「マリー、レベッカを解放してやれ」
「了解」
マリーは隙を見せることなく、レベッカから離れてゆっくりと下がった。
年齢の割には凛々しい顔に厳しい表情を浮かべて、レベッカは立ち上がる。
彼女は、ここぞという時には戦う気満々だったな。
マリーにコテンパンにやられたけど、まだ諦めていない感じだ。頼もしい。
視線を俺とマリーの双方に向けながら、マチルダの方に後ずさっていく。
パーティージョブ設定で、マチルダのジョブを魔法使いに変更し、レベッカを村人に戻した。
それにしても、魔法じゃなく素手で飛び掛かってきたな。
こちらは魔法対策に詠唱共鳴の心の準備はしていたのだけど。
インテリジェンスカードが引っ込んだので、魔法を使われないように村人に戻した。
「モニカ、剣を仕舞って下がってくれ」
「了解」
モニカも剣を収めながら、ゆっくりと下がってマチルダから距離を取った。
「レベッカ、こちらに襲いかかっても無駄なのは分かっただろう。
マリーは年齢こそ若いがジョブは百獣王だぞ。経験の未熟な魔法使いが敵う相手じゃない。
まずは座って話をしようじゃないか」
「百獣王!・・・・・・そんな馬鹿な話が」
今、レベッカは村人ジョブに戻したけど、本人は分からないだろう。
「マチルダも座ってくれ。先程も言ったが、お前の言っていた侯爵など俺は知らんぞ。
お前が迷宮に入ったことがないとか、魔法使いや騎士のジョブを持っているのに
それを隠そうとしたのが気に食わなかっただけだ」
「魔法使いのジョブなど持ってません」
多少は狼狽しているが、毅然と言い放たれた。面倒くさいな。
マチルダに近づいて、彼女の左腕を持つ。奴隷商人のジョブをセットしてある。
「
「えっ?」
左腕から出てきたインテリジェンスカードを見て、再びマチルダが驚愕の表情に。
「嘘をつかれるのは嫌いだと言っただろうが。
今一度言うが、このインテリジェンスカードの背景を説明する気はないのか?」
「さっきまで騎士だったのに、なんでこんなことが・・・・・・貴方も奴隷商人、まさか騎士?」
「お母様、やっぱりエレーヌの神官じゃ・・・・・・」
なんか説得しようとして、彼女達を混乱の極みに叩き落としてしまったかも。
今更、1stジョブは『百鬼夜行』ですとは説明しにくい。
更に最近は鬼神のジョブも取得したのだけど。
この混乱に乗じて、村人ジョブで偽装していた経緯を説明するように押し切れないか?
まあ、さすがに無理か。
インテリジェンスカードを引っ込めたので、彼女のジョブも村人に戻した。
これで二人とも元通りのジョブになったので、抵抗されても簡単に鎮圧できる。
「二人とも魔法使いのジョブを持っているし、マチルダの方は騎士のジョブを持っているので
元は貴族であったぐらいのことは想像がつく。
だが、わざわざ村人のジョブに偽装して奴隷身分になっているのが気持ち悪いんだ。
タケダ家に迎え入れるにあたって、意図しない貴族関連のトラブルは避けたいからな。
ただ、お前達以外でも奴隷で元貴族の者は我が家にも複数人いるぞ。
タケダ家の所属になったからには、
その者達に別の貴族からの危害が及ぶようなら、俺は全力で排除するつもりだ。
ちょっかいをかけてくる貴族がいても、引き渡すような事は絶対にしない。
言葉だけでは、とても信用できないかもしれないがな」
「・・・・・・」
母娘の表情は厳しいまま。説得は難しいか。
ラファやヘルミーネは正確には他国の元貴族だ。彼女達を略取した奴等は俺が始末したけど。
侯爵というのは、公爵に次ぐ爵位だったか。
正面切って戦うことは今は避けたいが、背景が分かれば匿うぐらいはできるだろう。
二人はまだタケダ家所属ではなく、奴隷商館での販売奴隷だ。
だが、既にこちらとしては巻き込まれてしまった気分になっている。
知らなかったフリして他の家に売ることもできるかもしれないが、後味が悪い。
背景も知らないで売ると、それはそれで後々トラブルが起きるかもしれないし。
「我が家を信用できないか?
