自分を英雄だと勘違いしている元男がダンジョンに潜るのは間違っている   作:札幌53位

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初めての依頼で都市伝説になる男

 

今日は【ロキ・ファミリア】全体が慌ただしい。

十中八九、昨日の騒動に関する後始末に回っているのだろう。

邪魔をするのもアレなので──────

 

「ベル君ならいないよ?エイナ何某くんとデートだってさ!この、ボクを!差し置いて!」

 

「それは…ご愁傷様です。」

 

ベルとダンジョンに潜ろうと思い、【ヘスティア・ファミリア】の拠点(ホーム)にやってきたが、いたのは出勤前のヘスティアだけだった。

ひとりでダンジョンを散策しても良かったが、せっかくなのでヘスティアを職場まで送っていくことにした。

 

「そういえば、昨日ベルくんとちゃんと()()したらしいじゃないか。君さえ良ければ、またボクたちのところに泊まりに来るといい」

 

「マジか、ありがとうございます。助かります」

 

オラリオにおいて、宿屋はいい値段がする。普通、冒険者は宿屋になんか泊まらないからだ。故に、日々の出費に頭を悩ませていたのだが…これは好都合だ。

正直、無料で雨風を凌げるだけでも十分なので助かる。

 

「そういえば、職場って……ああ、ここか。」

 

着いたのは、俺がよく来るバベルの武器屋。【ヘファイストス・ファミリア】の経営しているここで働くことで、日銭を稼いでいるのだろう。

 

「それじゃ、頑張ってください。俺はこの辺りで」

 

送り届け、エレベーターで降りようと待っていると────。

 

「あれ、アエルテス?なんでここに?」

 

デート中のベルと鉢合わせてしまった。幼馴染のこういう場面を見るのはとても気まずい。そそくさと離脱しようとすると、服の端を掴まれる。

なんだと思えば、掴んでいるのは俺ではなくエイナさんだった。

 

「アエルテス氏、ローズがあなたを呼んでいましたので、時間のある時にギルドへ寄ってください。伝えましたからね」

 

「あっ、はい」

 

言われた通りにギルドに着くと、普段俺を見てくれている狼人(ウェアウルフ)のギルド職員のローズさんが事務作業をこなしていた。

ぴくりと耳が動くと、ローズさんはつかつかと歩いてきて、思い切り俺にビンタを喰らわせた。

 

「あなたねぇ…っ!怪物祭(モンスターフィリア)でのことっ………!!私の忠告、なんにもっ……!馬鹿……!」

 

「………ごめん」

 

冒険者は冒険をしてはならない。そう教えてくれたのはこの人だ。だが俺は、よりにもよってこの人の前で無茶を晒してしまったらしい。

あの時は夢中で気付かなかったが、その場に居合わせていたのか。

 

「…………っ、はぁ…。良い?あなたにどれだけ才覚があろうとも、まだ新米なんだから無茶しないで。」

 

「……だが、」

 

「だがじゃない!とにかく、心配かけさせてごめんなさいは!?」

 

「…すんませんした。」

 

溜飲が下がったのか、一枚の紙を渡してくるローズさん。内容は、「姿を変える盗賊」の調査依頼であった。発行元はなぜか隠されている。

 

「これは?」

 

「【フレイヤ・ファミリア】からの匿名の依頼よ。差出人は不明……おそらくフレイヤ様本人からでしょうけど」

 

フレイヤといえばこの間俺に風呂場で話しかけてきた美神さんだ。彼女からの依頼なら、喜んで受けよう。美人の頼みを聞くのは紳士として当然だからな。

 

「正直言って、かなりきな臭い。ギルドの方で内密に処理しておくから、この件からは手を引きなさい」

 

「いや受けるけど。可愛らしいお嬢さんの頼みとあらば、聞いてやるのが男ってもんだろ」

 

「あなた女の子じゃないの。バカ言わないで」

 

そうだった。だが、きな臭くとも受けよう。女の頼み以前に、報酬はなんと20万ヴァリスだ。これはもう受ける以外ない。俺のことは金の亡者と呼んでくれ。

なにしろ、装備の修繕費と松脂代がバカにならないのだ。少しでも金が欲しい。

 

「まあ、調査だけなら何かの逆鱗に触れることもなかろうよ。この依頼、受けさせてもらうよ」

 

「………はあ。まぁこうなると思ってたわ。一旦、【フレイヤ・ファミリア】に行って事実確認をしてらっしゃい。名義は【ファミリア】なんだから」

 

