異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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089.規格外

 エネドラと自宅に戻ると、ルークから伝言があったそうだ。

 等価交換の取引を持ち掛けたから、その検討結果の通知だろうな。

 

 奴隷商館巡りもしたいが、その前にルークの所に行ってくるか。

 

「エネドラ、俺は昼食が終わったら、ルークの所に行ってくる。

 今回は大した取引ではないから、俺一人で行こうと思っている。

 終わったら、そのまま奴隷商館巡りをする予定だ」

「はい、旦那様」

 今回の取引は前座みたいなものだから、淡々とこなそう。次回は少し仕掛けてみたい。

 

 二階に上がり、作業部屋に居るアミルに声をかけた。

 ゴッゼル家とアイリス家から入手したそれなりの素材と大量のモンスターカードの話を伝えた。

 合わせてアイリス家に納品する防具の件、特にアイリス家用に新たに生成する装備には彼らの家紋を入れることをお願いした。

 

 アミルの作業量がかなり増えてきたな。

 素材は無くなったり、急に入手できたりするから作業の平準化がなかなか難しい。

 

「アミル、ドワーフの鍛冶師を一人追加しようと考えているのだが、どう思う?

 護衛部隊で前衛もこなせる者で、その者が鍛冶師を希望することが条件だ」

「そうですね。別に問題ないと思います」

 ハーレムメンバに加える気はないが、女性限定だ。

 

 ドワーフの男をアミルに近づける訳にはいかない。

 

「アミルの負担軽減と、アミルの後輩を作ろうかと思ってな。頼りにしているぞ、アミル」

「は、はい。先輩とか後輩とかよく分かりませんが、頑張ります」

 彼女が頼りないから追加する訳ではないことを強調したつもりだが、伝わっただろうか。

 

 すぐには、見つかるとは思えないけどな。

 

・・・・・・

 

 食事を終えてルークとの商談。応接室で待っていると、今日は付き人と二人で入室してきた。

 挨拶を終えて、まずは現物を提示した。

 隣の付き人の武器商人が武器鑑定で確認し、激情の鋼鉄剣であることを確認。

 

「こちらが、我々の提案内容となります」

 

(素材)竜革34

(モンスターカード)コボルト10、アリ4、灌木5、羊4

 

 こちらの希望通りか。サイクロプスとの価格差も調整されているし、文句はないな。

 

「分かった。その提案で問題ない。武器鑑定もされているので、このまま取引成立にしよう」

「はい。ありがとうございます」

 ルークから見えているのは、我が家の氷山の一角だが、そのうち何か気取られるかもな。

 

 その前に、我が家を強力な陣営にしてしまいたい。

 

「今日の取引に附帯契約を追加させていただくことはできますでしょうか?」

「今回は、ちょっと厳しいな。次回は考えたいと思っている」

 ルークは少しだけ残念そうな表情を見せた。珍しいな、感情を表に出すのは。

 

「では、引き続きモンスターカードの落札の件を頼みたい」

「はい。承知いたしました」

 こう言っておけば、落札通知にかこつけて次の取引の催促が来るだろう。

 

 ルークと別れ、商人ギルドを後にした。

 

 

 それにしても今日だけでモンスターカードが60枚以上、入手できたことになる。

 

 瞬間的とはいえ、大きな商家並のカードの扱いになったかもしれない。

 ちょっと感覚が麻痺しそうだ。

 普通は成功率が1/10だが我が家では100%成功なので、それなりの戦力増強になる。

 

 60枚あっても、半分はコボルトだから融合数は30か。

 我が家では空きスロット4つを標準装備にするから、装備品にして、7.5個。

 身代わりのミサンガを除けば、通常は一人につき武器1つ防具4つだから、単純計算では1.5人分の装備品にしかならない。

 まだまだ、先は遠いな。

 

 それでも、護衛部隊の武器に絞って昨晩検討した重要度の高いスキルを融合させれば、護衛部隊の大きな強化にはなるだろう。

 引き続き、貪欲にモンスターカードを求めていこう。

 

 

 

 

 久々にアランの商館に行き、ノックしたドアから出てきた護衛に用向きを伝えた。

 

 応接室に通され、待つこと5分程度でアランがやってきた。

 本当に久しぶりな気がする。

 

「前衛をこなせる戦闘奴隷を求めている。

 何か尖った特徴があると考えやすいので、紹介してもらえないだろうか?」

「尖った特徴ですか・・・・・・分かりました。準備いたしますので、少々お待ち下さい。

 三人ほど、心当たりがあります」

 そんなに簡単に出てくるのか、さすがに老舗の商館。アルマーの所とは違うな。

 

 やがて、アランが三人の女性を連れてきた。俺が女性しか契約しないと思っているな。

 

(鑑定)

 

 

コトノ(人間族 女 16才 奴隷)

探索者Lv2

 

ミラ(ドワーフ族 ♀ 15才 奴隷)

戦士Lv2

 

マヤ(狼人族 ♀ 15才 奴隷)

剣士Lv3

 

 

 ん?んん?なにか遠近感がおかしい?

