異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

39 / 265
009.ザビルの迷宮(その3)

 朝起きると、ベッドには俺一人の状態。

 一人...そう一人なのだが、昨晩は三人いたような?

 

 エネドラはチクルスと血のつながりが無いのだろうが、教育係なのだろうか?

 謎過ぎる行動だ。

 異世界の教育って、俺の元の世界よりも前衛的?...山本五十六方式を超えてる気がする。

 

 原作主人公なら、人間族の種族固有ジョブが取得できるが、俺にはそのような特典はない。

 特典はないのだが、行為は...好意は素直に受け取ってしまった。

 

 それにしても、異世界に来て倫理観とか...破壊されている気がするぞ。

 盗賊を十人単位でぶっ殺し、他人の常識をぶっ壊し続けている俺が言うのもアレだが。

 

 昨晩はパーティを解散してしまっていたが、激しい運動をするなら、二人の体を考えるとパーティに入れておいたままの方が良かったかもしれない。

 だが、そうなるとアミルには、昨晩のことが丸わかりになってしまい..うぐぐ。

 

 答えの出ない問答をしながら、ストレッチして、体をほぐす。

 考えはまとまらなくても、今日も体の方は絶好調だ。

 腕立て伏せとか、四本の腕でやると、足が浮いたまま出来る程度には体幹の調子も良い。

 傍目には、ちょっと不気味な虫っぽい動きだが。

 

 体をねじる運動も、上腕と下椀の両手で、逆方向にねじると、かなりほぐれるのだが、骨格的にはどうなってるんだろうか?

 

 一応、上腕の右手で文字を書いているけど、別に左手でも書けるし、下腕の右でも左でも遜色ない感じだ。

 器用を通り越して、不思議というか、不気味というか。

 武器を四つ、使いこなす際には、この器用さは重宝しているから良いのだけど。

 

 顔を洗い、身支度を整えて、一階に降りた。既に三人が食堂で待っていた。

 なんか、チクルスの挙動がおかしい。エネドラは全く普通の表情。経験の差か?

 俺の方も、ちょっと内心ドキドキしてるのだけど。

 

 隣のアミルが肩を震わしているのは、笑ってるのではないだろうか?

 昨晩のことがつつぬけ?もういやだぁ...

 

 俺はいたってポーカーフェイスを保った。玄関を出て、全員でベイルの旅亭に向かった。

 昨日もそうだったが、エネドラの所作がちょっと気になった。

 

 今日も天気が良い。異世界に来て、10日以上経つが全く雨が降っていない。

 これで大丈夫なのだろうか?外出するには良いが、農作物の生育を心配してしまう。

 

 ボイルに食材アイテムを渡して、木札を受け取った。

 朝食はコボルトソルト8個で一人分だそうだ。コボルトスクロースの2倍の個数なのか。

 コボルトソルトばかりだと悪いので、オリーブオイルとコボルトスクロースも混ぜて渡した。

 

 昨晩の夕食同様、エネドラとチクルスは料理の吟味をしている。

 迷宮食材を使って、手抜き...ではない、手間抜きをして、楽をしても良いと思うのだが。

 まあ、今日から調理するらしいので、二人に任せよう。

 

 食事は美味いので、会話は弾む。むしろ、周りの連中から少し浮いているくらいだ。

 これで暫くは、この旅亭には来ないのかな。

 たまの外食の時に使ってもよいとは思うが、クーラタルの店とかも開拓したいしな。

 いずれはクーラタルに引っ越すのだろうし。

 

 食事を終えて、木札を返却。

 今後、来る頻度が減るかもと言おうと思ったが、先のことは分からないのでやめておこう。

 エネドラ達が料理に苦戦するかもしれないし。

 ボイルとの縁もまだまだ続くと良いな。おっさん臭いセクハラ発言さえなければいい奴だ。

 

 自宅に戻り、俺とアミルは迷宮行きの準備。

 リュックにいつも迷宮セットが入ってるのを確認して、装備をつけ、一階に降りた。

 

 もう、俺以外の三人が揃っている。エネドラ達はお見送りだろうか。ちょっと照れくさい。

 

「じゃあ、行ってくる。昼には戻るから」

「行ってらっしゃいませ」

 頬が少し熱くなるのを感じながら、ザビルの6階層の小部屋にワープした。

 

 ザビルの6階層の新規モンスターは、スパイスパイダーだ。ボスはスパイススパイダー。

 通常モンスターのドロップ品はショウガ。ボスのドロップはペッパー。

 この前、ベイルの11階層で戦ったばかり。食材確保の階層だ。

 

