今日の朝練の相手は・・・・・・ミラ。
昨日の朝に引き続いてだ。
そして、右手に木の槍、左手に盾を持っている。
何かタンクとして開眼したのか?それとも昨日の二の舞?
ミラの目は真剣な眼差しで、こちらを見据えている。
昨日の模擬戦が終わった時のような肩を落として自信を失った姿とは全く違う。
それでも木の槍は両手武器だ。
この世界のゲーム仕様では片手で扱えるのは特別なスキルを持つジョブの者で、鍛冶師では無理なはず。
とはいえ、何か考えがあるのだろう。
空中で持ち換えるとか?・・・・・・まあ、お手並み拝見するしかないな。
まずは槍の間合いギリギリのところまで距離を詰める。
彼女は槍を片手で構えたまま。
その状態では使いこなせないはず・・・・・・さらに距離を詰めて、こちらも木の剣を・・・・・・振るう前に鋭い槍の突きが飛んできた!
しっかりと体重を乗せた突きだ。
危うく剣で流して、更に距離を詰める。
なら、盾は使えないはず・・・・・・横薙ぎの斬撃で打ちのめす・・・・・・のを盾で受け止められた!
何故?木の槍も鋼鉄の盾もしっかり機能している。
今は詮索は後回しだ。
こちらも斬撃の速度を上げていく。
盾で受けられ、槍でも受け流され・・・・・・今の彼女は昨日とは別人のようだ。
だが、更に回転を上げれば・・・・・・かろうじて盾の脇から差し込んだ木の剣が入り、槍を振り上げたタイミングで腕にも一撃を入れる。
そして・・・・・・ミラは負けを認めた・・・・・・が笑顔だ。
さすがに昨日の今日でここまで修正をしてくるとは思わなかった。
というか、木の槍をかなり使いこなせている・・・・・・そして、自分の利点でもある盾の扱いにおいても問題がない。
いったい何が?
急に未知の盾職か槍職のジョブが生えてきた?
いや、それにしたって俺の知らないところでジョブ変更はできないはず。
(鑑定)
ミラ(ドワーフ族 ♀ 15才 奴隷)
鍛冶師Lv47
装備 木刀 鋼鉄の盾 竜革のジャケット 竜革の靴 ダマスカス鋼の額金 竜革のグローブ
さすがに鍛冶師のままだよな。
(!)
木刀?・・・・・・木の槍じゃない!
あれは木の槍の長さと形をした木製の片手剣なのか?
前にアミルが木製の槍で物凄く長い槍を作って俺を欺いたように、鍛冶師のミラが木刀を槍っぽく武器生成したのか。
ただ、今回の彼女は初見殺しの小手先のテクニックのために武器生成した訳ではないな。
戦った感じではしっかりと攻防一体となっていたし、これからも戦っていけそうな手法だ。
だが、あれは木刀だぞ?・・・・・・槍ではないのだが、槍っぽく使えればそれで良いのか?
長さも槍のようで、剣で払うというよりは刺突剣のように使って突き出すのか。
それでもゲーム仕様上は片手剣の攻撃力しかないはずだが、それはそれで問題ない?
片手剣だから、もう一方の手で盾も持てるが・・・・・・うーん。
本人がそれで良ければ良いのか?
ミラの方に近づいていくと、彼女の周りにアミル、オリビア、ヘルミーネが。
この三人が入れ知恵したのか。
「驚いたな。右手にあるのは片手剣なのだろうが、
模擬戦の間は槍を持つ者と戦っているようにしか思えなかった。
様になっているし、迷宮でも十分戦えるように感じられたぞ」
「ありがとうございます。
アミルさんに武器生成の相談に乗ってもらって、
この木刀でオリビアさんとヘルミーネさんに訓練してもらいました」
やっぱりアミルか。
槍と考えるのなら、オリビアの使っている槍よりは若干短いか。
長槍と短槍の中間ぐらいの長さかもしれない。
だが、見た目は完全に槍だし、射程も完全に槍そのものだ。
「それで、ユキムラ様にミラからお願いがあるそうです」
「むっ、お願いというのは?」
ヘルミーネの言葉にミラは先程とは打って変わって挙動不審な態度になった。
「あの・・・・・・アミルさんとヘルミーネさんからも聞いたのですが、
複数のジョブを使うことをご主人様が許可していると・・・・・・それで、
私は鍛冶師とは別に剣士のジョブに就きたいのですがダメでしょうか?」
「剣士か」
剣士ということは、剣匠になって、その後は剣聖?
