異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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100.セ二号作戦(その4)(兵は詭道なり)

 怪我を負いながらも、こちらに状況を伝えにきた冒険者の話によると、ボーデの城が襲撃を受けており大混乱に陥っているとのこと。

 獣人族、人間族、エルフ族等、襲撃者達の種族は様々らしい。

 

 敵戦力の総人数は不明。

 既に死者も出ているが、損害の程度も把握できていないらしい。

 

 城の門からではなく、城の内部・・・・・・奥の方から突然、現れたらしい。

 ん?・・・・・・それって。

 

「閣下、セルマー伯のエンブレムをかたどった垂れ幕がボーデの城に設置されていますか?

 まさか、今回セルマー伯に奇襲をかけたのと同じやり方を使われたのでは?」

「・・・・・・!」

 この反応は図星(ビンゴ)か?・・・・・・いや、断定はできないが、可能な状態ではあったということだな。

 

「こちらの作戦を気取られぬように、

 セルマー伯のエンブレムの入った垂れ幕はそのままにしておった・・・・・・」

「閣下、詮索は後にして、対応せねばなりません。

 急ぎ、こちらの部隊の一部をボーデに派遣しましょう。

 今、ボーデの城の防備は最低限の警備のみの状態になっておりますので、危険な状態です」

 ゴスラー騎士団長の方が冷静か。

 

 確かに原因を追及するのは、全てが片付いてからにすべきかも。

 ただ、相手のやり口を特定しないと、この戦いの最中に、またしっぺ返しを食らうぞ。

 今回、裏をかかれまくっているからな。

 

 更に援軍が押し寄せてくる可能性だってある。

 冒険者を使ったパーティーを、軍隊のように派遣して急襲されるのって怖ろしいな。

 

 

「敵の襲撃を受けているのに、余が城に戻らない訳にはいかぬ。

 この城の指揮はゴスラーに任せる故、其方の裁量で差配せよ」

「閣下、危険です」

 確かに危険だけど、城主が留守にしている間に本城を落とされましたとなったら拙いよな。

 

 ボーデの城に戻したカシア様の安否も気になる。

 目に見えない所だと、状況が全く分からない。

 

 というか、この城から撤退すべきなのでは?

 ああ、でも次期セルマー伯の姿を見かけないから、まだ頑張っているのか。

 彼を見捨てたりしたら、それはそれで、かなり拙いよな。

 

 何よりも状況が分からなさ過ぎる。

 怪我で戦えない者を除いた、こちらの残存戦力はどれだけなのか?

 ボーデの城を襲撃している敵の戦力はいかほどか?

 情報を可視化しないと、とてもまともな判断ができず、指揮が取れないだろう?

 

 

 優先されるべきはボーデの城の方だろうな・・・・・・俺がハルツ公の立場なら、そうする。

 最低限の目標をどこにおいて、どこまでの戦力を重点目標に割り振って、最悪どこまで見捨てるのかって優先順位をつけないと先に進められないのでは?

 

 本当に今回の戦いは学ぶことが多いな。

 

 索敵はチートスキルだけど万能じゃない。

 部隊編成で視界は拡張できるが、部隊がいない場所、視界に入らない場所は分からない。

 迷宮組は強いが、所詮は限定された戦場においてのみだ。

 俺のチートスキルも局地戦では無類の力を発揮するが、遠隔地までは手が及ばない。

 ワープで移動すれば複数の場所で戦線を構築できるが、今回みたいに一箇所に縛られると途端効果が激減する。

 今回は戦力に数えられてないから仕方ないとはいえ・・・・・・本当に頭数に入ってないよね?

 

 

 ハルツ公は今回、ひょっとしたら負けに近い損害を被るかもしれない。

 将来のタケダ家の戦いで、それが起きないと断言できないよな。

 

「悪いが、タケダ殿は余と一緒に来てもらえないだろうか?」

「まあ、護衛するだけであれば・・・・・・」

 今回、報酬を固定にしたのは失敗だったか。

 

 敵の首一つで幾らとする歩合制にしておけば良かったかも。

 公爵と迷宮組に近づく敵を撫で斬りにしていくだけだが、人目に付かない戦い方は難しいか。

 せめて敵の戦力が分かればなぁ。

 敵の総大将の位置が分かれば、そいつを一番に討ち取る戦略だって取れるのに。

 おっと、護衛に徹するのだったな。

 つい、思考が剣呑な方向に流れてしまう・・・・・・自重、自重。

 

 とにかく、固まって行動するしかないか。

 普通の敵なら、同時に10人前後に攻められても、跳ね除ける自信はある。

 次はアミルにも戦ってもらうしかないな。

 

 レベルを上げておいて良かった。

 『レベル補正』があれば、そう簡単に死ぬことはないだろう。

 『対人強化』のスキルを付与したダマスカス鋼の腕輪も効果を発揮してるみたいだし。

 

 

 二人で話し合った結果、方針が決まったようだ。

 

