異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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071.ターレ迷宮討伐戦

 意見交換会の翌日、久々にクーラタル迷宮に足を運んだ。

 迷宮組五人で、入口の騎士団員の所へ。

 今まで直接ワープで移動していたので、入場料を支払うのも本当に久しぶりだ。

 

 お金を支払った後にハルツ公のエンブレムを見せながら、階層案内を依頼した。

 

「52階層のボス部屋に一番近い部屋の案内を頼みたい」

「案内は構わないが・・・・・・パーティーメンバーは5人なのか?」

 騎士団員の言葉に頷く。

 

 ラファではないが、50階層以上に5人で行くなよ!・・・・・・ということだろうか。

 

「5人だが、問題あるか?」

「別に何人でも問題ない。自己責任だからな」

 銀貨52枚を取り出して支払った。受け取る方も大変だ。

 

 目の前の男がパーティー編成の詠唱をしたので、彼のパーティーに加わる。

 

 彼の後について、ゲートをくぐって目的地に向かった。

 

「ここがボス部屋に一番近い場所になる。

 もし探索が無理そうだと感じたら、躊躇せずに戻ってこいよ。

 迷宮討伐も重要だが、命あってのものだからな」

「ああ、気を付けるよ。協力感謝する」

 別に俺はハルツ公爵領の騎士団員ではないが、それらしく返答しておいた。

 

 エンブレムを見せたから、迷宮討伐を目指すようにしか見えないか。

 迷宮討伐の練習に来ているから、的外れな助言ではないのだけど。

 

 彼と一緒に入口に戻り、改めて四人をパーティーに加え、案内された小部屋に移動。

 

「クーラタルの52階層のモンスターは出現する割合の多い順に

 ロールトロール、ピックホッグ、ブラックダイヤツナ、マダムバタフライだ。

 ターレ迷宮の50階層よりも陸上移動型のモンスターの割合が増える。

 ボス戦の練習だと思って倒していこう」

「了解!」

「了解!」

「了解!」

「了解」

 前衛組三人の気合がスゴイな。

 

 

 その後の探索は階層が2つ上がったことでモンスターがLv52になったが、それ自体はさほど問題にはならなかった。

 ただ、迷宮ボス戦では被弾しないことを前提にしているため、52階層の雑魚モンスター戦でも必要以上に回避しようとして、最初のうちだけ動きが少しギクシャクしていた。

 

 戦闘を重ねる毎に動きは改善され、みんな充実した表情で戦っている。

 クーラタルは地図があるので、目的地を目指すのに迷うことはほとんどない。

 お昼の時間より少し前に待機部屋に到着したので、迷宮ボス戦の練習は午後以降にした。

 

・・・・・・

 

 昼食を終えて、52階層の待機部屋に移動。

 いよいよ迷宮ボス戦の予行演習だ。

 

「フォーメーションや戦闘方法は昨日、説明した通りだ。

 だが、まず初めに撤退の練習から入る」

「主、逃げる練習からするのか?」

 俺の発言に、前衛組三人のテンションが下がった気がする。

 

 お前らテンション上がり過ぎだから、少し下がるぐらいで丁度いいのだよ。

 不満気な三人をなだめすかしながら、ボス部屋へ入る。

 

 開始の合図と共に小荷駄隊へザビルメンバーを移してボス戦を始めた。

 戦闘開始から30を数えたところで撤退開始。

 事前に、どのタイミングで撤退するかは伝えていない。

 撤退は予期しないタイミングで起きることだから。

 

「撤退だ!」

 俺の合図で皆がビクンとした。

 

 こんなに早く撤退すると思ってなかったのだろう。

 戸惑いながらも、モンスターに攻撃を入れて、皆が後ろに下がり始めた。

 殿(しんがり)を務めるのは俺で、他の皆が四人固まって同じ壁まで撤退するのだが、足並みをそろえるのが大変だった。

 走る速度も違うし、モンスターの位置も気にしながら走っているので。

 

