異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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 いつも拙作をお読みいただき、ありがとうございます。
 また、感想、ココスキ、誤字指摘(汗)等を多数いただき、励みになっております。
 今回は話の切れ目が作りにくく、長い話になってしまいましたが、お付き合いいただきたく。



090.入 会 儀 礼(15、18・・・・・・規格外)(その2)

「ユキムラの入会儀礼だが、余は遠慮した方がよいか?」

「そうだな。そうしてくれるとありがたい」

 ハルツ公とタメ口で話せる数少ない機会なので、利用させてもらう。

 

 ただし、暴露話は伝えないぞ。

 タメ口で話す相手でも、心を許した訳ではないからな。

 それに、この場限りの秘密というのが本当なのかも試してみたい。

 

「分かった。席を外していよう」

 

 ハルツ公はアッサリと退室していった。

 

 

「では、ユキムラも自らの性的な恥ずかしい秘密を暴露するように」

「分かった・・・・・・だが、俺は言葉での説明はあまり好きではない」

「何を戯けたことを言っている。懺悔なので、言葉で説明しないでどうするというのだ?

 ブロッケンも中に入れて全員でつるし上げるか。おい、カルロス・・・・・・」

 

 

「なので、この場で実際に見せようかと思う・・・・・・」

「ドアを開け・・・・・・待て・・・・・・実際に見せるだと?」

 ハルツ公を中に入れると言い始めたエステル会長の命令が止まった。

 

八百(やお)千五百(ちいほ)のお宝を 収めし蔵の掛け金(かけがね)の アイテムボックス オープン」

「何を・・・・・・している?」

 アイテムボックスから、『皮 の 鎧(ローションマット)』と『カメリアオイル』を取り出した。

 

「それは一体なんだ?そんなドロップアイテムも装備品も見たことがないぞ」

「まあ、待て。これから説明する」

 大き目の『皮 の 鎧(ローションマット)』をテーブルの上に置いた。

 

「侍女の嗜みは、全員知っているだろうな?」

「知っているに決まっておる」

「あれは良いものだ」

「できれば、毎日やってほしい」

「小さい子にやってほしいのだが、相手がいない」

 こんなのが伯爵で、本当に大丈夫なのだろうか。

 

「だが、このテーブルの上にあるものは、『紳士の嗜み』で使う物だ」

「紳士の・・・・・・?聞いたことがないな」

 知っていたらビックリだ。俺がこの世界に来て作った装備品と言葉だし。

 

「このマットの上にオイルを垂らしてだな、その上に女性を寝かせて、更にオイルを・・・・・・

 そして、次に自分の体にオイルを塗るのだが、さすがにそれは実演できないので、

 このように腕に垂らしてだな・・・・・・」

「・・・・・・」

 俺の説明に皆が固唾を飲んで見守っている。

 

「で、このように体を動かすとだな、お互いの体が滑るように・・・・・・」

「な、なんと、確かにこのようなマットの感触は経験したことがない!」

「なんだ、コレは?」

「これが紳士の嗜み・・・・・・」

「小さい子とやりたいのだが・・・・・・」

 小さい子から離れてくれ!・・・・・・マジで犯罪だから。

 

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 ひとしきり経験談も交えた創意工夫を披露したが、皆が真剣な面持ちで説明に聞き入っていた。

 女性からしてもらうのではなく、男性から女性を労う気持ちでやることが紳士の嗜みだと強調。

 

「これは、文句なしで入会を認めても・・・・・・」

「確かに認めよう」

「小さい子にお願いするにはどうしたら・・・・・・」

「朕はすさまじいものを見た・・・・・・」

 満場一致で入会が認められたらしい。伯爵のセリフはスルーしかない。

 

 それにしても、俺は懺悔などしてもいないし、恥ずかしいとは思ってはいないのだが。

 まあ、昼間に女性に説明することはできないから、恥ずかしい秘密か。

 

 オイル塗れになった『皮 の 鎧(ローションマット)』をリュックから取り出した布で拭いた。

 キラキラしているが、なんとかオイルは拭えたのでアイテムボックスへ収納。

 それにしても、テーブルの上がオイルで凄くテカっているのだが、これ以上の清掃は無理だ。

 

「ユキムラ、そのマットとやらは、どこで入手できるのだ?」

「このマットか?これは外国で手に入れたアイテムボックスに収納可能な逸品なのだ。

 なかなか入手困難なのだが、とある商人から特別に譲り受けたものだ。

 追加で入手しようと思ったのだが、その商人が持ち掛けてきた対価が装備品でな。

 それが俺の手元になかったので、この一つしか持ってないのだ」

「そうなのか、それほど貴重な・・・・・・」

 いや、実際にはアミルに設計図を渡して作ってもらった『皮 の 鎧(ローションマット)』だ。

 

「その要求された装備品というのは、エナメルのハイヒールブーツだ。

 エナメルのハイヒールブーツ二足と交換すると言われたのだが、あいにく手持ちになかった」

「エナメルのハイヒールブーツ二足・・・・・・」

 皇帝が真剣な顔で思案している。

 

 是非、原作に登場した、あのエナメルのハイヒールブーツを持ってきて下さい。

 代わりに『皮 の 鎧(ローションマット)』を進呈します。

 まだアミルに作ってもらった予備があるので、2、3個なら進呈しても大丈夫だ。

 だが、それ以上となるとアミルに頼み込んで作ってもらうしかない。

 作ってもらう理由をどう説明するかが悩ましいが。

 まあ、エナメルのハイヒールブーツをもらっても実際に使うかどうかは怪しいが、空きスロット5つのものがあれば使い道があるかもしれない。

 

「朕は職業柄、人を敬うことに慣れておらん。

 だが、ユキムラの話を聞いて、卿を師兄(すひん)として敬いたいと感じた。

 そうすれば、朕の驕慢の心もいささかは和らぐはずだ」

「そ、そうか・・・・・・是非、紳士の嗜みを極めてほしい」

 徐々に自分の言ってることも意味不明になってきた。

 

