異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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121.フリュウ村との取引

 本日、ラファが迷宮組に合流した。

 護衛部隊をクーラタルの55階層まで牽引する予定だったが、50階層の区切りがついたところで彼女は離脱して、こちらに加わった。

 彼女が抜けた護衛部隊は、そのまま51階層以降の攻略を継続するらしい。

 抜けた穴はトカラとヘルミーネがカバーするので、問題ないとのこと。

 

 ラファは今日からボーデ迷宮攻略に向けた、迷宮組との連携確認だ。

 とはいえ、今までも彼女は迷宮組とクーラタルの55階層まで散々戦ってきたので、初めてのメンバーはカーラだけ。

 カーラとラファは模擬戦とはいえ決闘した仲なので、初めだけ俺がソロで帯同することに。

 まあ、命が懸かっている迷宮で今更喧嘩などするとは思ってはいないけど。

 

 カーラも昨日はエルフの資料室に赴いていたので、50階層での戦闘は初めてだ。

 初めだけ二人に向けて、昨日実施した50階層のブリーフィングを行い、探索を開始する。

 

「今日は、ラファが魔道士のポジションだから、カーラは剣匠のジョブだ」

「・・・・・・」

 無言で嬉しそうに剣を振り回すカーラ・・・・・・危ないから止めなさい。

 

 ラファも呆れた目で見ている・・・・・・ラファ以外もだけど。

 カーラは魔法使いではなく、巫女で育成しておくべきだったかな。

 それなら近接戦闘をしながら回復もできて、魔道士のラファを加えてもバランスの良いパーティーだったかもしれない。

 今となっては後の祭りだが。

 

 まあ、巫女でも結局、聖剣を振り回しているのは変わらない気もするな。

 うん、きっと同じだ。

 今のカーラは、HP吸収のスキルが付与されたエストックを持っているから自己回復ができる。

 追加メンバーのラファも含めて他のメンバー全員、HP吸収のスキルを融合した武器を持っているから問題ないだろう。

 

 俺が抜けることで、アミルが探索者ジョブになり、パーティー全体の指揮を執る。

 彼女の指示には、今や全幅の信頼を置いているので安心して任せた。

 

 探索を開始し、戦闘を幾度も繰り返したが、やはり綻びを見せることは全くない。

 ブラックダイヤツナ、ボトルマーメイド、ロールトロールといったモンスター達をビシバシ討伐している。

 これは大丈夫そうだな。

 

「アミル、昼食が近づいたら迎えにくるので、それまで探索を進めておいてくれ。

 今更言うまでもないことだが、魔物部屋だけは注意してくれよ。

 部隊編成のスキルで、時々、こちらを確認するが、タイムリーには助けられないから」

「はい。クーラタルと違って地図がありませんので、慎重に進むようにします」

 彼女はニッコリと笑って頷いている。

 

 ここの48、49階層やターレ迷宮の探索の際にも、魔物部屋に足を掬われることはなかったので大丈夫だと思うが念のためだ。

 

 アミル達といったん別れて、クーラタルの55階層の魔物部屋の近くにワープで移動。

 ここからは1階層ずつ降りて、魔物部屋を殲滅しながらパワーレベリングだ。

 午前中はルイ、モニカ、フレイヤを中心にレベルを集中的に上げる。

 特にルイは山賊と戦士のジョブを上げて、博徒のジョブ取得に向けた条件を整えたい。

 

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 ルイの山賊と戦士のジョブがLv30になった時点で、いったん自宅へと戻り、修練場にいたルイを呼び出した。

 

「この前、言っていた『博徒』のジョブ取得のために、

 ルイにちょっとやってもらいたいことがあるのだけど」

「はい。なんでしょうか?」

「これから、俺に付いてきてもらえるか?