 ゴスラー騎士団長の精鋭パーティーから騎士団長だけ抜けて、ハルツ公が加わるようだ。

 魔法攻撃が使えない分だけ、聖騎士の公爵が埋める感じか。

 それとは別に近接戦闘ができそうなパーティーを2つ、合計3パーティーをボーデの城に戻すとのこと。

 3つのパーティーには、それぞれ冒険者がいるので、単独で拠点移動が可能。

 怪我した冒険者は治療を受けたので、連絡員として二拠点を移動するらしい。

 

 この城の方はゴスラー騎士団長をリーダーに、1パーティーのみ遊撃隊として運用し、残りの騎士団員は引き続き、セルマー伯の長女の捜索と開かない部屋の突破を試みるとのこと。

 未捜索の部屋がかなりあり、人の気配がある場所も複数あるので包囲を解けないとかなんとか。

 うーん、どっちつかずの作戦に思えるが、俺は口出しできないので護衛に徹しよう。

 

「では、ボーデに戻る。ゴスラー、ここを頼むぞ」

「はっ、閣下も気を付けて・・・・・・御武運を・・・・・・」

 そのまま、ハルツ公のパーティーはエンブレムの方に進みだした・・・・・・ちょっと待ちなさい。

 

 

「閣下、先に私のパーティーで移動して、安全を確保します。

 少し時間を置いて移動して下さい」

「むっ、分かった。苦労をかけてすまぬが、よろしく頼む」

 せっかちだと言っても限度がある・・・・・・まあ、カシア様が心配なのだろうな。

 

 

「みんな、いくぞ。俺、イレーネ、ヴィルマ、オリビア、アミルの順に移動だ」

「ちぇっ・・・・・・了解!」

「了解!」

「了解!」

「了解・・・・・・ご主人様、無茶しないで下さいね」

 一番に移動して状況把握しないと、おっかないよ。

 

 

 フィールドウォークの呪文を唱えて、ゲートを城の絨毯に繋げた。

 良かった・・・・・・ちゃんと繋がった。

 ここでモタモタ作戦会議している間に絨毯外されていたら、面倒なことになっていた。

 

「では、お先に・・・・・・」

「タケダ殿、気を付けられよ」

 無言で頷きながら、ゲートをくぐった。

 

 

 出た先の場所で、

 

(索敵)

 

 マップを見る前に、いきなり甲高い悲鳴が聞こえた。

 

 マップには、近くに赤い点とグレーの点が一つずつ。

 エルフの女性の後ろを獣人っぽい男が追いかけている。

 

「おい、待て、そこの男!」

「ん?なんだ、てめぇ」

 足を止めた奴は・・・・・・こいつはリーダーっぽくないな。

 

 それに、なんか貴族の尖兵って感じもしない。街のチンピラみたいだ。

 自分も他人のことをとやかく言えないけど。

 盗賊がけしかけられているのだろうか。

 セルマー伯の城で討伐した奴等の中にも海賊や凶賊がいたな。

 

 俺の後ろに青い点が続々と増えてきた。

 みんなが到着し始めたな。

 

「お前に命令している奴はどこにいる?」

「知るかよ、そんなの」

 返事をしながら、片手剣で切りかかってきた。

 

 男の首を刎ねようとしたら、イレーネが横から飛び出してきて、『一閃』で首を刎ね飛ばした。

 オーバーホエルミングとかを使わないと、走る速度では彼女の方が上なんだよなぁ。

 

「さっきのお返し」

「・・・・・・」

 イレーネの相手をしていた僧侶を、俺が討伐したのが気に食わなかったらしい。

 

 エルフ女性のジョブは薬草採取士・・・・・・戦闘職でない者も襲われているのか。

 こいつは、ちょっとヤバそうだ。

 

「アミルは、その女性を見ててもらえるか?

 オリビアは、その絨毯の場所を確保しておいてくれ。

 ヴィルマとイレーネは俺と一緒に来い」

「了解」

「了解!」

「了解!」

「了解!」

 あまり絨毯の場所から離れないように、周囲の警戒をしよう。

 

 上を見上げて・・・・・・バルコニーの方には誰もいない。

 ドアを開けると・・・・・・喧騒が聞こえる。

 誰か戦ってるのか、襲われているのか・・・・・・分からんな。

 索敵で見える範囲には赤い点が見えない。

 やはり状況が分からないな。

 

 ハルツ公のパーティーが到着したようだ。

 グレーの点が6つマップに表示された。

 

 急いで、絨毯の場所に戻った。

 

「そちらの女性が襲われていたので、その獣人の男を討ちました」

「そうか。其方、カシアの居場所を知らぬか?」

 薬草採取士の女性は首を横に振っている。

 

 これは、緊急事態の際の集合場所(シェルター)の取り決めがないと、探し回る羽目になるのじゃないか。

 城の内部から攻められるという想定外の状況に現場が大混乱しているのは間違いない。

 このやり方がセルマー伯の城を攻めるのに有効と判断したのだろうが、今度は逆にこちらがやられてしまったな。

 この城にも炭焼き小屋があるのだろうか。

 