複数のジョブ運用はヘルミーネかアミルあたりの助言だろうか。
それにしてもドワーフの剣聖?見た目が槍使いなので剣聖っぽくないだろうが。
でも、槍っぽい片手剣を扱っていくのなら、剣士系のジョブはアリなのか。
剣聖までジョブを取得すれば、腕力中上昇の効果もあるのだったな。鍛冶師と同じ効果だ。
ただ、剣聖のスキルは二刀流前提のアクティブスキルだから剣匠の方が良いのか。
剣匠のスキルはスラッシュで片手剣でも問題ないし。
「ミラが剣士のジョブで戦いたいのなら、
拠点にいる時と迷宮で戦う時とで使い分けるのは問題ないと思う」
「本当ですか。ありがとうございます」
ミラも周りの三人もニコニコ顔だ。
「アミル、ミラを剣士にして、この武器を使う場合にはタケダ家としては別の問題があるな?」
「はい。武器の特殊性の件ですね。
タケダ家の武器は標準品を使うことをルールとしているので、
ミラちゃんしか使えない武器は問題があるという指摘ではないでしょうか?」
アミルの発言に頷いた。
「その通りだ。
だが、ミラの特殊な片手剣については例外扱いにしたいと思う。
あくまで利用する者を少数に絞って実験的に利用するという扱いだ。
だから、ミラの片手剣だとダマスカス鋼なら・・・・・・エストックということになるのだが、
この形状のエストックを何本か武器生成して
空きスロットの多めのエストックを作成するのを許可するし、
スキル融合して攻撃力2倍や詠唱中断、HP吸収などのスキルを付与するのも許可しよう」
「よろしいのですか?良かったね、ミラちゃん!」
先程の俺の発言で一気に不安な顔になったミラの顔に、笑顔が戻った。
「あくまで利用主体はミラだが、俺もその片手剣を使ってみたくてな。
こういう変わった形状でも、使いどころによっては思わぬ効果を発揮する場合もあると思う。
いきなりダマスカス鋼で武器生成するのではなく、
もう少し下位の素材でいろいろと試してからエストックを生成するようにしてみてくれ。
鋼鉄で生成した武器を迷宮で使うのも許可するので、
戦い方ももう少し修練場で皆から助言をもらってから実戦に投入しよう。
あと、同じようなタイプという意味ではマヤにも、
この武器やジョブの運用については役立つかもしれないから皆でいろいろ考えてみろ。
剣士系のジョブについてはレドリックやモニカの助言も役立つだろう」
「はい。皆さんに相談してみます。ありがとうございます」
そのギミックっぽい片手剣を俺も使ってみたいのだよなぁ。
やっぱり鍛冶師が複数人いると、いろいろなことが起きておもしろいな。
ミラを我が家に迎え入れて正解だったと思う。
・・・・・・
石鹸20セットの入ったデカい荷箱を両手で抱えて玄関に向かった。
今日は侯爵とセルマー伯の子供の喧嘩バトルを野次馬がてら見学すると予想している。
そのついでに石鹸の納品も済ませてしてしまおうという魂胆だ。
遠目に映る姿は荷物の配送を行う作業員ではないだろうか。
このまま、ボーデの城に行くのだよな。ちょっと目立ってアレだが。
まあ、仕方ない。わざわざ荷運びのために同行する者を加えるのは人材の無駄遣いだ。
俺はプレイングマネジャーなのだから問題ない。
何をプレイしているのかというと説明が難しいが。
ボーデの冒険者ギルドにワープで移動して城に向かう。
初めに災害救助で来た時と比べると雪もスッカリ溶けているが、ここで転んで石鹸をオシャカにでもしたらカシア様の逆鱗に触れるだろう。
そんなことになったら、野次馬見学どころではなくなってしまう。
落とさないように慎重に歩きながら騎士団詰所に到着。
ワッペンを提示して、用向きを伝えた。
さほど待つこともなく、いつもの執務室へ案内された。
待ち受けるいつもの三人。最近はカシア様も待ち受けてることが多くなった。
待っているのは俺ではなく、俺が抱えているブツなのだろうけど。
