異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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016.新居への引っ越し(昼)

 後ろ髪を引かれるが、迷宮入口から立ち去り、昼飯にすることにした。

 ベイルの街の門を通り過ぎ、新居に向かって歩き、念のため荷物が来てないことを確認。

 この前の世話人の店に向かったが、特に家具類の運び出しはしていないようだった。

 

 ドアをノックして、世話人と話をした。掃除はすべて完了したらしい。

 これから荷車に荷物を載せるので、それが終わったら持っていくとのこと。

 俺は新居で昼飯を食べることにした。旅亭で手に入れた弁当があるので。

 

 新居に戻り、裏庭に回ったり、鍵を開けて玄関から廊下を見渡すと、まあまあ綺麗に見えた。

 こんなものか。特段、汚いとも思えない。すごく綺麗という程でもないが。中古物件だしな。

 玄関に土間とかはないのだけど、土足禁止にしよう。

 せっかく綺麗になったのだから、汚すのは忍びない。

 アイテムボックスから比較的裏面が綺麗な皮の靴を出して、中履き用にした。

 元の世界のスリッパが恋しい。

 装備品だからピッタリフィットで靴擦れとか起きないけど、ゆったり目の履き物が欲しいよ。

 

 食堂にする予定の部屋に入り、座って昼食にする。まだ、テーブルもダイニング用品もない。

 それでも、ボイルの宿の飯は美味い。残念だったのは、新居には飲み物がないこと。

 コップも買ってないので、後で買わないと。

 探索用に持っていった水を入れたペットボトルがあったから良かったのだけど。

 

 まだ、荷物が来る気配がないので、旅亭に行ってチェックアウトしてこよう。

 ボイルから鍵を受け取って自分の借りた部屋に行き、大きな荷物は、ワープで直接、新居の食堂につないで、荷物だけ置いてきた。これで、もう忘れ物はないはずだ。

 原作主人公にはヒロインと過ごした思い出とか描写されていたが、俺にはそんなものはない。

 それは、新居に期待しよう。

 

 ちょっとした手荷物だけ持って、店主であるボイルに鍵を返却。

 これからも食事だけ取りに来る事を伝えると、にこやかに快諾してくれた。

 旅亭でやることはなくなったので、新居に戻った。

 

 コボルトハンターのガルム達には、宿を引き払ったので、これからは俺がガルム達の宿へ訪ねていくことにすると伝えないとな。

 新居の場所を教えても良いけど、この家もいつまでいるか分からないしなぁ。

 

 まだ、家具は到着していない。結構な量だし、慎重に扱ってほしいので、良いのだけど。

 廊下に設置されている納戸に倉庫2を設定した。倉庫1は俺の主寝室の納戸に設置した。

 倉庫1は装備系、倉庫2は素材や食材系のアイテムを格納していく予定だ。

 厨房横の納戸には食糧庫を設置してみた。

 何を入れられるのかは、未確認だが、気分だ、気分。

 新居に少しウキウキしている自分がいる。

 

 これから荷運びするので、ジョブ編成を腕力上昇するジョブで固めよう。

 と言っても、鬼武者、英雄、剣士、賞金稼ぎしかない。

 その分、ボーナスポイントは腕力上昇に99ポイントまで突っ込んでおいた。

 探索者と武器商人は迷宮でセットしておいたままだ。

 他に引っ越しに有用なジョブがないから、もういいか。

 

 食堂でイロイロ考えていると、玄関のドアがノックされた。荷物が到着したようだ。

 ドアを開けると、2つの荷車にいっぱいの家具がある。

 結構な量だな。でも、これらは俺一人で降ろして、運ぶつもりだ。

 他人を家にあげたくないし、俺の家は土足厳禁なのだ。

 そのために腕力上昇に99ポイント突っ込んだのだから。

 

 ベッドは、割と楽に持ち上げられた。

 そのまま玄関のドアを抜けて、食堂やら廊下に自分で運んでいく。

 運んできた奴隷っぽい人たちがドン引きしているけど、気にしない。

 

 問題は、風呂用の巨大な桶なのだが、これもなんとか持ち上がった。

 腕四本を使わず、二本だけでも楽勝だった。奥の手はとっておく..というか見せられない。

 そのまま玄関を抜けて、廊下に置いた。うん、なんとかいけたな。

 寝て明日起きたら、筋肉痛とかになってなければよいのだが。

 

 一回では運びきれないので、作業者達は一度店に戻って、第二陣の荷運びを行うようだ。

 また来たら、ドアをノックしてくれと頼んで、いったんドアを閉めた。

 俺は廊下に置いた第一陣の家具を各部屋に運び入れる。

 

