異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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102.二人の竜人族

 早起きできたので、アミルの寝顔を見ながら考え事。

 起きた後に伝えても良いものかどうか・・・・・・。

 

 不穏な空気を感じとったのか分からないが、アミルが起きて視線が合ってしまう。

 

「おはようございます、ご主人様」

「アミル、おはよう」

 手を伸ばして、頭を撫でる。とても良い気分・・・・・・だが。

 

「何か心配事ですか?」

「・・・・・・」

 

「昨晩俺が会議で話したことを覚えているか?

 今日、ドブローの鍛冶師ギルドに行って盗賊討伐任務の詳細を確認してくる件」

「はい、覚えています」

 

「詳細を聞いて、もし討伐を行うと決まったらアミルも同行する気はあるか?」

「・・・・・・大丈夫です。前の私とは違います」

 俺が言わせてしまっているのではないだろうか。

 

「討伐をすると決まっても、アミルを連れていくかどうかは俺が決める。

 アミルだけでなく、ヴィルマもイレーネも同様だ。

 一人で行動する時が有利なこともあるからな」

「はい。ご主人様が良いと思うように決めて下さい。私達はそれに従います。

 でも、無理だけはしないようにお願いします」

 今回は単独行動をする可能性が高いと思っている。

 

 でも、いつかは二回目、三回目の盗賊討伐を経験してもらう必要があると思っている。

 それが今回になるかどうかと言えば分からない。

 

 あまりに情報が不足している中で相手の実力も分からずに乱戦になるようだと、一人で行動した方がリスクが低いだろう。

 迷宮と同様だが、安全マージンは多めに取りたい。

 この前のベイルの盗賊討伐作戦のように。

 

 ただ、心の準備だけはしておいてもらった方が安心できる。

 たとえ、今回は不発に終わったとしても。それも練習の一環だ。

 

・・・・・・

 

 朝練が終わって、朝食の時間。

 もう、少々のラファ親衛隊の視線には動じなくなっている自分がいる。

 これも鍛錬の賜物なのだろうか。

 

 いや、きっと昨晩は大したことがなかったということだと思う。

 もしくは皆も慣れて好意的に解釈するようになってくれたとか?

 ザイオンス効果ってやつだっけ。違う気もするけど、まあいいや。

 

 ともかく、自分にも周囲にも平穏が訪れたということにしよう。

 

・・・・・・

 

 朝食を終えて、玄関へ。

 奴隷商館の用件が分からないから、そちらの準備は特にない。

 どちらかというと、その後のドブローの案件の準備の方が重要だと思っている。

 ギルドで任務を受けて、そのまま野外で活動する可能性があるため準備はしてある。

 

「帝都の奴隷商館で用件を確認したら、内容を伝えるために一度戻ってくるつもりだ。

 問題なければ、その後はドブローの鍛冶師ギルドに行く予定だ」

「承知しました、旦那様。お待ちしております」

 エネドラ達に見送られて、帝都の冒険者ギルドにワープした。

 

 ギルドを出て、商館まで歩く。この商館は確かヴィルマの奴隷契約をした店だ。

 また何か変わった奴隷を仕入れたということなのだろうか。

 

 護衛の者に用件を伝えると、応接室に通された。

 さして待つこともなく店主が現れた。確かにあの時の奴隷商人だ。

 

「伝言をもらったので、急いで来たのだが・・・・・・」

「わざわざ、お呼び立てして申し訳ありません。

 ベイルのアランから苦情がありまして、その償いというか罪滅ぼしと言いましょうか・・・・・・」

 アランから?苦情?

 

 ああ、この奴隷商人が『訳あり奴隷』ばかりを俺が集めていると吹聴した件のことか。

 確かに気分が良い話ではないから、償ってもらっても良いか。

 

「こちらもお薦めの奴隷を用意しましたので、宜しければご契約いただければと思った次第です」

「実際に見せてもらうまでは何とも・・・・・・」

 そう言っておきながら、また訳ありを薦めるのではないだろうな。

 

「では、連れてまいりますので、少々お待ち下さい」

 どんな者を連れてくるのやら。

 

 やがて、店主は二人の背の高い男女を連れて戻ってきた。

 これは・・・・・・デカい。二人とも俺よりも身長が高いな。

 

 

・・・・・・

 

(鑑定)

 

ガンター(竜人族 ♂ 21才 奴隷)

竜騎士Lv1

 

オリビア(竜人族 ♀ 18才 奴隷)

村人Lv3

 

 

 ここで竜人族が出てくるか。オークションでもないのに。しかも二人だと。

 どちらも若い・・・・・・俺よりは年上だが・・・・・・有望なのかな。

 一人は村人だが、戦闘を厭わないのであればどうとでもなるだろう。

 この組み合わせは原作の季節の変わり目のオークションに出ていた者達を彷彿させるな。

 性別やジョブのレベルとか酷似している気がする。

 何かこの後のオークションに影響があるのだろうか?