木箱を抱えながら挨拶をして入室し、石鹸の納品の件を伝えた。
満面の笑みのカシア様に迎え入れられた。
今日のメインイベントは伯爵関連のはずだが、石鹸の到着で全てを持っていかれたような。
何やら我が家の石鹸についての賛辞が並べられたのだが、曖昧な会釈をしながら石鹸を取り出した納品に勤しむことに。
石鹸箱の数が確認され、1箱2500ナールで20箱の合計で5万ナールの代金を受領。
カルク持ちではないので3割アップはなし。
話題をぶった切りたかったのか公爵様から予定通りの発言が。
「これからセルマー伯の所へ行く」
「すみません、タケダ様。閣下が日程はその方がよかろうと。
セルマー伯の所へは本日伺うことになりました」
カシア様はニッコニッコなので、全く申し訳なさそうな雰囲気ではない。
こちらも面倒事は早く済ませたいので都合が良い。
「なに、どうせすぐに終わる。タケダ殿とて何度も来訪するよりよかろう」
「よろしくお願いします」
「承知しました」
予想通りなので全く問題ない。
今日は初めからその想定だったので、パーティは解散してある。
公爵領の冒険者のパーティに加入させてもらい、セルマー伯の居城までフィールドウォークで移動した。
城のロビーのような場所だ。
この場所は例のセ二号作戦の折には移動用絨毯が撤去されているのだろうか。
時間限定で絨毯を使ってるのかも。でないとセキュリティがガバガバだしな。
セルマー伯側の騎士が出迎え、案内をしてくれるようだ。
「冒険者の方はここでお待ちください。冒険者を除く五名の方は私についてきてください」
案内の騎士に連れられて、奥の通路に入っていく。
俺の1stジョブは既に探索者にしてあるので、付いていくことは何の問題もない。
かなり長く歩かされて、階段もいくつか上がったりしながら目的地らしき場所に着いた。
エスカレーターもエレベーターも無い世界だから仕方ない。
最近、ワープに慣れていたのでアップダウンのある歩きは久しぶりな気がする。
「伯爵が中でお待ちです」
「うむ。おまえ達二人はここで待て」
付いてきた二人に公爵が告げた。
入るのはやはり公爵様、カシア様、俺の三人か。
公爵様が残る二人のうちの一人にオリハルコンの剣を渡した。
帯剣禁止なのだろうが、カシア様は丸腰で俺も武器の類は装備せずアイテムボックス等に仕舞ってある。
扉が開けられ、三人で中に入った。
一応、最後に入るようにした。
思っていたより広くはない謁見室らしき場所の先には、小太りのエルフ族の男性が座っている。
これがセルマー伯か。
原作通りだったか、騎士Lv21で40才。
そして、小太りでもイケメンなのか。
小太りでエルフだとコミカルに見えるはずだが、ゲーム補正でイケメンに見えるのだろうか。
イスの後ろに絨毯・・・・・・ではないな・・・・・・デカい垂れ幕らしきものがかかってる。
これに向かってセ二号作戦の時にはフィールドウォークをしろということか。
俺の借りているワッペンのロゴと同じなのだから、ハルツ公のエンブレムだ。
謁見室にハルツ公のエンブレム入りの垂れ幕がある理由がよく分からないが、ここはハルツ公関係者専用の謁見室なのだろうか。
「さあ、タケダ様」
カシア様に促されて、慌てて進んだ。
公爵様の後ろに来て、頭を下げた。
とにかく頭を下げておけという話だったはず。
俺を追い抜いて、カシア様が公爵様の横に並んだ。
これから茶番が始まるのか。早く終わってほしい。
「ハルツ公閣下、よく参られた。カシアも久しいの」
「はい。叔父上におかれてもご健勝そうでなによりです」
初めに話をするのは、カシア様なのか。
・・・・・・
なんだか分からない話がそれなりにされた後に今日の本題に入った。
「して、その者が?」
「この者が見事、兇賊のハインツと狂犬のシモンを倒したタケダ殿じゃ」
