異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

288 / 288
129.得たもの、失ったもの

 クーラタルの63階層のボス戦をエステル達と共に勝利し、64階層の小部屋へと移動した。

 移動するなり、アミル達と騎士団員が目に入る。

 彼女がこちらを指差し、騎士団員と共に近づいてきた。

 

 先頭を歩くエステルに気づいたのか、騎士団員は姿勢を正す。

 

「閣下、この者達が迷宮で襲われたパーティーがおり、それが閣下のパーティーだと・・・・・・

 !・・・・・・閣下、その血は・・・・・・では本当に?」

「そうだ。襲撃者達の攻撃で、配下の一名を失った。

 この者達の協力で、なんとか63階層を突破してきたのだ」

 騎士団員の顔は驚愕の表情になった。

 

 水でざっと洗い流したものの、俺やエステル達の装備品はアチコチに血の汚れが残っている。

 見たまんまの惨状だから、何よりも説得力があるだろう。

 

「これから報告があるので、この者達を借り受けるが問題ないか?」

「はっ、問題ありません」

 騎士団員は直立不動で即答している。

 

 エステルは男爵位で貴族の階級としては、それ程でもないはずだが有名なのだろう。

 言い方がアレだが、迷宮で襲われる程度には名前も顔も知れ渡っているのか。

 やはり帝国解放会の会長というのは周知の事実なのかもしれない。

 

 念のため、この小部屋を索敵スキルで確認したが、青い点は我が家の6人とエルテルのみで、あとは者達はグレーの色だった。

 こんな所で赤い点の者達が待ち伏せしたら、もうビックリだけど。

 

 ラパンはエリクサーを投与したり、口から血を吸いだしたりしてやったけど、青い点にはならずグレーのままだ。

 まあ、それをやった時に彼の意識はなかったから、気づいてない可能性はあるか。

 逆に気付いていて、青くなっていたら、それはそれで恐ろしい気がする・・・・・・眠り姫のエピソードを思い出し、ちょっと背筋が寒くなった。

 

 アミルが近づいてきて、小声でボス戦の結果を教えてくれた。

 

 彼女達のパーティーは威霊仙がドロップしたけど、64階層に抜けた後の騎士団員への説明では緑豆がドロップしたと誤魔化したらしい。

 直前に威霊仙が出たから、俺達の方がドロップしなかった訳じゃないよね?

 なんだっけ・・・・・・『ギャンブラーの誤謬』ってやつか?

 

 

 それはともかく、エステル達、そしてアミル達と共にクーラタル迷宮から出ることにした。

 

「ユキムラ、悪いがロッジへ移動したい」

「ああ。分かってる。

 だが、うちのメンバーは戻しても構わないだろう?

 報告には、俺だけで充分だと思うが」

 エステルは無言で首肯した。

 

 とはいえ、このままアミル達を帰す訳にはいかない。

 

「アミル、悪いが帰りはかなり遅くなると思う。

 食事は俺を待つ必要がないのはもちろんだが、

 会議も俺抜きで進めるようにエネドラに伝えておいてもらえないか?

 今日のことは、後で俺が説明するので」

「はい。承知しました、ご主人様」

 俺の最後の話は小声だ。

 

 今日の話を誰にどこまで説明するのかは、現時点では判断できない。

 この後の報告次第で、その範囲も変わるだろう。

 エステルにも確認する必要があるかもしれない。

 

 

 アミル達が徒歩で帰宅していくのを見送った後、エステル達と騎士団の詰所へ向かった。

 

 先頭のエステルがエンブレムらしきものを騎士団員に見せている。

 

「移動できる壁を借りたい」

「はっ。どうぞ、閣下」

 入会試験後にロッジへ移動した際にも、これあったな。

 

 急いでフィールドウォークの詠唱をして、ゲートをロッジのロビーに繋げた。

 

 エステルを先頭に、各メンバーがゲートをくぐり抜けていく。

 俺も最後にゲートを通った。

 

「エステル様、ようこそ・・・・・・

 !・・・・・・その格好は?」

「セバスチャン、委細は後で説明する。

 まずは、我の家の・・・・・・ラルフを呼び出してほしい。

 それと会議室を借りたい。

 汚れを落とすための桶や手拭いの用意も頼む」

 彼は直角の礼をすると、小走りで去っていった。

 

 こんな時でも直角は厳守なのか。

 そして、小走りだけど上品な移動をしている。

 さすがは、セバスチャンの名に恥じない振る舞いだ。

 

 

 ロビーで待つ間、エステル達のメンバーを見ると、沈痛な表情だ。

 ミライだけは、怒りの表情だが。

 どちらにしても、探索者のエーギルを殺されたのだから無理もないだろう。

 

 こんな時にかける言葉が、俺には全く浮かんでこないんだよなぁ。

 

 襲撃者達は、自爆玉で四散したから、インテリジェンスカードすら回収できなかった。

 鑑定スキルで最後の男の名前と身分、ジョブを確認したが、それを伝える訳にもいかない。

 あの襲撃者の男は奴隷身分でレベルの高い探索者だったよな。

 エステル達に手がかりを伝える方法がないか考えるか。

 

 もやもやした気分でいると、セバスチャンと二人の男が小走りで近づいてきた。

 

「エステル様、今、ラルフ様を呼びに冒険者の者を派遣しました。

 会議室を確保し、汚れを落とす道具も用意しましたので、この者達が案内いたします」

「そうか。助かる。では、移動するぞ」

 係の男二人に案内され、階段の方へと向かう。

 