 俺はみんなの方を振り向く余裕がないので、魔法を連続で放ちつつ、四本の武器で牽制しながら徐々に下がる。

 アミルの準備完了の合図でオーバーホエルミングを使って、皆のいる場所にダッシュ。

 そのままワープを唱えてゲートを開き、オーバーホエルミングの効果が切れたところで、皆に移動を促す。

 

 意外に難しい。だが、なんとか撤退完了。

 

「主、つまらない!」

「いや、逃げる練習しておかないと、逃げられないだろう?」

 今まで、戦闘中に逃げるなんてしたことないからなぁ。

 

 開いた扉の向こうには獲物を見失ったモンスターがうろちょろしているのが見えたが、やがて定位置に戻っていった。

 

「あのモンスターを倒したら、もう2、3回練習するぞ」

 俺の言葉に前衛三人組は嫌そうな表情。アミルは苦笑。

 

 お前ら逃げるのは嫌いだもんな。

 でも、逃げる必要がある時は逃げなければダメなんだよ!

 経験ないことは経験するしかないだろう?

 

 ワープが無ければ、戦闘中に逃げるのはひたすら通路を逆走するだけだ。

 少なくとも俺とパーティーを組んでからは、逃走なんてしたことないはずだ。

 ボス戦はそもそも普通は逃げられないし。

 

 3回練習して、慣れてきたようなので終了にした。

 これ以上やると、本当にやる気を失いそうだったので。

 

 その後は組分けをして、二匹のボスと戦う練習を、それぞれ10回ほど繰り返した。

 合格の基準は10戦して、一度も被弾しないこと。結構厳しい合格基準。

 

 トルネードトロールは腕のリーチがロールトロールよりも長く、意外に面倒な相手だった。

 ローリング攻撃をしてくるのは、ロールトロールと同じだが、その攻撃の予備動作は分かり易い。

 背中をこちらにクルッと向ける( 野茂かよ! )とローリングしてくる合図なので、そのタイミングで膝裏を槍で突くとバランスを崩してローリングができない。

 リーチの長い武器を持つか、その瞬間に飛び込んで剣で薙ぎ払う勇気があればなんとかなる。

 バランスを崩した時に、変な姿勢で攻撃を誘発すると巻き込まれるので要注意だ。

 面倒なのはローリング攻撃ではなく通常攻撃で、リーチの長い腕をフック気味にぶん回してくるのが回避しにくい。

 ある意味防御を捨てた二刀流みたいな攻撃なので、触れないように攻撃するのが厄介だった。

 

 トルネードトロールのボスドロップは鋼鉄だった。微妙なドロップ品だな。

 せめてダマスカス鋼クラスなら報われた気分になったのだが。

 それよりもトロールのモンスターカードをドロップした方が嬉しかった。

 

 

 予行演習の結果は、

 

 ユキムラ単独    :一回も被弾せずボスを石化

 ヴィルマ/イレーネ組:ヴィルマ一回被弾・イレーネ二回被弾

 オリビア/アミル組 :オリビア五回被弾・アミル多数被弾

 

 ヴィルマとイレーネはあと少しというところか。

 被弾はしたが、武器にトルネードトロールの腕の攻撃が触れたという程度。

 

 そして被弾即武器破壊ではないから、よほど運が悪くなければ討伐できるので、合格という評価が可能かも。

 今回はリスク回避のために、迷宮ボスは俺が戦わせてもらうけど。

 

 オリビアはやはり武器で受けてしまうので、完全回避は難しい。

 アミルは無理に回避することはせず、普通のボス戦をしている感じだった。

 迷宮ボスと戦う気はなさそうだな。それはそれで問題ないけど。

 

 

 最後に超速スキルを封印して俺単独でボス二体と戦ってみたが、数回被弾したところでオリビアがヘルプに入った。

 さすがに、ボス二匹に一人で戦うのは無理だ。分かっていたけど。

 俺だけ被弾しないのは、ちょっと皆に申し訳ないので被弾覚悟で戦ったのだったりする。

 