 歩調の揃いやすい集団になってきたけど、アミルに1匹受け持ってもらい、残りは俺が相手をする。

 ニートアントがいる場合には、なるべく俺が引き受けるようにして、ドンドン倒していく。

 

 オーバーホエルミングとデュランダルで一撃で倒しているので、アミルの方まで目が届く。

 スパイスパイダーがいる場合には鋼鉄の槍を使って、俺が天井から叩き落とす。

 俺の受け持ち分は、速攻で倒すので、アミルの戦い方を見ながら、最後に止めを刺す。

 アミルも鍛冶師になり、武器をダマスカス鋼の槍に替えたが、問題なくさばいてる。

 

 鍛冶師の腕力補正も加わったので、遠間からだが、攻撃も力強く感じる気がする。

 

 魔物部屋は途中で殲滅したが、全滅したパーティが1部隊いたようだ。

 毒攻撃をしてくるモンスターがいると犠牲者がどうしても出てしまうのだろうか。

 

 装備品はそれほど大したものではない。徐々に装備を更新していく途上で力尽きたか。

 

(取得品)

鉄の剣2、銅の剣4

革の鎧3、皮の鎧3、皮の靴6

 

 ひとしきり戦って、ボス部屋以外のすべてのエリアをクリアにした。

 

 そのまま、ボス部屋に二人で侵入して、アッサリと倒して、7階層に抜けた。

 ラッシュとスラッシュを使えば、一瞬だ。

 アミルをボスと戦わせるのは毒防御の防具を用意してからにしたいな。過保護過ぎるか?

 

 6階層の魔物部屋、ボス部屋含めた戦果は、大量のショウガとオリーブオイル、毒針とウサギの毛皮が少々。ペッパーとコーラルゼラチンが一つずつ。モンスターカードはなしだ。

 ショウガがすごい数になってきた気がする。まあ、倉庫に入れておけば腐ることはないか。

 

 小部屋で水分補給しながら、少し休憩。

 

「鍛冶師になってからの戦闘はどうだ?なんか、大きく変化があった?」

「いえ、それほどは。

 この立派な槍のおかげかもしれませんが、突いた時の破壊力は少し増したかもしれません。

 ただ、鍛冶師としての実感はあまりないです」

 鍛冶師は腕力補正があるはずだけど、俺の複数ジョブの恩恵の方が大きいからなぁ。

 レベルがまだ低いからってのもあるかもしれない。

 

 パーティ全体の攻撃力が増していることは間違いない。

 ただ、鍛冶師は装備品の生成やモンスターカード融合をしないと実感が湧かないか。

 

「鍛冶師を加えたパーティの攻撃力は間違いなく上がってるはずだ。

 これから前衛メンバの数を増やすし、貢献度合いは更に上がるので、自信を持って良いぞ」

「はい、頑張ります。

 ミサンガもたくさん作るようにします。今まで10個以上作りましたが、もっと作ります」

 俺の見えないところで、ちょこちょこと作ってるのだな。

 無理はしないで言いたいが、やる気がある時は止めにくいな。

 

「じゃあ、7階層の攻略を始めようか」

「はい」

 アミルの表情が引き締まった。俺も気合をいれて、モンスターをぶっ叩こう。

 

 ザビルの7階層の新規モンスターは、チープシープだ。ボスはビープシープ。

 雑魚モンスターのドロップ品は羊の毛皮。ボスのドロップは羊の肉。

 ここで、突進系かつ逃亡系か。面倒くさいな。

 

 チープシープとニートアントは俺が相手して、アミルに突進がいかないように注意。

 チープシープとニートアントとスパイスパイダーがいる時はちょっと忙しい。

 

 それでも、オーバーホエルミングとデュランダルの前には問題ない。

 余裕ある時は、スパイスパイダーの相手をアミルにさせているが、天井からうまく引き摺り落としてくれている。

 あの小さな体からは、想像できないパワーだ。

 

 ただ、防御面のフットワークは得意ではなさそうだ。

 鎧は金属製ではなく、硬革製にしているのだが、避けきれずに、たまに攻撃を受けている。

 前衛よりは中衛向きなのだろうな。ドワーフだから、ガッチリ鎧で固めるのが良いのかも。

 鎧は防御力を強化するのなら、金属製に切り替えるか。ダマスカス鋼の鎧は余ってるから。

 早めにもう一人、コテコテの前衛を入れたいな。出来れば避けタンク。

 