 一階の家具類はそのまま腕力に任せて移動させた。風呂用の巨大な桶も問題なく設置出来た。

 二階への家具はワープで繋ぐか。近距離だけど、でかい家具を運ぶとMPが削られるかな。

 

 ボーナスポイントに念のためMP回復速度をMAXにして、残りを腕力に振る。

 家具の壁のそばにワープの入口を開いて、運び入れる先にワープの出口をつないだ。

 家具を持って通り抜けたが、距離が近いだけあってか、MPがグッと減る感じはなかった。

 

 主寝室にキングサイズのベッドを、アミルの部屋候補にシングルベッドを運ぶ。

 風呂桶よりは小さめな桶2つも風呂場に設置した。

 これは掃除やら飲み水に使う水を貯める桶にするつもりだ。

 

 掃除は、道具がないので、後でクーラタルに買いに行こう。

 でも、水は必要になるのだから、今のうちに出しておこう。

 ジョブのセットは、MPに有利な武器商人、騎士、僧侶、賞金稼ぎをセットと。

 

 ウォーターウォール...っと。風呂桶の上に水の壁が出現。

 特に、ウォーターウォールの下側が風呂桶の底面にダメージを与えてる感じでもない。

 これで、風呂桶の底が割れでもしたら、大声で叫び声をあげて、発狂してるところだ。

 

 遊び人のジョブも得ていないので、並行して水を出すことも出来ない。

 壁が崩れるまで待つしかない。意外と待つ時間が長く感じる。

 まあ、そうでなければ、迷宮で使いにくい。風呂の取水のための魔法ではないのだし。

 

 やがて、壁が崩れて、水が桶の底面に広がった。高さは、6センチ前後か。

 底面も多少の凹凸があったりしているので、キッチリと高さを測るのは難しそうだ。

 再び、ウォーターウォール...っと。

 そういえば、この風呂桶のサイズを測っていなかった。メジャーを取ってこよう。

 

 迷宮探索用のリュックからメジャーを取り出して測ると240cmだった。

 3メートルよりは全然短かった。じゃないと、新居のでかいドアでも搬入できなかったよな。

 

 240cmの二乗に高さを40cmで、2304000cc。カルク便利。

 約2300リットルか。2.3トンってことだよな。ハハ。

 でも原作の計算では1.5トンだったけっか?その約1.5倍の重量。

 

 入浴する人数によっては、40cmの高さもいらないかもしれない。今回は俺一人だが。

 測ったウォーターウォールが確か360リットルなので、6回~7回?

 さっき、ウォーターウォール1回分の高さを測ったら6cmぐらいだったから40cmの高さにするのなら、だいたい合ってるのか?

 

 うーん、俺と原作主人公でウォーターウォールのサイズが異なるのか?

 もしくは、ウォーターウォールの水の密度が異なるのか?

 遊び人が取得出来たら、2回1セットとして4セットで適量にすることが出来るのか。

 全然問題なさそうだが、あとは、火魔法の回数次第か。

 実は水力よりも火力に魔法が必要だったのか?

 

 今、2回までやったが、この状態で一度、風呂桶の掃除をしたいな。

 そんなに汚れてもいないのだが、初回だし綺麗なお湯に入りたい。

 

 それにしても・・・・・・240cmってかなりデカい。本当に、よく玄関から搬入出来たな。

 あっ、というか、玄関のドアがやけにデカかったのって、これを入れるためだったのか?

 前にみせてもらった初めの物件だと入らないよな。

 この巨大なタライを入れるためにカスタマイズして、家賃も滞納(?)して夜逃げされたら、たまらんよなぁ。

 全て、想像でしかないのだが。

 

 でもこれ、クーラタルに新居借りても持っていけないかもしれないな。

 クーラタルで新たに買うしかないか?でも、デカくて便利なのだが。

 

 おっと、第二陣の家具が到着したようだ。ドアがノックされる音が聞こえた。

 廊下を歩きながら、ボーナスポイントの割り振りを脳筋モードに変更。

 玄関に行き、ドアを開けると、残りの家具を満載した荷車が2つ来ている。

 先ほどと同様に俺は荷車から直接家具をつかんで、玄関のドアをくぐってドンドン手近な場所に置いていく。

 

 もはや、作業者達はそれを見ているだけだ。

 取り出しやすいように、多少、荷台の端の方に動かしてはくれているが、ただそれだけ。

 気にせず、ドンドン運んじゃえ。うん、10分ぐらいで運び入れ完了だ。

 

 意外に順調に終われたので満足だ。

 俺は運んできてくれた作業者達に礼を言って、引き渡し作業の終わりを告げた。

 作業者達は苦笑いしながら、何とも微妙な顔で、帰っていった。

 

 さて、残りの家具をとりあえず設置してしまおう。

 第一陣と比べると巨大なものは少ないが、二階の家具はひょいひょいとワープでつないで設置場所に置いていく。

 食器棚やら食堂用のテーブル、椅子はすぐそばなので、ワープも使わずにそのまま移動。

 ほぼ完成だ。まあ、何とかなるものだな。後は使いながら微調整すれば良いな。

 

 正味、全体作業時間は1時間半もかかってないのではなかろうか?