 クーラタルの迷宮に行くから」

「?・・・・・・分かりました」

 ルイは既にパーティーに入っているので、クーラタルの冒険者ギルドにワープで移動。

 

 そのまま、ギルドを出て騎士団の詰所に向かった。

 

「えーと、迷宮に入るのですか?」

「いや、そうではない。騎士団の詰所に行って、これを提出してきてくれ。

 盗賊に襲われて討伐したので、インテリジェンスカードを持ってきたと言えばいいから」

「えっ、僕は盗賊なんて倒していませんけど」

「仲間が倒したので、インテリジェンスカードを持ってきたと言えば構わない。

 そのカードを渡せば、騎士団員の者が懸賞金を持ってきてくれるはずだ。

 もし、仲間って誰と訊かれたら、少し離れた所にいる俺の方を指差せば問題ないから」

「はい。よく分かりませんけど、やってみます」

「まあ、そう不安にならなくても大丈夫だ。

 俺も今まで何度も、ここの騎士団の詰所でインテリジェンスカードを提示したけど、

 問題なく懸賞金を貰えたから」

 一応、納得したのか、ルイは詰所の騎士団員の方へと歩き始めた。

 

 少し不安そうな面持ちで、ルイは一番近くにいた騎士団員に話をしている。

 やがて、少し首を傾げたものの、騎士団員はインテリジェンスカードを持って、詰所の中に戻っていった。

 暫くすると小袋を持って出てきたので、当該の盗賊達には懸賞金はかかっていたようだ。

 そのまま、ルイに渡し、何か話しかけた後、詰所の中に戻っていった。

 

 そして、ルイは小袋を大事に抱えたまま、こちらに小走りでやってくる。

 あまり、走ると怪しまれるから普通に歩けばいいのに。

 金貨をもらったから、慌てているのだろうか。

 

「これで大丈夫でしょうか?」

「ああ、ちょっと待って」

 小袋の中身は、正直あまり興味が無い。

 

 重要なのはジョブ取得の方だ。

 パーティージョブ設定で確認すると、ルイは無事に賞金稼ぎのジョブ取得ができていた。

 これで、賞金稼ぎのジョブのレベリングができるな。

 博徒のジョブ取得のためには、賞金稼ぎの『生死不問』のスキルを成功させる必要がある。

 

 ルイと一緒に自宅に戻り、彼は修練場へ、俺はクーラタルの迷宮に戻り、パワーレベリングを再開。

 そのまま、魔物部屋の殲滅をしまくったが、51階層を終えたところで昼食の時間となり、ボーデ迷宮のアミル達をピックアップして自宅へと戻った。

 

・・・・・・

 

 昼食を終えたので、アミル達をボーデ迷宮に再び送り届けた。

 探索を再開したのを確認して、こちらはクーラタルの自宅にとんぼ返り。

 

 食堂に向かうと、フリュウ村の交渉メンバーが既に揃っていた。

 俺と共に向かうのは、シーナ、リオン、グラ爺、グラシア、ローザの五人。

 午後からグラ爺が留守にするので、ヘルミーネが自宅の護衛部隊の指揮を執る。

 

 フリュウ村と交渉するのは、シーナを中心にリオンとグラ爺。

 ミシェルは交渉がまとまった後に活躍してもらう予定だと聞いている。

 そして、俺とグラシア、ローザの三人は近くに出現した迷宮捜索だ。

 

「シーナ、準備は大丈夫か?もう出発できそうか?」

「はい。ユキムラ様、大丈夫です」

 五人がパーティーに加わったところで、フリュウ村の入口の傍へワープで移動。

 

「では、これから二手に分かれるか。

 俺とローザとグラシアは迷宮の捜索に入るので、交渉はシーナに任せたぞ」

「はい。ユキムラ様もお気を付けて」

 なんか、シーナからエネドラ臭がしてきた。俺の被害妄想かもしれないが。

 

 シーナが村の門に近づき、リオンとグラ爺を紹介すると、少しざわめいたような気がした。

 やっぱりグラ爺って、エルフ界隈では有名人なのかね。

 

 これ以上見ていても仕方ないので、村とは逆の方向へ三人で歩き始める。

 

「ローザ、迷宮のある方角が分かるか?」

「はい。こちらの方向ですね」

 彼女が指差した先は、道なりから少しだけ南の方にずれた方角だ。

 

 それにしても、やはり彼女は迷宮の位置を感じ取れるのだな。

 この位置から、どのぐらい迷宮と離れているのかは興味がある。

 迷宮索敵範囲はどのぐらいの距離なのだろうか。

 彼女の能力にウキウキしながらも、不意打ちを受けないように索敵スキルでマップを表示しながら、いったんは通りやすい道を進む。

 

 樹木があるせいで、索敵スキルで見通せるエリアはかなり狭まってるのだが、それでもモンスターとの出会い頭の遭遇は避けられるだろう。

 