 女性に踏まれる性癖から、女性を慈しむ性癖に改心させられた(改宗させた)とすれば成功だろうか。

 なんか、インチキ宗教家(怪しげなエバンジェリスト)になった気分だが。

 

 

 興奮冷めやらぬ雰囲気だが、カルロスが扉を開けたので、ハルツ公が入室してきた。

 

「なんだ、このテーブルの有様は!」

「朕はすさまじいものを見た・・・・・・」

 それは、もういいから・・・・・・あとはエナメルのハイヒールブーツ二足を持ってきてくれれば。

 

 俺の基本戦略は物々交換で価値ある物同士の取引を行うことだ。

 このマットに皇帝が価値を感じたのなら、是非持ってきてくれ。

 問題があるとしたら・・・・・・マットはデカいので包装はできないから隠しようがない。

 アイテムボックス持ちの者が必要ということだろうか。

 

 セバスチャンは冒険者ジョブだから、アイテムボックスは持っているよな。

 マットを見たセバスチャンがどのような反応を示すのかは分からない。

 俺の悪名・・・・・・奇行(?)が書記連中の間で広まらなければよいのだが。

 どんな内容であっても、この場から洩れることはないとエステル会長が言っていたが大丈夫なのだろうか?

 もしも、『皮 の 鎧(ローションマット)』を求めて俺にアクセスする者がいるとしたら、入会儀礼の情報の秘匿はガバガバということだな。

 漏れるとしたら、この場のメンバーかセバスチャンか・・・・・・いずれにしても帝国解放会の会員だから、かなり問題であろう。

 

 

 それにしても、こちらの世界の性の知識というのは中世のレベルというか、保守的というか、インターネットの汚れた知識を持った俺には今一つ物足りない。

 R18(マットプレイ)に慣れすぎると、R15(皇帝の性癖)程度では何も感じなくなるということだろうか。

 

 先ほどの説明の際にも、俺が生々しく動作の説明をすると、いい大人の男共が全員俯いて真っ赤になっていたしな。

 鏡の利用法も説明しようと思ったが、刺激が強すぎると思ったので自重したぐらいだ。

 ネットの知識で鍛えられた頭脳(スケベ脳)の敵ではなかった・・・・・・圧勝だったな。

 

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 ・・・・・・と思っていた頃が私にもありました。

 その後のカルロスの懺悔はドン引きどころの話ではなかった。

 彼は特に懺悔のつもりもなさそうだし。

 その酷さたるや、いくら話をしても言い尽くせないため、ここでは省略したい。

 

 『私は真に腐っている貴族を見つけたが、その在りようを語るには時間が無さ過ぎる』

 (by フェ●マー)

 

 カルロス、お前は『規格外』だ。

 R15とかR18の物差しでは、とても測れないぞ。

 勝ちとか負けとか、もう考えられなかった・・・・・・いや、むしろ、勝ちたくない!

 

 お巡りさんこいつですの伯爵もドン引きしていた。

 恥ずかしいとか、そんな域は超越している。

 

 だが、そんなカルロスの入会も認められた・・・・・・認められてしまった。

 こんなのが護衛で本当に大丈夫なのだろうか。

 

「これで全員の入会が無事認められた。入会儀礼はここまでとする」

 エステル会長が宣言した。

 

 良かった。これで資料室が使えるようになったということだな。

 ここまで来たら、さすがにセバスチャンから施設の利用を止められることはあるまい。

 

 

「全員の入会を歓迎しよう」

「迷宮とモンスターの駆除に力を奮ってほしい」

 伯爵とハルツ公もカルロスの入会を本当に歓迎しているのだろうか。

 

 推薦慣れしている二人からすれば、それほどの話でもなかったのかもしれない。

 皇帝を迎えた時に鑑定した際には、ジョブやレベルはいたって平凡の者達と思ったが、隠れたドン引きな性癖を持つ者がまだまだいるのかもしれない。

 迷宮探索に役立つかと言えば疑問だが。

 

 その後は会員であることを示すハンドサインの方法を伝授された。

 これでコミュニケーションを取れと。

 そして助けを求められたら、可能な限り支援しろと。

 

 確か勧誘にも使うのだったな。

 ハンドサインに反応がなければ、非会員なので有望そうなら勧誘するのもアリだと。

 

 だが、貴族でもない俺が貴族予備軍を勧誘することは、きっとないだろう。

 

 いや、待てよ・・・・・・勧誘?・・・・・・ラファだとしても・・・・・・?

 

「エステル、ちょっと質問があるのだが。

 さきほど、ガイウスを迎え入れるにあたって、

 並んでいる者が数多くいたが、あそこでは女性を見かけなかった。

 帝国解放会の入会資格は男性に限られているのか?」

 

 エステル会長は首を振った。

 

「帝国解放会は性別・年齢・種族に関係なく平等に扱われる。

 数は少ないが女性会員も確かに存在する。

 今日はたまたま見かけなかっただけだ」

「そうなのか。だが、先ほどの入会儀礼をまさか女性に対してやるのではないだろうな?」

 俺の質問にエステル会長は一瞬ニヤリとしたが、直ぐに真顔に戻って頷いた。

 

「もちろんだ。女性会員の入会儀礼も会長である我が欠かさずに行なっている」

「・・・・・・」

 マジっすか?入会後、即退会されるぞ?

 

「仮にだが、狼人族の未成年・・・・・・14才の女の子であっても、入会儀礼をやるのか?」

「なに?さすがにそれは・・・・・・」

 さすがのエステル会長も、その辺りの線引きはあるのか。入会儀礼はR15指定と。

 

 そして年齢を問わないということは、未成年であっても実力があれば入会が認められるのか。

 ラファの努力と才能は、年齢に比して、ある意味規格外と言えるからな。

 もはや入会することが良い事なのか、悪い事なのか微妙な気もするが。

 

 まあ、年齢が成人だからと言っても、セクハラ&パワハラには変わりはない。

 それに男性相手であってもセクハラな気がするぞ。

 平等というより、無差別にセクハラしているだけじゃなかろうか。

 こういうところも、中世の慣習が蔓延っている結果なのだろうな。

 

「無論、実施するに決まっておるだろうが。14才ならギリギリセーフのはずだ。

 というか是非、私を呼んでもらいたい」

「・・・・・・」

 ブ、ブルーノ・・・・・・さすがに皇帝もエステルもドン引きしているぞ。

 

 それに何がギリギリだと言ってるのだ?・・・・・・詳細を確認する気には、とてもなれないが。

 

 昨晩、ラファは帝国解放会への憧れを語ってなかったか?