・・・・・・

 

 用意された大きめの会議室には、水の入ったタライと手拭いが数セット、テーブルの上に置かれていた。

 案内した男は、ワゴンに置かれたハーブティーらしきものをコップに注いでいる。

 

 皆が無言で血の汚れを落とし始めたので、それに倣って手拭いを手に取った。

 水に浸けて拭き取ろうとするが、これはなかなか落ちないな。

 今晩、風呂の残り湯と石鹸で洗い落とそう。

 

 皆、適当なところで汚れを落とすのを諦め、用意されたハーブティーを思い思いに飲んでいると、セバスチャンがラルフを連れてやってきた。

 ラルフの他に、もう一人いるな。

 鑑定で確認すると、冒険者ジョブのようだが、この者がラルフを呼びにいったのだろうか。

 

 ラルフは部屋に入って、会議室を見渡すなり、顔に緊張が走ったように見えた。

 エーギルがいないのに気づいたのかもしれない。

 

「セバスチャン以外は、暫く外してくれ」

「はい」

 セバスチャンの指示で係の者二人が静かに退室していった。

 

 一方で、もう一人の冒険者は残ったままだ。

 

「あー、俺も外した方が?」

「ユキムラはこの場に残ってくれ」

 俺も関係者扱いなのだな・・・・・・無言で頷くしかない。

 

「ラルフ、落ち着いて聞いてくれ。エーギルが迷宮で命を落とした。

 正確には襲撃者の自爆攻撃で殺された」

「・・・・・・」

 ラルフは天井を見上げた後、口を真一文字に結び、何かに耐えるように顔を震わせている。

 

 ミライやクヌート達も俯いたまま、怒りや苦悶の表情だ。

 ヘンドリクスが俺の方に目を向けて呟いた。

 

「エーギルはラルフの弟だ」

「!」

 そうだったのか。だから、真っ先に呼んだのか。

 

 もう一人の冒険者の男も怒りの表情を浮かべているから、エステルの家の関係者か。

 ラルフとは別の家名のようだが。

 

 そして、ようやく俺に気づいたのか、ラルフは少し驚いた表情で俺の顔を見つめている。

 

「貴方は・・・・・・入会試験の時の・・・・・・?」

「63階層で襲撃された後、迷宮内でユキムラ達に偶然会ったのだ。

 自爆攻撃は6人の襲撃者によって行なわれ、ラパンが重傷を負い、他の者も負傷した。

 ユキムラがラパンにエリクサーを使い、彼のパーティーの巫女が治療をしてくれた」

 エリクサーというキーワードが出たので、セバスチャンとラルフは驚愕している。

 

「エーギルが亡くなったので、ユキムラが自分のパーティーを分割して、

 こちらのパーティーに入り、エーギルの代わりを務めてくれた。

 63階層のボス戦も一緒にこなし、2つのパーティーで64階層へ抜けてきた。

 ユキムラ達がいなければ、今日中に64階層に抜けるのは不可能だっただろう」

「そうだったのですか・・・・・・」

 俺のことを思い出したのかもしれないが、ひとまず脇に置いておいてくれ。

 

 

 駆け足でエステルが概要を説明し、彼はラルフの方へと視線を向けた。

 

「今回の襲撃は間違いなく、我を狙ってのことだろう。

 エーギルはその巻き添えとなった・・・・・・悔やんでも悔やみ切れぬ。

 だが、今回の襲撃者の黒幕を突き止め、その報いは必ず受けさせる。

 それで、我が許されるとも思っておらぬがな」

「そんな・・・・・・いえ、今は何も考えられません・・・・・・弟が殺されるなんて・・・・・・」

 彼は現状が受け止められないのか、虚ろな表情になっている。

 

 一方でエステルは静かな口調にもかかわらず、目には怒りを湛えている。

 

「この後、我は今日の子細を説明せねばならぬ。

 ラルフはミライとラパンを連れて帰ってくれ。

 後ほど我からも説明するが、エーギルが亡くなったことの実家への説明も頼む」

「分かりました・・・・・・」

 この後の詳細な説明を彼に聞かせるのは、確かに酷だよな。

 

 当主のエステルの口から、言葉を選んで説明してもらうべきだろう。

 迷宮で力及ばずにモンスターに敗れたのとは訳が違う。

 卑怯な奇襲攻撃で、理不尽に迎えた死なのだから。

 

 俯き加減のラルフの後にミライ、ラパンが続き、彼等は退室していく。

 

 三人が出ていったのを見送ると、セバスチャンがエステルに話しかけた。

 

「今、特別会員で、直ぐにここに呼び出せる方はいらっしゃいません。

 後日、私の方から特別会員の方々へ、ご説明いたします。

 この後の詳細報告に書記を一名、同席させても宜しいでしょうか?」

「構わぬ」

 特別会員は豊富な迷宮討伐実績があり、総会で発言権だか、投票権だかがある者だったか。

 

 セバスチャンは扉を出て、通路にいた係の者と何やら話をしているようだ。

 

 

 左隣に座っていたヘンドリクスが話しかけてきた。

 

「なあ、今日は体調が悪かったのか?」

「ん?ん~別に体調は普通だったが」

 訊いてほしくないことを訊きたさそうな雰囲気だな。

 

「入会試験の時とボス戦の戦い方が全然違ったじゃないか。

 前はもう少し間をしっかりと取って、ダメージを受けずに攻撃してなかったか?

