異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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 チクルス視点の閑話です(ちょっと短い話です)。

 本日、二回目の投稿となりますので、前話(閑話009)も、お見逃しなく。
 ※009、010のどちらから読んでも影響は特にありません。


閑話010 柳生一族の陰謀(チクルスのいたずら)

 今日はシーナちゃんに呼び出されて、カーラちゃんの部屋に行くことになった。

 部屋に入ると新しくタケダ家に加わったカーラちゃん達五人が集合している。

 

 シーナちゃんは、私にどんな用事があるのだろうか?

 

「チクルス様、そちらのテーブル横の椅子におかけ下さい」

「えっ?シーナちゃん、私に『様』付けはいらないよ」

「それはできません。今日はチクルス様に私達の先生になっていただく予定ですので」

 せ、先生?私が?・・・・・・一体、どういうことなの?

 

 疑問に思いながらも、勧められた椅子に座った。

 

 小さなテーブルの対面にはシーナちゃんとカーラちゃんが並んで椅子に座っている。

 リオンさんとノエル君、ルイ君はベッドに腰かけている。

 正直、年上のリオンさんをベッドに腰かけさせて、私が椅子に座るのは、とても心苦しい。

 

「では、これより作戦会議を始めます。

 今日は特別にチクルス様に先生役をやっていただきますので、

 皆、先生の言葉に真剣に耳を傾けるようにお願いします。

 特に姉上は、これからの行動に大きな影響を与えるので、心して聞くようにお願いします」

「む、分かった」

「あ、あの私に一体何をさせようと・・・・・・?」

 何かとんでもないことに巻き込まれそうな悪い予感がする。

 

 

「チクルス様は、ユキムラ様の夜伽衆の古参の方であります。

 新参者の姉上には先輩にあたる方ですから、チクルス様を師と仰ぐようにお願いします」

「なるほど。チクルス殿、よろしく、ご指導賜りたい」

 ヨトギシュウ?・・・・・・夜伽のこと?

 

 夜伽の指導を私が?・・・・・・しかも五人の前で・・・・・・未成年の男の子二人もいるのに?

 無理難題だなぁ。

 ちょっとシーナちゃんは、ずれているのじゃないだろうか。

 

 

「まずはチクルス様から、ユキムラ様の女性の好みを教えていただきたいと考えます。

 どのような女性の仕草や服装、アクセサリーを好まれるのか教えていただきたく存じます」

「ユキムラ様の好みですか・・・・・・?」

 なんにも身に付けていないのが一番喜ぶと思うけど、さすがにそれは言えないか。

 

「ちょっと待ってもらえますか?ユキムラ様の好きなモノを取ってきますので」

「はい。御足労をおかけしますが、よろしくお願い致します」

 カーラちゃんの部屋を出て、自室へ急ぐ。

 

 最近はあまり使ってなかったけど、とりあえずいくつか持っていって説明してみよう。

 

 再び、カーラちゃんの部屋に戻って、椅子に座った。

 テーブルの上に持ってきたものを3つほど置く。

 

「チクルス様、これはなんなのでしょうか?

 布袋に穴がいくつか空いているようですが・・・・・・?」

「これは夜伽の時に身に着ける下着です」

「「!」」

「「「・・・・・・?」」」

 この反応は男の子達は何も分かっていないかな。

 

 まだ、あの二人にはちょっと早いよね。

 シーナちゃんは理解したみたいだから、おませさんなのかな。

 カーラちゃんは単純に分かってないようにも見えるけど、リオンさんは察したようだ。

 

「この小さなモノが下着なのか?首を通して、腕を入れるにしても小さ過ぎると思うのだが?

 子供用ではないのか?」

「カーラちゃん、その下着は上に羽織るものではなく、履くものですよ」

「えっ?これを履くということは・・・・・・」

 ようやく、カーラちゃんもユキムラ様の好みを理解してもらえたようだ。

 

 彼女の顔がほんのりと赤くなってきた。

 

「これは、ユキムラ様の一番のお気に入りのアミルちゃんが初めて身に着けて、

 ユキムラ様が大感激なさった下着なのです。

 夜伽に行くメンバーは頻繁にこれを使って、ユキムラ様に喜んでいただいております」

「これを着けるとユキムラ殿が喜ぶ・・・・・・のか?」

 厳密には私とお母さまとアミルちゃんしか使ってないけど、そこは黙っておこう。

 