「そうさせてもらおう。」

 

こういう時、電話があれば便利なんだけどなぁ。などと思いつつ、【フレイヤ・ファミリア】の拠点(ホーム)である『戦いの野(フォールクヴァング)』に足を向ける。

歩いているうちに時刻は正午になり、腹の虫が鳴ってくる。

 

「そういえば、『豊穣の女主人』は昼間営業してんのかな…」

 

あわよくば昼食をいただこうと思い、少し寄り道して『豊穣の女主人』に向かう。しかし酒場であるからなのか、店は閉まっており、店前で箒を掃いているエルフさんが一人いるだけだった。

 

「何か用ですか?」

 

「お昼ご飯買おうかなって…開いてなかったし、今日はもう良いかな。」

 

「それはいけない。冒険者たるもの、正しい栄養を摂るべきです。」

 

そう言うと、エルフさんは店の中に入って行き、店長さんと何かを話した後、俺を店の中に入れてくれた。

 

「アンタ、この間余分に払って行ったからね。その分食わせてやるよ、腹減ってんだろ?」

 

「ミア母さん…っ!」

 

「あたしはアンタを育てた覚えはないよ!」

 

口ぶりとは裏腹に、出されたのは美味そうなパスタだ。まかないなのか、ペペロンチーノのようだ。

イタリアでは他人に食わせるものではないらしいが、そこは元日本人。美味いもんは美味い精神で頂かせてもらう。

 

「うまい!うまい!よもやよもやだな!」

 

一通り食べ終えて、礼を言って退店する。食ってる間に、店員さん達の様子を見たが…どうにも、全員俺よりも強そうだ。

足音が違う。強者故の、油断も隙もない足運び。意識していなくとも出てしまう癖のようなもの。まったく、そこいらの給仕すら強いとは驚かされる。

 

上機嫌で【フレイヤ・ファミリア】の拠点(ホーム)に着くと、門番の人に取り次いでもらうことが出来た。

 

「帰れ。」

 

だが、帰ってきたのは陰険メガネエルフからの冷たい言葉だった。

 

「何を呆けた顔をしている?帰れと言うのが聞こえなかったのか」

 

再度投げられる冷たい言葉。だが、この程度の罵倒で引っ込むような俺じゃない。陰険メガネエルフを睨み返し、胸を張る。

 

「依頼書はある。あんた達のファミリアの印鑑も押してあるんだ。知らぬ存ぜぬは通らないぞ」

 

「………チッ、確かに確認した。これで満足か」

 

「はい確かに〜♪じゃあなお役人さん」

 

さて、仕事を始めようか────と踵を返した瞬間、俺の頬を掠めて雷撃が飛んでいく。冷や汗をかき、恐る恐る振り返ると。

 

鬼の形相のエルフがいた。

 

「すみませんでした。」

 

「わかればよろしい。」

 

・・・

・・

 

気を取り直して、「姿を変える盗賊」とやらを探すために治安の悪いことで有名な『ダイダロス通り』に来ている。

 

「いや、治安悪いとは言ってもさあ。建物が半壊しまくってんのは違くねえか?」

 

ダイダロス通りは何かが暴れた後のように荒れ果てている。だが、こうしていても始まらないため、聞き込み調査から開始することにした。

 

「ああ?『姿を変える盗賊』だって?それより胸揉ませぶべらっ!」

 

一人目はダメだった。ふざけた事を抜かしていたので忍殺式インタビューを実行したが、それでも何も知らない様子だった。

 

「そうねぇ…知らないわよぉ?でも変身魔法ってなんだかロマンチックよねぇ」

 

二人目も知らない様子だった。しかし、被害に遭ったという冒険者を知っているとのことだったので、その人の棲家を教えてもらった。

 

「だからって家まで押しかけてくるかよ!??!?」

 

「私は対話を希望する。おら早く答えろよ」

 

「理不尽だー!?」

 

【ソーマ・ファミリア】の下っ端だという彼は、幹部がそれらしい事を話していたことを話してくれた。小人族(パルゥム)を使うとか、そう言った事を話していたらしい。

 

「で、ここが一番背の低いやつが目撃されてる場所か。」

 

『ノームの万屋』という質屋の前までやってきた俺は、店主のボム・コーンウォールという男の目の前に仁王立ちしていた。

迷惑行為なのは分かっているが、この手の人間は強硬手段に出ても客の情報は守るだろう。

 

