朝練で、ミラとマヤの模擬戦を見学中。
俺の隣にはアミルがいる。
二人は今はそれぞれ剣匠のジョブに就いている。
ミラは剣匠Lv31で、マヤは剣匠Lv59だ。
マヤは剣聖のジョブを得ているが、片手剣のアクティブスキルを使いたいので剣聖にジョブ変更せず剣匠のままレベルを上げている。
ミラの方は自宅にいる時は鍛冶師、迷宮に行く時や朝練の時には剣匠のジョブにしてある。
彼女の片手には木製の槍を模した片手剣である木刀が握られ、盾を構えている。
鍛冶師である彼女が考案中の槍型片手剣をテスト中なのだろう。
マヤの方も盾は構えているが、右手にあるのは普通の木刀だ。
防御主体の二人の模擬戦は思った以上に見ごたえがあった。
同じ木刀でありながら、リーチの長い武器を持つミラの攻撃を上手くマヤが受けている。
マヤは距離を詰めないと攻撃の間合いにならないため、盾を突き出しながら剣の間合いになるように前へ前へと進む。
一方でミラは後ろに下がりながらも、マヤの圧力に負けないように盾を構えて、リーチの長い木刀で牽制をしながら重い突きを繰り出す。
守りの千日手ではなく攻防がしっかりと見られて、なかなか面白い。
「ミラの槍形状の片手剣は実戦に投入できそうなのか?」
「今使っている木刀が1つのパターンの最終形態みたいなので、
このパターンのものでレイピアを一本作りました。
今日は今まで使っていた剣と新しい剣の二本を使って迷宮探索に挑むそうです。
使わない剣は冒険者のヘルミーネさんとレイモンドさんのアイテムボックスに収納して、
戦う相手によって変更しながら試すそうです」
いよいよ、実戦投入か。それはそれとして・・・・・・。
「1つのパターンの・・・・・・ってことは、いくつかパターンがあるのか」
「はい、ミラちゃんはそう言ってました。
剣先と柄の長さが均等のものと、剣先の方が短いもの、
それから剣先が直線的なものと反りがあるものを作って、イロイロ試しているようです。
今、使っているものは通常の槍に近いモノで、先を少し太くしていますね」
ふーん、確かに今使っている木刀は先っぽだけランスっぽいな。
木刀でランスとか意味不明だけど。
反りがあると、薙刀か長巻って感じか。
剣先が柄と同じぐらいなら、長巻に近いのだったかな。
戦闘スタイルによって、いろいろ使い分けるのはアリなのだろうか。
あまり変な戦闘の癖がついても困るけど、剣技を主体としている者達に使い勝手が良い武器が生まれると良いな。
剣匠も剣聖も二刀流が使えるから、リーチのある剣は重宝される気がするんだよな。
俺は槍二刀流もできるけど、さすがにダマスカス鋼の槍の四刀流はまだできない。
上の両腕に槍二刀流で、下の両腕にリーチの長い片手剣の二刀流ならできるだろう。
相手に近づかせずに勝つという戦術が使えるかもしれない。
夢が広がるな。
今のミラの状況だと、その武器が試せそうなのはまだ先だろうけど。
目の前の模擬戦はマヤの勝利で終わった。
僅差の勝利だ。でも、見てて楽しい戦いだった。
俺の前を人影が遮った。
満面の笑みを浮かべたヴィルマの姿が。
はいはい。相手をすれば良いのね。
今日から迷宮組に俺が合流するからなのか、ヴィルマとイレーネはご機嫌な感じだな。
そして、遠目には次の順番を待ちかねているイレーネの姿も見える。
どうして、お前たちは俺を獲物を狙う目で見るんだよ。
肉食系女子というか、脳筋系女子というのか・・・・・・。
・・・・・・
久々に迷宮組が食堂に集合。護衛部隊は既にクーラタルの23階層に向けて出発している。
アミル達と組むのは10日以上ぶりだ。なんか、ちょっと気恥ずかしい。
今日は午後からターヘラやペルマスクに行かなければならないので、迷宮探索は午前のみしかできない。
それでも午前中いっぱいは久しぶりの迷宮組での探索が楽しめるだろう。
別に10日ほど離れてたからといって、新しいスキルが身に付いたりはしていない。
