セバスチャンに連れられて、廊下を歩いている。
いつもなら昼飯の時間なので、お腹が鳴っていて少し恥ずかしい。
三食食べていると、こういう弊害があるな。
前衛組三人が無口なのも、腹が減っているだけだったりして。
歩きながら、セバスチャンから会議室等の利用案内をしてもらった。
利用料は取らず、飲み物代を支払えと・・・・・・この辺りは原作と同じようだ。
「基本的に当ロッジのある場所は非公開となっております。
外へ繋がる扉もありますが、業者や私ども書記の専用通用口です。
緊急の場合を除き、会員様にはご利用いただけませんので注意して下さい。
用件のあるときにはロビーの壁にフィールドウォークでいらしてください」
「この施設の開館時間はいつからいつまでなのだ?」
資料室に入り浸りそうな者がいるので確認しておきたい。
図書館なども、開館時間を厳密に掲げて表示されていなかった。
元の世界なら、10:00~18:00などと表玄関に表示されるのが一般的だが、こちらの世界にはそのようなものはない。
そもそも時計が一般的でないのだから仕方ないのだが。
「常識の範囲でと、お考え下さい」
「なるほど。分かった」
相槌を打ったものの、『常識の範囲』というのは正直、最も苦手とする判断だ。
日の出から日没ということなのだろうかな。
太陽が出てから直ぐに来られても困るか・・・・・・難しいな。
「二階には大会議場、三階には資料室などがございます」
「資料室か」
原作通り、資料室はちゃんと完備されているようでホッとした。
ローザの常識は怪しいから、アミルの常識に期待して派遣しよう。
「資料というのは、どのようなものが置かれているのだろうか?」
「会員様方の活動報告やメモ、迷宮を攻略した会員様が記録した攻略方法などでございます」
攻略法か。手の内を晒すのは、引退して後継者がいない者なのだろうか。
「その資料室の閲覧が許可される条件は?」
「会員のパーティーメンバーの方も会員に準じた扱いを受けるため、閲覧可能です。
会員であるユキムラ様の委任があれば、その方も資料室に入ることが可能です」
条件は想定通りだな。
「うちのメンバーは見ての通り、五人しかいないが、六人目やメンバーの入れ替えがあれば、
俺がここに来て、紹介すれば構わないか?」
「ユキムラ様の責任において委任されるのであれば問題ありません。
情報の扱いについては、くれぐれも注意していただくよう、お願いいたします」
セバスチャンの顔を見ながら頷いた。
何かあれば、俺が責任を取れと・・・・・・まあ、問題ない。
「この奥の部屋が、店舗となっております」
セバスチャンと共に突き当りの部屋に入った。
ここが売店か。
「装備品か・・・・・・」
「数は多くございませんが、
オリハルコン製の装備品やスキル融合されたものを取り扱っております」
確かに多くはないな。武器屋、防具屋という感じではない。
「オリハルコンの槍か・・・・・・」
「はい。その通りでございます。
装備品の売買には金銭の他にポイントも必要となります。
強力な装備やスキル融合装備品を売却された場合、
それに応じたポイントを会員の方に付けさせていただきます。
逆に当会から購入する場合には金銭の他にポイントが消費されます」
どこまで売店が必要かは疑問だが、数値はおさえておきたいな。
「このオリハルコンの槍を買うのに必要なポイントと金額はどのぐらいだろうか?」
「3ポイントと40000ナールとなっております」
「逆にオリハルコンの槍を売るといくつポイントが付与されるのだ?」
「1ポイントとなっております。売却金額は1万ナールとなっております。
概ね販売時のポイントは購入時のポイントの1/4から1/3となっております」
なるほど。武器屋、防具屋のギルド価格と似たようなものなのだな。
金額が安く感じるのは、金銭よりもポイントの流通に重きをおいているのだろうか。
だが、正直、このオリハルコンの槍が欲しいとは思わない。
空きスロットが一つもないからだ。
これならアミルに空きスロットが3つ以上のダマスカス鋼の槍を武器生成してもらって、スキル融合した方が付加価値が高くなる。
攻撃力がオリハルコンに劣る部分は、サイクロプスのカードを融合して補うことができる。
重量が軽くなる分だけ、扱うメンバーの幅も広がるので、よっぽど利便性が高い。
オリハルコン製とはいえ、スキルが複数付与できないようでは話にならない。
「ちなみにエストックの売却金額と付与ポイントを教えてもらえるだろうか?」
「エストックは扱っておりません。通常の武器屋で購入可能なものですから」
なるほどね。まあ、確かにその通りだ。