 

 それでも悪口の罪滅ぼしとしては、お釣りがくるぐらいの返礼だ。

 

「こちらの男は村でも一番の戦闘能力を誇り、

 村の周囲に蔓延るモンスターなどをたちまち討伐し、

 迷宮に入らせると一人で何匹のモンスターを倒す強者でありまして、

 当商館でも、今一番お薦めの竜騎士であります。

 初年度奴隷となっております」

「そうか・・・・・・」

 とはいえ、Lv1なのだよな。誇大広告ではなかろうか。

 

 竜騎士のジョブ取得条件は確か、村人ジョブをLv5以上にしてモンスターの群れを自分一人で倒すことだったか。

 条件さえ知っていれば、本人の資質とはあまり関係なく達成できそうな気もするぞ。

 例えば効果的なコボルトの取り押さえ方などを知っていればな。

 一人で倒したのであれば、それなりの素養があるのかもしれないが。

 

「こちらの娘は村でも一番の怪力を誇り、

 村の周囲で切り倒した材木を一人で何本も抱えて持ち帰るほどの者です。

 その素質はかなりのもので、当商館でも一番将来性を感じており、お薦めの奴隷です。

 初年度奴隷の生娘でもあり、性奴隷も了承しております」

 

 ど、どこから突っ込んで良いのか。

 

 この二人は同じ村の出身なのだろうか、だとしたら娘の方が男よりも腕力があるということになるのだが。

 材木運べるって、木の大きさによるよな。話半分に聞いておかないと。

 最後にさらっとセクハラ情報が・・・・・・でも購入する側としては確認すべき情報か。

 21才と18才で初年度奴隷ってことは、最近何かあったってことなのかな。

 原作の竜人族娘は15才だったっけ。それよりは3才年が上だ。

 

 まずは、焦らずに個別に面談して、その後は条件闘争だ。ちょっと気合を入れないと。

 

「個別に面談させてもらえるだろうか?」

「はい。もちろん構いませんとも」

 店主は笑顔で、竜人族の娘と共に退出していった。

 

・・・・・・

 

「俺は迷宮探索者をしているのだが、

 君は迷宮のどの階層まで上がって戦ったことがあるのだろうか?」

「3階層までです」

 それだと本当に竜騎士になるためだけの最低限の戦いしかしたことがないってことか?

 

「盗賊を討伐した経験などは?」

「一度もありません」

 ある意味潔い。潔いのだが・・・・・・。

 

「得意な武器は何を使っているのだ?」

「剣でもこん棒でも槍でも大丈夫です」

 こん棒が選択肢に出てくるのか。

 

 戦闘経験が大してない証拠なのか。

 

「あの先程の娘と君は同じ村の出身だろうか?」

「はい。同じ村の出身です」

 そうか、そうなると娘の方が腕力があるということか。あの商人の話が本当なら。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 なんとも言えない雰囲気になってしまった。

 

 別にこの竜人族の男が悪い訳ではない。

 我が家の者達と切磋琢磨すれば、十分使える迷宮探索者になる可能性はあるはずだ。

 

「君の方から、俺に確認しておきたいことはあるか?」

「それでは。竜人族の奴隷は何人買い求められるつもりなのでしょうか?」

 えっ、自分の待遇等の話ではなく、質問ってそれ?

 

「えっと、どういう趣旨の質問なのだろうか?」

「いえ、大した意味はないのですが、別のお客様がそのような・・・・・・

 いえ、何でもありません。忘れて下さい」

 いやいや、とっても気になるのだけど。どういう意味だ?