だが、信用できなくてもお前たちが元貴族であると知られてしまった以上は
こちらを味方につけた方が得策ではないのか?
それとも、元の奴隷商館の主の方に所有権を戻した方が良いか?
約束が違うと言って、前の主人に返すことはできると思うが」
「それは困ります。止めてください」
何も情報提供せずに、あれはダメ、これはダメと言われてもなぁ。
「さきほど、元貴族の者を迎え入れたと言っただろう。
受け入れる条件はその者達が、我が家に貢献するということだ。
その者達はタケダ家に貢献すると誓い、その誓い通りの行動をしている。
迎え入れた以上は、その者に害を為すことはタケダ家に害を為すのとを同じだと思っている。
だから、貴族でも他の家の手の者でも、タケダ家に仇為す者は排除すると考えているだけだ」
「私達も、その仲間に入れてもらえるのですか?・・・・・・でも」
揺らいでいる・・・・・・迷っているか。今まで偽装して生きてきて、簡単に信じられる訳ないよな。
「では、他に何か別の選択肢を考えられるのか?
逃亡奴隷になっても、奴隷身分から解放されて平民になっても、
奴隷で別に家に売られていったとしても、
お前達が危惧していることから逃れられないのではないか。
具体的に何を心配してるのかは俺には分からんがな。
だからこそ、奴隷身分で村人に偽装していたのではないのか?」
「何か・・・・・・それでも・・・・・・信用に足る担保がないと」
担保ねぇ。何かあるだろうか?
「私が貴方の妾になれば、お母さま共々守っていただけますか?」
「はぁ?」
待て待て。お前ら貴族は、どうして体で釣れると思っているんだよ!
ヘルミーネも初めて我が家に来た時に、そんな事を言ってた頃があったかな。
それに14才のレベッカはNGだ。いや年齢の問題だけではない。
性奴隷の了承があっても、ノーサンキューだ。
「未成年の女性の体を取引に使うなど、他家は知らんがタケダ家ではあり得ない。
二度とそのような事を口に出すな。
自分の体を差し出す覚悟があるなら、その覚悟を別のことに使ってくれ」
「・・・・・・はい」
レベッカは無表情で頷いたが、マチルダはあからさまにホッとした表情だ。
さっきからマチルダは無気力に偽装した表情が剝げ落ちて、感情が露わになっているな。
それだけ混乱しているのかもしれないが。
なにかこちらまで混乱してきた気もする。
アミルやヴィルマ達は性奴隷了承で奴隷契約しているのだが、それは
性奴隷の条件で身の安全を確保することって普通?・・・・・・いや、そもそも奴隷契約した時点で、身の安全を保障することは当たり前だ。
俺は間違っていないはず・・・・・・あれっ、論点は何だったっけ?
「担保になるかはお前たちの判断次第だが、自分達の価値を高めるのはどうだ?」
「それは具体的はどのようなことなのでしょうか?」
ちょうどマリーがこの場にいるから、それを例に出すか。
「お前達の目の前にいるマリーは、
自分を身請けしてもらう事で彼女がいた孤児院に多大な利益をもたらした。
身請けした時は迷宮での経験の浅い、ただの獣戦士だったが、
将来性を見込んだ交渉で、傾きかけた孤児院を立て直す程の取り引き内容を勝ち得たのだ。
そして今の彼女は百獣王になり、タケダ家で活躍するかけがえのない存在になっている。
このように自分達の将来の成長に賭けて、
それがタケダ家に多大な貢献を為せる存在になれば、
自分達がタケダ家から見放されない存在となる担保になるのではないか?」
「・・・・・・」
実際には双子が交渉した訳ではなく、交渉したのは俺だけどね。
「私達にその価値があると?」
「魔法使いであること、貴族としての知識があること。
他にも隠し持っている知識や経験があるのではないか?
