異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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026.アミルの迎え入れ

 今朝もすっきり目覚めたが、いつもより1時間ほど寝坊。

 ベイルの朝食の終了時間までは、まだ余裕があるけど、ダラダラしているとヤバいかも。

 顔を洗ってサッパリさせて、身なりをとっとと整えて、ベイルの旅亭に向かった。

 

 ボイルにコボルトスクロースを4個渡して、朝食のための木札をもらう。

 店員に木札を見せて、朝食にありつく。もう、すっかり慣れたものだな。

 かなり腹が減っていたので、このボリュームでこの味は本当に助かる。

 アミルが来てからも、しばらく利用するのが良いかも。

 料理は得意ではないって言ってたし。

 

 今日のメインイベントはクーラタルでルークに鏡を販売することと、アミルの迎え入れだ。

 アランの商館で次の前衛メンバの検討について、相談するか?いくらなんでも早いか。

 ちょっと浮かれ過ぎかもしれない。自重自重。

 

 今日も美味しくいただきました。満足感に満たされた食事を終えた。

 木札をボイルに返して、コボルトスクロースを6個渡して、昼の弁当2個をゲットした。

 今日は二人で食べる予定だ。

 自宅に戻り、装備を整え、鏡2つ持って、クーラタルの商人ギルドの壁にワープした。

 

 受付でルークへの来訪を告げると、さして待たずにルークがやってきた。

 

 商談室に移動して、ルークと最終確認。

 

 まずは、こちらが要望していたモンスターカードの話からだ。

 カードを2枚取り出して、俺に提示してきた。サイクロプスとコボルトだ。

 この短期間で2枚も要望のカードを調達してきたのは、俺に実力を見せるためだろうか?

 別に出し惜しみせずに、どんどんカードを提示してもらっても、こちらはウェルカム。

 

「こちらがご要望のカードの一部ですが、サイクロプスとコボルトになります」

 うん、鑑定したから間違いない。

 

「2つとも頂こう。この短い間で用意できる手際は素晴らしいな」

 ここは素直にほめておく。

 

「では、昨日伺った残りのカードは、

 芋虫、ヤギ、はさみ式食虫植物、つぼ式食虫植物、サンゴ、ウサギとコボルトが5枚

 となりますが、よろしいでしょうか?」

 昨日はメモを取ってるようには見えなかったが、なかなかの記憶力だ。凄くない?

 

「ああ、誤解させてしまったかもしれないが、ちょっと違う」

「カードに優先度があって、その順番ということでしょうか?」

 ルークはにこやかな表情で俺に確認を求めてきた。

 

「優先度は特につけなくて良いが、例えば、ヤギが2枚手に入りそうだったら、

 ヤギ2枚とコボルト2枚、まあコボルトは1枚でも構わないが、

 その時、調達できるものを無理のない範囲で最大限にお願いしたい」

「無理のない範囲というのは、どういう意味でしょうか?」

 

「あまり、一人の客が大量のカードを買い漁るのは、

 他の商人から見ても、おもしろくはないだろう?

 ルークには、そのバランスを取りつつ、最大限カードを調達してほしいという意味だ」

 ルークは頷きながらも、何か他のことを考えてるように見える。が、まあ、それは良いか。

 

「あと、付け加えるなら、今回、サイクロプスとコボルトを入手したが、

 これが最後ではなく、今後も継続して同じカードを手に入れてほしいということでもある」

「モンスターカード融合の結果を待って、

 失敗だった場合に再度入手するのが、普通のやり方ですが」

 

「もちろん、そういうやり方もあるが、ルークも知っての通り、融合は失敗の方が遥かに多い。

 今回、入手したカードもきっと失敗するだろう。

 だから、数を揃えて挑戦しないと望むものが得られないと思っている」

「なるほど。承知しました。では、昨日、伺ったカードを継続して入手するように手配します」

 ルークは納得はしてくれたが、少し表情が固いな。

 何故だろう?一見の客らしからぬ振る舞いだからだろうか?それとも、俺の行動が非常識?