 カシア様を探しながら、敵を虱潰しに討ち取るしかないかも。

 

 残りの2つのパーティーの連中も到着したようだ。

 伝令役の冒険者も、絨毯から出てきた。

 

「まずは我々は執務室へ向かう。タケダ殿達も付いてきてくれ。

 クリストフの部隊はここに残って、絨毯と避難してくる者の安全を確保せよ。

 エームンドの部隊は後宮を中心にカシアや皆の救出に向かえ。

 城の者達を見つけたら、ここに集まるように伝えよ。

 お互いの連絡は、ここにいるクリストフの部隊に仲介してもらう」

「はっ、閣下もお気を付けて」

 ここで部隊を分けるのか?

 

 まあ、4パーティーで集団行動しても仕方ないのだろうけど。

 それにしても、カシア様の捜索は他のパーティーに任せるのか。

 

 俺達のパーティーはハルツ公のパーティーの後ろに付いていく。

 城の中は不案内なので、俺達が先頭に立つことができない。

 それにしても、何故、執務室へ?

 玉璽みたいなものが置かれていて、奪われると公爵でなくなってしまうとか?

 

 足早に皆、移動していく。

 索敵スキルでマップを見ているが、グレーの点が見えて城の者達の安否が少し分かるな。

 見かけた命がありそうな者に、クリストフ達がいる場所へ移動するように声をかけている。

 あっ、一人倒れていてグレーの点がついてない者がいる・・・・・・殺されたのか。

 

 倒れている者を介抱することなく、先へどんどん進んでいく。

 それだけ緊急性が高いってことなのか。

 先頭を進む者達の表情が怒りと悔しさで染まっているように見えた。

 こんなことをされて、平気でいられる訳がない。

 平常心を保つのに必死なのだろうな。

 

 

 暫くすると見慣れた通路の光景が・・・・・・執務室の近くだ。

 おっと、誰かが戦っている。

 グレーの点が3つと赤い点が4つ、前方に見えた。

 

「突撃せよ!」

「承知!」

 公爵の指示で、聖騎士二人と僧侶が突っ込んでいった。

 

 これで、敵四人は前後から三人ずつの集団に挟み撃ちされることになる。

 

 冒険者ではなく、僧侶が前衛やるのか?

 そういえば、この男は俺に模擬戦を挑もうとしてきたな。

 Lv90だし、レベル補正を生かして戦ってるのかもしれない。

 自分にレベルがあるなんて、分かってはいないのだろうけど。

 

 沙門は少し前に出て、治癒魔法の準備をしている。

 冒険者はハルツ公の傍について、護衛のつもりか?

 

 要人の護衛は俺達がするぞ。

 まあ、冒険者はパーティーの要だから、あまり前に出過ぎないのが普通か。

 彼が討ち取られたら、移動はできなくなるわ、パーティー効果がなくなるわで一気に窮地に陥るからな。

 

 後ろから奇襲された敵集団は挟み撃ちの格好となり、劣勢になった。

 僧侶の男も聖騎士二人の隙間から、上手く槍でけん制して援護している。

 狭い通路で槍を使うのは技術と経験が必要だと思うが、なかなかの腕前だ。

 

 俺の左右を見ると、ヴィルマとイレーネが剣を小刻みに動かしながら、自分達の出番を待っているけど・・・・・・今回は出番はないぞ。

 俺達は護衛だから、ハルツ公をほったらかしにはできない。

 

 イレーネ、そんな情けない顔で俺を見ても、突撃の許可は出さないからな。

 俺が首を横に振ると、項垂れてしまった。

 いいから、しっかりと周囲を警戒しようぜ。

 索敵のマップを見てるから、ある程度は安心と言っても、先ほどのようにいきなりフィールドウォークで飛んでくる場合だってあるのだから。

 

 鑑定で確認すると敵は獣戦士Lv32、海賊Lv41、獣戦士Lv41、山賊Lv43・・・・・・一人はエルフ族だ。

 治癒職もいないし、探索者も近くにいないがパーティーを組んでないのだろうか。

 賊と戦っていたエルフの者達三人もパーティーを組めそうなジョブがいないので、最初のうちは数に優る敵方が優勢だったのだろう。

 だが、賊軍も六人パーティーを組んだ前衛職に後ろから攻撃されたら詰みだろう。

 間もなく四人とも討たれて戦闘は終了した。

 

「無事か?」

「はい。執務室を狙っていたようでしたので・・・・・・守るだけで手一杯でしたが」

「そうか、よく頑張った。見事じゃ」

 ハルツ公に褒められ、三人とも嬉しそうだ。

 

 その傍らで、僧侶と沙門が三人の治療をしている。

 こういう対人戦で複数パーティーを運用したり、人命救助的な行動を取る時には僧侶系のジョブは輝くのだな。

 神官系だとパーティーに加えないと治療できないが、僧侶系はパーティー外の者を治療できる。

 衛生兵的な活躍をしている。

 僧侶の少ないタケダ家のジョブ構成のバランスも、ちょっと再検討が必要かも。

 

