異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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006.ベイル(その2)

 気を取り直して防具屋に戻り、買取価格の確認。

 もちろん、事前に買取価格30%上昇のスキルはセット済。ここでは容赦なし。

 盗賊のバンダナはトラブルの元なので、予め査定対象から外してある。

 装備品の数が多かったので、まだ査定(防具鑑定)中だった。

 合間に置いてある防具を見て回る。

 

 改めて見ると、やはり同じ鉄の鎧でも見た目の出来栄えにかなりの差がある。

 品質というか大きさ、形?・・・・・・が結構マチマチ。

 画一的な量産品というよりはオーダ品というか手作り品というか。

 ゲームの世界にありがちな、どれを取っても同じ形とかではないのは確定のようだ。

 まあ、装備品は装着する際に自動でサイズ調整がされるから問題ないのか。

 

 空きスロットの数は原作漫画で表現されていたよりは、数が少ない気がする。

 だいたい、10個前後で1個あるかぐらい。

 空きスロットの数が多いものはやはり数が少ないか。

 頑張って武器屋、防具屋巡りすれば、掘り出し物が見つかるか?

 まあ、置いてある装備品の数が思っていたよりも少ないので、サンプリングとしては不適切かもしれない。

 

 というか40個以上の装備品を持ち込んだので、悪目立ちしてるじゃないだろうか?

 防具屋の店主がひぃーひぃー言いながら鑑定している。ちょっと罪悪感。

 

 空きスロットのあった装備品もいったんは査定対象に含めて、空きスロット有無で査定金額が変わらないかを念のため調査。

 結果は空きスロットの有無に関係なく、鉄の鎧が1つ1800ナール、革の鎧が1つ200ナール、皮の靴が1つ20ナールだった。

 鉄製はやはり結構良い値段だな。使っている素材の数に違いがあるのだろうか。

 

 鉄の鎧3つ、皮の鎧3つ(空きスロット付きは二つ)、皮の靴3つ(空きスロット有は二つのみ)はキープしたいので、それらを除いて売却することにした。

 この程度の装備品で空きスロット有無は関係ないだろうが、気分的な問題だ。

 

 合計5180ナールで3割アップで6734ナールとなった。

 3割アップの理由を言っていたが、別の事を考えていたのでちゃんと聞いてなかった。

 店主と交渉して、売却対象以外の防具を2日ほど預かってもらうことにした。

 アイテムボックスが使えないのと、銅貨が増えるのが嫌だったから。

 端数の34ナール(要らない銅貨の山とも言う)を差し引くことで店主の了解をもらった。

 

 預かり証を一応もらって、次回来店時に提示させてもらうことにした。

「それがなくても、顔ぐらい覚えているから心配しなさんな。

 預かった装備を横流しなんてしたら盗賊落ちだしな」

 へぇ、そんなのが自動発動する厳しい世界なのか?

 

「まあ、やったことないから本当かどうか知らんけど」

 事実かどうか知らんのか?都市伝説?まあ、いいけど。

 

 店主に大量の装備品を持ち込んた詫びを言うと、

 

「近くに迷宮ができて今が稼ぎ時だから、装備品の買取りは大歓迎だ」

 次に大量持ち込みがあるかは分からないが、礼を言って店を出た。

 

 次は武器屋へ行き、同様に買取価格の確認。

 防具屋で時間を食ったので査定は終わってるかと思っていたが、まだ査定中だった。

 武器屋の方も品ぞろえを確認。やはり空きスロット付きは少ない。

 やはり10個前後で1個程度。空きスロットの数の傾向も同じ感じだ。

 こんな確率なら、鍛冶師のモンスターカード融合はかなりの博打だ。金持ちしか依頼できないだろう。

 鑑定スキルのチート性能を改めて実感。

 

 そして原作小説にも出てきていたスキル武器を発見・・・・・・『ひもろぎの鋼鉄剣』。

 鋼鉄製の両手剣に何故、知力2倍?ああ、これは固定で出てきたのだろうな。

 確かにスキルが3つ付与されている。3つとも微妙なスキルだが。

 鋼鉄装備の空きスロット数の最大は3つじゃなかったっけ?

 鍛冶師のモンスターカード融合で三回も挑戦しないだろう。

 しかも最初のスキル融合するのが知力2倍は絶対ないだろう。

 

 脳筋系の殴り魔道士とか、火炎剣のスキルを使いまくった剣士の固定だろうか?

