異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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098.肉の報酬は?

 朝起きると、ヴィルマと目が合った。

 昨晩の激しい彼女と打って変わって、憑き物が落ちたような穏やかな笑みと恥じらい。

 やっぱりヴィルマはこれでないとな。

 

 抱き寄せようと右腕を伸ばすとスルリと躱されてしまった。

 

「主、朝の訓練に行こうよ」

 こっちも平常運転に戻ったか。前にも同じことがあったような・・・・・・。

 

 今日は迷宮組は探索に行かないし、オッサンと模擬戦する気もないから体を動かしておくか。

 

 修練場に行くと、何やらヘルミーネが俺と視線を合わせようとしない。

 フラウスを見ると同様の対応。なんだ?ラファ親衛隊に嫌われるような事をしたっけか。

 

 今日はレイモンドがベイルの朝練に行かなかったみたいなので、それとなくヘルミーネ達のことを訊いてみた。

 

「ああ・・・・・・多分ですけど・・・・・・昨晩の件じゃないですか?」

 

 昨晩の?・・・・・・夜の課外活動のヴィルマの声が大き過ぎた?・・・・・・俺の方は低い声だし、大したことはないはず・・・・・・だよね?

 俺の部屋は二階でヘルミーネ達の部屋は一階のはずなのだが。

 

 ヴィルマは何事もなかったかのように、木の剣を振り回してイレーネと模擬戦に没頭している。

 イレーネも全く気にした素振りはない。彼女はあんな事には無頓着な気もするが。

 あんな事って、どんな事かは置くとして。

 俺も華麗にスルーしよう。

 

 イレーネとの模擬戦では彼女の苛烈な攻撃に俺は辟易とさせられた。

 意外に昨晩の事は彼女の癇に障ったのかもしれない。負けず嫌いだからなぁ。

 次のイレーネの番になったら、負けずに叫ぶかもしれないから注意しないと。

 

・・・・・・

 

 今朝の食事は昨晩の夕食の延長なのか、肉がかなり豪華な気がする。

 獣人系テーブルの6名が非常に盛り上がっている。

 

 日本人的感覚から言うと逆なのだけど、今日だけは肉と濃いめの味付けは夕飯よりは朝食の方がありがたい。

 夜になると狼男ではなく・・・・・・狼女に豹変される娘が来ても困るので。

 いや、たまには良いのだけど・・・・・・毎晩だと近所の目というか耳がねぇ。

 

・・・・・・

 

 朝食が終わり、剣術指南所の子供達の受入に向けてゆったりと着替えをする。

 既に一度経験しているし、受入の統率はカラダンに任せてあるので気分はかなり楽だ。

 

 一階に降りてエネドラと合流しようと思ったが、既にレイモンドとベイルに向かったとチクルスが教えてくれた。

 ヴィルマとイレーネを連れて、ベイルの玄関にワープで移動。

 食堂に顔を出すと、カラダンとエネドラがピコ達と打合せをしていた。

 二組目の子達を迎え入れるための段取りを確認しているようだ。

 

 カラダン達に声掛けして、裏庭の方に回った。

 この時間だと流石に誰も訓練はしていない。

 士爵家の面々も騎士団詰所に出仕しているだろうから。

 

 と思っていたが、士爵家の家の方から女性がやってきた。

 確か、イネスさんという家事担当の人だったか。

 自己紹介は受けてないが、鑑定で確認したら薬草採取士の人だったな。

 

 とりあえず、家主でもあるから挨拶ぐらいはしておかないと。

 

「おはようございます」

「あっ、おはようございます。確か、タケダ家の当主の方でいらっしゃいますよね。

 ご挨拶が遅れて申し訳ありません。

 ゴッゼル家で主に家事をしておりますイネスと申します。

 今後ともお見知りおきをお願いいたします」

 丁寧な対応をする女性だな。これは仲良くしておかないと。

 

 いろいろと情報が聞き出せるかもしれない。

 しっかりとした人のようだから、内密の情報は漏らさないだろうけど。

 我が家の内密情報の方は大丈夫だろうか?