それを今ここで全て明らかにしろと言っている訳ではない。
ザビルのこの状況でも分かるかもしれないが、我が家は大きく成長したいと考えている。
そのためには、様々な知識や経験を持った人材や戦力を求めているんだ。
お前達は村人ジョブで偽装しているから胡散臭い存在であるとは思っているが、
同時に魅力的な人材の可能性もあると思っている」
二人とも顔を見合わせているが、まだ迷っているか。
だが、もう一押しな感じがするなぁ。
二人のジョブを探索者に変更した。
マチルダが探索者Lv4、レベッカは探索者Lv1だ。
「タケダ家の実力・・・・・・と言っても、戦力や経済力ではないが・・・・・・その片鱗を見せよう。
それを見てから決断してもらって構わない。
今日の夕方、またここに来るので、その時に結論を聞かせてくれ」
「今晩ですか。何を見せようというのですか?」
「それは楽しみに待っていてくれ」
俺の茶化した物言いに、彼女は少しムスッとした表情になった。
「二人のジョブは今は探索者になっている。
マチルダが探索者Lv4、レベッカは探索者Lv1だったな。
二人とも夜までは俺のパーティーに入ったままになっているから注意してくれ」
「な、何故探索者のレベルまで分かるのですか?誰かが情報を洩らしているとしか」
「お前のジョブを知っている者で情報を洩らす者に心当たりがあるのか?」
「いえ、それは・・・・・・」
まあ彼女が誰を思い浮かべているのか、誰も心当たりがないのかは、この際どうでもよい。
「レベッカはアイテムボックス操作の詠唱呪文を知っているか?」
「知っています。探索者になったことはないので、詠唱が成功したことはありませんが」
それなら話が早い。それに探索者のジョブになったことがないというのも都合が良い。
「では、夕方またここに来る。それまで二人で十分話し合ってみてくれ。
くれぐれもおかしなことを考えないでくれよ。こちらも譲歩しているつもりなのだから」
「・・・・・・」
マチルダはYesともNoとも言わない。
まあ、存分に相談してくれ。自分達の人生がかかっているのだからな。
あとは、午後から迷宮に潜って彼女達の探索者のレベルを上げて、タケダ家の育成能力を見せて納得してもらおう。
それでもダメなら、その経験値を餞別に彼女達を販売奴隷として売り払ってサヨナラだ。
本人達にその気がないのに無理に引き留めておくのは、お互いに不幸だからな。
「自室に戻って休んでもらっても構わないぞ。
夕食の前にはここに来るから、その時に相談した結果を聞かせてくれ」
「・・・・・・」
彼女達は沈黙したまま退出し、二階に設けた仮の自室に戻っていった。
「やっぱり、カラダンが予想した通り、貴族の関係者だったな」
「そうですね。育ちの良さというのは隠しきれませんから。
ヘルミーネさん達と同じような所作でしたから、いくら無気力を装っても限界があるかと」
そうなんだよなぁ。
小汚い恰好をしたり、下品な振る舞いでもすれば隠せるのだろうけど、特にレベッカの方はそんなのとは対極にある感じだったし。
まあ、夕方どんな結果になるか楽しみに待つか。
「では、俺は一度、クーラタルに戻るぞ。
帰る前にティナを少しだけ借りていく。
ちょっと迷宮に行って、ジョブ取得をさせてくるので」
「そうですか。分かりました。夕方お越しになるのを、お待ちしております」
モニカとマリーに労いの言葉をかけ、会議室を出て防具屋に向かった。
・・・・・・
本館の門から出て、表通りから隣の防具屋を目指す。
敷地内から隣の防具屋に行けるのだが、通りから見た店を見ておきたかったから。
さすがにもう、営業中のようだ。
入口から入って店内を見回すと、客は一人だけか。
あれは騎士団関係者か?体がゴツそうで、戦えるオーラが漏れている。
店を移転する件は騎士団関係者内では共有されているのかな。
ティナはサライから少し離れた所に座っている。
「ティナ、いま話しても大丈夫か?」
「はい。なんでしょうか」
小声で周りに聞こえないように注意を払いながら語りかけた。
「俺のパーティーに入ってもらえるか?