 イレーネちゃんは絶対拒否するし、ヴィルマちゃんやオリビアさんはどうだろうなぁ。

 

 

「これは、ちょっと私には・・・・・・いくらユキムラ殿のためとはいえ・・・・・・」

「姉上、何を弱気なことをおっしゃっているのですか。

 エストグリュン家の再興は姉上の双肩にかかっているのですよ」

 シーナちゃんの言葉に、カーラちゃんは困惑した表情だ。

 

 そして、カーラちゃんがシーナちゃんの顔と穴の空いた下着へ、交互に視線を向けるのがとっても可笑しい。

 これは楽しくなってきたぞ~♪

 

 

「これを私が履くのか、ユキムラ殿のために・・・・・・」

「いえ、これは皆さんに履いていただいた方が効果が高いと思います」

「「えっ?」」

 シーナちゃんとリオンさんがギョッとした顔になった。

 

 

「これを姉上だけでなく、私とリオンも・・・・・・?」

「違います。お三方だけでなく、ノエル君とルイ君もです」

「「ええぇ~?」」

 男の子二人も困惑した表情になった。

 

 もう、行き着く所まで行ってしまえ!

 

 

「ユキムラ様は強敵ですから、

 カーラちゃんだけでなく五人がかりで挑んだ方が効果的だと思います。

 過去には私だけでなく、三人でユキムラ様に夜伽で挑んだことがありまして、

 その際には、かなりユキムラ様が、お喜びになっておられました」

「「「さ、三人・・・・・・?」」」

 お母様とアミルちゃんと私で夜伽をした時は、ユキムラ様はかなり喜んでいたと思う。

 

 その後が大変だったけど。

 

「なるほど、エストグリュン家の再興のためには総力戦で挑まなければ・・・・・・」

「正気ですか・・・・・・?」

「・・・・・・」

「僕は嫌なんだけど・・・・・・」

「僕も・・・・・・」

 カーラちゃんが本気で暴走したら、誰も止められないのかもしれない。

 

 シーナちゃんは天を仰いで沈黙している。何かと戦っているのだろうか。

 

 

「では、布陣は後ほど考えよう。だが、その前に目標をちゃんと決めるべきではないか?」

「も、目標?」

「そうだ。どのようになったら、我々の勝利となるかということだ。

 これが決まってなければ、無駄に戦力を動かすことになるだろう?」

「さすが姉上、戦巧者でいらっしゃいます!」

 ノエル君、カーラちゃんは何も考えてないと思うよ。

 

 その証拠にシーナちゃんの態度が素っ気ない。

 

 

「目標というのは、要するに私がユキムラ殿との間に子を成せばいいのであろう?任せてくれ」

「ブッ・・・・・・」

 ベッドに座っていた、リオンさんがハーブティーを吹き出した。

 

 私も唖然とする。

 シーナちゃんは澄ました顔をしているが、ハーブティーの入ったカップを持つ手が震えている。

 ノエル君とルイ君は意味を理解できていないのか、ポカンとしてリオンさんを見つめている。

 リオンさんの滅多に見られない表情なのかも。

 

 

 カーラちゃん、種族の異なる者同士では妊娠しないことを知らないの?

 何故?・・・・・・貴族であっても、そんな事は未成年のうちに教わるはずだと思うけど。

 

「あ、姉上には、後で私の方から説明しておきます」

「むっ、そうか、シーナ。私は男女の睦言に疎いのでな。よろしく頼む」

 疎いとか、そういうレベルでは・・・・・・。

 

 

 でも、これは凄く面白そうだ・・・・・・是非、ユキムラ様に五人まとめて、ぶつけなければ!

 うーん、なんだか楽しくてムズムズしてきたぞ。

 

 

「それで、この下着を全員で履くのだな?」

「全員で履いていただきたいのですけど、

 三人分しかないので、二人は履かないということになります」

「そ、そうか・・・・・・三人分しかないのなら普通の下着で挑む者もいるということか」

 何人かは、その下着を誰かに押し付けて自分だけ逃れようとしている雰囲気だ。

 

 でも、そうはさせないよ。

 

「違います。三人はこれを履いて、二人はなんにも履かないという意味です」

「ブッ・・・・・・」

 リオンさんがハーブティーを再び、吹き出した。

 

 間が悪いなぁ~リオンさんは。

 