 魔物部屋を途中で殲滅したが、全滅したパーティはいなかったようだ。

 毎回いると、気が滅入るよな。もう迷宮に全てが飲み込まれた後かもしれないが。

 

 ひとしきり戦って、ボス部屋以外のすべてのエリアをクリアにした。

 

 最後に残ったボス部屋に二人で侵入して、アッサリと倒して、8階層に抜けた。

 眠らされる前に、オーバーホエルミングとラッシュ&スラッシュを使えば何もさせずに終了。

 ちょっと思いっきり叩きすぎた。

 

 7階層の魔物部屋、ボス部屋含めた戦果は、大量の羊の毛皮とショウガ、オリーブオイルと毒針が少々。羊の肉とウサギの毛皮が一つずつ。ここで羊のモンスターカードをゲット。

 羊のカードは正直、微妙。それでもようやく迷宮で得た2枚目のカードだ。

 

 アミルの鍛冶師はLv15まで上がった。

 エネドラは一つ上がっただけだが、チクルスはLv10。レベルの低いうちは、よく上がる。

 今は、パーティメンバのレベルを上げられるだけ、上げていこう。

 

 

 昼食には、良い時間だ。午前の探索は、これで終了。

 自宅の玄関にワープで戻った。

 

 食堂の二人に声をかけて、俺たちは二階にあがった。

 装備を解いて、汗を拭い、一息つく。午前中は、まずまずの出来だったかな。

 

 一階に降りて、食堂に行くと、俺待ちの状態で三人が既に着席状態。

 すまんね、いつも待たせて。奴隷の主人とはいえ、待たせるのは日本人的に気が引ける。

 

 俺が席に着くと、二人が作ってくれた昼食に舌鼓を打つ。

 二人が作ってくれたのは、パンに肉と野菜を挟んだものに、サラダとお浸しっぽい何か。

 あと、果物を切ったものが添えられている。これは、俺が買ってきた名前不明のものだ。

 量が多めだけど、リクエストに十分応えてくれたものだ。

 

「厨房の使い方とか、この屋敷に住んでみて、困った点とかはなかった?」

「厨房は広くて使いやすいです。

 細々としたもので、買い足した方が良いものがありますので、会議の時に相談させて下さい」

 

「食材とか調理器具とかで、バカ高いものでなければ、二人で相談して買ってよいぞ。

 銀貨を30枚ほど渡しておくので、自由に使ってもらって良い」

「ありがとうございます。チクルスとも相談して、買物をしてきます」

 

「このベイルは迷宮が出来て、盗賊が入り込んでるので、買物は極力、昼間に済ませてほしい」

「旦那様、お気遣いいただきありがとうございます。注意いたします」

 

「今日の夕食は二人で作る?それともベイルの旅亭に行く?」

「試しに作らせてください。

 旅亭の味には敵わないかもしれませんが、徐々に美味しくしていけると思います」

 

「分かった。任せるので、無理のない範囲でやってみて」

「承知いたしました」

 迷宮探索に集中できるので、とっても感謝だ。

 

「この食事、すごく美味しいよ。昼食は軽めでお願いしたけど、丁度良い感じだ。ありがとう」

「もったいないお言葉で。ご満足いただけ、ホッとしました」

 堅い、堅いなぁ...まあ、しばらくは、こんなものか?

 

 食事は、まあ、悪くないという感じ。美味しいのは美味しいが、改善の余地はある。

 父子家庭で自炊していたから、改善ポイントとかは浮かぶのだよな。

 自炊していた時に、安い肉をいかに美味く焼くかって研究したな。

 研究というかネットの知識を集めて試しただけだが。

 肉の焼き方とかは、俺の方からレクチャー出来るけど、初日だし、焦る必要はないか。

 もう少し時間が経ってから機会があればくらいで。まあ、俺に飯テロとか無理だし。

 

 迷宮組の方も進捗状況を伝えた。

 ザビルの6、7階層を攻略したこと。

 全滅したパーティを6階層の魔物部屋で発見したこと。装備品を回収したこと。

 羊のモンスターカードを得たこと等。

 

「何か、午前中、他に困ったことはなかった?」

「いえ、特にそういったことはなく。

 むしろ、仕事があまり無くて困っていたというか、掃除ばかりしていた気がします」

 

「あぁ、掃除は程々で良いからね。

 時間余ったら、午後に予定していた今後のことを二人で相談するとかでも良かったので」

「もし、お二人が時間があるなら、迷宮で取得した装備品を洗浄してもらっても良いのでは?」

 ア、アミルがぶっこんできた。

 取得した装備の中には、まあまあ、血塗れの装備とかもあるのだけど。

 盗賊から襲撃された経験がある二人には、ちょっと酷ではないのかなぁ...?うーん。

 

