001.プロローグ(リアルチート)
目の前に、自分の大好きなラノベで読んでいたような画面が表示されている。
自殺候補者(?)を誘導する異世界ゲームへの誘いだ。
俺って、自殺志願者だったのか?
確かに、数年付き合っていた彼女に二股かけられた過去を思い出して、絶望的な気分に浸ってはいたけど。
自殺を明確に意識しては・・・・・・多分してないよな?
昨晩の夢見が良くなかったせいとか?振られた時の光景が増幅された悪夢を見たっけか。
確かに朝起きた直後は最悪の気分だった。まだ、その気分を引きずっているのだろうか?
というか、これがあの小説の画面だと思い込んでる時点で、すでに精神的にキテいる?
詐欺サイトであれば、課金要素の画面表示が出てくる前に強制終了すればよい。
正直、先が気になっている。ジョークサイトだとしても、そのクォリティを確認してみたい。
世界観の選択やボーナスポイントの設定など、あの小説で読んでいたのが忠実に再現されているようだ。少しワクワクしている・・・・・・更に先を進めて見てみよう。
かなり時間をかけて・・・・・・ボーナスポイントは99ポイント(金色!)が出た・・・・・・いったんポイントをすべて消化して、0ポイントにする。
並行して他のPCからリモートログインして、メモリエディタを操作して、改めて99ポイントにした。リアルチートだ。我ながら卑怯だ。
原作では、異世界設定画面以外の操作はできないとかではなかったか?
確かにできないけど、リモートログインすれば異世界画面以外の操作はできるようだ。
異世界画面のPCの操作をしながら数値を変更して、他のPCからボーナスポイントのメモリアドレスを追跡すればチートなど楽勝だ。
PCゲーム等では時間短縮のために、よく利用していた手だよな。
課金ゲームでは、さすがに逮捕されるからやらなかったけど。
99ポイント分を消化して更に99ポイント加算で、実質198ポイントの初期ボーナス。
もう一度メモリをいじろうとしたら、それ以上の修正はできなかった。残念。
(すでにしたけど)ズルはダメってこと?気を取り直して世界観の方も再検討する。
世界観は戦争の頻度が「少し多め」となっており、それ以上少なくすることはできない。
ゲーム2周目対応?・・・・・・なんかハードモードになってしまった。
「少し多め」の上は「多い」、「非常に多い」だからまだマシ?俺のスローライフが・・・・・・。
ボーナスポイントを元の99に戻すこともできないので諦めるしかないか。
後はあの原作小説と同じに設定。剣と魔法の世界とかね。他は興味ないし同じで良いよ。
世界設定を変更したせいか、新たに選択可能となった種族を設定。
特殊スキル「異世界言語(全言語)」、「索敵」、「拠点構築」を取得(計20ポイント)。
これも原作小説にはなかったので、2周目の新要素か?
1周目の攻略が終わってないので少し罪悪感がないでもない。
名前も自由に変更できるようだ。普段ゲームでよく利用していた名前をカタカナで入力と。
一応、家名とみなされるように、姓名を2つに分けて入力。
ボーナスポイントは後でも変更できるはずだけど、いきなり戦闘になっても良いように武器と防具を手厚めに設定する。
原作では武器とアクセサリーしかボーナス装備を選択してなかった気がするけど、防具を選択しておこう。
新しい要素と経験値系のチート設定をして、残りは敏捷につぎ込む。初めの盗賊討伐イベントを意識しておかないとね。
防具5って、こんな名前なのか?
アルフレイル(防御力2倍、魔法ダメージ削減、状態異常無効、レベル補正無視)
まあ、いきなり魔法攻撃も状態異常攻撃も受けないとは思うけど良い装備にしておこう。
せっかくボーナスポイントをチートしたのだし。
ボーナスポイント(198)(初期値198+0(Lv上昇分))
・キャラクター再設定(1)
・武器6(デュランダル)(63)
・防具5(アルフレイル)(31)(防御力2倍、魔法ダメージ削減、状態異常無効、レベル補正無視)
・鑑定(1)
・ジョブ設定(1)
・異世界言語(10)
・索敵(5)
・拠点構築(5)
・敏捷上昇(40)
・必要経験値五分の一(15)
・獲得経験値五倍(15)
・フォースジョブ(7)
・詠唱省略(3)
・ワープ(1)
余剰ポイント(0)
ここまでやった後に最終確認ボタンを押して、課金画面とか出てきたらどうしょう?