 

「丁寧な挨拶、ありがとうございます。

 タケダ家の当主、ユキムラ タケダと申します。

 こちらこそ、よろしくお願いいたします。

 お貸ししている家の事でご不便な点がありましたら、遠慮なくご指摘下さい。

 できる限りの対応をさせていただきますので」

「ありがとうございます。今のところ困った点はありません。

 水汲みの作業も時々お手伝いいただいており、感謝しています。

 今日は子供達がいないようですけど、どこかに行っているのでしょうか?」

 そういえば、今日はいなかったから手伝えなかったのかな。

 

「あの子達は数日に一度、別の場所から入れ替わるようになっているので、

 今日の午前中に別の子達が来る手はずになっています。

 また別の子達になってしまいますが、よろしくお願いします」

「そうだったのですか。こちらこそ、よろしくお願いします」

 今回来る子達も水汲みの手伝いをしてあげるのかまでは俺は分からないのだよなぁ。

 

 後でカラダンにでも訊いておこうか。

 

 そのカラダンがやってきた。そろそろ出発するから呼びにきたのかも。

 彼がイネスさんに挨拶をした後、ターヘラへ出発することになった。

 

・・・・・・

 

 一組目と同様に食堂で子供達の紹介をナナイがした後、俺とレイモンドで手分けして子供達はベイルに移動させた。

 やはりパーティ編成など初めての子達は、それだけで盛り上がったり怖がったりしている。

 初々しいね。

 

「今回もナナイはベイルの方に行ってみるか?」

「はい。初めだけ付き添います。この子達がはしゃぎ過ぎないように見ておこうかと」

 もはやお母さん気質だな。

 

 昨晩は反抗したら拳骨だって言ってたし。

 

「うちのヴィルマとイレーネをここの訓練で預けても良いか?」

「はい。全然大丈夫だと思います。最近、退屈していたから丁度良いかも」

 それが丁度良いのか、悪いのかは微妙な気がするな。

 

 だけど、二人には丁度良いか。放牧していこう。

 エネドラ達が用意した昼の弁当まで持たされての訓練というか武者修行だ。

 至れり尽くせりというか。

 

・・・・・・

 

 ナナイと共にベイルに移動。

 と言っても前回もそうだったけど、俺が居てもあまり役に立たないのだよなぁ。

 

「ご主人様、ナナイさんをターヘラに送り届けるのは私がやりますので、

 エネドラさんに話をして、自宅に戻られたらいかがですか?」

「そうか?そうだよなぁ」

 レイモンドの言葉に頷くしかない。

 

 二回目とあって、こちらの受入体制も慣れたものだし。

 何よりピコ達三人が子供達と上手く付き合えそうなのが分かったので安心だよな。

 

 結局、作業部屋でのオリエンテーションが終わった時点でエネドラに声をかけて、子供達の受け入れイベントのお役御免となった。

 まあ、初めの顔出しだけでも責任者としての役目は果たしただろう。

 

 まだ昼飯まで時間がかなりあるから、ドブローで肉の納品でもしてこよう。

 ベイルの玄関の壁の絨毯からドブローの冒険者ギルドにワープで移動。

 

 ギルドを出て硬革防具の工房に向かった。

 前回訪れてから20日以上経過したな。

 あの時は革が欲しくて来たのだけど、状況が変わって今は革が倉庫にたくさんある状況だ。

 

 ドアをノックすると、禿頭の親父が出てきたが首を傾げられてしまった。

 もう俺の事は忘れ去られているようだ。

 仕方ないのでダマスカス鋼工房の店主にもらった紹介状を再び見せて、中に入れてもらった。

 

「肉を持ってきたぞ」

「肉?おおぉ・・・・・・そういえば、あの時の・・・・・・」

 ようやく思い出してくれたらしい。

 

 ゲームのクエストを担当するキャラなら普通忘れないと思うのだが。

 この親父はクエストキャラではなく、肉が食いたいだけのむさ苦しい親父なのかもしれない。

 

「バラ、三角バラ、ザブトンがここにある。ついでにロースもあるぞ」

「お、三種類じゃなくて四種類もあるのか。でも、どうやって見分ければ・・・・・・」

 いけね。勢いでロースまで出してしまった。

 

「鍛冶師なら、アイテムボックスを持っているだろう?