我が家の倉庫に眠っている大量の空きスロット無しのエストックを売却して、ポイントを稼ごうとしたがダメと。
「では、硬直のエストックの場合はどうだろうか?」
「硬直のエストックであれば・・・・・・売却時は2ポイントと2万5000ナールになります」
なるほど。金銭面だけで見れば、オークションで売った方が圧倒的に儲かるな。
セバスチャンは売店の店員を呼んで、なにやらリストで確認している。
さすがに、全ての種類を記憶するのは不可能だろう。
「購入する場合は?」
「硬直のエストックの購入時には8ポイントと10万ナールが必要です」
購入時は4倍のポイントなのか。硬直のエストックの評価を高く設定しているのだな。
そして、スキル無しのオリハルコンの槍よりは価値が高いと・・・・・・納得できるな。
オークションで落札しようと思ったら、とても10万ナールで無理だが、ポイントをたくさん用意して来店しろと。
歩きながら、目ぼしいものがないか確認する。
「これは・・・・・・ダマスカス鋼の大楯か」
「はい。スキルが融合されており、これは頑強のダマスカス鋼大楯です。
当会では竜人族のお客様もいらっしゃいますので、ご用意しております。
売却時には、3ポイントと15万ナールの金額となります。
購入時には、12ポイントと60万ナールが必要となります」
硬直のエストックよりも付加価値が高いとされているのか。
ちょっと納得がいかないが、流通量が少ないから、高めに設定されているのかもしれない。
「ちなみに、防毒のダマスカス鋼大楯だとどうなるだろうか?」
「売却時には、2ポイントと10万ナール、購入時には8ポイントと40万ナールとなります」
俺の横でアミルが一生懸命にメモしている。スマンな。
頑強よりは防毒の方が安く設定されていると。毒は怖いと思うけどね。
我が家で倉庫の肥やしとなっているダマスカス鋼の大楯にアリのモンスターカードでも融合して、ここで売却するか。
ダマスカス鋼の大楯は防具屋に陳列していても、そうそう売れたりはしないのだよなぁ。
複数の空きスロットがある大楯を作るために結構な数の防具生成したせいで、倉庫に数個は置いてあったはずだ。
不良在庫の整理がてら、ポイントに換えてしまうか。
「ここにミサンガがあるということは、身代わりのミサンガか」
「身代わりのミサンガは本来買い取りをするような品ではございませんが、
消耗品ということで取り扱っております。
在庫を切らさぬように置いてありますが、時々購入なさる会員様がいらっしゃいます。
緊急でなければ、オークションなどで手に入れられるとは思われます。
売却時は1ポイントと1万ナール、購入時には2ポイントと2万ナールとなります」
安いな。消耗品扱いと言ってるが、確かにそんな感じだ。
まあ、今まで身代わりのミサンガが切れたことがないのだけどな。
それにしても、俺が売却時、購入時のポイントと金額をいちいち確認するので、デフォルトで説明するようになってしまった。
身代わりのミサンガは、まだまだ欲しいのだよな。
我が家は人数が多いので。
後方支援の者であっても、貸与するようにしているし。
やっぱり、アミルに防毒のダマスカス鋼大楯でも作ってもらって売却するかな。
「ミセリコルデや聖槍などは入荷したりするのだろうか?」
「たまに入荷することはございます」
たまにか・・・・・・足繫く、ここに通ってもどれほど掘り出し物が見つかるやら。
店の陳列スペースが小さいのは品数も種類も少ないからだよな。
これだと空きスロットが多い装備品を見つけるのは至難の技だ。
別に高級装備品であっても、空きスロットのある確率が高い訳でもなんでもないし。
ハイコボルト等をスキル融合した特殊な装備品があったら検討するぐらいか?
それでも、かなり稀少なスキルが融合されていない限りは購入する気になれないな。
売店の品揃えは貧弱だ。やはり、バルドルフの倉庫の方が圧倒的に素晴らしい。
あちらの方が種類も品数も豊富だしなぁ。
もっとも、バルドルフの所で金を払ったことはないのだが。
あちらは、ポイントの代わりに
それと
「説明は以上となります。何かご質問はございますでしょうか?」
「そうだな・・・・・・今日から資料室を使うとしたら、
資料を閲覧する場所は予約ができるのだろうか?」
セバスチャンは首を横に振っている。予約はNGか。
「ユキムラ様は、まだ入会儀礼を済ませておりませんので、ロッジの施設をご利用できません」
「そう・・・・・・なのか」
予約がNGではなく、利用がNGだと。そいつは想定外だ。
やっぱり入会儀礼で落ちる可能性があり、部外者になるかもしれない者に情報の持ち出しをさせないためか?
