから門前払いを喰らい、いざ所属したらミノタウロスに殺されかけるわで散々だったとか。
……よく心折れなかったな。俺なら門前払いを受けた時点で故郷に帰って母様に泣きついてる。
「アエルテスちゃん、今日は一緒にダンジョンに行かない?」
「朝っぱらから大胆だな。しょうがないにゃあ…いいよ。冒険…ってやつだよね?」
ひとつ揶揄ってやろうと思い、悩殺グラビアアイドルのポーズを取ってみる。俺ほどの美少女がやれば、諸人は目が潰れ、絶叫し、死滅するだろう。
「なななっ、ちが、違くはないけどっ!」
「はは、おもろ」
分かりやすく顔を真っ赤にするベルを尻目に、出発の支度をして、ボロの革鎧を着て、そのままベルと街に繰り出す。
バベルに着くと、見覚えのある男女が俺たちに向かって走ってくる。昨日助けた男女ペアの冒険者だ。
「勇者様ー!ご無事でしたかー!」
「勇者?」
純朴な目を向けてくるベル。やめて。久々に会った幼馴染に「なんやこいつ」って思われるのが一番傷つくんだ。
「ヘリオドーンのアエルテスだ。真の勇者とは、その威を濫りに喧伝しないものだからな。」
「……!はい!」
軌道修正ヨシ!
「それで、何の用だ?」
「それが…」
話を聞けば、どうやら昨日俺が倒した魔物のドロップ品を換金して、わざわざ持ってきてくれたようだ。そのままポッケにナイナイすればよかったのに。
随分と善人もいたものだ。俺ならそのまま持って帰ってる。
「さようなら、アエルテス様ー!」
「お達者でー!」
彼らを見送ると、手元には自由に使える5000ヴァリスほどの金額が貯まっていた。これだけあれば、装備を買えるはずだ。
大抵、RPGでは防具は500〜1000Gくらいで取引されている。それはこの
「ベル、オラリオにある鍛冶屋を紹介してくれないか?ほら、俺の防具は…こんなんだろ?」
何故か胸の部分だけ絶妙に隠れるように破損したドスケベ革鎧を見せびらかしながら聞くと、ベルは顔を背ける。
「どこ向いて……ああ、なるほどね?バカの格好なんだこれ」
とうとう耐用強度を超えたのか、俺の着ていたシャツは革鎧の破損部分と同期するように破けている。ベル君には見苦しいものを見せてしまったようだ。
「そっ、そうだねっ!」
「声が上擦ってるぞ。俺の裸なんか見慣れてんだろ、ほらさっさといくよ」
ベルとは幼少期からの長い付き合いだ。当然、風呂も何度か一緒に入っている。故に、今更胸や足やら見られたところで何もないはずだ。
少し歩いて、ベルと共に武具屋に着いた…は、いいものの。
「さっ…3億ヴァリスぅ!?おまっ、お前…ベル?お前こんなところで装備を…?!」
「や、安いのもあるかな〜って………」
値札には、文字通り桁違いの金額が記載された逸品ばかり。見るからに強そうで、イカしたデザインの武器や防具たち。
それら全てには【Ήφαιστος】の紋様が…たぶんギリシャ文字でヘファイストスと刻まれている。
仕方なく諦め、ぼーっと突っ立っていると、ベルは当然「しまった!」と言って走り出す。言うに、贔屓にしてくれてるお店のお嬢さんがお弁当をくれるのだが、それを忘れるところだったらしい。
一人になってしまったので、手持ち無沙汰になった俺はギルドに行くことにした。
「………それで、装備を整えたいから良い店を教えて欲しい…と?あなたねえ、聞きましたよ?相当無茶したって。それにそんな破廉恥な格好して…」
「ああすまない、ともかく、防具を新調したいんだ。安くて良い場所はないか?予算は5000ヴァリスくらいだ。」
職員さんからお説教をくらいそうになるのを回避しつつ───無論、ため息を貰ったが───バベルにあるというジャンク装備売り場を教えてもらった。
なるほど、確かに安い。概ね、俺が想定していたくらいの値段の装備が箱に詰められてバラ売りされている。
「軽鎧一式で4500ヴァリス!?高いのか安いのか分からんな…」
「マントは欲しいよな。これは…?