 

 今日の食事は食材アイテムと交換で、旅亭で食べることにしよう。

 調理器具も食材もないので、本格的に料理するのは厳しいだろう。

 料理人ジョブ取得用に、軽く料理するかもしれないが。

 家具の移動は粗方終わったので、探索者のアイテムボックスから次々と素材系アイテムを取り出して、倉庫2のアイテムボックスの方に移し替えた。

 

 まだ、食器も調理器具も雑巾すらないので、後で買い出しに出かけないとな。

 そういえば、今日は市の開かれる日ではないから、買い出しはクーラタルまで行かないといけないのか。面倒くさいな。

 

 各部屋や廊下に照明を設置していこう。ついでに今日入手した魔結晶が拠点の魔結晶に融合可能かどうか試してみよう。

 まずは黒魔結晶を融合...うん、既存の青魔結晶に融合されて、蓄積された魔力が増えた。

 黒魔結晶は予備があった方が良いので、とりあえずストックしておこう。

 魔力は俺の方で充電しておこう。ちょうど、ボーナスポイントでMP回復に振ってるので。

 

 先に掃除用や装備品を拭くための雑巾(布)とか日用品を買った方が良いな。

 一度、クーラタルに行ってくるか。

 リュックや大き目の袋などを持って、玄関からクーラタルの冒険者ギルドに飛んだ。

 冒険者ギルドの職員に6区の場所を聞いて、6区の雑貨屋の店に行くことにした。

 店に入ってみると、やはり商人のオネスタさんが居た。ここは原作通りなのだな。

 

 とりあえず、当座必要なものをどんどん買っていく。コップ、皿、お椀、スプーン、ナイフ、包丁、まな板(?)、ミル、フライパン、鍋(大中小を更に複数)、雑巾(布のたば)、薪、鍬とハーブの種。

 掃除道具(モップの出来損ないや箒)、コイチの実のふすま、お茶を入れるためのポットっぽいものとヤカンもどきとハーブティーの茶葉等々

 オネスタさんは商人なので、3割引が有効だ。

 かなりの量を購入したので、3000ナール強ほど飛んでいった。

 店の裏手の目立たない木陰から、ワープで自宅の玄関に戻った。

 玄関に農具とハーブの種を置き、食堂のテーブルの上に調理器具やふすま等を並べ、掃除道具を持って、風呂場に向かう。

 風呂桶に溜まった水を小さな桶で掬って、清掃に使うタライに水を移した。雑巾にするための布をタライの水に浸す。

 武器商人のアイテムボックスから、今日入手した装備品を取り出して、並べていく。

 

 汚れた鎧や剣を濡れた雑巾で拭っていく。

 装備を手入れするのなら油が必要か?今まで、特にやってなかったな。

 買ってくるか、迷宮で入手するか。ただ、すぐに売ってしまうのなら油を使う必要はないか。

 今日はとりあえず水拭きして、乾かすだけにしておこう。

 

 装備品の洗浄をしながら、水がちょっと減ったなと感じたらウォーターウォールで補充。

 結構、苦行だ。こんなに何かを一生懸命、洗浄したことがあっただろうか?1時間程度だが。

 まあ、装備1つあたりにかけている時間は少ないので適当ではある。

 ただ、自分が今後使いそうなものだけは念入りに洗浄した。硬革系の防具とか。

 

 空き部屋に洗浄済の装備品を並べて、冷暖房装置を設置して、暖房を動かした。

 これで、ちょっとは乾くのが早くなるだろうか?革や皮製品には良くないとかあるか?