 

 これは・・・・・・ドラ●もんのガリバート●ネル?

 

 一番右の小柄な人間族の女性はアミルの面談の時にも居たような・・・・・・記憶違いか?

 

 真ん中の女性は妙に耳が細くて長い・・・・・・というかドワーフにしては全体的に長い。

 

 一番左の狼人族の女性は背が凄く高い?

 

 視線を右から左に移すと、人間が段階的に大きくなっていく錯覚に陥るぞ。なんだこれ?

 

「この三人が、前衛を任せられるような戦力になり得るというのが、そちらの見立てか?」

「えっ、いえ・・・・・・そういう訳では・・・・・・」

 なら、どういう訳で推薦しているのだ?歯切れが悪くてアランらしくないな。

 

「では、どのような理由で薦めているのだろうか?」

「そうですね。尖った特徴という意味での推薦です」

 尖っているって・・・・・・確かに真ん中のミラという娘はドワーフにしては、尖ってるというか背が高いというか。

 

 別に彼女はひょろ長い訳ではなく、人間族サイズで言えば普通よりやや背が高い程度だ。

 痩せている訳でもない。普通と言えば普通だ。人間族ならな。

 ただ、ドワーフというのはこんな感じ・・・・・・という先入観で見ると驚いてしまうだけだ。

 

 そして、原作ヒロインで表現されていた耳が細い・・・・・・のは細いな。

 今の俺ならアミルと比べることができるから。

 

 そして、右の人間族の女性・・・・・・コトノは背が低いというか小さい。

 まあ、可愛いと言えば可愛いのだが、戦闘には不向きではないだろうか。

 ひょっとしたら、俊敏な動きで暗殺者向きという可能性もなくはないが。

 

 左側の狼人族の女性・・・・・・マヤは種族云々を抜きにして、女性にしてはかなり背が高い。

 俺よりは、やや低いだろうが、我が家の俺以外の者と比べても誰よりも背が高いだろう。

 

「その尖った特徴は戦闘にも生きるのか?」

「それはなんとも・・・・・・」

 いやいや、戦闘に向いた尖った特徴じゃなければ意味なくない?

 

 ひょろいけど腕がすごく長いからリーチを生かした戦闘ができるとか、体重が二人分あって、動きは遅いけどタンク職には適任とかさぁ。

 まあ、頭の中で考えてるだけじゃダメだな。

 

「では、三人と模擬戦をさせてもらえるだろうか?」

「ひぃ・・・・・・」

 コトノという娘はあからさまに怯えた表情になった。これはリタイヤか。

 

「戦闘に向いてるのは、真ん中と左の娘だろうか?」

「そうですね。そうなりますね」

 おいおい、前衛に向いてない娘を推薦しないでよ。

 

 なんか今日のアランはおかしいな。

 

「二人になってしまったので、二人の模擬戦の様子を見せてもらえないだろうか?」

「承知しました。準備をしますので、少々お待ち下さい」

 俺が相手をしても良いけど、二人が戦っている様子を見るのも良いだろう。

 

 

・・・・・・

 

 アランに連れられて、中庭のような場所に移動。

 

「二人とも得意な武器は何か?」

「片手剣でも両手剣でも両方いけます!」

 マヤが返事をしているが、ミラの方も頷いている。

 

 ミラは槍ではないのか。

 ドワーフ娘というと槍のイメージをどうしても持ってしまうのだが。

 

「では、二人とも初めに片手剣で模擬戦をしてもらえるか?」

「はい、分かりました」

 今度はミラが答えて、二人とも木製の武器を確認している。

 

 鑑定で見る限りは木の棒ではなく、木の剣であったり木刀だから装備品ということだな。

 本気で打ち合うと危ないやつだ。

 

 やがて、木刀と木の盾を選び終わったようで、二人が対峙した。

 どちらも真剣な表情だ。遊びではないという雰囲気だな。

 

 対峙した二人が距離を詰めて、打ち合いが始まった。

 

(ガン・・・・・・ガキーン・・・・・・ゴッ・・・・・・)

 

