異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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お読みいただき、ありがとうございます。
昨日に引き続きの閑話です。

新春早々、誠に申し訳ありません。



閑話003 世界で初めての(その2)

「うっ・・・・・・、あっ・・・・・・はあぁ、はあぁ・・・・・・」

「もう、終わったの?あんた見かけに依らずこらえ性のない男だね?

 さっきのミサの時も早かったけど。もう少し頑張んなよ」

 うるせえ、俺は数をこなす方が大事なんだよ。

 

 

(あなたは世界で初めての色魔になれます。色魔になりますか?(はい/いいえ))

 

 な、なんだこりゃ?

 頭の中に何か言葉が響いてきやがるし、文字も見えるぞ。

 色魔ってなんだ?聞いたことないぞ。

 

「おいマコス、どうした?やり過ぎで頭がおかしくなったのか?」

「はあぁ?そんなことあるかよ。サノバ、お前の方こそ遅過ぎるんだよ」

「はいはい、俺はお前と違ってジックリ楽しむのが好きなんだよ」

 

 

(色魔を選択しました。今からあなたは色魔です!この世界で初めての色魔になりました)

 

 はあ、俺が何を選んだって?

 

(『はい』と二度言いましたので、あなたは色魔を選択しました)

 

 俺は『はい』なんて言ってねぇぞ。言ったのは、そこのサノバだろうが。

 

(あなたは村人ジョブから色魔ジョブになりましたが、今の色魔ジョブは仮のジョブです。

 真の色魔になるためには、迷宮の討伐をしなければなりません。

 迷宮の一番奥にいるモンスターを倒して、ギルド神殿を得るのです。

 そうすれば、あなたは真の意味での色魔になります。

 ギルド神殿を得たら何をすれば良いのか、その時に教えてあげましょう。

 さあ、まずは仲間を探して迷宮討伐を目指すのです!)

 

 

 人の話を聞けっての。なに、ペラペラしゃべってやがるんだよ。

 『メイキュウ』ってなんだ?『モンスター』ってなんだよ?

 そもそも、『色魔』ってなんだよ?

 

(そこからですか?何も知らないのですね。

 分かりました、基本的なことから教えてあげましょう・・・・・・)

 

 :

 :

 :

 

 言ってることが全然、分かんねぇよ。

 それに、俺は喧嘩が嫌いなんだよ。

 

(あなたは色魔のジョブになりましたから迷宮に行き、スキルを使って発散しないと

 大変なことになりますよ。

 隣の村の近くに迷宮が出現しましたから、その迷宮に入ってモンスターを倒しなさい。

 その村にはサーチ、スミス、ナックルという男がいますので、まずは彼らと合流しなさい。

 そうすれば、あなたの目標に一歩近づきます)

 

 いや、おれはそんな目標を持ってないから。

 今のままダラダラ生きていければ十分だよ・・・・・・これはきっと夢だな。

 おっ、なんか今日は妙に回復が早いな。

 早速、二回戦目に突入しよう。

 

 

(・・・・・・サンダーボール!)

 

 

 い・・・・・・痛っぇぇぇ・・・・・・なんだこりゃ、ビリビリしやがる。夢じゃないのか?

 

 

(・・・・・・手当)

 

 

 あ、あれっ?痛くなくなった。やっぱり夢か・・・・・・じゃあ、やっぱり二回戦に・・・・・・。

 

 

(・・・・・・サンダーボール!)

(・・・・・・サンダーボール!)

(・・・・・・サンダーボール!)

 

 

「痛いっての!」

 

「おい、マコス。お前、頭大丈夫か?さっきから一人でブツブツとおかしいぞ。

 気味悪がって、女が二人とも逃げちまったじゃないか。

 せっかく娼館に来て二人分も金払ったんだぞ。これから楽しもうと思ったのに」

 

「何って、さっきから話し声が・・・・・・お前には聞こえないのか?」

「お前一人がブツブツ喋ってるのしか聞こえないぞ。お前、本当に大丈夫か?」

 

 サノバの『はい』はあちらに聞こえているのに、あちらの声はサノバに聞こえないのか。

 なんなんだよ、全く。

 

 

(・・・・・・手当)

(・・・・・・手当)

(・・・・・・手当)

 

 

 あ、あれっ?また、痛みがなくなった。

 

(分かりましたか?

 隣の村の迷宮に行かないと、さっきのサンダーボールをあなたに何度でもお見舞いしますよ。

 私のサンダーボールは『必中』で『射程無視』なのですから、逃げられません。

 今は威力を弱めましたけど、強くすることもできますから。

 まあ、あなたが死ねば、そこのサノバって男が色魔になる可能性が高いでしょう。

 私はそれでも良いのですけど)

 

 お、俺を殺す気かよ?

