異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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018.ザビルへの出店に向けて(その3)

 午前中のターレの迷宮探索を終えて、昼食のために戻ったら伝言が届いていた。

 

「ザビルの奴隷商館から伝言が来ております。

 旦那様が迷宮に行っている間に届けられましたが、いかがいたしますか?」

「昼食を終えたら、ザビルに行ってくる。

 その場で交渉になるだろうから、俺が出向かざるを得ないだろう」

 当主の了解を得たので話をしたいということらしいから、俺が行くしかない。

 

 それにしても、本当に当主やコルトを納得させられたのだろうか。

 ミシェルが優秀なのか、ヘルマン爺さんが弱っているのか。

 

「カラダンには伝言があったことは既に伝えてありますので、同行できると思います。

 私はこの家の増築工事の対応があるかもしれないので、残念ですが留守番をいたします」

「そうだな。俺の代わりに何か判断ができるのはエネドラぐらいだろうからな。

 悪いがここにいてくれると安心だ」

 今日からクーラタルの増築工事が始まっているので致し方ない。

 

 工事のために渡す迷宮ドロップ品もエネドラに預けておいた。

 武器商人でアイテムボックス持ちだから、とても助かる。

 そして初日だから、俺の留守中に既に細々としたと問い合わせがあったようだ。

 確認ばかりのようだったらしいが、確認しないと先に進められないことも多いのだろう。

 工事が軌道に乗れば、エネドラがいなくても問題ないと思っている。

 

 

 既に前日の夜の会議で主立った者で議論をして、奴隷をタダ同然でもらえるのなら防具納品の助力をする方針は決めてある。

 実際には全員をタダでもらえるとは思っていないので、こちらの欲しい者を中心に譲渡してもらい、それ以外の奴隷はカラダンのOJT中に売り払ってもらって構わない。

 OJT中に奴隷の購入費用が発生するだろうが、それは今後も同じだから仕方ない。

 我が家に迎え入れたい奴隷がいれば、安値で手に入れられるがそこまで簡単ではないだろう。

 時間をかけて人材を集めよう。

 

 

 そして、納品契約の支援の決断が下れば、アミル達に負担がかかることになるのだが快く引き受けてもらった。

 迷宮探索の傍らで対応するというのだから頼もしい限りだ。

 マテウスとニケの夫婦関係には異論が出なかった。

 特にレドリックは沈黙を保ったままで、微妙な表情だった。

 

 ザビルに行って、ミシェルがまとめた具体的な提案内容の確認が必要だな。

 

・・・・・・

 

 昼食後にベイルに移動して、カラダンとピコをピックアップしてザビルへ。

 奴隷商館に行き、マルクの案内で応接室で待つこと数分。

 今日はマルクだけではないようで、数名が入室してきた。

 

 こちらがカラダンとピコと俺の三人に対して、相手は四人。

 奴隷商館側はマルク、コルト、ミシェル、マテウスだ。

 さすがに今度はコルトも同席するのか。

 マルクがミシェルを持て余している気もするが。

 

 挨拶もそこそこに本題に入ることに。

 

「当主の了解が得られたと伝言をもらったので来たのだが、具体的な話を聞かせてもらいたい」

「まずはこちらを・・・・・・」

 コルトの手から書面が提示された。

 

 内容を確認すると・・・・・・随分ザックリとした内容だな。

 

(提案の概要)

防具納品契約について

・防具屋の納品契約の代理納品をタケダ家側で行う

・代理納品の調整ができなかった場合、ウェイランド家が違約金60万ナールをタケダ家に支払う

・タケダ家に以下の奴隷を譲渡する

 マテウス、ニケ、ミシェル、ナナ、サライ、ティナ、ヒューゴ、マチルダ、レベッカ

 

奴隷売買業務の引継ぎについて

・ウェイランド家はタケダ家に対して30日の期間、奴隷売買業務の引継ぎを行う

・ウェイランド家所有の奴隷は引継ぎ期間中に売却する

・ウェイランド家所有の奴隷売却益はウェイランド家に帰属する

 

「代理納品の調整はそちらで行うのだよな?」

「はい。その理解で問題ありません」

 誰が調整するのだろうか。このコルトという男か?当主はあんな感じだから無理っぽいし。

 

「代理納品の調整に失敗した場合、違約金を我が家がもらうのは良いが、

 納品物はそちらに渡せば良いのか?」

「はい。そのようにお願いします」

 ちゃんと書面化しなくて大丈夫か?