などとブツブツ言いながら物色していると、背後に複数の気配。徐に振り向いてみると、ビジネスマンの笑みを浮かべた男たちが揉み手で擦り寄ってきていた。
「お嬢ちゃん、防具をお探しかい!?それなら俺の『グラニテスアーマー』を…」
「バカ、華奢なお嬢ちゃんにはオイラの『
「いや俺の」「俺の」
ずい、と押し付けられる防具たち。それぞれお値段は5000ヴァリス以内。なら──────。
「
俺が選んだのは、俺の瞳の色と同じ差し色である真紅が編まれた灰色のバトルドレスだ。職人の説明によると、「
サラマンダーにドラゴンとは、随分と良いものなんじゃないか?
「毎度!いやあ、売れて良かった。端材で作ったモノとはいえ、サイズが小さくてな。かといって
「良いセンスだ。贔屓にさせてもらおう」
会計を済ませ、バベルを降りると、ベルが俺を待っていたのか手を振って駆け寄ってくる。上機嫌だな、良いことでもあったんだろうか。
「実はね、今日シルさんのお店…えっと、『豊穣の女主人』ってお店でご飯を食べる約束をしたんだ」
「おお、いいじゃないか。楽しんでこい」
ベルめ。また女の子をたらし込むとは。隅には置けないな。ヘスティアに続いて二人目か。もしかすると彼は俺よりも主人公適性が高いのかもしれない。
このままベルがハーレムを築いた際に、傾向を見れば好きなタイプが判明するはずだ。
「何言ってるの、アエルテスちゃんも一緒だよ」
「いやぁ…俺は良いよ。」
ベルのハーレム作成計画を邪魔するわけにも行かないしな。それに、呼ばれたのは俺じゃない。後入りするのはちょっと気が引ける。
「それより、どうだベル。俺の新装備は」
どや、と胸を張って自慢する。4980ヴァリスのお買い物だ。
「かわいいと思うよ?似合ってるね」
「それだけか?もっとこう、強そう!とか…」
そう言っては見たものの、頭の上に疑問符を浮かべているベルに呆れながらダンジョンへ潜って行った。
ダンジョン攻略は比較的スムーズに進んだ。俺が長剣で斬り漏らした敵をベルが短刀で討つというツーマンセルを組んでいたというのもある。
しかし…改めて共闘してみて驚いた。昔は俺の後ろで震えているだけだったベル少年が、見違えるほどに強くなっている。動きはまだまだ浅いが、とにかく速い。
「良い動きだ…っ、成長したな!ベル!」
「僕だって、ずっと昔のままじゃないからね!」
などと強がってみているが。ベルの動きについて行くだけでもやっとだ。別に、俺は逆境でこそ輝くし……と心の中で見栄を張ってみる。虚しい。これが虚栄というやつか。
昨日は
「アエルテスちゃん、今日は五階層まで行ってみない?」
「構わないが…良いのか?その…」
五階層は、ベルがミノタウロスに殺されかけた場所だ。一度あることは二度あるとも言う。故に、敢えて五階層を目指さない動きをしようと思っていたのだが。
「大丈夫、ミノタウロスは【ロキ・ファミリア】が全部倒したらしいし」
「おお」
都市最大派閥の一角なのに同僚たちの姿を見ないと思ったら、そんなところにいたとは。毎日ご苦労様です。
行くか行くまいか逡巡していると、ベルが近寄ってきて、兎を思わせる丸い目を期待に満ちた目線と共に向けてくる。
「どう、かな?僕一人だとまだちょっと怖いけど、アエルテスちゃんが一緒なら怖くない気がするんだ」
「くぅ……っ!」
すまない、世のショタコン諸君。俺は誤解していた。キシリア様にもこれが良いものだと教えてあげないと。
脳内でフクロウが走る映像が流れたあと、俺は渋々───実際はめちゃくちゃ快諾したかったが───了承した。
結論から言えば、四階層は特に何もなく、五階層も
しかし。
昔のように、ベルの前を先導して冒険するというのは中々に良かった。なんだか、随分と昔のことように思える。いや実際昔のことなのだが。