「ユキムラ様は上に寝巻を羽織って、下に何も履かないでいると、大変喜ばれます」

「どちらが効果的なのだろうか」

「そ、そうなのか・・・・・・ユキムラ殿は?」

「・・・・・・」

「ぼ、僕はどちらも嫌なのだけど」

「僕も・・・・・・」

 カーラちゃんは、本気でどちらかを選ぶつもりなんだ・・・・・・度胸あるなぁ。

 

 シーナちゃんは、天を仰いで何かブツブツ言っている。

 よく聞こえないけど。

 

 その後は、下着の履き方を一通りレクチャーした。

 履き方というよりは、履いた後の見せ方なのだけどね。

 

 

「チクルス殿から、他に何か助言はあるだろうか?」

「・・・・・・そうですね。夜伽の際に、隣室の書斎に連れ込まれたら、覚悟が必要となります」

 あれは本当にヤバイと思う。

 

「書斎に?ユキムラ殿が本でも読んで下さるのか?」

「違います。書斎にはユキムラ様が様々な仕掛けを巡らしておられるのです」

 あんなこと、実際に経験してみないと説明不能だよ。

 

「仕掛けというと、具体的には?」

「その・・・・・・なんて説明すればいいのか。

 とにかく、書斎に連れ込まれると敗北必至となります。

 翌朝になると、記憶がほとんど無くなっていたりとか」

「その場所は、死地となるような場所なのだな。ゆめゆめ覚悟を怠ってはならぬと」

 何言ってるのか、全然分からないや。

 

 

「その書斎に連れ込まれる前には、前兆というものがあるのだろうか?」

「前兆?うーん、書斎に連れ込まれる前に、ユキムラ様から白い皮の帽子を被せられるかな」

 五人が理解不能という表情になった。

 

 でも、それは私のせいではなく、ユキムラ様の奇行のせいだと思う。

 

 

「姫様。では、私が事前に偵察を試みましょう。

 どのような仕掛けがあるのか、つぶさに調べてまいります」

「リオンさん、ユキムラ様は夜伽の直前に仕掛け・・・・・・

 大きな木製の建物みたいなものを書斎に組み上げているようです。

 昼間に掃除で入っても、全然見当たりませんから、偵察しても意味ないと思いますよ」

 私の言葉に一同が困惑した表情になった。

 

 私だって、自分で説明していて意味不明だと思っているよ!

 

 

「なるほど、ユキムラ殿は『一夜城』を造られているのか」

「えっ?」

 カーラさん、『イチヤジョウ』って?

 

「姉上、『イチヤジョウ』とはどのようなものですか?」

「ノエル、私も詳しくは知らないが、戦記物で読んだことがある。

 なんでも、川の中州に一夜にして城塞というか砦を築いた名将がいたそうだ。

 川の上流から木材を流して、中州で組み上げたと記載があった気がする。

 敵が昼間見た時には無かったのに、一夜明けてみたら、そこに砦ができていたらしい」

 何言ってるか全然分からないし、多分違うと思うけど面白いから放っておこう。

 

 あっ、シーナちゃんは我関せずの態度だけど、あれは全然違うって分かっている顔だ。

 

 

「では、私は夜になったら書斎で待機して、

 ユキムラ様がどのようなことをしておられるのか確認してみます」

「待て、リオン。

 私もどのようにして『一夜城』が造られるのかは興味がある。書斎は私の方が・・・・・・」

「姫様は、本丸(ベッドの中)でユキムラ殿を迎え撃って下さい。

 それが姫様の大切な役目でございます」

「むっ、そうか。では後でどのように造られたか教えてくれ」

「はい。かしこまりました」

 なんだろう。とっても、明後日(あさって)の方向に話が行っている気がする。

 

 リオンさんって常識人っぽい感じに思えたけど、ここにいる女性三人は、なんかちょっと違う気がしてきたなぁ。

 むしろ、男の子二人の方が普通っぽいかも。

 カーラちゃんって、リオンさんから『姫様』呼ばわりされているけど箱入り娘なのかな。

 

 カーラちゃんは、テーブルの上に置いてある穴が空いた下着を見つめている。

 

 

「誰がどの方法を使うかは、布陣を考えるのと合わせて、後ほど考えよう。

 あとは、いつ五人で挑むかのタイミングなのだが、チクルス殿は何か妙案があるだろうか?」

「ユキムラ様が油断している時にするべきです。

 油断している時は書斎に連れ込まれるのを回避できますからね」

「なるほど。確かにそれは重要なポイントだな」

 あの木製の小部屋には五人同時に入れないからねぇ。

 

「となると、ユキムラ殿の不意を突くにはどうしたら・・・・・・」

「カーラちゃん、夜の定例会議が終わった直後はどうかな?

