ザビルで防具納品の契約を結んだ翌日は何事もなく迷宮ライフを満喫。
翌日も迷宮ライフを・・・・・・と思っていたら待ったがかかった。
思わぬ所から横槍が入った形だ。
ターヘラで瑪瑙を仕入れいるおばちゃんの店から、呼び出しの伝言が届いた。
しかも時間指定というか、朝一で来てくれとのお達し。
鏡の枠か石鹸の箱の件だろうか。
それにしても呼びつけられるような緊急の用件というのは思い浮かばない。
カラダンやエネドラを連れてくるなと指示があるので、一人で出向かざるを得ない。
「とりあえず、用向きは不明だが呼ばれたので行ってくる。
午後からは護衛部隊と迷宮探索ができると思う。
レドリック、皆にもそのように伝えておいてもらえるか?」
「承知しました、ご主人様」
身の危険はないだろうが、海千山千のおばちゃんだから注意は必要だな。
ターヘラの冒険者ギルドにワープで移動。
・・・・・・
おばちゃんの店に着いて、店員の人に用向きを伝えると、奥の部屋に通された。
最近は来てないけど、前はカラダンやアルマーの件でよく使った部屋だよな。
部屋に入ろうと室内を見回すと、おばちゃんの他に見慣れない女性が。
(鑑定)
マリア(人間族 女 49才)
商人Lv39
装備 革の靴
ブランカ(人間族 女 50才)
奴隷商人Lv28
装備 革の靴
もう一人の女性は奴隷商人?俺に用事があるのは、この人か?
というか、この二人雰囲気が似ているというか圧があるというか・・・・・・姉妹じゃないのか?
「失礼しました。部屋を間違えました・・・・・・」
「間違ってないよ!とっとと入りな」
なんで、こんな
「そこの前に座りな」
「はい・・・・・・」
朝っぱらから呼び出されて、生活指導を受ける生徒のような状態。
「えーと、今日の用件というのは?」
「今から、そこの女が説明がするから、黙って聞いてな」
パワハラではないでしょうか。
一応、この世界では17才の若者なのに・・・・・・二回り以上年上の二人に囲まれて圧迫面接。
「どうも初めまして。あなたがタケダ様ですね。
奴隷商人協会の理事をしていますブランカと申します。お見知りおきを」
「はい、よろしくお願いします」
商人ギルドとは別に奴隷商人協会なんてあるんだ。
しかも『理事』。役職名からして偉い人なのかな。
奴隷商人のレベルはそれほどでもないけど。
笑顔のように見えて、目がとっても怖いのですが。
それにしても、その理事様をおばちゃんは『そこの女』呼ばわりしているのだけど。
この理事様も気になるけど、おばちゃんも何者?・・・・・・って思う。
「本日、タケダ様に来ていただいたのは、この街の奴隷商人のアルマーさんに関することです。
アルマーさんのことはご存じですよね?」
「はい」
アルマーが何かやらかしたのだろうか。
ナナイと痴話喧嘩して刺された・・・・・・いや、
「結論から言いますが、タケダ様にはアルマーさんの連帯保証人になっていただきます」
「はあ?」
『なっていただきたい』ではなく、『なっていただきます』とは?
元の世界では常識だが、何も考えずに連帯保証人になると借金地獄への扉を開くことになるぞ。
ここは断固拒否しなければ。
「えーと、お断りします」
「あんたに拒否権はないんだよ!」
えー、おばちゃん、それは酷くない?
「そもそも、なんの事前説明もなしに連帯保証人になれって無理筋じゃないですか?」
「あら、そうですか。
タケダ様は回りくどい説明をされるよりも、
結論から話すことを好むと、そこの女から聞いているのですが」
こちらの理事様も『そこの女』呼ばわりですか。もう帰りたいのだけど。
「それにしたって、端折り過ぎなのでは?