 なんだか、全然、軽い音ではなく、こん棒で殴り合っているような音だ。

 そして、ほとんど相手の盾に防がれている。

 示し合わせた演武のようなものではないのに。

 全力で叩きつけて、それを盾で受けたり、受け流したりしている。

 

 

 それにしても、狼人族のマヤの方は完全にベタ足だな。

 種族のイメージ的にはもう少し軽やかにステップを踏むというか、踵を着けずに躱すイメージだったのだが。

 地に足をつけて、しっかりと剣を振り抜いているし、盾で受け止めている。

 あれはあれで、攻撃の破壊力があるのだろうが、いかんせん木刀だからダメージは入らない。

 入ったら入ったで危ないのだが、ダメージが入らないので、お互いに力任せに延々と振り抜いているな。

 

 これ以上、見ても仕方ないか。

 

「分かった。もう、戦うのを止めてくれ!」

 二人の顔にホッとしたような表情が見て取れた。

 

 いつまでやっても、決着がつかなかったかもしれない。体力が尽きた方が負けとか。

 

「では、次は両手剣・・・・・・木の剣で模擬戦をやってもらえるか」

「はい。分かりました」

 

 今度は両手剣なので、盾のない状態での攻防が見られる。

 二人はどんな戦いを見せてくれるのか。

 

 

 先程と同様に対峙した二人が距離を詰めて、打ち合いが始まった。

 

(ドン・・・・・ドガッ・・・・・・ゴッ・・・・・・)

 

「戦うのを止めろ!」

 

 さっきと全く変わらない全力での打ち込みを、盾のない状態でやろうとしやがった。

 木製で殺傷能力は低いとはいえ装備品だし、命じたのは俺だから焦ったぞ。

 

 対人戦だけでなく、盾なしの状態でモンスターと戦うのもダメかもしれない。

 盾が使えるのだから、防御を全く考えていない訳ではないのだろうが。

 手にしたものを全力で扱うのか?・・・・・・潔いというか、思いっきりが良過ぎるというか。

 

 しかし、何故、二人とも同じような行動を取るのだろうか。

 種族も違うのだし・・・・・・剣の師匠が同じとか?・・・・・・まさかそんな事はないか。

 

「二人の戦い方はだいたい分かった。次は個別に面談をさせてほしい。

 さきほどの人間族の娘の面談は不要だ」

「分かりました」

 とりあえずは、ミラだけでも鍛冶師になる意思確認をしておきたい。

 

・・・・・・

 

「父親が盗賊の襲撃を受けてケガをするまでは、鍛冶師に憧れていました。

 ケガを治すために私が売られることになり、

 その道を断念して戦士で生きていくことにしたのです」

 この世界のドワーフ娘の家族は盗賊の襲撃を受けるのがテンプレなのだろうか。

 

 いや、それだけ盗賊が蔓延っているから、ありふれた話なのかもしれない。

 

「君のさきほど見せた戦い方は、戦士の訓練で身に着けたものなのか?」

「いえ、違います。

 鍛冶師になった先輩から聞いた話では、

 とにかく武器を思いっ切り振り回せば鍛冶師になれると言われたのです」

 そんな無茶苦茶な・・・・・・でもないのか。

 

 無茶苦茶振り回していれば、そのうち二匹にまとめて攻撃が当たることもある?・・・・・・のか。

 

「君は、今でも鍛冶師になれるのなら、なりたいのか?」

「はい。なれるものならなりたいです。

 でも、鍛冶師の奴隷は酷い目に遭うとも言われたので、そこは不安です」

 それは、どうにでもなるか。

 

「他に不安なことはあるだろうか?」

「その・・・・・・私は結構食べる方なので、

 穀潰しだって子供の頃から言われていて、それが不安と言えば不安です」

 一人が食べる量なんてたかが知れているから、それも問題ないか。

 

「ちなみに、どれほど食べるのか?」

「普通の人の四・・・・・・倍ぐらいかもしれません」

 ん?四倍なのか、倍なのか、どっちだ?四倍だとフードバトルに出られるレベルでは?

 

 タケダ家には今20人居て、21人分が22人分になろうが、24人分になろうが誤差か。

 たくさん食べたから大きく育ったのかな。

 確かにドワーフとして見たら、この身長は目立つかもしれないけど、人間族と思えば普通よりやや背が高いだけだから問題はないな。

 別に太っている訳でもないし、むしろ出るところが出て均整の取れた体とも言えるだろう。

 

 耳が細くて長いから、寧ろそちらの方が目立つのかもしれない。

 何か帽子とか被せれば目立たなくできるかもな。

 

「先程の戦いを見て思ったのだが・・・・・・気を悪くしないでもらいたいのだが、

 君は『不器用』と言われたことはあるか?」

「『不器用』と言われたことはなかったと思います、

 むしろ手先は器用な方なので、こんなものを暇な時に作っていたりします」

 いや、器用・不器用は性格的な意味で言ったのだが。

 

 ん?ミラの掌に載っているのは・・・・・・これは木彫りの人形?