 俺の考察はさておき、ハルツ公は聖騎士の護衛二人と共に執務室に入っていった。

 俺達は外で警戒だ。

 索敵のマップで見ると、外からでも執務室のグレーの点が室内を移動しているのが見える。

 

 何か重要なものが執務室にあるのだろうか・・・・・・その場所はマップでの点の動きからなんとなく推察できてしまう。

 怖いスキルだな・・・・・・索敵のスキルは。

 

 冒険者の男が、執務室を守っていた三人に敵の状況を確認しているが、あまり大した情報が得られないようだ。

 複数のグループが手当たり次第に城にいる者を襲ったり、部屋の中を荒らしているらしい。

 何かターゲットがありそうだが、その狙いが分からないな。

 

 

 やがて、ハルツ公と二人の聖騎士が出てきた。

 問題なかったようで、一度、模擬戦をやった広い部屋に戻るようだ。

 カシア様の捜索をするのかと思ったが、情報をすり合わせるために戻る模様。

 やはり連絡手段がないのは厳しいな。

 

 戻る途中で寄る所がある模様。

 元来た道をたどっていると、俺の知らない部屋にハルツ公のパーティーが入っていった。

 俺達は外の通路で警戒。

 

 暫くすると、何やら布を持って出てきた。

 

「これで、外からの侵入経路の一つを潰した」

「セルマー伯のエンブレムが入った垂れ幕ですか?」

 俺の問いかけに、沙門の男が頷いた。

 

 ハルツ公のパーティーは、既に別の方向に急ぎ足で向かっている。

 やがて、ロビーの一角に出た。

 壁にかかった絨毯を外そうとしている。

 この絨毯を置いたままだと、冒険者のフィールドウォークで使われる可能性があるのか。

 

「暫くは門からしか城への出入りはできぬが、致し方あるまい」

「なるほど」

 いったん、フィールドウォークの移動経路を全て遮断するのだな。

 

 これ以上、勝手に出入りをできないように封鎖して、ゆっくり料理するつもりか。

 今、フィールドウォークで移動できるのは、模擬戦をやった広場の絨毯しかないと。

 守備隊を配置しているから大丈夫ということなのだろうか。

 あの場所に戦力を集め、城門を固めれば、袋のネズミにできるのかもしれない。

 袋と呼ぶには城内は結構、広そうだけどな。

 

 再び、ハルツ公のパーティーを先頭に早足で歩き始めた。

 城の道順など分からないから、付いていくしかない。

 索敵のマップを開いているけど、どの道をどう行ったら、元の広い部屋に戻れるのかは分からなくなった。

 ナビゲーションシステム、プリーズ。

 

 マップのクリア状況から、初めて通った通路だなってことぐらいは分かる。

 やがて、マップの進行方向に広いクリアになった場所が見えてきた。

 これは多分、模擬戦やった広場に辿り着きつつあるということだな。

 

 戦闘の聖騎士がドアを開けると、討ち入り前に全員集合した場所に出られた。

 見ると、非戦闘員らしき者が数名と、残されたパーティーが1つ、絨毯の傍にいた。

 

「クリストフ、エームンド達は戻ってきたか?」

「いえ、まだです」

 エームンドというのは、カシア様達を探しに後宮とやらに派遣されたパーティーだったな。

 

 ハルツ公の表情は厳しい。

 

「ここに、このままいても仕方あるまい。後宮の方に余達も・・・・・・」

 

 ハルツ公の言葉全て終わぬうちに、我々が戻ってきたドアとは別の所からエームンドのパーティーが戻ってきた。

 だが、三人しかおらず、その中にカシア様らしき人はいない。

 何が起きたのだ?

 

「エームンド、どうじゃった?」

「カシア様は見つかりませんでした。

 何人か殺されていた者達を発見しましたが、

 負傷者、生存者達の集団に三名の護衛を付けて、こちらに向かわせています。

 我々は報告のため、先行して戻ってきました」

 ひょっとして、誘拐されてしまったのじゃないだろうな。

 

 

「閣下、あちらに・・・・・・バルコニーの方に!」

「なんじゃ?」

 クリストフという名の騎士が指さした方向には数名の人影が見えた。

 

 というか、あれは戦っているな。

 

(鑑定)

 

(鑑定)

 

 あっ、カシア様がいるっぽい。

 鑑定で人の名は分かるけど、索敵スキルでは二階よりも少し高い所にあるバルコニーのマップは表示されない。

 索敵スキルはフロアが違うと表示されないんだよなぁ・・・・・・そのフロアまで移動しないと。

 3名対3名のようだが、カシア様は後方に控えているようで、実質、2対3だ。

 ちょっと厳しいか?