 ラファ、ここは変態の巣窟だと思うぞ!

 彼女が言っていた崇高な思想など、こいつらからは微塵も感じられない。

 

 ダメだな、こいつらは。

 やっぱり、うちの娘(ラファ)は近づけんとこう・・・・・・腐ってやがる。

 

 もし迷宮で勧誘の可能性があるハンドサインをされたら、入会拒否のためにハンドサインを返すようにラファには言っておくべきかもしれない

 別に会員と詐称したのではなく、なんとなくそんな身振りをしてしまっただけと言えば言い訳できるだろうか。

 原作でも、主人公を鷹の迷宮に案内してやった冒険者がハンドサインを教わったと言ってた気がするからセーフか?

 

 

「また、毎年冬には会員総会が開かれる。

 第二位階と第一位階の会員に出席の義務はないが、できれば積極的に参加してほしい」

「分かった」

 第二位階と第一位階の会員以外で出席義務のある会員がいると。

 

「それは出席義務のある会員もいるということか?」

「そうだ。会員の中で特に迷宮討伐の実績が多数ある会員は、特別会員の資格が得られる。

 特別会員は総会に出席するか、代理人を立てる義務がある。

 会員総会では、解放会の運営に関する決議がされることがあるため、

 特別会員には、その決議に対する投票権が与えられている」

 ふーん、国連の常任理事国みたいなものなのかね。

 

「まあ、決議の必要な事項が起案されることは滅多にない。

 会員総会はどちらかというと、情報交換の場であったり、特別会員の選出が行われる程度だ」

「なるほど。可能な限り参加することにしよう」

 ただ、漫然と情報収集するのもアレだから、特別会員とやらを鑑定でチェックするか。

 

「ブロッケンも特別会員だ」

「なるほど」

 伯爵は知らんが、ハルツ公は確かに多くの迷宮を討伐してそうだ。

 

 ん?・・・・・・たくさん迷宮討伐しているのはゴスラーの騎士団最精鋭パーティーじゃないか。

 ジャイアン理論(奴の手柄は俺のモノ)で迷宮討伐実績を総取りしているのだろうか?

 総大将に全て集約して特別会員になった方が、エルフの発言権が強くなるという目論見かも。

 やっぱり世俗の権力と無縁ではないのかもな。

 

 

「朕は会員総会の開催は諸侯会議の時期と聞いたが」

「そうだ。貴族関係者は同じ時期に集まるのが好都合なので、どうしてもそうなる。

 詳しい日取りなどはロッジに来れば、書記の方から話があろう」

「となると朕の参加は難しそうか」

 皇帝が少しションボリしている。俺からマットでも入手して、元気になってくれ。

 

 諸侯会議はさすがに貴族でない者は参加できないから、会員総会以上に俺は無関係だな。

 

「後は、ブロッケンから何かあるか」

「50階層以上に挑めるようになったら、どの迷宮に入るか書記に伝えておくといい」

 既にクーラタル迷宮の60階層に挑んでいるのだけど、伏せておこう。

 

 それ以前にハルツ公は俺が迷宮討伐をしたのを知ってるのだから、貴族になれとプレッシャーをかけているのだろうか。

 

 この前、ターレ迷宮を討伐したけど、ハルツ公に伝えただけで終わったよな。

 これからは野良迷宮を討伐して、誰にも告げずにギルド神殿だけゲットして終わりにしよう。

 どの迷宮を誰が討伐したのかが不明瞭だったら、領地持ちになるチャンスがある場合に紛争のネタになるのかもしれない。

 

「ブルーノ、副会長として何かあるか?」

 

 そういえば、お巡りさんこいつですキャラは副会長だったっけ。

 特別会員の中でも際立って迷宮を討伐したから、副会長になったのだろうか。

 それとも、特別会員達(ロリコン派閥)の票集めが上手かったのだろうか。

 どうでもいいと言えば、どうでもいいのだが。

 

「特にはない。帝国解放会は新しい会員の入会を歓迎する。

 共に腕を磨き合い、迷宮と魔物を駆逐して、いつの日か解放をなし遂げよう」

「それでは、入会式および入会儀礼は以上で終了だ」

 副会長と会長が綺麗に締めたけど、俺は騙されないぞ。ここは変態の巣窟・・・・・・魔窟だ。

 

 扉が開かれ、部屋が明るくなった。

 ダルマティカが回収され、今日の儀式は終了か。

 

 

「この後は、部屋を移って乾杯する。全員移動するように」

 

 そうか、新人いじめの儀式が、まだ残っていたか。

 入会儀礼にしろ乾杯にしろ、新人いじめが酷すぎないか?

 元の世界なら、入社式と同時に退社する奴が出るぞ。

 俺も社会人一年目に同期で直ぐに辞めた奴がいたから、なんとなく嫌な気分になる。

 

 一年目で社員寮に入寮した日に、『こんな所に住めるか!』と一言残して、その後に彼を見ることはなかった。

 あいつは、今、元気にしているだろうか。

 もし会うことがあったら、アイツに言ってやりたい。

 『どこであって(異世界)も住めば都』だと。

 チート能力次第で天と地の差はあるが。

 

「朕のため慌ただしくなってしまい、すまんな」

「問題ない」

 皇帝と伯爵が会話している。

 

 推薦人というぐらいだから、仲が良いのだろうか。

 皇帝に限らず、俺以外は貴族だから、きっと全員忙しいのだろう。

 俺はこれが終わったら迷宮ライフだ。

 いや、ある意味、帝国解放会の目的を体現しているから正しい姿なのだが。

 

 

「ユキムラも無事に入会したので、ささやかながら祝宴を開きたい。十日後辺りでどうか」

「・・・・・・分かった」

 いつもは『タケダ殿』と呼ばれていたから、咄嗟に反応ができなかった。

 

