決闘の書類を持って、ゴスラー騎士団長が戻ってきた。
サボーよりも一歩先んじて書類を手に取り、書面の内容を確認。
先程依頼した内容はちゃんと記載されていたので署名を行なった。
そのまま、サボーに手渡す。
後はお前が署名するだけだと。
サボーは俺が渡した書類に目を通して、少し忌々しそうな顔をした。
「臆したのか?」
サボーにだけ聞こえる小声で囁いた。
俺を睨みつけながら彼は署名して、ゴスラー騎士団に書類を返却した。
「それでは申し出に従い、自力救済の原則に則って決闘を行うことが決定された」
ゴスラー騎士団長が高らかと宣言した。
外にいた者達が呼ばれ、サボー一行と俺達は別々の小部屋に通され、決闘の準備が整うまで待つことになった。
しっかりと彼らの装備品やアイテムを取り上げてほしいものだ。自爆玉も見逃さずに。
それよりも皆に状況を説明しないとな。
「相手のサボーという男と俺が決闘することになった」
「ご主人様、大丈夫なのですか?
あの者達の実力はよく分かりませんが、竜騎士と魔法使いの者がいたようです。
それなりに実力のある家の者ではないでしょうか?」
「主が誰かに負けるとは思えない」
「御館様を倒すのはあたし・・・・・・」
「ユキムラ君、不安なら抱っこしてあげようか?」
心配してくれているのは約1名らしい。最後の一人は含まれない。
「大丈夫だ。こちらにはいくつか切り札がある。
いつも通り、正面からは戦わず搦め手から戦うつもりだ。
勝算はあるので心配しないでくれ」
「はい。でも無茶しないで下さいね」
うーん、決闘に参加している時点で無茶と言えば無茶だよな。
でも、ヴィルマを矢面に立たせる訳にもいかないし、降りかかる火の粉は払わねばならない。
そのついでに、空きスロット5つの聖槍をいただこうかと思っただけだ。
転んでもただでは起きないぞ。
転ばせるのはサボーのつもりだが。
原作に忠実に戦うのなら、Lv99デスを二発喰らわせれば終わりのはず。
身代わりのミサンガを装備していたから、一発目でそれを切って、二発目で倒す。
あとは、超速スキルを使って事故を防ぐために上手く回避をするだけだよな。
それでも万が一のことがあるから、デュランダルとボーナス防具、いつも迷宮で使っている防具も装備する。
身代わりのミサンガも念のため装備。
ボーナス装備のデュランダルとアルフレイルにはレベル補正無視の効果がある。
万が一の事態が発生してLv99のサボーとやり合っても、互角に戦えるはずだ。
ジョブ編成はどうするか。
冒険者を名乗っているから、二刀流や四刀流は見せられない。
デュランダル以外は出せないな。
デュランダルでは状態異常に持っていけないから、刺客や博徒は外そう。
回復のために沙門をセットして、腕力と敏捷が上がる鬼武者と剣聖をセットしておくか。
遊び人には敏捷の大上昇とスラッシュをセット。
こんなものか。
ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)
百鬼夜行Lv65 勇者Lv65 英雄Lv65 遊び人Lv65 鬼武者Lv51 剣聖Lv60 沙門Lv63
装備 デュランダル アルフレイル ダマスカス鋼の額金 ダマスカス鋼のガントレット
竜革の靴 身代わりのミサンガ
ボーナスポイントは、ボーナス装備とセブンスジョブ、ボーナス魔法も一通りセット。
経験値系は外してMP回復に少し振って、残りは腕力と敏捷に均等に割り振るか。
ボーナスポイント(262(初期値198+64(Lv上昇分))
・キャラクタ再設定(1)