それでも、ワクワクするのが抑えきれない。
朝練の時から、少しそわそわしながら模擬戦をやっていた。
ヴィルマとイレーネも気合が入っていたのは見て取れた。
俺と同じ気分ではないかと思うと、ちょっとだけ嬉しかったりする。
食堂にジッとしていても仕方ないので玄関に移動して、ターレの冒険者ギルドにワープした。
・・・・・・
ギルドを出て迷宮へ歩き始めた。
迷宮組とターレ迷宮まで歩くのは久しぶりだ。
少し肌寒い空気にさらされて頬が少し熱いのが自分でも分かる。
異世界に来てから76日目だから、元の世界で言えば3月中旬か。
まだ少し寒いが、そろそろ春っぽくなってきたと言えるかもしれない。
災害救助支援でボーデの城まで歩いた時と比べれば随分と暖かくなった気がする。
迷宮の入口にいる騎士団の兄ちゃんには、この面子は久しぶりだ。
まあ、かなりの頻度でこちらの人員は入れ替えているから全員を覚えているとは思えないが。
入口が見えてきたが、先客がいるようだ。
俺達以外の迷宮探索者をターレ迷宮の入口で見たのは初めてだな。
ん?でも、なにやら揉めているのか?・・・・・・まさか、盗賊か?
(索敵)
こちらに気付いたのか、騎士団の兄ちゃんがこちらに手を振っている。
あれっ、切迫感がないのだけど・・・・・・。
注意深く、ゆっくりと7人に近づいた。
一人はかなりデカいな。
鑑定すると・・・・・・おいおい。
獣戦士Lv99、獣戦士Lv45、
こいつら、サボーの一味じゃないか。
なんで、こんな所に?
そもそも、原作だとハインツの一味だかシモンを探していた所にヒロインを見つけてドーリットルが追ってきたのだったっけ?
まさかターレの迷宮に原作主人公達がいるのか?
先日、ハインツとシモンは討伐したけどターレの迷宮にいたのは事実だよな。
それにしても、原作に登場したサボー達と比べると、かなりハードモードじゃないか?
ドーリットルのレベルも高いし、竜騎士と魔法使いなんていなかったはず。
サボーのレベルがカンストしているのは変わらないみたいだけど。
ここは様子見しながら、さっさと迷宮に入ってしまった方が良いかも。
ひょっとしたら、原作主人公達のご尊顔を拝めるかもしれないし。
警戒しながら、騎士団員の方に近づいていく。
ドーリットルがこちらを指差して、何かわめいているぞ。
えっ、俺達に用なの?
騎士団の兄ちゃんが6人を制して、俺の方に近づいてきた。
獣戦士Lv99を押しとどめるのって勇気あるな。
まあ、ジョブもレベルも見えないからできる蛮勇だろうけど。
「この者達があなた達の居場所を教えろと喚き散らしていまして・・・・・・お知り合いですか?」
「えっ?」
知識としては知っているけど、知り合いかと問われると違うよな。
「初めて会う連中だ」
「そうですか」
兄ちゃんはヤレヤレという顔になった。そんな顔されてもねぇ。
「そこの女がわが父に恥辱を与えたのです」
はぁ?ドーリットルが指差している先にはヴィルマがいるのだが。
ヴィルマ、こいつらと何か関係あるの?
ドーリットルって高笑いしているイメージなのだけど、今は真剣な表情だ。
サボーはドーリットルのお父さんじゃないよな。原作では呼び捨てにしていた気もするし。
まさか、こちらの世界では父親がシモンってことはないよな?
あいつを殺したのは俺であって、ヴィルマじゃないし。うーん。
ヴィルマの方を見ると、彼女はキョトンとしている。
俺でも驚いている状況だから仕方ない。
ドーリットルの方に目を向けると、物凄い剣幕で怒っている・・・・・・怒っているのだが・・・・・・。
彼女が体を揺らして怒鳴りちらすと・・・・・・頭の左右にあるドリルが・・・・・・たゆんたゆん揺れて・・・・・・目が釘付けに。
ドーリットルって、確か米軍空襲部隊のパイロットだったっけ。
確か原作を読んでネットで調べた記憶がある。
そして、今その横にいるのがサボーか。
サボーって、なんかフランス語っぽい響きだよな。
米仏連合?