 四種類なら別々のアイテムボックスに入ってしまうから、

 少なくとも別の肉であることは分かるはずだ」

「おっ、お前頭が良いな。ちょっと待てよ・・・・・・」

 原作主人公も確かアイテムボックスを使ってどうこうとか言ってたはずだから、その応用だ。

 

 目の前の親父はアイテムボックスの詠唱をして、俺が出した四種類の肉を収納し始めた。

 

「確かに四か所に収まったな。別々の肉だ。これで夢が叶う」

「そ、そうか良かったな」

 男のくせにちっちゃい夢だなとは言わない。夢なんて人それぞれだからな。

 

「ん?どうした?」

「いや・・・・・・」

 どうしたではなく、クエストキャラなら黙っていても報酬をくれるのではないか?

 

 このままだと俺は肉をタカられただけになってしまうのだが。

 

「いや、別にその肉をやるとは言ってないぞ・・・・・・」

「なんだと?男のくせにちっちゃい奴だな」

 その台詞、お前にだけは言われたくなかったぞ。

 

「金を寄越せと言ってるのか?」

「いや、金など要らん。素材が欲しい。ダマスカス鋼とか竜革とか・・・・・・」

 硬革工房の店主に言うのは無茶振りだと思うが、クエストの報酬をもらえないのなら無理やりにでも条件闘争だ。

 

「ここいらでは、ダマスカス鋼は争奪戦になってるから無理だ。諦めな。

 竜革なら伝手がなくもない・・・・・・が、肉4つでは足りないな」

「えっ?」

 夢が叶うのなら、それで報酬をくれよ。ちっちゃい奴だなぁ。

 

「今晩、俺の仲間と焼肉パーティをやるから、

 その時までにさっきの肉と合わせて20個ほど肉を持ってきてくれ。

 持ってきてくれたら、伝手の紹介を考えてやる。

 そこの庭の空いた場所で、野外で肉を焼いてかっ喰らうから」

「考えてやるではなく、紹介を確約してくれよ」

 政治家のような回答は要らない。クエストを達成したのだから、伝手を紹介しろと言いたい。

 

「男のくせに細かい奴だな。肉を持ってきたら、伝手の窓口を紹介してやる」

「伝手ではなく、伝手の窓口・・・・・・」

 もう、疑い始めると全てが胡散臭く思えてしまうぞ。

 

「外で焼くって言ってたけど、真っ暗じゃないのか。大丈夫なのか?」

「肉焼くんだから、明るくなるだろ。細かい事はどうでもいいじゃねぇか」

 なんちゅう大雑把な。

 

「じゃあ、頼んだからな・・・・・・」

 

(バタン)

 

 ドアが閉まり、親父は去っていった・・・・・・。

 

 俺は四種類の肉を騙し取られてだけではないのだろうか?

 肉を本当に持ってきても大丈夫なのだろうか。とっても不安だ。

 

 ああ、そうだ。

 元はと言えばダマスカス鋼工房の店主に言われたきたのだから、そちらに文句言うか。

 

 硬革工房を後にして、ダマスカス鋼工房に向かった。

 

(ドン、ドン・・・・・・)

 

 ここの工房はドアを強くノックしないと店主に無視されることがある気がする。

 

「何だよ、うっせぇなぁ・・・・・・」

「よう、久しぶり」

 先程のことがあり、少し乱暴な振る舞いになってしまう。

 

「おお、久しぶりだな」

「あんたに言われた硬革工房の店主に肉を三種類・・・・・・いや四種類渡してきたぞ」

 元はと言えば、この親父に紹介状をもらったのが発端だった。

 

「そうか、なんか言ってたか?」

「今晩、焼肉パーティをやるから肉をもっと持ってこいって言われたんだぞ」

 報酬をもらっていないのだよ。断固抗議をしたい。

 

「そうか、じゃあ、今日は腹を減らして行かないとな」

「あんたも行くのか?」

 仲間って言ってたから、この店主も入ってるのか。

 

「そうだ。美味い肉が食えるのだから、絶対に俺は行くぞ」

「そうなのか・・・・・・」

 俺が肉を持っていかなかったら、四種類あっても寂しい肉の量のパーティになるかな。

 

