ヴィルマにたたき起こされ、朝練に参加。
何故か、昨日我が家に泊まったエルフ娘二人まで参加している。
このまま、うやむやのうちに我が家の一員になる気じゃないだろうな?
剣士のシェル、戦士のメリルの二人は意外に様になっている。
普通に剣の訓練を積んできた者に見えるな。武闘派貴族なのだろうか?
ケリーとマリーがそれぞれ相手にしていて、さすがに二人の剣には全く歯が立たないが、それでも喰らいつこうと頑張っている。
いかんいかん、我が家の者でもないのにどうこう言うのは筋違いだな。
宿泊客のただのリラクゼーションとでも思っておこう。
ヴィルマとイレーネにしつこく模擬戦を挑まれた。
昨日の欝憤を俺で晴らすのは止めていただきたい。
・・・・・・
朝食が終わり、帝都に行く準備をしようかと思ったところでエネドラに呼び止められた。
「旦那様、シェルちゃんとメリルちゃんが相談があるそうです」
「そうか、構わないぞ」
手紙に関する相談だろうな。
昨日の薄汚れた感じではなく、こざっぱりした可愛い感じの服を着ている。
チクルスとエネドラの趣味全開ではないだろうか。
「昨晩は良く眠れたか?」
「はい。この家は実家よりもとても快適で、いつまでも居たいくらいです」
言葉が貴族っぽい言葉ではなく、平民の通常の言葉っぽくなっているな。・・・・・・いつまでも?
「・・・・・・」
「・・・・・・」
お迎えが来たら、ちゃんと帰るのだよ?
「それは良かった。
それで相談というのは?」
「むぅ・・・・・・迎えの者との待ち合わせ場所の相談です」
本題に入ろうか。こちらも時間が潤沢にある訳ではないので。
「大きな街の冒険者ギルドで良いのでは?例えば、帝都ならどうだ?」
「帝都?」
それに帝都の冒険者ギルドなら、いきなり襲撃を受けることもないだろう。
「・・・・・・ここに来てもらうのは?」
「ここを待ち合わせ場所にするのはダメだな。
例えば、2日後の午前中に会いたいと記載して、
どうしても来られないのなら、商人ギルドにその旨を返信してもらう。
帝都に来られるのなら冒険者ギルドに来てもらって、
例えば右手に目立つ赤い布を持って待ってもらうとかどうだ?
こちらが待ち受けるのではなく、相手の姿や同行者を確認した上で
合流した方が安全ではないだろうか?」
俺なら鑑定で見分けられるから、目印が欲しいな。
帝都の冒険者ギルドはかなり人が多いから、待ち合わせの相手を探すのは大変だろう。
当人同士は知り合いだから問題ないとはいえ。
迎えにくる相手が、信用のおける者なのか再確認するのが重要じゃないだろうか。
この二人が誘拐されたのかなんなのかは知らないが、迎えの者が今も味方であり続けている保証もない訳だし。
引き渡したら、こちらができることは何もないが、引き渡すまではせめて最善を尽くしたい。
その気になれば、ドブローの盗賊討伐の件や手紙の提出元を探って、タケダ家を特定することはできるだろう。
こちらに引き寄せてから叩くという手も・・・・・・いやいや、考えが剣呑な方向に向かっているな。
昨日のリファ達の扱いや商隊を容赦なく全滅させていた盗賊達への感情が先行したか。反省。
「はい。では、そのように考えたいと思います。
書きましたら確認してもらっても良いでしょうか、エネドラさん?」
「大丈夫よ、シェルちゃん。一緒に頑張りましょう」
エネドラ、ちょっと子供に甘すぎないか?拾ってきた俺が言うのもアレだが。
でも、提出する手紙の内容の確認は必要か。エネドラに任せよう。
ドブローのワーレンもなんか文句言ってたし。
ベイルのもう片方の貴族も評判良くなかったよなぁ。
やっぱり当たり外れがあるのって怖いな。
それに対抗するために力が必要な訳だが・・・・・・また危険な考えに・・・・・・止め止め。
・・・・・・
帝都の奴隷商館に行き、応接室で少しだけ待たされた。
やがて笑みを浮かべながら店主がやってきた。
出会った初めの頃は優男っぽい風体だった気もするけど、最近見ると少し髭を伸ばし始めたのだろうか。
ちょび髭が少しだけ生えているように見える。
アランも結構、立派な髭をたくわえていたが、風格を出すために必要なのだろうか。
奴隷商人は後ろ指を指されることもあるとアルマーが言ってたが、ハッタリが必要なのか?
