異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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013.奴隷商館巡り

 朝起きると、やはりベッドには俺一人の状態。

 俺がグータラなのだろうか。でも、この世界の人達は働き過ぎな気がするのだけど。

 比較的ブラックな職場に居た俺が思うくらいだから、キツイ労働環境じゃないのかな。

 

 でも、夜の課外活動を自粛してくれとは俺の口からは言えない。

 やはり、職場環境をブラックにしているのは、主である俺の責任か。改善の兆しが見えない。

 

 日課のストレッチをしながら、頭と体を覚醒させていく。

 まだ、早朝は寒いくらいなので、体を動かしていくと、良い感じに温まってきた。

 

 体が程よく、ほぐれた頃にドアがノックされた。

 開けると、チクルスが朝食に呼びに来たようだ。なんとも贅沢な気分。

 調子に乗りすぎないようにしないと。

 

 階下に降りて、食堂で俺が席に着くと、朝食開始。

 焼肉とスープとサラダとパン。いつもの謎のお浸し。

 和食の朝定食とは異なるが、自分にとっては贅沢な食事。有難くいただく。

 ベイルの旅亭の食事も美味しかったけど、楽しい会話しながらの食事に優るものはない。

 

 今日、一日の予定を確認しながら、雑談も交え、朝食の味に感謝の言葉を。

 チクルスとエネドラの笑顔に癒される。

 アミルの顔にも疲労の色はない。良かった。

 昨晩の俺は無意識のうちに、セーブが出来ていたのかもしれない。

 

 昨日の午後に取得した装備品の洗浄は既に終わらせて乾燥中らしい。

 洗濯も既に完了しているような口ぶりだ。

 まだ、早朝だと思うのだが、ちょっと働き過ぎじゃないだろうか?

 今日の午後はしっかりと休憩を取ってほしい。

 俺がいないときには、少しサボるくらいの心のゆとり...したたかさを持ってほしい。

 

 でも、一生懸命やってるのに文句をいう訳にはいかない。言葉選びも重要だよな。

 この三人の信頼を得られる主人になる道のりは遠い。

 

 食事を終えて、いつも通り探索の準備を終え、エネドラ達に見送られて迷宮にワープ。

 

 

 ザビルの10階層の新規モンスターはコボルトだ。ボスはコボルトケンプファー。

 雑魚モンスターのドロップ品はコボルトソルト、レアドロップがジャックナイフ。

 ボスのドロップはコボルトスクロース。

 コボルトが増えると戦い易くなるはずだ。

 突進系がかなり減ってくるが、グリーンキャタピラーだけは注意しておこう。

 

 アミルに任せるのはニードルウッドとコボルトのどちらか一体くらいにする。

 たまに三体、どちらでもないのが並ぶときは、安全そうなのを一体任せてみた。

 

 グリーンキャタピラーだけは俺が最速の打倒を目指す。

 前衛モンスターはアミルの分担を除き、オーバーホエルミングとデュランダルで力押し。

 

 アミルはコボルトの時は積極的に攻め、ニードルウッドの時は距離を取って、防御に徹する等、柔軟に対応してくれている。

 この階層はアミルの戦闘訓練には、なかなか良いのかもしれない。

 アミルも真剣に...それも充実した顔で対応している気がする。昨日とは段違いだ。

 

 魔物部屋は俺一人で入って殲滅。コボルトが多いと非常に楽チンだ。

 この階層は全滅したパーティはいなかった。

 

 ボス部屋以外のすべてのエリアをクリアにしたが、アミルの顔色も悪くない。

 昨日のことを考えて、ついつい、アミルの表情を見てしまう。

 体のデカい俺が、小柄なアミルをチラチラ見るとか、完全に挙動不審者の様相だ。

 

 最後に残ったボス部屋に二人で侵入して、アミルにコボルトケンプファーと長めに戦ってもらった後、俺が止めを刺して、11階層に抜けた。

 

 10階層の魔物部屋、ボス部屋含めた戦果は、大量のコボルトソルト、ブランチ。糸とジャックナイフ、羊の毛皮が少々。コボルトスクロースとショウガが一つずつ。モンスターカードはなし。

 

 エネドラは探索者のLv7まで上がった。

 低レベルだったので、ぐんぐん上がって気持ち良い。

 