今回はシモンも倒したことが確認されているからな。
「僥倖であったの」
「この者の手にかかればハインツやシモンを倒すことなど造作もないこと。
タケダ殿には領内の迷宮退治にもご助力いただいておる」
確かにハインツもシモンも超速スキルで瞬殺したな。
特に具体的な話は公爵様には伝えていないはずだが、話を適当に盛っているのだろう。
『僥倖』ということは運が良かったと言っているのか。
本当はハルバーで出現するはずだったのが、ターレで偶然発見できたのだから運が良かったというのは事実かもしれない。
倒したのは実力だけど。
「それは羨ましいの。我が領内は騎士団ばかりでてんてこ舞いだ」
騎士団の者も殺されたと言ってたものな。
「ハインツ一味も討伐できなかった騎士団に迷宮を征伐できるのか、もちろん注目しておる」
「騎士団がハインツ一味を倒せなかったのはそちらも同じではないかの」
「セルマー伯爵もタケダ殿にご助力を願ってはいかがか」
「他を頼らねばならんような騎士団では苦しいのではないかの」
この辺りから子供の喧嘩のような感じなのか。
「そういえば、ハインツの一味が指輪を装備しておったそうじゃ。そうだったな、タケダ殿」
「はい、その通りです」
頭を下げたまま、公爵様の言葉に応じた。
ここでようやく、俺が発言。
だが、正直言って早く終わってほしい。
子供の喧嘩のようなやりとりに飽きて、こっそりとアミル部隊の部隊編成のマップを開いて攻略状況をさっきから確認していた。
この場にいると、アミル達がピンチになってもいきなりワープで移動などできない。
とっとと、この謁見を終わらせてほしいのだ。
ラファもフラウスも上位ジョブに就けたから、直ぐにピンチになるとは思ってないのだが。
「防具鑑定をさせたところ決意の指輪と出た。セルマー伯爵の方で心当たりはないか」
「い、いや。知らぬの」
そういえば、ボーデでは決意の指輪の件を確認しなかったな。
「であるか。ならば指輪は余の方で所持しておこう。
もし必要だというのなら売却することも考えないではない」
顔を上げてないから、セルマー伯がどのような表情なのかは窺いしれない。
ところで、決意の指輪はまだ俺に所有権があるはずなのだが、俺に無断でそのようなやり取りはどうなのだろうか。
「ところで、ハインツの一味を倒したのは冒険者だと聞いたが、そのようなことはあるまいの」
ようやく、話の終わりが見えてきた。
「そんなことは」
「であろうの。何かの間違いだの」
「と、当然じゃ」
『冒険者ではなく、百鬼夜行です』と言いたかったが我慢だ。
その後も、グダグタなブラフの応酬。
カシア様が諫めようとしたが、ガン無視されるなど原作通りの展開。
「分かりました。疑いを晴らすために、
私のインテリジェンスカードのチェックをしていただきましょう」
後ろに控えていた案内をしてもらった騎士の所に、ゆっくりと歩いて向かった。
セルマー伯も騎士だが、さすがに偉い人の所に近づいていく訳にはいかないので、ここは原作通りの対応だ。
その後もゴタゴタとやりとりの応酬が。早く終わろうぜ。
やがて、意を決したセルマー伯から指示が。
「・・・・・・やれ」
俺の前の騎士の者がインテリジェンスカードを表示する詠唱をした。
「ユキムラ タケダ様。ジョブは探索者です」
残念ながら俺は人間族ではないので、色魔のジョブをセットして場を凍らせる手は使えず、原作通りの対応をした。
「話は後日改めて伺おう。今日のところは失礼させていただく」
公爵様は一方的に宣言をすると、出口に向かって歩き始めた。
ようやく帰れる。
カシア様に続いて俺も退出した。
外に待機していた二人とも合流してロビーの方に向かってズンズン歩いていく。
公爵は少し怒っているのだろうか。それとも、ポーズなのか。
・・・・・・