「朝早くから、ご苦労様です。
結論から先に申し上げますが、あの二人の竜人族はお客様以外の所に行くことが決まりました」
「なるほど」
金貨70枚では無理だったか。
もしくは、こちらが金貨70枚とした情報をあちらに漏らして、購入資金を吊り上げるための当て馬にされた可能性もあるか?
その推測は落札できなかった者の
あと1日猶予があれば、昨日の盗賊の懸賞金で潤沢な資金になったかな。
まあ、その仮定も意味ないか。
「そうか、二人とも同じ主人の下へ行くのかな?」
「さて、それはどうでしょうか」
相手の情報は漏らさないと。それは別に良い。
「では、いくつか質問させてもらっても良いだろうか?」
「こちらで答えられることであれば」
今後の参考になる情報を引き出しておきたい。
「俺が落札しようとした場合に足りなかったものは何だろうか?」
「それは端的に資金ですね。
高額な値段を付けた方にお譲りするとしていたので、
最も高い金額を提示された方に決まりました」
それ以外の回答はないよな。
「竜人族の娘を落札しようと思ったら、いくら資金が必要だったのだろうか?」
「それは・・・・・・お答えしかねます」
答えられないか、でも答えのヒントをもらった気がするな。
「この店では、定期的に竜人族の者が奴隷として購入する機会があるのだろうか?
もしそうなら、今後も機会があれば紹介してもらいたい」
「定期的にという程ではありませんが、他の商会よりは多いかもしれません。
もし他にも竜人族の奴隷を得る機会がありましたら、お客様にご紹介いたします」
その時には、もっと資金を用意しておけよという事かな。
竜人族の奴隷の入手ルートをもう少し詳しく聞き出したいが、これ以上は無理か。
「では、竜騎士を落札した主となる方に、この手紙を渡してもらえるだろうか?」
「手紙ですか?」
そう、昨晩作っておいた手紙だ。
「失礼ですが、中身を確認させていただいても?」
「こちらは構わないが、その許可は本来、手紙を受け取る者に得るべきなのでは?」
俺の言葉に店主が黙ってしまった。ちなみに封緘処理済だ。エネドラに教えてもらった。
「なるほど、手紙を渡す程度なら別に構わないでしょう。
本日、落札した奴隷の確認にいらっしゃいますので、その際にお渡しすることにします」
「そうか、それは助かる。宜しく頼むな」
あとは、受け取った側次第だ。
こちらの落札が失敗した場合に、落札に成功した者が奴隷を引き取ろうとするタイミングで手紙が渡るようにしたかった。
まだ、完全に身請けが完了する前であれば、翻意する可能性もあるだろうと。
そのために朝一で奴隷商館に押しかけた。
手紙の中には、竜人族の娘の方とスキル融合武器二点の交換を申し出る内容を淡々と記載した。
頑強のダマスカス鋼大楯と激情のダマスカス鋼剣の二つだ。
前者は竜騎士で防御を重んじる場合には有効な防具、後者は高い攻撃力を誇る武器で竜騎士なら片手で扱えるはずだ。
一般論としては魅力的には映るはず。
落札した者が二人とも入手したと断定したのは、ただの勘なので賭けの部類だ。
だが、あの竜騎士の男の話から、なんとなくそうなったのではないかと思っただけだ。
資金力に物を言わせて、二人とも入手したのではないだろうか・・・・・・と。
先程の店主との質問のやりとりでも、やはりそうではないかと思えてきた。
それでも、落札した者が手紙をどのように判断するのかは分からない。
今の時点では何もこちらは損してないのだから、ダメなら縁がなかったと諦めるだけだ。
店主に朝早く押しかけたことを詫び、商館を後にした。
次はドブローか。
・・・・・・
ドブローのダマスカス鋼工房で、ドアをノック。
(ドン、ドン・・・・・・)
「何だよ、うっせぇなぁ・・・・・・」
「注文されたスキル装備品を持ってきたぞ。
あんたの工房で製造されたダマスカス鋼の鎧でスキル融合になんとか成功した」
文句の言われ方が前回と同じだな。
「お、
「ああ、これだ。頑強のダマスカス鋼鎧だ」
アイテムボックスから取り出したダマスカス鋼の鎧を店主に見せた。
「確かに、これはうちで作ったモノだ。よくやった!」
「結構、苦労したんだぞ」
肉の納品とか、ここに至るまでに凄く苦労した。スキル融合はアミルが一発で成功させたけど。
だから、そんなにデカい声でバンバン俺の背中を叩くのは止めてくれっての。
「防具屋に行って、鑑定してもらう必要があるだろう?」
「まあ、そうだな。じゃあ、行くか!」
フットワーク軽いな。
工房の店主に連れられて、防具店で防具鑑定してもらった。
当然、真っ当にスキル融合したものだから何の問題もなし。
スキップでも踏みそうな店主と工房に戻った。
「じゃあ、約束のダマスカス鋼・・・・・・いくつやるって話だったっけ?」
「200だ、200。忘れるなよ、全く」
本当にアバウトだな。それで潰れないってことは相当人気がある工房なのか?