 

 コルトが真顔で答えているが、ミシェルの口角が少し上がっているぞ。イジメか?

 

「騎士団への納品は我が家の方で直接行えば良いのか?」

「はい。そのように考えて問題ありません」

 納品実績はタケダ家のものになるのかな。まあ、それはどちらでも良い。

 

「いきなり納品という訳にはいかないだろうから、

 事前の顔合わせなど、騎士団への仲介はそちらでやってもらえるのだろうな?」

「はい。そのように考えて問題ありません」

 

「我が家に譲渡される奴隷が少なくないか?

 マチルダとレベッカというのは村人ジョブの母娘だったと記憶しているが、

 子供の方は未成年だ。

 当人達の許可なく勝手にこちらに未成年を譲渡して問題ないのか?」

「売却ではなく、譲渡なので問題ありません。

 なお、奴隷の子供が親に付いて回るのは通例です」

 本当にアバウトだな。

 

 子供に価値があれば、子供を0ナールにして親の値段を吊り上げてセットで売ると抜け道になりそうだ。

 この世界はそんなものなのかな。酷い話だとは思うけど。

 

「娘の方は14才だったよな。母親だけ先に売却しても問題ないのか?」

「それは困ります。売却するなら娘とセットで」

 制約事項をつけてくるな。

 

「娘は未成年だから売却できないのではないか。

 母親の売却金額しかもらえないのに娘を手放す訳にはいかないぞ。

 成人に達するまでの二年間母娘共々売却するなと言ってるのか?」

「そ、それは・・・・・・」

 グレーゾーンの商売をやってるから、そんなおかしなことになるのかな。

 

 結局、娘の価値も含めてセット販売しているだけな気がするよな。

 別に意図的に母娘離れ離れにさせるような鬼畜なことを考えている訳ではない。

 面倒事を押し付けるのなら、その対価を寄越せと言っているだけだ。

 

 ヒューゴという者は確か、防具屋の息子だったよな。

 奴隷商館を支える四人以外だと防具屋家族3人と村人ジョブ母娘2人か。

 ちょっと寂しいメンツにも思える。

 元々、大した売却奴隷がいた訳でもないし、譲渡してもらった上に引継ぎもしてもらえるのだから破格の待遇ではあるのだが。

 

 防具屋母娘の扱いも気になるな。

 別にこの二人も初めから売却を考えている訳でもないし、母娘バラバラにしたいとも思わない。

 だけど、本当に戦力になるのかどうか・・・・・・エネドラの評価では、最低限の商人としての実力はあると言っていたが。

 他にも気になることがある。

 

「防具屋の借金の扱いは大丈夫なのか?

 譲渡された後に借金が付いてくるのは我が家としても困るのだが」

「あの母娘の借金は手元にある防具を極力売却させて相殺させます。

 その後、当家で奴隷契約する際の引取代金で返却させますが、

 不足分は奴隷になった時点で消滅します」

 それは本当か?

 

 それができるのなら、多額の借金して奴隷になってチャラにさせて、借りた金を誰かに渡しておいて奴隷の自分を買い戻させるという詐欺ができてしまうな。

 その手の詐欺をやると盗賊落ちするのだろうか。

 いろいろと不可解だ。

 

 そういう意味では借金についても、亡くなった旦那の借金を奥さんや子供が支払うというのも、この世界の掟(あたりまえ)なのだろうか。

 債権者の第三者請求禁止やら相続放棄やらといった概念はこの世界にないのだろう。

 

 それでも難癖をつけてくる場合もあるから、最後は決闘で決めたりするのかもしれない。

 

 母親の方はパワーレベリングして防具商人にしてギルド登録も考えるか。

 

 後は・・・・・・もう少し奴隷を譲渡してもらう交渉をするか。

 

「引継ぎ期間中に購入した奴隷はタケダ家の所属奴隷で、

 代金はタケダ家側で支払うという理解でよいか?」

「はい。その通りです」

 引き取る時には、よほど変な奴隷でなければ商売だから買い取るしかない。

 

 確率は低くても、有望株が入ると良いのだが。

 

 

「急で申し訳ないが今の提案で考えたいことがあるので、

 タケダ家の者とマテウスとミシェルだけにして相談させてもらえないだろうか?」

「マテウスもですか?・・・・・・まあ、構いませんよ」

 コルトは不満げな表情を見せながらも、こちらの要求を飲んでくれた。

 

