異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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079.奴隷のジョブ取得(アルマー配下)

「では、アルマーの所有している奴隷のジョブ取得の話をしようか」

「はい。よろしくお願いします」

 基本方針は既に決めてあるので、アルマーが納得できるかどうかだ。

 

「まず、アルマーの希望は三人の奴隷を

 探索者、剣士、僧侶の3つのジョブに就けることで良いのかな?」

「はい。その通りです」

 この三つのジョブを持たせるために奴隷を購入したはずだから、それはブレていないと。

 

「三人とも今のジョブは村人だったよな?

 探索者のジョブは村人であっても、迷宮に入ればジョブの取得条件を直ぐに満たす事になる。

 迷宮にその者を連れて入って、アルマーの所に戻ってくれば、

 あとは探索者ギルドに行って確認してもらえればよい」

「はい。分かりました」

 探索者ギルドに行ってジョブ取得したことがないので、実際のところはよく分からない。

 

 俺のジョブは冒険者ということで、アルマーに限らず多方面に伝えてあるが、この国の探索者ギルドのジョブ取得方法は知らないし、知らないことをわざわざ伝える気もない。

 

 万が一訊かれたら、俺の出身地の外国で取った時は簡単だったけど、この国でのルールは分からないと言ってしらばっくれるつもりだ。

 戦士ギルドに行った時のことを思えば、既に取得したジョブに対するギルド神殿を使った転職なのだろうけど、他にどんな事前の手続きやら確認があるのかは知らない。

 アルマーが探索者ジョブ取得について、どこまで知っているのか分からないが、藪蛇になるので確認しない。

 

「次に剣士だが、剣士のジョブ取得条件は

 村人のジョブで一定程度の経験を積んでいることと、

 モンスターを剣を使って倒したことがあることだ。

 剣士のジョブを希望している者が剣でモンスターを倒したことがあるのかを確認して、

 無いようなら、その者が剣でモンスターを倒せるように支援してやる」

「なるほど、それは訊いてみないと分からないですね」

 まあ、どちらでも大した問題はない。

 

 村人ジョブのLv5とモンスターを剣で倒した経験。それで事足りるはずだ。

 

「剣で倒させるのは、我が家にいる者でジョブ取得した際に経験済なので簡単にできる。

 村人のジョブでの経験の積み方はアルマーが経験したように、

 俺のパーティに入ってもらって、その者は迷宮の外に居てもらう。

 俺達が迷宮でモンスターを倒して経験を共有するので、

 それで経験を積んでもらうというやり方だ。

 その後は、剣士ギルドに行って条件を満たしているか確認してもらうという事だな」

「なるほど。村人ジョブの経験をどの程度積めば良いのかは、どうやって判断するのですか?」

 また、質問してほしくない質問を。

 

 ただ、ジョブ取得を目指す者にとっては、レベルの見えない世界でどこまで村人ジョブで頑張れば良いのかは切実な問題だよな。

 レベルを上げるためにモンスターと戦わなければならないので、必要以上に危険を冒したくないというのは理解できる話だ。

 何度も当該のギルドに行って確認するのは面倒だし、費用もかかるのだろうか?

 

「それはハッキリ言って勘だな。

 そもそも、今に至るまでに村人の経験をどの程度積んでいるのか分からないのだ。

 前に剣士のジョブを取得できた時の記憶と経験に基づいた勘としか言いようがない」

「そうなのですか」

 実際には俺にはレベルが見えるのだが、そんな事は言えない。

 

 申し訳ないが、曖昧な事を言って誤魔化すしかない。

 今まで村人でどの程度経験を積んだのかは、俺は村人のレベルを鑑定で見てある程度把握はできるが、実際には普通は分からないのだから。

 

「次に僧侶だが、僧侶のジョブの取得条件は、

 村人のジョブで一定程度の経験を積んでいることと、

 モンスターを素手で倒したことがあることだ。

 さすがに素手でモンスターを倒した事はないだろうから、

 その者が素手でモンスターを倒せるように支援してやる。

 これもタケダ家にいる者で既にやったことがあるから簡単だ。

 村人のジョブでの経験の積み方は剣士と同じだ。

 その後は、僧侶ギルドに行って条件を満たしているか確認してもらえば良い」

「簡単に素手で倒すと、おっしゃっていますが可能なのでしょうか?」

 これは余裕だ。ベイルの3階層のコボルトを今回も利用させてもらおう。

 