「ローザ、もし迷宮から遠ざかるような方向に進みそうになったら教えてもらえるか?」

「はい。今のところは大丈夫のようです」

 グラシアはローザを興味津々で見ている。

 

 彼女のような異能はさすがに他では見たことないだろうから、グラシアの気持ちは分かる。

 暫く進むと、ローザが注意喚起してきた。

 

「ここからは、森の奥に分け入る方が近いかもしれません」

「そうか。俺もローザも森を歩くのは慣れていない。

 悪いけど、グラシアが先頭に立って、歩けそうな所を選んでもらえないだろうか?」

「承知しました、ユキムラ殿」

 グラシアもカーラと同じで、『ユキムラ殿』呼びなのだよなぁ。

 

 我が家では、俺の呼び方は自由にしているのだから、止めてとは言いにくい。

 グラ爺の弟子二人で、俺の呼び方を統一しているのだろうか。

 いや、単にカーラの真似をしているのだけかもしれない。

 

 グラシアは両手にエストックを持ち、躊躇なく林の中へと足を踏み入れて歩き出した。

 両手に持ったエストックを軽く振りながら、邪魔な枝を少し斬り捨て、後続の俺達が歩き易いように配慮してくれている。

 

 少しだけ踏み分けられた道から外れ、濃い緑の中に入っていくと急速に視界が狭まった。

 ローザが時々指差す方向に頷きながら、グラシアは迷いなく歩を進めている。

 少しだけ登りになった斜面を上がり、後ろの俺達を気遣いながら、彼女はしっかりとした足取りで先頭を歩いていく。

 

 時々、斜面を降り、草叢をかき分け、岩場を少し歩きながら、ローザの指し示す方向を目指す。

 そして、二度ほどニートアントと遭遇して、グラシアが煙に変えた。

 彼女は剣匠Lv50だから、Lv1のニートアントはなんの脅威でもない。

 

 特に危険を感じることもなく、時折聞こえる鳥の声をBGMにしながら、リラックスした森歩きの時間が続く。

 しばらくして、ローザが足を止めた。

 

 

「あれだと思います」

「ああ、確かに」

 ローザの指差す先に、目的の迷宮への入口があった。

 

 崖の麓に黒い不自然な色をした岩肌が目に入った。

 しかし、これなら移動するには具合が良いな。

 

 入口横の崖の部分に、フィールドウォークのゲートが開けられるだろう。

 だが、雨等で削られると移動不能になってしまうかも。

 保険のために、近くの木の幹なども移動ポイントにしておくべきかもしれない。

 いずれにしても、村から歩いてここに来るのは面倒だから、俺ならワープかフィールドウォークで移動するだろうな。

 移動ポイントの確保は必要だ。

 

「ローザ、ありがとう。これでフリュウ村の人達をここに案内することができそうだ。

 やはり君の迷宮を見つける能力は素晴らしいな」

「私もローザ殿の力に感服いたしました」

「いえ、そんな。ありがとうございます」

 ローザも少し照れたように、笑みを浮かべている。

 

 自分の能力が役に立ったから嬉しいのだろうな。

 亡くなった母親には秘密にしておけと言われていたらしいが。

 いやはや、こんなにアッサリと見つけられるのは本当に素晴らしいと思うよ!

 

「ローザ、念のための確認だが、ここ以外に別の迷宮を感じることはないよな?」

「はい。他の迷宮の気配は感じませんので、私に分かるのはここだけのようです」

 さすにが遠い所にあったら感じ取れないのかもしれない。

 

 まあ、島の広さを考えれば、フリュウ村近くの迷宮はここだけだと思って間違いないだろう。

 直ぐには無理だろうが、迷宮討伐してしまえば、モンスターが出没しなくなるから分かるか。

 

 迷宮討伐後も、外にあふれたニートアントがウロウロしていることはあり得るかも。

 森じゃなければ駆逐して回るけど、森は視界が悪くて索敵スキルが使いにくいのだよなぁ。

 

 

「村に戻る前に迷宮に一度入っておくか」

「了解です」

 グラシアは少し引き締まった表情になったが、1階層の小部屋に入るだけだから。

 

 ここでも、グラシアは先頭に立ち、迷宮へ入っていったので、俺達も慌てて後を追った。

 入った先は1階層の開始地点の小部屋だ。

 この小部屋にはモンスターが出現しないから戦闘になることはない。

 

 

「では、いったん村まで戻ろうか」

「はい」

「・・・・・・」

 ローザは頷いたが、グラシアは先に進みたいようで残念な表情を浮かべている。

 