だとしても、あと4年もすれば俺は元々生きていた人生を超えるのか…と思うと感慨深いものがある。
「……そういえば、ベルは昔から俺の呼び名は変わってないんだな?今日日ちゃん付けで呼んでくるのなんてお前くらいだけど」
「そうかな?特に意識してないや…」
「だって、お前。神ヘスティアには『神様』、アイズ先輩には『アイズさん』、薬屋の
「うーん…僕より皆すごい人たちだからなぁ。考えたこともないや。」
「なんだぁ?俺はすごくないってのかあ!」
まあ、実際のところ。ちょっと特別に見られてるみたいで気分は良いが。だが俺にも面子というものがある。
ベルを下に見てるわけではないが、というより実力差的には俺の方が下だが、せめて対等でありたい。
そんなこんなで、結局何事もなく俺たちは地上に帰ってきた。ベルは朝に言っていたように『豊穣の女主人』へ。俺はそのまま
◆◆◆◆◆
「──────だからよォ!俺は言ってやったんだ、雑魚は失せろってな!」
ベル・クラネルには、幼い頃から目標としている少女がいる。
「そしたら、あのガキ俺に噛み付く勢いで突っかかって来てやんの!なかなか居ねえぜ!?あんなバカはよ!」
その少女は、たとえ弱くとも「在り方」でベル・クラネルの道標になっていた。
「あのミノに追いかけられてたトマト野郎も傑作だったが、あのガキはもっとヤベェ!」
机の下で、ぎり、と拳を握る。
「アイズ!もう一回聞かせてくれよ。あいつの戦う理由とやらをよ!自分が傷つくべきだと思ったから、だってよ!青臭ェにも程があんだろ!」
どっ、と笑いが溢れる酒場。
目の前に積まれている料理が無ければ、きっとベル・クラネルは机をひっくり返していた。
「まぁ結局……あのガキも、トマト野郎も…アイズ・ヴァレンシュタインの隣には立てねえ!なぁアイズ!そう思うだろ!?」
がたん、という音と共に少年が店から飛び出す。事情を知る者は「あちゃあ…」という反応を見せ、店主であるミアは静かに目を瞑っていた。
「ベート、言い過ぎだ。別派閥のルーキーと、自派閥の新人を悪く言うのは誉められた行いではない。」
リヴェリアが窘めたのをキッカケに、アマゾネスの姉妹を筆頭にしてベートが吊される。そんな中──────一人の少女…アエルテス・ヘリオドーンが店の中に入ってくる。
「随分と楽しそうじゃないか。」
冷ややかな声。平静時と変わらないようなテンションで、真紅の瞳で店の中を睨め付けながらゆっくりと足を踏み入れる。
「アエたん、今はここにおらん方がええで」
ロキの忠告は、言外に戦いを示唆しているように……少なくとも、冒険者たちは受け取った。一瞬でピリつく空気に、アエルテスは持っていた金袋をテーブルに置く。
「……ベートは居ないのか?」
「おるで。」
「………なら、約束と違うな。俺の弟分が食い逃げをしたようで…すまない。金は置いて行くから、許してやって欲しい」
そのまま帰るアエルテス。数分が経った後に、皆が安堵の声をあげ、それと同時に布でぐるぐる巻きにされて拘束されているベートを降ろし、囲んで棒で叩く。
「はぁ〜……焦ったわぁ。あの子、恐れっちゅうもんが薄いから帰ってくれへんかったら酒がマズなるとこやったわ」
「あ、ていうかさロキ!アエルテス?だっけ、あの子ベートと何約束したのさ」
ひょこっとティオナが顔を出す。感心はすっかり簀巻きのベートから危うい新人に移ったようだ。
「聞いて驚くなや?あの子、ベートと次会う時はベートより強なるって言うて出て行ったんやで?偉い啖呵切ったモンやろ!」
酒をあおり、ロキが唸りながら言う。
「ええ…?現実的じゃないでしょ。ベートより強くなるって、それアイズに並ぶってことじゃん!」