 ただのランダムなのかもしれないが。

 貴族の魔法使いとか、あまり訪れなさそうな店(失礼!)に飾っているのも謎だ。

 

 それにしても、元の世界でもやったことがなかった『聖地巡礼』をしている気分だ。

 リアル聖地巡礼で、SNSにアップもできないけど。

 感慨深げに残念武器を眺めているうちに査定が終わったようだ。

 

 ほむらのレイピアは念のため査定をしてもらったが、ここで売る気はない。

 こちらも空きスロットの有無に関係なく査定金額は同じで、鉄の剣が1つ1000ナール、銅の剣が1つ250ナール、ほむらのレイピアが18000ナールの査定結果。

 剣の方は鎧ほど、鉄製とそれ以外での価格差はないようだ。

 使ってる素材が銅と皮では違うだろうから、一概には比較はできないか。

 

 ほむらのレイピアは2万ナール弱。思っていたほどは高くなかった。

 原作では妨害の銅剣が6個で10万ナールだったはずなので、まあ妥当な値段かもしれない。

 アクティブスキル系装備は使い勝手が悪いから安いのだろうか。

 攻撃すれば自動発動する強権系の装備は使い勝手が良いものな。追加メンバー用に俺も欲しい。

 

 鉄の剣3つ(空きスロット付きは1つのみ)、銅の剣3つ(空きスロット付きは2つ)をキープして、残りは売却することにした。

 売却額は合計4750ナールで3割アップで6175ナールとなった。

 こちらも同様に剣6本を75ナールで2日ほど預かってもらうことを了承してもらった。

 武器屋の店主にも預かり証を念のためもらう。

 防具屋の店主同様に、たくさんの装備品を持ち込んだことを詫びた。

 

「商売でやってるんだから別に構わないよ。

 装備品じゃないものを持ってくる奴もいるから武器鑑定をしない訳にはいかないんだ」

「そうなのか。鍛冶師の作ったものでない武器が持ち込まれることもあるのか?」

 

「まあ、滅多にないが、アイテムボックスから取り出さないで持ってくる中に稀にあるな。

 アイテムボックスから出てくれば装備品に間違いがないけどな。

 極々稀にスキルつきの武器と知らずに持ち込まれることもあるから、武器鑑定しないとな」

 なるほど、面倒でもやらざるを得ないと。

 そして、それが残念武器を飾ることになった理由?

 

 武器屋と防具屋で装備品を売って、1万ナールちょい増えた。

 持ち金23万ナール程度では資金的にはまだ厳しいな。

 余裕資金を早々に作り出さなければならない。

 原作知識があるから迷宮探索はしばらくは余裕だろうが、パーティーメンバーの拡充も急ぎたい。

 

 パーティーメンバーの目途をつけたいのでアランの店に行きたいが、その前に宿の確保だ。

 武器屋の店主にエマーロ族の経営する旅亭を教えてもらい、まずはそこに向かうことにした。

 

ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)

戦士Lv12 剣士Lv12 英雄Lv8 盗賊Lv13 僧侶Lv9 商人Lv9

装備 ほむらのレイピア 皮の鎧 皮の靴

所持金 23万4400ナール

 

 原作と同じ宿かどうかは分からないが、エマーロ族の♂が店主の宿屋はどうもここのようだ。

 こんな名前だったのか?まあ、別人かもしれないが。

 

ボイル(エマーロ族 ♂ 37才)

旅亭Lv28

 

 代金は、標準的な個室で一泊260ナール(朝食込)、夕食60ナール、お昼の弁当30ナール、お湯15ナールを2つ付けて30ナール、カンテラを1つ1時間分つけて10ナールだった。

 お湯二つとカンテラで一日400ナールになってしまったが快適さ優先のため仕方ない。

 二泊の連泊で3割引の価格が640ナールとなった。

 

 せっかく、銅貨を減らすための努力をしたのだが、ここで無駄になったようだ。

 まあ、部屋に置いておけばよいか。気づいたら銅貨の山になる気がして怖いが。

 

 インテリジェンスカードのチェックの後に代金を支払い、鍵を受取って部屋に向かう。

 部屋の番号とか普通に理解できるのはやっぱり便利だよな。

 異世界言語(全言語)のスキルは素晴らしい。

 

 宿の確保もできたし、次のアランの商館だな。まあ、今は下見だけだが。

 

 アランの商館に行き、門番に店主と話をしたい旨を伝えた。

 あまり待たされることなく、店主のアランがやって来た。

 迷宮の探索メンバーを探してるので、どのような者たちがいるのかを確認したいと。

 ハーブティーを持ってきてくれたのは、例のあの狼人族の娘ではなかった。

 おばさんではないが妙齢のお姉さんだった。人族だが。

 