 分かった、分かったよ・・・・・・隣の村に行けば良いのだろう?

 このベイルから半日あれば隣村に行けるから、それまで待ってくれよ。

 

(今から早速行きなさい。行かなかったら・・・・・・)

 

 おいおい、今は夜だぞ。隣村に行く馬車を探さなければ無理だろう。

 明日の朝になったら馬車を探すから、それまで待ってくれよ。

 

(あなたには二本の足があるでしょう。

 今から歩いて隣村に行けば、朝には村に着くでしょう。

 早朝までに辿り着けば三人と直ぐに合流できます。

 行かないのでしたら・・・・・・)

 

 わ、分かった・・・・・・行くから。そのビリビリする奴は勘弁してくれ。

 

「おい、マコス。どうした?何故、着替えているんだよ」

「う、うるさい。なんだかよく分からないけど、隣の村に今から行くことになったんだよ」

 なんでサノバじゃなくて俺が色魔ってのになったんだよ。

 

 『はい』って答えたのはサノバの方なのによ。

 

 

(いいから、直ぐに村に行って仲間と合流しなさい)

 

 

「じゃあな、サノバ。金はもう払ってあるから文句ねえぇだろう?」

「いやいや、女がいなくなっちまったんだから、文句あるに決まってるだろうが」

 

「その文句はそこにいる奴に言ってくれ」

「そこにいる奴って、俺とお前以外に誰もここにはいないだろうが。

 お前、頭大丈夫か?」

 もたもたしていると、またビリビリするやつを喰らわされるかも・・・・・・。

 

「じゃあな、サノバ」

 

(バタン・・・・・・)

 

 

(行きましたか・・・・・・それにしても、迷宮に行っても大して使えそうにない者な気がしますね。

 迷宮に着いたら、『禁欲攻撃』の詠唱を教えないとなりませんが本当に役に立つのか。

 こんな者達ばかり集めても、迷宮討伐はとても無理な気がしてきました。

 ・・・・・・と時間切れですか。ここにはいられなくなったので戻りますか・・・・・・)

 

 

・・・・・・

 

(おや、エレーヌではないですか。ここに来るなんて珍しいですね。使徒まで連れて。

 新しく創った世界が上手くいってないのですか?)

(うるさいな、ラグナス。あんたは言われたことだけやってればいいのよ)

 

(それで、用件は?)

(あんたの集めている魂をこちらの世界に寄越しなさい)

 

(それが私の務めですから構いませんけど。それで、どのような魂をお望みで?)

(こちらの世界に来てから直ぐに戦える者ね)

 

(ふむ・・・・・・新しい世界に行って、何の疑いもなく戦おうとする者ですか?)

(そうそう。バカは困るけど、臆病者もダメね。

 でも、あんたが集めている魂って、元の世界では弱い者の魂じゃなかったっけ?)

 

(弱くても、新しい世界では戦おうとする者が稀にいるのですよ。

 そういった者達の魂を集めて、別の世界に送るのも私の務めの一つです)

(それなら良いけど・・・・・・試しに一つ魂を見せてくれない?)

 

(別に構いませんよ。今からですか?)

(ええ、今からでいいわ)

 

(・・・・・・異世界への誘い!)

 

「えっ、ここはどこだ?PCの前でゲームの設定をしていたはずなのに・・・・・・」

 

(これが新しい魂?)

(はい、そうですよ)

 

(上級鑑定)

 

 

新井 一平(人間族 男 17才 自由民)

村人Lv1

効果 体力微上昇

装備 デュランダル

スキル 上級鑑定

 

 

(ラグナス、このデュランダルって何?それになんでスキルに『上級鑑定』があるの?)

(よく分かりませんが、こういう装備品やスキルがあると、

 異世界で戦おうとする魂がよく釣れるのですよ。

 チートとかリセマラとか何やら分からないことを言いながら、魂が最後の時を迎えるようです)

 

(まあ、いいわ。この魂なら異世界でも戦おうとするってことね)

(そのようですね。この者がどの程度戦えるかは上級鑑定でも分かりませんけど。

 少なくとも少しは戦う気がある者の魂だと思います)

 

 

「あの・・・・・・話に割り込んで申し訳ないのですが、あなた達は神様ですか?」

(違うわ)

(違いますね)

 

「えーと、ここは異世界に転移するための場所なのでしょうか?」

(いえ。試しに一つ魂が見たいと言われたので、ここに呼んだだけで、

 普段は直接送り込みますから)

 

「ここでチートスキルとかチートアイテムとかもらえるのでしょうか?」

(そんな訳の分からないものは渡せませんけど、

 今、あなたには装備品とスキルが一つずつ渡されているはずです)