 ハルツ公の所で、また晩餐会に参加するのか。

 この前の模擬戦のリターンマッチを画策しているのではないだろうな。

 

「では十日後の夕方にパーティーメンバー全員で来てくれ」

「了解した」

 

 部屋を出て、ハルツ公と歩きながら話をする。

 思えば、こんな対等に話をする機会は、ロッジにいるときぐらいなのだろうな。

 

 この雰囲気で他の貴族にも話しかけて、無礼討ちされることはないと思いたい。

 イレーネとか大丈夫だろうか。

 いきなりロッジで刃傷沙汰とか困るからな。

 ヴィルマと俺は決闘したけど、イレーネは未経験だから、機会を狙っていたりして。

 イレーネは入会試験には興味を示していたが、ロッジには興味無さそうだったから、もう来ないかもしれないけど。

 

 周りに他人の目、他人の耳があるのでセルマー伯のことは質問できないか。

 

 

「お待ちしておりました。入会式は無事に終わりましたでしょうか」

「終了した」

 エステル会長に付いて歩くと、その先にはセバスチャンが待っていた。

 

 あれが無事だったのかは評価が分かれると思うのだが。

 テーブルがオイルで汚れているので、清掃する者が何事が起きたのかと不審がっているかも。

 まあ、エステル会長も『終わった』とは言ったが、『無事』とは言ってない。

 

「お部屋はこちらに用意してございます」

 

・・・・・・

 

 部屋の中に入って、それぞれが決められた場所に座ると、新人いじめの小道具がワゴンのようなものの上に置かれているのが見えた。

 

「我にはデュンケルを。ブロッケンとブルーノは好きなものを頼め。

 新会員にはドワーフ殺しとシュタルクセルツァーを一本ずつ」

 

 セバスチャンが新会員へ給仕をしている。

 

「こちらがドワーフ殺し、こちらがシュタルクセルツァーになります」

 

 三人の前に小さな壺が二本ずつ並べられた。

 バルドルフの家に持っていったドワーフ殺しと比べれば小さい壺だ。

 だからといって酒精の高さは変わらないのだろう。

 絶対に口にしてはならない飲み物だ。

 まだ、炭酸を吹き出す方がマシなはず。

 

 それにしても、総書記のセバスチャンがいるのに、こんな子供の悪戯なようなことを止めようとはしないのだな。

 ユーモアの範疇で済ませられるレベルという判断なのかもしれない。

 少なくともカルロスの懺悔に比べれば、可愛いものか。

 

「朕はこの後まだ執務があるのでな」

 

 皇帝と護衛のカルロスはシュタルクセルツァーを手に取った。

 

「俺もこの後は直ぐに迷宮探索だから」

 

 二人に倣って、シュタルクセルツァーを手に取る。

 酒飲んだ後に魔物部屋に突撃なんかできない。

 

「なんだ。誰もドワーフ殺しにいかないのか。まだ栓は取るなよ」

 

 エステルが追い打ちをかけるために、制止をしてきた。

 

「栓を取ったら、一気に飲め」

「飲む前に壷をよく振っておくと、美味いらしいぞ」

 ハルツ公と伯爵が恒例の言葉を投げかけてきた。いつも言ってるのだろうな。

 

「では。入会と新会員の前途を祝して。乾杯」

「乾杯」

 エステル会長の音頭で乾杯したが、本当に前途を祝う気があるのだろうか。

 

 コルクのような栓を取って、小さな壺をゆっくりと口の中に含んで飲んだ。

 久しぶりの炭酸水だったが、すごく美味しく感じられた。

 炭酸も強いことは強いが、それ以上に美味く感じる。

 原作では、安物のコーラみたいだと表現されていたが、そんなことはない。

 甘味は感じないが、凄く美味しいじゃないか!

 

「美味いな」

 壺の中を思わず覗き込んでしまった。

 

「ガイウスなら知っておったであろうが、ユキムラも知っていたのか?」

「名前は知らなかったが、似たような飲み物をどこかで飲んだ気がする。

 それと比べても、これは結構美味いな」

 どこで飲んだのかは説明できない。最後に飲んだのはコンビニの炭酸だけど。

 

 多分、久しぶりだったから凄く美味しく感じただけなのだろうな。

 

「ドワーフ殺しも強い酒だぞ。壷一本を軽く飲み干せる者を我は知らん。

 ドワーフでもそうはおるまい」

「・・・・・・」

 この前までドブローにいた隻眼のバルドルフは、楽勝で飲んでいた気がする。

 

 その後、奥さんにとっちめられていたけど。

 今回は俺は一人で来たから、パーティーメンバーに飲ませるというイベントは発生しなかった。

 別に必要のないイベントだろう。

 酒などなくても、アミルは俺に十分デレているはずだし(キリッ)。

 

「では、名残惜しいが公務に戻るとするか」

「そうですね」

 皇帝に続いて、護衛のカルロスが席を立った。

 

「ユキムラ、あのマットの取引の準備をしておいてくれ」

「!・・・・・・考えておこう」

 既に使用済のものを綺麗に洗って、皇帝に進呈しよう。

 

 装備品だから、迷宮ボスの攻撃でも受けない限りは壊れていないはずだ。

 

「それでは、ユキムラ。我らも行くのでな」

「十日後によろしく」

「小さい子とのマットでの遊び方を考えておいてくれ」

 小さい子から離れようぜ。

 

 ハルツ公との晩餐について、エネドラに伝えておかないとな。

 今度も六人で行くのがベターだろう。ストッパー役がいないと俺が不安になる。

 

「ガイウス様。本日はありがとうございました。また、いつでもご行幸を賜りますように」

 

 扉のところまで行くと、最後にセバスチャンが挨拶をした。

 他にもロッジの職員総出の見送りだ。

 さすがに出迎え時にいた貴族達は帰ったようだ。

 