 今日は攻撃は凄かったが、モンスターから受けたダメージも多かっただろう?

 あんな戦い方をしていたら、迷宮では命を落とすぞ。

 そもそも、前は槍を使っていたじゃないか・・・・・・今は何故剣なのだ?」

「戦いの幅を広げようと、今は試行錯誤している段階だ。

 俺も成長期だから、色々とあるんだよ」

 雑な俺の説明は、やはり彼のお気に召さないようで、胡散臭い者を見る目だ。

 

 入会試験の時は複数ジョブ設定して、硬直のダマスカス鋼槍を使い、博徒のスキルの恩恵も受けていた。

 今日は、変に中途半端な付け焼刃の剣技は使わずに、デュランダルで力押ししたからな。

 傍からみれば、強い武器を持った素人臭い猪武者に見えただろう。

 

 俺と戦うのが初めてだったミライは感銘を受けたようだが、入会試験で試験官をしてくれたエステル達からすれば『お前、大丈夫か?』と思うのは当然だ。

 

 さして時間も置かずに、セバスチャンが再び、入室してきた。

 話題を切りたかったので、助かったぜ。

 

 一緒に入ってきた者は先程、俺達をここに案内してくれた係の者だ。

 彼も書記なのだな。もう一人もきっとそうなのだろう。

 セバスチャンと書記が会議卓の席に着き、記録用の紙と筆記用具を取り出した。

 

 その後、エステルが襲撃者と出会ったところから、自爆攻撃の治療でエリクサーやカーラの治療魔法を使って回復させるまでの一連の流れを詳細に説明してくれた。

 俺達が襲撃者と遭遇した時には、最後の一人になっていたから、初めから詳細に説明してくれたのはありがたい。

 

 書記の者も懸命にメモを記している。

 

「説明は以上となるが、誰か補足や確認したいことはあるか?

 ユキムラは何かないか?」

「ああ、では、いくつか確認したい」

 迷宮にいた時は気づかなかったが、今、改めて説明を聞いて疑問に感じたことがある。

 

「襲撃者共のジョブは、対峙していた感じで想像がつくか?

 俺は最後の一人は探索者だと思うのだが」

「理由は?」

「エステルのパーティーのエーギルという探索者を最初に狙ったことと逆の理由だ。

 襲撃者も最後に残すのなら、探索者のジョブではないかと感じたからだ」

「なるほど。それはあるかもしれんな」

 書記以外の者は皆、頷いている。

 

「それと、俺は最後の一人しか見てないのだが、

 その前に攻撃を仕掛けた五人のジョブは似たようなジョブではないか?

 探索者とか剣士のような・・・・・・」

「何故、そう思うのだ?それに、その確認の意図はなんだ?」

「ジョブの数が少ないと察した理由は、奴等が使っていた装備品だ。

 俺は襲撃者6人の装備品を収納したが、アイテムボックスの収納場所は6人共同じだった。

 つまり6人とも、全く同じ装備品を使っていたことになる。

 通常、装備品には使っているジョブの特性が表れるものだろう?

 治療職っぽい者もおらず、魔法使いもいなさそうで、

 6人とも前衛が務まりそうな近接系のジョブではないかと感じたのだ。

 63階層に挑む者達が全く同じ装備品というのは、違和感がないか?

 そして、確認している意図は63階層の特殊性だ」

 エステルも、セバスチャンも怪訝そうな顔をしている。

 

 最近、63階層に来たから感じたことなのだよな。

 

「63階層は威霊仙がドロップするから、他国への流出を禁じるために、

 騎士団員がインテリジェンスカードのチェックをしているだろう?

 あの襲撃者達も、あの場所で襲撃するためには、騎士団員のチェックを受けているはずだ。

 先ほど言った、似たようなジョブの6人で63階層に挑むパーティーは珍しいのではないか?

 もしかしたら、チェックした騎士団員が

 不審なパーティーのインテリジェンスカードを覚えているかもしれないと思ってな」

「なるほど。それは騎士団に問い合わせをしてみる価値があるかもしれませんな」

 セバスチャンが同意してくれ、他のメンバーも頷いている。

 

 本当は、最後の一人が奴隷身分だったので、残りの五人もきっと奴隷だと推測している。

 他人のことはとやかく言えないが、奴隷6人でしかも全く同じ装備品で63階層に挑んだのだとしたら、きっと騎士団員が覚えてるはずだ。

 

 まあ、それとは別に・・・・・・俺達は騎士団員のチェックを受けずに、63階層のボス周回をしていたのだが『そんなパーティーいたっけ?』で流してもらえるだろうか。

 

「確認するように依頼してきます」

 書記の彼はセバスチャンの同意を得て、退室していった。

 

「他に確認しておきたいことは?」

「ああ。エステルのパーティーメンバーの装備品のことを確認したい。

 先ほどの説明で、エーギルとラパンが二回自爆攻撃を受け、

 ヘンドリクスとミライが一回受けたと説明があったが、

 身代わりのミサンガは全員が身に着けていたのか?」

 自爆攻撃の破壊力とその被害状況がイマイチ不自然に感じられたのだよな。

 

 身代わりのミサンガの装備状況、死んだ者、重傷を負った者の結果が俺の予想と違ったので。

 

「ミライとヘンドリクスは身代わりのミサンガを着けていない。

 前衛の者は、度々切れてしまうからな。

 我と残りの三人は着けていた。もちろん、エーギルもだ。

 我も前衛をこなすが、クヌートが着けろと煩いのでな」

「当主なのだから、当然でしょう」

 クヌートの指摘にエステルが苦笑している。

 