 原作主人公達は迷宮ボス戦の攻略をいともアッサリと終わらせていた。

 だからと言って、俺達が簡単にできるとは思ってなかったが、なかなか厳しい現実だ。

 あちらは正真正銘の主人公補正がかかっているし、超絶避けタンクのヒロインがいる。

 

 唯一合格した俺だって、ちょっと普通の人よりも腕の数が多いだけの、ただの凡人だ。

 こちらは、俺も含めて全員が凡人集団だと思っている。

 いや、みんな努力家で優秀だと思ってはいるのだが。

 それでも、主人公達には敵わないだろうってことだ。

 

 チートスキルももらったし、なんならボーナスポイントもリアルチートのズルして増やしてから転移してきた。

 それに加えて、かなり努力もしてきたつもりなのだけどな。

 

 クーラタルの52階層で慎重を期して、シミュレーションもした。

 それでも、原作主人公のやり方では俺達は攻略できないってことだな。

 ちょっと悔しいけど、まだ成長や改善の余地はあるはずだと思うことにしよう。

 

 

 不合格だったイレーネは悔しくて涙を流していた。本当に負けず嫌いだな。

 その気性がきっと成長に繋がると信じたい。

 一回でも接触したらダメという厳しいルールにしたからNGになっただけだ。

 彼女の気持ちを考えると挑戦させてやりたくなるが、ここは我慢。

 

 ヴィルマとオリビアも悔しそうだが、オリビアの方は少しサバサバしている感じか。

 明日の迷宮ボス戦を経験してみて、工夫できることもあるだろうからガッカリするなって。

 

 アミルも難しそうな顔をしているが、自分が被弾したことよりもパーティーとして上手くいかなかったことに悔しさを感じている様子だ。

 彼女はそれで問題ないと思う。

 

 明日の迷宮ボス戦は今日の練習通りに戦うだけ。

 不測の事態が発生すれば撤退だし、その練習もしたのだから全滅リスクは低くなったはず。

 やれるべきことは、ほとんどやった。

 

「これで、今日の迷宮探索は終了だ。一度、ここから迷宮の入口まで戻るぞ」

「・・・・・・」

 あまり納得がいってなさそうだが、ゲートを開けると皆くぐっていった。

 

 迷宮の入口でパーティーを解散して、俺以外のメンバーは歩きで自宅まで帰るように促した。

 俺の方は・・・・・・入口にいる騎士団に声をかけた。

 

 

「52階層を除いた45階層から56階層のボス部屋に一番近い部屋の案内を頼みたい」

「はあ?全部で10階層以上あるぞ。しかも一人か?」

 ハルツ公のエンブレムを見せながら、騎士団員の言葉に頷いた。

 

 午前中は五人で来て、夕方は一人。奇異な目で見られている。

 

「探索する訳でなく、案内を頼みたいだけだ。問題があるか?」

「別に構わない。そんなことを言ってくる奴を初めて見たから驚いただけだ」

 代金は・・・・・・カルクカルク・・・・・・5万5400ナール。

 

 金貨5枚と銀貨54枚。

 計算が得意な騎士団員が急遽呼び出されて、合計金額に間違いがないことを確認してもらった。

 カルクのスキルがないと不便だな。

 普通は案内階層の枚数だけ銀貨を支払って終わりだから計算なんて必要ない。

 案内する度に銀貨を数十枚渡すのが面倒だから、一括で支払っただけなのに。

 

「では、案内するから付いてきてくれ」

 彼のパーティーに入って、45階層から56階層までひたすら付いて回った。

 

 いずれはどこかの迷宮を討伐する際に行くのだから、ハルツ公のエンブレムがあるうちに移動場所の確保をしておきたかっただけだ。

 ちょっと勢いに任せ過ぎたかも。

 威霊仙のドロップする63階層は目立つから止めておこうと思ったのだが、予想外に目立ってしまった。

 