工房の倉庫に連れていかれた。
「早く持ってきてくれたからサービスで250持ってけ。少しオマケしてやる」
「そ、そうか、悪いな」
サービスで50個増やすって、どういう感覚なのだ?
忘れていたようだから300と言ってたら、サービスで400になったかもしれないな。
ダマスカス鋼をひたすらアイテムボックスに収納。
アイテムボックスを開いて、ポイポイ放り捨てるように入れていく。
丁寧にやっていたら、とても時間がかかるので。
収納し終えて、工房の武器、防具をチェック・・・・・・は今回しない。
前回から3日ほどしか経過してないので、空きスロット付きがそれほど増えているとは思えなかったので。
「また来るけど、今後まだスキル融合装備が必要になることはあるのか?」
「ああ、同じパーティの他の奴のもあるから、まだまだ贈りたい奴がいるな。
次は槍とか盾とかかな?」
それは助かるな。鍛冶素材が不足気味なので。
でも、自転車操業だから、もう少し安定供給先を見つけたい。
店主に別れを告げて、鍛冶師協会に向かうことにした。
・・・・・・
鍛冶師協会にやってきて応接室でワーレンを待つこと数分。
やがて満面の笑みを浮かべたワーレンが入室してきた。
「よう、早速解決してくれたのだってな?
正直、こんなに早くケリが付くとは思ってなかったぞ」
「一応の捜索と討伐はしたが、本当に終わったのかどうかは分からないぞ。
それも含めて報告に来たので、俺の話を聞いてから判断してくれ」
ワーレンに今回の捜索と討伐結果を掻い摘んで報告した。
・アジトが二か所あったこと
・アジトの一つに商隊の護衛二人が囚われていたこと
・アジトに相当な量の食料や日用品の備蓄が存在したこと
・確認できた盗賊が全部で37名いたこと
(内訳)討伐36名※、捕虜1名 ※タケダ家で討伐したのは34名
その他にも、盗賊は数的優位を生かしながら南北から商隊を挟撃するような連携を取っていたことや、最後に逃走を図ろうと街道とは逆方向に向かったのを討伐したことも説明。
装備品はこちらで全て接収したことも伝えた。
基本は盗賊の装備は討伐した者に権利があるので問題はないだろうが、数量だけは伝えた。
エルフの子供二人の事は説明せず。騎士団に引き渡せと言われても困るので。
そして、アジトから入手した手紙をワーレンに手渡した。
渡された手紙を読んだワーレンの顔は情けない表情になった。
「はあぁ・・・・・・確かに、これでは解決したかどうかは分からないな。全く・・・・・・」
「俺の引き受けた盗賊の捜索と討伐という任務は達成したと思うのだがな」
竜革数百枚に相当するだけの成果は達成したはずだ。
「そうだな。討伐したから300枚だったな?」
「捜索で100枚、討伐で300枚だから合計400枚だよな?」
俺の言葉に、ワーレンが目を瞬かせた。
やがて、深いため息をつくと、
「まあ、今回の働きなら400枚でも少ないぐらいだから別に良いだろう」
「そうだろう、そうだろう」
俺は鍛冶素材がもらえれば、それで目標達成なのだ。
肉の納品依頼から始まった長い一連のクエストがこれで完了するのだろうか?
「この後、騎士団にインテリジェンスカードを持っていくのだが付き添うか?」
「いや、昨晩、別の商隊と護衛から報告受けてるから今更必要ないな」
では、適当な時期に持っていくか。
ドブロー以外に持っていっても懸賞金はもらえそうだから、別の場所で小分けで提出するか?