「ということは、エーギルは一回目の自爆攻撃でミサンガを切られ、

 二回目の攻撃で亡くなったということか?」

「私の見た限りは、そういうことではないかと思います」

 後衛でエーギルの近くにいたクヌートが返答。

 

「そして、次に攻撃を一回ずつ受けたミライとヘンドリクスは

 ミサンガを着けていなかったが死を免れたと?」

「そういうことになるな。前衛を務めてるくらいだから、頑丈というものあるだろう」

 だが、二人の怪我の程度は少し違った気もするが。

 

「ひょっとして、最初に攻撃を受けたのがヘンドリクスで、次にミライか?」

「二人は我の盾になろうとしたのだが、確かにそうだったな。

 だが、その場にいなかったユキムラはどうしてそれを・・・・・・」

 う、うーん。どう説明したものか。

 

「怪我の度合いの差から予想しただけで、正しいのかまでは分からない。

 自爆玉の攻撃力はパーティーの人数というか、

 パーティー効果でひょっとして変化があるかもと思っただけだ。

 初めに攻撃を受けたエーギルは一回目でミサンガを切られ、二回目で死亡した。

 次に攻撃を受けたヘンドリクスは、そこそこの重傷だった。

 その次のミライはヘンドリクスよりは怪我の度合いは軽かったように見えた。

 その差は襲撃者パーティーの生きているメンバーの数の差かもしない」

「むっ、さすがにそこまでは分からないが。あり得るかもしれんな・・・・・・」

 自爆玉の攻撃を仕掛けた襲撃者のジョブとレベルの差なのかもしれないが説明不能だ。

 

「エーギルは一度目の自爆玉の攻撃を受けた後、

 二回目の自爆玉の攻撃の前に、恐らくスラッシュのスキル攻撃を受けていました。

 二度目の自爆攻撃で確実に仕留めるために、先にダメージを与えたのかもしれません」

「そこまでやるのか・・・・・・」

 もはや、執念を感じる程の手際じゃないか。

 

 

 それはともかく何のために、この考察をしているかを後で説明しないと、とんでもない変人か、襲撃者の一味だと誤解されてしまうかも。

 

 

「そして、最後のラパンは一回目でミサンガを切られ、二回目で最も酷い重傷を負った。

 ラパンと前衛二人の差は、頑丈さの差かもしれないがな」

「ユキムラ、何が言いたい?」

 だから、みんなで俺のことを変な者を見る目で見ないでいただきたい。

 

 最後に自爆攻撃を仕掛けた奴隷の探索者のレベルはかなり高かった。

 あれで攻撃されて、よくラパンは生き残ったと思う。かなりの重傷だったが。

 

 探索者のジョブには、『体力小上昇』がある。

 体力の上昇効果で当人のHPも増えるのなら、自爆玉の攻撃力はHPの大きさに依存するだろうから、攻撃力が上がるのかもしれない。

 

 剣士は最低一人はいたようだが、剣士のジョブには『HP微上昇』があったな。

 剣士には、HP上昇の効果をパーティーに及ぼすから、自爆玉の攻撃力が上がりそうな気もする。

 

 回収した武器全てにHP吸収が付与されていたから、回復職不在のパーティーだろう。

 先ほどのアミル達も、ボス戦で同じようなことを実践したので理解できる。

 体力がありそうなレベルの高い前衛職の集団で、エステル達を追ってきたのではないだろうか。

 

 そして、全員が対人強化のスキルを付与したアクセサリーを装備していた。

 ひょっとして、この対人強化も自爆玉の攻撃力に影響するのだろうか?

 俺のジョブでは装備品の鑑定ができないことになってるから、こちらから指摘できないが。

 

 考え出すとキリがないが、身震いするような計画性や陰湿さを感じる。

 

 

「あくまで襲撃者側の立場で、どのように考えて計画したのかを推測してみた。

 自爆玉の攻撃を始める前に、後方からエステル達のジョブを確認した。

 後衛なら、探索者、魔道士、治療職だ。

 そして、前衛にエステルがいることも確認したのだろう。

 前衛の攻撃スキルで、奴等はジョブを特定したのかもしれない」

「・・・・・・」

 エステルとヘンドリクス、クヌートは無言で頷いた。

 

「まず、パーティーを最も危険な状態にするため、探索者を狙った。

 一度目の自爆攻撃で倒れなかったので二度目を実施した。

 次にエステルを狙おうとしたが、ヘンドリクスとミライに阻まれた。

 残り二人の自爆攻撃でエステルを確実に殺せないと判断して、

 治療職のラパンに攻撃の矛先を変えたのではないか?