 一通り希望していた案内が終わり、騎士団員に礼を言ってその場を後にした。

 最後に・・・・・・もう一つやるか。

 冒険者ギルドに入り、壁から自宅に戻った。

 

 玄関を出て、修練場に向かう。

 

 イレーネ達は・・・・・・いた。

 迷宮組の四人が固まって話をしている。

 先ほどのボス戦の反省会をしているのだろうか。

 

 俺が近づいていくと、ヴィルマがこちらに気付いたようだ。

 

「主も模擬戦やるか?」

「そうだな。久しぶりに()()でやるか?」

 俺の言葉に三人がこちらを食い入るように見つめてきた。

 

 アイテムボックスから木の剣を四本取り出した。

 両手剣の四刀流で模擬戦するのは久しぶりだな。

 

「誰からやる?」

「お、御館様、あたし!」

 泣いたカラスがもう笑う・・・・・・ではないが、元気出して向かってきてほしい。

 

「じゃあ、イレーネからやろうか」

「うん!」

 彼女は小走りで、修練場の中央に駆けていった。

 

 とはいえ、実際に戦えば俺の圧勝だった。

 四本の剣の圧力に剣一本では抗うことは不可能だ。

 

「御館様はやっぱり強いな!」

「剣四本持ったら、さすがに誰にも負ける気はしないな」

 俺の他に腕四本持った奴がいれば、きっと危ないだろうが、お目にかかったことがない。

 

 あとは英雄や勇者のジョブを持つ者がいれば、腕が四本あっても負けてしまうだろう。

 

 

 次のヴィルマ戦も同じく圧勝。

 オリビアの槍二刀流は少しだけ手こずったが、俺の完勝だった。

 

 アミルはそもそも俺と戦おうとしなかった。

 いつかギミックの武器を作ったら、俺に挑むのかもしれない。

 

「じゃあ、イレーネとヴィルマ二人とやるか?」

「主、本気で勝負だぞ!」

「・・・・・・」

 言葉に出して感情をむき出しにするヴィルマと無言で俺に殺気を向けるイレーネ・・・・・・どちらも本気だ。

 

 結果は僅差で俺の負け。

 この二人相手では、二対一では剣四本あっても勝てないな。連携も上手いし。

 最近の俺は剣技を磨く努力を怠っていたかもしれない。

 

 その後は、イレーネ&オリビア、ヴィルマ&オリビアと戦ったが、そちらはハッキリと分かる差で俺の負け。

 リーチのある槍二刀流と剣を持った猛者の二人には、もう勝てません。

 

「やっぱり、お前らは強いよ」

「主は一人で二人分強いから、あたしらはまだまだ弱い」

「今日はボス二匹に勝てなかった」

 いやいや、違うだろう。

 

「もう一度言うけど、お前達は強いんだぞ。

 今日の迷宮ボス戦の練習だって、

 当てられたらダメってルールにしたから達成できなかった訳で、

 お前らが迷宮ボスよりも弱いって訳じゃないぞ」

「でも、御館様は二匹のボス相手に何もさせずに勝った。やっぱり強い!」

 あー、超速スキルはチートスキルみたいなもんだからな。

 

「確かにオーバーホエルミングやオーバードライブを使ったら

 俺は誰にも負ける気はしない。

 でも、それはスキルのおかげだからな」

「スキルも含めて御館様の力だ。だから、御館様は強い!」

 可愛い娘達に強い、強いって言われると悪い気はしないのだけど・・・・・・。

 

「まあ、俺のことは置いておいて、お前達が弱いってことはないんだぞ。

 だいたい迷宮ボスってのは貴族の騎士団が戦って倒しているんだぜ。

 この前、ザビルの騎士団とタケダ家のメンバーが模擬戦やった話は聞いてるか?」

「・・・・・・」

 俺の言葉に四人が頷く。

 

「レドリック、モニカ、ケリー達はその騎士団と模擬戦をやって完勝しているんだ。

 迷宮ボスを倒す騎士団の精鋭と戦って互角の戦力ってことだ。

 モニカやケリーと一対一で模擬戦やっても、お前ら勝てるだろう?