 木製の精巧な人形・・・・・・コボルトか・・・・・・こんなものを作れるのか、面白いな。

 

 実はフィギュアおたくとか。この世界にフィギュアなんて概念はないか。職人だな。

 これだけ上手いと、ワンチャンで新しいジョブが生えてきたりしないだろうか。

 木工士とか、工芸士とか・・・・・・まあ、鍛冶師になってくれれば別に良いか。

 

「分かった。ありがとう。前向きに検討させてもらおう」

「はい。よろしくお願いいたします」

 

 ミラに退出してもらって、入れ替わりにマヤとの面談。

 

 

 マヤに奴隷になった経緯や、剣士としての戦い方の由来を質問した。

 

「父親が迷宮で命を落としたので、私が売られることになりました。

 私には獣戦士としての才能がないと皆から言われて、剣士を志すようになりました。

 この体の大きさもあって、同じ村の仲間のように身軽な回避や素早い動きができなくて、

 とにかく剣を全力で振るったり、盾で受け止めることで役に立てるはずだと思ったのです」

 迷宮で命の落とす親の話もありふれた話なのか、厳しい世界だな。

 

 そして、俊敏な動きができないから獣戦士の道を諦めて剣士か。

 マヤの方は・・・・・・じゃあ俺が獣戦士にしてやろう等と安請け合いはできない。

 実際、この体格では向いていないのも事実かもしれないし。

 

 だが、剣士としては別に悪くないかもしれない。

 この体のサイズが別に前衛として悪い訳でもないし、狼人族だからって避けタンクや軽戦士以外は価値がないという話でもないはずだ。

 俺だって元の世界では体が大きい方だったから、服のサイズを選ぶのに苦労したけど、別に会社員として困ったことはなかったし。

 

 きっと、この娘も問題ないはずだ。

 

 

「君が我が家の奴隷になるとした場合、不安なことはあるだろうか?」

「その・・・・・・私は結構食べる方なので、それが不安と言えば不安です」

 似たようなセリフが繰り返されているぞ。同じ事を言えと奴隷教育がされているのだろうか。

 

「ちなみに、どれほど食べるのか?」

「普通の人の三・・・・・・四・・・・・・倍ぐらいかもしれません」

 今度は倍ということはなくて、三倍か四倍なのか。

 

 20人から22人に増えて、28人分・・・・・・約3割アップか。

 あれっ、3割引とか3割アップって誤差のうちだったっけ?

 

 そして、この娘もたくさん食べたから大きく育ったのだろうか。

 マヤだって、竜人族から見れば小さな方だ。ほぼ標準と言っても過言ではないだろう。

 先程から、徐々に物差しの基準がズレている気がしなくもないが。

 

 ある意味尖った特徴があるとも言えるから、前衛として育成してみるか。

 二人とも15才で発展途上と思えば、うちの連中と切磋琢磨すれば花開くかもしれない。

 

 今以上に食べるようになったら・・・・・・まあ、うちの財力なら余裕か。

 

「分かった。ありがとう。前向きに検討させてもらうよ」

「はい。是非、よろしくお願いいたします」

 

 それにしても、この二人・・・・・・面談しなかった娘も含めれば三人か・・・・・・この娘達を薦めるアランの意図が気になるな。

 なにか違和感があるぞ。

 

 

 マヤが立ち去り、アランが入室してきた。

 さて、条件闘争か。

 

「さきほどの二人、ミラとマヤと奴隷契約をした場合の値段をそれぞれ教えてくれ」

「二人ともそれぞれ12万ナールとなります」

 えっ、それって安過ぎない?

 

 原作ヒロインが値引き前で25万ナール、うちのアミルが18万ナールだったよな。

 イレーネとヴィルマも17、18万ナールだったかな。少し訳アリ的な扱いだったが。

 ブラヒム語が普通にしゃべれて、レベルは低いけど戦士と剣士のジョブも得ているのに。

 

「値段の理由を訊いても良いだろうか?」

「ミラは年齢の割には耳が細くて、大食漢のため、

 そして性奴隷に拒否の意思表示ですので値段を引かせてもらっています」

 まあ、レベルが低いから、育成するまでに食費がかかるということか。

 

 ハーレム要員としては考えてないから、それも問題なしと。

 

「マヤは獣戦士になれる素質はなく、大食漢である事、性奴隷拒否なので値引きしました」

 ミラと同じってことか。

 

「値段の理由は理解した。それとは別に、この二人を薦める理由が腑に落ちない。

 俺が希望した尖った特徴・・・・・・以外に別の意図を感じるのだが、教えてもらえないだろうか?」

 

 

「それは・・・・・・タケダ様が訳アリの奴隷を集めている・・・・・・と伺ったからです」

 なんだって?それはどこからの情報だよ!