 ユキムラ様が定例会議に行ってる間に部屋に入って準備しておけば大丈夫だと思う」

「なるほど。確かに、その時間ならユキムラ殿は確実に不在なのか。

 そして、戻ってきたタイミングで奇襲をかければ、目的が達成できる可能性が増えると」

 びっくりさせられるとは思うけど、妊娠は無理だと思うけどね。

 

 まあ、面白ければ、なんでもいいや♪

 

 

「じゃあ、今晩、決行してみたら?」

「「「「えっ?」」」」

「なるほど」

 なんで、カーラちゃんは納得するのだろうか。

 

 度胸があるのか、なんにも分かっていないのか。

 

 

「あ、姉上、まずは姉上が夜伽のことを学ぶのが先かと・・・・・・」

「そうか、シーナ?では、この後、頼む。

 だが、『兵は神速を尊ぶ』と私は師匠から教わった。やはり決行は今晩にしよう」

 四人の顔が驚愕の表情になった。

 

 

 それに・・・・・・これはひょっとしたら、カーラちゃんは夜伽の意味を全く理解していないのかも。

 大丈夫かなぁ・・・・・・ユキムラ様が暴走した時に、ちょっと厳しいかも。

 昼間のユキムラ様はとても優しいけど、夜になると別人になるからなぁ。

 

 

「カーラさん、ユキムラ様は夜になると人が変わったようになるから、気を付けて下さいね」

「?・・・・・・確かに、朝の訓練の時もいきなり動きが変わったかも?

 油断しないように、夜伽を無事に務めて参る所存だ」

 うん、全然伝わってないと思うけど助言はしたから、もういいや。

 

 

「チクルス殿、とても参考になった。後は我らで細かい詰めを行う故、

 ここで、お引き取りいただいても構わない」

「そうなの?じゃあ、私はこれでお暇するね。

 明日、結果がどうなったのか教えてもらえるかな?」

「もちろんだ。朗報を期待してもらいたい」

 本当に大丈夫かなぁ・・・・・・まあ、明日面白い話を聞かせてもらえればいいや。

 

「じゃあねぇ~」

 

 会釈をして、退室しようとすると、ノエル君とルイ君が縋るような目で私を見ている。

 大丈夫だよ・・・・・・ユキムラ様はさすがに未成年には手を出さないから。

 シーナちゃんと男の子二人は安全だからさ。

 

 問題はカーラちゃんとリオンさんだけど・・・・・・覚悟があるなら、きっと大丈夫!

 明日の報告を楽しみにしてよっと。

 

 

・・・・・・

 

(翌日の晩:女風呂にて)

 

 カーラちゃんに誘われ、一緒にお風呂に。

 昨晩の報告をしてくれるらしい。

 でも、他の人にも聞こえちゃうから、あまり大声でしゃべらないでほしいな。

 

 特にお母様の耳に入ったら、お小言のネタが増えてしまう。

 

「奇襲は失敗したけど、正面突破は成功した」

「えっ・・・・・・?」

 ダメだ。何を言ってるのか分からないや。

 

 でも、これなら他に人に聞かれても大丈夫かも。

 

 

「ユキムラ殿は優しくて、私の肌の事も気にしないと・・・・・・(ゴニョゴニョ)」

「ああ、ユキムラ様って、奴隷の私達に対しても妙に優しいよねぇ」

 これは、カーラちゃんはユキムラ様に惚れたかなぁ。

 

 ユキムラ様って、時々、天然で女たらしになるんだよねぇ。

 すれていないカーラちゃんなら、すっかり参ってしまったかも。

 

 でも、これからが大変かもよ。

 そのうち、イチヤジョウ?・・・・・・に連れ込まれるかもしれないから。

 

 カーラちゃんは、ちょっと面白くなくなってきちゃったな。

 次のターゲットはシーナちゃんか、リオンさんにしようかなぁ~♪




お読みいただき、ありがとうございました。
次回投稿日は2026/6/5(金)の予定です。
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