「なあ、そろそろ座ってくれないか…茶なら出すから……」

 

「………。」

 

可哀想だが、これも金…もとい困っている人を助けるためだ。

 

「こんにち……うわ」

 

現れたのは、小人族(パルゥム)の少女。どこかで見たことのあるような顔をしているが、こいつが犯人で間違いはないだろう。

 

「少し話を……って、あれ。もういない」

 

店を飛び出し、通りを確認すれば遠くに走り去る姿を発見。そのまま追いかけ、常に視界の中に捉えるようにして追いかける。

十数分ほど追いかけっこをしたあと、曲がり角で誰かにぶつかったらしく、止まったようだ。

 

「ふふ、ふははは……!今こそ代価を支払う時だ!」

 

「ひっ…!?」

 

剣を引き抜き、威圧感を出しながら歩いていく。

 

「姿を変えれば逃げられると思ったか!?逃がさんぞ……」

 

「たっ、助けてください冒険者様!このままでは、殺されてしまいます!?」

 

助けを求めても無駄だ。正義は我にあり。

一体どんな手合いが相手で─────

 

「アエルテス?」

 

よりにもよって、ベルに助けを求めやがった。

どうしたものか考えていると、犯人はその一瞬の隙をついて逃げ出す。

 

「待っ……ああ、もう…っ!」

 

ベルに気を取られているうちに獲物を取り逃してしまったので、仕方なくため息をついて剣をしまう。そのまま壁に寄りかかると、片目を開けて何のつもりか聞く。

 

「いやぁ…その、追いかけられてたみたいだから…」

 

「『姿を変える盗賊』を追っていたんだ。やっと犯人を見つけられたと思ったのに。恨むぞ…」

 

ジト目で睨むと、ベルは頬を掻いて目を逸らす。こいつ、可愛くすれば許されると思ってないか?いやまぁ許すが。

 

「しかし、どうしたものかな…」

 

盗賊はおそらく、あの店はもう使わないだろう。それなら、もうダンジョンで待ち伏せするぐらいしかやることがない。

姿を変えられるぐらいだ、神の恩恵(ファルナ)は刻まれているのだろう。そして、わざわざ盗賊なんかやるぐらいだ、戦闘職ではないのだろう。

 

つまりは、犯人はサポーターである確率が高い。

 

「その…ごめん。どこかで埋め合わせするから」

 

「いや、気にしなくて良い。もうじき夜だ、さっさと帰ろう……あ、それと。ダンジョンは暫く一人で潜るから一緒には行けないぞ」

 

ガーン、と衝撃を受けた顔をするベル。

その顔を見られただけでも良しとしよう。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「サポーターの悪夢ぅ?」

 

【ロキ・ファミリア】の拠点(ホーム)、『黄昏の館』で、ロキは胡乱げな目つきで団員の報告を聞く。

 

「はい。なんでも、小人族(パルゥム)のサポーターがいるパーティが遭遇する怪現象のようでして」

 

「怪現象…迷宮(ダンジョン)異常事態(イレギュラー)か?ギルドは何て言っとるん?」

 

「ええと…確か。」

 

ギルドが出した注意報は、至極簡単なものだ。

一つは、キラーアントの群れが7〜9階層のどこかで常に暴走しているので、対処不可能な冒険者は警戒すること。

一つは、意図的に部位が切断されている魔物を見かけたらその予兆であること。

一つは、突然黄金の炎刃が通路を横断するときがあること。

一つは、目撃証言は概ね小人族(パルゥム)からであるということ。

 

「まさしく、怪現象といった感じですね……ロキ?どうしたんですか、そんな汗をかいて…」

 

「い、いやぁ…なんでもあらへんよ。せやけど、まぁ…コトが済んだらそれも収まるやろ…」

 

「コト?」

 

「こっちの話や」

 

疑問符を浮かべる団員をよそに、ロキは頭を抱える。怪現象が起こる前、アエルテスが自分に言ってきた言葉。

 

「しばらく依頼で俺帰らないから、心配しないでネ」

 

という謎の宣言。このことか、と唸りながらロキはおもむろに立ち上がる。

 

「ケビンを中心にアエルテスの捜索隊を結成しい。人様に迷惑かけとる阿呆にゲンコツ喰らわしてこい」

 

「……ああ…」

 

納得したのか、団員はため息をついて退室する。

 

一方そのころ、ベル・クラネルは。

雇ったサポーターであるリリルカ・アーデと共にダンジョン7階層に来ていた。

 