45階層の試験対策だけはなく、入会儀礼の対策も真剣に考えた方が良いのだろうか。
しかし、真剣に考えれば考えるほど、馬鹿らしくなってくるのだが。
いや、原作だと入会儀礼の最中にヒロインに資料室を使わせていた気もするが。
こちらの世界では、セキュリティが厳しくなったのかもしれない。
ハルツ公の執務室にも未だに一人で勝手に行ってくれとは言われないし。
これ以上は情報が得られそうにないため、セバスチャンに礼を言ってロッジを後にした。
予想外の展開でちょっと残念な気分。
まあ、五日間だけの話だし、我慢するか。
・・・・・・
自宅に戻り、少し遅めの昼食にした。
食事の後は、パワーレベリングに勤しむか。
ドロテアの魔道士を育成したいのだよな。
俺を除く迷宮組四人はラファとトカラと共にクーラタルの44階層に挑むことになる。
明日から、もうワンランク上の階層を目指すか、別のことをやるか決めなければ。
今晩にでも相談しよう。
迷宮組と護衛部隊の混成部隊を見送り、こちらはクーラタルの36階層へ。
36階層以降は魔物部屋のあるエリアをクリアしていないので、直接ワープで近場まで移動できない。
護衛部隊が攻略した際に一番近いエリアでクリアした場所に移動する。
拠点構築の部隊編成のスキルで、派遣した部隊がマップをクリアにしてくれている。
そのクリアになったエリアの途中から、クーラタルの地図と照らし合わせながら、
午前中の入会試験で封印していた、雷魔法もオーバーホエルミングも四刀流もデュランダルも全てを解禁にする。
正直、血が滾る気分だ。
魔物部屋までの途中で遭遇するモンスター達をザクザクとひたすら切り刻む。
うおぉ~、気分爽快だ!
二、三匹の遭遇だとつまらなくて、六匹いたりするとマジで楽しい。
相手を舐めることもなく、全力で叩き潰す。
周りに他のパーティーもおらず、自パーティーのメンバーもいないから、人目もフレンドリーファイヤーも気にせずに武器をひたすら振り回す。
剣を槍に変更したりしながら、縦横無尽に武器を使いこなし、暴れまくる。
汗だくになりながらモンスターを叩き潰し、ドロップ品を拾い、水分補給をして、また歩き、モンスターを見つけて・・・・・・の繰り返し。
魔物部屋を見つけると、入口を探して歩き回り、見つかると索敵で確認して、チマチマと魔法で削りながら、最後はオーバーホエルミングをかけてデュランダルを振り回して殲滅。
自分でも驚くほどの爽快感。
そして、クールダウンしてみると・・・・・・午前中に貴族に蹴りを入れてしまったことに対する違和感と不快感・・・・・・そして、わずかばかりの後悔の念が湧き起こってくる。
何故、百獣王の男に蹴りを喰らわせたのだろうか。
いつもの探索と違い、制約をつけながら戦っていたことにストレスを感じたから?
いや、それなら前日の予行演習の時から感じるはずだよな。
そのような兆候はなかったはず・・・・・・緊張もほとんどしてなかったし。
ヴィルマ達ハーレムメンバーへの独占欲が、知らぬ間に肥大化してしまったのか。
それとも、想像以上に入会試験でストレスを溜めていたのだろうか。
答えの出ないまま、クーラタルの36、37、38、39、40階層の魔物部屋と、そこまでに立ちふさがるモンスターをひたすら潰して回る。
考えがまとまらない時は体を動かそう。
地図のあるクーラタル迷宮は魔物部屋の近くを避ける傾向があるので、他のパーティーに遭遇することが少なく探索は快調に進む。
40階層の魔物部屋を殲滅したところで時間切れだ。
そして、やはりこれといった原因は特定できなかった。
でも、この違和感は覚えておこう。
ヴィルマ達も44階層のボス戦をやっているのが、部隊編成のマップで確認できた。
きっと無事に終わって、戻ってくるだろう。
クーラタルの自宅に帰宅することにした。
・・・・・・
帰宅したら、先に風呂で汗を流した後に夕食の席に着く。
ヴィルマ達も問題なく44階層の攻略を終え、ご満悦だ。
彼女達も今日の入会試験でストレスを溜めていたのだろうか。
ダンスバトルを楽しんでた者もいた気がするが。
エネドラから、商人ギルドで情報収集した結果が共有された。
石鹸がルーク経由で出回り始めたこともあり、噂になっているとか。
他にも・・・・・・えっ?
