オリハルコンの剣や聖槍を得た翌日も、朝練で我が家のメンバーの訓練をチェック。
今はトカラとミラが模擬戦をやっている。
さすがにミラは近接戦闘の専門職なので、トカラの攻撃は全てシャットアウトされている。
彼女は
アレって使い易いのかなぁ?
あの盾だと接触面積が増えるから、軽やかに躱すのではなく、足を止めて敵の攻撃を当てながら受け流す感じになるのだろうか。
そして隙を見て、剣だけではなく盾でも相手に打撃を与えるとか。
盾で物理攻撃するのは、いせはれの原作でもアリとなっていたから、状態異常付与や詠唱中断は使えるだろうか。
今度、実験してみるか。
空きスロットが一つしかない手頃な盾はいくつかあったはずだから、実験に使えると思う。
アミルが丁度、木陰で休憩中なので相談してみるか。
彼女の所まで行って、先程のちょっとしたアイディアを共有。
「なるほど。ご主人様は面白いことを考えますね。
詠唱中断、催眠のスキルを付与して試してみれば、効果があるか分かるかもしれません。
他にはMP吸収なども面白いかもしれないですね」
「えっ、MP吸収?なんで?・・・・・・ああぁ、対人戦か。なるほど。
剣で攻撃されたのを盾で上手くカウンターで受けると、
相手のMPが削れてMP不足に陥らせられるかもしれないな」
さすがにアミルは俺と違う観点のアイディアを出してくるなぁ。
「我が家の武器には、それなりにMP吸収のスキルが付与されているが、
武器の攻撃は避けられると効果が出ないよな。
盾で防御する場合は相手が当てに来るので、発動し易いかもしれない」
「初見殺しに利用できるかもしれません」
アミルが少し黒い笑顔を浮かべてるような気がする。
というか、アミルは初見殺しにハマってるのかもしれない。
前に木の長い槍で彼女と模擬戦をやって、驚かされたことがあったし。
アミル、恐ろしい娘!
「では、詠唱中断、催眠、MP吸収をスキル融合した盾を用意してみますか?」
「ああ。急ぎではないので、時間がある時にでも頼む」
そう言っても、明日の朝練ぐらいには作って持ってきそうな気はしている。
実験台になるのは、やっぱり俺自身だよな。うーん。
・・・・・・
朝練と朝食を終えて、ターレ迷宮に移動。
今日から47階層の攻略だ。
入口に詰めている騎士団の兄ちゃんを44階層へ案内して報酬を受領。
「ほぼ毎日迷宮に来て、探索階層を更新するなんで凄いですね。
他の迷宮は騎士団の複数パーティーが攻略にあたっているのに、
このターレ迷宮はほとんど、あなた達だけですから」
「俺達以外のパーティーも攻略に来てもらって構わないのだけどな」
彼も苦笑いしている。この迷宮人気ないよね?
俺達以外で見たパーティーって、ハインツの一味とサボー達のパーティーだけだった気がする。
あいつらは迷宮の攻略というよりも、迷宮に来たパーティーを倒そうとしていただけだよな。
「まあ、45階層以降になると攻略の難易度が上がるだろうから、
今までのようにはいかないだろう」
「そんなものなのでしょうか」
そんなものなのだよ。経験者は語る。
既に45、46階層を攻略した経験によるものだ。
兄ちゃんが入口に戻るのを確認して、こちらも47階層の小部屋に移動。
小部屋に着くと、まずは攻略のためのブリーフィング。
「47階層の新規モンスターはパットバットで、ボスはバットバットだ。
パットバットは既に戦ったことがあると思うが、デカい蝙蝠のモンスターだ。
47階層だと、もうほぼ全て一段階強くなったモンスターになるので、気を引き締めてくれ。
パットバット、ラフシュラブ、オイスターシェル、コボルトケンプファーの順に
この階層では多く出現する。
パットバットは足が速いので、恐らく各個撃破が可能なはずだ。
ドロップ品が蝙蝠の爪で、ボスドロップの情報は持っていない。
並び順と使う魔法は今まで変わらない。
アミルの方から何か補足はあるか?」
「パットバットは麻痺にする攻撃を仕掛けてきますので、一応注意して下さい」
「そうだな。油断なくいこう」
全員が頷いた。