 皇帝を見送った後、俺もセバスチャンに礼を言って、壁から自宅へと戻った。

 本当は資料室を見たかったが、迷宮とヴィルマ達が俺を待っている。

 入会儀礼を済ませて正式会員になったのだから、資料室にはいつでも行くことができるはず。

 今度行く時は、ローザやアミルを連れていこう。

 

・・・・・・

 

 自室に戻って、エネドラ達に帰宅を告げた。

 入会儀礼を終えて、無事に帝国解放会の正式会員になったことを伝えた。

 二階に上がって、急いで迷宮へ行く準備を整え、クーラタルの49階層へと移動。

 

 部隊編成のスキルでマップを確認する限り、順調にヴィルマ達は探索を続けているようだ。

 俺も49階層の魔物部屋を目指し、探索を開始した。

 

 オーバーホエルミングで適度にモンスターを躱しながら、たまにマダムバタフライをしばき倒す。

 炭酸を飲んだせいで、げっぷが出てしまう。

 運動前に炭酸を飲むものではないな。

 もっとも、ドワーフ殺しを飲む選択肢はなかったので仕方ない。

 

 それなりに時間はかかったが、魔物部屋を発見して殲滅。

 その後は、ヴィルマ達と合流。

 なんとか彼女達のボス戦には間に合った。

 

 アミルのブリーフィングの後、彼女達がボス部屋に入り、扉が閉まった後に俺もワープで侵入。

 出現したモンスターは、ボスモンスターのメトルバタフライが二匹とマダムバタフライ一匹、キラービーが一匹。

 全て飛行型モンスターだ。

 そして、なにげにメトルバタフライとの戦いは初めてだな。

 ターレ迷宮の攻略時には、お目にかからなかったし。

 

 とはいえ、飛行型ならオリビアの見せ場だ。

 生き生きとデカい蝶を手玉に取っている。

 

 アミルとラファも槍を振り回して奮戦している。

 ラファは雷魔法を放ちながら、槍を使ってマダムバタフライと戦っている。

 雷魔法を使ってなければ、とても魔道士には見えない。

 

 キラービーはヴィルマとイレーネが受け持って相手をしている。

 一匹、また一匹と石像が増えて・・・・・・やがて敵モンスターで空中に浮かんでるものが全くいなくなった。

 完勝だな。見事だ。

 

 全ての石像を煙に変えたところで、皆と一緒に50階層に抜けた。

 メトルバタフライのドロップ品は『蝶の複眼』か。ちょっと不気味なアイテムだ。

 

 明日の探索は迷宮討伐の初級編となる50階層のボス戦になるのか。

 ラファの鼻息が荒くなりそうだが、明日はラファがお休みの回だ。

 一日置きにラファとヘルミーネが交代で加わってるのだから仕方ない。

 

 ワープゲートを開き、皆と自宅に戻ることにした。

 

・・・・・・

 

 夕方の会議は帝国解放会の入会儀礼を無事終えて、正式会員になったことを簡単に通知。

 十日後にハルツ公から入会祝いの晩餐へ招待されたので、エネドラへ参加をお願いした。

 彼女の目がキラリと光った気がするが、新商品の売り込みを考えているのではなかろうか。

 ハルツ公の目が、また死んだ魚のようになる未来が予想される。

 

 ロッジでの資料調査をローザにしてもらう事をマテウスに伝え、意識してもらうことにした。

 護衛の派遣もあるので、レドリックも相談に乗ることに。

 図書館と違って、入館料が不要なので午後の時間を使うことになるだろう。

 アミルも午後はクーラタルの45階層以降の探索リーダーを務めているので、それが終わってからになるだろうか。

 

 その後は、定例の報告が一通りなされて解散となった。

 

 自室に戻って、今日までのまとめ。

 

■情報▶

 

■人材育成/採用(ユキムラ)▼

①人材育成

<クーラタル(27名)>

(1)迷宮組(5名)

 ユキムラ(百鬼夜行Lv90/鬼神Lv90/英雄Lv90/勇者Lv90/遊び人Lv90/忍者Lv90/魔道士Lv90)

 アミル(鍛冶師Lv86⇒隻眼※/冒険者Lv78/探索者Lv86/斎王Lv36)

  ※隻眼のジョブ取得条件不明(バルドルフの発言から装備品のスキル融合数を増やす)

 ヴィルマ(百獣王Lv90)、イレーネ(くのいちLv70)、オリビア(竜将軍Lv90)

 

(2)護衛部隊(13名)

 レドリック(剣聖Lv54/騎士Lv47)、モニカ(剣聖Lv56)、レイモンド(冒険者Lv50)

 ケリー(百獣王Lv54)、マリー(百獣王Lv54)、フラウス(斎王Lv56)

 ラファ(魔道士Lv55/斎王Lv52)、ヘルミーネ(冒険者Lv40/聖騎士Lv51)

 ミラ(鍛冶師Lv50/剣匠Lv63/剣聖Lv1★)、マヤ(剣匠Lv60/剣聖Lv1★)★剣聖の育成は保留

 フレイヤ(竜騎士Lv49)、ドロテア(魔道士Lv40)

 トカラ(魔法使いLv50⇒魔道士※)  ※魔道士ジョブ取得待ち 

 

(3)後方支援(9名)

 エネドラ(武器商人Lv47)、チクルス(薬師Lv34)、ポーラ(沙門Lv27)

 アネット(武器商人Lv17)、シルビア(防具商人Lv17)

 フローラ(薬草採取士Lv46)、クララ(奴隷商人Lv15)

 ゼノ(薬草採取士Lv45/僧侶Lv46)、ゼナ(薬草採取士Lv45/僧侶Lv46)

 

 

 万遍なく、護衛部隊メンバーをLv60前後までパワーレベリングを行うか。

 余裕ができたら、後方支援メンバーもレベル補正による自衛のためにLv60前後まで上げよう。

 そろそろポーラの産休に備える必要もあるはず。エネドラとチクルスに確認せねば。

 

 

<ベイル(4名)>

(1)後方支援(4名)

 ミモザ(薬草採取士Lv45⇒薬師)、ビンス(冒険者Lv8)、リック(冒険者Lv8)

 クルト(防具商人Lv35) ※ビンス、リックの交代要員

 