 小部屋で水分補給して、少し休憩した後、11階層の攻略を始めた。

 

 ザビルの11階層の新規モンスターはミノだ。ボスはハチノス。

 雑魚モンスターのドロップ品は皮。

 ボスのドロップも皮なので、素材収集の階層だ。

 突進系がまた増えたので、うまく相手側の戦線を崩しながら、倒していく。

 グリーンキャタピラーの出現頻度が減るので、少しは楽かもしれない。

 

 アミルに任せるのは前の階層と同じくニードルウッドとコボルトのどちらか一体。

 突進系は俺がカウンターかオーバーホエルミングを使って、スラッシュで倒す。

 

 たまに出るグリーンキャタピラーは俺が倒すのだが、後衛で出ることは少なく、楽だった。

 カウンターか、デュランダルの力押しで前線を押し上げていくスタイルで結構、気持ちよい。

 

 アミルは前の階層のスタイルを踏襲して危なげなく戦っている。今日は好調のようだ。

 鍛冶師のレベルも上がってきているので、一撃一撃の攻撃が重くなっている気もする。

 それでも俺とは武器のグレードが違うので、一撃で倒すことは出来ない。

 

 魔物部屋は俺一人で入って殲滅。ミノが多いとなかなかの迫力だが、慣れたものだ。

 この階層は全滅したパーティはいなかった。ミノの階層だから、ちょっと意外だった。

 

 ボス部屋以外のすべてのエリアをクリアにした。そして、アミルの顔色も問題なし。

 午前中は気持ちよく終われそうだな。

 

 最後に残ったボス部屋に二人で侵入して、俺がハチノスの正面を取って牽制しながら、アミルに横から攻撃させつつ、最後は俺が倒して、12階層に抜けた。

 

 11階層の魔物部屋、ボス部屋含めた戦果は、大量の皮、コボルトソルト。ブランチと糸とジャックナイフが少々。リーフと羊の毛皮が一つずつ。モンスターカードはなし。

 今日は午前のみだから、カードのドロップがないのは仕方がない。

 明日以降は、3迷宮をローテーションだから、期待しよう。

 

 アミルの鍛冶師はLv26になった。

 大した期間、探索してないが、レベルだけなら中堅の鍛冶師だ。

 ほとんど装備品を生成していないから、そちらの経験も積ませないとな。

 ただ、素材が皮しかないので、なんとか調達しなければならない。

 

「アミル、今日はこれで迷宮探索は終了だ。今日の戦いは結構、良かったのじゃないか?

 槍もうまく使いこなせていたし、重装備の鎧に変わったけど、動きも悪くなかった気がする。

 見てて安心感があったぞ」

「ありがとうございます。

 武器も防具も良いものを使わせて頂いています。

 探索者だった頃よりも、かなり余裕があるように思えます」

 アミルの表情は明るい。この調子をキープしていきたいものだ。

 

「じゃあ、帰ろうか」

「はい」

 昼ごはんの時間でもあるので、俺達は自宅の玄関にワープした。

 

 エネドラ達に声掛けをして、二階に上がって着替え。

 汗もかいたし、体を拭き、顔を洗ってさっぱりしてから、食堂に向かった。

 やっぱり、帰ってすぐ昼食が取れるのは、嬉しい。朝あれだけ食べても、昼には腹ペコだし。

 

 そして、俺より先に席に着いて待ってる三人。アミル、早過ぎじゃない?

 俺が席について、昼食開始。

 

 軽めと言っていたものの、それなりのボリュームの食事だ。

 でも美味いし、腹ペコの俺には丁度良い量だったりする。

 エネドラ達も十分な食事が取れているせいか、血色が良くなってきた気がする。

 何より表情が明るくなったのが良い。見てるこっちの方が元気をもらえている気がする。

 

 午前中のそれぞれの出来事を共有。

 と言っても、迷宮探索は順調だし、エネドラ達の家事も順調。ほとんど雑談みたいなものだ。

 エネドラの探索者がLv10になったことを伝えたら、驚いていた。アミルと同じだな。

 

 装備品の洗浄と乾燥が終わったと、チクルスが教えてくれたので、後で回収しておこう。

 

 昼食を終えて、二人に感謝の言葉を伝え、俺は外出の準備。

 今日は良いメンバに巡り会えるだろうか?