 だから、お前らは全然弱くはないってことだよ」

「!」

 ザビルの騎士団を引き合いに出して悪いが、タケダ家の戦力はそれなりだと思っている。

 

 その上澄みにあたる迷宮組が弱いはずないんだよ。

 

「明日の迷宮ボス戦は俺に譲ってくれ。

 そのうちみんなにも戦う機会を設けるように考えるから」

「主、ホントにあたしらもいつか戦えるのか?」

「御館様、次はあたし!」

「ユキムラ君、任せて~♪」

「わたしは、みなさんにお譲りしますので・・・・・・」

 ちょっとはモチベーションが上がったかな。

 

「迷宮ボスと戦う機会は考えるけど、それまでに今日とは違う戦い方を考えろよ!

 次までにもっと強くなっていたら、その時はチャンスをやるから」

「・・・・・・」

 三人がコクコクと頷いている。

 

 一人だけ苦笑している娘がいるが、司令塔だから別に構わない。

 

「まずは明日、迷宮を討伐してからだ。それから、次の目標を考えようか」

「了解!」

「了解!」

「了解!」

「了解・・・・・・もう次ですか」

 次のことを考えるのは、明日のノルマを達成してからだよ。

 

「今日は美味い飯食って、ゆっくり休んで明日に備えよう」

「主、もう一回模擬戦しよう!」

「その次、あたし!」

 次のことを考えるのは迷宮討伐してからって言ったのに、ちゃんと理解してるのか?

 

 結局、その後も修練場で模擬戦三昧だった・・・・・・別にいいけどさ。

 

 

・・・・・・

 

 翌日・・・・・・いよいよターレ迷宮の討伐に挑む時がやってきた。

 正直、かなり緊張していると思っている。

 

 ターレ迷宮に行く・・・・・・前にクーラタルの52階層で最後の練習。

 緊張を解消するために、ちょっと体を動かさせてください。

 5回ほどボス戦をやらせてもらって、昨日同様に被弾せずに倒せることを確認。

 

 そのまま、ターレ迷宮50階層の待機部屋まで移動。

 

 

 待機部屋で最後の確認。

 

 今回の迷宮ボス討伐のポイントは、超速スキルを使って()()()()により瞬殺で状態異常に追い込むこと。

 

 強いダメージを与えることは考えずに、モンスターの腕に接触しないように、リーチのある槍で的確に当てる。

 魔法ダメージは期待していないので、魔法使い用の武器は持たずに魔法攻撃をかける。

 雷魔法のサンダーストームを放つが、麻痺になればラッキー程度。

 二重掛けはしないので、魔道士でしか魔法は使わない。

 

 迷宮ボス戦で優先する効果は、四本腕で両手武器使うため腕力、状態異常付与率アップの器用、回避のための敏捷だ。

 

 ジョブの構成は百鬼夜行、鬼神、勇者、英雄、遊び人、忍者、魔道士のセブンスジョブ。

 

 

 遊び人のスキルには、博徒の状態異常耐性ダウンをセット。

 遊び人の効果設定は、勇者の器用大上昇をセット。

 

 器用の効果には、原作者の感想に『状態異常付与率』とあったので、それも期待する。

 

 両手武器を四本持つために、腕力上昇の効果があるジョブをセットしなければならない。

 百鬼夜行、鬼神、勇者、英雄のジョブがそれに該当する。

 

 このジョブをLv80程度まで上げたら、ダマスカス鋼の槍を四本持って戦うことが可能になった。

 隻眼のバルドルフからもらってきたオリハルコンの槍を一本加えると、使いこなせない。

 腕力が足りないってことだが、腕力上昇のある他のジョブをセットする余裕がない。

 それに万が一しくじって破壊されることも考えると、オリハルコンの装備品は使いたくない。

 