 二人を残して、マルクとコルトは退出した。

 ミシェルは楽し気だ。こちらに残って話を聞きたかったのだろう。

 

「マテウス、君に確認したいことがある」

「はい。なんなりと。それと私達に夫婦関係を認めていただき、ありがとうございます」

 

「まだ、我が家が引き継ぐと決定した訳ではないぞ。先走り過ぎではないか?」

「えっ・・・・・・はい」

 みんな各々の思惑があるのだろうけど、自分に都合の良い未来が来ると決めつけない方が良いぞ。

 

「仮にだが我が家が奴隷商館を引き継ぐとした場合、

 ウェイランド家の所属で売却される奴隷のうち、こちらで引き取りたい者はいるか?

 条件は戦闘ができること、つまり一緒に迷宮に行って戦う者ということだ」

「となると村人ジョブの者は除きますので、10人の中で・・・・・・ということですね。

 最低、探索者を一人は残さないと迷宮探索が厳しくなります。

 10人の戦闘技術は大差ないので、戦闘能力の差はジョブに依存する部分が大きいです。

 剣士か戦士を残すと良いかもしれません」

 やはり俺と同じ考えか。

 

 マテウスとニケが前衛で治療役はヒューゴがいるから、探索者が欲しい。

 探索者含め・・・・・・あと一人か二人は欲しいな。

 

「村人ジョブの三人の中で有望そうなのはいるか?」

「三人の中にはいません。そもそも戦う意志のない者ばかりです」

 そんなものだろうな。ちょっと言い方が気になったけど。

 

「二人の探索者のうち、どちらが良いと思う?」

「レベルに差はあまりないのですが、あえて言えば若い方が良いかと」

 そうだな。レベルが同じぐらいなら若い方が良いか。

 

「剣士と戦士で合わせて四人いるが、選ぶなら若さか?」

「はい。それで良いと思います」

 レベルも面談で見た時に大差なかったしな。

 

「ミシェル、母娘の二人を除いた三人の村人ジョブの中に有望そうな者はいるか?

 君が言っていた学んだ経験がありそうな者という基準でもよい」

「一人いますね」

「その者が何に向いているか想像つくか?

 例えば、商人か薬草採取士などにするのはどうだろうか?」

「正直、全く分かりません。本人に確認してみるのが一番かと」

 まあ、そうだろうな。最後は本人のやる気だ。

 

「旦那様、よろしいでしょうか?」

「なんだ、カラダン」

「特に本人に希望がないのなら、とりあえず薬草採取士にするのが良い気がします。

 クーラタルから取り寄せることもできますが、ザビルで生薬生成をさせても良いと思います。

 商人は私以外にもミシェルさんとサライさんがいますから、

 これ以上商人がいても仕方ない気がします」

 そうだな。この場では言えないが、ピコも防具商人のジョブがあるし。

 

 村人ジョブの者はいずれは売却するかもしれないから、過度の期待はしていないが。

 

「村人ジョブの母娘の・・・・・・特に母親の方は学びの経験はあるのか?」

「母親の方だけでなく、娘の方もありますね。

 あの母娘は何か変な感じなのですよね。具体的に何が変なのかというと説明が難しいのですが」

 ふーん、訳アリには訳アリの理由があるのだろうか。

 

 そちらは、我が家で受け入れることが決まってるから後回しだ。

 

 五人での話し合いを終えて、マルクとコルトを再び迎えて交渉を開始。

 

「母娘二人の売却に制約が付くのだから、もう二、三人奴隷を残してほしい」

「こちらとしても最大限の譲歩をしているつもりですが・・・・・・」

 

 ザビル奴隷商館側はマルクとコルト、タケダ家側は俺とカラダンでの二対二の交渉バトル。

 

・・・・・・

 

「分かりました。探索者1名は妥協しましょう。ですが、それ以上は難しいです。

 こちらとしても長年ザビルで商売をしてきた信用と矜持があります。

 他家の商家に後れをとる訳にはいきません」

「信用?」

 長年、長年ってなんなのだよ。

 

 確かに長い間、商売を維持し続けるのは並大抵の努力ではないだろうけど、今の困窮した状況では虚勢にしか見えないぞ。

 

「我が家に信用があれば、譲歩できるというのか?」

「ウェイランド家以上の信用があるとおっしゃるので?」

 もはや子供の喧嘩のようになってきたな。

 

 公爵と伯爵のオブラートに包んだ言い合いと違い、こっちはガチバトルだ。

 