・武器6(デュランダル)(63)
・防具5(アルフレイル)(31)(防御力2倍、魔法ダメージ削減、状態異常無効、レベル補正無視)
・鑑定(1)
・パーティジョブ設定(3)
・パーティ項目解除(1)
・異世界言語(10)
・索敵(5)
・拠点構築(5)
・MP回復速度三倍(7)
・腕力上昇(32)
・敏捷上昇(31)
・セブンスジョブ(63)
・詠唱省略(3)
・MP全解放(1)
・ガンマ線バースト(1)
・パーティライゼイション(1)
・Lv99デス(1)
・ワープ(1)
・メテオクラッシュ(1)
余剰ポイント(0)
こんなものかな。
(コン、コン・・・・・・)
ドアがノックされたので、入室の許可を出すと見知らぬ騎士団員が入ってきた。
「装備品とアイテムを回収しましたので、確認をお願いします」
「分かった。皆はここで待っていてくれ」
騎士団員に連れられて別室に移動。
・・・・・・
別室に行くと、ターレ迷宮の入口にいつもいる兄ちゃんもいた。暇なのかな。
案内してくれた騎士団員は兄ちゃんに軽く会釈をすると、装備品がずらっと並べられた場所まで俺を案内してくれた。
「こちらが装備品とアイテムになります」
「確認させてもらおう」
装備品には、聖槍や強権のエストック、アルバなど5人が身に着けていた装備品が5セット全てありそうだ。
身代わりのミサンガが7つあるな。予備まで持ってきたのか。だが、自爆玉がないな。
「これだけではないはずだ。
ちゃんと五人が身に着けているものの中まで確認したのか?
口に中に自爆玉を含んでいないのか、髪の毛の中に隠してないのかとかだ。
五人の中には女性もいたと思うが、
ちゃんと女性の騎士団員に衣服を全て脱がさせて確認してほしい」
「さすがに、そこまでは・・・・・・」
何を甘っちょろいことを言ってやがる。
「こちらは命をかけた決闘を行なうのだが、その意味を理解しているのか?
今言ったことをやらずに、万が一自爆玉などをその5人の誰かに使われて当方に被害が出たら、
見逃した担当者を地の果てまでも追いかけて決闘を申し入れるぞ。
それとも、その5人は決闘場から隔離された場所にいるのか?」
「いえ、決闘の場には身内の者は入れることになっております。でも・・・・・・」
俺が詰め寄った彼にターレの兄ちゃんが近づいてきて、部屋の隅に引っ張っていった。
(あの人はハインツやシモンをアッサリと倒した人で、容赦はしない性格みたいだから言う通りにした方が良いですよ)
(本当か?なんで、そんな凶悪な奴がこの城で決闘をすることになってるんだよ?)
小声でヒソヒソ話をしているつもりだろうが、全部聞こえていますが・・・・・・。
空港の税関をすり抜けてヤバイ薬などを密輸する連中を捕まえるバラエティを見ていると、いろんな所に薬を隠すのはスタンダードなのだけど。
俺としては、尻の●に指突っ込んで確認してもらいたいぐらいなのだが。
自爆玉を尻に隠して発動するのかは知らんが。
でも、元の世界では座薬ってあるから、尻に隠しても発動する気がするな。
尻に自爆玉って、いろんな意味で怖ろしいけど。
少なくともは俺は試してみたいとは思わない。口に入れてやるのも御免被るが。
「分かりました。もう一度確認しますので、少々お待ち下さい」
「待たせてもらおう」
騎士団員が去り、暇になった俺は鎧等を置いて、ストレッチを始めることにした。
いろんな筋を丁寧に伸ばして、首や指をボキボキ鳴らして・・・・・・別に誰かを威嚇しようとしている訳ではない。
決闘という舞台に少しずつだが、血が沸騰していくのを感じている。