 迷宮で探索者と治療職を失えば、窮地に陥るからな。

 ラパンが神官か僧侶までは判断がつかなかったのかもしれないが」

「確かに、襲撃者の前では治療魔法は使ってませんでしたから、そうかもしれません」

 ラパンのジョブを確認するよりも、モンスターと戦ってるタイミングを優先して攻撃を開始したのかもな。

 

「一回目の攻撃でラパンはミサンガを切られ、二回目で重傷を負った。

 何が言いたいかというと、かなりの計画性を感じるということだ。

 奴等に、この襲撃を命じた者も自爆玉の攻撃を使い慣れてるのではないかと思ったのだ。

 もちろん、ただの憶測かもしれないが」

「確かに装備品の揃い方や、大した指示も無しに迷うことなく自爆玉で攻撃する姿には

 恐ろしさを感じますね」

 クヌートは自身が自爆攻撃を受けなかったものの、近くで全て見ていたのだよなぁ。

 

 しかも、最後の一人は奴隷だったが・・・・・・恐らく6人共奴隷だったのはないだろうか。

 人の命を道具として使おうとする冷酷さが窺える。

 

 

「確かに、ユキムラの言う通りかもしれない。

 それにしても、よくそれだけのことを思いつくな。

 襲撃者達の攻撃を見たのは最後だけなのに」

「考えるのがタケダ家の当主の仕事なんだよ」

 最近、剣技では子供扱いされているから、頭を使って勝負するのだ。

 

 

「他に、まだあるか?」

「最初にエーギルが殺されたのだよな?

 それにしては、俺達が辿りつくまでに遺体が残っていたようだが、

 俺達が辿り付いた頃には迷宮に飲み込まれてしまうのではないかと思ったので、

 最初かどうか疑問に感じたのだが・・・・・・」

 あ、あれっ、今度の指摘の方がみんなからの胡散臭い者を見る目が厳しいのだが・・・・・・?

 

「タケダ様は迷宮で亡くなった者に触れていれば、

 簡単に迷宮に飲み込まれないことを御存じではない?」

「えっ、そうなの?」

 そんなの原作でも表現されてなかったし、こちらで経験したこともないのだけど。

 

 もっとも盗賊は直ぐに左腕を切り離して放置するから、触れることなんてほぼ無かったか。

 

「ひょっとして俺達が合流した時に、

 エーギルの遺体に触れていたのは、迷宮に飲み込まれるのを避けるため?」

「・・・・・・」

 クヌートとヘンドリクスが無言でコクコクと頷いている。

 

 

「ま、まあ・・・・・・我が家では幸いなことに、迷宮で亡くなった者がいないから知らなかった」

「そういう問題ではないような気もいたしますが・・・・・・」

 セバスチャンのツッコミが厳しい。

 

 そして、なんだか、皆の視線が痛いのですけど。

 仕方ないじゃないか・・・・・・こちらは迷宮に入り始めて、まだ半年も経ってないのだから。

 帝国解放会の第二位階だから、そんな迷宮のキャリアは説明できないけど。

 

 話題を逸らさなければ。

 

「あ、あと一つ確認したいのだが・・・・・・、

 帝国解放会の会長が襲撃を受けたので、報復のために会員が動員されるというのは?」

「当会は、あくまで迷宮討伐の互助組織です。

 会長と会員の間に上下関係や指示命令系統がありませんので、

 本件の報復で動員されるということはございません」

 セバスチャンの俺への回答が冷たく感じるのは被害妄想?

 

 会長がやられたからといって、第一位階、第二位階の者が仇を取ることはないと。

 エステルは死んではいないが。

 

 

「もちろん、互助の一環で手助けすることは止められません」

「なるほど」

 別に拘束力もないけど、助けてダメな訳でもないのか。

 

 まあ、黒幕が誰なのか分からないから、今のところ手出しできないけど。

 

 ドアがノックされ、先ほどの書記が戻ってきた。

 騎士団員への調査を依頼したそうだが、何名かにヒアリングするので、時間はそれなりにかかりそうだとのこと。

 

 

「今日の報告はこれぐらいか」

「はい。後でとりまとめて、特別会員の方々に伝えておきます。

 今回はエステル様が狙われましたが、特別会員が標的にされる可能性もございますので」

 なるほど、その考えには至らなかったな。

 

 帝国解放会に仇を為すとしたら、会長、副会長、総書記、特別会員を狙うということもありえるのかもしれない。

 

 エステルが立ち上がって、こちらに近づいてきたので、俺も席を立った。

 

「ユキムラ、今日は助かったぞ。心より感謝する。

 あとは我の方でやるので、今日は帰ってもらって構わない」

「まあ、俺達は、これだから気にするな」

 また、帝国解放会のハンドサインをやろうとしたら、掌を掴まれ強引に握手された。

 

 互いに小さく笑みを浮かべ、俺も強めの握手で返す。

 

 エステル達のために、俺ができることは何かあるのだろうか。

 今日、取得した装備品を調べても・・・・・・きっと証拠になるものはないだろうな。

 我が家と違って、奴等は家紋なんて刻印したものを装備してこなかっただろうし。

 装備品と言えば・・・・・・。

 

「エーギルの装備品を渡さなければな」

「そうだな」

 エステルの目配せで冒険者の男が近づいてきた。

 

 アイテムボックス操作の詠唱をして、彼に形見となった装備品を渡していく。

 装備品を見る彼の目は悲しそうだ。

 故人を知ってるからなのだろうな。

 

「では、俺はこれで失礼する」

「ああ、またな」

 会釈しながら会議室を出ると、通路にいた書記の一人が案内を申し出てくれた。

 

 彼に付いてロビーへと向かう。

 移動用の壁の前で案内の礼を言い、自宅へワープで移動。

 

・・・・・・

 

 血に汚れた格好にため息をつきながら、食堂に顔を出すとエネドラが待ち受けていた。

 正確にはエネドラを囲んで、商人娘連中がテーブルを囲んでおしゃべりをしているようだが。

 