 状態異常に早く追い込みたいので、忍者、博徒のスキルを使う遊び人は外せない。

 気休めかもしれないが、麻痺に追い込めればラッキーなので魔道士もセットする。

 

 

 回避も考えて、『敏捷』の効果も十分であることを確認。

 状態異常付与率アップのための『器用』の効果もそれなりに累積されるジョブ構成のはず。

 

 

ジョブ 百鬼夜行

効果 ()()()()() 体力中上昇 ()()()()()

スキル ()()()()()() 小荷駄隊(4人)

     パーティー編成 アイテムボックス操作(50) フィールドウォーク

 

ジョブ 鬼神

効果 ()()()()() 体力大上昇 ()()()()() ()()()()() 知力小上昇

スキル ()()()()()() 輜重隊(4人)

     パーティー編成 アイテムボックス操作(70) ダンジョンウォーク

 

ジョブ 勇者

効果 HP大上昇 MP大上昇 ()()()()() 体力大上昇

   知力大上昇 精神大上昇 ()()()()() ()()()()()

スキル ()()()()()()()() アイテムボックス操作(50)

 

ジョブ 英雄

効果 HP中上昇 MP中上昇 ()()()()() 体力中上昇

   知力中上昇 精神中上昇 ()()()()() ()()()()()

スキル ()()()()()()()()()()

 

ジョブ 遊び人

効果 ()()()()()

スキル 効果設定 スキル設定 ()()()()()()()()()

 

ジョブ 忍者

効果 ()()()()() 知力大上昇 精神大上昇

スキル ()()()()()()()()() 状態異常耐性アップ クリティカル発生 一閃

 

ジョブ 魔導士

効果 知力中上昇 MP小上昇 精神微上昇 体力微上昇

スキル 中級火魔法 中級水魔法 中級風魔法 中級土魔法 下級氷魔法 ()()()()()

 

 

 今回の迷宮ボス戦ではボーナス装備であるデュランダルとアルフレイルを外して、他のメンバー達が使っている装備品と同等の武器、防具を使う。

 アミルとミラにひたすらダマスカス鋼の槍を量産してもらって、空きスロットが4つのものを用意。

 拠点構築の効果で空きスロットの多い装備品が生成される確率は高くなるが、それでも空きスロット4つの槍を四本用意するのは大変だった。

 二人には本当に感謝の言葉しかない。

 

 状態異常三種の付与とHP吸収、MP吸収を2本ずつ付与してもらった。

 最終的には石化を目指すが、先に麻痺や眠りの状態にするのでも構わない。

 HP吸収とMP吸収を付与したのは念のため。

 

(変更前装備)

 デュランダル(攻撃力五倍 HP吸収 MP吸収 詠唱中断 レベル補正無視 防御力無視)

 硬直のダマスカス鋼剣(石化添加、攻撃力2倍、MP吸収、クリティカル二倍)

 激情のダマスカス鋼剣(攻撃力2倍、MP吸収、HP吸収、クリティカル二倍)

 ひもろぎの聖槍(知力2倍、攻撃力2倍、MP吸収、HP吸収、空)

 アルフレイル(防御力2倍、魔法ダメージ削減、状態異常無効、レベル補正無視)

 ダマスカス鋼の額金(空4)

 ダマスカス鋼のガントレット

 竜革の靴(空4)

 身代わりのミサンガ

 

(変更後装備)

 硬直のダマスカス鋼槍(石化添加、麻痺添加、催眠、HP吸収)

 硬直のダマスカス鋼槍(石化添加、麻痺添加、催眠、MP吸収)

 硬直のダマスカス鋼槍(石化添加、麻痺添加、催眠、HP吸収)

 硬直のダマスカス鋼槍(石化添加、麻痺添加、催眠、MP吸収)

 頑強の竜革の鎧(物理ダメージ削減、状態異常耐性、魔法ダメージ削減、空)

 耐水のダマスカス鋼額金(水耐性、火耐性、風耐性、土耐性)