たとえ、Lv99デスを二発かますだけだとしても、準備に怠りがあってはいけない。
Lv99デスを使わないバリエーションでも、サボーを仕留めるシミュレーションを脳内で想像しながらデュランダルを振るうイメトレを行う。
そして、この顔はアミル達には見せたくない。
十分なストレッチを行なった頃に先程の騎士団員が厳しい顔をしながら戻ってきた。
「こちらに追加で見つかったアイテムがありますので、確認をお願いします」
「分かった。確認させてもらう」
自爆玉が2つ増えたか。
残念ながらエリクサーはないな。あったら、サボーが持っていくか。
「確認は完了した。問題ない。確認した担当者が誰だか知らないが命拾いしたな」
「・・・・・・」
騎士団員の者は青い顔をしている。
「あとは、ゴスラー閣下からの呼び出しがあるまで、元の部屋に戻っていただいて結構です」
「そうか。ありがとう」
直立不動の状態になった騎士団員を促して、元の部屋に戻ることにした。
俺一人で勝手に動き回って良い訳ないしな。
・・・・・・
元の部屋に戻ってからも入念にストレッチを行う。
正直、体を動かしていないとメンタルが持たない。
武道の試合の直前の状態を思い出す。
盗賊を討伐するのとは違った命のやり取りが始まるはずなのに、口元が緩むのを止められない。
自分の中の凶悪な何かが頭をもたげてくる。
あいつらがタケダ家に喧嘩を売ってきた。
ドーリットルがヴィルマの命をつけ狙ってきた。
その言葉を頭の中で繰り返しながら、その上で頭を冷やせと理性で命じる。
ドアがノックされ、準備ができたので練兵場に来てほしいと伝えられた。
よし、やるぞ。
部屋の外に出て、四人を引き連れて騎士団員の後に続く。
・・・・・・
練兵場の中心には、ゴスラー騎士団長が立っていた。
その傍らにはサボーが既にいる。
四人は騎士団員に連れられて、練兵場の壁の外側の場所へと案内されるようだ。
見学できる場所に行くのか。
中央に進むとサボーの向こう側に5人の姿が見えた。
近くに騎士団員もいる。何か詠唱とか始めたら制止する役目なのだろうか。
5人はマントをかぶって観戦しているようだ。
まだ寒い季節なのに装備品を取り上げられ、マントを被せられたのかもしれない。
なんだかミノムシのように見える。
自爆玉を持っていたのはドーリットルなのだろうか。
彼女を見ると、憎しみを込めた鋭い目で睨みつけてくる。
俺が身体検査など酷いことを命じたのは事実だから仕方ない。
だけど、原作だとサボーに首ちょんぱされるのを救ったのだから、感謝されても良いはずだ。
そんな事情など彼女には分からないだろうが。
背後を見ると、アミル達の姿も見えた。同じく騎士団員が近くにいる。
アミルの顔は少し心配しているように見える。
他の三人は少し笑みが見えて・・・・・・俺が負けるなどと全く思ってないのだろう。
改めてサボーを鑑定しても、身代わりのミサンガは装備している。
まずは、これを切ることから始めたいが、サボーは手に持った剣を見つめている。
そこには腕に巻いた身代わりのミサンガも視界に入ってるから、今、うかつに切る訳にはいかない。
いきなり切れたら、さすがに不審がられるだろう。
ただのミサンガならいざ知らす。
サボーが少し前に出たので俺も前に出ると、ゴスラー騎士団長が後ろの方に下がっていった。
サボーが振り返って、仲間の5人の方に視線を向けると5人は物凄い大きな声でサボーに向かって叫び始めた。
いや叫んでいるのは4人か。
だが、なんだこの大声は、戦いの前の儀式か?ウォークライというやつか?