「ベル様、そろそろ休憩にしましょうか」

 

「え?まだ僕はやれるけど……疲れちゃった?リリ」

 

「そういうわけではなく…この辺りは最近危険らしいですので、余裕を持っておきたいんです」

 

ベルは自身の幼馴染が7階層で鍛えているという話を聞き、負けていられないと思い喜び勇んで魔物を討伐していたが、そのペースはとても早いものであった。

その反面、リリルカ・アーデは『サポーターの悪夢』に怯えていた。なにしろ、ターゲットは明確に自分だと分かっているからだ。

 

「それじゃ、少し休もうか。」

 

ダンジョンの壁に傷をつけ、休息を取る二人。だが、その直後。部屋(ルーム)の外の通路から何某の悲鳴が聞こえてくる。

それは、人間のものではなく、虫の絶叫のようなものである。

 

「……ひっ…!?き、来た…悪夢が……!」

 

「悪夢?」

 

リリが答えるよりも先に、無数の足音と共にキラーアントの群れが通路を通過していく。ベルはギョッとしてヘスティア・ナイフを構える。

だが、キラーアントは二人は目もくれず、一心不乱に狂気が満ちたように走っていく。

 

次の瞬間。

 

ドォン!という爆音と共に黄金の炎刃がキラーアントたちを消し炭にしていく。跡には、魔石の山が転がっている。

何事かと戦々恐々としていると、その元凶は煙の中から現れた。

 

炎を纏った長剣を携え、赤い瞳を爛々と光らせ、長い金髪を揺らめかせる剣士────殺戮者のエントリーだ!

 

「ベル様…に、逃げましょう…!リリのとっておきを使います、その隙に……!ベル様?なぜ、構えを解いていらっしゃるんです?!」

 

「いやだって…」

 

「ベル?それにリリじゃないか、無事でよかった。」

 

現れたのは、『サポーターの悪夢』こと、アエルテス・ヘリオドーンであった。

双方落ち着き、談笑するベルとアエルテス。リリルカ・アーデは非常に焦っていた。このままアエルテスがついてきて、雇い主(ベル)からナイフを盗んでいるところを見られでもしたら?

 

(当然、待ってるのは死…ですよね。はぁ、貧乏くじを引きました…)

 

だが、今回は。天はリリに微笑んだようだ。

アエルテスがベルとリリに挨拶を済ませると、そのまま魔石を回収するために立ち去っていったからだ。

 

安心して地上に戻り、その最中にベルからナイフを盗むリリであった──────が。次に待ち構えていたのは、恐ろしい雰囲気のエルフであった。

 

「そのナイフを、どこで手に入れたのですか?」

 

などと殺意の籠った目線で見られれば、素直に返す他は無くなってしまう。それに、元より換金しようとしたものの切れ味が全く無く、売り物にすらならなかったのだ。

手放すことに忌避感はなかった…が。

 

「おイタはダメですよ?」

 

何より恐ろしかったのは、金髪狂人(アエルテス)でも妖精(リュー)でもなく、感情の籠っていない笑顔を向けてきた給仕(シル)であった。

 

あまりの不運に見舞われ、リリは

 

(しばらくは盗みは控えよう)

 

という考えがよぎったのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「で、なしてそんな傷だらけなん?」

 

夜。『黄昏の館』のリビングで、俺は正座させられていた。なんでも、俺がオラリオに混乱を齎したらしい。

三、四日ダンジョンに篭って犯人を釣ろうとしてただけなのに。

 

「それは僕が捕まえようとしたら…揉み合いになっちゃって」

 

「後ろからバットで殴ってくるからぁ!」

 

「Lv.1だって聞いたし、一撃で寝かせられるかなって…」

 

俺を捕まえにきたのは、白い髪に青い眼のケビンというLv.2冒険者だ。昔、酔っ払ったアイズ先輩に斬られたことがあるらしい。

それもあってか、耐久のアビリティがとても高く、また武器もメイスであるため押し負ける事が多く、とにかく厄介だった。

 

「ともかく、アエルテスさんは捕まえたよ。」

 

「ご苦労さん。下がってええで」

 

ケビンが退室すると、ロキは「さて」と言って俺に麻袋を投げ渡してきた。中には、大量のヴァリスが入っている。

 

「これは?」

 

「色狂い……フレイヤからや。自分、ホンマに何しとんねんマジで?アレに目ぇ付けられる言うんがどないなことか解っとらんのけ?」

 

これは、やらかしたな?