「だが、ベートも素直ではないな。『誰かを助けるために戦う』という在り方を少しは認めてやれば良いのだが…」
リヴェリアも落ち着いた様子で話しながら、アイズのいる方を向く。酔っ払いに囲まれながらも、ソワソワした様子で落ち着きがなくなっている。
「気になるなら、行ってくるといい。」
「うん、ちょっと行くね」
そのままアイズは店を出て、見晴らしのいい場所を求めて高い屋根の上に跳躍する。そして、アイズはダンジョンに潜る
(…どっちに行こう。)
少し考え、アイズは「仲間に傷つけられる方が痛いよね。」と思い、城壁の上へ向かった。
篝火に焚かれ、ぱちぱちという音と、剣を振るう風切り音だけが鳴るこの場所で、アエルテスは独り、剣を振るっている。
「アエルテス。その…大丈夫?」
「へぇっ!?」
後ろから声をかけると、アエルテスは素っ頓狂な声をあげて大きくのけ反る。
「な、なんでアイズ先輩が?皆と楽しく飲んでたんじゃ……」
「ベートが、あなたの悪口言ってたから。だから…気になって」
「ああ、そうだったんだ。だから神ロキは俺に帰らせたんだなぁ。知りたくなかったなぁ、ああクソッタレぇ!日本人かおどれは!」
空に向かって叫ぶアエルテスの様子を見て、アイズは少し申し訳なさそうにする。どうやら、アイズが────というより、あの場にいた皆が思っていたよりも、アエルテスという少女は浅慮らしい。
「その…ごめんね?お詫び…何か用意するね」
「モノとかならいらないし、この程度のことは構わないよ。それじゃ俺は鍛錬に戻るから…」
そう言って、アエルテスは再び剣を振りはじめる。ふと、アイズの頭の中に閃きが走る。
「モノで償えないなら、強くしてあげれば良いのでは?」と。そうすれば、ベートに認められるのも近くなるし、
「………アエルテス。」
「はい、こちらアエルテス。我が心は不動、しかして自由に在らねばならぬ本舗です────待て。なぜ剣を抜いているんだアイズ先輩、我が心激動。」
アイズは自身の獲物を抜き、ゆっくりとアエルテスに向かって歩みを進める。
「行くよ。」
「ぬぅっ────はぁっ!」
レイピアによる突きをフレイモスでいなしたアエルテスは、バク転をしながら5Mほど離れ、城壁に降り立ち、そのまま肩に剣を乗せる形での上段の構え──────アエルテスの前世では、示現流と呼ばれていたソレを取りながら、吶喊してくる。
「チェストぉ!」
「大振りすぎ。わざとやってるの?」
しかし、『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタインには無意味!アエルテスが見よう見まねで出した技は見切られ、反撃で蹴りを腹に入れられる。
「ごぉ……!?くそ、決まったと思ったんだが……」
次はこれだ、とでも言いたげに松脂を剣に塗りたくるアエルテス。
「参るッ!」
繰り出されたのは、下段の逆袈裟。アイズは余裕で回避をする……が、直後にアイズの鼻先を金色の炎が掠める。
「俺の名は────黄金の炎という意味らしい。これで、それらしくなったな?」
不敵に笑うアエルテスの手には、黄金の炎を纏う剣がある。
「魔法…じゃないね。それは何?」
「炎色──────反応だッ!」
ごう、と炎を飛ばしながら元々使っていたであろう剣術で攻め立てるアエルテス。しかし、間合いさえ分かってしまえば、アイズ・ヴァレンシュタインに死角はない。
避けて、避けて、動きに粗が出た瞬間にそこを薄く斬る。
「あっ、あっ、あっ」
打ち合うこと数手、あっという間に傷だらけになったアエルテス。焦っているのか、口からは小さく声が漏れる。
しかし、その目は段々と輝きを帯びて来ている。
(あの時の顔だ…追い込まれると強くなるのかな?)