 

「閣下、我々は上に上がります」

「エームンド、頼むぞ!」

 エームンドの部隊は、一声かけると全力で駆け出した。

 

 ドアに体当たりするようにぶつかって、扉を開け、ドタドタと駆け出していった。

 バルコニーに上がる手段がない。

 バルコニーの手すりは、かなり高い所にあり、肩車しても届きそうにないし、室内なので登れるような木もない。

 地面から手すりまでは、垂直で足場になりそうなものもなく、ツルツルと磨き上げたような白い壁になっている。

 

 俺の持っているジョブで何か使えそうなスキルは・・・・・・アースウォールで壁を作ってもよじ登れる高さではないか。

 オーバーホエルミングで走っても、あの場所に辿り着くための道順に自信がない。

 ・・・・・・他には、他には・・・・・・何かないか。

 

 カシア様を誘拐するつもりなのか、殺すつもりなのか、下から見上げていても、サッパリ分からない・・・・・・楽観視は危険だ。

 戦っているのは彼女の護衛の者達だろうな。

 

 

「御館様、あたしが突撃してくる」

「はあぁ?・・・・・・どうやって?」

 イレーネの言葉に耳を疑う。

 

「デカ女、力貸せ・・・・・・」

「むうぅ~デカ女じゃない、お姉ちゃんって呼びなよ・・・・・・」

 イレーネはお腹のあたりで、両手を組んでいる・・・・・・なんだ?

 

「時間がない。あたしを信じて!」

「分かったが、絶対無理するなよ」

 イレーネは鋼鉄の盾を放り出して、エストックを鞘に納めた。

 

 少し、オリビアから離れて・・・・・・軽く助走を始めた。

 彼女の向かう先のオリビアは、先ほどのイレーネと同じようにお腹のあたりで、両手を組んでいる・・・・・・まさか?

 

 オリビアの組んだ両手の上に、イレーネの右足が乗った。

 

「飛んでけ~♪」

 

 宙を舞ったイレーネはバルコニーの手すりに左手をかけて、手すりを飛び越えていった。

 無茶しやがるな。

 

 あれって、修練場で確か、ゼノがケリーやマリー相手にやっていた『高い高い』だな。

 代わる代わる二人を空中に放り上げてキャッチしていた。

 後方支援職なのに、やっぱり竜人族ってスゲェなって思ったやつだわ。

 洗濯物が木の枝の先に引っ掛かっていた時に、取ったりしていたよな。

 

「あたしもやる!」

「ええぇ~ヴィルマちゃんも?」

 既にヴィルマは助走に入っていた。

 

 イレーネと同じく、空中に放り上げられた彼女は、軽快に手すりをそのまま超えて、バルコニーに着地したようだ。

 豹人族といい、虎人族といい、ちょっと凄くないか?

 イレーネは既にカシア様のパーティーを攻撃している部隊の後方から奇襲攻撃を仕掛け、ヴィルマもそれに続いている。

 

「ユキムラ君もやるぅ~?」

「いや、体重的に無理だろう?」

 オリビアがアミルの方を見ると、アミルは全力で首を横に振っている。

 

 ひょっとしたら、アミルの方が二人よりも体重が軽いから、やり易いかもしれない。

 だが、力加減を間違えると天井に激突する恐れがある。

 危な過ぎてやらせる気になれない。

 

「閣下、エームンドの部隊は交戦中です!」

「まだ敵がおったのか?」

 一向にバルコニーに姿を現さないと思っていたら、進路を阻まれていたのか。

 

 というか、敵戦力の全体像が見えないから困るな。

 

 

 何を思ったのか、オリビアが片手に槍を持ち、振りかぶって・・・・・・壁に投げつけた。

 壁の1メートルぐらいの高さの部分にダマスカス鋼の槍が深く突き刺さった。

 

 もう一本の槍を振りかぶって、また壁に向かってブン投げた。

 こんどは2メートルちょいぐらいの高さに突き刺さる。

 

「これでどう?」

「どうって?」

 まさか、これを足場にして、俺に上がれって言ってるの?・・・・・・マジっすか?

 

 

 いや、やれるだけのことをやってみよう。

 硬直のエストックをアイテムボックスの中に収納。

 アミルが、1メートルの高さに刺さった槍の柄の方を持ってくれている。

 

 そこに足をかけて、上の槍を掴んで・・・・・・オリビアが二本目の槍を支えながら、俺のケツをもう一方の手で持ち上げてくれた。

 おおぉ~なんか、怖いな、この高さ。

 身長が高くて、腕力もあるオリビアが槍を持ってくれているから、なんとか俺の体重でも支えてるけど。

 でも、壁に手を突き・・・・・・竜革のグローブで支えながら、二本目の槍の上に足をかけて・・・・・・バルコニーの手すりになんとか手が届いた。

 四本の手の腕力で、体を持ち上げる・・・・・・多分、昆虫のような動きに見えているかも。

 

 それでも、なんとかバルコニーの床に転がり落ちることに成功。

 二人と比べれば、全然格好良くない。

 

 しかも、既に二人がカシア様達を襲っていた賊達を成敗した後だった。

 俺の出番はなしかよ?