サボーがゆっくり、こちらに振り返り、ゴスラー騎士団長に向かって頷いたので、俺も頷いた。
始まるのか。
ゴスラー騎士団長が高く掲げた右手を下に勢いよく下した。
決闘の開始だ。
(Lv99デス)
よし、サボーの身代わりのミサンガが切れた。
(Lv・・・・・・)
くっ、クールタイムか。詠唱が・・・・・・。
サボーが物凄い勢いで急接近してくる。
(オーバーホエルミング)
(Lv・・・・・・)
まだダメか。
サボーがもう間近だ。
間に合わないから回避・・・・・・しても、奴の剣が追随してくる・・・・・・こちらもカウンターで。
「ガァー」
短く吠えながら渾身の力を込めてデュランダルを横薙ぎに振るった。
激しい激突音と共に、ブッ飛ばされて地面に転がされた。
「主ぃー!」
ヴィルマの声が遠く聞こえる。
(手当、手当、手当・・・・・・)
痛ぇっ・・・・・・な、畜生。
口の中に血の味が広がる。鼻から血が流れているのも感じる。
ミサンガを見ると、俺の方は切られていない。致命傷ではないということだ。
でも、過去イチでHPを削られた気がする。
ふらつく頭をなんとか起こして前を向くと、腹の部分を血を染めたサボーが急接近してくる。
こちらのデュランダルのカウンターが入ったのだろう。
ヴィルマと模擬戦でカウンターの取り合いの練習をしてなかったら、もっと危なかったかも。
だが、今はそれどころではない。
(Lv99デス)
よし、今度は通った。
あとは、超速スキルを唱えて・・・・・・。
(ゴッ・・・・・・)
再び、サボーの剣が俺の胸をとらえた。
そのまま、サボーと激突して・・・・・・再び、地面に派手に転がされた。
なんでだよっ・・・・・・Lv99デスは発動完了していたぞ。
身代わりのミサンガの予備を装着したのか?
「ユキムラ君ーーー!」
人前で、その恥ずかしい呼び名は止めろっての!
地面をゴロゴロと転がって、止まったので、
(手当、手当、手当・・・・・・)
激痛に堪えて起き上がり、サボーの方を見ると・・・・・・俯せで倒れている。
索敵で見ると、赤い点はない・・・・・・死んだということか。
俺のミサンガはまだ切れていない。
っていうか、ミサンガが切れてくれた方がこの激痛はなかったのじゃないか。
鈍い痛みがある頭で考えるのは止め・・・・・・地面に大の字になって横になり、空を見上げた。
(手当、手当、手当・・・・・・)
二度目はカウンターを入れられなかったから、デュランダルで回復できなかった分はダメージが残ったのだろうな。
痛みが消えて徐々に思考がクリアになってきた。
クソっ・・・・・・事前にイメトレしていたことは全然できなかったな。
それでも、分かったことがたくさんある。
俺が二発喰らったのは、ビーストアタックか。
ビーストアタックは必中攻撃なのか。
俺が回避しようとしても、正確に剣が追随してきたぞ。
ジョブの効果とボーナスポイントの編成で回避にはかなりアドバンテージがあったのに。
そして、二回目のLv99デスの発動完了前に、サボーのビーストアタックは詠唱が完了していたのかもしれない。
先に発動したスキルは、今回の場合では同時攻撃の判定になったのだろうか?
そうでないとLv99デスが通ったのに、こちらが攻撃を受ける理由が分からない。
ゲーム仕様の制約かもしれないな。
一回目のビーストアタックは・・・・・・決闘開始前に後ろを振り返った時に詠唱を始めていたな。
奴の仲間たちがギャーギャー騒いでいたのは、詠唱しているのを誤魔化すためかも。
詠唱をほぼ完成に近づけてから、決闘を開始したのかもしれない。
開始の合図と同時に近づいてきたけど、詠唱しているようには全然見えなかった。
やり方はセコいけど、決闘では勝つことが全てだから称賛したくなるやり方だ。
意外に小技も使える奴だったのかもしれない。やっぱりインテリヤクザだったのか?