 

 その後はいくつか質問してみたものの話は盛り上がらず、先程の男の質問の趣旨も分からずに面談は終了した。

 

・・・・・・

 

 竜騎士の男が退出して、村人ジョブの娘が入室してきた。

 

「俺は迷宮探索者をしているのだが、

 君は迷宮のどの階層まで上がって戦ったことがあるのだろうか?」

「村から出たことはありませんので、迷宮に入ったことはありません」

 まあ、村人Lv3なのだから仕方ないのか。

 

 でも、Lv3ってことは村の周辺にやってくるモンスターを倒してレベルが上がったということ?

 

「盗賊を討伐した経験などは?」

「一度もありません」

 なんか一人二人ぐらいなら倒せそうな感じはするのだが。

 

 俺よりも身長があるから、偏見の目で見てしまうのだろうか。

 

「得意な武器はあるか?」

「剣も使いますが、槍が好きです」

 得意ではなく、『好き』と言ったな。

 

 何か、そこはかとない違和感が。

 昔、ヴィルマに感じた地雷臭というか。

 

「先程横に居た、竜騎士の男とは同じ村の出身だそうだな。あの男の事をどう思っている?」

「フッ・・・・・・」

 「ふっ」って言ったよ。「ふっ」って。

 

 完全に見下しているのじゃないか。村人Lv3が竜騎士Lv1を。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 なんか、威圧感というか圧を感じる。

 

「君の方から、俺に確認しておきたいことはあるか?」

「ご主人様の年齢はおいくつなのでしょうか?」

 えっ、この場で確認する質問がそれ?

 

「17才だ」

「そうですか。ありがとうございます」

 感謝される要素は1ミクロンも無いと思うのだが・・・・・・。

 

 圧に負けて馬鹿正直に年齢を伝えたけど、言う必要はなかったな。どうも調子が狂う。

 

 二人ともブラヒム語は問題ないレベルだった。

 だが、肝心の戦闘という面では今一つ惹かれるものがなかったと思う。

 竜人族は鍛え上げてからが真価を発揮する種族なのだろうか。

 

・・・・・・

 

 竜人族の娘が退出して、店主が入室してきた。さて、条件闘争だ。

 

「二人はいかがでしたか?いずれも当店が誇るお薦めでございます。

 気に入っていただけると幸いに存じます」

「そうだな。二人とも悪くはないと思う」

 悪くはないと思う。

 

 だが、二人とも見えない瑕疵が存在するような気がするのは気のせいだろうか。

 

「二人の値段をそれぞれ教えてほしい」

 3割引をセットして、買えるのなら二人とも購入してしまうのも一つの選択肢だ。

 

「売値というのはありません。

 今回のお取引ではお客様達からお値段を提示してもらい、

 一番高く値を付けた方にお売りするつもりです」

「むっ?」

 この野郎、お詫びと言っておきながらオークション形式にすることで売値を吊り上げるつもりだったな。

 

 どこが罪滅ぼしなんだよ。罪を重ねているだけじゃないのか。頭にくるなぁ。

 

「値段の提示の仕方は、一人ずつ個別に値付けしていただいても構いませんし、

 二人まとめての値付けでも問題ありません」

「二人まとめて?」

 そうか、それで先程の竜騎士の男の質問に繋がる訳なのか。

 

 いや、それにしてもガンターという竜騎士の男の質問はおかしかったな。

 何か別の意図もありそうだ。

 

 二人まとめてとなると、軽く白金貨を超える金額になるな・・・・・・そんな金額は我が家にないな。

 正確には100万ナールちょっとなら現金は存在するが、それを全て使う訳にはいかない。

 

 しまったな。

 昨日のうちに瑪瑙のブレスレットをペルマスクの女店主に売りつけておけば、資金に余裕ができていたかもしれなかったか。

 まあ、今嘆いたところで後の祭りだ。それで二人分の資金になるかは微妙だし。

 出せるのは一人分か。いや待てよ、他の方法というのも。

 

「店主、金以外にスキル融合装備との交換というのはどうだ?」

「お戯れを・・・・・・我が商会は奴隷商館であって武器屋、防具屋ではございません。

 対価は現金でのみの受付となります」

 そうか。そりゃそうだよな。

 

「ちなみに、俺の他に購入を持ち掛けている者のジョブや身分というのは・・・・・・」

「さすがにお客様の情報をおいそれとは漏らせませんので、ご容赦を」

 真っ当な回答だな。

 

 あちらの情報を漏らすということは、こちらの情報を漏らしてしまうことがあるので信用が置けない店となる。

 さて、幾らと提示するか。

 