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①ハルツ公爵領での噂(政情不安)
帝国と隣国の国境、公爵領の境界の村で小競り合いが長期化している
災害対応、迷宮対応などもあって人手が足りず、人手不足が深刻のようだ
②ハルツ公爵領での噂(迷宮関連)
公爵領で出現した迷宮3つのうち、1つは討伐された
残りの2つのうち1つは討伐目前に迫っているものの、残りの1つの進捗は冴えないらしい
③隻眼の噂
帝国内で数少ない隻眼のジョブを持つ者は帝都に復帰したらしい
帝都の会長と隻眼の関係が修復されたとの噂もあるが、関係者は口をつぐんでいるらしい
④セルマー伯領での噂(政情不安)
セルマー伯爵領内で
当主である伯爵の生死が不明との情報もあり、伯爵領内では不穏な噂が蔓延している
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久々にウィンドウが開いたけど、最後の件は一体・・・・・・?
俺の知らないうちに、セ二号作戦が発動されたということなのか?
どういうことだ。
今日の午前中にハルツ公と話をした際には、そのような話題は出なかったぞ。
貴族内で片づけたから、俺の出番は無しなのか?
どこかで、原作から外れるルートのフラグを立ててしまったのだろうか。
この前の晩餐会の前の模擬戦でやり過ぎたせいで余計なフラグが?・・・・・・分からんな。
「旦那様、どうかなさいましたか?」
「セルマー伯領の噂というのは、信憑性のあるものなのだろうか」
俺の質問にエネドラは首を横に振る。
「正直なところ、多くの根拠不明な噂が流れており、
どれが確度の高い情報なのかまでは分かりませんでした」
「そうか。では、次にハルツ公にお会いする時に、それとなく確認してみるか」
それとなくとは言ったものの、正直に教えてもらえるとも思えない。
まさか、『セ二号作戦は発動しましたか?』とは質問できない。
その作戦名をどこから知ったのだよという話になる。
セルマー伯と謁見した際の垂れ幕に直接ワープで移動して、城の中を探る訳にもいかない。
思いっ切り不審者だし、へたすれば盗賊扱いだ。
盗賊ジョブにはフィールドウォークのスキルはないとはいえ。
宣戦布告したものとして、扱われるのだっけ。
俺は領地持ち貴族ではないけど、さすがにダメだよな。
ハルツ公と会談する機会を利用して、こまめに情報を引き出す機会を模索しよう。
・・・・・・
食事と風呂を終えて、会議の時間。
今日の初めの話題は迷宮組と護衛部隊の混成部隊の今後についてだ。
ヘルミーネが呼んだのか、ラファも参加している。
彼女は44階層までの攻略を頑張ってたからな。
「では、会議を始める。
今日はまず初めに、俺を除く迷宮組と護衛部隊2名の混成部隊で行なっている
クーラタル迷宮探索の今後について議論したい。
俺の意見を言う前に、皆の希望を確認したい。
参加していた者やレドリック、ヘルミーネの意見はどうだろうか?」
「主、45階層の以降の探索を主抜きでやりたい」
「あたしも同意見。御館様抜きで」
「ユキムラ君の意見に従うよ~♪」
「私もオリビアさんの意見と同じで、ご主人様の方針に従います」
俺に従うというのも、自分の意見になるのだろうか。
「私はアミルさん達と、引き続き45階層以降に挑みたいです」
「ラファ様の気持ちは分かりますが、少し不安があります」
「私もヘルミーネの懸念に同意します。
普段はザビル第二迷宮で探索していて、混成部隊側の実情が分からないので。
45階層以降というのは、迷宮討伐を視野に入れるレベルなので、
実力が伴っていない者は行くべきではないと思っています」
戦闘の実働部隊はイケイケで、ヘルミーネやレドリックは慎重派か。
「混成部隊を一度解散して、
護衛部隊単独で34階層から44階層まで挑戦することについて意見はあるか?」
「・・・・・・」
ラファは無言で首を横に振っている。
嫌なのですね・・・・・・気持ちは分からなくもないが。
レドリックが難しい顔をしながら、発言するのを求めてきた。
「ご主人様、もし護衛部隊単独で34階層以降に挑むのでしたら、
ザビル第二迷宮の攻略は迷宮組でされることになるのでしょうか?