 焦らなくても、シーナの交渉次第では直ぐに迷宮探索が始まるから。

 三人で迷宮を出て、フィールドウォークを詠唱。

 崖の麓の岩肌にゲートを開き、村の近くの木の幹へと繋げた。

 

 ゲートをくぐり、フリュウ村の門に近づき、見張りの者へ捜索結果を報告。

 

「迷宮の入口を発見したので、村長に伝えてもらえるか?」

「なっ、もう発見したのですか?分かりました。少々お待ち下さい」

 そりゃ、こんなにアッサリと見つかると驚くよな。

 

 まあ、ローザの能力のことは広言しないから、運良く見つけたと言い張るだけなのだが。

 

 暫くすると村長を先頭に幾人かの者が門に近づいてきた。

 その中にはシーナ達もいるな。交渉はまとまったのだろうか。

 

「早速、迷宮を発見したとか」

「はい。実際に入口から入ってみましたが、確かに迷宮でした。

 近くにニートアントもいましたので、恐らく間違いないかと思います」

 ローザには悪いが、彼女の手柄には言及できない。

 

 後で個別に労ってやろう。

 

「村の冒険者の方に、こちらのパーティーに入ってもらい、後でご案内します」

「そうか。では、村の冒険者は二人いるので、後で案内をお願いします」

 村長が視線を向けると、壮年の男性二人がこちらに頭を下げている。

 

「それから、これを・・・・・・」

「・・・・・・?」

 アイテムボックスから鋼鉄の剣を何本か取り出して、村長の前に示した。

 

「グリニアに至る中継地へ案内した褒賞は、

 迷宮の捜索をしてもらうことで得ていると思ったのだが」

「案内してもらって直ぐに迷宮の捜索に取り掛かっていたら、その通りですが、

 この武器は発見が遅れたことへのお詫びと受け取っていただければ。

 何本か持ってきておりますので、気に入ったものを3つばかり選んでください」

 こちらの対応が遅くなったことへの利子のようなものだな。

 

 まあ、多少のパフォーマンスの意味合いもあるけどね。

 

「鋼鉄の槍も持ってきておりますので、剣でも槍でも好きなものを選んでください」

「なるほど。そちらの誠意として、ありがたく頂戴しよう」

 シーナとリオンも嬉しそうな顔をしているから、無駄な行為ではないだろう。

 

 若者を中心に、武器の品評会が始まってしまったので、脇に避けてシーナ達に近づいた。

 

「交渉は終わったのか?」

「はい。おかげさまで無事に。こちらが取り交わした書面となります」

 予め、いくつかのパターンの書面を用意していたが、そのいずれかに決まったのか。

 

 これは・・・・・・上から二番目のパターンだから、上々の交渉のようだ。

 

 

■フリュウ村との取引内容(最終確定)

 タケダ家が迷宮討伐する対価にフリュウ村は以下を提供する。

 なお、1)、2)は取引締結時、3)、4)は50階層到達までを期限とする。

 5)は適時提供とする。

 

1)グリニアと周辺の街、及び中継地点までの案内

 

2)フリュウ村にタケダ家の拠点となる家屋の提供

 

3)一般木材の提供:別紙に定める規格で200本

 ※一般木材はフリュウ村の方で、タケダ家の村内拠点まで輸送する

 

4)タルエム木材の提供:別紙に定める規格で20本

 ※タルエム木材はフリュウ村の方で、タケダ家の村内拠点まで輸送する

 

5)フリュウ村の迷宮探索者による迷宮ドロップ品及びモンスターカードの提供

 ※迷宮ドロップ品は別紙に定める食材等は除く

 

 

 少し離れた村の広場で、グラ爺が村の若い者に稽古をつけているのが見えた。

 グラ爺の存在がシーナの取引に一役買ったりしたのだろうか。

 

 

「これ以外の取引は、適宜、村長と調整いたします。

 取引内容はエネドラ様とカラダン様の確認を取ることが前提ですが」

「そうか、ではエネドラ達と上手くやってくれ」

 俺は細かい事にはタッチしないつもりだ。後は後方支援部隊と現場のシーナ達に任せる。

 

 