もう少し背景やら理由やらを教えてもらえないですか?」
「説明しても結論は変わらないと思いますが・・・・・・
仕方ありません。それでは説明いたしますね」
俺がアルマーの連帯保証人になるのは決定事項なのかよ。
それから彼女の口から語られた話は予想の斜め上の内容だった。
アルマーには亡くなった父親が残した遺産300万ナール、つまり白金貨3枚があるらしい。
その父親は亡くなる直前に奴隷商人協会の理事である彼女に、アルマーが奴隷商人として一定の資格を満たしたら財産を引き渡すことを依頼していたそうだ。
一定の資格というのは、アルマーが総額で一定金額以上の奴隷を販売すること。
アルマーの父親は自分の死期を悟った際に、今更ながら息子の育て方を失敗してしまったことに気付いたそうだ。
息子を成長させる機会を与えるとともに、それまでに遺産を浪費させないようにブランカさんに支援してもらうように頼んで、この世を去ったとのこと。
このおばちゃんも何か一枚噛んでいるのだろうな。
でなければ、いきなりこの場に登場しないだろう。
この二人の魔女が因縁浅からぬ旧知の仲なのかもしれないけど。
そして最近になって、その一定金額を超えたようで、こうしてブランカさんがやってきたらしい。
この話を聞いて、ようやくアルマーに覚えていた違和感の正体が分かった。
父親が亡くなった後に残された奴隷が全くいなかったり、金欠なのを不自然に感じていたのか。
ザビルのヘルマン氏だって、あの年でそれなりの財力があって廃業間際でも奴隷がそこそこの人数がいるという状況だものな。
あそこは死んだのが孫の方だったけど。
遺産がそれなりにあれば、初めて会った時のような困窮した状況はなかったはずだ。
それはそれとして・・・・・・、
「今の話のどこに連帯保証人の話が?」
「遺産を引き渡す条件には累計売上金額だけでなく、
アルマーさん本人の能力について一定水準を満たしたと保証していただく、
いわば推薦人のような人が必要となります。
連帯保証人は二名必要で、一人はそこの女、もう一人がタケダ様ということになります」
ま、紛らわしい・・・・・・借金の連帯保証人じゃないのかよ。
アルマーと一蓮托生という意味での連帯保証人ではないのだよな。
『連帯』という言葉を使わないでほしい。
嫌がらせでわざと『連帯』と言ってるのではないだろうな?
「俺ではなく、マリアさんとブランカさんの二人で保証人になれば良いのでは?」
「協会側の人間は公正、公平性の観点から保証人にはなれません」
まあ、それはありそうな話か。
協会側と癒着することを排除しなければならないのだろうな。
「それで、マリアさんはアルマーの実力を認めると?」
「最近のあの子は昔と比べれば上手くやっているだろう。
あんたは出会った時のあの子と今を比べてそう思わないのかい?」
まあ、初めて出会った時のアルマーは確かに酷かった。
客の前でしゃべれないわ、奴隷の金額の値付けはできないわでイロイロとダメダメだった。
確かに最近はマシになったと言えるだろう。
「それに、あんたは孤児院で売られる奴隷の値段を下げさせたそうじゃないか?
そのせいで、あの子の売り上げ金額が減って、資格を満たすのが遅れたんだよ。
あんたも無関係じゃないんだから、四の五の言わずに連帯保証人になりな!」
「うっ・・・・・・」
確かにケリーとマリーの奴隷売却金額をゴミのような金額にしたのは俺だな。
でも、それはアルマーも納得ずくだったし、その後に俺はアルマーのために村人ジョブの奴隷を買うことや買った後の育成にもイロイロ手を貸してやったぞ。
言ってみれば、アルマーの育成指導をしたのは俺だ。
俺は無罪だ!
「その・・・・・・連帯保証人の義務や、なった後の弊害は?」
「アルマーさんが一年以内に破産した場合、タケダ様は今後3年間は連帯保証人になれません」
信用を失うのか・・・・・・でも、その程度か?
