異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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■休載のお知らせ
 いつもお読みいただき、ありがとうございます。
 執筆環境のPCメンテのため、以下の日程で休載いたします。
 休載直前に数話まとめて投稿する予定です。再開は多少前後する場合があると思います。
(投稿日程)
8/23    :数話まとめて投稿します
8/24~26  :休載予定
8/27    :投稿再開予定

ファイルのバックアップや退避は慎重にやるつもりですが、多少ずれ込むことがあるかもしれません。ご了解頂きたく。



021.衣食住の『衣』

 着替えて一階に降りて食堂に行くと既に俺待ちの状態で皆、席に着いていた。

 イレーネの無表情の顔から強烈なプレッシャーを感じる。

 

 素知らぬ顔で席に着いて、昼食開始。

 肉と野菜にソースがかかったものを挟んだパンとサラダ、スープとお浸しが添えられてる。

 美味しい昼食を頂きながら、ハーブティーを飲む。

 迷宮でかなり体を動かしてきてから食べる食事は格別だ。

 軽食ということもあり、あっという間に平らげてしまいそうだ。

 

 そしてイレーネの皿の量は、もはや軽食とは言えない。

 まあ、好きなだけ食べてくれ。腹いっぱい食わせるという約束で連れてきたのだし。

 

 あれで全然太らないのだろうな。今だって女豹のようなスリムな体形。

 面談した時は田舎のヤンキー娘のような感じだったが、今はそのような印象はない。

 風呂にも入って小奇麗になったのもあるが、食事もそんなガツガツ食べていないし。

 上品と言う程でもないが普通のマナーで...ただ、食事の消えていく速度がかなり速い。

 

 エネドラも、自分の作った料理がイレーネの口の中にドンドン消えていくのが楽しそうだ。

 原作主人公も、こんな感じで猫娘に魚を供出していたのだろうか。

 餌付け感が半端ないが、見てて楽しかったのだろう。

 俺もちょっと見惚れてしまったかもしれない。

 

 黒髪のスリムで少しだけ小柄な美少女で下品ではない程度に大食い?

 なんか大食い番組とかに出演できそうだ...そんなには食わないか。

 

 食事をしながら、午後の予定を確認。

 食事の後片づけが終わったら、クーラタルの洋服屋、日用品店、食料品店で買物。

 洋服屋で買物している間に俺は懸賞金の換金。時間が余れば装備品の掘り出し物チェック。

 買物が終わった時点でいったん帰宅して、女性陣は着替え。

 

 新しい洋服を着て、帝都の洋服屋で女性陣は買物。

 洋服屋で買物している間にクーラタルに移動して俺はルークと商談。

 洋服を選ぶのに時間がかかるようなら、夕食はクーラタルの店で食べるのもアリと。

 ということで時間をあまり気にせず、じっくり選んでもらえれば良いから。

 気に入った服がなければ別の機会に探しても良いし、焦らずに決めようということにした。

 

「商人の洋服は探索者の装備品みたいなものだから、

 気に入ったものを気持ちよく使えるように選んでくれたら良い。

 購入するのも別に今回が最後じゃない。定期的に買い替えたり、買い増しすれば良いから」

 俺の助言はそれくらい。

 俺の洋服は適当だよ。力入れなくて良いからね。フリじゃないからな?

 

 食事を終えて片づけをエネドラ達に任せ、俺は二階で休憩。

 呼びに来るまで、元の世界から持ち込んだ本を読んで商売のネタ探し。

 石鹸も良いけどシャンプーや化粧品を作れないだろうか?気になる箇所をメモろう。

 

 アミルが呼びに来てくれたので、一階に降りて食堂に向かった。

 食堂に入ると俺に背を向けているせいでヴィルマの顔は見えないが、エネドラのにこやかな顔が目に入る。

 

「そろそろ外出できるか?まずはクーラタルからだが」

 

 俺が声をかけると、ガバっとヴィルマがこちらを向いて

 

「あ、主ぃ...」

 情けない顔をしている。何があったのだろうか?あまり知りたくない気もする。

 

「出発の準備は整っております」

 ヴィルマの発言を遮るようにエネドラが口を差しはさんできた。

 

「じゃあクーラタルに行って、まずは洋服を買うか?」

「はい。五人でまとまって行動します」

「あ、主ぃ...」

 何か小声で俺に話しかけようとしているが、俺にできることは多分何もない。

 俺の仕事はみんなをクーラタルに送ることと、会計をすることだけだ。

 ワープと3割引にするだけの簡単なお仕事です。

 

 玄関からワープゲートを開いて、クーラタルの冒険者ギルドへ。

 エネドラには行先のあてがあるようで、ギルドを出て迷わず歩いていく。

 俺は最後尾でなるべく気配を消すように追随する。

 店に五人が入るのを見届けて、俺は騎士団の詰所に向かった。

 