こちらは、
タイガーと言えば、ドイツの誇る名戦車の名前。
虎娘を擬人化した戦車のゲームが無かったっけ?
今、
でも元の世界の歴史では枢軸国は負けるのだよなぁ。歴史改変のチャンス?
「ご主人様、ご主人様!」
(はっ・・・・・・)
「えーと、俺は?」
「何か虚ろな目でブツブツ言ってましたけど、大丈夫ですか?」
アミルがドワーフの言葉で話しかけてきた。
あのドーリットルの左右のドリルを見ていて、おかしくなったようだ。
彼女の左右のでかいドリルは、混乱の状態異常を引き起こすスキル融合がされているのではないだろうか?
そういえば、昔の古いアニメに、『ドリルは俺の魂だ』なんて名言があった気もする。
あのアニメのタイトルはなんだったっけか・・・・・・?
あのキャラクターもシモンという名前だったか・・・・・・?
「ご主人様、ご主人様!」
(はっ・・・・・・)
「また、俺は?」
「さっきから、大丈夫ですか?」
大丈夫じゃないな。
彼女は周りに気取られないように、ドワーフの言葉で話しかけてくれているのだが、肝心の俺の頭が使い物にならない。
ドリルおそるべし。
「アミル。申し訳ないのだが、あの女とヴィルマのやり取りを聞き逃した。
あの二人は何を揉めていたのか、分かっていたら教えてほしい」
アミルがドワーフの言葉でかいつまんで説明してくれた。
過去に帝国と隣国で国境紛争があって、ドーリットルの父親は帝国軍として参戦。
ヴィルマは隣国の侵攻軍として参戦した模様。
彼女はドーリットルの父親を戦場で打ちのめして、その部隊を敗走に追い込んだらしい。
ちなみに、父親は戦死していないとのこと。
その父親が戦場で貴族でもないヴィルマ達の軍隊に敗退したせいで、責任をとらされたバラダム家が傾いたらしい。
今はサボーが当主になって盛り返したらしいけど、その父親を打ちのめした兵士が捕虜となり戦争奴隷で売られたと聞いて、復讐の機会を狙って探しまわっていたらしい。
奴隷商人、俺達の情報流していないか?
ホント、この世界の情報セキュリティはゆるゆるだ。
それで、彼女の父親に恥辱を与えたとか喚いているのか。
でも、それっておかしくない?
戦場で勝敗は世の常だろうが・・・・・・まあ、何を言っても聞く耳は持たなさそうだが。
ともかく、あちこち探し回ってここにたどり着いたと。
「分かった。アミル、ありがとう」
ようやく状態異常から復活して頭がクリアになった。
ヴィルマを購入した俺の情報が漏れて、俺達がターレの迷宮攻略を支援している情報もどこかから流れたのかな。
奴隷購入の情報が漏れるとしたら、奴隷商人か。
ザビルでも俺の情報が商人ギルドに流れていたり、奴隷商人協会の理事がこちらの情報を把握していたよな。
エネドラがクーラタルの商人ギルドで得た情報で、公爵領の迷宮探索に外部の力を借りているとウィンドウにも出ていた。
『ターレの迷宮頑張って探索してますよ』アピールのために、わざわざ冒険者ギルドから迷宮まで目立つように歩いていたのが裏目に出たか?
綺麗な女性たちに囲まれたパーティだったというのもあるのだろうか。
種族の違うエルフ達から見て、綺麗に見えているかは知らんが。
うーん。それはさておき、原作通りに決闘をするのか?