 異世界の装備品のタフさを信じて、暖房を動かしたまま様子見することにした。

 ダメなら、次回から陰干しだ。

 

 風呂場に戻って、残った水を使って、風呂桶をゴシゴシこすりながら、更に水で流す。

 下部にある栓を外して排水して、更にウォーターウォールで流してと2回繰り返した。

 まあ、こんなものか。気持ち綺麗になった気がする。

 

 魔法使いモードにボーナスポイント編成を変更して、ウォーターウォールを出す。

 元の世界から持ってきた石鹸とか、着替えなどをカゴに入れる。

 風呂桶に入った水を飲料用や清掃用の桶にちょいちょい移し替える。

 そういった合間にウォーターウォールを繰り返して、風呂桶の水位を上げていく。

 畑に撒く水も必要だな。少し大きめで持ち運び可能な桶の方にも水を補充した。

 

 装備品の乾き具合を見るために、空き部屋に行くと、結構湿度が高かった。

 窓を開けて、ちょっと空気を入れ替えた。カビとか心配だな。

 送風もドライ機能はないけど、後で冷房にしておくか?焼石に水かな。

 

 玄関に置いてあった農具とハーブの種を持って、勝手口から出て裏庭に行く。

 裏庭は、雑草は抜いてあった。荒れてはないが、畑とはちょっと言い難いな。空地だ。

 比較的日当たりが良さそうに見えるところを耕してみるか?

 その前に、ボーナスポイントを脳筋モードにしてと。

 

 買ってきた鍬を使って、1m四方くらい耕す。腕力は偉大だ。ほとんど疲れを感じない。

 一応、畝っぽいものを2本くらい作ってみる。種を撒く感覚はよく分からないので適当だ。

 風呂場から水を入れた桶を2つほと持ってきて、水も撒いてみた。

 これで本当に芽が出るのかは分からない。

 

 だが、結果としてジョブに農夫は増えていた。収穫まで待つことはないようだ。

 原作でも、畑仕事をちょっとやって終えたあたりで取得出来てたのだから似たようなものか。

 農具は、外にある納戸に収納した。次に農作業をやることが本当にあるかは分からないが。

 

 勝手口から戻って、外で使った桶を水洗いして、またウォーターウォールで補充。

 風呂桶のお湯の量はこれで十分かな。後はファイヤーウォールで温度を上げるだけだ。

 水の入った桶を持って、今度は厨房に行くことにした。石鹸づくりかカルメ焼きか。

 

 まずは、薪をセット...キャンプの時にやったうろ覚えで...は危険だよな。

 サバイバル教本の図を参考に置いてみた。

 小さめの鍋に水を半分ほど満たして、薪にはライターで火をつけた。

 なんとか火が付いたが火力調整がなかなか難しそうだ。

 まあ、お湯を作るだけなら、なんとかなるだろう。

 

 やがて、沸騰してお湯が出来たので、ミルで削っておいたシェルパウダーを投入。

 原作通り、ぶくぶくと泡が出てきた。

 

 で、泡が少なくなってから、コイチの実のふすまを投入。分量はまあ適当だ。

 かき混ぜながら少しずつ入れていくと、褐色のドロドロの液体ができた。

 あとはひたすらかき混ぜて、なるべくドロドロにしていく。

 こんなものだろうか?いったん鍋を火から遠ざけて、冷ましておく。

 

 うまくいったようだ。錬金術師のジョブが取得出来た。

 この石鹸(もどき)を、この後使うかはちょっと考えものだが。

 化学実験がうまくいったからといって、商品として成り立つかは別問題だ。

 俺自身が人体実験の材料になるのかも別問題だ。

 

 料理は...ちょっと食材が手元にないな。調味料系はあるのだが。

 クーラタルで何か買ってくるか?その前に乾かしておいた装備品を見に行こう。

 うん、ちゃんと乾いたな。暖房はいったん止めて、武器商人側のアイテムボックスに収納。

 二階に移動して、予備の武器は主寝室側の倉庫1に移し替えた。

 窓を開けて、外を見ると、まだ日暮れまで少し時間がありそうだ。

 クーラタルで買物するために、玄関からクーラタルの冒険者ギルドにワープ。

 

 クーラタルの店を適当にぶらつきながら、少しお高めのパン、野菜と果物、肉とオリーブオイルっぽいものを適当に購入して、適当な木陰から新居の玄関にワープで戻った。

 買ってきた食材だが、拠点構築スキルの食糧庫に無事、格納出来た。

 結構、便利かもしれない。あとは、食糧庫に格納して、どの程度、鮮度が保てるのかだよな。

 冷蔵・冷凍機能はさすがにないとは思う。

 肉でも野菜でも収納時は同じようなふるまいだったので、片方が冷蔵で片方が冷凍を自動で判断ということもないだろう。

 冷凍が可能なら、氷魔法を得てから、アイス作って保管しておきたいけど、無理だろうな。

 

 お試しで、拠点に1万ナール収めてみた。利子がついたりはしないだろうけど、何となくだ。

 拠点の魔結晶にはちょこちょこと俺の魔力を補充している。

 1日1回夜に残魔力の確認をしよう。気づいたら、魔力切れで全館停電とか困るし。

 日もそろそろ暮れそうだし、夕飯にするかな。

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