 肉を持っていくことを『確約』した訳ではないから、意趣返しにバックレようか。

 だが、そんな事をしたら、二度と硬革工房にもダマスカス鋼工房にも顔を出せなくなるか。

 くそぅ、結局持っていくしかないのか。なんかムカつくな。

 何か仕返しする良い方法はないだろうか・・・・・・あっ、思いついたぞ。

 

 仕返しは胸に秘めて、久しぶりの工房で倉庫にある装備を鑑定して回った。

 

 空きスロット4つは、ダマスカス鋼の剣1つだけか。

 後は、空きスロット3つでも良いや。それと数が少ないけど大楯を。

 

ダマスカス鋼の剣(空4)、エストック(空3)、ダマスカス鋼の槍(空3)

ダマスカス鋼のプレートメイル(空3)、ダマスカス鋼の大楯(空)

 

「おお、相変わらずたくさん買うのだな」

「まあ、うちは部下が多いからな」

 代金を支払って、アイテムボックスに収納。

 

 鍛冶師だから3割引きが効かないので、なかなかの出費だ。

 

「そういえば、この前渡した激情のダマスカス鋼剣は喜んでもらえたのか?」

「おお、俺の作った剣だからそりゃ喜んでもらえたに決まってるだろう」

 スキル融合したのはうちのアミルだけどね。

 

「それで、防具のスキル融合装備とかは・・・・・・」

「おお、また引き受けてくれるのか?」

 いや御用聞きをですね・・・・・・報酬見合いで。今度はしっかりと確認した上で引き受けよう。

 

「まあ、報酬見合いだな。うちもダマスカス鋼が欲しくてな」

「ああ、ダマスカス鋼の素材なら腐るほど持ってるから別に良いけどよ」

 ここで曖昧な条件にしたらダメだよな。先程痛い目に遭ったし。

 

「防具ってことはプレートメイルや盾か?スキルは頑強とか耐毒とか?」

「盾でも良いけど、プレートメイルの方が喜ぶだろうな。

 スキルはそうだな・・・・・・理想は頑強で、ダメなら耐毒でも構わない」

 なるほど・・・・・・あとは報酬の方だな。

 

「プレートメイルならダマスカス鋼の素材いくつと交換してもらえるのだ?」

「ん?200でも300でも良いぞ」

 あ、相変わらず大雑把なオヤジだなぁ。さすがに300は気が引けるから200にするか。

 

「じゃあ、200で!」

「それで頼むわ」

 軽く即決するなぁ。よくこんなので工房が潰れないものだ。

 

 確かこのオヤジの納品に備えて、この工房で作ったプレートメイルで空きスロット付きのが倉庫に眠っていたはず。

 

「それじゃあ、鎧か盾が用意できたら、またここに来るから」

「おお、待ってるぜ」

 

 工房のオヤジと別れて、ドブローを後にした。

 

・・・・・・

 

 クーラタルの自宅に戻り、裏庭に顔を出すとレイモンドが近づいてきた。

 

「ナナイさんはターヘラの剣術指南所まで無事送りました。

 ベイルの方の子供達の受入の方もピコ君達が頑張っています」

「そうか、ありがとう。助かったよ」

 レイモンドと別れて、厨房へ。

 

 エネドラと調整しておかなけばならない事があったのだった。

 

・・・・・・

 

「エネドラ、ちょっと急な話で悪いのだけど、今晩の夕飯なのだが、

 ここのクーラタルの夕飯とベイルの方の夕飯もなのだけど・・・・・・」

 

 エネドラに今晩のイベントに備えて、調整を実施。

 まあ、子供達も喜んでくれるから問題ないだろう。

 

「分かりました。ちょっと一組目の子供達と差がありますが、問題ないでしょう」

「そ、そうだな。急で悪いが頼む」

 軽く釘を刺されてしまった。でも意趣返しのためだから仕方ないのだ。

 

・・・・・・

 

 昼食になり、レドリックから午前中のミラとマヤの迷宮探索状況を確認。

 

「17階層ですが、ミラとマヤを加えても問題は発生してないようです。

 念のため午後はメンバを代えて探索しますが、恐らくは大丈夫でしょう」

「そうか、明日以降は18階層でミラとマヤを普通に組み入れて探索を再開できそうだな」

 護衛部隊10名の方もかなり形になってきたか。

 