混成部隊には今は護衛部隊が2名しか参加していませんが、
6名に増やすのならザビル第二迷宮の探索部隊から人手を戻さないと人数が足りません」
「そうだな、その理解で正しい。
迷宮組単独か、迷宮組と護衛部隊の混成部隊でザビル第二迷宮に挑むことになるだろう」
俺の言葉に、今度はヴィルマとイレーネがこの世の終わりのような顔をしている。
こちらも、そんなに嫌なのか。迷宮ジャンキー共め。
ここまでモチベーションが下がるのであれば、仕方ないか。
「では、こういうのはどうだ?
今の混成部隊でクーラタルの45階層以降の攻略をするが、俺が必ず付き添う。
ただし、俺は混成部隊のパーティーには加わらず、ソロとして後ろから付いていくだけだ。
危ないと思ったら参戦するが、基本的には戦いには加わらないし、戦闘への助言もしない。
本当にダメだと思ったら助言はするかもしれないが、何もしないで付いていくだけだ。
ボス部屋にも後からワープで侵入して、戦いの様子を確認させてもらう。
自宅からクーラタルへの送り迎えはワープを使って俺が手伝ってやろう」
「主、それなら問題ない!」
イレーネもラファもコクコク頷いている。
入会試験でのエステル達がやったやり方と同じだ。
更にボス部屋での採点も加わるけど。
ダンスバトルの方はやらないぞ。
「ヘルミーネとレドリックはどうだ?」
「それなら、かなり安全だと思いますが、ご主人様はそれで構わないのですか?」
「ああ、構わない。
午後に実施するので時間があるから、通常の探索に加えて魔物部屋の発見もしておきたいな。
魔物部屋の殲滅は俺一人でやるつもりだけどな」
パワーレベリング用の魔物部屋の新規開拓をしておきたいのだ。
「もし、混成部隊が55階層まで問題なく到達したら、
今度は護衛部隊単独で34階層から挑むのはどうだろうか。
その時には、ザビル第二迷宮の探索組も33階層あたりまで到達しているだろう。
ザビル第二迷宮の34階層から挑むのか、
クーラタルの34階層から挑むのかは、その時また考えよう。
前者の場合は、俺がソロで帯同しても構わない。
クーラタル迷宮と違って危険だからな」
「それならザビル第二迷宮を探索しているメンバーも、やる気が出るかもしれません」
やる気は重要だよな。迷宮探索は命懸けな面もあるだけに。
「では、明日から今説明したやり方で午後の探索を行うことにしよう」
「参加する者は油断なくな」
ラファの顔が満面の笑みだ。
きっと迷宮討伐を見据えたステップにするつもりなのだろうな。
今日、帝国解放会のロッジで得た情報を踏まえて、迷宮討伐対策も少し修正をかけるか。
その後、ラファは退室して、いつもの定例報告が淡々と進み、会議は終了となった。
お休みの挨拶をして解散とした。
・・・・・・
ベッドで横になって、拠点情報の変化について思案する。
先ほど確認したら、タケダ家の名声値が14になっていたのだ。
今日変化したのなら、どう考えても帝国解放会の入会が影響しているのだろうな。
まだ仮扱いなのかもしれないが、第二位階の資格を得て、何かを認められたのだろうか?
あるいは索敵カラーが青だったエステル男爵と遭遇したからだろうか。
それにしても、今日が異世界に来て121日目。
120日目の昨日までは6だったのに、今日だけで8も上がったことになる。
そして、所有可能な拠点数が1つ増えたようだ。
一番初めに得た拠点のベイル拠点の表記が今までは1/4だったのが、1/5になった。
これは所有できる拠点数が一つ増えたことを意味するのだと思う。
現時点で所有している拠点がベイル、クーラタル、ザビル・・・・・・あと2つ所有できるのか。
となると、なんとしても入会儀礼で不合格などという事態は避けなければならないか?
不合格になったら名声値が8減って、所有可能な拠点数も1つ減ってしまうのだろう。
いや、入会試験で合格して面談で不合格になると、不名誉な烙印を押されて-10されて、名声値が4まで減ることだってありえるか?