 原作では、村人Lv2のヒロインに60万ナールちょっとだったっけ。

 主人公はオークションで落札したのだけど。

 

 こっちの世界では、奴隷の値段は若干なりとも原作よりは安いのだが、魔法使いと竜人族は別格だとアルマーは言っていたよな。

 

「娘の方に70万ナールなら出そう」

「70万ナールでよろしいのですね?」

 宜しいも何も、それ以上は厳しい。

 

 80万ナールなら出せるか?・・・・・・いやキリがないな。

 原作はオークションで60万ナールちょいなら、こちらの世界で70万ナールならかなり高額提示のはず。

 競合が有力な家なら、白金貨1枚でも勝負にならないだろう。

 無理な金額を提示して、我が家が傾いても困る訳なので。

 

「ちなみに、金額の提示期限というのはあるのだろうか?」

「本日中となります。

 本日、いらっしゃったお客様の中で一番高額な方に決定しますので、

 明日の朝には結果が判明いたします」

 期限を短く絞るのは、金額の提示する側を焦らせるためではないだろうか。

 

 嫌らしい戦略だが、有効な方法な気もする。

 金額を交互に出させ合って、値を吊り上げるよりは幾分かマシだが。

 

「分かった。もう一度言うが、こちらは娘に70万ナール出そう」

「承知しました」

 店主の顔からは、70万ナールが高い金額なのか低い金がなのかは読み取れない。

 

「では、お客様に決まりましたら伝言を出させていただきます。

 明日中に連絡がなければ他の方に決まったということで御理解願います」

「いや、自分に決まっても決まらなくても明日朝一でここに来ても良いだろうか?」

 店主の顔が不思議そうな顔になった。

 

「それは構いませんが、宜しいので」

「ああ、問題ない。明日の朝、またこちらに来るので宜しく頼む」

 

 竜人族の奴隷購入の機会など滅多にない。

 たとえダメだったとしても、その結果から得られるものがあるかもしれないので来訪しよう。

 

 店主に礼を言い、奴隷商館を後にした。

 さて、一度、我が家に戻って報告しないと。

 と言っても報告できる内容はほとんど無いのだが。

 

 適当な木陰から自宅にワープした。

 

・・・・・・

 

「・・・・・・という訳で、竜人族の者に対するオークションもどきに入札を出した。

 こちらの出した金額で必ずしも落札できるとは限らない。

 明日の朝、結果を確認してくる予定だ」

「分かりました。明日、結果が出ましたら教えて下さい」

 とりあえずはエネドラにだけ、帝都の呼び出し経緯を説明。

 

「では、ドブローの鍛冶師ギルドの方に行ってくる。

 昼食に戻れるかどうかは分からないので、俺を待たずに先に食べていてくれ」

「承知しました。お気を付けください」

 

 エネドラに見送られて、ドブローの冒険者ギルドにワープした。

 ギルドで鍛冶師ギルドの場所を確認して、教えてもらった場所を目指す。

 

 そして、やっぱり鍛冶師ギルドも普通の家と違いがよく分からないな。

 ドアをノックするとドワーフの男が出てきたので、エンブレムを見せて用件を伝えた。

 

 応接室っぽい場所で10分前後待たされると、先日会ったワーレンが入室してきた。

 

「本当に来たのだな」

「まあ、まずは話を聞いてみて、受けるかどうかは条件次第だ」

 請け負ったものの、リスクが大きいのに報酬が少なかったら目も当てられないから。

 

「そうか、話は簡単だ。

 盗賊を見つけてくれたら、竜革100枚、討伐してくれたら竜革300枚でどうだ?」

「盗賊を見つけるというのは、

 盗賊のアジトか何かに鍛冶師ギルドの職員等を案内すれば良いのか?

 討伐というのは盗賊のインテリジェンスカードを騎士団に提示する時に

 鍛冶師ギルドの職員等に立ち会ってもらえば良いのか?」

 『見つける』のも『討伐する』というのも結構、曖昧な気がする。

 

 盗賊のインテリジェンスカードだって、その辺の迷宮で盗賊を討伐したものを提示したって分からないだろうに。

 何か懸賞金でもかかっていれば別だけど、正体不明なのだろう?

