異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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067.元気なルーキー達

 玄関を出て、裏庭に回った。

 

 修練場では、ヴィルマが双子と対戦していた。

 双子は目まぐるしく動いてヴィルマに襲いかかるが、軽く木刀を弾いていなされている。

 パワーが段違いだからな。スピードだって負けてないだろうし。

 それでも双子は嬉しそうに、次々と木刀を繰り出している。

 それにしても双子だけあって、どっちがどっちか分からないな。

 

 対人戦で二人で挑まれると、どちらか分からなくて幻惑されそうだ。

 モンスター相手だと意味はないのだろうけど。

 あいつら何も考えずに目の前の人間に襲い掛かってくるように見えるから。

 

 

 ヴィルマの木の剣が双子のそれぞれの足にヒットして、双子が地面に転がされた。

 容赦ないな、ヴィルマ。

 地面に転がった双子は、ギブアップしたのか地面に大の字になって休憩している。

 

 

「主、遅い~!」

 スマン、こっちもイロイロとあったのだよ。

 

 脇で待機していたイレーネが俺に向かって木刀を二本投げて寄越した。

 でも今日は二本じゃなくて、一本でやるか。

 

 受け取った木刀の一本をイレーネに投げ返す。

 

 ヴィルマは獲物を横取りされてはたまらないと、俺に素早く近づいてきた。

 

「主、やるぞ!」

 もはや、どっちが主か分からない発言に苦笑しかない。

 

 俺が構えると、ヴィルマも静かに剣を中段に構えた。

 こっちは木の片手剣で彼女の方は両手剣だ。

 

 軽くフェイントで剣を振りながら、ヴィルマとの間合いを測る。

 いつもの二刀流ではないので、彼女は積極的に俺の間合いを侵してくる。

 

 ヴィルマの振るう剣の鋭い風切り音を感じながら、こちらも鋭く斬り返す。

 百獣王になってから、ヴィルマの剣は速度も威力も上がったと思う。

 それでも、その剣は剣術指南所のオッサンには届かなかった。

 彼女も俺も、熟練した剣術経験者ともっと多く刃を交える必要があるのだろう。

 

 普段の訓練も、もっと見直した方が良いかもしれない。

 この場所で出来ることも、まだまだ多くの事があるはずだ。

 その一方で、ここだけでは出来ないことを外に求めるのも良いだろう。

 

 ヴィルマの剣圧を頬に感じたところで、カウンターで右腕に木刀の一撃を入れた。

 

「痛っ」

 ヴィルマの剣が地面に転がった。

 

「主の勝ちだ。今日は勝てると思ったのだけど」

 しょんぼりしたヴィルマに俺は手当をかける。

 

 今のは、たまたまカウンターが決まっただけだよ。

 俺の剣が空振りしてたら、やられてたのは俺だったかもよ。

 

 

 ヴィルマと俺の間にイレーネが割って進み出た。

 少しは休憩したいのだけど。

 でも、こいつらはずっと訓練していた訳だから、俺だけ休憩する訳にもいかないか。

 

 イレーネと俺が無言で剣を構え、二人の勝負が開始された。

 いつもと違い、彼女も積極的に間を詰めて剣を振るってくる。

 今の俺は剣1本だから懐に入りやすく、チャンスだと思っているのだろう。

 

 イレーネの鋭い刺突が俺に襲いかかる。

 木刀を小刻みに立てながら、刺突の軌道をずらしてカウンターの機会を窺う。

 彼女も上体を揺らしながら、俺の反撃の可能性を減らしてくる。

 

 一呼吸入れるために下がったイレーネに、今度は俺が刺突の連続攻撃を入れる。

 刺突は俺だって得意なのだよ。

 剣道では喉元を狙っていたが、今回はさすがに危険なので手や足の部分を鋭く狙う。

 

 俺の方が体力があるので、刺突する回数は多いはずだ。

 このまま押し切ろう・・・・・・と思っていたところにイレーネが逆に懐に潜り込んできた。

 木刀を打ち下ろして肩口を狙うが、逆にカウンターで合わされて木刀をカチ上げてきた。

 

 俺のアゴにイレーネの木刀が直撃して、目から火花が飛ぶ。

 慌ててバックステップで下がった。

 

「俺の負けだ」

 木刀でなければ、喉か顎を裂かれて死んでいたかもしれない。

 イレーネの顔に、してやったりという笑みが浮かんでいる。

 