 

「えっ、さっきまでPCの前で設定していたスキルとか?」

(あなたには、『上級鑑定』のスキルがあるはずです。

 上級鑑定は無詠唱で詳細な情報が見られるスキルです)

 

「上級鑑定?」

 

 

エレーヌ(世界を創る者)

世界を創る者

効果 HP無限上昇 MP無限上昇 腕力無限上昇 体力無限上昇

   知力無限上昇 精神無限上昇 器用無限上昇 敏捷無限上昇

装備 なし

スキル 世界の創造 世界観の設定 世界の終わり

 

 

レイリア(使徒)

エレーヌの神官

効果 HP中上昇 MP中上昇 腕力中上昇 体力中上昇

   知力中上昇 精神中上昇 器用中上昇 敏捷中上昇

装備 なし

スキル パーティー編成 パーティー項目解除 パーティージョブ設定 ワープ 世界の均衡

 

 

ラグナス(魂を運ぶ者)

魂を運ぶ者

効果 HP無限上昇 MP無限上昇 腕力無限上昇 体力無限上昇

   知力無限上昇 精神無限上昇 器用無限上昇 敏捷無限上昇

装備 なし

スキル 異世界への誘い 異世界転移 異世界転生

 

 な、なんだこれは?目の前にいる者達はとんでもない存在じゃないのか。

 鑑定スキルで、こんなものが見られるのか。

 

「あなた達は本当に神様ではないのですか?」

(『神様』というものが何を指すのか知りませんが、あなた達の世界の概念にない存在ですね)

 

 

(上級鑑定はあなた自身にも使えますよ。言葉を発しなくても、詠唱無しで使えますから)

 

 

(上級鑑定)

 

新井 一平(人間族 男 17才 自由民)

村人Lv1

効果 体力微上昇

装備 デュランダル

スキル 上級鑑定

 

「村人スタートなのか。アイテム一つと鑑定スキルだけ?

 これで異世界に行けって、無理ゲーじゃないか」

 

(何か、さっきからこの魂は文句が多いわね。

 ラグナル、本当にこの魂は戦いに向いているのですか?)

(やる気はあるんじゃないですか?少なくとも戦うための準備をしているように見えますよ)

 

「あの・・・・・・話に割り込んで申し訳ないのですが、

 もう一つくらいアイテムかスキルをもらえないでしょうか?」

 

(・・・・・・サンダーボール!)

 

 

 い・・・・・・痛っぇぇぇ・・・・・・なんだこれは・・・・・・ビリビリする。雷系の魔法なのか?

 

 

(私とラグナルが話をしているのだから静かにしてなさい!)

(エレーヌ、この魂はあなたにまだ渡してないのですから私のものなのですよ。

 勝手に攻撃しないで下さい)

 

(あら、そうなの?それは失礼しました)

(・・・・・・手当。これで回復したでしょう。

 それであなたはアイテムかスキルをもらったら、新しい世界で頑張って戦うのですか?)

 

「はい。頑張りますから、何か役に立つアイテムとスキルを下さい」

 

(さっきまで、どちら一つ欲しいと言ってたのに両方要求しているわ。

 やっぱり生意気ね。サンダー・・・・・・)

(エレーヌ、待ちなさい。

 アイテムとスキルを1つずつ渡して、やる気が出るならいいじゃないですか。

 私の持ち物の魂に傷つけたのですから、それぐらいのことはしてあげなさいよ)

 

(それなら、この者の魂の器に入る装備品とスキルを1つずつ増やしておくわ。

 あら・・・・・・『上級鑑定』はダメね。あふれちゃうから。

 もう一つ下のスキルだとギリギリ入るから・・・・・・『鑑定』にしておきましょう。

 追加するスキルは『ワープ』でいいか)

(では、この魂で良いですか?)

(まあ、上を見ればキリがないから仕方ないでしょう)

 

「あの・・・・・・これから私はどのような世界に行くのでしょうか?」

 

(じゃあ、ラグナル、ありがとうね。

 もし、この魂が向こうの世界で死んだら、追加で補充しておいてね)

(分かりました。常にそちらの世界に一つだけ送りつけておけばよいのですね)

 

「あの・・・・・・死んだらって?」

 

(異世界転移!)

 

「ちょ、ちょっと・・・・・・あああぁ」

 

(これで、あちらの世界に魂は転移したはずです)

(あとは適当にやっておくから。追加の補充の件、お願いよ)

(はい、はい。分かりましたよ)

 

・・・・・・

 

 ここはどこだ。さっきの怖ろしい連中はどこに行ったんだ?