「問題ないな。俺も時々、素手でモンスター相手に戦っているから。

 もちろん、他の者のジョブ取得の支援のためだが。

 俺がある程度攻撃してモンスターを弱らせたところで、

 モンスターを身動きできないようにしてしまうので、

 あとはその者が一方的に素手で攻撃するだけだ。簡単な事だな」

「そうなのですか。想像もできない光景ですが」

 想像できたらスゴイよな。その時だけはコボルトが哀れに思えるくらいだ。

 

「それで、今日からパーティに入れてみるか?」

「そうですね。三人を連れてきますので、ちょっと待っていただけますか?」

 大した事ではないから直ぐに終わらせてしまいたい。

 

 とはいえ、経験値取得のブースト仕様は我が家以外の者には秘密にしたいので、慎重に対応する必要がある。

 

 アルマーが三人を連れて戻ってきた。

 

「剣でモンスターを倒したことはないそうです」

「そうか、まあ、これから倒せばよいので問題ないけどな」

 こっちでジョブ取得条件をコントロールするから全く問題ない。

 

「では、このラビが探索者で、ブラッドが剣士、クモンが僧侶の候補です」

「そうか分かった。三人とも俺のパーティに加わってくれ」

 パーティ編成の呪文を詠唱して、三人をパーティに加えた。

 

「この後、ラビには一度、迷宮に入ってもらおう。

 探索者ジョブの取得条件は直ぐに満たすことになるから、

 戻ってきたら好きな時に探索者ギルドに行ってくると良い。

 迷宮に入るのだから、さすがに装備品無しという訳にはいかないので装備品は貸してやる。

 行って直ぐに戻るだけなのだが、迷宮には盗賊が居る場合があるので油断は禁物だ」

「なるほど、分かりました」

 まあ、居ても速攻で倒すし、移動した小部屋に居ることはないと思うけど。

 

「では、装備品を取ってくるので、少し待っていてくれ」

「はい。分かりました。お手数をかけますが、よろしくお願いします」

 装備品を取ってくるというのは方便なのだけどね。

 

 三人に使ってもらう予定の装備品は既にアイテムボックスの中に収納されている。

 この後、ちょっとした偽装を行うので、装備品を取りにいくフリをしているだけ。

 

 食堂を出て、食糧庫の壁からワープでクーラタルの自宅にワープした。

 厨房に行くと、既にエネドラはベイルから戻っていた。

 

「ベイルの方は順調そうだったか?」

「はい。あれなら大丈夫でしょう。

 問題があるようなら、夜の会議でカラダンの方から何か言ってくるでしょう」

 会議の時に、こちらからも状況確認をしてみようか。

 

「ミモザは・・・・・・そこに居るか、ミモザ、俺のパーティに入ってくれ」

 パーティ編成の詠唱をして、ミモザにパーティに加入してもらった。

 

「フラウスがどこに居るか分かるか?」

「多分、裏庭で訓練をしていると思います」

 

「そうかありがとう。この後、少しだけ迷宮に行ってくる。昼食までには戻ると思う」

「はい。無理をなさらないでくださいね、旦那様」

 ちょっと魔物部屋に行ってくるだけだから、無理はしないつもりだ。

 

 裏庭に行き、フラウスをパーティに加えて、ベイルの22階層の中間部屋にワープした。

 魔物部屋を索敵で確認すると、この前殲滅したせいか、少しだけ数が少ないが経験値20倍なら問題ないだろう。

 

 魔物部屋のモンスターを殲滅して、ドロップアイテムを急いで拾う。

 孤児院の食糧庫の壁にゲートを繋いでワープで移動した。

 

 

「待たせたな。じゃあ、装備品を出すから選んでくれ」

 アイテムボックスから事前に選んでおいた装備品を取り出した。

 

 銅の剣、鉄の剣、革の鎧、革の帽子、革のグローブ、革の靴などを数点並べた。

 

 既に三人とも先程の魔物部屋殲滅の経験が共有されたので、村人Lv5を超えている。

 元々の村人ジョブもLv1ではなく、Lv2とかLv3だったからな。

 探索者候補の者は村人のレベルを上げる必要はなかったのだが、ついでのサービスだ。

 

 探索者志望のラビが選び終えて装備したので、二人で迷宮に行くか。

 