ドブローで複数回に分けても良いけど・・・・・・いやダメだな。提出の仕方は一つしかないな。
「それで、盗賊のアジトに鍛冶師協会の職員を案内することが可能だが、そちらは今日これからやろうか?」
「うちの職員ではなく、騎士団の者を案内してほしいのだが・・・・・・」
ワーレンの言葉に俺は首を傾げるフリをする。
「俺は鍛冶師協会から任務を請け負ったのであって、騎士団の対応は範囲外だぞ」
「むぅ。そう言わずにだな・・・・・・竜革100枚追加でならどうだ?」
なんか、変な取引の流れになったな。
「こちらは一過性の100枚の竜革よりも、継続的に入手する手段の提供を望みたいのだが」
「そうは言っても、うちのギルドに所属していない者に便宜を図る訳にもいかないのだよなぁ」
では、所属していれば良いのか。
「この前の焼肉パーティの日に会った我が家の若いドワーフの娘を覚えているか?」
「ん?ああ、あのデカい姉ちゃんか?」
酔った時に、その言葉を言ったらヘッドロックの刑が待ち受けているぞ。
隻眼でも容赦してもらえなかったし。当人は全く記憶に残っていなかったが。
「ああ、あの娘は探索者のLv10なのだが、近々鍛冶師の試験を受けさせようと思ってな。
ドブローで受験して鍛冶師になれたら、素材を融通してもらえるのか?」
「おいおい、鍛冶師なんて探索者Lv10だからって誰でもなれるとは限らないのだぞ」
いやいや、我が家に限っては問題ないのだよ。
「まあ、合格しない可能性もあるが、する可能性もあるだろう?
仮に合格したら、竜革の素材やダマスカス鋼の素材を
普通より安く融通してもらえることは可能なのか?」
「ドブローではダマスカス鋼は争奪戦だから難しいな。
だが、竜革なら逆に可能だ。
けどな、仮にその娘が鍛冶師に合格したとしても竜革が扱えるようになるのは、
経験を積んでからずっと先で・・・・・・ん?今、竜革が必要だと言ってるのは何故だ?」
ワーレンの言葉に俺はニヤリとしながら。
「この前の晩にいたミラという娘は我が家で二人目の鍛冶師を目指している。
我が家には既に腕のよい鍛冶師が一人居てな。
だから、ダマスカス鋼や竜革が必要なのだ」
「そうか、二人目か・・・・・・うーん」
ワーレンが悩みだした。これは脈があるのかないのか。
「その娘が鍛冶師試験に合格したら、竜革を使った装備品を生成する委託作業を許可しよう。
委託作業というのは、
ギルド所属の鍛冶師に一定数の素材を渡して規定の装備品を生成して納品する作業契約だ。
通常はこちらの提供する素材の3/4を使って装備品を生成して、
残りの1/4を鍛冶師が受け取るか、もしくはそれに該当する金をもらうかという内容だ。
鍛冶師に装備生成の経験を積ませる事と生活の保障を兼ねた施策の一環だな」
「なるほど。1/4を対価としてもらっても良いのだな」
あと確認しておくことがあるな。
「その装備品に納品するための標準というのはあるのか?
鍛冶師の生成する装備品というのは、鍛冶師によってバラつきがあるだろう?」
「確かにバラつきがあるが、よほどヘンテコな装備品でない限りは問題ない。
納品時に確認するからダメな装備は受取拒否するが、普通に生成すればほぼ問題ないぞ」
じゃあタケダ菱がちょろっと入っていても問題ないか。地味なのはこういう時、役に立つな。
タケダ家標準品として生成して、空きスロットが多い装備は我が家で使うことにして別の装備を納品すれば、空きスロット付きの装備が効率良く量産できるな。
そして、1/4の素材も手に入ると。願ったり叶ったりだ。
どの程度の納品数を求められるのか分からないが、何もないよりは良いだろう。
レベリングをしっかりやれば、ミラも直ぐに竜革レベルの生成が可能になるだろうし。
「通常なら新米鍛冶師には竜革の作業は任せられないが、
ベテランの鍛冶師がいるのなら回してやろう」
「そうか、それは助かる。宜しく頼むな」
アミルも別にベテランという年ではないのだがな。
「だが、それはミラとかいう娘が鍛冶師に合格することが条件だぞ。
ダメだった時はどうするつもりなのだ?」
「こちらも無理を言ってる自覚はあるので、ダメでも騎士団を案内するぐらいはしてやるぞ。
だが現地に案内して、先程説明した昨日の午後の出来事をただ説明するだけだ。
騎士団を動かしたり日程調整したりするのは、そちらでやってくれよ」