 

 索敵のマップで周囲を警戒すると・・・・・・いや、まだ出番はありそうだ。

 二階の通路の先から赤い点がいくつか急速に近づいてきた。

 

 カシア様だけ二階から下に放り投げるのは・・・・・・ちょっと厳しいか。

 

「イレーネ、ヴィルマ、二人でカシア様の部隊を護衛してくれ」

「御館様、あたしも戦う!」

 いや、通路が狭いから。

 

 その時、マップ上のバルコニーの先に二つの赤い点が現れた。

 

「イレーネ、その先から敵が二人来たぞ。そいつら任せても構わないか?」

「任せて!」

 返事をするなり、彼女は駆け出していった。

 

「カシア様達はそこから動かないで下さい。ヴィルマ、三人を守ってくれ」

「任せろ、主!」

 ヴィルマの気合の入った表情を確認して、俺は通路の方に一歩踏み出した。

 

 さて、俺はこっちから来る奴等を迎え撃つか。

 マップの先にグレーの点が見えないから、全力でやらせてもらうぞ。

 

(オーバーホエルミング)

 

(アイテムボックス操作)

 

 デュランダル、硬直のエストック、激情のダマスカス鋼剣、硬直のダマスカス鋼剣を取り出して、四本の手で握った。

 通路の幅は・・・・・・なんとか振り回せるな。

 つまり、この四本を振ってる限りは、俺の後方に敵を逃すことはないってことだ。

 

 スローモーションで近づいてきた敵六人が通常の速度で走り始めて、こちらに近づいてきた。

 超速スキルの効果が切れたか。

 

(鑑定)

 

(鑑定)

 

 凶族Lv43、海賊Lv65、獣戦士Lv64、神官Lv61、暗殺者Lv73、探索者Lv67・・・・・・と。

 獣戦士が要注意か・・・・・・いや、暗殺者のレベルも高いな。

 探索者を先に殺りたいが、一番後方にいやがる。

 

★ボーデ城(カシア救出戦闘戦)マップ

注)索敵スキルでは別フロアは表示されませんが、便宜的に一階と二階を同時に記載してます

 

【挿絵表示】

 

 

 

「おい、誰かいるぞ・・・・・・だが、一人だ。全員でかかれ!」

 

 狼人族の探索者が叫んでいる。

 こいつがリーダーか。

 

 

(オーバーホエルミング)

 

 前にいた凶賊と海賊の首を、立て続けにデュランダルで刎ね飛ばした。

 

 前衛の一番右にいる獣戦士は何かをしゃべっているように口をゆっくりと・・・・・・ビーストアタックの詠唱か?

 血走ったような目がこちらを向いてるのは、動きをちゃんと捉えているのだな。

 だが、そんなスピードでは俺の敵ではない。

 

(ダブルスラッシュ!)

 

 剣聖のスキルで獣戦士の胴体を横薙ぎに真っ二つにした。

 

 次は神官と暗殺者か・・・・・・こいつら、皆、竜革製の防具付けているようだな。

 暗殺者は、硬直のエストックを持ってやがる。

 先に神官の首を刎ね飛ばし、暗殺者の狼人族の女を四本の剣で滅多切りにした。

 驚愕?・・・・・・恐怖の表情が見て取れたが、そんな顔しても手加減はできない。

 デュランダルの一撃で狼人族の右腕が吹っ飛び、体にも無数の斬撃の跡が入り、最後は袈裟懸けに斬り捨てた。

 

 まだ、超速スキルの効果があるか。

 

 残りは・・・・・・探索者の狼人族・・・・・・こいつはオークションに来ていた奴じゃないか。

 見覚えがあるし、鑑定で確認した名前の記憶も残っている。

 

 少し話をするか・・・・・・マップの左後方ではイレーネが戦っているのが見えたが、赤い点が2つから1つに減っている。

 一人倒したのだな。

 グレーの点3つと、その傍らにいるヴィルマの青い点に変化はない。

 イレーネも一対一なら、負けることはないだろう。

 ヴィルマもいるし。

 

 超速スキルが収まるのを待つか。

 やがて、オーバーホエルミングの効果が消えた。

 

「お、おいっ・・・・・・何故、俺だけに・・・・・・お前何者だ?」

「それはこちらの台詞だ。

 お前と言い、セルマー伯の城にやってきた聖騎士のエルフ族の奴もだが、

 いったい誰の指金で何しに来やがった?」

 狼人族の男は沈黙したままで返事をしない。

 

「チッ・・・・・・」

 舌打ちするなり、俺に向かって右手に持っていた片手剣をブン投げてきた。

 

 何をするのかと思ったら・・・・・・元来た通路を一目散に逃げ出しやがった。

 

(オーバーホエルミング)

 

 スローモーションで逃げる狼人族の男に追いついて、

 

(状態異常耐性ダウン)

 

 博徒のスキルをかけた上で、硬直のエストックで10回ほど連続で突いた。

 

 そのまま追い抜いて、奴の前方に回り込む。

 超速スキルの切れるのを待つと・・・・・・うぉっと・・・・・・前のめりに倒れた男はそのまま通路を滑って・・・・・・止まった。

 石化できたようだな。

 

 通路の前方では、戦闘の気配がする。

 ひょっとしてエームンドの部隊か?