 というか、木刀で顎を狙うのも危ないと思うのだけど。

 俺が喉元を狙わなかったのは真剣味が足りなかったのだろうか。

 彼女との覚悟の差が勝敗を分けたか。

 普段、こいつらはどんな訓練をしているのだよと思ってしまう。

 

 ヴィルマとイレーネとは剣1本だと、もう勝ったり負けたりなのだろうな。

 この二人が訓練を重ねて、剣術指南所のオッサンの所で鍛えられたら、剣2本じゃないと勝負にならなくなるかも。

 

 

 イレーネが下がると、今度はケリーとマリーが俺に挑みかかってきた。

 もう、回復したのか。さっきはヴィルマにコテンパンにやられていたのにな。

 

 さすがに二対一とはいえ、この二人に負ける訳にはいかない。

 だが、剣1本だとちょっと忙しいな。

 

 二人を左右に散らさないように、一方だけに距離を詰めて双子に交互に軽く剣戟を入れる。

 距離を小刻みに縮めたり、遠ざかったりしながら彼女達の持ち手や剣を狙う。

 

 双子は時々、左右が入れ替わるように動いてくる。

 俺を幻惑しようとしてるつもりなのだろうか。

 

 だが、迷宮では全く同じ見た目の複数のモンスターの相手をしているから、同じ顔の相手に戸惑うことはないのだよ。

 同じ剣の動きを繰り返しながらも、不意に下段から剣を振り上げてフェイントを入れ、双子の剣を一人ずつ弾き飛ばしてやった。

 

 剣を失った双子はしょんぼりしながら去っていった。

 俺との実力差は仕方ないが、この年でこれだけ剣を使いこなせるのは大したものだな。

 やっぱり、あの剣術指南所は対人戦の訓練に適しているのかもしれない。

 

 俺は休憩に入って、他の者の訓練を眺めることにした。

 

 ラファとヘルミーネがお互い木の槍を持って、模擬戦闘を始めた。

 我が家では槍を使うのは少数派だから、槍同士の訓練は初めて見るな。

 

 ヘルミーネの槍さばきは、なかなか堂に入っていてラファに対して隙を全く見せない。

 ラファも懸命に突きを入れるが全ていなされ、逆にカウンターで軽く突かれている。

 ヴィルマ達と違って、ちゃんと手加減した一撃なので怪我を負うようなものではない。

 

 だが、何度も軽く寸止めのようにコツコツと入れられると、心が強くないと続けられないぞ。

 ラファは我慢強く木の槍で突き続けている。なかなかのメンタルの持ち主のようだ。

 

 やがてラファの体力が尽きたのか戦いは終了となった。

 体力の限界までやるとか、厳しい訓練だな。でも実戦向きな気がする。

 ラファに甘いと思っていたヘルミーネだが、こと訓練に関してはスパルタだな。

 

 

 見たいものが見れたし、そろそろ日が沈むので家に戻るか。

 

 ・・・・・・と思っていたら、ヴィルマが木刀を一本投げて寄越した。

 二刀流とどうしても戦いたいらしい。

 彼女の両脇に双子の姿が見える。

 三対一でやりたいのか。それは二刀流じゃないと勝負にならないな。

 

 三対一の変則マッチが始まった。

 意外にも双子は左右に散開して俺の意識を散らすのではなく、三人が塊となって俺の方に間を詰めてくる。

 

 両腕の木刀を左右に開いて迎え撃つ。宮本武蔵の気分だ。

 動かずに相手が詰めてくるのをじっと待つ

 

 すると、ヴィルマが急激に間を詰めて剣を打ち込んできた。

 右手の剣で弾きながら、彼女の次の剣に備える。

 

「力!」

 叫び声と共に、ヴィルマの背後からケリーが飛び込んで俺の喉元に刺突を見舞ってきた。

 イレーネの真似は危ないから止めなさいっての。それに叫んだら奇襲の意味がないよ。

 右の剣で、軽く流して、背後に回られないようにサークリングする。

 15才相応の体格での体重を乗せての一撃だが、その程度の威力では俺のセブンスジョブでは問題なく受け流せるよ。

 

「速さ!」

 ・・・・・・と、今度はヴィルマの股の間からマリーが跳んできて、刺突で俺の顎を狙ってくる。

 ジェットスト●ームアタックかよ!