 

「手数料は、ここにある2枚に加えて、

 着手金として、10枚分でも20枚分でもまとめて支払っても構わないが、どうする?」

「そうですね。では、今回の2枚分と今後の10枚分の手数料と合わせて、

 今後の取引の拡大を見込みまして4200ナールでお願いします」

 手数料については2枚分に加えて、10枚分追加と。

 

「カードの落札額は10500ナールを頂きます。合計1万4700ナールとなります」

「承知した。その金額を支払おう」

 俺は銀貨袋を取り出して、アイテムボックスから取り出した金貨1枚と共に支払った。

 やっぱり、この世界の支払いは面倒臭い。

 

「この後、ギルド神殿でカードの確認をして頂きたく存じます」

「いや、ルークのことは信用しているので不要だ。メモもつけてあるので、そのまま頂こう」

 鑑定で分かってるので、面倒なことは省きたい。

 

「ギルド神殿での鑑定は無料ですが、本当によろしいでしょうか?」

「ああ、問題ない。これからもメモをつけてくれるだけで良い」

 

 カードの取引が終わったので、鏡2つを渡した。ルークの方で入念にチェックをしている。

 ホームセンターで購入したまんまの状態だし、瑕疵を指摘されても今更どうにもならない。

 

 ルークの確認が終わり、代金の再確認。

 昨日のルークの提案通り、1枚15万ナール、3割アップで2枚で39万ナール。

 

 やはりルークの動かせる金額は、それなりに大きいようだ。

 そして、新しいモノにも資金を投下できる判断力は評価できるのかもしれない。

 その価値が正当かどうかは別だが、仮に失敗だとしても経験できるのは、その能力所以だ。

 鏡は渡してないから、アシッド家の意思決定者が他に居るとしても、ルークの目を信じるしかないわけだし、ルークの力はそれなりにあるのだろう。

 

 小さい商家でも39万ナールなんて、ゴミのような金額とかはあるだろうか?

 原作の伯爵家出身のエルフ娘は白金貨を珍しそうに見てた気がするから、それはないか。

 まあ、原作とこの世界は別物ということはあるか。

 これで、ルークの力を測れたことに本当になるのだろうか。

 

 ただ、能力を否定する材料も今のところはないのか。

 もう少し、ルークを判断するだけの情報が欲しい。別の取引でも考えてみるか。

 今回の取引は成立させて、今後も取引を続けて経過観察しよう。

 

 今回は、鏡2枚を売却することをルークに伝えた。

 

 金貨は、枠の増えたアイテムボックスに入れるだけとはいえ、結構な大金だ。

 アイテムボックスに雑に入れてしまったけど。

 所持金が90万ナールを超えたので、メンバ追加の予算はかなり潤沢になった。

 

 ルークには、今後、更に追加で鏡の取引をしたい場合には、連絡を待っていると告げた。

 ただし、次も2枚セットでの売却を基本にしてほしいと念押しした。

 ルークは苦笑いしながら、慇懃に礼をしてきた。

 

 これで、取引は終了となった。

 落札時は、ベイルの俺の住所に伝言をしてもらうようにした。

 

 モンスターカードをこれほど、まとめて依頼する顧客は非常に珍しいそうだ。

 今後の取引も宜しくということで、ルークに別れを告げて、商館を後にした。

 

 次は、武器屋でこん棒を購入だ。

 とはいえ、こん棒以外に購入したいものがなかった。

 まあ、こん棒はそもそも安いので3割引にはしないで、定価で購入した。

 

 次は、騎士団の詰所を覗きに行った。前回、前々回の騎士団員かどうかの確認。

 ベイルと比べると層が厚いのか、別の者であった。非常に都合が良い。

 今回もしれっと、迷宮で盗賊に出くわしたと言って、インテリジェンスカードを提出した。

 6枚で一人は探索者だから対象外だろう。一人だけレベルの高い盗賊がいた集団の分だ。

 インテリジェンスカードのチェックをされ、奥に引っ込んでいった。

 

 大して時間もかけずに戻ってきて、懸賞金の入った袋を俺に渡してくれた。

 通り一辺倒の感謝の言葉を言って、去っていった。男なら塩対応でも気にしない。

 

 詰所を離れて、近くの木陰に移動して、自宅にワープ。

 玄関で金額を確認すると、18万ナール丁度だった。

 これで、100万ナールを大幅に超えた。経済的なゆとりがかなりのものになった。

 

 まだ、お昼前なので、アランの商館に行ってアミルをお迎えだ。

 玄関を出て、歩きでアランの商館に向かう。

 

 アランの商館に着き、用件を伝え、応接室で待つこと10分。アランがアミルを連れてきた。

 既に奴隷契約を行い、死後解放の手続きも完了している。連れて帰るだけだ。

 

 しばらくしたら、前衛の出来る戦闘奴隷や家事奴隷を購入したい旨をアランに伝えた。

 今朝は自重しようと考えてなかったか?

