商館を出たが、まだ日暮れまでには時間がある。
せっかくドブローに来たので、ダマスカス鋼の工房に行こう。
で、工房に行ってみたが、またも留守だった。どうも、タイミングが悪いな。
仕方ないので、武器屋、防具屋を巡り、掘り出し物のチェックをしよう。
前回から時間があまり経ってないので、望み薄だが。
まずは、防具屋から確認。
空きスロットの多いもの...3つ以上のものはなかった。
ただ、竜革の靴(空)があったので、硬革の靴(空)と共に購入した。
靴やグローブは手持ちの防具が、まだ貧弱なんだよな。
盗賊討伐や魔物部屋での取得物を流用してるからだけど。
次は、武器屋...こちらは、品ぞろえが前回とほとんど代わり映えなし。残念。
店主が暇そうにしていたので、少し声をかけてみた。
前回は、防具屋の主人に紹介状を書いてもらったが、こちらでも情報収集してみよう。
「ダマスカス鋼の武器を探しているのだが、
ドブローにダマスカス鋼の工房を構えてる鍛冶師がいるのは何か理由があるのか?」
「腕利きの冒険者がいて、ダマスカス鋼の素材をよく取ってくるのと、
その冒険者が懇意にしている鍛冶師が居て、その工房で沢山作るからだな」
そんなことがあるのか。
ドブローは絨毯の生産地だったっけ。
クーラタルほどではないが、栄えているから、腕の良い冒険者や鍛冶師が居るのかね。
「そうか、次にダマスカス鋼の武器が大量に入荷する時期とかは分かるか?」
「はぁ?今の店頭に並んでいるのが、売れてからだな。
遠方から買い付けに来る商人がいつ来るか次第だな」
「そうか、ダマスカス鋼の工房の紹介状をもらって行ったのだけど、留守だったのだよ」
「そうかい、まあ、一見さんお断りだから、行ったところでどうにもならないと思うがな」
店主はバッサリと俺の希望を断ち切ってくれた。まあ、諦めないけど。
店主と雑談を続けていると、ガッチリしたドワーフの戦士っぽい男が入店してきた。
「丁度、お前さんの噂をしていたところだよ」
店主はニヤニヤしながら、ドワーフの男に話しかけた。これが例の工房の店主か?
胡散臭げな顔で俺のことを見てくるが、俺は断じて悪くない。
悪くないのだから少し顔をあげて、胸を張ってから会釈をした。
「その武器をちょっと見せてくれ」
ドワーフの鍛冶師の目が鋭くなり、俺の左の腰に差していたフラガラッハを指さした。
胸を張ったら、マントがはだけて見えてしまったようだ。
「ちょっと武器鑑定させろ」
横に居た武器屋の店主も、フラガラッハに気づいたようで余計なことを言ってきた。
ボーナス装備を見られてしまった。
念のため、あまり知らない街では緊急対応用に差していたのが裏目に出た。
「これは先祖の伝世品なので、悪いが、他人には触れさせられないな」
俺は慌てて、マントでフラガラッハを隠しながら言い逃れ。
「それ程の業物なら、まあ、そうだろうな」
鍛冶師の方は大きく頷きながら、引き下がった。空気を読んでくれてありがとう。
「そんな立派な武器があるのに、なんでまだダマスカス鋼の武器を購入するんだよ?」
武器屋の親父が余計な突っ込みを入れてくる。空気読めよ。
「パーティメンバの装備品を強化するためとか、いろいろあるんだよ」
適当にお茶を濁した回答。
「ダマスカス製の武器をたくさん買い求めるってことは、貴族の末裔か縁者か何かか?」
「ただの自由民の探索者だ。貴族でも何でもない」
と答えた後に、自由民は余計だったと気づいた。
身分を簡単に明かすものではないよな。
「優秀な鍛冶師の知り合いでもいるのか?もしくは金持ちのパトロンとか?」
ドワーフの鍛冶師は、何か考えながら、俺に質問を投げかけてきた。
どういう話の流れだ?