 その後は、村から提供された拠点となる家屋を見せてもらうことに。

 四部屋ほどある、それなりの大きさなの平屋建ての家屋だが、さすがに下水道が通っている訳ではないし、それなりにくたびれた建物。

 あくまで移動・輸送用の拠点だから贅沢を言うつもりはない。

 ちょっとした休憩ができる部屋と炊事が可能な場所、少し大き目な倉庫がある。

 

 倉庫は木材を集積する場所で、この場所に転移サークルを設置すれば拠点内物資輸送でザビルまで運ぶことができそうだ。

 ザビル側にも屋外に倉庫を大工に作ってもらうことにするそうだ。

 フリュウ村へは冒険者複数名でフィールドウォークで輸送すると適当なことを言ってある。

 

 拠点を確認した後は、フリュウ村の冒険者2名をリオンと共に迷宮が出現した崖まで案内した。

 リオンも、これで俺抜きで迷宮まで行けるだろう。適宜、ヴェロニカも案内してやってくれ。

 三人は迷宮に一度入り、確認した上で俺と一緒にフリュウ村まで戻ってきた。

 

 

 フリュウ村から借りた家屋をタケダ家の拠点として登録。

 一時的な利用とはいえ、これでタケダ家の4つ目の拠点だ。

 拠点リーダーはシーナにして、メンバーはいったんタケダ家の全員を登録。

 ここに誰が移動するかなんて分からないし、タケダ家の拠点はどれも全員登録してある。

 

【拠点名】フリュウ村の家<支城>(4/5)▼

【所属/リーダー】タケダ家/シーナ

【名 声】14/1000

【メンバー】69名(ユキムラ、アミル、エネドラ、チクルス、ヴィルマ、イレーネ、オリビア、・・・・・・)

【規 模】2/10(民家)   【防衛力】1/100

【維持費】-/年

【資 金】5000ナール   【食 料】0日分

【ギルド神殿】0/1     【魔結晶】緑(10005/99999)

【ギルド】なし

【特 産】なし

【倉庫1】▶

 

 拠点規模は『2』か。最小サイズではないが、民家としては普通の大きさなのだろうか。

 予備で沢山作ってある緑魔結晶があるので、それを使って魔力を確保した。

 これで、フィールドウォークを使わなくても拠点間移動ができるし、転移サークルを使えば倉庫の物資を輸送可能だ。

 ここで食事をすることはないかもしれないが、必要なら食材倉庫に食料を備蓄してくれ。

 

 拠点規模が『2』だと、拠点構築のスキルで照明装置も冷暖房装置も設置不可か。

 まあ、この拠点で本格的に活動する訳ではないから、使う必要はないだろう。

 ああでもカンテラと油、火を灯す道具は必要になるのか。

 夕方になり、薄暗くなってから、ここに戻ってくることもあるだろう。

 あとで準備させておこう。

 

 

 6人で村の拠点の家に入り、食堂っぽい部屋に移動した。

 ここはテーブルと椅子があるから、パーティーメンバーで集まれそうな場所だな。

 

 お金は仮に5000ナールほど入れておいた。

 自給自足のこの村では必要ないかもしれないけど。

 

 倉庫は拠点規模が『2』だと1つしか持てないが、迷宮ドロップ品の一時保管用に使えるとシーナとリオンには説明した。

 

 

「俺は、この後、グリニアへ案内をしてもらうつもりだ。

 遠いだろうからタケダ家側のメンバーは、俺だけの方が村の冒険者の負担も小さいだろう。

 一応、強壮剤も持ってきているから、辛くなる前に渡して飲んでもらうつもりだ。

 ローザは、これでお役御免だ。今日はありがとうな」

「いえ。こちらこそ、お役に立てて嬉しかったです」

 ローザには、今後も迷宮探しを手伝ってもらうつもりだ。頼りにしてるぞ。

 

「シーナ達はどうする?さすがに今日から迷宮には入らないだろう?」

「低階層ですし、冒険者のリオンもいますから、無理のない範囲で探索しようと思ってます。

 グラジオラス様には帰還していただきますけど」

 マジかよ。頑張るなぁ。

 

「エネドラへの報告は後回しで大丈夫か?」

「えっ・・・・・・大丈夫です。帰ったら、しっかりと報告させていただきますから」

 ふーん。報告は早めにすべきだと思うが、エネドラからお小言を貰うことも含めて経験だな。

 

 

 その後はローザは拠点間移動でザビルへと帰還、グラ爺もクーラタルへと戻っていった。

 