今後、連帯保証人になる機会があるのかは疑問だが。
『あなたのクレジットカードには、もう与信枠の空きがありません』って言われる方がよっぽど厳しい気もするな。
「そこの女がタケダ様を連帯保証人に推薦しましたので、
タケダ様のことは調査させていただきました。
タケダ様はクーラタルとベイルに家を二軒お持ちで
何やらザビルの方に出店を計画されているとか・・・・・・。
ザビルの商人、コルト氏から伺いました。
それほどの人物であれば、連帯保証人に相応しいのではないかと判断しました」
「えっ?」
コルトの野郎、商売上の秘密の内容をペラペラしゃべりやがって。
確かに契約に際してNDAなんか結んでないから、他人にしゃべったからってペナルティを科せられないのだが。
ザビルでの引継ぎが終わったら二度と取引しないだろうから、もういいか。
ザビルの奴隷商館が廃業することや、後継者で俺が出店を目論んでいることは奴隷商人協会に筒抜けなのかもしれないな。
商人ギルドは街同士の横の連携はイマイチかもしれないが、上位組織がしっかりしていると案外情報収集がされているかもしれないから注意が必要か?
「俺は別に商人でも奴隷商人のジョブでもないのだが・・・・・・」
「ジョブは業務を行う上では重要ですが、社会的信用とは別物ですから問題ありません」
確かに商人や防具商人のジョブを持っていても没落する奴はするしなぁ。
「それにあんたの方が若いから、あたしに何かあってもあんたがいれば
あの子の信用は担保できるだろう」
「う、うーん」
それって、一年以内におばちゃんが死ぬことを想定したシミュレーション?
おれがヨボヨボの爺さんになっても、おばちゃんの方がおばばさまのようにかくしゃくと元気で動き回っている未来が想像できるのだけど。
「あんた、何か失礼なこと考えてないかい?」
「ソンナコトナイデスヨ・・・・・・」
おばちゃん、エスパーかよ。
「それで、連帯保証人になっていただけますね?」
「・・・・・・はい」
外堀をシッカリ埋められてしまったので、逃げ道はない。
すかさず、ブランカさんが書類を差し出してきた。
目を皿のようにして書類をチェックしたが、不備は見つけられず書類に署名をした。
というか驚くほど簡易な文章で、チェックし甲斐もなかったのだが。
おばちゃんの方も俺に倣って署名を終わらせた。
借金の連帯保証人も、こうやって怖い人達に囲まれて署名させられてるのではないだろうか。
「えーと、この後はどのような・・・・・・」
「これから三人でアルマーさんの商館に行きますので、同行をお願います」
「はい・・・・・・」
俺には『はい』と答える選択肢以外は与えられていないのかしれない。
アミルも初めて俺に身請けされて、ベイルの家に連れてこられた時はこんなものだったのかも。
ちょっと反省。
・・・・・・
三人でアルマーの商館を訪ねた。
ドアをノックすると出てきたのは見知らぬ男性。
鑑定すると剣士の奴隷のようだが、俺が育成を手伝った時の奴隷ではないな。
あの時の男の名前は確かブラッドという名だったはず。
ブランカさんが用件を告げると応接室に通された。
今日は外で待つような用件じゃないしな。
暫くするとアルマーがやってきたが、俺達三人を驚きと怪訝そうな顔で見ている。
俺も巻き込まれて連れてこられただけなのだけど。
ブランカさんが話を始めようとするとドアがノックされ、お茶の入ったカップをトレーに乗せた女性が入室してきた。
在籍している奴隷が増えたのかな。
鑑定で見る限り、この女性は村人ジョブの奴隷だ。
ナナイが嫉妬しそうな妙齢の女性ではなく、おばさんだけど。
随分と普通の奴隷商館らしくなってきた気がする。
「アルマーさん、お久しぶりです。ブランカです。
私のことを覚えていますか?今は奴隷商人協会の理事をしています。
よろしくお願いしますね」
「奴隷商人協会・・・・・・こちらこそ、よろしくお願いします。
ブランカさん、お久しぶりです」
アルマーは奴隷商人協会を知っているようだな。そして、理事様とも知り合いだったのか。
協会のことは奴隷商人の新人研修とかで教えてもらったのだろうか。
ダマスカス鋼防具の納品が終わったら、カラダンもザビルの商人ギルドで登録するか。
奴隷商人への転職儀式もしておかないと。