「別にパトロンはいないが、鍛冶師の伝手はある。
スキルつきの武器は自分達のパーティを強化する目的で作成を試みているだけだ」
ルークに言ってるのと同じ言い訳で離脱を試みる。このまま話し続けるとボロが出そうだ。
「優秀な鍛冶師がいるのなら、紹介してほしいのだが...」
「はぁ?あんた、ダマスカス鋼の工房の主だろう?あんたこそ優秀な鍛冶師じゃないのか?」
言っている意味がよく分からない。
「お前さんより優秀な鍛冶師をこの辺で見たことないぞ」
武器屋の店主も嘴を挟んできた。もっと云ってやれ。
「業物を作れても、スキルの付与はカードを入手できないと、どうにもならない。
ドブローではそれが難しいんだよ」
オークションはクーラタルが盛んだけど、ドブローだとカードはドロップ依存って事?
ドワーフの鍛冶師の話では、ダマスカス鋼の素材を持ち込んでくる懇意にしているパーティがいるのだが、そいつらのためにスキルつきの武器を贈りたいらしい。
話を聞く限りだと、商売はあまり上手ではなさそうで、カードは入手できないし、伝手もないので、ちょっと困っているらしい。
と言われても、俺も自前で使うカード集めに四苦八苦しているところだ。
「ダマスカス鋼の武器にスキルの付与されたものを入手してきたら、
ダマスカス鋼の武器や防具をお前に融通してやってもよいぞ」
これは一考の価値が...というか、紹介状もらってからの一連のサブクエスト?
「知り合いの鍛冶師に相談してみないと分からないな。どんな装備品を贈りたいのか?」
「攻撃力が上がる両手剣か防御力が上がる防具...鎧や盾だな」
物理に特化したものか。普通と言えば普通だな。
「サイクロプスかスライムか。うーん、こればっかりは数をこなさないと出来ないからな」
「まあ、そうだろうな。ある程度の数のカードがないと無理だろう」
「用意してくれたら、
俺の工房にある武器と防具を5つずつくらいなら好きに選んで持っていっても良いぞ」
まあ、欲しいかどうかは、空きスロットの数次第だな。
っていうか、通常は10回に1回しか成功しないから、スキルつきの武器を1個渡して、装備品を10個もらっても、カード分だけ普通は損するじゃないか。
まあ、素材をたくさん使っている高そうな鎧とか大楯なら、元が取れるのかな。
更に俺達の場合は融合に失敗しないから、赤字には絶対ならないのだが。
「じゃあ、相談して入手出来そうだったら、この店に来るってことで良いか?」
「おお、頼むぞ。期待しているから」
オヤジ二人の暑苦しい、にこやかな顔に見送られて店を後にした。
引き受けた以上は、スキルつきの武器を持ってこないと、ここで買物しづらいし、ダマスカス鋼の工房にも顔を出しづらくなるな。
自宅に帰って、エネドラやアミルに相談するか。
まあ、考えようによっては悪くないサブクエストか?