「逆に訊きたいのだが、ウェイランド家の信用を客観的に示すものを教えてくれ」

「何と言われても・・・・・・ザビルに商館を構えて数十年の実績がございます」

「こちらは、ベイルとクーラタルに拠点を構えて、

 まだ他の街に出店しようという経済力があるのだが?」

「むっ・・・・・・」

 別にこの世界に格付けを示す指標がある訳でもないし、言ったもの勝ちか。

 

「それに我が家にはこれもあるぞ」

「それは・・・・・・」

 ペルマスクの工房で受け取ったワッペンを提示した。

 

「ペルマスクに近いザビルの商人なら、このワッペンの意味は知っているだろう?

 これはペルマスクに入市する際に入市税を免除できる商人に与えられたものだ。

 つまり、ペルマスクから信用された商人の証ということだ。

 そちらにこのような他人から与えられた信用を示すものがあるのか?」

「・・・・・・分かりました。あと一人だけならお譲りしましょう。これが最後です」

 ハルツ公のワッペンもあるけど、悪用禁止と言われたので提示するのは自重した。

 

 ミシェルがとっても楽しそうで、マテウスは微妙な表情。

 お前らのためでもあるのだから、心の中だけでも応援してくれよ。

 

 探索者1名と村人ジョブ1名の譲渡を追加することで合意した。

 我が家の戦闘人材という意味では四名だけだが、売却されるまでは他の者も迷宮探索に連れていけるので何とかなるだろう。

 コルトは一度退室して、契約書の修正版を作成するようだ。

 今日中に契約は終わらせて、納品のための防具生成にかかりたい。

 

「防具屋の母娘は納得していると思って良いのだよな?」

「もちろんです。既に昨日のうちに話をつけてあります」

 

 最悪、話がこじれて御破算になっても、納品契約の違約金はもらえる。

 そして、引継ぎの契約についてもこちらが納得できるものでなかった場合にはタケダ家側から破棄できる条項を増やしてもらった。

 中途半端でも多少はノウハウを吸収できたら別の街で奴隷商館を出店しても良い。

 リスクコントロールはある程度はできているはずだ。

 

 逆に引継ぎと奴隷売却が予想以上に順調に進んだ場合は、双方合意の上で早期に契約を終了できる条項も追加してもらうことにした。

 

 

 コルトが戻ってきたので、修正版の契約書2つに目を通した。

 

 納品契約については、本日から開始で期間は8日間。

 騎士団と今結んでいる契約期日が近いから、のんびりとはできない。

 業務引継ぎの契約は、本日締結するが、実際の引継ぎ開始は防具の納品日の翌日から数えて30日間だ。

 

 

 これで考えられることは概ねすべて考えたはず。

 2つの契約書に双方で署名して、契約は成立した。

 

 マルクとコルトに礼を言い、ミシェルとマテウスにお辞儀をされて商館を後にした。

 

「カラダン、暫くはここに通いになるだろう。

 引継ぎ業務をする傍ら、ザビルの拠点となる店舗探しも頼むぞ。

 ピコと誰か護衛を一人レドリックに付けてもらってくれ。

 俺の方でもレドリックに話を通しておく」

「はい。分かりました」

 移動はピコにお願いすることになるから、ピコの冒険者のレベルをもう少し上げるか。

 

 ザビルはベイルから遠いからな。

 ベイル、クーラタルに続いて、3つ目の拠点になるか。

 だが、まずは納品物の確保からだ。それが終わらないとスタートが切れないからな。

 アミルとミラに納品物を用意してもらわなければならない。

 

 

 ベイルに二人を送り、クーラタルにワープで帰宅。

 

 食堂のエネドラに奴隷商館で納品契約と業務引継ぎの契約を締結したことを簡単に説明して、アミルが戻ってきたら納品契約のことを伝えてもらうように頼んだ。

 納品契約の納品対象と期日のメモを作り、エネドラに渡しておいた。

 

 増築工事の件も確認したが特にトラブルはなく、玄関先にあった厩舎や花壇の取り壊しの問い合わせぐらいだったそうだ。

 厩舎は結局一度も使うことなく、取り壊したな。

 馬での移動も輸送も必要なかったからなぁ。

 

 ピコとラファ、フラウスのパワーレベリングのため、夕食までの残りの時間を魔物部屋の殲滅に費やす。

 

・・・・・・

 