 耐毒の竜革グローブ(毒耐性、石化耐性、睡眠耐性、麻痺耐性)

 駿馬の竜革靴(移動力増強、回避力二倍、空2)

 身代わりのミサンガ

 

 回避と移動力を強化するためのスキル融合もアミルにしてもらった。

 この駿馬の竜革靴は全員が装備している。

 

 

 ボーナスポイントの割り振りは、セブンスジョブにした上で、器用上昇に目いっぱい振って、残りは敏捷とMP回復に割り振った。

 とにかく、迷宮ボスを状態異常にする、そして攻撃を受けないことが最優先。

 ボーナス装備品を外したおかげで、割り振るポイントに余裕ができた。

 

 経験値や結晶化促進などは考慮しない。

 ボーナス魔法は使わないと思うが、保険の扱いでセットした。

 

ボーナスポイント(279(初期値198+81(Lv上昇分))

・キャラクター再設定(1)

・鑑定(1)

・パーティージョブ設定(3)

・パーティー項目解除(1)

・索敵(5)

・拠点構築(5)

・MP回復速度十倍(31)

・器用上昇(99)

・敏捷上昇(62)

・セブンスジョブ(63)

・詠唱省略(3)

・MP全解放(1)

・ガンマ線バースト(1)

・パーティライゼイション(1)

・ワープ(1)

・メテオクラッシュ(1)

余剰ポイント(0)

 

 

 これで・・・・・・これで、今できる限りの準備は最大限やったつもりだ。

 

 

「主、そろそろ迷宮ボスを倒しにいこうよ!」

「・・・・・・」

 確認作業に集中し過ぎた。

 

 でも、迷宮ボスとの初戦だから、このぐらい慎重でもよくない?

 

「じゃあ、ボス部屋に入るぞ。いつも通り、小荷駄隊外しで臨む。みんな練習通りに頼むぞ」

「了解!」

「了解!」

「了解!」

「了解」

 

 みんな集中して引き締まった表情だ。これなら大丈夫だろう。

 

 レドリックを輜重隊から通常部隊に入れて、ボス部屋に入った。

 扉は閉まらない。いつも通りだ。

 

 練習で散々やった所定の位置に皆が着いた。

 

 中央のボス二匹に攻撃が届きそうな真ん中の真正面が俺の位置。

 俺の左側にオリビア、更に左にヴィルマ、右側にアミル、更に左にイレーネ。

 

 左のお供をオリビアとヴィルマ、右のお供をアミルとイレーネで対応してもらう。

 どんなモンスターがお供で出現するか分からないが、四人に任せて俺は迷宮ボスに集中する。

 

「始めるぞ」

「了解!」

「了解!」

「了解!」

「了解」

 

 レドリックを通常部隊から輜重隊に戻した。

 モンスター出現のエフェクトが始まり、中央に二体のトルネードトロールが出現。

 

(オーバーホエルミング)

 

(サンダーストーム)

 

(状態異常耐性ダウン)

 

 右側のトルネードトロールに博徒のスキルをかけた。

 

 トルネードトロールがスローモーションで腕を振り上げようとするのが見える。

 

 下椀の両腕に持ったダマスカス鋼の槍の扱いは、右腕の槍は右にいるボスの胴体に突き出し、左腕の槍は左にいるボスの胴体に突き出す。

 上腕の両腕に持ったダマスカス鋼の槍の扱いは、上に振り上げて、右腕の槍は右にいるボスの頭に振り下ろし、左腕の槍は左にいるボスの頭に振り下ろす。

 

 後はそれを正確にリズム良く、ボスの腕に触れないようにひたすら繰り返す。

 ゼンマイ人形のような不格好な動きだが、見栄えより成果を重視!