 

 通路を足早に進むと、やはりそうだ。

 横に三人が立ちふさがってるせいで、エームンドの部隊が足止めされていたようだな。

 三人で向かったように見えたけど、今見ると六人いる。

 パーティーの者達と合流したのだろうか。

 硬直のエストック以外の武器をアイテムボックスに収納。

 

 

「加勢するぞ!」

 

 後ろから声をかけて、前方にいる三人の賊の動揺を誘う。

 

(状態異常耐性ダウン)

 

 中央にいた探索者の男に博徒のスキルをかける。

 そのまま、エストックの連続突きを背中に見舞った。

 後ろからの攻撃にのけ反った男は、エームンドの部隊の騎士の攻撃に晒されて転倒した。

 赤い点が残ったままだから、石化したのだろう。

 

 そのまま残った二人の仕上げにかかる。

 エストックで後ろから刺突を繰り返し、エームンドの部隊の援護だ。

 やがて、残った二人・・・・・・海賊と凶賊の二人はエームンドの前衛陣が仕留めた。

 

「タケダ様、何故、前から?」

「・・・・・・そんな事より、カシア様はこちらで保護したから無事だ」

 どうやってバルコニーに上がったのかの説明は難しい。

 

「怪我しているようなら、治療を先にしてからでも大丈夫だ。

 俺はいったんバルコニーの方に戻る」

「分かりました。直ぐに向かいますので」

 イレーネの方も気になる。

 

 イレーネ達が索敵のマップの表示範囲外になってしまっていたから、直ぐに戻りたい。

 急いでバルコニーの方に向かうと・・・・・・索敵のマップには青い点が2つある。

 二人とも無事か。

 そして、赤い点は一つもないから、イレーネが敵を倒したのだろう。

 グレーの点も3つあるから、カシア様達も無事と。

 

 バルコニーに出ようとすると、パーティー効果で俺の気配が分かったのだろう・・・・・・ヴィルマとイレーネが通路に顔を出してきた。

 

「二人とも怪我はないか?」

「全然。あたしは一人しか倒してないし」

「あたしは四人殺った」

 イレーネはドヤ顔しているが、そんな討伐した数を競い合うなよ!

 

 俺は怪我がないか確認しているのだから。

 

「カシア様、エームンドの部隊が迎えにきています。

 一緒に一階に降りて、閣下と合流して下さい」

「分かりました。タケダ様、ありがとうございました」

 少し疲れた顔のようだが、怪我などは無さそうだ。

 

 俺を先頭にカシア様達三人を中央に据え、殿にヴィルマとイレーネで通路を歩きだした。

 

「ひっ、ひぃ・・・・・・」

「さきほど、通った時には無かったのに・・・・・・」

 ん?・・・・・・あっ、やべぇ。

 

 通路には一面の斬殺死体が・・・・・・一つは生きている石像だが、なんの慰めにもならない。

 ついさっき、ここを通ってカシア様達はバルコニー側に逃げてきたのだよな。

 それが、大して時間も経ってないのに、首も数個転がってる血塗れの廊下・・・・・・ホラー以外の何物でもない。

 

 カシア様達三人は震えながら、惨殺現場から目を背け、足早に通り過ぎた。

 前方からエームンドの部隊が来たので、カシア様達を引き渡す。

 

「我々が来た通路と、その先のバルコニーに仕留めた敵の遺体がありますので、

 後で検分するようにお願いします。

 それから、通路にある一人は恐らく石化していますので、

 必要なら回復して尋問するようにお願いします」

「分かった。閣下と相談して対応する。カシア様の救出、感謝いたします」

 エームンドと、そのメンバーは俺達三人に頭を下げた。

 

 平民の俺達に礼を尽くす姿には好感が持てる。

 カシア様達三人が頭を下げたのは、怖くて俯いてるだけのような気もするが。

 この救出した三人は、先ほどからこちらに視線を合わせようとしない。

 トラウマを植え付けてしまったかもしれない・・・・・・無念だ。

 これからの商売や取引が大丈夫なのか不安になる。

 

 

 ここから先の道順が俺達には分からないので、タケダ家の三人は一番後方に付くことにした。

 

 そういえば、委任状をもらう前の話では、なるべく殺すなって話だったっけ。

 でも、こいつらセルマー伯の部下には、とても思えないからセーフ?