ロキは今までに無いぐらい怒っている。それは、きっと俺への心配から来ているのだろうが、同時に政治的な何かへの懸念もあるのだろう。

 

「……はぁ…これで済んで良かったな。今度依頼受ける時は絶対【ファミリア】通すんやで?分かったなら…おっぱい揉ませて?」

 

「分かりま………やばこいつ」

 

「アイズたんの胸はウチが育てた。アエたんも才能あるし、一発どや?」

 

「こんなオッサンみたいな事言う主神見たくなかったなぁー!?……だが、今回やらかしたのは事実ッ…!来ぉい!」

 

「うへへへ、いただきまーす!」

 

俺が仁王立ちし、ロキが飛び込みの姿勢を取った時、フィン団長が部屋に入ってきた。

 

「何をしてるんだ君達は……ロキ、神会(デナトゥス)での話す内容が増えるかもしれないよ」

 

「え?なになに、何かあったん?」

 

「アイズが単独でウダイオスに挑む。」

 

「──────マジか」

 

ウダイオス何某が何なのかは知らないが、とにかく凄い強い敵なんだろう。

フィン団長とロキが楽しそうに話しているが、全くついて行けそうにないので、俺は先程渡されたステイタスシートを見ることにした。

 

──────────────────

【アエルテス・ヘリオドーン】

Lv.1

《基礎アビリティ》

力:E403 耐久:C656 器用:F386 敏捷:F331 魔力:G294

《発展アビリティ》

 

《魔法》

【リュクシオン】

付与魔法(エンチャント)

・自身を含めた周囲に延焼する。

・詠唱式『我は光、我は終。汝が炎抱く限り、全てを灰に帰さん。我を包め、光封の鎧』

【】【】

《スキル》

【逆境奮起】

・逆境時、全能力の超高補正

・精神汚染軽減

・死への恐怖無効

──────────────────

 

三、四日ダンジョンに篭っても、無茶をしなければ成長も緩やかだ。魔力も鍛えなければな。

 

と、いうことで俺は魔力トレーニングを日課にすることにした。

アイズ先輩がいない日は魔法を使い、『黄昏の館』の庭先で一人で燃えていることにしよう。

 

だが、今日はもう遅く、夕飯もまだであるため『豊穣の女主人』で食事を摂ることにした。

 

「いらっしゃいませニャ!あ、白髪頭の女が来たニャ!」

 

「やめない?そういう言い方」

 

非常に語弊のある言い方だ。俺はベルの女ではないし、そういうのはもっと可愛らしい性格の子に言ったほうがいい。

 

「ミアさん、席空いてる?」

 

「空いてるよ!リュー、案内してやんな!」

 

この間のエルフさん…もといリューさんに案内され、席につき、出てきた料理をかっ食らう。

ついでに酒も頼んでみようか。肉体年齢的には14だが、まあ言わなきゃバレないだろう。

 

「エールひとつ」

 

樽ジョッキに注がれて出てきたエールを飲み干す。人生初の飲酒だ。とても気分がいい。あっという間に身体が熱くなっていく。

大人はこんな良いものを独占していたというのか。

 

「酔ってんな、嬢ちゃん!なあ、このあと俺と遊ばねえ?」

 

知らない男が気安く声をかけてくる。なるほど、この男、俺と遊びたいのか。良いだろう。遊んであげようじゃないか。

 

この、剣でな。

 

「表に出ろ、遊んでやるよ…オッサン」

 

「積極的だねえ、良いぜ…」

 

ちょっと出る、と言って往来に出て、フレイモスを引き抜く。途端にギョッとした顔をする男。なんだ、この期に及んでビビっているのか?

情けないやつだ、と思いつつ、相手が武器を抜くのを待つ。

 

「ちげえ、俺が言った遊びってのは、ヤるってことで…」

 

「おう。だから闘るんだろ?」

 

「だからそうじゃなくてえ!」

 

その後、俺は楽しい時間を過ごした。

結局戦いは起こらなかったが、代わりに飲み友を何人も獲得する事が出来たのだ。

 

しかし、このとき俺はまだ気づいていなかった。

俺を見る、昏い目つきを。




【人物紹介】
☆ケビン・クラディオス
酔っ払ったアイズに斬られた男。【ロキ・ファミリア】のLv.2冒険者。
メイスをメイン武器としており、太陽のような明るい性格。
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