 女性の戦闘奴隷は数が多くはないが、在籍しているようだ。ドワーフの女性もいる。

 価格は10万~30万ナールと幅がある。

 

 とりあえずは面談は可能とのこと。

 10人には満たないが、こちらの要件に合致するか確認することにした。

 気になった者は4、5名いたが、最終的な候補としてはこの3人。

 奴隷だから、みな粗末な服で裸足だ。奴隷制度に慣れてない俺の気持ちはちょっと重い。

 

エルマ(狼人族 ♀ 16才 奴隷)

剣士Lv10

 

アミル(ドワーフ族 ♀ 16才 奴隷)

探索者Lv3

 

コトノ(人間族 女 16才 奴隷)

探索者Lv2

 

 原作の一人目、二人目のメンバーと比べれば発展途上のようだ。

 例の獣人娘のような特殊能力はなさそうだが、まあ仕方ない。

 ブラヒム語はみな、最低でもカタコトレベルは話せるらしい。

 価格は順番に25万、20万、15万ナール。まだ値引き交渉はしていない。

 

 アラン曰く、才能というか可能性込みでの実力順に価格が高いとのこと。

 

 エルマは獣戦士になる可能性を秘めてるらしい。

 アミルはドワーフとしては、並の能力らしく種族特性上、価格設定が上乗せされている。

 コトノは種族的にも将来性的にも普通な感じらしい。

 

 ルックスは異世界補正のせいか俺の目には皆、標準以上に可愛く見えるのだが。

 

 俺の判断はアミル一択だな。

 早々に迷宮で探索者として鍛えて、鍛冶師に転職させれば最低限の前衛はこなせそうだ。

 鍛冶師はすぐにでも欲しいが、今の手持ちの資金では金策がまだ必要だな。

 

 今日のところは価格交渉はせずに店を後にした。

 アランの所で時間を使い過ぎたので、迷宮攻略は明日からだ。

 市場の雑貨屋で細々としたものを購入して宿屋に戻った。

 

 宿屋の夕飯は普通に美味かった。

 村の食事が薄味だったから、期待できないかと思ったが、そんなことはなかった。

 もちろん元の世界の食事には遠く及ばないが、この世界でなんとか生きていけそうだ。

 

 食事が終わって、桶に入った湯で体をふいた。

 雑貨屋で購入した布と歯ブラシの代替品で身なりを少し整える。

 房楊枝はちょっと俺には合わなさそうで、テンションが落ちた。

 

 口に入れると自動的に歯を綺麗にしてくれるような異世界不思議アイテムではない。

 まあ、その辺の木(柳?)の小枝を適当に加工した消耗品だからだろう。

 ブラシに該当する部分は、まあ悪くないというか仕方ないのだが楊枝はちょっと雑な作り。

 俺はフロス派だったから、余計そう感じるのかもしれない。

 フロスになりそうなものは、そのうち市場で見つけよう。何かの糸で代用できるか。

 

 この異世界に虫歯とかはあるのだろうか?虫歯は侮れない。

 虫歯になると何をするにも生産性が落ちる。何より痛いのが嫌だ。

 元の世界の中世とかだと死に至る場合だってあったはず。

 今まで出会った人の中に、歯が真っ黄色の人とかはいなかったと思う。

 ここは、ナーロッパ仕様に期待したいところだ。

 もしくは万能丸等で治ると良いのだが。

 

 異世界で病気になっても、迷宮アイテム等で治療可能なのだろうか?

 こんな事はその辺の人には質問できないな。奴隷メンバーを購入したら聞いてみよう。

 

 あと、宿を借りたぐらいでは、拠点構築のスキルは使えないようだ。

 拠点指定で何も出てこない。せめて民家を借りないとダメなのかもしれない。

 領主にならないと有効にならないとかでなければ良いのだが、ホント頼むよ。

 

 気を取り直して、明日以降の計画を考えよう。

 

 まずは当面の計画目標として、

 

①迷宮に入り、ジョブ取得とレベリング:まずは探索者(アイテムボックスの拡充)

 ⇒可能なタイミングで魔法使いの取得。鬼人族の種族固有ジョブ取得

 

②元の世界から持ち込んだ物品の値付け

 ⇒どの程度が妥当な金額なのかを確認しつつ、早期に資金を増やす

 

③魔結晶の結晶化促進による資金繰りの可否確認

 