 お前らの着けてる鎧、全然黒くないけどさ。

 

 サークリングしようとする方向とカウンターになり、慌てて上体をひねって回避。

 背後から近づいてくる気配を感じて、右前方に前転して避ける。

 空振りしたケリーの右足を引っかけて転ばし、前方からのヴィルマの剣を左の剣で受け止める。

 ったく、忙しいな。

 

 マリーの刺突も流して、足をかけて転ばす。

 双子が転がってる間に勝負をつけないと。

 

 ヴィルマとの距離を一気に詰めて、両腕の木刀で速度のある連撃をかます。

 対応できなくなった彼女の腕と胴に一撃ずつ入ったところで勝負は決まった。

 双子とはもう勝負しなくても良いだろう。やる気まんまんに見えるけど。

 

 ヴィルマは勝敗が決したので剣を下したが、双子は納得がいかずに挑んできた。

 もちろん、コテンパンに瞬殺してやった。

 実力差を考えずに挑むのはどうかと思うが、今のうちは元気があって良いのかもしれない。

 

「今のって、今日の訓練で練習したのか?」

「練習?何を?」

 キョトンとするヴィルマ・・・・・・あの三位一体連携はアドリブでやったのかよ。

 すごいな獣戦士って、まさに獣のような戦いぶりだ。

 

 

 額の汗を拭って振り向くと、チクルスが呼びにきていた。

 夕飯の準備がもう出来るらしい。

 

 なんか、前に訓練に夢中になってた時も、こうやってチクルスに呼びにこられたような。

 全く進歩が見られないな、俺達は。

 

 しかも、ほとんどの者は砂塗れの酷い状態。

 訓練を終了にして、全員、玄関に戻ることに。

 

 かなりの人数が訓練に参加していたので、玄関は大渋滞。

 それでも俺は急いで先頭で進んで玄関の壁にゲートを開き、風呂場に繋げた。

 鎧についてる砂などは玄関に入る前に払ったけど、体についた砂や泥を室内にばら撒きたくないので、とにかく風呂で流させないと。

 修練場と建物の間くらいにシャワー室を作りたいな。

 本館の裏口のそばあたりがベストかな。

 

 ラファやヘルミーネも居る手前、俺が一緒に風呂場に行くわけにもいかず、ヴィルマ達をとにかく押し込んだ。

 レイモンドや俺はその後だ。

 ・・・・・・というか、レイモンドも居たのね?

 訓練していた隅っこに疲労困憊で転がっていたらしく、気付かなかったよ。

 レドリックは訓練の前半に参加して、レイモンドは後半に参加していたらしい。

 

 俺達は、女性陣が終わった後にゆっくりと汗を流そうぜ。

 俺とこいつが、女性陣と混じって一緒にお湯で汗を流すとかハードルが高過ぎるよ。

 

 

・・・・・・

 

 

 賑やかな食事を終えて、男だけの風呂でまったり。

 今日はなんかイロイロ疲れたから、浴槽でゆったりとお湯に浸かると、体の芯からリラックス出来る・・・・・・などと爺臭い感想が浮かんでしまう。

 

「今日の訓練って俺は最後の方しか参加できなかったけど、

 レドリックはあの双子の動きをどう思った?」

「あの双子って、まだ15才なのでしょう?かなりの運動神経と剣の才能がありそうですね。

 ただ、思いっ切りが良すぎるので迷宮で事故を起こさないかは注意が必要ですね」

 確かに迷宮ではちょっと痛い目に遭いました・・・・・・じゃあ、済まない。

 命を落とすかもしれないのだから。

 

「僕はあの双子に早々に追い抜かれそうですね。やる気がちょっと違う気がします」

「そこは、レイモンドもやる気を出すところじゃないのか?」

 まあ、あの双子は戦うのが楽しくて仕方がないって感じだよな。

 

 双子も二人だけで話をしている訳ではなく、それぞれヴィルマやイレーネの所に言って話し込んでいるようだったし。

 それぞれ、オッサンとは違う師匠を見つけたって感じなのだろうか?

 

 ケリーがヴィルマで、マリーがイレーネを慕ってるようにも見えた。

 食事の時もそんな感じだった気がする。

 見た目が同じでも喋り方にそれぞれ特徴があるのだよな。

 まさに、チヴィルマとチレーネって感じだろうか。将来が少し心配だ。

 

「ご主人様、エネドラ様に言われて、今日から私も夜の会議に参加するようにします。

 護衛部隊の人数もかなり増えてきたので、方針を確認しておかないと編成が出来ないので」

「そうか、ポーラの方の体調は大丈夫なのだよな?」

 

 レドリックは頷きながら、

 

「はい、チクルスさんにも良くして頂いていますので大丈夫です。

 この家に来てから、かなり体調も良いので会議の参加くらいは問題ないと思います」

「そうか、まあ油断しないでポーラに何か心配事があったら遠慮なく言ってくれ」

「はい、ありがとうございます」

 レドリックが参加してくれると助かるな。

 