今となっては確認のしようもないが。
原作主人公の必勝パターンを妄信して、勝った気になっていた自分が恥ずかしい。
この決闘以外のことでもイロイロと理解ができたことがあるな・・・・・・でも、それは後回しだ。
それにしても俺は獣戦士Lv99のビーストアタックを二回続けて喰らったのか。
よく生きていたものだ。
それでも身代わりのミサンガが切れなかったせいで、激痛にさいなまれていると。
二回とも切れるような攻撃だったら死んでいる訳だから文句を言えないが。
HPが回復してきたので、体を起こして立ち上がった。
ゴスラー騎士団長に視線を向ける。
「終わりだ・・・・・・確認してもらいたい」
掠れる声を絞り出すように依頼した。
彼はゆっくりと近づき、躯となったサボーの確認をした。
「確かに事切れている」
なんとか、サボーを倒せた。
だけど、原作主人公の勝利の方程式は俺にはまだ早いようだ。
歴史上の偉人とは肩を並べられなかったな。
その代わりに獣戦士Lv99のビーストアタックを連続で二回喰らって、生き残った初の人間として記録されたかもしれない。
黒歴史というやつだ。自慢できるような勲章ではない。
(ブッ・・・・・・)
片方の鼻の穴を指で塞いで逆の鼻の穴に溜まった血を出した。
武道のマジ練で鼻血を出した時によくやってたけど、異世界に来てからもやるとはな。
もう片方も同じようにやってスッキリした。
口の中を切った血も、鼻の中に溜まった血も手当をしたからといって、引っ込んでくれたりはしない。
溜まった血は吐き出すしかないのだな。
一つ学んだよ。
今回の決闘はどうすべきだったのだろうか。
決闘開始と同時に恥も外聞も棄てて、オーバーホエルミングとオーバードライブかけて逃げ回りながら、Lv99デスを2回発動すれば良かったのか。
それとも、決闘開始前からLv99デスをかけまくれば良かったのか。
デュランダルで詠唱中断をすれば・・・・・・いや、近づく前にサボーの詠唱が先に完了しているか。
決闘前に後ろの壁まで下がってから、Lv99デスを二回かける間合いにすればクールタイムを凌げたのだろうか。
それもダメか、ボーナス魔法だって無限の射程じゃないから、ある程度は近づかないと。
準備が十分じゃないアドリブでは、俺はこんなものか。
一人反省会は後にするか。
「この決闘、ユキムラ タケダの勝利とする。
ハルツ公騎士団のゴスラーが確かに見届けた。
両者死力を尽くした正当な決闘であると証言する。報復などのないように」
改めて、ゴスラー騎士団長が決闘の結果と終了を宣言した。
確かに原作と違って、両者とも死力を尽くしてしまったな。
俺の方はボロボロだ。2回すっ飛ばされた俺は土塗れで血塗れだし。
恥ずかしさで頬が熱い。
壮絶な打ち合いの末に、辛くも判定勝ちしたボクサーのようだ。
負けた相手は事切れているが。
だけどヴィルマを狙ってきたのだから、同情や後悔は微塵も感じないな。
対人戦の良い経験が積めたと前向きに考えよう。
それにしてもサボークラスの強者が二人で向かってきたら危ないってことだな。
今後の計画も少し練り直しが必要だ。
それはさておき、まだやり残したことがあるな。
俺はサボーの仲間達の方に向かって歩いた。
五人のうち、ドーリットルは呆然としている。
「サボーが・・・・・・なんで・・・・・・」
こちらは話しかけてもダメだな。
竜人族の女性は・・・・・・特になんの感慨もなさそう・・・・・・俺の方を凝視している。冷静か?