 夕食と風呂を終えて、会議を開催。

 ターレもクーラタルもそれぞれ30階層の攻略ということで、明日の予定確認は軽めに終了。

 

 その後、ザビルの奴隷商館と防具屋の出店について、本日締結した契約内容を詳しく説明。

 

「アミルとミラにはダマスカス鋼の防具の納品で苦労をかけるが、よろしく頼むぞ」

「はい。おまかせ下さい。

 いただいたメモで納品物の確認をしましたが、

 ダマスカス鋼のデミグリーヴ、ダマスカス鋼のガントレット、ダマスカス鋼の額金については

 全て倉庫に空きスロットがない防具がありましたので、防具生成の必要はありません。

 ダマスカス鋼の鎧も1つ在庫がありました。

 ダマスカス鋼のプレートメイル2つ、ダマスカス鋼の鎧2つ、ダマスカス鋼の盾15個のみ

 防具生成が必要です。

 既に作業を始めていますので、早ければ明日中、遅くとも明後日までには揃えられます。

 ミラちゃんは午後の時間を防具生成に使えますから、それほど時間はかからないと思います。

 必要な鍛冶資材も全てありますので問題ないです」

 鍛冶師の二馬力って素晴らしい。

 

 本当に迷宮探索の傍らでやっつけてしまうのだな。

 

「そうか、確認と報告ありがとう。

 メモを読んだから分かってるだろうが、時間はあるので多少後ろにずれ込んでも大丈夫だ。

 無理のない範囲でやってくれ」

「はい。お任せください」

 いつも通りの頼もしい言葉。

 

「防具納品が終われば、カラダンの方はザビルでの奴隷商館での引継ぎ作業が優先となる。

 ミモザの方にベイルの子供達を任せることになるが大丈夫か?」

「既に彼女には話をしており、本人もやる気になっていますから大丈夫だと思います。

 私も相談に乗りますし、増築工事でここを離れられないですが、

 チクルスをフォローや連絡役に入れますから、ポーラの出産の件も大丈夫です。

 食事の準備については、護衛部隊の留守番組にも手伝ってもらいます」

「そうか、分かった。ありがとう」

 拠点の部屋数が増えて、ザビルで良さそうな奴隷が獲得できたらこちらにも回そう。

 

 まずは目の前のことを片づけてからだが。

 

 その後も石鹸や生薬の量産状況などの報告を受け、会議は終了とした。

 

 

・・・・・・

 

 

 アミルと抱き合いながら、ベッドの上でたわむれ合う。

 原作はバトルロイヤルの描写が多いが、俺の方は1on1が中心だ。

 おかげで一人一人との時間が長く取れるので、自分にはこちらの方が向いている気がする。

 

 アミルの桜色に染まった顔を見ていると思わず抱きしめてしまう。

 昼間だけでなく、夜の方でも甘えたくなる。

 

 

「迷宮探索をしながら、鍛冶師の作業をするのは大変じゃないか?」

「ベイルで鍛冶師のジョブを得た時は少しだけそんなことを考えた時期もありました。

 でも、今はどちらも充実感があって楽しいです」

 胸の上に乗ったアミルの頭を撫でながら、彼女の言葉に頷く。

 

 

「オリビアとイレーネは上手くやれているか?」

「オリビアさんは迷宮探索の経験が少ないのにモンスター相手に一歩も引きませんので、

 みんなから一目置かれていると思います。

 イレーネさんは実力ある者には、必要以上に突っかかったりしません。

 ご主人様への態度には目を光らせているようですけど」

 よ、よく見ているなぁ。

 

 

「ミラちゃんも槍もどきの片手剣でオリビアさんとまではいかないですが、

 かなり活躍しそうですし、私も負けないように頑張らないと」

「アミルが皆を指揮してくれているから、俺は安心して護衛部隊の方で迷宮探索できている。

 ありがとうな、アミル・・・・・・」

 アミルがいなかったら、迷宮組の俺抜きの探索は許可しなかったと断言できる。

 

 

 可愛くて、頑張り屋で気配りもできて勇敢に戦う・・・・・・俺には勿体ない娘ではないだろうか。

 

 

 でも、可愛いのが一番だ。

 もう一回・・・・・・。

 

 

・・・・・・




お読みいただき、ありがとうございました。

「ユキムラに 過ぎたるもの 二つあり カラダンの(かしら)に タケダアミル」

戦国時代好きの人しか分からないネタで失礼しました。
本編には記述できないので、後書きに記述しました。
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