友に応えし信頼の、心のきよむ誠実の、パーティー編成・・・・・・」
「あ、はい」
彼女は素直にパーティーに加入してくれた。
「ティナのジョブ取得をしてもらおうかなって。直ぐに終わるから、ちょっと待っていてくれ」
「?・・・・・・分かりました。待っています」
店を出て裏に回り、適当な木陰からベイルの1階層の中間部屋にワープで移動。
魔物部屋の状態を索敵で確認。これだけニードルウッドがいれば大丈夫だな。
モンスターの少ない場所の壁にワープで移動して、サンダーストームを二連発。
オーバーホエルミングをかけて、残ったモンスターをデュランダルで撫で斬りにして殲滅。
これで準備は完了だ。
ザビルの防具屋の裏にワープで移動して、店に再び入った。
客は先程の一人だけで、サライが接客している。
座っているティナを手招き。
「ちょっと今から出られるか?直ぐに終わるから」
「はい。分かりました」
ティナを連れて、裏の木陰に移動。
「今から別の場所に移動するので、付いてきてもらえるか?」
「はい」
ゲートをベイルの1階層の魔物部屋に繋いで、壁から顔を出してモンスターがいないことを念のため確認。
ティナの手を引いて、魔物部屋の中に移動した。
「こ、ここは?」
「迷宮の中だ。モンスターは既に倒しているので心配しないでも大丈夫だ」
ティナの手を引いて、レアドロップのリーフの落ちている場所まで移動。
「これを拾ってもらえるか?」
「えっ?あ、はい。これで大丈夫ですか?」
拾ったリーフを彼女から受け取った。
これで、探索者と薬草採取士のジョブが取得できたな。
ティナのジョブを村人から探索者に変更。
この後の迷宮探索のパワーレベリングで、ティナとレベッカを百鬼夜行の小荷駄隊と鬼神の輜重隊にそれぞれ加えた場合、探索者Lv1からレベルの伸びがどの程度違うのかを比較するためだ。
商人のジョブは村人Lv5以上にしないと取得できないから、いったん後回しだ。
比較が終わったら、また別の機会に村人ジョブのレベリングをしよう。
魔物部屋の壁から防具屋の裏の木陰にゲートを繋ぐ。
彼女の手を引いて、ザビルへと戻った。
「これで今日は終わりだ。もう店に戻っても大丈夫だ。
後でさっきやったことの説明をするので、また別の機会に話すことにしよう」
「あ、はい。分かりました。ピコ兄ちゃんが言ってたのは本当だったのですね。
ご主人様は時々、迷宮に急に連れていくことがあるって」
ピコの奴は俺の事をどういう説明しているんだ?当たっているだけに反論しにくいのだけど。
「邪魔して悪かったな。俺は迷宮に戻るから」
「はい。なんだか分かりませんが、ありがとうございました」
苦笑しながら、彼女は防具屋の方に戻っていった。
さて、俺も魔物部屋に戻って、残りのドロップ品を拾うとするか。
魔物部屋のドロップ品を拾い、昼食のためにクーラタルの自宅に戻った。
・・・・・・
昼食を終えて、迷宮組はターレ迷宮へ出発。
いつも通り、入口にいる兄ちゃんを39階層に案内して大量の銀貨を受領。
現在は46階層だから、もう暫くしたら到達報告の階層に追いつかれてしまうな。
まあ、45階層以降は攻略に日数がかかることは騎士団内でも知られているだろうから、45階層の報告をしたら日数を空けながら伝えるように気を付けよう。
兄ちゃんがゲートをくぐって、入口に戻るのを確認した後、46階層の小部屋に移動。
また、ここから長い日数の階層攻略が始まるな。
探索を開始する前に簡単なブリーフィング。
「46階層の新規モンスターはラフシュラブで、ボスはララシュラブだ。
ラフシュラブは既に戦ったことがあると思うが木の形をしたモンスターだ。
46階層になると一段階強くなったモンスターがほとんどになるので要注意だ。
ラフシュラブ、オイスターシェル、コボルトケンプファー、コラージュコーラルの順に
この階層では多く出現する。
ボス戦は45階層同様に、ボス二匹に加えて、お供が二匹なので注意してくれ。
ドロップ品が削り掛けで、ボスドロップの情報は持っていない。
45階層と同様に前衛に四人で並ぼう。
戦い方はいつも通りで状態異常に追い込む。魔法も雷魔法だ。
アミルの方から何か補足はあるか?」
「枝のリーチを使った攻撃と遠距離攻撃もしてくるので、注意してください」
「そうだな。タフな上に距離を置くと一方的に攻撃を受ける可能性がある。油断せずにいこう」