 まあ、アウトでもセーフでも手加減ができる状態ではなかったから不可抗力だ。

 そもそも、殺してもオッケーのお墨付きを貰ってるのだから今更だよな。

 

 まだ、敵の襲撃の可能性が完全に消えた訳ではないので、索敵のマップを開きながら周囲の警戒を怠らない。

 そして、戦闘が発生することもなく、皆の待つ大部屋に辿り着いた。

 

「カシア、無事じゃったか?」

「閣下も怪我などはないですか?」

 お互いの無事を確かめ合っているので、俺達もアミルとオリビアの方へ向かった。

 

 

「ご主人様、大丈夫でした?」

「ユキムラ君、もう槍抜いて大丈夫~?」

「ああ、どっちも大丈夫だ」

 ダマスカス鋼の槍で、城の壁に二箇所も穴を開けてしまったけど、後で怒られないだろうか。

 

 気にしたら負けだ。

 カシア様を助けたのだから、細かいことは言われないだろうと信じたい。

 

 

「助かった、デカ女・・・・・・」

「お姉ちゃんだよ~♪」

 この二人は仲が良いんだか、悪いんだか。

 

 それにしても、あの二本の槍を足場にして、あの高いバルコニーの所まで上ったのか。

 我ながら無茶をしたものだ。

 この世界には飛行魔法や空中浮遊できる魔法がないから、こういう時に困るよな。

 大楯を組み合わせて、梯子のような攻城兵器になる装備品を防具生成してもらうか。

 本当に、今回の戦いは良い意味でも悪い意味でも貴重な経験だ。

 

 結果オーライだったとはいえ、イレーネとヴィルマを先行させたのは反省材料かも。

 二人の命とカシア様の命を天秤にかけたら、俺は前者を選択するのだし。

 他に何か良い方法があっただろうか。

 

 カシア様を鑑定した時に身代わりのミサンガを着けているのは確認していた。

 怪我のリスクを負ってもらってでも、バルコニーから飛び降りさせるべきだったか。

 最悪、身代わりのスキルで死ぬことはない?

 いや、本当にそうだろうか?・・・・・・武器や魔法攻撃によるダメージ以外では身代わりのスキルは発動しないか?

 心臓発作でも、一回だけなら死ぬことはない?・・・・・・なんてことはないよな。

 多分、ダメな気がする。

 エリクサーはどうなのだろう・・・・・・寿命で死ぬ時以外は全ての病気や怪我は治るのだろうか。

 

 

 それはともかく、セ二号作戦の方は、この後はどうする気だ?

 賊の残党狩りでもするのか。

 俺達が倒したのは・・・・・・セルマー伯の城で12人と石像1つ、ボーデの城で11人と石像1つぐらいだったか?

 最後のエームンドの部隊を支援した分は含めていない。

 

 まあ、まだ終わった訳でもないしな。

 ラノベ展開なら、最後に凶悪なラスボスが出現するのが定番だ。

 

 それに、この場所だって安全とは言えないぞ。

 さきほどの相手も・・・・・・(ぬる)っちい相手で助かった。

 

 あの二階のバルコニーから、この場所にファイヤーストームとか範囲魔法を撃ちこまれたらヤバかったのではないだろうか。

 燃えるモノもそれなりに置いてあるし、屋内だから結構被害が出るぞ。

 本気で公爵を殺す気なら、俺だったら雷魔法(全体)、火魔法(全体)×2にメテオクラッシュとガンマ線バーストぶちこんでトンズラすると思う。

 無詠唱だからできる技だが。

 城に派遣された敵は見た限りは魔法使い系のジョブはいなかったようだが、敵戦力の配置としてはどうなのだろうな。

 セルマー伯の城の方では魔法攻撃らしきものがあったように思えたけど。

 

 それにしても、一定数は撃滅したけど、ハルツ公側も被害がかなり出たのではないか。

 見事に裏をかかれたというか、かかれ過ぎだよな・・・・・・こちらに内通者がいたのではないかと疑ってしまうレベルだ。

 セ二号作戦を仕掛けたら、ハ二号作戦で返されたという感じだ。

 

 ハルツ公は、エームンドとクリストフの部隊を城内に派遣するつもりらしい。

 侵入口を塞いだので、あとは残党狩りをするだけのはずだが、上手くいくだろうか。

 この場所に避難してきた者達はドンドン増えつつある。

 戦える者よりも非戦闘員の方が、はるかに多くなってきた。

 

 その他にも、城門の方にも騎士団が数名配置されているらしく、そちらの方にも避難する者を集約しているとのこと。

 残党狩り、城に勤める者達の救助や治療、出入り口の封鎖・・・・・・その他にもやることがたくさんあるのだろう・・・・・・騎士団員はてんてこ舞いのはずだ。

 このまま騒動が収束してくれるとありがたいのだが。

 

 

 ん?絨毯から誰か出てきた。

 確か伝令役の冒険者だったか。今度は怪我はしていない。

 

 

「閣下、ゴスラー様が、もし可能なら直ぐに来ていただきたいとのことです」

「ゴスラーが?」

 今のこの状態を放っておいて?

 

 ゴスラー騎士団長の方がこちらに来られないような事態が発生しているのか。

 やれやれ、次は一体何が起きるんだよ。




お読みいただき、ありがとうございました。
次回投稿日は2026/5/16(土)の予定です。
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