 詰所では迷宮で盗賊に遭遇して討伐した話をして、俺のインテリジェンスカードをチェック。

 もちろん問題ないはずなので、俺が提出したカードを持って奥に引っ込んでいった。

 戻ってきて、俺に金貨の袋を渡してくれた。

 クーラタルの迷宮についてのちょっとした雑談をして詰所を後にした。

 中身を確認すると、そこそこの収入。今日の洋服代くらいは楽勝だろう。

 

 あっさりと懸賞金を入手したので、商人ギルドに行くことにした。

 さすがに、まだ洋服は選び終わってないだろう。

 

 ギルドの受付でルークを呼び出してもらい、俺は商談室で待つことしばし。

 ルークが来て、提示されたカードはコボルト2枚、ヤギ1枚、サイクロプス1枚。

 うーん、ウサギが欲しかった。

 ヤギはこの前、入手したばかりだし。だがサイクロプスは悪くないか。

 

 俺はルークに礼を言い、4枚分の追加入手の手数料を更に払ってギルドを後にした。

 そろそろ選び終わったか?まだかもしれないなぁ。

 

 洋服屋に入ると、死んだような顔のヴィルマが...対照的にエネドラはニコニコ顔だ。

 視線を向けると、エネドラから「選び終わりました」と返事。

 意外に時間がかからなかったな。本命は帝都の方だからか。

 

 俺は店員に声をかけて、会計を済ませた。

 

「次は日用品と食料品のどちらにする?」

「では、日用品にしましょう」

 エネドラのリーダーシップで行動が決まる。抜群の安定感。

 

 日用品店といえばオネスタさんの店だな。場所も知っているしさっさと移動した。

 オネスタさんと雑談しながら、三人の選ぶ日用品が積み上がるのを見ているだけ。

 オネスタさんの顔がほころんでいく。

 

「景気良さそうじゃないですか。迷宮探索は順調のようですね?」

「ああ、たぶん近いうちにクーラタルに引っ越してくると思う。

 家を探すときに世話になると思う。郊外で部屋数の多い家を探そうと思っているんだ」

 

「部屋数が多いというのは、どのくらいの数ですか?」

「うーん。そうだなぁ。最低でも10部屋以上の家かな。

 ただ、最終的に決めるのは女性陣の許可を得てからだと思うけど」

 

「なるほど...10部屋以上となると、それは家というか邸宅ですね。

 数に限りはありますが、お薦めの物件はいくつかありますよ。この後、ご案内でも...」

「いや、今日は予定が詰まってるので別の機会にお願いすると思う」

 

「10部屋って今日こちらにいらっしゃっている娘達以外に、まだ使用人がいるのですか?」

「いや、これからも増やす予定だからな」

 

「あらあら...いろいろと順調なようで」

 オネスタさんがニマニマしている。なんだか居心地が悪いぞ。

 エネドラ達が選び終わったので、俺は3割引の会計を済ませて店を後にした。

 

「次は食料品か。一度、自宅に戻って服とか日用品を置いてから来るか?」

「そうですね。食料品は私とチクルスとイレーネで調達しましょう。

 アミルさんとヴィルマには購入した日用品の収納をお願いしますね」

 このエネドラの、『さん』付け有無の使い分けは微妙に序列があるのだろうか?

 我が家ではアミルが一番年下なのだが、ツッコミは止めておこう。

 

 木陰にワープゲートを繋ぎ、日用品やら洋服を自宅の廊下に置いてきてもらった。

 アミルとヴィルマはそのまま帰宅。残りのメンバで食料の買い出しだ。

 ヴィルマは精神的ダメージを受けているようにも見えるので休憩だ。

 この後、帝都で買物があるのだが大丈夫だろうか?

 

 パン屋、肉屋、野菜や果物を売ってる店や調味料を調達しながら各店を回る。

 品物の名前から全く味が想像できないものが多いが、見て回るのは意外に楽しい。

 選択はエネドラとチクルスに任せて、俺とイレーネは荷物待ちだ。

 イレーネは肉屋では食い入るように見つめていたが、原作の猫娘のように品物の選択に関与しようとはしなかった。

 不思議だ。実は肉なら何でも良いとか?