全員が頷いた。
小部屋を出て、通路の左へ四人並んで歩き始めた。
しばらく歩くと、林のようなシルエットが見えてきた。
初戦はラフシュラブ三匹にオイスターシェルが一匹か。
どいつもそれなりにデカい図体だから、四匹は並べないみたいだな。
こちらは四人で並んでいるが。
「前にラフシュラブ3、後ろにオイスターシェル1。3番だ」
「了解」
「了解」
「了解」
「了解」
四匹とも足は速くないが、前のラフシュラブは遠隔攻撃をしてくるので、距離を早めに詰めなければならない。
全員で前方に駆け出したが、オリビアとアミルは重装備なので、後方に置いていかれる。
俺を中央に右にヴィルマ、左にイレーネの横一列で前へひた走る。
(サンダーストーム、サンダーストーム)
雷魔法を二連発かけた。
左のラフシュラブの足が止まったので、麻痺したか。
俺は中央のラフシュラブと対峙して、デュランダルと硬直のエストックを乱打する。
イレーネは左から回り込んで、俺の戦っているラフシュラブに側面からダマスカス鋼の両手剣で斬撃をくり返す。
(状態異常耐性ダウン)
ヴィルマに向かってきたラフシュラブに博徒のスキルをかける。
彼女の対峙しているラフシュラブにも俺は聖槍で牽制の攻撃をしかける。
イレーネの連続攻撃のおかげか、目の前のラフシュラブは早々に石化した。
オリビアとアミルが追いついてきたので、ヴィルマの援護を任せる。
オリビアは槍二本でラフシュラブを激しく攻撃して揺さぶり始めた。
ラフシュラブの枝よりも彼女の槍二本のリーチの方が長く、攻撃を一方的に仕掛けている。
イレーネと俺は石化したラフシュラブを放置して前に進む。
雷魔法で麻痺したラフシュラブはまだ動き出さないが、その横からオイスターシェルが向かってきた。
(サンダーストーム、サンダーストーム)
二度目の雷魔法で・・・・・・オイスターシェルは麻痺せずか。隣のラフシュラブは麻痺したまま。
俺がオイスターシェルを引き受けている間に、イレーネは麻痺したラフシュラブを滅多打ち。
早めに石化させようということだな。
こちらは遠慮なく、オイスターシェルとの一対一を楽しむ。
少し右側に回り込みつつ、四つの武器をフル回転で動かしてオイスターシェルに激しい斬撃を次々と叩き込む。
叩きまくったオイスターシェルが煙に変わったので、イレーネのラフシュラブを・・・・・・既に石化させていたか。
ヴィルマ達の方に目を向けると、そちらも既に煙に変えていた。
あとは石化したラフシュラブ二匹を片づけるだけか。
そのままの位置で一番近いモンスターにそれぞれ攻撃を加えて・・・・・・煙に変えた。
これで戦闘終了だな。
四匹とも45階層以降のモンスターだが、問題なく戦えそうだな。
ドロップ品の削り掛け3つとボレーを拾い、次の戦いに向けて前へと歩き始めた。
この階層での戦闘は、45階層以降のモンスターの割合が7割以上を占める。
タフな相手で遠距離攻撃も仕掛けてくるので、走って距離を詰める必要もあり、今までの戦闘と比べて体力を消耗する。
俺もそうだが、訓練で鍛えてなければ直ぐにへばってしまったかもしれない。
訓練の参加頻度が比較的少ないアミルには少しキツイかもしれない。
だが、この戦闘パターンが3日ほど続くのだよな。
今日は午後だけだが。
夕方に再度の面談があるから、少し早めに切り上げる予定なのが救いか。
タフな相手ではあるが戦闘が長時間化となるので、状態異常にキッチリと追い込めるので危なげなくこなしていく。
むしろ体力と集中力を切らさないようにすることが重要だ。
その意味では良い訓練になっているのかもしれない。
適度に休憩を挟みながら、探索自体は順調に進んでいく。
それでも探索終了までに中間部屋が見つかることはなく、時間切れとなった。
大量の削り掛けが入手できたから、抗麻痺丸が生成できるな。チクルス達に任せよう。
「今日はここまでにしよう。みんな、お疲れ様」
四人の顔を見る限り、物足りない者はいなさそうだ。
アミルは少し疲れた顔をしているな。
「クーラタルに戻ったら十分に休息を取ってくれ」
と言っても、前衛職三人はそのまま修練場に行きそうだが。
ゲートを自宅に繋げて、五人で帰宅した。
お読みいただき、ありがとうございます。
次回投稿日は2026/2/7(土)の予定です。