予想以上に時間を使ってしまったので、慌てて近くの木陰から自宅にワープ。
食堂の二人に声掛けして、二階に上がった。
アミルは作業部屋に居るっぽいから、ミサンガでも作っているのかな。
今日から夕飯の準備が出来たら呼びに来てくれる事になったので、汗を拭いた後、マッタリ。
エネドラ達に石鹸の作り方をレクチャーする予定だったのに、時間切れになってしまった。
会議の後にでも実演するかな。
前に石鹸を作った時のメモを探し出して、念のため原作のチェックも行う。
これなら、大丈夫だろうか。
チクルスが呼びに来たので、一緒に階下に降りた。
俺が席に着くと、夕飯開始。
今日の献立も美味そうだ。
夕食が始まり、雑談をしながらも午後の内容をお互いに共有。
俺は、まず奴隷商館巡りが遅くなり、石鹸作りのレクチャーが出来なかったことを詫びた。
エネドラ達が笑って問題ないと言ってくれたが、まあ、ケジメだ。
会議の後に時間を作って、レクチャーする旨を伝えた。
あれっ?これって、サービス残業?...うーん、社長としては、いかがなものか。
次に俺は、探索メンバ候補の件を話題にした。
「二人候補がいて、実力はありそうだけど、正直なところ、性格に少し難がある。
明日、エネドラ達にも面談で確認してほしい」
「分かりました。旦那様を侮っているのでなければ大丈夫だと思います。
探索者なので、粗暴なのは多少は大目に見た方が良いかもしれません」
エネドラの方が俺よりも、肝が据わっている気がする。
うーん、ヴィルマはその理屈からするとNGかな?まあ、会ってから判断してくれ。
「明日は午前中は迷宮を探索して、午後は面談に行くことにしよう」
「あとは、ドブローでちょっと鍛冶師と話す機会があって、
スキルつきの武器の依頼を受けた。この後の会議で相談させてくれ」
「承知しました」
エネドラが応じて、残りの二人が頷いた。君達、仲良いね。
あとは、チクルスの生薬生成や、アミルが少し多目にミサンガを作ったことを教えてくれた。
肉をがっつり食べて、果物を最後に頂いて、ハーブティーで口直しをし、夕食を堪能した。
エネドラ達に感謝の言葉を伝えて、俺は風呂場に直行した。
今日は湯張りだから、少々時間がかかる。
とはいえ、慣れたものなので、淡々とウォーターウォールを立てて、合間にストレッチ。
適量溜まったところで、ファイヤーウォールに移行して、サウナモード。
そういえば、初めのうちは怯んでいたエネドラ達も、今や風呂を楽しんでるみたいだな。
まあ、なかなか、この気持ちよさは味わえないだろうから。
適温になったので風呂を出て、食堂の三人に声掛けしてから風呂モードに。
頭と体を洗って、湯舟にドボンと。
明日はエネドラ達からOKが出るか分からないが、最低でも一人は決まると良いな。
12階層からはモンスターも強くなると原作にもあったし、二人ではきついかもしれない。
特にアミルが。元々、探索者としての経験も浅いので、前衛主体の戦闘はキツイだろう。
ヴィルマでもイレーネでも、前衛がピシッとはまれば、アミルは中衛に置いて、三角形の陣形で探索を進めても良いと思ってる。
ヴィルマもイレーネも戦闘が得意と言っても、俺ほどの突破力はないだろう。
一人が支えてる間に、俺が突破して、後衛を潰して戻ってくるというパターンが出来れば、33階層くらいまでは大丈夫なのではないかと思っている。
その時までには、最低でもパーティメンバが四人になれば、なんとかなるのではないか。
明日になれば決まるので、エネドラ達の判断を楽しみに待とう。
風呂を出て、女性陣とバトンタッチ。俺は食堂で会議の準備メモ作成。
女性陣が風呂から出て、食堂に集まったので、会議を始めた。
と言っても、昨日ほどは議題は多くない。
まずは、明日の予定。迷宮組は明日から12階層の攻略。
12階層からは手強くなるし、迷宮自体も広くなるはずので、クーラタルの攻略とベイルの攻略をすると、昼食の時間をかなりオーバーすると予想。
午前中は適当なところで切り上げて、午後に続きをするかもしれないと伝えた。
エネドラ達は午前は今日と同じように過ごしてもらい、余裕があれば石鹸作りに挑戦。