 12階層からは敵モンスターが強くなるらしいので、早めに前衛を一人補強したいところだ。

 

 一階に降りて、三人に見送られて、俺はビッカーの商館に向かった。

 玄関から普通に歩いて外出するのに、見送られるのは初めてではないだろうか。

 

 新婚の夫婦みたいで、こそばゆい。三人に...というところがちょいアレだが。

 

 ビッカーの商館に行き、ドアをノックし、出てきた店の者に用向きを伝えた。

 すぐに応接室に通され、さほど時間が経たずにビッカーがやってきた。

 

 ベイルの街の賑わいなど、たわいもない雑談をしてビー玉4個を納品した。

 ビッカーはニコニコ顔だが、これって、高値で売れるものなのかな。

 次の納品も30日後くらいに4個取引したいと希望が出された。

 

 雑談がてら、街の様子を尋ねたが、迷宮が出来てから探索者や盗賊の街への出入りが増えたようで、良くも悪くも街が活気づいているとのこと。

 ただ、盗賊の方は一時かなり増えて治安が悪化したようだが、最近はかなり討伐されて数が減ったとのことだ。

 まだ治安が良いとまでは言えないので、「お気をつけて」と言われた。

 この近辺の盗賊をかなりの人数狩っているので、なんとも言えない気分だったが、忠告には感謝の言葉を述べ、商館を立ち去った。

 

 コボルトハンターの宿屋に出向いたが、当然、この時間は迷宮に行っていて不在だった。

 取引可能なものが入手できたか確認したい旨のメモを店主に渡してもらうことにした。

 明日、また確認に来ることを伝えて、宿屋を後にした。

 

 次は奴隷商館か。

 紹介状はクーラタル、帝都2つ、ドブローと4つもある。良いメンバを見つけたい。

 まずは、クーラタルの冒険者ギルドにワープ。

 

 商館を訪ね、紹介状を渡して用件を伝えた。

 応接室で待たされ、店主がやってきた。奴隷商人Lv12。

 女性の戦闘奴隷を探している旨、伝えた。

 

 候補となる者のいる部屋を複数見て回ったが、ピンと来るものは残念ながら居なかった。

 前にアミルを迎えた時に、契約を見送った娘達と同じような感じなんだよなぁ。

 まあ、それが標準的なのかもしれないが。まだ一軒目、焦ることはないだろう。

 

 店主に礼を言って、店を後にした。次は帝都の冒険者ギルドにワープ。

 

 帝都の一軒目の商館。

 帝都だけあって、塀に囲まれた立派な建物。

 紹介状を渡して、応接室で少し待たされ、店主が現れた。奴隷商人Lv6。

 女性の戦闘奴隷を探している旨、説明したところ、帝都の奴隷需要を説明してくれた。

 

 何か、この商館は原作の猫人族の娘を置いていた店のような気がする。

 期待が持てるだろうか?

 いくつかの部屋を案内されたが、お眼鏡にかなう者がおらず、原作の猫娘も居なかった。

 帝都でも、こんなものなのかな。

 年明けのこの時期は税金対策の後で、供給の方が多いのではないかと思ったのだが。

 

 名残惜しそうな店主に礼を言い、店を後にした。次は帝都の二軒目だ。

 

 今度の店は、先程の店よりは大きいが、なんというか質実剛健というか派手さがない。

 紹介状を門番に渡して、用件を伝えた。ちょっと慣れてきたというか飽きてきた。

 

 応接室に入ると、既に店主が待ち構えていた。初めてのパターンだ。奴隷商人Lv38。

 レベル高いな。でも見た目は優男っぽい感じ。にこやかな顔をしているがスキのない風体。

 

 女性の戦闘奴隷を探している旨を伝えると、こちらの探している要件を質問してきた。

 やっぱりレベル相応なのか、自分が迷宮に潜っているからなのか。

 

 希望は前衛向けで、回避、攻撃力、その他、尖った能力を持つ者を探してることを伝えた。

 店主は少し考えて、三人ほど候補がいるということで、面談をセットしてくれた。

 

エミリ(人間族 女性 23才 奴隷)

僧侶Lv12

 

アテナ(人間族 女性 22才 奴隷)

戦士Lv11

 

ヴィルマ(虎人族 ♀ 17才 奴隷)