改めてサボーの方を見ると、彼は思っていたよりも厳つい体ではなくてスマートな体型だ。
(鑑定)
サボー バラダム(狼人族 ♂ 36才)
獣戦士Lv99
装備
激情のダマスカス鋼剣
頑強の竜革鎧
耐風のダマスカス鋼額金
耐毒の竜革グローブ
柳の竜革靴
身代わりのミサンガ
きっちりと、スキル融合装備に身を固めている。
スピード重視の獣戦士らしい装備に思える。
融合している数や種類が全然違うが、見た目の装備品だけみればヴィルマやイレーネの装備品と大差ない。
風魔法や毒の状態異常の耐性は今回は関係ないな。
竜革の鎧にスライムで頑強が入ってるのと、竜騎士が増えているから要注意か。
靴に回避力上昇がついているのも見逃せない。
ドーリットルのレベルが原作よりも高いことを考えると、サボーのドープ薬のドーピングも50などではなく、20とか30の可能性だってあるかも。
相当な強者で油断できないかもしれない。
それでも、もし決闘するならLv99デスを二発喰らわせて終わらせるから関係ないが。
ただ、今回はスマートで少しスタイリッシュな気もするから、脳筋ではなくインテリ獣戦士なのかもしれない。
赤い点になっているのは、ドーリットルがヴィルマに喧嘩を売ってるからであって、サボー自身は平和主義者の可能性も捨てきれない。
それはともかく他の者も一つ、二つはスキル融合装備を持たされているようだ。
バラダム家が強引に奪ったというのは噂ではなかったということか。
やっぱり平和主義者な訳はないか。
ドーリットルの武器は狂犬・・・・・・ではなく、強権のエストックだ。
彼女が詠唱を中断させ、サボーが攻撃するパターンなのだろうか。
守りの要の竜騎士の女性は頑強のダマスカス鋼大楯を持っている。
この大楯はオリビアと交換で渡した大楯じゃないだろうな?
聖槍を持っている神官とアルバを装備している魔法使いの男性。
この聖槍は空きスロット5つの槍だな。
この男性の魔法使いはバラダム家が没落後にオークションに出されるのだろうか。
彼にはバラダムの家名がないし。
「主、なんだかよく分からないけど、この女と戦って勝てば良いのか?」
「えっ、いやいや、待て待て」
ヴィルマがあっけらかんと言ってくるが、お前が決闘するのはちょっとね。
ドーリットルは原作と違って今回はレベルが上がって獣戦士Lv45で、ヴィルマは百獣王Lv49。
原作よりは表面上のスペックはこちらの方が有利だが、こちらには主人公補正やヒロイン補正がないから油断できないぞ。
「でも、この女は弱そうだし戦うのなら、あっちの男の方が面白そうだけど・・・・・・」
「おいおい」
彼女はサボーを指差している。こらっ、他人を指差さないの!
そして、イレーネとオリビアはサボーの方を獲物を狙う目で見ちゃダメだって。
「★彡■$#&%・・・・・・」
あっ、ドーリットルが壊れた?いや、ヴィルマの発言にキレた?・・・・・・人が口にしてはいけない奇声を発している。
バーナ語と表示されているのに、俺の異世界言語スキルが仕事をしてくれない。
本当に意味不明なことを言っている時は翻訳スキルも役に立たないのだな。
この混沌した状況をなんとかできる気が全くしない。
騎士団員の兄ちゃんに視線を向けると目を逸らされた。
サボーに目を向ける。
家長のお前が混乱を収拾してほしいのだが。
「これ以上、バラダム家を侮辱するようなら、俺がお前に決闘を申し込むぞ」
前言撤回、インテリ獣戦士ではなくインテリヤクザだったようだ。
「こちらには、そちらとの決闘で勝っても何のメリットもないのだが?」
「ふざけるな!」
いやいや、メリットがあるなら指摘してほしいと言ってるだけなのだが。
インテリヤクザじゃなくて、ただのヤクザだったみたいだ。
「こちらの条件を飲むのなら、決闘をしてやっても良いぞ」
「条件だと?言ってみろ」
こちらを見下したような表情で、命令してくる。
「俺が決闘で勝ったら、お前も含めて6人の装備品と持っているアイテムを全て寄越せ。
それが飲めるのなら、その度胸に免じて遊んでやるから」
「ふっ、笑止。
そんな脅しを言えば、決闘を取りやめるとでも思っているのか?」
いやいや、空きスロット5つの聖槍が欲しいから取り止めは困る。