 

 そこそこの量の食材を買い込んで自宅に一度戻った。

 

 食材を食糧庫に収めて、女性陣は着替えタイムに...食堂でぐったりと座っていたヴィルマはアミルに手を引かれて、二階の自室の方に拉致されていった。

 俺はアミルの淹れてくれたハーブティーを一人で啜りながらマッタリと寛ぐ。

 じじぃのようだが心の平穏ってところだ。

 

 まだ、夕方までには時間がかなりある。

 これから帝都のお高めの洋服屋に行って、買物を堪能してきてほしい。

 独りだけ堪能できなさそうな者もいるみたいだが、まあ頑張れ。

 俺は一人で武器屋、防具屋巡りをしているから。

 さすがに迷宮に行くとヴィルマにキレられそうだから自粛だ。

 

 やがて、着替えの終わった女性陣が食堂にやってきた。

 どのメンバも外出用の割と小奇麗な恰好をしている。

 俺は護衛だから別に探索用の装備そのままで良いのだ。

 

「おおぉ、綺麗じゃないか?頑張ったな、ヴィルマ」

 俺の珍妙な褒め言葉にもかかわらず、ヴィルマはかなり照れたような感じだ。

 これはアレだな。自分の恰好が見えないから、よく分かってないのだろうな。

 各自の部屋に鏡を置いてやった方が良いかもしれないな。

 

 ペルマスクへ行くイベントが早く起きてくれないかな。

 ってか、そのイベントあるのかどうかも怪しいか?

 元の世界から持ってきた鏡を使ってもらっても良いのだけど、ちょっと小さいんだよなぁ。

 高値で売りつけるほどの品質ではあるのだが。

 まあ、そんなことはさておき次の買い物だ。

 

「じゃあ、次の買い物は帝都に行くことで良いか?

 次の洋服屋では、もっと時間をかけて選んでもらって良いから」

「えぇぇ...もういいよぉ...」

「「「はい。お任せください」」」

 ヴィルマの声が遮られ、三人が力こぶポーズ。多数決の原理だ。

 ちなみに俺とイレーネは中立派なので、数にはカウントされていない。

 

 玄関からワープゲートを繋いで帝都の冒険者ギルドへ。

 エネドラが過去に行ったことがあるのか、行きたい店があるらしく、そこに向かう。

 

 エネドラに導かれるままに店に入り、店内を見渡すと豪華な洋服が置かれており、店員も丁寧な応対で出迎えてくれている。

 ここなら、それなりの服が揃えられそうだな。俺一人なら絶対来ない店だ。

 五人の方に女性店員が何人か向かい、俺は店主かフロア主任っぽい人と会話。

 

「五人分の服を適当に見繕いたいので、選択は彼女とそちらの店員に任せたい。

 予算は五人分を何セットかで合計20万ナールを超えない程度だとありがたい。

 既製品だけでなく、オーダになっても良いので、彼女達が満足いくように付き合ってほしい」

「承知いたしました。当店であれば必ずや満足のいくものが選べるでしょう」

 

「ああ、お願いする。時間がかかるだろうから、俺は後で会計が必要な頃に来るので。

 それで、そこの絨毯をフィールドウォークに使っても良いのか?」

「はい。問題ありません。では、お越しいただくのをお待ちしております」

 俺はエネドラに一声かけて、店を出て武器屋に向かった。

 

 帝都で武器屋、防具屋を巡ったが、ダマスカス鋼製の装備品はドブローの品ぞろえが圧倒的過ぎて、購入意欲が全く湧かなかった。

 空きスロット付きの数も大したことないし、空きスロット付きのスタッフはあったが既に持っている。

 武器屋・防具屋巡りは、この状態が暫く続くのかもしれないな。

 やはり数の力は偉大だ。あのダマスカス鋼の工房主には今後も是非頑張ってもらいたい。

 うちのアミルも、もうしばらくしたら追いつくだろうが。

 

 それでも竜革製の品ぞろえは良かったので、竜革のジャケット2つを購入候補とした。

 片方が空きスロット1つで、もう片方はなし。空きスロットの数が少ないのはやむなし。

 空きスロット1つの方はモンスターカード融合して売却候補になるかもしれない。

 空きスロットの多いものを得たら、交換だ。

 カードを融合できない時点では、品質には変わりがないので迷宮で使っていく。

 前衛陣の防具を硬革系から竜革系に強化していきたい。

 他の防具屋を見てから最終決定しよう。

 

 次は、クーラタルで掘り出し物チェックだ。

 武器屋は帝都とあまり変わらない感じだ。

 数はそこそこあるので空きスロット付はあるものの、空きスロットの数は微妙。

 防具屋の方は、ダマスカス鋼製はやはり、食指が動くものはなし。

 竜革系の防具の数は帝都と変わらなく、空きスロットの多いものはなかった。

 

 腕装備の方は、三人ともまだ革系なんだよな。

 硬革系以上にアップグレードさせたいがアミルの防具生成に期待するか。

 作成に使う素材数が少なければ大量に作って、空きスロットの多いものを狙う手もあるか。

 そのためにも、もう少し竜革の素材を入手する手段を考えなければ。

 