 大金が入ると気持ちが大きくなるようだ。ギャンブル狂いによくあるパターン。

 

 戦闘奴隷は先日から特に新しい奴隷は入ってないそうだ。

 家事奴隷はまた次の機会にでも見せてもらうことにして、今日は立ち去ることにした。

 

 アミルには先日渡しておいた、皮の靴(空)とマント(非装備品)を着てもらった。

 別に今から迷宮に行く訳ではない。貫頭衣のまま歩かせるのはちょっと気が引けただけだ。

 

 一度、着替えのために新居に戻ることにした。

 先日よりも、アミルの表情が明るく思えるのは、俺の思い上がりだろうか?

 アミルが視線を別に向けてる時に確認すると、沈んだ表情だったので思い上がりのようだ。

 

 新居に戻る途中で、パン屋でパンを数個買って、新居に到着。

 アミルは自分の部屋で着替えに、俺は食堂で昼食の準備だ。

 と言っても、買った弁当を出して、作り置きしておいたハーブティーをコップに注ぐだけだ。

 

 アミルが食堂に戻ってきたので、まずは、パーティ編成でアミルをパーティに入れた。

 アミルは無言で怪訝そうな顔だったが、まずは席に着いてもらった。

 雑談を交えながら、今後の話もしつつ、昼食をいただいた。

 

アミル(ドワーフ族 ♀ 16才 奴隷)

探索者Lv3

(控えのジョブ)村人Lv6 戦士Lv1

 

 前の買い物の時にパーティに入れておけば確認できたのだが、あの時は舞い上がっていたようで、今更の確認だ。

 村人のレベルは俺が思っていたよりも高かった。

 探索者は低階層しか戦ってなかったという言葉通りのレベルだ。

 まあ、これからレベリングしていくから、鍛冶師の条件を満たすのは割とすぐだろう。

 

 初めのうちは、俺がメインで戦うので、見学半分、弱い魔物を俺の脇から攻撃するのを半分くらいの割合で慣れてもらうつもりだと説明した。

 武器は、こん棒、槍、剣などを適宜換えながら、適性を見たいとも伝えた。

 恐らく、メインは槍の予定になるだろうとも予想を伝えた。

 練習がてら探索する迷宮はザビルの迷宮...と伝えると、若干、また怪訝そうな顔をした。

 まあ、そのうち分かるから。

 

「武器は適宜換えるけど、防具はしばらくはこれを使ってくれ。

 そのうち良い装備が手に入ったら、交換していくと思う」

 装備品を倉庫1から取り出してきて、アミルに渡した。

 武器はまずはこん棒から。防具は硬革系をメインに、グローブだけ革製品だ。

 

アミルはかなり不安げな顔で、

「今、お渡し頂いた装備も十分、贅沢な装備に見えるのですが...」

「まあ、まだ探索者のレベルも低いし、貧相な装備だと危ないからな」

 

「あの、ザビルの迷宮の何階層を攻略されているのでしょうか?

 私は今まで3階層くらいまでしか行ったことがないのですが...」

「ザビルの迷宮は1階層しか入ったことないな。

 アミルと練習をするザビルの迷宮も1階層から攻略を始めるつもりだぞ。

 ちなみにベイルの迷宮は8階層を昨日、突破したくらいだな」

 

アミルの不安そうな顔は変わらない。

「私のために1階層から攻略になって申し訳ありません。

 ですが、私も3階層までは行ったことがあるので、3階層から始めてもらって構いません。

 初めのうちは足を引っ張ると思いますが」

「ああ、まあ、ずっと俺はソロでやってきたので、アミルとの連携を確認する意味もある。

 ザビルの迷宮は行ったことがないので、1階層からやるつもりなんだ。

 まあ、問題なければ、ドンドン階層を上げて攻略していくつもりだ。

 だけど、アミルを危険に晒すつもりはないので、そこは安心してほしい」

 

「はい。頑張ってついていきたいと思いますので、よろしくお願いします」

 アミルの不安な顔はそのままだった。もう慣れてもらうしかないかな。

 言葉でいくら言っても、きっと伝わらないだろうし。

 

「あと、俺のジョブとかスキルとかは、かなり特殊なので、多分、アミルは驚くとは思うが、

 この前伝えた、天井の設備とか、この国にはあまり伝えたくないことがかなり多いので、

 内密にしておいてほしい」

 俺は、天井の煌々と光る照明を指さしてながら言った。

 

「あの。ご主人様は何のジョブについてるのでしょうか?