別に時間を無駄にしただけで笑い話か。他人はとても話せないネタだが。
最終ボタンを押す前に異世界転移の準備をしてみるか・・・・・・ちょっと旅行の準備をする程度のところまでだ。遺書とか遺言書とかは作らない。
ちょっと気分が重たくなるし、相続するような大した財産もない。
何よりジョークサイトだった場合に事件になってしまうし、社会人生命を絶たれる気も。
家族は兄弟もいないし、親は離婚して父親のみ。
父親の下で大学まで出してもらったけど、社会人になってからはお互い我関せずで連絡も取り合ってない。
別に父親と仲が特別悪かった訳ではないけど、離婚の原因がいろいろとアレだったからなぁ。
なんやかんやで疎遠のままだ。
気分が暗くなってきた。今は、このサイトの雰囲気を楽しもう。
気を取り直して・・・・・・後は転移後から生活がうまく軌道に乗るための準備だ。
何かこちらの世界のオーパーツを持ち込んで楽をしたい。本当にワクワクしてきた。
我ながら妄想がヒドい。でもマジで何か楽しいぞ。
現世界から持ち込むのは、
・登山とかでも使えそうな大き目のリュック
・木の縁取りが少しおしゃれ目でカバーとスタンドがある鏡10枚
・ビー玉50個
・家庭の医学書的な本、サバイバル教本、料理本、編み物の本、農作業の本等
何か産業のタネになりそうなものを書店で選んで持っていくことにした。
他には、
・例の異世界ラノベとマンガの全巻
・ノートや筆記用具のセット
・石鹸数個、鋏とナイフ、爪切り等かさ張らない細々としたもの
・プラスチックの櫛とフェイスタオル3枚
・ブロックタイプの栄養食2箱、ミネラルウォーターの500mLペットボトル2本
・寝巻と普段着を兼ねた上下の服とアンダーウェアを3セット。
・双眼鏡の軽くて少し小さめなもの
なんか重装備になってしまったが、こんなので旅行に行くやつ等いないと言い切れる。
そして頑丈な腕時計。今使ってる奴もトレッキングとかでも使えて雨風とかでも問題ない耐久性に定評があるやつなのだけど、同じのをもう一個買っておこう。
向こうの太陽がこちらと同じか分からないが、ソーラー充電できることを祈ろう。
壊れたら修理できないから諦めるしかない。
で、その時計を入れておくためのやはり頑丈な箱だ。
サージとか耐火とかの機能性のある小箱。材質はよく分からない。
これに時計を入れておいて迷宮探索できるかどうかは出たとこ次第。
火魔法や水魔法、雷魔法も防げるだろうか?
もはや迷宮に行くことを決め打ちで考えている自分に苦笑してしまう。
やっぱり時計がないと、イロイロ困ると思うんだよね。
俺だけ持っていても意味なくない?・・・・・・と思わなくてもないが、比較的規則正しい生活を送ってきたので急には切り替えられるないだろう。
スマホはねぇ・・・・・・ネットが使えないと意味ないし、持っていくのはやめておこう。
気持ちを上げるために、ちょっと良いお店で最後の食事(?)を満喫。
軽装の外出着(目立ちたくないので地味なもの)とトレッキングシューズを履いて、やっぱり地味な長めのコートを羽織った。
うん、準備完了。他人に話したら黒歴史だが、今は気分がめちゃくちゃ高揚している。
で、気軽な気分で最終確認ボタンを押下した。
(意識は途切れ、リュックと共に部屋から姿が消失した)
気づいたら、原作と同じく厩の藁の上で寝ていた。
元の世界では昼頃だったはずだが、こっちの見た目は早朝っぽい。異世界に転移したらしい。
まだ夢オチの可能性もあるだろうが。
天気は晴れており、さほど寒くもなく暑くもない気候で良かった。
では、自分自身を鑑定と。
ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)
村人Lv1
情報が浮かんできた。名前もゲームで設定した名前。
戦国フリークなのだ。武田信玄と真田幸村をガッチャンコした名前だ。
人間族ではなく、鬼人族なので男ではなく、♂表示だ。
つまり色魔のジョブは取得できない。
鬼人族の種族固有ジョブはなんだろう?
あれ?鑑定って種族名とか自由民の立場とか表示されていたっけ?
もっと簡素な表示だった気がするのだけど。
まあ、鑑定は異世界人しか使えない特殊なスキルだろうから、今はそれは置いておこう。
急いで周りを鑑定して、ボーナス装備品や自分が持ち込んだリュックを確認。
バッグの中身は無事そのまま持ち込めたようだ。
原作では鑑定でノミとか表示されてなかったっけ?今回は表示されていない。
1周目のユーザ(原作主人公)からクレームがついたのだろうか?
ただ、防具5(アルフレイル)は良い防具だけあって目立ちすぎるな。
コートを羽織って隠すことにして、デュランダルは一応は腰のベルトの隙間に差しておく。
リュックは厩の裏の目立たない所に隠しておこう。
鬼人族の体って、こういうのなんだ?・・・・・・特徴があり過ぎるのでコートで隠すしかない。
背は元の世界にいたときは180cmを超えていたが、今はそれよりも更に高い感じだ。
体格的な特徴から言っても鬼人族は脳筋系なのか?