 もう、この時間は夕食や風呂はおろか、会議もとっくに終わってる頃だ。

 華やかな雰囲気の女性陣の所に、血に汚れ、剣呑な臭いを漂わせて近づいていくのは、正直とっても躊躇われる。

 なので、少し離れて帰宅報告。

 

「旦那様、お風呂場に装備品を置いておいて下さい。

 後で洗浄するように申し付けておきます。

 それから、食事の前にお風呂に入られた方が宜しいでしょう。

 その間に夕食の準備をいたします」

「あ、あぁ・・・・・・よろしく頼む」

「今日の会議の結果は、夕食の際にご説明いたします」

「了解」

 もはや遅くまで遊び惚けて、泥だらけで帰宅した子供ような扱い。

 

 風呂場に向かうために、なるべく静かに目立たないように食堂を歩く。

 

 増築工事も終わり、厨房も食堂も広くなったので、歩く距離もそれなりに長くなった。

 片づけや警備の仕事のある者を除き、夜は自由な余暇時間を過ごすのが我が家のルール。

 この世界の常識に沿うなら、灯りもないので直ぐに寝てしまうことが多いのだろうが、我が家には照明設備もあれば、冷暖房設備もあるので過ごしやすい。

 

 水やお湯も使い放題なので、各自ハーブティーなどを淹れて食堂や談話室で寛げる。

 食堂では、仲の良い者同士のおしゃべりや、ミラの作成した遊戯盤に興じる者達が見えた。

 

 そして、グラ爺もいるな。

 傍にはレドリックとカラダンもいた。

 きっと、いせはれ将棋で遊んでいるのだろう。

 グラ爺は将棋にかなりどっぷりはまってるのだが、カラダンやローザが腕をメキメキと上げていると誰かが言っていたような。

 

 エマーロ族とか、夜通し将棋の指し手を考えられるから恐ろしいな。

 我が家にはエマーロ族が四人もいるから、夜通し将棋で遊んでいたりして。

 仕事に差し支えない程度にしてほしいものだ。

 

 そういえば、エマーロ族が四人いても、旅亭のジョブを持つ者は一人だけだったりする。

 他は奴隷商人一人に冒険者が二人だ・・・・・・なんだかなぁ。

 そのうち、どこかの街に旅亭でも経営してもらうか。

 まあ、ザビルの増築工事を終わらせるのが先だな。

 

・・・・・・

 

 二階で着替え、風呂も済ませて食堂に。

 風呂は時間が遅い事もあり、ほぼ貸し切りだった。

 とはいえ、人が増えると夜の過ごし方の違いや仕事の割り振りもあるので、どの時間でも風呂を使う者がいる。

 給湯設備のおかげで、好きな時間に風呂に入れるのが素晴らしい。

 我が家は、俺がいた元の世界に最も近い環境なのだよなぁ。

 

 美味しい夕食をいただきながら、会議の結果をエネドラから報告してもらった。

 迷宮探索の進捗、装備品・生薬の量産状況の報告がメインで、大きな課題等はなかったそうだ。

 

 逆に、エステル達と遭遇した事件についての説明に時間を割くことになった。

 

「今のところ皆に説明するのは、エステル様の名を伏せて、概要レベルで問題ないですね」

「そうだな。今回の計画の首謀者も分からないし、エステル達の今後の出方も不明だ。

 我が家の方から積極的に何かをすることは、今は無いだろう」

 

 

「では、ご主人様が回収してきたスキル融合装備品の取引の計画だけ検討しておきます。

 何か手元に残したい装備品があれば、お申し付けください」

「そうだな。全て取引に使ってしまって構わないが考えておこう」

 襲撃者の使っていた装備品は、単体では特別価値のあるものは無かったのだよなぁ。

 

 彼等の装備品そのものは、襲撃計画に特化して用意されたのは間違いなさそうだけど。

 

 

「それと、今回のスキル融合装備品には迷宮での襲撃が絡んでいるので、

 いつものルートでの、大っぴらな取引は控えるべきだと思う。

 どこから我が家のことが、襲撃を計画した組織に伝わるとも限らないので注意してほしい」

「はい。意識しております。それも含めて、後日、計画を提出いたします」

 さすが、エネドラ・・・・・・俺の考えるようなことは考慮済か。

 

 食事と報告を終え、片づけはクララがやってくれるようだ。

 エネドラの視線を受け、彼女がさっと近寄り、お盆の上に食器を乗せて足早に去っていった。

 

 

 さて、少し休憩するかな。さすがに疲れた。

 

 エネドラにお礼を言って、立ち去ろうとすると小声で囁かれた。

 

(今晩は私が参ります・・・・・・)

 

 彼女はそのまま、何気ない表情で厨房の方へ向かっていった。

 

 ちょっと、エネドラさん・・・・・・ここにきて、今日一番のドキドキなのですけど。

 

 

・・・・・・

 

 自室のベッドに寝転がって、今日の諸々を振り返る。

 

 66階層の探索を終えるまでは、平常運転だったのだよな。

 一日の探索の締めにあたる、威霊仙獲得のボス周回の途中から、おかしな流れになった。

 そこから、エステル達と63階層の脱出行、ロッジでの報告や亡くなったエーギルの兄との対面など怒涛のイベントだった。

 

 タケダ家が今日得たものは何だろうか?

 自爆玉攻撃の知見?迷宮で死んだ者への対応知識?・・・・・・それが生きる時が来るのだろうか?

 そんな未来は迎えたくないな。

 

 逆に失ったものは?