正直、原作通りの展開なら、あの入会儀礼で合格する方が不名誉な気もするのだが。
セルマー伯のクーデター騒動も実は、この名声値と関係があるんじゃないだろうな?・・・・・・それは考えすぎか。
こちらの評判とセルマー伯の領内との因果関係はないはずだし。
(コン、コン・・・・・・)
ドアを開けると、ヴィルマがそこにいた。
お姫様抱っこしようと思ったら、彼女が飛び掛かって抱き着いてきた。
今日は女獣&甘々モードだ。
ドアを静かに閉めて、そのまま落とさないようにベッドにエスコート。
マッサージをしようと思ったら、抱き着いたまま離れてくれない。
今晩はどうしたのだろうか。
「主、あたしのこと、『俺の女』と言った。嬉しかった!」
「そうだな。お前は俺の女だ」
百獣王に蹴り入れた時にそんなこと言ったな。アレは本心だ。
ベッドに横たえようと思ったら、逆に押し倒されて、唇を蹂躙してくる。やっぱり女獣だ。
暫くお互いの舌でせめぎ合い・・・・・・やがて、興奮が抑えきれなくなったのか、彼女は衣類を脱ぎ散らかし始めた。
こちらは、ベッドに押さえつけられて脱げないのだけど・・・・・・それでも二本の足と四本の腕を交互に動かしながら服を脱ぐ。
結構、しわくちゃになってしまった。
俺専用の服を作ってくれたチクルスには申し訳ない。
再び、ヴィルマが俺の口に襲いかかってきた。
時々犬歯を俺の肩に立てて、マーキングをしてくる。
最近、同じことをやられるのが多い・・・・・・獣人系娘の特徴なのだろうか。
四本の手の指で彼女の胸や中心の先端を優しく嬲る。
全身に少し痙攣が走り、腰が砕けたように座り込んできた。
先ほど、マッサージができなかったので、代わりにアチコチを愛撫しまくる。
それでも彼女は俺の口を激しく侵してくる。
今日はいつも以上に積極的だ。
こちらも彼女の気持ちに応えたいので、優しく激しく、緩急をつけながら狼藉を続ける。
「あ、あおぉ、あおぉ・・・・・・」
俺の口を塞ぎながらも、低く咽び泣き始めた。
やがて、彼女は口を離し、俺をジッと見つめてくる。
「主は今日はジッとしていて・・・・・・」
「・・・・・・」
そんな御無体な。縛りプレイは好きではないのに。
でも彼女の一生懸命な表情を見ると、否定することはできない。
仕方がないので四本の腕は左右に広げて、何もしませんという体裁を取りながら、腰を動かしながら彼女の中にゆっくりと沈み入れる。
「もう、主はぁ・・・・・・」
涙目で抗議してくるが、極力ジッとしていたつもりだ。
一部手違いはあったようだが。
それでも、俺に喜んでもらおうと、ゆっくりと動き出した彼女の気持ちを嬉しく感じる。
やっぱり、こいつは俺の
「あ、あううぅ・・・・・・」
犬のように、狼のように目の前の可愛いヴィルマが鳴いている。
スリムだから虎っぽく見えないんだよなぁ。声も別に低くないし。
下から見上げる彼女の表情は薄い桜色に染まり、口元に可愛らしい犬歯が見え隠れしている。
そんなの見てしまったら、堪えきれない劣情が溢れ出しそうだ。
迷宮では激しくキレのある動きでモンスターを圧倒する彼女も、ベッドの上では初心で自信なさげな
必死に尽くそうと頑張っている彼女がなんとも愛おしい。
薄く汗を浮かせた張りのある綺麗な裸身。
それを見上げながら、純粋な彼女の心根を想い、鮮烈な心地良さに我を忘れそうになる。
「あはああっ! ああーっ!」
彼女の顔が激しく歪み、そして犬歯をむき出しにして吠えた。
彼女が頂きに駆け上がるのを確認して、自分も欲望を解き放った。
電池が切れたおもちゃのように、ぐったりとヴィルマが俺の胸のもたれかかってくる。
頭を撫でようとすると・・・・・・、
(ガリッ・・・・・・)
イテテ・・・・・・また、噛まれた。しかも強めに。
「次は、俺が上で構わないよね?」
「ひぃ・・・・・・、優しく・・・・・・ね」
努力はするつもりだ。報われるかは知らんが。
でも、マーキングされたら、マーキングし返すつもりだったりもする。
夜はまだ長いしね。
・・・・・・
お読みいただき、ありがとうございました。
次回投稿日は2026/4/18(土)の予定です。