<ザビル(21名)>

(1)護衛部隊(12名)

 マテウス(剣聖Lv44)、ニケ(暗殺者Lv48⇒刺客)、ヒューゴ(神官Lv48⇒禰宜)

 ニクラス(剣匠Lv43⇒剣聖)、ゾフィ(巫女Lv47⇒斎王)

 ローザ(探索者Lv50/冒険者Lv32)、ロベルト(探索者Lv50/冒険者Lv12/神官Lv47)

 マチルダ(魔法使いLv48/冒険者Lv36/騎士Lv47/薬草採取士Lv40)

 レベッカ(魔法使いLv48/巫女Lv48/剣匠Lv45/薬草採取士Lv40)

 カイ(剣匠Lv50⇒剣聖)、レジーナ(探索者Lv50/冒険者Lv36)、ジゼル(巫女Lv49⇒斎王)

 

(2)後方支援(9名)

 カラダン(奴隷商人Lv15)、ピコ(冒険者Lv20/防具商人Lv7)

 ミシェル(武器商人Lv17)、ナナ(農夫Lv38)

 サライ(防具商人Lv19)、ティナ(探索者Lv32/薬草採取士Lv40/商人Lv31/防具商人Lv14)

 ダフネ(武器商人Lv20)、エルザ(薬草採取士Lv43)、ノーラン(薬草採取士Lv43)

 

 

 ザビルの護衛部隊メンバーは現在のジョブで習熟を重ね、そろそろ上位のジョブを狙いたい。

 マチルダ、レベッカの強化はマテウスとも相談しよう。

 余裕ができたら、後方支援メンバーもクーラタル同様、自衛のためにLv60前後まで上げよう。

 

 

②採用

 後方支援/護衛メンバーの拡充に向けて、定期的にエネドラ、ヘルミーネで奴隷商館巡りをする

 

 ハルツ公から竜人族奴隷の取引について、ザビル子爵への紹介状を受領しゼノとゼナを身請け

 ⇒二人は当面、薬草採取士、僧侶として活躍予定。ザビル子爵へ次回は竜騎士人材を要望

 

 ザビルの奴隷商館で有望そうな者を仕入れたら、タケダ家に組み込む

 ⇒盗賊襲撃で壊滅したザビルの村の者が数名合流。今後も増える可能性有

 ⇒アルマーの商館からも有望そうな者を購入していく。既に2名を購入済

 

■軍事(ユキムラ/レドリック)▼

①部隊編成(3/6)(クーラタル)

 ユキムラ隊▼

 (ユキムラ(L)、アミル、ヴィルマ、イレーネ、オリビア)

 レイモンド隊▼

 (レイモンド(L)、レドリック、マリー、フレイヤ、ラファ、トカラ)※メンバーは適宜入替

 ヘルミーネ隊▼

 (ヘルミーネ(L)、ケリー、モニカ、マヤ、フラウス、ドロテア)※メンバーは適宜入替

 ※待機メンバー:ミラ

 

②部隊編成(2/6)(ザビル)

 ローザ隊▼

 (ローザ(L)、マテウス、ニケ、ニクラス、ヒューゴ、マチルダ)※メンバーは適宜入替

 レジーナ隊▼

 (レジーナ(L)、カイ、ロベルト、ジゼル、ゾフィ、レベッカ)※メンバーは適宜入替

 

③スキル装備品

 ⇒ザビルの護衛部隊のスキル融合装備品を揃えることを優先する

 

■商業/取引(ユキムラ/エネドラ/カラダン)▼

①カードハンターとの取引(ベイル/ザビル)

(ベイル)コボルトハンターの宿で1回/10日程度で取り引き実施中

 

(ザビル)探索者ギルドで依頼を出し、防具屋でカード取引を逐次実施中

 

②モンスターカード取引:ルークにオークション依頼中

  ⇒5日周期程度で継続依頼中。

 

③スキル融合装備品(ルーク)    :等価交換取引継続中

  ⇒強権の鋼鉄槍の等価交換の実施済。

  ⇒附帯契約で『吸精の鋼鉄槍』をルークと取引済

 

④スキル融合武器(エネドラ旧知の商人):月に2回ペースで実施中

 

⑤ゴッゼル士爵への対応(ベイル)

(1)ゴッゼル士爵家支援対応

 ⇒士爵家へ支援策(装備、住居、生薬)の契約を締結し、対価を逐次受領中

 

(2)アイリス家支援対応

 ⇒三人の装備品を納品済。個別取引は随時実施中

 

⑥鏡(ペルマスク製)取引(ハルツ公爵領):30日周期で実施中

 

⑦取扱商品の拡充:瑪瑙の長期契約実施中

  ⇒瑪瑙については1年間の長期契約を実施し、30日毎に納品

 

⑧石鹸の販売:取引ルートの拡大

(貴族向け石鹸)

 【ハルツ公領内】

  ⇒鏡同様に30日毎に15セット(石鹸5個で1セット)納品中

 

 【クーラタルの商人ギルド】

  ⇒ルークの店舗で平民用、貴族用石鹸の委託販売開始

 

 【帝都奴隷商人協会】

  ⇒ターヘラのマリアさんの店経由で帝都での委託販売開始(カラダンが調整済)

 

(一般富裕層向け石鹸)

  ⇒ペルマスクの工房と30日毎に30セット納品する1年契約締結

 

⑨スキル融合装備品(ドブロー:ワーレン)    :等価交換取引長期契約実施中

  ⇒ドブローでスキル融合装備品の納品契約を締結。現在、5回目の取引対応中

 

■開発(エネドラ/カラダン)▼

①石鹸(貴族向け):量産中

 20個/日 程度、量産中(在庫:695個) ★ザビル防具屋に300個移動(93日目)

 

②石鹸(一般向け):量産中

 ⇒子供達の習熟期間完了。作業委託契約で量産開始。

 25個/日 程度、量産中(在庫:755個) ★ザビル防具屋に300個移動(93日目)

 

③新商品開発:エネドラ達商人グループで開発中(シャンプー、保湿クリーム、化粧水)