「それと、そろそろ護衛組を二手に分けて、

 この家を護衛する部隊と迷宮に派遣して実戦訓練をする部隊の2部隊で運用したいと思います。

 探索者もレイモンドとヘルミーネの二人になりましたから」

「そうだな」

 確かに、回復役のラファも加わったし。

 

 ただ、ラファは巫女でもレベルが低いからあまり上位階層は厳しいだろう。

 低階層から教導役を連れて迷宮に入れた方が良いだろうな。

 

 増えたと言っても護衛部隊は7名しかいない。

 9人いれば、3人と6人とか4人と5人に分けて運用できるのだが。

 ヴィルマとイレーネを加えるか。教える役ではなく、攻撃は最大の防御という意味で。

 ラファの負担が大きすぎるかもしれないから、回復役はもう一人ぐらいは欲しいな。

 

「分かった。ここじゃなんだから、後で部隊編成を考えよう。

 装備品の分配や使いまわしも考えないとならないしな。

 あとはヴィルマやイレーネも一緒に行かせる事も考えよう」

「そうですね。お二方が居ると安全性がかなり高まるでしょうから」

 しばらく迷宮に入ってなかったから、あの二人のガス抜きに丁度良いか。

 

 迷宮に入ってない護衛部隊の留守番組はパワーレベリングで鍛えるか。

 カラダンもレベリングしたいから、俺のパーティに入れる時間割も考えないとな。

 こういう事を考えるのは、結構楽しいな。

 

「あの、私もエネドラ様から会議に参加するように言われました」

「カラダンもか?まあ、エネドラにも考えがあるのだろうから、別に構わないぞ」

 会議の方もだいぶ大所帯になってきたな。寝てる奴も居るのだけど。

 

 風呂を出て、女性陣とバトンタッチ。話し込んでいたせいか、ちょっとのぼせてしまった。

 

・・・・・・

 

 女性陣が来るまでにレドリックと明日の部隊編成について意見交換。

 

「気になるのは新しく加わったケリー、マリー、ラファの三人ですね。

 迷宮のモンスターとの戦闘経験がほとんどないので、経験者のフォローが必要でしょう」

「そうだな。ヴィルマとイレーネの少なくともどちらか一人は参加させよう。

 その上で、全体のバランスが取れる者の加えるか。

 レドリックか、モニカとレイモンドのペアを参加させる事にしたい。

 治療役はラファしかいないから、ラファとヘルミーネは前後半双方に必須参加だ。

 ラファもヘルミーネが居た方が心強いだろう」

 凡そのチーム編成は決まった。

 

「ただ、午前中は新しく配備する装備品への慣らしが必要だから訓練にあてよう」

「そうですね。午前中に少し心構えを整えて、午後から臨んだ方が良いかもしれません」

 午前中はパワーレベリングしてラファ、ケリー、マリーの底上げをしてしまおう。

 

「迷宮探索は午後から前半、後半に分けて徐々に慣らしていこう。

 ヴィルマとイレーネをつけていれば、低階層ならモンスターに後れをとることもないだろう」

「そうですね。問題ないと思います」

 

「場所はクーラタルの迷宮の7階層くらいからでどうだろうか?スローラビットの階だ」

「そうですね。あまり低すぎる階層だと修練にならないし、熟練者がいるので良いと思います」

 決まりだな。

 

「レドリックは午後の前半、レイモンドは午後の後半の組に入ってもらう予定だ。

 特にケリー、マリー、ラファの迷宮での戦いについて二人で確認してくれ。

 レイモンドにも伝えておいてほしい。

 迷宮探索が終わって、何かあれば明日の会議で教えてほしい」

「承知しました。ご主人様」

 

「あと、レドリックはジョブを剣士から剣匠に変えておくから注意してくれ」

「了解です」

 

 パワーレベリングは午前はベイルで魔物部屋殲滅ツアーをしよう。

 ついでに盗賊も居たら、減らしておくか。あくまで攻撃を受けたら討伐という体裁で。

 午後の前半はクーラタル、後半はザビルの魔物部屋殲滅ツアーを行なうか。

 

 忘れないうちに明日の時間割をメモっておこう。

 

(午前)訓練/ベイル魔物部屋でパワーレベリング

①訓練:ラファ、ケリー、マリー、ヘルミーネ、レドリック(監督役)

②パワーレベリング(通常部隊):ラファ、ケリー、マリー

③パワーレベリング(小荷駄隊):レドリック、ヘルミーネ、カラダン、チクルス

 