午後は、迷宮探索に区切りをつけ、新メンバ候補のいる商館に行き、四人で面談する。
あとは、その結果次第で柔軟に対応する。
迷宮メンバ候補が誰も決まらなければ、今日の午後と同じように過ごしてもらう。
もし、誰か決まれば、家具の調達や掃除等の対応になるだろうと伝えた。
三人からは特に異論がなかったので、明日の予定はおおよそ確定。
あとは、ドブローのダマスカス鋼の工房の話について。
今日出会った鍛冶師との話をざっと説明して、ダマスカス鋼の装備品を調達するために、その鍛冶師に装備品を納品したいと伝えた。
納品する候補は激情のダマスカス鋼剣。
ダマスカス鋼の両手剣に、サイクロプスとコボルトをモンスターカード融合したもの。
手持ちの空きスロット付きの装備品とモンスターカードから他に良い選択肢がなかったから。
納品後の交渉は、俺に一任してほしいと伝えた。
ちょっと気難しそうな相手なので、俺単独の方が良いだろうと。
エネドラ達からは、特に議題がなかったので、これで会議自体は終了だろうか。
というか、エネドラは会議終了後の石鹸作成の方に興味が移っているようだ。
獲物を狙う目になっているぞ。
「じゃあ、これで今日の会議は終わりにしよう。
これから、石鹸の作成方法を実演するけど、大丈夫かな?」
「はい、旦那様。よろしくお願いいたします」
「まずは、この鍋にお湯を沸かしてもらって良いかな」
前回、俺が作った手順を説明して、お湯が沸いた後に、その内容を実際にやってもらった。
沸騰してお湯の入った鍋に、ミルで削ったシェルパウダーを投入。
ぶくぶくと泡が出てくる。
で、泡が少なくなってから、コイチの実のふすまを投入。分量は俺がやった時とほぼ同量。
かき混ぜながら少しずつ入れていくと、褐色のドロドロの液体ができる。
エネドラにやってもらわなければならないので、チクルスに鍋を持ってもらい、エネドラがかき回す。
ひたすらかき混ぜて、なるべくドロドロにしてもらう。
ある程度、均一に混ざって、柔らかくなったところで、いったん鍋を火から遠ざけて、冷ましておく。
「これで終了だ。だいたい理解できたかな?」
「思っていたよりも、単純な作業なのですね。
お風呂場で使ってるものとは、かなり異なる感じですが」
「そうだな。あちらは、かなり品質の良い石鹸だ。こちらの方は改良していく必要があるな」
「そうですね」
「改良する点は、冷ました後にどの程度、石鹸が固まっているか、
材料の割合を変えて、固まり具合が変わるかなどを確認する感じだろうな。
他には、今回の材料に香料とか果物を絞ったもの等を加えて、香りづけする工夫だな」
「なるほど、商品として考えた場合は、高級感がある方がよいですものね」
「ああ、そうだ。色合いも重要かもしれない。出来れば、色は白い方が良いだろう」
「なるほど。工夫のし甲斐があるかもしれません」
「これでエネドラも錬金術師のジョブを得られたので、ひとまずは石鹸作りは成功だと思う」
「錬金術師ですか?それは何か生産ができるジョブなのでしょうか?」
「いや、生産職ではなさそうだ。
メッキという迷宮で一度だけ、モンスターからの攻撃を軽減できるスキルが使えるくらいだ」
「そうですか。錬金術師の上位のジョブ等はあるのでしょうか?」
「上位のジョブは分からないな。
錬金術師が石鹸みたいな迷宮と関係のない品物を生成することでジョブが得られたので、
上位のジョブも何か希少な品物を生成しないとジョブが得られないのではないかと思ってる」
「それは、また難しそうですね」
「ああ、だから、上位のジョブは特に取得出来ると思っていないし、
取得したいとも現時点では思ってない。迷宮攻略に役立つかも疑問だしな」
「分かりました」
「ご主人様は迷宮攻略しか、興味がないですものね」
全くの図星の指摘に、ぐうの音も出ません。
「話は変わるが、鍛冶師の上位のジョブに隻眼ってあるじゃないか?
そのジョブに就いている者は、この国でも少ないよな?」
「そうですね。非常に少ないと伺っています」
「隻眼も、ただ鍛冶師が迷宮で戦って経験積んでるだけではなれなくて、
特殊な条件を満たさないとなれないのじゃないかな?