「この階層からは、全てのエリアをクリアにするのではなく、ボス部屋の発見を優先させよう」
「了解」
「了解」
「了解」
「了解」
小部屋を出て、通路の右へ四人並んで歩き始めた。
ターレ迷宮は順調にいけば、あと20日も経たずに討伐できているはずだ。
全クリアしても、後の使い道がないのだから、これからは攻略速度を上げていきたい。
しばらく歩くと、木とその周りを飛ぶ何かシルエットのようなものが見えてきた。
初戦はパットバット三匹にラフシュラブが一匹か。
それにしても、ハットバットにパットバットにバットバットって、非常に紛らわしい。
嫌がらせかよ?・・・・・・と思えてくる。
「前にパットバット3、後ろにラフシュラブ1。1番だ」
「了解」
「了解」
「了解」
「了解」
ラフシュラブは遠隔攻撃をしてくるのだが、その前にパットバットが詰めてくるので、初戦は待ち受けて戦ってみる。
空中を舞うデカい蝙蝠が接近してきた。
(サンダーストーム、サンダーストーム)
雷魔法を二連発発射。
左のパットバットが墜落したので麻痺したか。
空中を舞うパットバットは、リーチがない剣を持つイレーネやヴィルマと相性が悪い。
槍持ちの俺とオリビアが対応し、イレーネとヴィルマはパットバットを無視して前に進み、墜落した奴を叩きにかかった。
パットバットを片づけたら、ラフシュラブと戦うのだろう。
(状態異常耐性ダウン)
俺の前のパットバットに博徒のスキルをかける。
聖槍を使って、地面に叩き落とそうとするが、打撃は与えられるものの墜落はさせられない。
早く叩き落として石化させたいのだが、もどかしい。
横でオリビアは二本の槍でパットバットを叩き落としたようだ。器用な奴め。
「ご主人様、オリビアさんとスイッチ!」
「了解!」
俺の右横からオリビアがパットバットを攻撃し始めたので、彼女の後ろに回って右へ移動。
アミルが、地面に墜落したパットバットをダマスカス鋼の槍で押さえつけてる。
三本の剣で高速斬撃をお見舞いして、煙に変えた。
「俺は前に出る。アミルはオリビアの援護を!」
「了解!」
前に出ている二人に追いつこうと駆け出した。
ヴィルマは麻痺したパットバットに追い打ちをかけているようだ。
イレーネはラフシュラブと対峙して、枝を回避しながらカウンターで斬撃をかましている。
(サンダーストーム、サンダーストーム)
二度目の雷魔法を放ったが、麻痺になった奴はなし。
「イレーネ、遅くなった。スイッチ!」
彼女の右横から聖槍を勢いに任せて突き込む。
そのまま、三本の剣も使って枝の攻撃も振り払った。
イレーネは左に回り込み、石化に追い込もうと斬撃の回転を上げ始めた。
ここまで来れば、あとは仕上げを行うだけだ。
大して時間がかからず、石化させた。
振り向くと、ヴィルマが叩きつけていたパットバットも倒されており、彼女はオリビア達の援護に回っている。
イレーネと俺が加わりたいが・・・・・・的が小さいので無理か。
直ぐに麻痺になり、オリビアのドラゴンファングで煙と変わった。
残った石化したラフシュラブを煙に変えて、殲滅完了。
「空中を舞うパットバットは結構、厄介だな」
「はい。それでも槍持ちが三人もいるので、他のパーティーよりも楽に戦えていると思います」
これ以上を望むのは、ないものねだりか。
蝙蝠の爪3つと削り掛け1つを拾って、アイテムボックスに収納。
次の獲物を求めて、歩き始めた。
・・・・・・
その後も空中に漂うパットバットに多少苦戦しながら、探索は淡々と進んでいく。
昼食を挟んで、午後も接敵するモンスターを討伐しまくる。
オイスターシェルやラフシュラブと比べればサイズも小さく、攻撃力も低いのだが、パットバットは攻撃をあてにくく面倒くさい。
今は、運悪くパットバット6匹の集団と交戦中。
槍持ち三人では、少しだけ手が足りない。
オリビアは槍二刀流なので、合計槍四本だが。
そして、こんな時に限って雷魔法で麻痺してくれなかったりする。
たまにはメテオクラッシュやガンマ線バーストを使うか?