 俺の信用?・・・・・・猪武者と勘違いされたかも・・・・・・他にも迷宮常識の無い人間と認識された?

 エステル達を助け出したのだから、トータルでは信用がプラスになったと思いたいが。

 セバスチャンからの俺の評価は下がったかもしれないな。

 元々低かった気がしないでもないが。

 

 まあ、評価が上がったからといって何か良い事がある訳でもないのだろうけど。

 

 俺の事よりも、エステル達の方が失ったものが計り知れない。

 命は一度失われると、取り戻すことができないのだから。

 

 そして、エーギルを殺されたラルフやエステル達の気持ち・・・・・・哀しみと怒り。

 

 

 もし、アミルやヴィルマ達に何かあったら、俺はどうするのだろうか。

 黒幕を探してだして、当人と一族郎党を・・・・・・根絶やしにするかもしれない。

 

 ・・・・・・どうして、こんなに狂暴な気持ちになってしまうのだろうか。

 想像の世界でしかないのに、哀しい気持ちだけでなく、怒りの感情でどす黒く染まってしまう。

 

 明鏡止水、明鏡止水・・・・・・。

 

 

(コン、コン・・・・・・)

 

 

 き、来たぁ・・・・・・別の意味で落ち着け!

 

 ドアを開けてエネドラを迎え入れ、ベッドまでエスコート。

 

 彼女はエリクサーで回復して以降、美しさに磨きがかかっている気がする。

 タケダ家の高品質な石鹸に加え、新しく開発した化粧水や保湿クリームの効果もあるのだろう。

 彼女達商人グループは、新商品の開発と試験運用に余念がない。

 趣味と実益が一致している・・・・・・というとアレだが、日々楽しく活動してるのが分かる。

 

 

 彼女をベッドに俯せで横たえ、逸る気持ちを抑えながら、優しくマッサージ。

 丁寧に揉み解しながら、体の弾力を楽しむ。

 彼女の緊張が程よく無くなり、リラックスした状態になるのを感じた。

 

 一方でこちらのテンションは最高潮に達しそう。

 自分の着てる服を脱ぎ、スルスルと彼女の着衣を脱がすと、美しい裸身が露わになる。

 

 もう、このまま彼女に溺れてしまいたい衝動に駆られてしまう。

 先ほどまで澱み厚く堆積していた、どす黒い気持ちが一気に霧散するのを感じた。

 なんだかエリクサーを投与され、完全回復したような気分。

 実際に自分に投与したことはないのだけど。

 

 彼女を仰向けにして、抱き起こす。

 豊かな彼女の胸にダイブしたいのを我慢し、そのまま抱き締めた。

 

「あの、旦那様・・・・・・?」

「・・・・・・」

 無言で、下腕の右手に持ったスイミングキャップを左手も駆使して、彼女に被せた。

 

「こ、これは・・・・・・!」

「・・・・・・」

 そのまま、彼女をお姫様抱っこして、隣室へと静かに移動。

 

 移動の傍ら、空いた上腕の手で俺もスイミングキャップを被る。

 エネドラは諦めたような表情で俺の胸に顔を寄せてきた。

 そうそう。人間諦めが肝心なのだよ。

 

 秘密基地の窓を跨いで、マットの上に彼女を俯せに横たえた。

 ヴァージョンアップしてからの秘密基地に彼女を誘うのは初めてだな。

 今日はこの基地の機能を最大限利用して、彼女をもてなそう。

 

 俯せで視界が悪い中、不安げに視線を彷徨わせているのが、背中越しに見て取れる。

 カメリアオイルの壺を手に取り、両手に馴染ませながら、彼女の背中に垂らした。

 

「うっ・・・・・・」

 

 彼女の優美な背骨のラインに沿って滴るオイルを伸ばしながら、全身を磨き上げていく。

 『このプロセスが永遠に続いてほしい』と、いつも感じるのだよなぁ。

 だが、逸る四本の腕を全力で駆使しすると、あっという間に彼女の全身はオイルでコーティングされてしまう。

 

 それからはオイルを通して、彼女の体を撫で上げ、桜色に染める作業に没頭。

 

「旦那様、私も旦那様に・・・・・・」

「今日はエネドラの番だから・・・・・・」

 逆のことをやられたら、短時間で昇天してしまう自分が想像できてしまう。

 

 今日は長い時間、楽しみたいのだ。

 

 背中が終われば、次は前へと・・・・・・彼女を後ろから抱え込んで起こし、背中を俺の胸に寄せて、四本の腕で彼女の胸、腰、腕・・・・・・とオイル越しに愛撫する。

 

 少しの間だけ、抵抗を試みた彼女は、やがて諦めて脱力し、ふにゃふにゃの状態になりながら、こちらに身を委ねてきた。

 上を向き、そして後ろを振り向こうとしてきた彼女の口を優しく蹂躙。

 そのままの状態で、彼女の胸や、その先端、真ん中の先端を順番に嬲る。

 

 時折、ピクッ、ピクッと反応する彼女と、口腔内の甘い唾液を楽しみながら、女神のような裸身を溶かす作業に専念。

 

「くうっ、ううぅ・・・・・・」

 

 口を離すと、彼女は少し荒い息を吐き出した。

 そのまま、四本の腕でアチコチを撫でながら、不意を突いて彼女の中に侵入。

 

「うっ・・・・・・」

 