例えば、スキルつきの装備品を100個作成に成功するとか」
「なるほど。鍛冶師になるのにも、特殊な条件の戦闘を満たす必要がありましたが、
あれは探索者のジョブの時の話ですから。
鍛冶師としては、ご主人様がおっしゃった条件もあり得るかもしれないですね」
アミルはさすがに鍛冶師ネタには食いついてくる。
「モンスターカード融合は、運とカードを多く集める財力や、有力者の支援が必要だから、
なかなか取得できる条件を満たす者が現れないのではないかと思っている」
「ご主人様の予想通りの取得条件だと、確かに達成できる鍛冶師は限られるでしょうね」
「ああ、だが、こちらはモンスターカード融合に有利な条件を整えらえるので、
もしスキルつきの装備を多く製造することが条件なら、達成できるかもしれないな」
「まだ、鍛冶師になったばかりですから、隻眼なんて遠い話ですけど」
さて、それはどうだろうな。
三人におやすみの挨拶をして、各自、自室に戻ることにした。
アミルには、皮素材を使った装備品について、俺の方から要望を出した。
ちょっと込み入った話だったので、作業部屋の方で少しだけ話をした。
残業させてスマンね。作るのは明日からで良いから。
アミルの方は、嬉しそうに俺の要望を叶えてくれそうだったので、ヨシとしよう。
当面の計画と進捗のアップデート
①新規ジョブ取得とレベリング :アミル、エネドラ、チクルスをレベリング
⇒取得可能なジョブはほぼ取得済。俺自身のレベリングはほぼレベルキャップまで実施
⇒鍛冶師は通常部隊で優先的にレベリング
⇒エネドラは武器商人獲得に向けて探索者、チクルスは薬草採取士を小荷駄隊でレベリング
②資金集め :元の世界から持ち込んだ物品の値付け
⇒ビー玉は2個で13000ナール(残り44個)
⇒次回から4個単位で売却。次回は30日後、ビッカーに納品
⇒ルークと1枚15万ナール、2枚で39万ナールで取引実施(残り8枚)
⇒次回以降も2枚単位を希望(取引予定は未定)
③資金集め :魔結晶の結晶化促進(資金に使うか拠点に使うかは要検討)
⇒1日1300ナールほどの魔結晶は可能(レベリングを犠牲にしたボス周回で改善可能)
④パーティメンバの拡充(1人~2人) :避けタンクか、暗殺者候補、竜騎士候補か?
⇒紹介状をもらったので、来訪済。明日、メンバ候補二人とエネドラ達が面談
⑤拠点の確保 :ベイルの賃借した家で試行(一カ月契約)
⇒アミル、チクルスでリーダをローテーションしながら、各種生成を行う
⑥モンスターカードの購入の窓口確保 :ルークに依頼中
⇒コボルトハンターとの伝手は入手済。商人ギルドに出向き、ルークに大量依頼中
⑦鍛冶師による装備の作成 :順調だがモンスターカードがボトルネック
⇒アミルが鍛冶師のジョブを正式に取得
⇒妨害の剣6本セット、身代わりのミサンガ2つ、硬直のエストック作成済
⇒カードが集まったら、魔法使い用の装備強化をする
⑧ベイル以外の街の確認及びワープ地点の拡大 :次はペルマスクに行ってみる
⇒ザビルまでは到達済。ペルマスクは未。ボーデ方面も未
⑨装備品の充実 :攻撃力、防御力の強化。空きスロット付き装備品の充実
⇒掘り出し物チェックの街巡り。ドブローのダマスカス鋼の工房の来訪は納品後
⑩石鹸の作成 :中断中
⇒石鹸を試作して、普段使いや販売に。エネドラが挑戦予定で、俺のレクチャーは完了
⑪ダマスカス鋼の工房からの依頼 :実施中
⇒激情のダマスカス鋼剣を作成して、明後日に納品する予定
明日の予定
(午前)
・俺 :クーラタルの迷宮(12階層)/ベイルの迷宮(12階層)
・アミル :クーラタルの迷宮(12階層)/ベイルの迷宮(12階層)、(朝:装備品作成)
・エネドラ :朝食、昼食の準備、洗濯、時間あれば石鹸試作