目が輝いたところで隔絶した実力差はそう易々と埋められないのが現実だ。期待によって更にギアを上げたアイズが攻めに転じ、ほんのわずかにブレた剣先を咎めるように斬撃がアエルテスを襲う。
「ゔぉおおおおっ!!!」
「自棄になったらだめ。」
「おぼふっ」
アイズ・ヴァレンシュタインという剣士は、Lv.1冒険者から見れば見えている範囲全てに飛んでくる斬撃の嵐だ。
普通の冒険者なら、とっくに及び腰になり、立つことを諦めている。
だが、凡人であろうとも、特別であろうとする少女は──────。
「……まだ、立つんだ」
「倒れないのが……勇者だからね。」
肩で息をつき、玉のような汗を流し、全身から血を流す姿は、まさしく満身創痍。
「これ以上やったら壊れちゃうから……終わらせるよ」
「上等ォ!」
大きな踏み込みと共に飛び込んでくるアエルテスに、アイズはそのまま月の弧を描くように足をしなやかに振り上げる。ムーンサルトだ!
「が……ぁ……っ…おみ、ごと…」
「ごめんね」
あっけなく決着した勝負のあと、アイズは白目を剥いて潰れたカエルのように沈黙するアエルテスを背負う。
そのまま
◆◆◆◆◆
目が覚めると、また【ロキ・ファミリア】の天井だった。
確か、昨日はロキにステイタスの更新をしてもらおうと
まさか俺が陰口を叩かれているくらい嫌われているとは……まあ、強くなれば対して気にすることもないだろう。
ふとテーブルを見ると、俺のステイタスが記された紙と果物が置いてあった。
──────────────────
【アエルテス・ヘリオドーン】
Lv.1
《基礎アビリティ》
力:I37 耐久:G201 器用:I24 敏捷:I42 魔力:I0
《発展アビリティ》
《魔法》
【】【】【】
《スキル》
【逆境奮起】
・逆境時、全能力の超高補正
・精神汚染軽減
・死への恐怖無効
──────────────────
トータルで144成長。格上との戦いや厳しい局面というのは人を成長させるとは言うが、それにしたって耐久が伸びすぎだ。
と、いうわけで。
「何が『というわけ』なのかは知らんけど、そうやなぁ…強いていうなら、ウチの知っとる傾向の話やけど、無茶した子はより上位の
「なるほど。つまり……」
「死んだら終わりやで、そこんとこようけ考えとくべきやな」
「ウス」
今後はもっと無茶をしていこう。ベートをワンちゃん扱いするためにもな。
これからの方針が決まったところで、俺はリヴェリアさんの元を訪れることにした。魔法を教わるためだ。
彼女はエルフだし、魔法使いっぽい雰囲気だから、きっと使えるだろう。
「魔法を?構わないが、そう易々と教えられるものでもないぞ。」
話を聞くと、魔法というのは殆どが才能の世界であり、理論立てて学ぶものではないのだとか。そういったことは錬金術などの分野であり、魔力を鍛えたいのならそっちを学ぶべき、だとか。
「…ああ、一応、魔導書というのもあってだな。読めば誰でも魔法を会得できるが、これも高価で、中々手に入るものではない」
「世知辛いなあ」
「そういうものだ」
やはり、ダンジョンか。ギルドの職員さんたちによれば、冒険者は依頼を受けて金を稼ぐものだという。下級冒険者では、日銭を稼ぐくらいしか出来ないらしいが。
「ありがとう、リヴェリアさん。タメになったよ」
「それなら何よりだ。ああそれと…明日はロキはいない。【ガネーシャ・ファミリア】の
「なるほど、なら明日はゆっくりさせてもらおうかな」
「ああ。また来い」
ロキがリヴェリアさんをママ呼ばわりする理由も分かった気がした。
【武器紹介】
☆フレイモス
Lv.2の父、ダイナーがアエルテスに渡した業物。価格にして3500万ヴァリス。
【ゴブニュ・ファミリア】製の逸品。彫られた銘は「火帯剣」。
炎に対して絶対的な耐性があり、受けた炎を吸収・放射する性質がある。
かつて、『烈日』の二つ名で知られたダイナー・ヘリオドーンは、【ゼウス・ファミリア】の零落と共に姿を消した。
人々は言う。「未完の英雄譚、その続きを」と。
運命とは、斯くも数奇なものである。