 竜革はドライブドラゴンのレアドロップだったから、ドライブドラゴンが浅い階層で出る迷宮で倒しまくるか、魔物部屋殲滅ツアーか。

 ドライブドラゴンの魔物部屋って圧巻だろうな。

 見るだけでも見てみたい。ワープで逃げるけど。

 10回に1回のドロップ率だが、数をこなせばなんとかなるか。

 

 帝都の防具屋に戻って、竜革のジャケットを2つ程購入した。

 武器屋、防具屋の店主から売れ筋の情報収集をしていたので、かなり時間を食った。

 そろそろ女性陣の買物は終わっているだろうか。

 

 帝都の洋服屋の絨毯にワープした。ゲートを出ると、店主が立ち上がって近づいてきた。

 女性陣の洋服選びの状況を確認したところ、そちらは完了して今は俺の服を選んでいるそうだ。

 俺の服は適当で良いのだが、そうはいかないのかな。

 ぐったりしたヴィルマが俺を恨めし気に見てるような気もするが、きっと気のせいだ。

 

 ヴィルマの横の椅子に座って、「明日の午前は迷宮に行くので、頑張ろうな」と声をかけた。

 

「本当に、本当だぞ..」

 涙目で俺を見てくる。そんなに嫌だったのだろうか?

 まあ、俺が同じ立場でも涙目になっている自信はある。だから早々に退散した訳だし。

 

 ヴィルマと話しているうちに、俺の服を選び終わったようだ。

 店主が再びにこやかに近づいてきた。

 俺は会計のため大量の服が積みあがった場所に行くことにした。

 

 積みあがった洋服のそばに鞄が2つあった。

 エネドラとチクルスに外出時に使うのに多少見栄えが良い鞄を用意した方が良いと助言していたので、それを購入したのだろう。

 洋品店でも扱っていたのだな。

 

 女物が20万ナールで俺のが2セットで1万ナールらしい。

 まあ、こんなものか。3割引が効いて14万7000ナールと。

 今日、受け取った懸賞金と比べればお釣りがくるな。

 

 店主に代金を払って、俺達は店を後にした。

 ちなみに今回はオーダは見送ったみたいだ。

 理由はよくわからないが、オーダするにはもっと良い店があるのかもしれない。

 

 店の絨毯から自宅の玄関にワープ。

 洋服類は各自の部屋に置いてくるようだ。

 今から食事の準備をするのは大変なので、クーラタルで外食することを提案。

 クーラタルで装備品チェックをしてた時に良さげな店を探しておいたのだ。

 席が空いてると良いのだが。

 

 俺の服はお直しが必要ということで、チクルスが持っていった。うん、任せた。

 

 俺の普段着もチクルスは見事に直してくれて、とても快適になった。

 今回も任せて問題ないだろう。自分では何もできないしな。

 

 俺は今までチクルスが直してくれた洋服に若干装備品を装着して、外出の準備。

 今回も俺は護衛ポジションで良いのだから。

 

 今日購入した洋服で、うちの家族はみんなクーラタルだろうが、帝都だろうが歩き回ってもみすぼらしいということないだろう。

 上を見ればキリがないだろうが、服よりも中身がそもそも良いのだ。何の問題もない。

 

 ヴィルマもイレーネもルックス抜群で、元の世界だったら俺は見向きもされなかった女性達だと断言できる。

 言ってて何か涙が出てきそうだ。

 

 ただ、本人達はそれに全く関心がないという残念美女、残念美少女なんだよなぁ。

 今日、エネドラが選んだ洋服よりも、俺が購入した竜革のジャケットの方が喜びそうだし。

 本人達が楽しければ、それでヨシとするしかないか。




お読みいただき、ありがとうございました。

50話くらい投稿して、残りのストックを清書しながら改めて既投稿分と比べて拙い箇所を修正しました。
具体的には、複数空きスロットの発生確率です。
空きスロットのある装備品の発生確率は十分の一(10%)で、これは特に問題ないのですが、「複数空きスロットの発生確率が同じ」と記載しており、これは拙いので数が増えるほど発生確率が低くなるという極自然なものに変更しました。

例)ダマスカス鋼の装備品は空きスロット発生確率が10%
 空きスロットが1つ:発生確率は4%
 空きスロットが2つ:発生確率は3%
 空きスロットが3つ:発生確率は2%
 空きスロットが4つ:発生確率は1%
 ⇒合計で10%といった感じです。

上記に伴い、該当箇所(序章の6話)を修正しました。
詳細な確率等は非公開としております。
あまり気にされてる方はいらっしゃらないかもしれませんが、念のため御報告でした。
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