「後で、お風呂場の方に出しておいて頂ければ、装備品の洗浄はお任せください」

「いや、今日は無理しなくても。ジョブをどうするかとか検討してもらっても良いので」

 初っ端から飛ばし過ぎると、大変じゃなかろうか。

 

「大丈夫です。洗浄しながらでも、二人で話し合うことは出来ますから」

「そうか、じゃあ、お願いするよ。後で風呂場の方に出しておくから」

 

「はい、お任せください」

「私の方から、エネドラさん達の方に洗浄のやり方や道具を伝えておきます」

 あらら、アミルが二人を連れて行ってしまった。俺は残ってハーブティーをチビチビと飲む。

 もう、アミルに丸投げするか。本当に大丈夫なのだろうか?

 

 やる気を削ぐ訳にもいかないので、お任せするか。

 主体性を求めた行動を要求したのは俺だから、ある意味、望んだ結果か。

 ただ、ブラック企業の社長にはならないように皆の健康管理は注意しよう。

 

 ハーブティーを飲み終えて、風呂場に行き、回収した装備品を置いた。

 やっぱり、所々血塗れだよなぁ。後ろ髪をひかれながらも、俺は二階に上がった。

 

 迷宮探索の準備を終え、三人を焦らせないように少し間を空けてから一階に降りる。

 洗浄や乾燥のやり方も既に二人にレクチャー済のようだった。手際が良すぎるだろう。

 

 俺達は、エネドラ達に見送られ、玄関からザビルの8階層の小部屋にワープした。

 

 

 ザビルの8階層の新規モンスターはグリーンキャタピラーだ。ボスはホワイトキャタピラー。

 雑魚モンスターのドロップ品は糸。ボスのドロップは白糸。

 突進系&スキル攻撃なので、前階層と合わせれば、面倒臭さが増加するな。

 そして、この階層から最大四匹となる。

 

 この階層は、オーバーホエルミングとデュランダルを今まで以上に積極的に使おう。

 アミルの方に任せて良いモンスターだけは、アミルに戦わせて、残りは最速で打倒するか。

 

 アミルに任せるのはチープシープとナイーブオリーブにしよう。

 チープシープは突進があるが、突撃されて瀕死になることはないから大丈夫だろう。

 攻撃されたら、すぐ僧侶の手当でフォローだ。

 

 三匹の時は、オーバーホエルミングがあれば、かなり余裕で殲滅できる。

 四匹の時は、奥にグリーンキャタピラーがいる場合だけ、とにかく、前の二匹を倒して、グリーンキャタピラーの所まで速く到達して倒さなければならない。

 このパターンは今後も上の階層でも発生するだろうから、今のうちに慣れておかないとな。

 

 今は、オーバーホエルミングを使って、デュランダルやフラガラッハを使った力押しだ。

 何か、別のオプションが欲しい。

 魔法を二重掛けしても1クール目で倒せないから、現時点では魔法は補助的な扱いだ。

 

 体感的には、アミルの鍛冶師も含めて、腕力中上昇の4ジョブを乗せた、デュランダルやフラガラッハでのラッシュやスラッシュの方が、魔法の二重掛けよりも殲滅力が高い。

 ひもろぎのスタッフを入手しても、その優劣が変わるかは、ちょっと怪しい気がしている。

 魔法の武器はそれはそれで強化はしていくつもりではあるが。

 

 博徒&暗殺者も状態異常武器を得ないと使えないオプションだしなぁ。

 複数入手出来れば、相手戦力の無効化には役立つのだろうけど。

 サンゴのモンスターカードは持っているが、他のパーティメンバの装備品との兼ね合いもあるので、モンスターカード融合は保留中だ。

 まあ、ないものねだりで、嘆いても仕方ない。現有戦力での効率化を目指そう。

 俺の方も、前線の最低二匹との近接戦闘の際、最速で倒して突破するだけの工夫を重ねよう。

 

 アミルは被弾しながらも、俺が攻撃に戻るまで防御に徹してるので、問題なく倒せている。

 

 魔物部屋は俺一人で入って、問題なく殲滅。

 この階層は残念ながら、1パーティほどが全滅してるようだ。

 何の慰めにもならないだろうが、迷宮に消えたパーティにしばし黙祷。

 魔物部屋で糸の攻撃は喰らうと、それだけで致命的だったのだろうな。

 