 探索者はそれほど特別なジョブではないと思いますが、

 冒険者のジョブについてるのでしょうか?」

「えーと、パーティ編成は普通に探索者のジョブのスキルなのだけど、

 俺は複数のジョブに付くことができるようなのだ。

 だから、探索者のジョブと戦士のジョブの複数のスキルが同時に使えたりするんだ」

 

「...分かりました」

 言葉と裏腹に、その表情は納得しているように見えないのですが。

 

「まあ、迷宮探索の際に見せるので、そこで確認してみて。

 ただ、その場でいきなりびっくりされても困るだろうから、今のうちに言っているだけだな。

 あと、俺の種族だけど、これね」

俺はマントをめくって、4本の腕を出す。

 

「後ろにだれが?...いや、えっ、ご主人様は鬼人族でいらっしゃるのですか?」

「アミルは鬼人族のことを知ってるの?」

 

「知ってるというか、ドワーフの古い昔話に、

 ドワーフの鍛冶師の作った武器をたくさんの手を持つ鬼人族の戦士が使いこなした

 というのがあったのです。作り話だと思っていましたが」

「まあ、俺も俺以外に鬼人族を見たことがないのだけどね」

 

「...そうなのですか?ご家族は鬼人族ではなかった?..いや、そんなはずは」

「ああ、俺は孤児みたいなもので、剣の師匠に育てられたのだけど、

 その人は普通の人族だったからな。だから、鬼人族の固有ジョブも最近知った感じだ」

 俺は、前から考えていた出生の適当な作り話を披露した。原作主人公は俺の師匠です。

 

「なるほど。鬼人族は複数の武器を使いこなす器用な種族として伝えられてましたので、

 複数のジョブを同時に使いこなせるのですかね...」

 誤解が良い方向に進んでるのか、悪い方向に進んでいるのか、イマイチよく分からない。

 混乱に拍車がかかったような気もする。

 

「まあ、考えても分からないので、この力を便利に使わせてもらうってだけだな」

「はい。私もご主人様のことを理解できるように頑張ります」

 頑張っても多分、分からないと思うけど、今それをここで言うこともないか。

 

「じゃあ、ザビルの迷宮に入って、探索を開始しようか。

 戦闘中は困るけど、戦闘の前や終わってからなら、

 俺のジョブやスキルの変わったところが説明できるので、

 アミルも疑問を感じたら、ドンドン俺に質問してくれて構わないぞ」

「はい。分かりました。よろしくお願いいたします」

 なんか、少し距離が縮まった気がしたのだけど、ただ混乱してるだけな気もする。

 まだ、表情も固いし、徐々にでも距離を詰めていけないものか。

 迷宮で一緒に戦えば運命共同体なので、そのうちなんとかなるかな?

 

ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)

探索者Lv38 英雄Lv38 鬼武者Lv38 遊び人Lv38 魔法使いLv38 錬金術師Lv15 僧侶Lv38

装備 フラガラッハ エストック 鉄の盾 ワンド 硬革の鎧 硬革のグローブ 硬革の靴 硬革の帽子

114万3230ナール

 

アミル(ドワーフ族 ♀ 16才 奴隷)

探索者Lv3

装備 こん棒 硬革の鎧 硬革の靴 硬革の帽子 革のグローブ

(控えのジョブ)村人Lv6 戦士Lv1

 

ボーナスポイント(235)(初期値198+37(Lv上昇分))

・キャラクタ再設定(1)

・武器5(フラガラッハ)(31)

・鑑定(1)

・パーティジョブ設定(3)

・パーティ項目解除(1)

・異世界言語(10)

・索敵(5)

・拠点構築(5)

・必要経験値十分の一(31)

・獲得経験値二十倍(63)

・結晶化促進十六倍(15)

・セブンスジョブ(63)

・詠唱省略(3)

・パーティライゼイション(1)

・ワープ(1)

余剰ポイント(1)




お読みいただき、ありがとうございます。
まだ、このサイトをうまく使いこなせてなくて、いろいろ試行錯誤しています。

初投稿から1週間経ちまして、後書きを書いてみようということで、今回、記載しました。

インテリジェンスカードの懸賞金のお話です。我ながら変なこだわり。

懸賞金は、いくらが妥当なのか?そもそも懸賞金がかかってる盗賊をどう設定するのか...を悩んだあげく。
盗賊の一定レベル以上を対象に、レベルに係数を掛けて金額を合算して算出みたいなことにしました。

もう、思考放棄というか...草

適当でも良かったのですけど、毎回、適当に考えるのすら嫌になってしまいまして。
今回の後書きはこんなところで失礼します。

(注)既存投稿分にも、一部、後書きを追加しました。
   ご興味のある方は、お暇なときに読んでみてください。
   001、002、006、010、013、025の後書きになります。
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