 ⇒シャンプーの試作品完成。改良中。保湿クリーム、化粧水も試作品作成中

 

■生産(チクルス/アミル/ミモザ/ティナ)▼

①クーラタル中級生薬生産(チクルス/フローラ/ゼノ/ゼナ)

 滋養剤32個、強壮剤32個、万能丸10個生産/日【約62万1000ナール/月(予定)】

 

②ベイル薬草採取士OJT(フラム/リク)

 滋養丸と強壮丸を各6個/日で生産中【約1万800ナール/月(予定)】

 ※子供達への給金は納品金額の2割とする

 

③ザビル生薬生産(ティナ/エルザ/ノーラン)

 滋養丸と強壮丸を各24個、万能丸6個/日で生産中【約7万200ナール/月(予定)】

 まずは迷宮探索用。余剰ができれば薬師ギルド(クーラタル)への納品に利用

 

④ダマスカス鋼の額金、竜革のグローブ:量産中(ミラ)

 

⑤装備品作業受託(ドブロー:アミル/ミラ)

 ⇒期日までにミラが中心となって防具を生成する。

  1)ドブロー分(竜革防具):四回目契約まで納品完了。五回目実施中

 

  2)帝都分(ダマスカス鋼防具):二回目契約まで納品完了。三回目実施中

 

 

■その他/クエスト▼

①ビー玉(ビッカー):8個52000ナール(在庫:16個)

  ⇒8個単位で30日周期で取引中。

 

②鏡(ルーク):2枚39万ナール(在庫:6枚):次回取引未定

 

③ダマスカス鋼工房の対応(ドブロー)(継続実施中)

 ⇒頑強のダマスカス鋼盾を納品し、ダマスカス鋼200個を受領。次回取引未定

 

④剣術指南所の対応(ターヘラ)

(1)ケリー&マリーの奴隷契約対応

 ⇒ターヘラの商店との食料移送契約は一年分締結済(対価も既に一年分支払済)

 

(2)業務提携(一般用石鹸作成):実施中

 ⇒子供達のジョブ取得支援を30日ほどかけて実施予定(除く:獣戦士)

 

⑤ハルツ公爵領迷宮探索依頼(ボーデ、ハルバー、ターレの迷宮のいずれか)【完了】

 ⇒ターレの迷宮の討伐を完了し、ハルツ公に報告済

 

⑥鏡工房の装飾品注文対応(ペルマスク):実施中

 ⇒琥珀のネックレス3点は納品済。次回取引未定

 

⑦クーラタル拠点増築対応(敷地2倍、居住スペースを3倍に拡大)(実施中)

 ⇒土地を購入。合わせて柵の作成もオネスタさんに依頼し工事済

 ⇒大工店(親方:ヨルゲン)と増築工事の契約締結済

 ⇒工事は既に開始(工事期間:一期(40日間)、二期(80日間))

 ⇒一期工事完了、二期工事実施中

 

⑧ザビル出店計画(メイン:奴隷商館/サブ:防具屋)【完了】

 

⑨バラダム家から接収したスキル融合装備取引【完了】

 

⑩ザビル子爵からの依頼(第二迷宮対応装備品及び生薬、スキル融合装備品の調達)【完了】

 

⑪詠唱隠蔽の技術供与と対価のスキル融合装備【完了】

 ⇒ニムラルからレドリックが習得し、対価は以下のスキル融合装備品を提供済

  ※子供達のジョブ取得支援は別途、ベイル&ターヘラで実施予定

 ⇒用意するのは激情のダマスカス鋼剣、強権の鋼鉄槍、催眠のレイピア、防毒の竜革ジャケット

 

 

・・・・・・

 

 ベッドに横たわって、エネドラ、カラダン、チクルスから回ってきた報告書に目を通す。

 

 カラダンとエネドラの報告から、モンスターカードの収集は予想以上に順調なのが分かる。

 コボルトハンター、ルークによるオークションや等価交換の取引、ドブローでのスキル融合装備納品の対価等複数ルートから入手する手段を確保した。

 月単位で見ると最近は、コボルトとその他のカードでそれぞれ100枚以上のペースで入手できている。

 

 それ以外にも平均4パーティーを並行で迷宮に派遣しているので、4パーティー合計で1日1枚ぐらいのペースでドロップしている。

 月単位で見ると30枚だから結構な数だ。

 ザビルの販売奴隷が増えれば編成できるパーティーが増えるから、もっと入手する枚数を増やすことができるかもしれない。

 欲しいカードが確実に入手できる訳ではないが、長い目で見ればカードを入手する手段としては悪くないと思う。

 

 アミルが毎日のように、複数回のスキル融合をしているが、減る傾向が見られない。

 もう一人鍛冶師を入れる手もあるが、隻眼のバルドルフの話を聞く限りでは、スキル融合は一人の者に集中させた方がジョブ取得上は有利に思える。

 アミルが隻眼のジョブを取得したら、スキル融合をミラに任せる手もあるが、それまではアミルだけにやらせた方が良いだろうな。

 

 

 エネドラの報告によると、石鹸はクーラタルのルークと帝都の奴隷商人協会でも委託販売が始まったので、月に16万ナールぐらいの利益が計上されている。

 まだ、販売ルートを拡大中の段階だから、リピーターが出始めて、もう少し利益が上がってくれるとありがたい。

 もう暫く様子見だろうな。

 

 最近、高い階層で中級生薬の素材を大量に入手できたこともあり、生薬生成部門の収入が激増しそうな雰囲気だ。

 チクルスの試算では30日で3拠点合わせて、70万ナールの利益予想。

 やはり、薬師ギルドに加入して納品する方が収入が増えるな。

 

 加えて、クーラタル側では薬草採取士ジョブを持つ者が増えたので、人手が潤沢にある。

 ゼノとゼナもパワーレベリングしたので、滋養剤や強壮剤を生成する程度は問題ないレベルになっている。

 3拠点合わせて生薬を生成しているのは10名以上もいるからな。

 素材さえあれば大量生産できるのは分かっている。

 複数パーティーの迷宮探索で生薬素材の安定確保は可能だ。

 