一度、45階層以降のモンスターで試したけど、一撃で倒せたりはしなかったのだよなぁ。
ボーナス魔法でダメージは多めに入るけど、別に墜落したりもしないし。
今は目の前のパットバットに集中だ。
「主!アミルが変だ」
「えっ?」
目の前のパットバットに槍を連続で突き込んで、アミルの近くまで後退する。
アミルが片膝を突いて、震えている・・・・・・これは麻痺か。
(オーバーホエルミング)
(アイテムボックス操作)
抗麻痺丸を取り出して、口に含み、
(パーティライゼイション)
目標にアミルを設定した。これで麻痺は解けるはずだが、超速スキルの効果が終わるまでは結果が分からない。
そのまま、空中に浮遊するパットバット達に聖槍の連続突きをかましまくる。
しばらくすると、オーバーホエルミングの効果が切れた。
「アミル、大丈夫か?さっき薬を投与したぞ」
「えっ?いつ?・・・・・・でも、回復しました。ありがとうございます!」
これで、いったんアミルは大丈夫か。
「残りを片づけるぞ!」
「了解!」
先程のオーバーホエルミング中に三匹片づけたので、残り三匹を倒して戦闘終了。
ドロップ品を拾い、次の相手を探す前に立ち止まって確認。
「アミル、迷宮に入るようになってから、麻痺になったのは初めてじゃないか?」
「はい。そうですね。あれが麻痺なのですね。驚きました」
俺も驚いたよ。
ボーナス防具に『状態異常無効』のスキルが付与されてるから、俺は今まで麻痺を始めとした状態異常になったことはない。
うちのメンバーも、低階層ではならなかったし、その後はスキル融合した防具を装備してたから、麻痺などになったことはなかったはず。
耐毒の竜革グローブ 腕装備
スキル 毒耐性 石化耐性 睡眠耐性 麻痺耐性
このグローブは俺以外の四人全員が装備しているのだが、この耐性を突き抜けて状態異常を付与してくるケースがあるのか。
45階層はオイスターシェル、46階層はラフシュラブで状態異常にする攻撃はなかったので、気付かなかったのか?
ターレの34階層以降では、ビープシープやハントアントなどが出現したけど、状態異常になったことはなかったよな。
45階層以降のモンスターで、パットバットが状態異常攻撃を発生させる初めてのモンスターだったのだろうか。
「アミル、だいたいで構わないのだが、パットバットの攻撃を今日何回受けたか分かるか?」
「そうですね。10回ぐらいでしょうか?」
1日の7割ぐらいの探索時間で10回か。
モンスターの組み合わせによっては、もっと増える可能性もあるよな。
状態異常耐性の防具を装備してなかったら、もっと増えるのかもしれないし。
他のパーティーでは、薬を投与したりして凌ぐのだろうけど。
それに麻痺が通るということは石化や毒化も通るということだ。
石化を発生させるモンスターは、原作でも今回でもお目にかかったことはないが。
それでも・・・・・・これは決して油断できないということだな。
今までも油断してきたつもりはないのだが・・・・・・いや、油断していたか。
先程の戦いでも、後からオーバーホエルミングをかけたよな。
相手の殲滅を優先するのなら、もっと早くから使うべきだったはずだ。
これを油断と言わずして、なんと呼ぶのかってことだよな。
スキル融合の候補に、ハーブのモンスターカードを検討をするか。
確か『状態異常耐性』のスキルが付与されるはずだ。
毒や麻痺といった種類別とは異なり、汎用っぽい耐性スキルだが、別の装備にスキルを付与しても名前が異なるから、効果が積算されて状態異常の発生を抑えてくれるかもしれない。
これも実験して確認してみるか。
「ご主人様、あの・・・・・・?」
「ああ、悪い。ちょっと考えをまとめていたところだ。
まず、今回のようにパットバットが多い場合には、
今まではあまり使ってなかったが、俺の高速に動作するスキルを積極的に使うようにする。
今回も早めに使っていれば、ここまで苦戦しなかっただろうからな。
それと、今回のことで分かったのだが、
45階層以降のモンスター群は今の俺達が使っているタケダ家標準の防具でも
状態異常の発生を防げないことがあるようだ。
そのため、『ハーブ』のモンスターカードで『状態異常耐性』のスキル融合を検討したい」
俺の言葉に理解を示した反応しているのはアミルだけ。
他の三人は頷いているが、きっと理解できてないと思う。
まあ、それは構わないけど。
残りの探索の時間ではオーバーホエルミングを多用して、安全を確保しよう。
「空きスロットが1つある適当な鎧に『状態異常耐性』のスキル融合をしてもらえるか?
また、どこかで実験してみよう。
ちょうど、盾に催眠のスキル融合する計画があったよな?