(午後:前半)クーラタル迷宮探索/クーラタル魔物部屋でパワーレベリング

①迷宮探索:ヴィルマ、ケリー、マリー、ラファ、ヘルミーネ、レドリック(監督役)

②パワーレベリング(通常部隊):モニカ、レイモンド

③パワーレベリング(小荷駄隊):カラダン、チクルス

 

(午後:後半)クーラタル迷宮探索/ザビル魔物部屋でパワーレベリング

①迷宮探索:ヴィルマ、イレーネ、ラファ、ヘルミーネ、モニカ、レイモンド(監督役)

②パワーレベリング(通常部隊):ケリー、マリー

③パワーレベリング(小荷駄隊):レドリック、カラダン、チクルス

 

 あとは、せっかくだから拠点構築の部隊編成のスキルも確認しておくか。

 まだ使ったことがないのだよな。

 

 女性陣が集まってきたので、会議を開始。

 

「明日は、新しく我が家に加わったケリー、マリー、ラファ達の修練も兼ねて、

 迷宮探索を行なうつもりだ。

 明日、装備品を配るので、その慣らしを午前中に訓練で行なった後、

 午後からクーラタルの迷宮の7階層に挑戦してもらう。

 俺は迷宮探索には加わらないが、ヴィルマとイレーネには加わってもらうぞ」

「御館様、久々の迷宮、楽しみ」

 イレーネの反応はいつも通りだが、ヴィルマの反応が薄い。7階層だと退屈か?

 

「午後は前半、後半に組分けをして挑戦してもらう。

 午前の訓練の結果で最終判断するので、レドリックは新人の動きを確認しておいてくれ」

「承知しました。ご主人様」

 

「パーティは探索者のヘルミーネに組んでもらう予定だ。

 基本的には治療役のラファとヘルミーネは常時参加してもらい、

 その他のメンバを入れ替えながら挑戦してもらう。

 参加しないメンバはこの家で護衛任務についてもらう」

「明日、各人には私の方から伝えておきます」

 レドリックに会議に参加してもらうと、話が早くて良いな。

 

「俺は、ヘルミーネの部隊とは別に各迷宮の魔物部屋を殲滅して回る。

 ヘルミーネの部隊に参加しない人員は俺のパーティに入って経験を共有して育成予定だ」

「旦那様、くれぐれも無理をなさらないで下さい」

 エネドラ、分かっておりますとも。

 

「アミルは装備品の生成とチクルスは生薬生成をいつも通り、よろしく頼む」

「ご主人様、

 竜革のグローブを30個近く生成したので、空きスロット4つのものが一つ出来ました。

 イレーネさんのグローブと入れ替えて、

 これに状態異常耐性のモンスターカード融合をしたいと思いますが問題ないでしょうか?」

「ああ、問題ない。アミルの提案通り、進めてくれ」

 30個近く作らないと空きスロット4つが出来ないのか。

 

 なかなか大変だが、それでも数をこなせば達成できるということか。

 拠点構築のリーダ効果で確率は良くなっているはずだが、それでも30個か。

 素材がかなり必要だな。

 4つでなくても使い道はあるとはいえ、やはり空きスロットは多いに越したことはない。

 

「エネドラとカラダンは剣術指南所の子供達の受入に向けた準備の検討だ。

 もし、相談事があるようなら、会議終了後の相談の時にでも言ってくれ」

「承知しました。旦那様」

 この件は結構、急ピッチで進めなければならないので大変だ。

 

「旦那様、石鹸の試作はほぼ完了しました。

 既に我が家のお風呂で使って頂いておりますが特に問題はないと思われますので、

 人手を増やして量産したいと考えますがいかがでしょうか」

「そうだな。使ってみた感じでは十分な品質だと思う。

 ラファとヘルミーネに確認を取ってみて、

 これ以上改善のアイディアが出ないようなら量産を開始してくれ。

 人手は、留守番組の中から一人、二人追加すれば良いだろう。

 人の割り振りはエネドラに一任するので何か問題あれば相談してほしい」

 エネドラが頷いてくれたが、石鹸の方が一段落したら次の商品開発の話を切り出すか。

 

 量産のペースが落ち着いてから考えようか。

 

「他に無ければ、これで会議は終了とする」

 特に何もないかな。

 

「じゃあ、明日も引き続きよろしく頼むぞ」

 

 エネドラとカラダン以外とはおやすみの挨拶を交わして、会議は終了となった。

 

 残ったエネドラとカラダンの三人で、延長戦だ。

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