ロビーから冒険者のフィールドウォークでボーデの城に戻ったところで、沈黙していた公爵様が口を開いた。
「タケダ殿、すまなんだ。セルマー伯の居城にも当然遮蔽セメントは使われておる。
冒険者を入れないというのは古くさい伝統にすぎぬ。
まさか持ち出してくるとは思わなかった」
「タケダ様が冒険者だというお話は、
実家から連れてきている私の侍女の誰かから聞いたのでしょう。
きちんと口止めしておくべきでした」
侍女じゃなくて、弟からバレたのではないのだろうか。
ハインツ一味が討伐されたこと自体は嬉しい話だから、秘密にするのは難しかっただろうけど。
・・・・・・
その後は執務室に移動して、反省会?・・・・・・と言っても原作通りのやりとりが展開されただけで大した話はなにもなし。
探索者のジョブに予め変更していたことにも賛辞をいただいた。
「それとこの間預かった指輪だがな。
確かに決意の指輪で間違いないそうじゃ。
対価として金貨二十枚を支払おう。それでよろしいか」
「・・・・・・」
今、我が家には金貨400枚以上ある。
金はいくらあっても良いのだが、金貨よりも欲しいものが・・・・・・エリクサーや威霊仙・・・・・・はさすがに無理か。
セルマー伯との迷惑料と決意の指輪の対価で金貨20枚は安過ぎる気もする。
ハインツ一味を倒した懸賞金はもらったが、あれは公爵様からの褒美とはちょっと違うよな。
我が家は身代わりのミサンガが標準装備なので、決意の指輪を持っていても倉庫の肥やしになるとはいえ。
「閣下、タケダ様は迷宮探索をされているのですから、
装備品の対価には装備品で報いるべきでは?」
「むっ、そうか。確かにな」
カシア様のナイス援護射撃。
石鹸20セットの納品効果だろうか。エネドラの手柄とも言える。
「では、城の武器庫にある装備品の中から、好きなものを一つ持っていくがよい」
「ありがたく」
キタキタ・・・・・・こういう報酬はウエルカムなのですよ。
「そうか。それなら話が早い。
今からゴスラーに案内させるので、武器庫に行って好きなものを持っていかれるがよい」
「ありがたく」
もう直ぐにでも行きましょう。
「武器庫にあるものならどれでも、二つ持っていかれるがよい」
「二つもよろしいので?」
「世話になっているからな」
先程もまで一つと言ってたのに、二つになった。
ターレ迷宮の探索の進捗のおかげなのか、今日の対応が良かったのか・・・・・・多分、そのどちらでもないと思う。
カシア様の顔を見たとたん、二つに増えたので石鹸効果に違いない。
『これからも石鹸を多く納品させるのだから報酬を増やせ』と。
・・・・・・
執務室を出て、ゴスラー騎士団長に付いて歩き、武器庫らしき場所に案内された。
「ここが武器庫でございます」
「なるほど」
早く入って鑑定祭りをしたいのだが、グッと堪えてポーカーフェイス。
室内に入ると武器庫と言いながら防具も置いてある。
この世界では武器屋には防具は置いてないが、ジョブが関係する訳でもないから関係ないか。
そして、原作通り、オリハルコンの剣が大量に置かれている。
「やはり、それに目をつけられますか?」
「オリハルコンの剣が大量にありますね」
これをもらいに来たのだから、目を向ける先は当然これだ。
他にもざっと見たけど、有用そうなものがなかった。
防具は空きスロットの数が1つのものしかなかったし。
そもそも場所を取るからというのもあるのだろうか。
「有用なのですが、使いこなせる者が少ないので」
「そうですか・・・・・・」
一つ手に取ってみると、確かにダマスカス鋼の剣よりは重いな。
「おおっ、さすが。しっかりと鍛えておりますな」
「日々、迷宮に通ってますから」
ターレでは、時々アリバイ工作だけしてる時もあるけどね。
これをタケダ家で使いこなせるのは俺以外だと・・・・・・オリビアは槍二刀流だからダメか。
あれっ、今のところは俺だけ?