④パーティーメンバーの拡充(1人~2人):第一候補はドワーフのアミル

 ⇒装備も整えられる程度の余裕資金を残して、購入を決めたい

 

⑤拠点の確保

 ⇒早期に家を借りたいが、資金繰りとパーティーメンバーの拡充が優先

 

⑥モンスターカード購入の窓口確保

 ⇒商人ギルドに出向き、適切な商人の伝手を手に入れる

 

⑦鍛冶師による装備の作成(鍛冶師加入後)

 

 魔法使いは早期に取得したいジョブだ。

 だが、MP枯渇が気になるので、レベル上げして安全を確保して、ボーナス魔法を使用する。

 一方で、鬼人族の固有ジョブは身体的特徴と関連があるのではないかと推測している。

 

 というのも異世界転移してから他人から一向に指摘がないのだが、俺の腕は二本ではなく四本あるんだよな。

 一応はコートで隠していたけど、本当にばれていないのだろうか?

 四本手があったら、それだけで魔物認定とかされないのか不安だ。

 こんな種族は原作でも登場してないし、その辺を歩いてる奴を鑑定してもいなかった。

 まあ、少数種族とか体の特徴とかで普通に差別されそうな予感がする。

 

 四本腕があるせいで、異世界転移直後にTシャツの袖が破けちゃってたし。

 装備品は問題ないけど、普通の服は着られないだろう。

 盗賊退治とかモンスター狩りでは別にやりにくいとかはなかったのだよな。

 脳筋系種族で、体幹が発達していというのがあるのだろうか。

 

 恐らく武器の手数にモノを言わせた戦闘を行うことで種族固有ジョブが取得できるのでは?

 複数の武装をして迷宮でモンスターを倒すとか、それを応用した何かの条件だろうと思う。

 こればかりは迷宮に行って試行錯誤するしかないな。

 

 明日はまず冒険者ギルドに行って、黒魔結晶と各種薬を購入しよう。

 そしてベイルの迷宮に入り、探索者のジョブを得てアイテムボックスの空きを増やす。

 金貨や預けた予備の装備を早く収納してしまいたい。

 

 あとはボーナス装備の見直しをやるか?

 今までデュランダルとフラガラッハ、アルフレイルくらいしか使っていない。

 原作では決意の指輪を使っていたよな。

 64ポイント消費するのはコスパが悪い気がするのだよね。

 中途半端な装備に余剰ポイントを使うのはアリだろうか?

 

 豪華二点とそれなりの四点セットとか・・・・・・ああぁ、ダメか。

 ボーナス装備は二つまでしか装備できないようだ。

 だから原作も二つまでしか登場しなかったのか?それともゲーム二周目の縛り対応?

 まあ固定の装備品をじゃらじゃら装備しているのは、異世界転移モノでも許可できないと。

 とりあえずフラガラッハとアルフレイルを標準装備として、必要とあらばデュランダルか。

 

 鍛冶師を得てモンスターカードを程々に入手したら、劣化デュランダル作成を目指そう。

 初期ボーナスでリアルチートしてポイントを多くゲットしたので、かなり楽ができている。

 だけどボーナス装備を削れれば、余剰ポイントを使って戦略の幅が広がるだろう。

 

 カンテラの油がそろそろ切れそうなので寝ることにした。

 今日は複数の原作登場キャラと会って楽しかったけど、ちょっと疲れた。




(注)本作では所持金を10ナール単位で端数処理します
  (1の桁まで正確に計算するのがしんどいので・・・・・・裏ではやってますが)

(2025/8/3加筆)
お読みいただき、ありがとうございます。
6話目にして、書くのもアレですが、本作を書こうと思ったキッカケの話です。
※ネタばれになるので、6話での後書きに記載しました。

いせはれを舞台に、腕が四本ある主人公で書いてみようと単純に思い立ったからです。
ブラッククローバーのダンテ・ゾグラティスのルチフェロモードの絵面を見て、これみたいなイメージでいせはれで動かせないかなと妄想しました。
あのままだと、ちょっと体格がデカすぎるので、人間サイズに縮小しましたけど。

さすがに悪魔族だと、いせはれの舞台に合わないので妥協して鬼人族にしました。
動物やファンタジー系の正義寄りで腕四本の種族が思いつかず、妥協の産物です。
虫系の種族も原作のイメージと合わないかなぁと思って。
腕四本の鬼とか、あまり聞いたことないのですけどね。

見栄えも性格もダンテとはかけ離れてしまったのですが、いつか腕四本だけはぶん回して活躍できると良いかなと思っています。
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