 そのまま、彼女を左右、前後に揺らしながら、ゆっくりと攪拌する。

 何かに縋るように両手を彷徨わせる彼女の掌を上腕の両手で掴み、更に激しく揺らす。

 彼女の膝の裏に下腕の両手を差し入れ、マットの上をゆっくりと移動。

 

 木の簡易ベッドの上に置いたマットの縁まで移動して座り、そのまま彼女の中をかき混ぜながら上下に揺らす。

 少しペースを落として、彼女を落ち着かせたところで、前にある木の扉を開く。

 開いた先には、ペルマスクで買い付けた大き目の鏡。

 

 視界に移る女神の裸身に彼女も気づいたようだ。

 

「!・・・・・・えっ、これは・・・・・・」

 

 顔を背けようとする彼女に追い打ちをかけようと、腰を掌を掴んで激しく上下に揺らした。

 

「くうぅ、あぁぁ、もうっ、こんなっ・・・・・・」

 

 快楽と羞恥の合間を幾度も往復した彼女は、やがて背中を反らして頂きへと登りつめた。

 鏡に映る痙攣する彼女を見つめながら、こちらも欲望を解き放つ。

 

 

 暫く、荒い呼吸と熱い鼓動が、お互いに治まらない。

 少し落ち着いたところで、再び獣のようにお互いの口を貪り合った。

 

 :

 :

 :

 

「エネドラ、君を愛している。今日は一晩まるまる使って、それを伝えたいのだけど」

「旦那様、自重をお願いします・・・・・・」

 それは無理です・・・・・・口には出せませんが・・・・・・行動で示します。

 

・・・・・・




お読みいただき、ありがとうございました。

『迷宮で亡くなった者に触れていれば、迷宮に飲み込まれない』のは、原作の独自解釈です。

そのように解釈した理由は、左手を切り離したら左手は飲み込まれず、時間が結構経ってからインテリジェンスカードが吐き出される仕様と、残りの遺体の方は比較的直ぐに迷宮に飲み込まれる差に疑問を持ったからです。
左手にはインテリジェンスカードが内包されている(?)からなのかとも思ったのですが、切り離さないと直ぐに飲み込まれるから、左手が特殊ではないと考えました。
切り離さずに遺体を運ぼうとしないのは、迷宮が危険な場所だからという理由だと推測。
ダンジョンウォークで移動できる場所なら、必要に駆られて運び出すのではと思いますが、我々の世界と死生観が違うのかもしれないとも思っております。

原作のWeb小説、小説、漫画なども確認したのですが、亡くなった者に長く触れている記載はなかったので、この仕様を採用してみました。
この迷宮仕様の方が、面白い話が書けそうかなとも思ったので。
本件に疑問や異論などがありましたら、感想を寄せていただけると嬉しいです。


次回投稿日は2026/8/8(土)の予定です。

次は恐らく、閑話の投稿になる予定です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

異世界迷宮と斉奏を(作者:或香)(原作:異世界迷宮で奴隷ハーレムを)

突然目の前に現れたのは、読んでいた小説と同じ文面だった。▼冗談でも行けるものなら、記憶を頼りに "彼" のいた世界と近い場所へと向かいたい。▼気がつくと自分がいたのは、小説とは似ているようでどこか違う、聞き覚えのない場所。▼───違っていたのは風景だけでなく、自分自身もだった。▼--- ▼本小説は原作「異世界迷宮で奴隷ハーレムを」様、「異…


総合評価:3224/評価:8.53/連載:198話/更新日時:2026年08月03日(月) 12:00 小説情報

勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム(作者:Lilyala)(原作:異世界迷宮で奴隷ハーレムを)

両親の仲は良好。親友と呼べる人間もいる。▼金銭面で困った事は無いし、社会的地位もある。▼そんな男の異世界迷宮奴隷ハーレム暮らし。▼◇注意◇▼この作品は小説家になろうで更新停止中の▼『異世界迷宮で奴隷ハーレムを』▼書籍化作品の▼『異世界迷宮でハーレムを』▼漫画版の▼『異世界迷宮でハーレムを』▼の三作品をチャンポンしている作品となっています。▼なろう版の『異世界…


総合評価:5381/評価:8.57/完結:126話/更新日時:2025年06月27日(金) 06:00 小説情報

異世界迷宮でロマンスを【完】(作者:ノイラーテム)(原作:異世界迷宮でハーレムを)

 本作品は『異世界迷宮で奴隷ハーレムを』と『異世界迷宮でハーレムを』を元にした二次作品です。何か問題が生じた場合は消去いたしますね。▼


総合評価:1051/評価:7.26/完結:101話/更新日時:2026年04月01日(水) 21:21 小説情報

異世界迷宮へ行ったなら(作者:三星織苑)(原作:異世界迷宮でハーレムを)

十数年あこがれ続けた世界への入り口を見つけてしまった。▼死ぬ可能性がある?▼そうだろうな。▼現代文明の恩恵を受けられず不便な生活を強いられる?▼そうだろうとも。▼食文化が発展していなくて好物は二度と食えないだろう?▼そりゃそうだ。▼でも、そこには彼女がいるかもしれない。▼それだけでも行く価値がある!


総合評価:11486/評価:8.94/連載:313話/更新日時:2026年08月04日(火) 20:00 小説情報

Re:異世界迷宮で奴隷ハーレムを(作者:載せられた人)(原作:異世界迷宮で奴隷ハーレムを)

これは“ミチオ・カガ”が取り戻す物語


総合評価:3225/評価:8.55/連載:51話/更新日時:2024年02月18日(日) 09:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>