 

「細かい奴だなぁ。まあ、そんな感じでいいぞ」

「そうか。では情報なりインテリジェンスカードなりを持ち帰るようにするぞ」

 いやいや、これでも大雑把過ぎるだろう。

 

「盗賊を討伐した際の懸賞金はこちらがもらっても良いのだろうな?」

「ああ、構わない。討伐してくれるのならな」

 鍛冶師ギルドから金を出す訳でもないのだし、自分の腹は痛まないってことか。

 

「それで、盗賊に関する情報は全くないのか?」

「大した情報はないな。

 街道に商隊を出すと数回に一度ぐらいの頻度で襲われている。

 襲われた者で生きて帰った者はいない。

 襲われる商隊は大きかったり、小さかったりと特に共通点はない。

 盗賊の一味の目撃者も居ないし、アジトの場所も皆目分からないということくらいだ」

 それは、全く情報がないってのと同じだな。

 

 生きて帰った者はいないって軽く言ってるけど、かなりのリスクを伴うってことじゃないか。

 

「それと、今朝も商隊がドブローから出て鉱山に向かった。

 もう少し早く来てくれれば同行できたのだがな」

「まあ、出てしまったものは仕方ないだろう。商隊の目的地が鉱山というのは多いのか?」

 こっちも朝一でイベントがあったのだから仕方ないだろう。

 

「鉱山から輸送される鉱石はドブローの領民の生活を支えている。

 襲われてる積荷が鉱石ばかりではないが、鉱山からの輸送が滞ってるおかげで

 ドブローの領民の生活に影響が出ている」

「そうなのか」

 それはドブローという街への嫌がらせではないのか。本当に盗賊の仕業なのか?

 

 こういう時に商人ギルドではなく、鍛冶師ギルドが動くのは鉱山と何か関連があるのだろうか。

 このワーレンという者が鉱山関係に影響力のある有力者なのかもしれないな。

 

「だが、それなら騎士団の出番なのではないか?

 ドブローの騎士団は盗賊に対して何も対応をしないのか?」

「それが、まだ街への影響は出ていないとかぬかしやがって動こうとしないんだよ。

 だから、お前さんみたいな他所の街の探索者であっても力を借りたい訳だ」

 そんなものかねぇ。

 

 ダマスカス鋼を迷宮から取ってこれるだけの探索者がいるのなら、そちらを頼る手もあるのではないだろうか?

 迷宮探索に長けているのと、盗賊の発見や対人戦闘は別物ってことなのか。

 こちらとしては、竜革を入手する機会が得られるのだから受けてみようとは思うのだが。

 ただ、リスクが全く読めないというのが気がかりだ。

 

 これからの対応をどうするかだな。

 今からでも商隊を追いかけるというのもアリだろうか?

 数回に一度しか襲われないのなら、外れの可能性もあるが、当たりはずれで人の命が失われるかもしれないのはちょっとな。

 

「その商隊に警護のための人員は付けられてないのか?」

「商隊側で雇った護衛はいるらしい。腕の方は分からないが」

 商隊の方の護衛のことを考えるのは止めるか。

 

 こちらでアレコレ考えてもどうにもならないし。

 

 あとは商隊に関係なくしらみつぶしに索敵でマップをクリアにしまくるか?

 

「この街から鉱山に至るまでの地図というのはないか?」

「地図か・・・・・・あるにはあるが、部外者に出すとなると誓約書を出してもらう必要がある。

 それで構わなければ出してやろう」

 情報がなければ、こちらも動きがとりにくいので頷くしかなかった。

 

 誓約書に署名して提出した。後で地図を返却することも記載されている。

 ドブローと鉱山を示す大雑把な地図の写しをもらったので、街道沿いを索敵しながら商隊を追って鉱山方向に行くか。

 あとははじまりの村の時と同じ対応方法だな。

 

「分かった。とりあえずは盗賊の一味やアジトの発見を目標に動いてみよう」

「そうか。助かるが・・・・・・無茶はするなよ。

 盗賊さえ発見できてアジトが特定できれば騎士団を動かす手もあるのだから」

 その騎士団とやらは本気で動いてくれるのかね。

 

 俺がとやかく言う話ではないが。

 まずは周辺の情報収集から始めよう。

 この状況では、ヴィルマ達を同行させても仕方ないか。大人数だと相手に発見されやすくなるし。

 

 ワーレンに会釈をして、鍛冶師ギルドを後にした。

 

 久々の野外でのソロ活動だな。

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