獣戦士Lv13

 

 面談前の店主の予備情報としては、

 

 エミリは生粋の前衛職ではないが、僧侶としての経験があるので推薦。

 アテナ、ヴィルマは経験豊富な前衛職。

 アテナは尖った能力こそないがバランスが良く、多くの武器を器用に使いこなせる。

 ヴィルマは性格に難があるものの、回避力と攻撃力がそれなりで対人戦闘も経験あるらしい。

 

 対人戦闘に引っかかりを覚えて確認すると、隣国との戦闘で捕虜になった奴隷とのこと。

 性格に難アリというのは、主人を選ぶ奴隷で、強さ至上主義の信条の持ち主。

 

 個別の面談では、

 エミリもアテナも迷宮攻略には乗り気で、待遇がそこそこであれば、特に契約には問題無し。

 ヴィルマは、「弱い主人の下では働きたくない」とハッキリ宣言。

 強気というか協調性がない?...というのか何だろう?

 あと、狼人族じゃなくて、虎であっても、獣戦士?二周目特典の種族?よく分からん。

 虎の方が、百獣王になった時、狼よりは親和性がある気もするけど。

 

 ヴィルマは回避も攻撃も高い水準だと自称している。鑑定では確認できないけど。

 だが、この年齢で、獣戦士がこのレベルというのは、かなりの逸材ではないか。

 見方によっては、原作の狼人娘よりもレベルが上...ゲーム感覚だが。

 

 今日、決断する訳ではないので、主人を呼んで、値段を確認すると共に、ヴィルマの発言について質すと、主人は少し苦々しい顔つきになり、少し経緯を話してくれた。

 

 ヴィルマは隣国との小競り合いが発生した際に活躍した相手国側の戦士で、帝国側に結構被害を与えたのだが、隣国側が敗走した際に捕虜となって奴隷に落とされたらしい。

 

 商館に来てからは、日々トレーニングする等、戦士の心構えは立派だが、契約する主人に対しては見下したような態度を取るので、なかなか売れずに残っているらしい。

 

 獣戦士なので、本来は高値なのだが、性格の問題もあり、販売価格はかなり値引いてくれるそうだ。なお、3人ともブラヒム語は問題ないそうだ。

 

 価格は、エミリ19万ナール、アテナ20万ナール、ヴィルマ23万ナール。

 何か、この世界の奴隷たちは原作の奴隷達の値段より、かなり安く感じる。

 戦争が多いせいで、供給が多いのだろうか?

 それにしては、前に回った商館では、奴隷が少なかったような気もする。

 

 ただ、店主は「ヴィルマは契約を嫌がる可能性もあるので...」と。それで良いのか?

 

 戦士アテナ...響きは良いけど、能力というか第一印象は惹かれるものがないな。

 見た目は三人とも水準以上だとは思うのだが。

 みんな金髪だ。こっちの世界は金髪が多いな。ヴィルマは少しくすんだ金髪だが。

 まあ、保留かな。決まる気がしなくなってきた。

 

 今日のところは保留ということで、店主に礼を言って、店を後にした。

 

 ドブローの冒険者ギルドにワープ。最後の商館を訪れることにした。

 

 ドブローの商館は、今まで訪れた商館の中ではかなり小さい方だ。

 守衛もいなかったので、ドアをノックして、出てきた者に紹介状を渡して用件を告げた。

 

 応接室に通されると、すぐに店主がやってきたので、挨拶を交わす。奴隷商人Lv16。

 前衛向けの戦闘奴隷を探している旨、伝えると、今は候補者がほとんどいないそうだ。

 なにやら、護衛用の奴隷を探してる商家が多く、かなり売れてしまっているらしい。

 

 一人だけ候補がいるのでということで、いきなり会うことに。一人しかいないの?

 

イレーネ(豹人族 ♀ 17才 奴隷)

戦士Lv15

 

 戦士Lv15...は即戦力で良いのではないだろうか?

 さきほど、帝都で見た人間族の娘よりも若い割にレベルが高いから、見どころがある?