他の三人は動揺しているけど、話せそうだな。
「決闘上のことなのでやむを得ぬ仕儀となった。
遺恨のないように願いたい・・・・・・聞こえているか?」
「き、聞こえています。サボーを倒されるような方と諍いを起こすつもりはありません」
神妙な素振りで答えてはいるものの、信用はできない。
何故なら索敵で確認すると、こいつら五人全員が赤色だから。
まあ、どこかの漫画のテンプレじゃあるまいし、
そっちは、死人も出てるし。
俺はボロボロの姿でなんとも情けない状態。
でも、あちらもミノムシ状態なのだから、恰好悪いのはお互い様だ。
ドーリットルは放心状態のようだが・・・・・・俺は君の命を救ったのだけどね。
原作通りなら死んでいる訳だし・・・・・・別に感謝の言葉はいらないが。
冒険者のジョブの者がいるからミノムシでも帰るだけなら困らないはず。
帰った後は大変なことになるのだろう・・・・・・没落は避けられまい。
・・・・・・
練兵場からアイテムを管理してもらっていた部屋に行き、装備品と自爆玉などを回収。
もう一度、練兵場に戻ってゴスラー騎士団長に挨拶。
まだ、ドーリットル達はいるようだ。早く帰って今後のことを考えた方が良いと思うのだが。
「決闘の件、いろいろとお世話になりました」
「ユキムラ殿、驚きました。
何が起きたのか分かりませんでしたが、最低でも二回激しい相打ちが起きたように見えました。
並みの冒険者では耐えきれなかったと思いますが、これほどとは」
それって、褒めてるつもりなのだろうか?
確かにサボーの二回のビーストアタックでも身代わりのミサンガが切れなかったけど。
丈夫なことは良いことだと思っておこう。
「難敵だった。一つ間違えれば、危なかったかもしれん」
いっぱい間違った気もするけど、勝てば官軍だ。
「今日のところはお帰りください。
本日はたまたま私がいましたが、公爵は外に出ております。詳しい話は次回にでも」
「はい・・・・・・」
次回って・・・・・・今日の午後、石鹸と鏡の納品のためにまた来るのですけど。
今日の黒歴史を吹聴する気は俺にはないのだが。午後に来るのが嫌になった。
この血塗れの状態では仕方ないので自宅に帰るか。
午前中は迷宮ライフを満喫するはずだったのになぁ。
ゴスラー騎士団長に挨拶をして、ヴィルマ達のいる所に歩いていく。
ヴィルマを先頭に俺の仲間達が駆け寄ってきた。無駄に心配をかけてしまったかもしれない。
「主、自分も決闘したい」
お、お前は・・・・・・何を言ってるんだ?あのミノムシ達相手に決闘するとか死体撃ちだろう?
あいつら、装備品を全然持ってないのだぞ。
せっかく生き延びたドーリットル含め、放っておいてやれよ。
・・・・・・っていうか、俺に視線を向けているってことは俺とやりたいの?
勘弁してくれ。さっき、ビーストアタックを2発喰らったばっかりだぞ。
百獣王のビーストスラッシュを受けたら、俺は真っ二つになっちゃうよ。
イレーネも『次はあたし・・・・・・』みたいな目で俺を見ているけど・・・・・・止めてください。
ターレ迷宮の入口の兄ちゃんと近くにいた騎士団員に会釈をして、ボーデの城を後にした。
それにしても、我ながら酷い恰好だ。帰ったらエネドラになんと説明したものか。
目の前には興奮冷めやらない二人・・・・・・だけど、ヴィルマの方はイレーネと違った雰囲気か?
少し神妙というか、真剣な気もする。
どうしたのだろうか。戦場でのことでも思い出したか?
自宅に戻るため適当な木陰でワープゲートを開いて、二人をなだめながらゲートに押し込んだ。
本作ではWeb原作になるべく準拠する形でボーナスポイント編成やボーナス魔法を設定してます。
なので、ボーナス魔法はエクストリームドロップデッドではなくLv99デスを採用しております。
ボーナス魔法とはいえ、(例えば戦場で)Lv99の相手をモグラたたきのようにポコポコ殺すのはちょっと・・・・・・と思い、クールタイムを長めに設定しました。
Web原作側の描写では、サボーと主人公の戦闘時間が長い(距離があった?)ように読み取れたので、本作では短めにしてクールタイムが有効となるように私の方で操作しました。
本作主人公にビーストアタックを喰らってもらうためですね。
二発喰らってもらう件含めて、サボー達との戦いはいろいろな意味を持たせています。
全ての伏線を回収できるか分かりませんが、今後のお話もお付き合いいただければと思います。