既に奴隷商人のジョブは得ているとはいえ。
「本日はアルマーさんの亡くなったお父様の件でお話があります・・・・・・」
ブランカさんはアルマーに対して、今回の経緯を説明し始めた。
彼も初めは驚いていたが、何か納得したような表情で相槌を打ちながら、彼女に質問している。
会話のやりとりから分かったのだが、彼も父親が亡くなった後に奴隷を召し上げられてしまった事には不信感というか違和感を抱いていたようだ。
借金があったからと言われて書類も見せられたが、父親からそのような話を聞いておらず、とても納得いかなかったそうだ。
だが、奴隷商人協会という名が出てきて奴隷を差し押さえられてしまい、逆らうことができなかったらしい。
その後は資金があまりない中、カラダンの奴隷売却やケリーとマリーの契約を行なった。
そして、最近購入した奴隷三人のうちの剣士にしたブラッドが高値で売却できたことで累計売却金額が基準を超えて、今に至ったようだ。
双子を高く俺に売りつけられていれば、もっと早く白金貨3枚をゲットできていたのかもね。
その場合は今も頼りない奴隷商人のままで、俺が連帯保証人になることもなかったかな。
実際のところは分からないが。
「では、これがお父様の遺産の白金貨3枚です。お確かめを」
「・・・・・・」
白金貨3枚を見ながら、彼の目にはうっすらと涙が浮かんでいるように見える。
亡くなった父親のことを思い出しているのかもしれないし、感謝の言葉が頭に浮かんでいるのかもしれない。
「そして、ここにいらっしゃるマリア様とタケダ様が、
アルマーさんが一人前の奴隷商人であることを認め、連帯保証人となることが決まりました。
その書類にはお二人の署名もありますので、ご確認を・・・・・・」
「はい」
渡された書類を目をこすりながら確認するアルマー。
俺の方は感動の気持ちなどなく、『連帯保証人』という言葉が使われる度に、借金を押し付けられるのではないかというプレッシャーを感じてしまうのだが。
異世界言語スキルの方で、心臓に優しい別の言葉に翻訳をしてもらえないのだろうか。
「ありがとう・・・・・・ございます。
お二人に認められて、ようやく奴隷商人になったのだと実感できました」
『いや、俺は無理やり連れてこられただけなのだ』とは言えない雰囲気。
「これからも、しっかりおやり。あんたの親父さんのような立派な奴隷商人になりな」
「はい・・・・・・」
なんか、おばちゃんに良い感じにまとめられているのだけど・・・・・・まあ、いいか。
おばちゃん二人はアルマーに別れを告げて立ち去ったが、あの二人とこれ以上同じ空気を吸いたくなかったので、用事があると嘘を言って商館に残らせてもらった。
「それで、用事というのは?」
「いや、特に用事というほどではないのだが・・・・・・」
適当に雑談でもしてから帰ろうかな。いや、話すべきことがあるか。
「ちょっと来ない間に結構奴隷が増えたのだな?」
「増えたと言っても二名だけですけどね。
ブラッドが売れて二名増えたから全部で四名です。
結構な資金を得たので、これから徐々に増やしていきたいと思います」
大金を得たからって全力で投資すると失敗するぞ。慎重にな。
「村人ジョブの者を剣士のジョブにしたりしています。
ニムラルさんにお願いして鍛えてもらってますから」
「なるほどね。剣術指南所と連携すれば育成も楽かもな」
確かにあのオッサンに迷宮に連れていってもらえば、探索者や剣士のジョブを取るのはそれほど難しくないかも。
アルマーにとって楽であっても、育成される当人にとって楽とは限らないが。
村人Lv5になって剣士になる前に訓練で死ぬ可能性もあるしな。
ブラヒム語はアルマーが教えているのだろうか。
村人ジョブの者でブラヒム語を話せる者は少ないと思うが。
「これからは地道に奴隷を増やして、
いつか父親のように皆に認められるような奴隷商人になりたいと思います」
「そうか、がんばれよ」
奴隷商人は色眼鏡で見られることもあるってアルマー自身が言っていた気もするけど、見ている人はちゃんと見ているってことなのかな。
資金も豊富に得た訳だから、こちらの計画も少し連携しておくか。
「実はザビルに我が家から奴隷商館を出店させる計画があるんだ」
「えっ、ザビルにですか。
ああ、ひょっとしてカラダンさんですか?