 

「誰から、そのような情報を得たのだろうか?」

「帝都の奴隷商人です。タケダ様に紹介状をお出しした商館の当主です」

 それって、ヴィルマを購入した奴隷商館の店主・・・・・・あいつか。

 

 確かに、ヴィルマは訳アリって扱いだったか。

 それにしても、好んで『訳アリ』を集めているのではないぞ。

 集めた結果で、『訳アリ』が少し多くなっただけなのに。

 

 アミル、エネドラ、チクルス、ヴィルマ、イレーネ、レドリック、ポーラ・・・・・・あれっ・・・・・・アミル以外は『訳アリ』ばっかりか?

 無駄な検証は止めよう。この検証の先に得るものは無い気がする。

 

 二人合わせて24万ナール・・・・・・奴隷手続きと合わせても、17万ナールくらいか。

 

「最後に我が家の者と相談してから最終決断を下すので、暫く待ってほしい。

 一両日中には、ここに来て、結果を伝えさせてもらう」

「左様ですか。お待ちしております」

 アランに丁寧な挨拶をされて、商館を後にした。

 

 多分、エネドラに伝えたら即座に了承だろうな。

 

・・・・・・

 

「では、今からベイルに行って、奴隷契約と死後相続の手続きをいたしましょう」

 

 やっぱり、即決か。

 

「アミルに事前に説明しておきたいから、少しだけ待っていてくれるか?」

「はい。では、私は夕食を二人分・・・・・・八人分追加するように伝えておきます」

 なんだか、凄いことになってきた気がするのは気のせいだろうか。

 

 別に八人増える訳ではないのだが。

 

・・・・・・

 

「アミル、ドワーフの女性を迎えることになった。アミルより一つ年下になる。

 本人の希望では鍛冶師になりたがっているが、まだ鍛冶師になれることは伝えていない」

「分かりました。では、私が指導しますのでお任せ下さい」

 おっ、鍛冶師を一人加えることには前向きに対応してくれそうだ。良かった。

 

「鍛冶師になれることは私から伝えますので、ご主人様は何も伝えないようにお願いします」

「おっ、おう、任せるな」

 何か気合のようなものを感じられるのだが。まあ、積極的なのは良い事か。

 

・・・・・・

 

 エネドラとアランの商館に行き、定型通りの説明と手続きが行われた。

 二人とも、死後相続で相続先はエネドラに設定。

 

 手続きの手数料込みで、二人合わせて16万9400ナールを支払った。

 アランに礼を言って、四人でクーラタルへ移動。

 

「では、私の方で二人にタケダ家の説明と風呂の手配をしておきます。

 部屋の手配や掃除も家に居るメンバで分担しますので、

 旦那様は心配なさる必要はございません」

「そうか、では迷宮に行ってくる」

 家具類も予備があるし、カラダンとピコ達がベイルに移ったので部屋も空いている。

 

 エネドラの差配に任せても大丈夫だろう。

 

「はい。お気を付けていってらっしゃいませ」

「ああ、悪いが後は任せた」

 俺がいると邪魔になりそうだから、食堂から退散して玄関に向かった。

 

 とんとん拍子で二人を加えてしまったが、方針通りだから問題ないはずだ。

 二人のレベリングは、夜に皆とも相談してからにしよう。

 

 時間を少し使い過ぎたのでターレマラソンは今日はパスして、魔物部屋殲滅のパワーレベリングだけにするか。

 ベイルの20階層にワープした。




お読みいただき、ありがとうございました。
頂いた感想の中に、「鍛冶師の二人目が居ても良いのでは?」というものがあり、最近のアミルの仕事量を考慮してミラの登場になりました。
登場させると決めると、即座に登場できてしまうのはご都合主義の二次創作作品の良いところ。

いせはれのドワーフの標準的な女性イメージが原作ヒロインや本作のアミルのような感じなので、タイプが全く異なるキャラにしてしまえ・・・・・・というノリでの登場ですが、どうなることやら。
鍛冶師の仕事や素材はそのうち、なんとかなると思います・・・・・・多分。
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