・チクルス:朝食、昼食の準備、洗濯、生薬生成
(午後)
・俺 :ベイルの迷宮(12階層:続き)、商館面談、コボルトハンターの宿に訪問
・アミル :ベイルの迷宮(12階層:続き)、商館面談、装備品作成
・エネドラ :夕食、朝食の準備、(掃除)、商館面談、時間あれば石鹸試作
・チクルス:夕食、朝食の準備、(掃除)、商館面談、生薬生成
※夜は定例会議
明日からは、いよいよ12階層の迷宮探索だ。
12階層の新規モンスターは手ごわいと原作にもあったので、要注意だ。
クーラタルはサラセニアで、ベイルはロートルトロールのはず。
ベイルのボスモンスターはロールトロールで、原作では石化で対応していたが、暗殺者がいないとちょっと手ごわい印象だ。俺一人で片づけた方が良いかもしれない。
やはり、前衛がもう一人欲しいところだが、焦って決めても仕方ないしなぁ。
他にも何か使えそうな手はないだろうか。
メンバ追加以外には良いアイディアが思いつかない。
12階層が思った以上に手強ければ、装備品の強化を待って、11階層で鍛錬も止む無しか。
ボーっと考えを巡らしていると、ドアがノックされた。
ドアを開けると、エネドラが居た。今日は一人のようだ。少しホッとした。
・・・・・・・
エネドラをダウンさせて、まったりと、賢者モード。
(カタン..)
うん?まさか、このタイミングで盗賊?...索敵!...?
ダウンさせたエネドラに掛け布団がかかっているのを確認して、俺は慎重にドアに近づく。
ドアを静かに開けると、壁にもたれて座ってるアミルがいる。
真っ暗なはずだが、鬼人族の俺は夜目が利く。
アミルがどんな恰好で何をしていたか丸わかりだ。
でも、俺はジェントルマンなので、そんな無粋な指摘をしたりはしない。
「誰?どうかした?」
しらばっくれて、質問をしてみる。俺は空気の読める男なのだ。
「ちょ...ちょっと、トイレに行こうかと...」
アミルから挙動不審な返事。確かに、俺の部屋と廊下を挟んで向かいにはトイレが2つある。
ちょ...ちょっとアミルが凄く可愛く感じる。
自室の照明のスイッチを入れると、廊下に少し明かりの光が入った。
これで、お互いの顔が見えるようになった。
「アミルはお姫様みたいで可愛いね」
「えっ?」
俺はアミルに跪いて近づき、右手を取り、騎士がお姫様に臣下の礼を取るように手を口元に。
(すぅ~)
アミルの右手の指先の香りを愛でた。
アミルはかつてない程、顔を真っ赤にして俯き、ゴニョゴニョ言ってる。
俺は、アミルをお姫様抱っこで抱え上げて、そのまま自室に戻った。
部屋に戻ると、ベッドの上のエネドラが、菩薩のような慈愛に満ちた目で視線を向けてきた。
照明を点けたから、起きちゃったか。そりゃそうだな。
ベッドに近づくと、エネドラはベッドの中央を空けて、妖艶な笑みを浮かべている。
俺は、エネドラに誘われるままに、アミルをベッドの中央に降ろした。
顔を隠すアミルを二人で挟みこむようにして...
(最後までお読みいただき、ありがとうございました)
お読みいただき、ありがとうございました。
今回、サブクエストの舞台にドブローを選択しました。
ドブローを選んだ理由は
・絨毯作っているという情報があった気がして、それなりに発展した街だろうと感じたから
・原作ではあまり出てこない舞台なので、ここで使っても原作から影響を受けない
(原作の続巻が出て、何か出てくると怖いですが)
・文字数が少なくて響きが良い(趣味の問題ですね)
ザビルも同じような理由で、アミルとの探索の練習場所に選びました。
ドブローは本作では、これからもちょくちょく出てきたりします。
ザビルもドブローも遠いので、ちょくちょく行くのは本当はどうかと思うのですけどね。