 装備品は、この階層では、標準的な装備だろうか。

 少なくとも、コボルトハンター達よりは良い装備な気がするが...厳しい現実だ。

 

(取得品)

鉄の剣4、シミター、鉄の盾、鉄の槍1

革の鎧6、皮の靴6、革のグローブ6

 

 ひとしきり戦って、ボス部屋以外のすべてのエリアをクリアにした。

 

 最後に残ったボス部屋に二人で侵入して、アッサリと倒して、9階層に抜けた。

 ホワイトキャタピラーもオーバーホエルミングとラッシュ&スラッシュで何もさせずに討伐。

 

 8階層の魔物部屋、ボス部屋含めた戦果は、大量の糸と羊の毛皮、ショウガとオリーブオイルが少々。と毒針と白糸が一つずつ。モンスターカードはなし。残念。

 身代わりのミサンガ用に芋虫のカードがあと何枚か欲しいのだが。

 

 

「この階層からモンスターの数が最大で四匹になったが、大丈夫そうか?」

「はい。ご主人様がかなり早く倒してくれるので、防御を固めていれば問題ありません」

 防御を固めると口で言うのは簡単だが、かなり疲弊するはずだ。

 

 そのせいなのか、今日は体のキレがないように見える。

 特に午後からはそう感じることが多くなった気がする。

 鍛冶師のジョブに慣れてないせいなのか、鍛冶師になれて気が抜けたのか。

 Lv1になれば、従前の力が出せないのだろうが、昨日レベリングして底上げしたはずだ。

 疲労によるものか、集中力もなくなりつつある気がする。

 もう少しだけ様子見して、適当なところで切り上げるか。

 

 少し休憩して、水分補給をしながら、装備品の相談。

 

「アミルは今は硬革の鎧を使っているが、

 ダマスカス鋼製の鎧にすることもできるが、変更してみるか?」

「そうですね。今日は、このまま戦わせてもらって、明日から変更するのはどうでしょうか?

 今は、このままの状態で、もう少し攻撃や防御のやり方に慣れておきたいです」

 まあ、今、致命的な状態でもないのに、途中でコロコロ変えると逆に混乱するか。

 

「分かった。じゃあ、明日からは替えてみようか」

「はい。お願いします」

 

 休憩を終えて、9階層の攻略を開始。

 

 ザビルの9階層の新規モンスターはニードルウッドだ。ボスはウドウッド。

 雑魚モンスターのドロップ品はブランチ、レアドロップがリーフ。

 ボスのドロップはリーフで、レアドロップがワンド。

 ニードルウッドは足が遅いから逆に戦い易くなるはずだ。

 突進系が先に来てくれればカウンターで倒せるが、グリーンキャタピラーの位置取りしだいか。

 

 アミルに任せるのはニードルウッドとチープシープ。

 

 やはり、奥にグリーンキャタピラーがいる場合だけは要注意で最速の打倒を目指す。

 前衛のモンスターはオーバーホエルミングを使って、とにかくデュランダルで力押しだ。

 

 アミルもなるべく距離を取って、防御に徹している。

 この階層の方が、前の階層よりは楽が出来るはずなのだが、アミルの様子はそうは見えない。

 

 魔物部屋は俺一人で入って殲滅。ニードルウッドが多かった分、前の階層より楽だ。

 この階層は全滅したパーティはいなかった。

 装備品の転がってない床を見て、ホッとした。

 

 ボス部屋以外のすべてのエリアをクリアにしたが、アミルの疲労が濃い気がする。

 

 最後に残ったボス部屋に二人で侵入して、俺が一人で倒して、10階層に抜けた。

 ウドウッドはアミルに戦わせてみたかったが、今の状態で戦わせるのは怖い。

 

 9階層の魔物部屋、ボス部屋含めた戦果は、大量のブランチと糸。羊の毛皮とショウガとリーフが少々。オリーブオイルが一つ。モンスターカードはなし。

 

 アミルの鍛冶師はLv21になり、エネドラは商人Lv28、チクルスは薬草採取士Lv13。

 今日、一日の成長としては、十分だろう。アミルの疲労が気になるが。

 

 まだ、1時間くらいなら探索を続ける時間はあるだろうか。

 10階層の攻略には中途半端な時間だし、アミルのことを考えると、もう限界だろう。

 

「今日の探索は、これで終わろう。アミル、お疲れ様」

「はい...あまり、お役に立てず申し訳ありません」

 アミルはあからさまにホッとした表情だが、落ち込んでるようにも見える。

 この後、ちゃんとフォローしないとな。

 

 二人でワープゲートをくぐって、自宅に戻った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。