まあ、そのうち増える人材の中にも使える者が出てくるかもしれない。
今は稀少な武器を手に入れることだけを考えよう。
その後は原作にもあった『限定』の話題もゴスラー騎士団長が触れてきた。
ギルド神殿を使えば、ダマスカス鋼の槍を片手で使えるようになるとかあるのだろうか。
さすがにダメか。
原作でもデュランダルを愛用していた主人公が盾を持っていた描写はなかったよな。
慎重な原作主人公が限定付きのデュランダルを使っていて盾を全く扱わなかったのだから、限定にしても両手武器は両手武器のままか。
ミラのためにダマスカス鋼の槍を片手仕様にすることはできないか。
貴重なギルド神殿の使い方としてはアレだが。
迷宮をたくさん討伐すれば限定をそのうち利用する機会もあるのかもしれないが、重さの制限を外すのならオリハルコンの両手剣や片手剣、槍が対象になるのかな。
オリハルコン製の方が空きスロットが多い可能性があるが、空きスロット5つの武器を手に入れても重さ制限で利用者が限られると宝の持ち腐れになる。
デュランダルの限定を解除するのは・・・・・・タケダ家ではない気がする。
皆で便利に使えるデュランダルの方がトータルではプラスだと思うし。
結局、選んだ2つのオリハルコンの剣は空きスロットが2つと3つが一つずつ。
50本近くあったようだが、空きスロット5つ、4つの確率はそれぞれ1/150、1/75だから仕方ない。
そうそう都合よく、空きスロット4つや5つの武器は入手できないか。
他にもオリハルコンの槍があったけど、空きスロット1つしかなかったし。
オリビアの今使っているダマスカス鋼の槍の方がよっぽど有用だ。
それにしても、公爵様は当主になって暫くは限定付きを使っていたけど、成長したら使わなくなったと言っていたよな。
エルフだから腕力補正の種族特性はないだろうし、聖騎士でレベルが上がると腕力補正が増えて、オリハルコンの剣が持てるということなのか。
公爵様の聖騎士のレベルは大して高くなかったはずだが。
聖騎士にも活躍の場があるということか。
やはりレベル上げはゲーマーの性・・・・・・ではなく、このいせはれの世界を上手く渡り歩くためには必要だということだ。
オリハルコンの剣もヴィルマあたりは使いこなせるかもしれないか・・・・・・百獣王には腕力補正がないからダメか。
他に誰かいないかな・・・・・・それ以前に空きスロット3つだとイマイチか。
やっぱり隻眼の取得が先決なのだな。オリハルコンの素材を集めることもだが。
ゴスラー騎士団長に案内と武器2つの礼を言って、城を立ち去った。
空きスロットの数が微妙だが、初めてオリハルコンの武器を入手できたのだからヨシとするか。
アミル達の方はマップを見る限りは順調に探索を進めているようだ。
ラファがはしゃいでなければ良いのだが、アミルとフラウスがいるから大丈夫か。
護衛部隊が待っているから、急いで帰ろう。
適当な木陰から自宅にワープで戻った。
お読みいただき、ありがとうございました。
題名は『セルマー伯対応』なのに武器に関する考察ばかりの話でしたね。
でも、一度整理しておきたかった事なので記載してみました。