あと、Tシャツの袖は破けていた。まあ、この体格からすれば仕方ない。
携帯用の裁縫セットも持ってきたので、余裕があれば後で繕っておこう。
おう・・・・・・足はそれなりに長く、腹筋もなかなかの筋肉質で元の世界なら一定のモテ男かも。
持ってきた鏡で見ると肌の色は少し浅黒い気もするが、額に角も生えてないし見た目は精悍な人間って感じだ。
ちょっと得した気分だ。
下着を確認してみたが、特に虎柄のパンツも履いてない。
元の世界から持ってきたボクサータイプのパンツだ。
あまりゆっくりもしていられないので、予め考えておいた事を行動に移さねば。
近くにあったサンダルを履くと、盗賊のジョブが付与された。ここまでは原作と同じだ。
持ってきたトレッキングシューズはリュックと一緒にどこかに隠しておくか。
ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)
村人Lv1 盗賊Lv1
装備 デュランダル アルフレイル サンダルブーツ
原作にはなかった特殊なスキル『索敵』を使ってみよう。
視界の空中にマップが現れ、近くに灰色の点が複数点在している。
この村の村人ではないかと思う。これは便利だ。
ただ目視で視界が通るところまでしかマップで可視化できないようだ。
視界が通れば結構遠くまでクリアになるところはおもしろい。
視界を通すために顔を結構回しながらエリアをクリアにしていく。かなりの不審者状態?
見えていない家の中とか、そういったところはグレー表示のまんまだな。
原作通りなら、この後に盗賊襲撃イベントがあるはずだ。
いまのうちに歩いて視界をアチコチ動かしながら、マップをクリアにして少し様子を見たい。
経験値系のスキルや余剰ボーナスポイントが敏捷上昇に設定されていることも再確認した。
索敵はボーナス魔法ではないようなので、MPの消費もないようだ。
歩きまわっているうちにうつ病になるほどのMP消費も起きなかった。
5ポイント消費したのだが、かなり有効なスキルに思える。
これで敵味方の識別が簡単にできるのならば便利すぎるスキルだが、どうだろうか?
うまく使えば原作の某狼人族の娘がいなくても、迷宮探索が捗るかもしれない。
回避の得意な前衛は別途必要だろうけど。
近くの村人にいきなり挨拶する訳にもいかないが、会話に耳を傾けると言葉の理解はできる。
特殊スキル『異世界言語(全言語)』が機能しているようだ。
ブラヒム語以外の言葉が理解できるのは多分便利なはずだ。
しゃべっている言葉が視界の片隅に表示されている。ちょっと鬱陶しいので慣れが必要かも。
これで会話ができない、読み書きができないといった煩わしさから解放されると良いのだが。
読み書きの方はまだ試してみないと分からないな。
まだ夢オチの可能性も否定できないが、恐らく現実ではあろうという程度には周りの状況が把握できた気がする。
なんと言うか、リアリティがないというか違和感があるんだよな。
歩いている人はヨーロッパ系の人間の感じだし、それだけ見れば不思議ではない。
文明の度合いが中世っぽいはずなのに、歩いてる人たちの雰囲気がそれっぽくない。
中世の時代であれば、日本であろうとヨーロッパであろうと農村の人たちなんて不衛生な恰好をしていたり、栄養状態も悪くて現代人から見れば顔も皮膚も病的な雰囲気であっても不思議じゃないはずだろう?
今、この辺を歩いてる人は普通に健康そうな現代のヨーロッパの風体だ。
そこらにある建物も別に立派なものではないけど、なんというかゲームっぽいんだよな。
これって、やっぱり『ナーロッパ』じゃないのかな?
別に不衛生な環境から成り上がろうとか考えてないから、そのままで良いのだけど。
厩にノミもダニも鑑定で見つけられなかったし。見たくないからね。フリじゃないから。
でも、風呂とかはないのだろうな。
あと、アニメ顔じゃなくて普通の三次元というか、普通の人間っぽくて良かった。
アニメ顔とかCGの顔だったら、それはそれで精神の病にかかった気がする。
実際には異世界人にはアニメ顔が三次元に画像翻訳されてるのかもしれないが。
あぁ~まずいまずい。思考がかなり横道に逸れて時間がもったいない。
今は初回イベントを着実にこなさなければ。
とにかく少し村を歩き回って、索敵スキルでマップをクリアにしていこう。
(2025/8/3加筆)
お読みいただき、ありがとうございます。
原作に戦争要素を少し加えて書いてみたくて、こんなものを書き始めました。
戦乱を乗り切るのなら通常以上にチートしなければと焦り、ボーナスポイントをチートで増やすことにしました。
ついでに2周目みたいなことにして、都合よく原作改変の理由付けにしました。
戦争シミュレーションなら、拠点は必要だよなということで拠点構築のスキルを追加。
戦乱をどこまで描き切れるか自信はないのですが、ボチボチやっていきます。