「回復役がいないから、滋養丸、滋養剤、毒消し丸を渡しておくぞ。

 絶対に無理するなよ。リオン、二人の面倒を頼むぞ」

「はい。お任せください」

 シーナが今回はリーダ役とはいえ、最年長はリオンだ。

 

 リオンには若手のストッパー役になってもらおう。

 念のため、滋養丸、滋養剤、毒消し丸を十数個ずつ三人に渡した。

 1階層は恐らくニートアントだからな。

 

 今回のジョブ編成は、グラシアが剣匠、リオンが冒険者、シーナが魔法使い。

 前衛二人と後衛一人。シーナは巫女のジョブを持ってないのだよなぁ。

 1、2階層ぐらいなら問題ないだろうが、念のため部隊編成でリオンを登録しておく。

 迷子になることはないと思うが、万が一の時には俺が迎えにいけるから。

 

「時間を忘れて、クーラタルへの帰宅が遅くなると、エネドラに怒られるから注意しろよ」

「えっ、はい。1階層を攻略したら戻りますから」

 そうまでして攻略を急ぎたいのかね。

 

 この迷宮を攻略しても貴族になれる訳ではないし、エストグリュン家の再興ができる訳でもないと思うのだが。

 まあ、シーナの好きにやらせて、問題あれば軌道修正だな。

 

「では、俺はグリニアへの案内をお願いしてくる。

 くれぐれも無理は禁物だぞ。余裕持って帰ってこいよ」

「はい。分かりました」

 段々と俺に対するエネドラの気持ちが分かってきたような。

 

 リオンがフィールドウォークを詠唱し、迷宮の傍へと移動していったのを確認して、家の外に出ることにした。

 外に出ると、冒険者の男が待ち受けている。

 

 

(鑑定)

 

 

トウカ(エルフ族 ♂ 46才)

冒険者Lv21

装備 鋼鉄の槍 硬革の鎧 硬革の靴 硬革のグローブ

 

 ベテランの冒険者の男だ。

 年はそれなりのはずだが、エルフ族なのでイケメンだ。チクセウ。

 

 

「あんた一人か?」

「ああ。三人は、先ほど見つけた迷宮に行って、早速探索を始めるらしい。

 残りの二人は家に帰した」

「早速、迷宮に入ってくれるのか。ありがたいな」

 そうか、シーナが急いでいたのは村の人達へのアピールという面もあったのか。

 

 

「それで、グリニアへの案内を頼めるか?モンスターの相手は俺がするから」

「ああ、村長にも長老にも頼まれたからな。

 てっきり、あのエルフの娘を案内するのかと思ったのだが」

 いかつい異種族の男で残念だったな。でも、俺がタケダ家の当主なのだから諦めてくれ。

 

 

「一応、強壮剤を用意しておいた。グリニアまでは、結構遠いのだろう?

 うちは人数を俺だけに絞ったから、この生薬があれば問題ないか?」

「ああ。人数が少ないのも生薬があるのも助かるな。ありがとう」

 とりあえず強壮剤を10粒ほど、彼に渡した。

 

 

「グリニアに行くまでに、いくつかの中継地を通る。

 中継地、グリニア、後はその近くの街・・・・・・今となっては全て放棄されているが、

 それらに行くための複数の移動場所を案内しよう」

「ああ、よろしく頼む。フィールドウォークのゲートを開いてくれたら、

 先に俺が通って、モンスターがいれば討伐するつもりだ。

 だから、俺が移動してから、ゆっくりと入ってきてくれ」

「分かった。モンスターの相手は任せるぞ」

 いつぞやの冒険者にタリカウ近辺を案内してもらったやり方と同じだ。

 

「その家の中には、もう誰もいないのだよな?

 留守中に村の者に軽く掃除をさせておくから、気になるところがあれば

 あとは自分達でなんとかしてくれ」

「ああ。分かった。掃除は適当で構わないぞ」

 彼は少し離れた場所にいたヒルダ達の方に手を振って合図をしている。

 

 ヒルダ達が掃除してくれるのか。まあ、これも何かの縁だろう。

 

 

「じゃあ、移動するぞ・・・・・・」

 トウカという男はフィールドウォークの詠唱を始めた。

 

 さて、グリニアはどのような街なのだろうか。少しだけ楽しみだな。




お読みいただき、ありがとうございました。
次回投稿日は2026/7/15(水)の予定です。
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