そちらと合わせて、朝練の時にでも実験してみたい」
「なるほど。分かりました。
前にスキル融合の方針を検討した時には、
胴装備に『状態異常耐性』を付与することを検討していたと思います」
そういえばそうだったな。
アミルは装備品やスキル融合の知識があるので、話が早くて助かる。
それと状態異常に限らない可能性もあるよな。
「アミル、状態異常以外でも・・・・・・魔法耐性についても実験したい。
『竜』のモンスターカードで、『魔法ダメージ削減』のスキル融合をしてもらえるか?」
「『竜』もですか?『竜』のモンスターカードは他のカードよりは稀少ですけど
実験に使っても大丈夫なのでしょうか?」
アミルの言葉に首肯した。
実験にコストはつきものなのだよ。
状態異常だって突き抜けてくるのなら、魔法のダメージ耐性も今までより弱まる可能性だってあるはずだと思う。
今回の失敗を糧にして、戦力の増強を検討しよう。
「では実験の話は明日以降だが、今は先程の方針に沿って戦闘を実施する。探索を再開するぞ」
「了解」
「了解」
「了解」
「了解」
その後は、オーバーホエルミングを積極的に使ったこともあり、パットバットが多い戦闘でも迷宮組のメンバーに麻痺状態が発生することはなかった。
探索自体は順調に進んだが、中間部屋に辿り着くことなく探索を終了した。
・・・・・・
翌日は予想通り、アミルが朝練までスキル融合装備を用意してきた。
「アミル、詠唱中断やMP吸収は選択肢がないので疑問はないのだが、
羊のモンスターカードを使う場合、催眠と睡眠耐性の選択はどうなっているのだ?
防具としての催眠耐性のスキルが融合されそうな気もするのだが」
「えーと、スキル融合時に選択肢が浮かぶので必要な方を選んだだけなのですけど・・・・・・」
さすが、ゲームの世界だな。
強権の鉄盾 盾
スキル 詠唱中断
催眠の鋼鉄盾 盾
スキル 催眠
吸精の鉄盾 盾
スキル MP吸収
鎮静の硬革鎧 鎧
スキル 状態異常耐性
耐魔の硬革鎧 鎧
スキル 魔法ダメージ削減
盾は意味不明過ぎるスキル融合装備品だが、オークションに出しても落札しようとする者がいると思えない。
我が家のように明確な利用用途があれば違うのだろうが、初見では難しいだろう。
硬革の鎧の方は、そのうちルークに等価交換の取引にでも使うか。
強権の鉄盾の実験は簡単に有効であることが検証できた。
詠唱中に
決して盾で殴られて、ビックリして中断した訳ではなかったのは身を以って実感。
強権の武器は、ちゃんと打撃が通れば相手の詠唱を中断できるのだから検証は簡単だった。
催眠の鋼鉄盾もアルフレイルを外した状態で、繰り返し突いてもらって状態異常になったことを確認できたの有効と判明。
状態異常になったのに、続けて盾で突かれて目を覚ましたのはご愛敬だ。
この実験で盾で突く役割はアミルがやっている。
タケダ家の中で高レベルのジョブであり、かつ
一応、俺のジョブは村人Lv50にして、防具はそれなりに装備した。
鍛冶師Lv76の突きは痛いだろうから。
47階層の強敵モンスターを再現するつもりで、高レベルジョブの者に突いてもらってるのだが、どこまで同じ条件を再現できているのかは不明だ。
次の実験はちょっと面倒臭い。まずはタケダ家標準の竜革グローブを装着。
耐毒の竜革グローブ 腕装備
スキル 毒耐性 石化耐性 睡眠耐性 麻痺耐性
その後に、催眠の鋼鉄盾でアミルにひたすら突かれる。
耐性防具があるせいで、なかなか眠りの状態にならない。
アミルが必死になって、俺を盾で突きまくる絵面はなんとも奇妙な光景だ。
それでも、ようやく眠りの状態に陥った。次の打撃で目が覚めたけど。
「アミル、それでは引き続き9回眠りの状態が発生するまで突き続けてくれ」
「えっ、そこまでやるのですか?」
実験には適切なサンプリング数が必要なのだよ。
途中、適度に僧侶の手当でHPを回復しながら、合計10回の眠りに落ちた。
全く安眠できなかったのだが。
次に胴装備を鎮静の硬革鎧に変更。
これで、状態異常の発生頻度が落ちれば実験は成功と見なせる。
これも、10回眠りの状態になるまで繰り返せば比較になるだろう。
その結果は・・・・・・いつまで殴られ続けても眠りの状態にならないので、途中で終了にした。
一回目の検証で10回眠りの状態になるまでの打撃の総数を更に超えても、状態異常にはならなかった。
一回目の検証は10回眠りになるまでやる必要はなかったか?