 あまり荒稼ぎすると目立つので、適度に他の街の薬師ギルドを回って納品した方が良いかもしれない。

 冒険者ジョブを取得した者も増えたので、護衛もできる冒険者をお供にして納品させよう。

 

 カラダンの報告では、一月あたりの奴隷商館の利益が15万ナール、防具屋の利益が46万ナールほどらしい。

 防具屋は迷宮出現による特需とダマスカス鋼や竜革の物珍しさで一時的に利益が上がっているだけかもしれないので、暫くは様子見が必要。

 タケダ家の標準装備を生成する際に空きスロットができなかった物を回して販売しているから効率が非常に良い。

 

 今のままでも、一カ月あたり白金貨1枚を楽に超えるペースで利益が積みあがっていくことになるのだが・・・・・・。

 

 

(コン、コン・・・・・・)

 

 ドアを開けると・・・・・・オリビアが立っている。

 俺を見下ろさんばかりの身長の高い彼女だが、この時ばかりは羞恥に頬を染めている。

 

 ジッと見つめていると視線を逸らして、惚けた顔をしているが、そんな姿も可愛らしく思う。

 

 ずっと立たせてばかりだと可哀想だな。

 

(いよっと)

 

「・・・・・・!」

 

 辛うじて声を出さずに息を止めた彼女をお姫様抱っこでベッドへ誘う。

 

 ベッドに俯せにして、無言のままの彼女にマッサージを施す。

 肩から背中、両腕、腰、ふくらはぎと丁寧に優しく揉み解す。

 

 徐々に彼女の緊張が解けていくのを感じる。

 彼女の吐く息が、部屋の空気に馴染んで広がっていくように思える。

 

 オリビアは迷宮組五人の中で最年長だが、アミルと並んで最も初心な心根の持ち主な気がする。

 お姉さん風を吹かせようとする事も多いが、ベッドの上では生娘のような恥じらいを見せるから、余計そう感じるだけかも。

 どの娘も、みんな初心は初心か・・・・・・昼間に帝国解放会のセクハラ男衆と接していたので、その汚れが綺麗に洗い流されていく気がする。

 

 今も俺の手が触れる度に少しだけ緊張が走り、そして徐々にリラックスしていく。

 それが繰り返されるのが何とも妙な気分なのだが、微笑ましく思ってしまう。

 

 ちょっと悪戯しちゃおうかな。

 

 サッと、彼女の下半身を覆っていたズボンを引き下ろして取り去る。

 

「あっ・・・・・・ちょっと、ユキムラ君!」

 

 抗議の声を無視して、まろび出た彼女の艶やかな下半身にマッサージを続行。

 背中を向けた状態で両腕を後ろに回した状態で抵抗する彼女の両掌を俺の二本の腕で捕らえて、掌を丁寧に揉みこむ。

 

 余った、下腕の両手で彼女の下半身をアチコチ緩やかに撫で解す。

 彼女の両脚の間に、両ひざを入れて徐々に脚を開かせていく。

 初めは抵抗していた彼女も諦め、徐々に体を任せていく。

 

 着衣の背中や肩もしっかりと解していく。

 もういいかな。

 上腕の腕二本で彼女の腕を万歳するように持ち上げて、下椀の両腕で彼女の最後の着衣を引き摺り上げて全裸にさせる。

 

「もう~~!」

 

 顔をマットに付けたまま抗議の声を上げるのを無視して・・・・・・。

 

(オーバーホエルミング・・・・・・)

 

 ・・・・・・からの高速脱衣。

 

 これで、こちらも彼女と対等だ。

 

 超速スキルが終わるのを待って、彼女の背中に優しくダイブした・・・・・・やっぱり柔らかい。

 暫く、その柔らかさを堪能し、彼女をゆっくりと仰向けにした。

 

 ほんのり桜色に染まった表情が何とも愛おしい。

 そして、向き合った状態で改めてダイブ・・・・・・大海に揺られる小舟のような気分。

 暫く彼女の豊満な胸の間に収まっていたが、顔を見上げて彼女の表情を盗み見る。

 彼女は視線を逸らしているが、首にも薄っすらと汗が光って見えて、なんとも幻想的な気がしてしまう。

 

 体をずらして、彼女の表情を眼下に納めて・・・・・・唇を蹂躙。

 

「・・・・・・!」

 

 一瞬の抵抗の後、目を閉じて舌を絡め合う。

 頭にパチパチと火花が飛び散るような気持ち良さに襲われ、先ほどまであった余裕がどこかに霧散していく。

 戦闘の際には、全てを見下ろす女王のような振る舞いを見せるオリビア。

 その彼女にふさわしい瑞々しさと甘い匂いが溢れて、こちらの優位は無くなりそうだ。

 

「あっ・・・・・・」

 

 こちらの限界も近づいてきたので、ゆっくりと彼女の中に侵入。

 激情と喜びの深さを口の中で味わいながら、律動を開始する。

 

 こうなると、今度はこちらの方が俄然優位に立つ。

 

「うっ・・・・・・うぅっ・・・・・・」

 

 声を押し殺そうとする彼女の目尻から涙が滲んでいるのが見える。

 

 両腕で俺の胸を押し返そうとするのを掌同士で掴んで組み伏せ、下椀の両手で彼女の胸の先端を優しく転がす。

 ストロークの度に打ち響く鮮烈な喜悦に、彼女の表情が妖しく上気していく。

 大きく揺れる彼女の放漫な胸に再びダイブしたくなる衝動を抑えながら、互いに頂点を目指す。

 

「くっ、ふうぅ・・・・・・!」

 

 突然訪れた彼女の絶頂に遅れまいと、こちらも最後の全力疾走・・・・・・の後、全てを解放した。

 大きく痙攣しながら、荒い息を吐く彼女の胸に顔を埋める。

 震える彼女の掌が、俺の頭を優しく包み込んだ。

 

・・・・・・




お読みいただき、ありがとうございました。
今回は情報更新が多く、文章が長くなってしまい、申し訳ありませんでした。

次回投稿日は2026/4/24(金)の予定です。
次の話は閑話にする予定です。
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