 

「ブルルォ」

 

 うおぉ・・・・・・びっくりした。ただの馬か・・・・・・ここは厩戸か。

 

 

(何を寝ているのですか?これから、あなたにはやってもらうことがあります)

 

 あ、さっきの・・・・・・二人のうちのどちらだ。同じ顔の女性が二人いたよな。

 上級鑑定・・・・・・あれっ、スキルが使えない?

 

(あなたの魂の器には入りきらなかったので、

 今のあなたの所有スキルは『上級鑑定』ではなく『鑑定』になっています)

 

 あ、神様の方か。

 えーと、

 

(鑑定)

 

新井 一平(人間族 男 17才 自由民)

村人Lv1

装備 デュランダル 決意の指輪

 

 アイテムが一つ増えている。決意の指輪?

 

(それは対人戦で威力を発揮するアイテムです。自分の指にはまってるでしょう?)

 

 あっ、いつの間に指輪が・・・・・・腰に剣も差してある。

 でも足は・・・・・・裸足だ。

 そこにサンダルがあるから、借りようかな・・・・・・。

 

(余計なことをしている時間はないのよ!私の指示に従えないのなら、サンダー・・・・・・)

 

 止めて!・・・・・・裸足でも問題ありませんから、攻撃するのは止めて下さい!

 

(大事な事を言うから、よく聞きなさい。

 今から暫くすると、この村に盗賊達が襲撃を仕掛けてきます。

 あなたは、その者達を皆殺しにしなさい!)

 

 初回イベントが盗賊襲撃イベントってベタな展開だな。

 でも、皆殺しって村人Lv1では厳しいのではないだろうか?

 

(その腰に差してある剣があるでしょう。

 それを使えば村人ジョブのLv1でも問題なく倒せるはず。

 この村の村人達も盗賊達を倒そうとするでしょうけど、

 あなたが一番多くの盗賊を倒さないとダメよ。

 そうしないと、強いジョブの取得条件を満たさないから)

 

 その盗賊襲撃イベントで活躍すれば、村人ジョブよりも強いジョブが取得できるのか。

 だったら、頑張るしかないな。

 

(そうよ。頑張りなさい。無事、盗賊達を討伐したら、次に何をするのか教えてあげるわ)

 

 その強いジョブって、なんだか教えてもらえないのですか?

 

(まだジョブを取れるかどうか分からない者に教えることはできないわ)

 

 

 仕方ない。まずはこちらの状況確認からだ。

 

(鑑定)

 

ジョブ 村人

効果 体力微上昇

スキル ワープ

 

 村人ジョブって初期ジョブなのか知らないけど、ずいぶんショボいな。

 でも村人ジョブなのにワープってスキルはすごい違和感があるぞ。

 初期ボーナス特典か何かなのだろうか?

 

(ワープは本来、村人ジョブのスキルではないわ。

 あなたに直接付与したスキルだから見えてるだけよ。

 あなたが先程、アイテムとスキルを一つずつ欲しいって言ったから付与したのよ。

 要らないのなら、返してもらうわよ)

 

 いえいえ、欲しいです。素晴らしいです。

 さすが神様、エレーヌ様・・・・・・ありがとうございます。

 

 

(鑑定)

 

デュランダル 両手剣

スキル 攻撃力五倍 HP吸収 MP吸収 詠唱中断 レベル補正無視 防御力無視

 

決意の指輪 アクセサリー

スキル 攻撃力上昇 対人強化

 

 なんだか分からないけど武器の方はすごいスキルが付与されていることは間違いないようだ。

 これならいけるか。

 

 

(赤い点が見えてきたわ・・・・・・ほら、あっちの門のある方向から来たわよ。さっさと行きなさい。

 沢山倒さなければダメよ。鑑定を使って、ちゃんとレベルの高い盗賊も倒しなさい!)

 

 分かりました。頑張ります。

 ヨシ、やってやるぜ!

 

 

 

(行ってしまったか・・・・・・これで5回目ね。

 4回目まではことごとく失敗したけど、上手くいくかしら。

 今度はせっかく異世界からの異物まで持ってきたのだから成功すると良いのだけど)

 

 

(しっかりとした装備品も持っているから、成功すると思うけど・・・・・・どうかしら。

 ラグナルが言ってたように、こちらの人間よりは積極的に戦おうとするみたいね。

 それにしても盗賊ジョブ持ちはギルド神殿なしで勝手に増えていくから、

 他のジョブの者達と違ってバランス取るのが面倒臭いのよね。

 後で引き継ぐ娘が上手くやってくれるかしら)

 

 

(ここの村人達も気づいたようね。何人か赤い点の方に向かっているし。

 異物である魂がちゃんと倒してくれると良いのだけど・・・・・・)




お読みいただき、ありがとうございました。

よく分かりませんけど、この新井君が初代皇帝になるのでしょうかね?
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