 

 右のトルネードトロールの動きが止まったようにも見えるが、油断は禁物。

 相手の状態に関係なく、暫くは同じ動作を繰り返す。

 

(状態異常耐性ダウン)

 

 今度は左側のトルネードトロールに博徒のスキルをかけた。

 

(サンダーストーム)

 

 オーバーホエルミングが切れる前に二度目のサンダーストームを放つ。

 

 :

 :

 :

 

(オーバードライブ)

 

 左側のトルネードトロールの動きも止まった気がするが、構わずに四本の槍をひたすら機械的に動かし続ける。

 

 :

 :

 :

 

(オーバーホエルミング)

 

 二回目のオーバーホエルミングをかける。

 

 :

 :

 :

 

(オーバードライブ)

 

 オーバーホエルミングとオーバードライブを1セットかけたら、クーラタルの52階層では二匹とも石化していた。

 今回は念には念を入れて2セットかけ、ひたすら状態異常付与の槍で突きと振り下ろしを繰り返し続ける。

 

 :

 :

 :

 

 これでどうだ?

 

 オーバードライブの効果が切れたが、二匹のトルネードトロールは静止した状態のままだ。

 迷宮ボス二匹の無力化に成功した。

 

 左右のお供のモンスターは、右がロールトロールで左がボトルマーメイドか。

 

(状態異常耐性ダウン)

 

 右のロールトロールに博徒のスキルをかけた。

 

 俺は左のオリビアとヴィルマの方の援護に入る。

 

 

(オーバーホエルミング)

 

 油断せず、お供のモンスターも超速スキルで片づける。

 

 空中をスローモーションで浮遊するボトルマーメイドを四本の槍で滅多刺しにする。

 オーバーホエルミングの効果が切れたボトルマーメイドが落下した。

 オリビア達に任せて、右のロールトロールに向かったが・・・・・・イレーネが石化させたか。

 

 これで・・・・・・あとは煙に変えたら終わりか?

 

 四人の顔を見ると、マチマチな表情。

 

 アミルはホッとした感じか。

 

 イレーネは直ぐに終わってしまったので、少し不満気のようだ。

 ヴィルマとオリビアも物足りなさそうに見える。

 

 誰も怪我なく終わったのだから、いいじゃないか。

 

 とりあえず、槍をアイテムボックスに仕舞って、デュランダルを取り出した。

 削る時はやっぱりデュランダルが便利だから。

 

 皆で分担して、石にしたモンスターを削りまくる。

 四匹を煙に変えたところで、ドロップアイテムを確認した。

 

 鋼鉄2つ、鉄1つ、丹銅1つ・・・・・・そして、このボールがギルド神殿か。

 ものすごく入念に準備して、得たものがこの小さなボールって少し切なくなるな。

 

 迷宮ボスって、二匹だったのかな?それともどちらか一匹だったのだろうか?

 二匹だったら、ギルド神殿が2つドロップするなんてことは・・・・・・ないのだろうな。

 

 1迷宮に1ギルド神殿がドロップするのだろう。まあ、そりゃそうか。

 

 あとは、この迷宮から出るだけか。

 ダンジョンウォークで出ると、全て入口に連れていかれるのだったよな。

 ワープで移動すると・・・・・・ややこしくなるから止めるか。

 

「じゃあ、迷宮から出ようか」

「主、待機部屋に移動したら、もう一回ボスが出てこないか試さない?」

「えっ?」

 迷宮ボス戦のお替わり?

 

 ギルド神殿がドロップしたのだから、さすがにお替わりはできないと思うぞ。

 

 でも、もしかしたらワンチャン・・・・・・いやいや、危ないから止めよう。

 ワープはイレギュラーな魔法だから、迷宮討伐後にワープで移動して事故にあったら困る。

 

 『いしのなかにいる!』なんてことになったらヤバイからな。

 ここは普通に迷宮から出よう。

 

 家に無事に帰るまでが、迷宮ボス討伐です。

 迷宮ボス倒すだけで終わりじゃないから。

 

 納得いかなさそうなヴィルマ達をダンジョンウォークのゲートに無理やりに押し込んで、最後にゲートをくぐった。




お読みいただき、ありがとうございました。
次回投稿日は2026/3/17(火)の予定です。
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