「じゃあ、ラビと一緒に迷宮に行ってくるので待っていてくれ」

「はい。気をつけて下さいね」

 一番盗賊が居る可能性があるのは迷宮の入口だったりする。

 

 さすがに外部の者と迷宮にワープで直接飛ぶ訳にはいかない。

 食糧庫の壁からベイルの迷宮の入口の木陰にゲートを繋いで、俺とラビで移動した。

 直後に索敵で確認したが、入口の近くには赤い点は見当たらなかった。

 

 入口に向かったが、探索者は特に配備されていないようだ。

 1階層に二人で入り、ラビに探索者のジョブが増えたのを確認して直ぐに迷宮の外に出た。

 

 迷宮を出たら適当な木陰にゲートを開いて、食糧庫の壁に移動し、食堂に戻った。

 

「アルマー、待たせたな。装備品は選び終わったか?」

「はい。二人とも選び終わりました」

 余った装備品をアイテムボックスに入れていく。

 

「ラビはこれで探索者のジョブが取得できるはずだ。

 彼は既に俺のパーティからは外れている。

 時間がある時に探索者ギルドに行ってジョブ取得をしてみてくれ」

「そうですか。ありがとうございました」

 アルマーとラビが俺に頭を下げた。

 

 これで、後は二人にモンスターを倒させるだけか。

 

「では、ブラッドとクモンと一緒に迷宮に行ってくる」

「はい。よろしくお願いします」

 食堂を出て、再び、食糧庫の壁からベイルの迷宮の入口の近くの木陰にワープした。

 

 先程確認した時と状況は変わっていないな。

 盗賊もいなければ、入口に探索者も不在だ。

 

 迷宮の入口から3階層へと移動。近くに探索している者はいないようだ。

 こんな時間だから、コボルトハンター達も奥まで行ってるのだろうか。

 

 まずはコボルトを探すか。

 ワープが使えないから地道に探すしかないな。

 索敵でまずは近場の赤い点から確認するか。

 

 一回目の遭遇はグリーンキャタピラー一匹か。

 

「俺の前には絶対出るな。二人ともずっと後ろに居てくれ」

 索敵で近くに他のモンスターが居ない事は確認済だ。

 

 俺一人で倒したが、タケダ家以外の者と迷宮に入ると面倒臭いな。

 

 二回目はニードルウッド一匹とコボルト一匹。これは当たりだな。

 

 同じように二人に後方で控えていてもらって、ニードルウッドだけを倒した。

 コボルトはとにかく殺さないようにしながら、二人の方にトレインしていった。

 

「俺が動けなくするから、その場所を動かないでくれ」

 二人に注意喚起をして、俺はコボルトと対峙する。

 

 徐々に後ろに下がりながら、近づいてきたコボルトを転倒させて武器を奪い、俯せの状態で両手を掴んで地面に動けないようにした。

 

「俺が押さえつけてるから、コボルトの後ろに回って、ブラッドはその剣でひたすら斬りつけろ」

「は、はい・・・・・・」

 コボルトは俯せで立ち上がることもできずに足をバタバタさせている。

 

 なんか、いつぞやの夜のイレーネを思い出した。

 

 ブラッドはビビりながらも、手に持った銅の剣でひたすら斬りつける。

 さすがに銅の剣ではなかなかダメージが入らないが、俺の複数ジョブの効果もあって、思っていたよりは早く煙に変えることができた。

 

「これで、ブラッドは剣士のジョブを取得する条件の一つは達成できたはずだ」

「はい。ありがとうございます」

 緊張で汗びっしょりになったブラッドが紅潮した笑顔で答えた。

 

「次は、クモンの方だ。コボルトを探さなければならないので、頑張ろう」

「はい」

 クモンの方も緊張の表情だ。まあ、慣れてないと迷宮は普通に怖いよな。

 

 次の遭遇はコボルトがいなかったので、俺が全滅させた。

 

 その次は・・・・・・コボルト二匹か。当たりだ。

 

「俺がコボルト一匹を引き付けてくるので、そこで待っていてくれ」

「はい、分かりました」

 武器をアイテムボックスに仕舞って、二匹に向かってゆっくりと歩き出した。

 

 コボルト二匹に近づき、まずは片方のコボルトの足を引っかけて地面に転ばす。

 

 もう一方のコボルトの振るう剣を躱して、右の拳をボディーにお見舞いした。

 苦悶の表情を浮かべたかは分からないが、近づいてきたので、今度は左のフックを叩きこむ。

 まだ、倒れないか。

 