いや、やはりサンプリング数が多いと安心できるので無駄ではないはず。
そして、ハーブのモンスターカードを使ったスキル融合防具をタケダ家の標準装備に加えた方が良いという結論になった。
次の実験はつらいのでやりたくなかったが・・・・・・まずはMP枯渇に近い状態までMPを減らしてから実験を行う。
ザビルのような遠隔地までワープでひたすら移動・・・・・・の手もあったが、手っ取り早く拠点のMP補充を行なった。
MP満タンの状態から、クーラタル拠点の魔結晶に魔力をひたすら補充・・・・・・これはキツイ!・・・・・・という状態までしたところで強壮丸を一錠だけ飲んで少しだけ回復。
満タンの状態で、ちょっとぐらいMPを減らされても体感できないので、分かるところまで減らすことにした。
あとは、アミルに吸精の鉄盾でガンガン突いてもらい、再びMP枯渇状態になることが確認できたので、盾にMP吸収のスキルを付与するのも効果ありと。
二度目のMP枯渇状態になったところで、一気に強壮丸を大量に服用。
変な薬をやっているヤバイ奴状態だ。
既に鉄製の盾でガンガン殴られているので、周りからは奇異な目で見られているが。
拠点の魔結晶に増えた魔力数値が、俺のおおよそのMP値なのだろうか?・・・・・・謎だな。
「今朝のご主人様の振る舞いは、前に読んだ昔の偉い学者さんの話を思い出しました」
「・・・・・・」
偉い学者さんと肩を並べられるという言葉に喜ぶべきか、『樽に住んでいた』と原作で言及のあった奇人変人と同じ扱いされている気がするのを悲しむべきか、なんとも微妙だ。
どんな学者さんの話だったのか、アミルに問い質す気力はないのだが。
・・・・・・
そして、魔法ダメージ削減実験は朝練ではさすがにできないので、朝食後にドロテアに付き合ってもらった。
彼女は心底嫌そうだったが、タケダ家の戦力増強になるからと拝み倒して折れてもらった。
実験場所は前にも魔法耐性実験をした、ドブローの盗賊集団を討伐した人気のない空き地だ。
前の実験の名残で、幾分か地面に焼け焦げた跡がある。
魔法四属性耐性のあるダマスカス鋼の額金を装備した状態で、通常の硬革の鎧と耐魔の硬革鎧を装備した状態でファイヤーストームを受けたダメージの比較実験。
耐火のダマスカス鋼額金 頭装備
スキル 火耐性 水耐性 風耐性 土耐性
実験結果としては、魔法四属性の耐性スキルと竜の魔法耐性のスキルは2つ装備しても双方有効となり、魔法ダメージの減少が見込めた。
数回ずつ、俺を火だるまにしてもらって、複数のサンプリング結果を取得。
あくまで俺の体感でしかないが、きっと正しいはず。
俺も偉い学者さんに近づいてきたのかもしれない。
今後のタケダ家の魔法耐性装備については、従来の四属性耐性を備えた額金を基本として、追加で竜のカードをスキル融合した装備品を加えることになるだろう。
元々、胴装備に竜のカードで『魔法ダメージ削減』、ハーブのカードで『状態異常耐性』の予定もしていたので、その方針に則ることになる。
げんなりとしたドロテアと共にワープでクーラタルに戻ることにした。
・・・・・・
今日も午前中もターレ迷宮47階層の攻略の続きだ。
騎士団の兄ちゃんを44階層に案内して、報酬を受領。
探索を開始したが、オーバーホエルミングを出し惜しみせず、パットバットを叩きまくった。
ボス部屋到達を優先で全クリアを目指さない探索のため、思っていたよりも早く中間部屋を発見し、そのまま探索を続行。
昼食を挟んで、午後も接敵するモンスター達を討伐しまくる。
朝食と昼食の休憩時間を使って、アミルがハーブと竜のモンスターカードを四人の胴装備にスキル融合してくれた。
これで、かなり安心できるはず。油断は禁物だが。
夕方前に、なんとか魔物部屋も発見。
魔物部屋の優先度は低いが、せっかく見つけたので殲滅させてもらった。
その後も探索を順調に続けたがボス部屋の発見には至らず、探索を切り上げることにした。
自宅に戻って、二階に上がろうとするとエネドラに呼び止められた。
「増築工事の一期工事が完了したと、本日の作業終了時に大工の親方から報告がありました」
既に二期工事作業に取り掛かったそうです」
「分かった、ありがとう」
思っていたよりも、少し早かったな。
一期工事がこのタイミングで完了したなら、報酬をアップの条項に従って報酬を渡さなければならないな。
元々は、工事の進捗促進を見込んで報酬アップの条項を追加したので、目論見通りといえば目論見通りだが。
工事の完了内容を確認したら、例の計画も発動しなければ。
口元のニヤニヤを抑えながら、二階に上がることにした。
お読みいただき、ありがとうございます。
次回投稿日は2026/2/19(木)の予定です。