ワーレンが苦い顔をしたが、ドブローの住人でもギルド所属でもない俺が騎士団と調整など無理な話だ。
「分かった。それはこちらでやるが流石に今日の今日は無理だから、
決まったら、あんたの住まいに手紙を送るので、それで対応してほしい」
「構わないが、昨日遺棄した死体は酷い状況になると思うぞ。
あと、盗賊の増援が来たり、証拠隠滅を行う場合もあるから急いだ方が良いのでは?」
ワーレンの顔は再び苦い表情に。
「言ってることは分かるが、こちらとしても騎士団が動いてくれないことにはな」
「どちらにしても、こちらは連絡を待つから。
それとミラの鍛冶師の試験だが、受験可能な日程を教えてほしい」
ミラの付き添いも俺がやるか別の者に任せるか。
一度はドブローに連れてこなければならないので、行きは俺で帰りはレイモンドに任せるか。
「明日、明後日は職員が多く居るから、午前中でも午後でも対応可能だ。
それ以外の日程は、明後日に来てから確認してくれ。
個人での受験だから、料金は5000ナールだ」
「分かった。ミラと相談して明日か明後日かのどちらかに来るようにしよう」
2日間もあれば、調整は可能だろう。受験料もベイルと同じかな。
「騎士団との調整はどうする?インテリジェンスカードをこれだけ持っていけば、話も早いと思うのだが・・・・・・」
苦笑しながら、インテリジェンスカード34枚を積み上げてみせた。
このカードの山があるのとないのとでは、騎士団との調整の難易度が変わるだろう。
「ああ、もう畜生・・・・・・確かにそうだな。
今から俺が騎士団の所に行くから、お前も付いてきてくれ」
「構わないぞ」
結局、調整しようと思ったらステークホルダーが全員揃わないと無理なのだから想定内だ。
山ほどあるインテリジェンスカードも盗賊だと分かれば、強力な説得材料になるだろう。
懸賞金を獲得するだけなら、どの街で提出しても良いが、盗賊がたくさん居たことの証明が必要だからドブローで提示するしかないのだ。
現場に行けば大量の遺体はあるが、まずはそこまで行くことを説得しなければならないし、遺体が盗賊であるのは現場では分からない。
ワーレンが騎士団に出向く準備をしている間に竜革の素材400枚受領した。
さきほどは、ダマスカス鋼の工房で延々収納作業をしたが、ここでも同様。
無心で単純作業を繰り返した。
その後、ワーレンと騎士団の詰所に向かった。
対応した騎士はワーレンの説明した内容を最初は信じなかったものの、大量のインテリジェンスカードを提示したことで状況が一変して騎士団のお偉いさんが出てくることに。
そのまま、騎士団所属の冒険者を連れて現地にフィールドウォークで飛ぶ羽目になった。
ドブローには冒険者のジョブを持った騎士団員がいるのだな。ベイルはどうなのだろうか?
南北のアジトに移動して、冒険者と随行した騎士の者に淡々と説明。数多くの遺体も見せた。
騎士団員の者達も驚き半分、呆れが半分だったが、なんとか理解してくれたようだ。
これで、証拠隠滅は防げたのかな。
昨日のうちにほぼ盗賊団を壊滅させたはずだが、直ぐにここに増援するような迂闊な真似をするだろうか。
そもそも壊滅したことを知らなければ、連絡のために来たりするのか?
後は騎士団に任せるしかないのだが、いろいろと推測してしまう。
結局、解放されたのは、お昼をかなり過ぎてからとなった。
それでも思っていたよりは早く終わったと思う。
受け取った懸賞金は白金貨を優に超えた。
兇賊が何人もいたからなぁ・・・・・・でも、そんなことよりも腹が減ったよ。
気力を振り絞って鍛冶師ギルドに戻り、ワーレンに報告。
「騎士団の対応はなんとか終わった。後は任せるしかないからな」
「そうか、お疲れさん、こっちはこれから大量の事務仕事だよ。ったく」
今日だけで終わるとは思ってなかったので、騎士団の動きは非常に良かったな。
もっとも終わったのは俺だけで、騎士団もワーレンもこれから作業満載のようだが。
「これで、盗賊達がドブローに出没しなくなると良いな」
「その通りだが、どうなることやらな。被害に遭う者がこれ以上増えないことを祈るばかりだ」
全くだな。
リファ達はそういえばどうしたのだろうな。
まあ、もう会うこともないのかもしれないが。
ワーレンに会釈をして、鍛冶師ギルドを後にした。
クーラタルの自宅に戻って、遅めの昼食を食べよう。
エネドラ達が作ってくれる昼食を思い浮かべて気分を上げながら、自宅にワープで戻った。