 黒っぽい髪の少し痩せて引き締まった感じだ。そう、女豹といえば女豹か。

 黒い女豹?いや、肌の色が黒くはないから、黒豹ではないな。

 容姿は良いが、少し態度が蓮っ葉な感じか。

 

 俺は、店主に豹人族の彼女のことをブラヒム語で尋ねた。店主によると、

 

 イレーネは隣国の国境にあるどちらの国にも属してない山間の村落の戦士だったらしい。

 村は主に狩猟で生計を立てていたのだが、ある時期、猟がかなり不猟な時期があり、その村が越境して隣の村の猟区に獲物を狩りに行ってしまった。

 イレーネはその越境しての猟に参加していて、隣村の戦士団(自警団?)に村の仲間が捕まりそうになったところを、殿を務め、仲間は逃がしたが自分は捕まってしまった。

 

 禁猟を犯したので、犯罪奴隷に落とされ、売られてここに来た。どこかで聞いたような話?

 でも、山賊ではなく、戦士ということは神様が許してくれた?

 山賊のまま売られることはないのか?よく分からない。

 暴力的ではないが、気が強くて、なかなか買い手がつかないらしい。

 

 バーナ語は話せるが、ブラヒム語はうまく話せず勉強中。勉強態度は悪くはないらしい。

 ブラヒム語がどこまで理解出来るかと思って、店主にブラヒム語で話をしたのだが、あまり理解している感じではなかった。

 というか、こちらの会話に興味がなさそうにも見えたが。

 原作の猫娘は空気が読める娘だったが、こちらは空気を読めない娘?

 

 さっきは戦争奴隷(捕虜)で、今度は犯罪奴隷か。そして性格に難アリと。

 売れ残っているのは、それなりの理由があるということか。

 

 店主に相談して、イレーネと1対1の面談のセッティングをお願いした。

 

「いくつか質問があるので、教えてほしい」

 

「俺の戦闘奴隷になる気はあるか?俺は迷宮探索をしているのでメンバを探している」

「腹いっぱい肉を食わせてくれて、戦わせてくれるなら構わない」

 この娘は魚ではなく、肉と。

 

「迷宮に潜っていたことはあるか?あるなら、何階層くらいで戦っていたのか?」

「出稼ぎで迷宮の探索者について回ったことがある。13階層までは戦ったことがある」

 

「元居た村に帰りたいか?」

「貧しい村なので、帰っても食い扶持がない。帰ってこられても邪魔になるだけさ」

 

「戦う時の得物は何だ?何のジョブをやりたいとか希望はあるか?」

「片手剣が得意だけど、剣が振り回せるなら何でも良いよ」

 

 非常に分かりやすい。原作の猫娘を硬派にした感じ?悪くない気がする。

 魚ではなく肉さえ与えてれば、やる気はあるので、どうとでもなるのだろうか。

 

「分かった。店主と相談して、明日には決める。もし来ることになったら、よろしく頼む」

「はいよ」

 

 異世界言語では豹人族の言葉もバーナ語と。そういえば、さっきの虎娘も同じだった。

 やっぱり言葉が通じるとやりやすいな。でも、ブラヒム語は覚えてほしい。

 あと、言葉が少し荒っぽい気がする。田舎のヤンキー臭い。ぶっきらぼうとも言うか。

 

 虎人族は種族固有ジョブが狼人族と同じらしいが、豹人族も同じなのだろうか。

 まあ、エステルも犬耳のセントバーナードっぽい容姿だとか言ってたし、今回の世界では細かく種族が分かれただけなのかもしれない。

 今後、エステルに会う機会があるとは限らないが、会えたら鑑定で確認してみよう。

 

 面談を終え、店主に価格を確認した。

 

 性格とブラヒム語に難があるので、容姿の良さから差し引き、23万ナールが提示額だった。

 ジョブのレベルと比較すると値段は安いな。言い方がちょいアレだが、B級品?

 ちなみに処女の初年度奴隷だとボソッと言い放ちやがった。どうしても売りたいらしい。

 そんなものか。まあ、アリといえばアリか。

 

 家族の了承も必要なので、明日、家族を連れて、最終面談で決めたいと伝えた。

 店主は了解して、「是非、ご検討を」と丁寧なお辞儀をして、俺を出口まで見送ってくれた。

 

 エネドラに何と説明したものか。戦力の高そうな者を選んだとでも言っておこう。

 明日の最終面談で、「やっぱり、見た目の好みで選びましたね?」と言われそうだが。

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