 午後は予定していたよりも時間がかなり取れそうだ。

 サボっていたけど、ターレのマラソンを少しやって2階層くらいは走破しておくか。

 そのあとは、ひたすら魔物部屋の殲滅やってパワーレベリング。

 夕方になる前に放牧していたヴィルマとイレーネを回収に行かないとな。

 

・・・・・・

 

 昼食を終えて、ターレの迷宮13階層の小部屋にワープした。

 夜に備えて、みっちりと走り込むか。

 

 14階層、15階層をひたすら超速スキルを使いながら、切り捨て御免&激走して走破した。

 これで16階層まで到達。

 

 ここから先は魔物の数も多いし、パーティで臨むかどうか・・・・・・ヴィルマ達には退屈か。

 でもなぁ・・・・・・クーラタルと違って地図もないから護衛部隊を派遣しにくい。

 地図があれば魔物部屋を避け易いだろうけど、ここではそうもいかないからな。

 

 16階層以降は今まで以上に逃げに徹するか。

 ワープをもっと使ってひたすら逃げるか?

 俺には索敵も超速スキルもあるのだから、もう少しソロで頑張ってダメなら考え直せば良いか。

 

 クーラタルの自宅に移動して、水浴びをして小休止。

 

 残りの時間はパワーレベリングだな。奴隷商館に行くのはまた今度だな。

 アミルは・・・・・・鍛冶師での仕事をやってるからパーティに入れられないか。

 ヴィルマとイレーネはパーティに入ってるから、追加でピコを入れて商人のジョブを育てるか。

 

 ベイルにワープで移動し、カラダンに了解を得てピコをパーティに加えた。

 小荷駄隊には、フラウス、ヘルミーネ、モニカ、レドリックを既に加えてある。

 これで準備完了かな。

 

 まずはベイルの23階層の中間部屋にワープして、魔物部屋の状況を確認。

 うん、満タンだ。怖いな、魔物部屋。油断せずいこう。

 

 23階層の魔物部屋を出入りしながら殲滅。

 後は、ベイルの22、21、20階層、クーラタルの22、21、20階層、ザビルの22、21、20階層の魔物部屋をひたすら殲滅していく。

 全滅したパーティは居なかったが、クーラタルの20階層で灌木のカードがドロップした。

 

 途中、ヘルミーネの探索者がついにLv50に達した。

 一度、クーラタルの自宅に戻って、裏庭に居るヘルミーネの所に向かう。

 

「ヘルミーネ、ちょっと良いか?」

「は、はい、なんでしょうか?」

 昨晩のことを引き摺ってるのか、俺が近づくとあからさまに挙動不審になる。

 

 ラノベジョークあるあるじゃないのだし、近づいたら妊娠させるような能力は俺にはないぞ。

 種族も違うし。

 

「ヘルミーネの探索者がLv50になったぞ。冒険者にジョブを変更できる。

 このまま探索者で育成するか、冒険者にして育成するかどうする?」

「えっ、えっ・・・・・・」

 彼女は動揺しながらも、アイテムボックスの詠唱をして確認。

 

「本当にアイテムボックスの数が50個あります・・・・・・」

「そうだな。Lv50だって先程言っただろう?」

 ここでアミルなら、『ヘルミーネ、今からあなたは冒険者です!』と言いたくなるところだろうか・・・・・・まだ変更していないけど。

 

「それでどうする?」

「冒険者になります!」

 ジョブを冒険者に変更。

 

「じゃあ、冒険者にしたので、おれは迷宮に戻るな」

「あ、はい。ありがとうございました。これからも頑張ります」

 張り切り過ぎて、足をすくわれないように頼むぞ。

 

 夕方の肉の納品が近づいてきたので、魔物部屋殲滅ツアーを切り上げた。

 

 ヘルミーネが冒険者Lv8、フラウスが巫女Lv37、レドリックが剣匠Lv32、モニカが剣匠Lv35、

 ヴィルマが百獣王Lv39、イレーネが刺客Lv40、ピコが商人Lv19に達した。

 

 ミラとマヤのレベルを上げたかったのだが、二人とも今日は一日中迷宮探索だったのでパーティに加えられなかった。

 また別の機会に育てよう。

 

 部隊編成でレイモンドの部隊が既に自宅に戻っているのを確認。

 クーラタルの自宅に一度戻ることにした。

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