この後、空きスロット5つの装備品なんていつ手に入るか分からないし。
「では、条件を飲むということだな?誇りある男には二言はないな?」
「むっ・・・・・・良かろう。後悔するなよ」
ちょろいな。インテリじゃなくて良かった。
騎士団員の兄ちゃんは、もう何か面倒臭いような表情でいる。
俺も彼の立場だったら、そう思うけど。
「では、仕方がないので、ボーデの城まで皆さんは同行願います。
私が城に詰めている騎士団の者に説明しますので」
「そうか、よろしく頼む」
今、『仕方がない』って言ったぞ。
でも、第三者的な騎士団員に間に入ってもらった方がスムーズに進みそうな気がする。
この迷宮の入口を離れて良いのかという話は置くとして。
ボーデに移動する前に彼をパーティに加え、27階層に案内して規定の料金をいただいた。
そもそも、そのために迷宮の入口まで来た訳だから。
全員でボーデの冒険者ギルドに移動。
そのまま、ボーデの城に行き、兄ちゃんは詰所の中に入っていった。
・・・・・・
「ハルツ公領騎士団のゴスラーである。双方の言い分を確認するので中に入るように」
おう、子爵であるゴスラー騎士団長が直接対応するのか。
同行した者達をその場に残して、俺とサボーだけが詰所の中に案内された。
それにしても、たかが平民同士の決闘のために子爵である騎士団長自らが?
自由民同士の決闘で万が一があってはいけないから、対応する必要があるのかな。
「まず、双方のインテリジェンスカードを確認する。各々左手を出すように」
急いで1stジョブを冒険者に変更して、左手を提示した。
「双方、自由民であることが確認された。次に決闘を行う理由や条件を述べよ」
「サボー バラダムはバラダム家に恥辱を与えたこの者に決闘を申し込む!」
「ユキムラ タケダは、決闘に勝利した場合、
この者達6人の所有する装備品、アイテムを全てもらい受けることを条件に決闘を受ける。
代理人は立てずに自分が決闘を受ける」
サボーの口上がシンプルなのに対して、俺の方はごちゃごちゃ条件をつけている。
俺の言葉に、『お前、
やるなら、徹底的にやらないとな。
それに自爆玉を使われると面倒なことになりかねないから、それを防ぐ手段も講じたい。
「少し待て」
サボーを残して、ゴスラー騎士団長が俺を部屋の隅に招き寄せた。
「決闘においては自分は中立な立場である。
どちらかが有利になるように助言することはない。その前提で確認する。
通常、決闘で勝利した側は一つか二つ装備品をもらい受けることはあるが、
仲間のものも含めて全てと言うのは聞いたことがない。
本当に其方は、全てをもらい受けるつもりであるのか?」
「こちらはしたくもない決闘をいきなり仕掛けられたので、それを防ぐための手段を講じました。
相手がその条件を飲んででも、決闘をしたいと言ってきたので受けました。
さきほどの場でも特に異論を唱えなかったのが、その証拠です。
ルールに抵触しないのであれば、この条件で決闘を受けます」
俺の返事に難しい顔になってしまった。
「ルールには抵触しない」
「では、その条件でお願いします。
なお、相手には冒険者がいるので逃亡防止のために、
決闘開始前に決闘する本人以外の5人分の装備品とアイテムを
騎士団員に提出するように準備して下さい。
提出されたものを私が確認した後に決闘を開始するようにお願いいたします。
それらは書面に明記するようにお願いします」
自爆玉がちゃんと提出されたかを確認しておかないとね。
「そこまでするのか・・・・・・」
「その条件を相手が飲んだ時のみ決闘を受けます。
条件については既に相手は飲んでおりますので、書面にしても問題ないはずです。
書面に則って決闘をやるのですから、後にトラブルが発生することも回避できます」
ここは言った者勝ちだ。言い切ってしまおう。
サボーのいる所に二人して戻る。
「では、書面を用意するので暫く待つように。書面に双方が署名したら、決闘の準備を始める」
サボーと二人で頷いた。
書面にさせて署名させてしまえば、こちらの勝ちだ。
偉い人が書面を用意して、
ターヘラの
ヤクザ相手に紳士のゲームをするつもりはない。こちらは悪の枢軸なのだ。