 もう一匹のコボルトが近づいてきたので、もう一度足をかけて転ばした。

 

 ダメージを与えたコボルトが剣を振ってきたので躱し、カウンターでアッパーを顎に入れた。

 これで、煙に変わったか。

 

 さて、本命の相手だ。

 

 転んでいたコボルトが起き上がってきたので、剣を振りかぶる前に、ボディーに一発。

 棒立ちになったところに右フックを拳で入れた。

 これで、かなり瀕死に近づいただろう。

 

 ゆっくりとコボルトを引き連れながら、二人の居る所まで後退した。

 

「俺が地面に倒すから、二人はそこを動かないでくれよ」

 二人の返事を待たずに、近づいてきたコボルトを見据えた。

 

 振ってきた剣を躱して、足をかけてコボルトを地面に転ばす。

 しかし、いつも思うけど、面白いように足技が決まるよな。

 モンスターに武道経験有無とか言っても仕方ないけど、もう少し工夫してもらいたい。

 

 コボルトを俯せにしたまま、ブラッドの時と同じように両手を掴んで動けないようにした。

 また、足をバタバタとしているが、立ち上がることはもうできない。

 

「クモン、コボルトの後ろの方に回ってくれ」

「は、はい・・・・・・」

 コボルトの足が突き出た方にクモンが回る。

 

「クモン、そこから飛び上がって、コボルトの背中を踏ん付けろ」

「ええぇ・・・・・・そんなことして大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だ。俺が押さえつけているから背中を踏み放題だ。遠慮せず、バンバン踏み付けろ。

 なるべく跳んで、体重を使って両足で踏み付けろ!」

「わ、分かりました。やってみます・・・・・・」

 普通は腕よりも脚の方が力もあるし、体重を乗せる分だけ攻撃力は上のはずだ。

 

 クモンは必死の表情で、コボルトの背中の上でジャンプする。

 たまに、バランスを崩して、コボルトの背中の横にたたらを踏むようになるが、必死に跳んで踏み付ける。

 

 何度も必死に踏み付けているうちに、煙となってコボルトは消えた。

 急にコボルトが消えたので、クモンは勢いよく転んでしまった。

 慌てて、僧侶の手当を無詠唱で数回かけた。

 

 まあ、足をくじいたりしてなさそうだし、大丈夫だろう。

 

「お疲れ様。クモンは僧侶のジョブ取得条件の一つを達成できたはずだ」

「はい。ありがとうございます。こんなやり方を取るのですね」

 いや、普通の者がどうやってるか知らないよ。

 

 原作のヒロインのようにボクサーのような振る舞いをこいつらに求めるのは無理だろう。

 俺なりのやり方だよ。

 

 3階層の小部屋まで戻って、三人で迷宮の外に出た。

 近くの木陰から食糧庫の壁に移動して、アルマーの居る食堂に戻った。

 

「二人の剣士と僧侶のジョブ取得条件、剣で倒す、素手で倒すという条件を満たしてきた。

 あとは村人の経験を積むために、俺のパーティが迷宮でモンスターを倒せばよいだけだ」

「はい、ありがとうございます」

 アルマーと三人の顔にはなんとも言えない達成感が。

 

「この後、午後から俺のパーティは迷宮探索に行くので、

 夕方までには多分、二人の村人ジョブがかなり経験を積んでいると思う。

 明日以降であれば、各々のギルドに行けば希望のジョブが取れると思うぞ」

「そんなに簡単に取れるのですか。ちょっとビックリです」

 まあ、現時点で二人は剣士と僧侶のジョブが待機ジョブにあるのは確認済だ。

 

 今、当該のギルドに行ってもジョブ取得はできてしまうだろう。

 午後に、我が家のメンバをパワーレベリングするので、そこで二人の剣士と僧侶のジョブをパワーレベリングしても良いのだが、万が一バレると拙いので村人のままにしておく。

 二人の村人のレベルが上がってしまうが、仕方ないだろう。

 

「では、俺は迷宮に行ってくるので、ナナイによろしくな」

「はい。お気を付けください」

 本当は昼食を食べに帰るのだ。嘘ついて申し訳ない。

 

 でも、この後にパワーレベリングして、村人ジョブのレベルを上げておいてやるから勘弁な。

 小荷駄隊の方に入れておくから、爆速成長とまではいかないし、村人のレベルが上がるメリットは少ないけど。

 