前に奴隷商人のジョブ取得する条件を満たすのをここでやりましたよね?」
やっぱり覚えていたか。
カラダンに奴隷商人のジョブを取得させるために、ここでアルマーの力を借りたよな。
「ザビルに奴隷商館を構えて奴隷の売買をするので、
もし、アルマーの商館とお互いに必要な奴隷を融通し合えるのなら、
今後とも協力し合えればと思ってな。
まあ、魔法使いとか竜人族の奴隷とか。
今のアルマーの資金力なら夢ではないだろう?」
「そうですね。資金的には不可能ではないですね。
ただ、いきなり魔法使いを購入するのも難しいですし、
維持していくためのノウハウもないですから、
まずは地道に標準的な奴隷の売買を積み重ねていければと思います」
地に足のついたものの考え方だな。
商売は堅実にやっていくのが一番だな。
ドブローで盗賊に襲われたザビルの商人達も、絨毯の取引に手を出さなければ死ななかったのかもしれないし。
防具屋や奴隷商館に手を出している俺が他人のことをとやかく言えないかもしれないが。
「まあ、機会があればということで」
「はい。では、出店したら教えて下さい。また奴隷に関する情報交換をしましょう」
テーブルの上でガッチリと握手をした。
「・・・・・・決めました。あとでナナイに結婚の申込をしてきます」
「はっ?ちょっと待て、いきなりそれは拙いのではないか?」
白金貨3枚もらって、舞い上がってしまった?
今までの話の流れで何故、プロポーズの話に?
「何故、結婚の申込が拙いのですか?」
「いや、何故って・・・・・・」
大金を得たからプロポーズって、唐突過ぎないか。安直というか。
「奴隷商人と言えば、それなりに経験を積んだ一角の人物と見なされるものです。
でも、僕には資金もなく抱えている奴隷の人数も少なかったのですが、
奴隷購入の資金にも目処がついて、生活に困窮する状態には当面ならないと思っています。
僕も20才を過ぎて結婚をするには丁度良い時期になったと思っています」
「・・・・・・」
結婚って勢いでするものなのかな。確かに勢いも大事だけど。
でも、
大金ゲット→プロポーズ→失恋→やけになって事業失敗→没落→三年間の連帯保証人資格喪失
という流れがうっすらと見えているのだが。
アルマーも奴隷商人Lv26で、白金貨3枚の資産家。持ち家有。一応、奴隷も複数所有。
カタログスペック上は一角の人物なのかもしれない。
そう考えると、ナナイは玉の輿ということ?
ナナイのパワーなら、アルマーの甘っちょろい玉を
玉を砕かれるとか、男だとキュ~ってなってしまう。大丈夫なのだろうか?
まさに玉砕という状態になるかもしれないぞ。
「ユキムラさんは、僕を信じて連帯保証人になってくれたのですよね?
だったら、きっと大丈夫ですよ。
同じようにナナイも僕を信じて付いてきてくれるはずです」
「えっ?」
この流れだと、アルマーが玉砕したら俺のせいになるのか?
「もうちょっと、奴隷商館の事業が軌道に乗ってからの方が良くないか?
先程は地道に奴隷を増やすと言っていたではないか」
「むっ、そうでしょうか・・・・・・では一晩ゆっくり考えてみます」
一晩しか考えないの?
まあ、アルマーの人生だから好きにやってもらうしかない。
奴隷商人の実力は保証したかもしれないが、人生を保証した訳でもないしな。
経営や転職のコンサルタントっぽいことはしてきたが、結婚相談は守備範囲外だ。
ザビルに引き続き、ターヘラの奴隷商館の買取はしないからな?
フリじゃないからな?
なんとも言えない気分になったが、アルマーに別れを告げて自宅に戻ることにした。