 食糧庫の壁から、自宅にワープで戻った。

 

・・・・・・

 

 昼食を終えて、エネドラとレイモンドの二人と玄関に集合した。

 エネドラはこれから、旧知の商人との商談でレイモンドはその護衛につく予定。

 俺は午後からルークと諸々の商談だ。

 

「取引の準備は大丈夫か?」

「はい。アミルさんに融合していただいた激情の鋼鉄剣も収納しましたし、

 モンスターカードと革の個数を記したメモも持ちました。お任せください」

 エネドラ単独という意味では、初のスキル融合装備品の取引だ。

 

 いつも通りのエネドラなら、心配はないはず。

 

 三人で商人ギルドの壁に移動して、それぞれ受付で希望する面会者への用向きを伝えた。

 二人と別れて、ギルド職員の案内で商談室に案内される。

 

 さほど待たずにルークはやってきた。

 今日はルーク一人で付き添いの武器商人の者はいないようだ。こっちも一人だけど。

 

 挨拶を交わして、まずは落札したカードの件から片づける。

 

 コボルトが3枚、つぼ式食虫植物が1枚、はさみ式食虫植物が1枚だ。

 コボルトのカードがかなり減っていたから、ちょっとだけ嬉しい。

 

「全てもらおう。オークションでの依頼は継続で頼む」

「承知しました」

 ルークに落札代金と枚数分の手数料を支払った。

 

「それで、次に取引の話なのだが、

 激情の鋼鉄剣がスキル融合できたので、

 もう少しグレードの高い武器が欲しいから等価交換の取引きに出そうかと思っている。

 ルークの方で取引に応じられるのなら、検討してみてほしい」

「激情の鋼鉄剣ですか。比較的人気のある武器ですから可能だと思います。

 希望の素材やカードはどうされますか?」

 鋼鉄だけど人気なのか。

 

「素材は竜革を。

 モンスターカードはアリ、灌木、羊、つぼ式食虫植物、はさみ式食虫植物を希望したい。

 枚数は3枚から5枚のまとまったものを頼みたい」

「なるほど。我が家にある在庫のカードを調べてみましょう」

 あっさりと通ったな。後は提案されるカードを待つだけか。

 

「理解しているとは思うが、サイクロプスの落札価格に見合う枚数のカードを希望したい。

 自分の希望した五種類のカードはかなり落札金額にバラつきがあるからな」

「確かに羊とサイクロプスでは金額の差があり過ぎます。考慮するようにいたします」

 さすが、ルークは話が早くて助かるな。

 

「では、持ち帰って交換するカードの候補が決まりましたら伝言させていただきますので、

 よろしくお願いいたします」

「ああ、こちらこそよろしく頼む」

 これで必須の商談は終わったか。

 

 今回は鋼鉄製を取引に使ったが、次回も鋼鉄製を使う予定だ。

 次回の取引は少し捻りを入れて仕掛けてみたいと思うが、どう反応するか楽しみだな。

 まだ自分の頭の中だけなので、エネドラやアミルと相談してブラッシュアップしよう。

 

 

「あと、参考までに教えてほしいのだが、

 ルークの商会は装備品やモンスターカード以外の売買はどの程度やっているのだろうか?」

「・・・・・・と言いますと?」

 遠回しに言い過ぎたか。

 

「そもそも、ルークと繋がりができたのは、ベイルのビッカーからの紹介だった。

 あの時は装備品ではなく、鏡の取引だったではないか。

 そういった商品の商談という意味だ」

「確かに初めの取引は鏡でしたね。

 装備品以外での売買はもちろんありますが、商品次第といったところです。

 特にどの種類の商品に力を入れているということはございません」

 うーん、やんわりと躱されたというか、手札を出さないと交渉はしないということか。

 

「そうか、また鏡のような商品を手に入れたら相談に乗ってもらうかもしれないということだな」

「なるほど、その時はまた宜しくお願いいたします」

 ルークも一つの商流の候補と考えておくか。

 

 どの商品をどの商流に使うかはエネドラ達と相談して決めなければな。

 ルークと別れて商人ギルドを後にした。

 

 次はゴッゼル士爵の所に行きたいが、ワープ先にベイルの自宅を選択するのは止めるか。

 午前中に受け入れた子供達の対応でバタバタしているだろうからな。

 

 ベイルの冒険者ギルドにワープで移動した。

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