目を覚ますと...新居で迎える初めての朝だが、そこはかとなく寂しい。
昨晩はいろいろと試し過ぎた。イロイロとだ。
いや、元の世界のネットで仕入れたアレコレを試したくなってしまったので。
好奇心は猫(豹)をも殺す...違うな、イレーネに好奇心はなく、俺の好奇心だった。
まあ、何にしても重要なのはストレッチだ。
柔軟性のある体にすれば、疲労の回復も早くなるし、ケガも回避しやすい。
アレもやコレも試せるし...やはりイレーネにはストレッチを教え込もう。そうしよう。
体が十分ほぐれ、肩甲骨剝がしをしていたらアミルが呼びに来た。朝食の時間だ。
食堂に行くとイレーネが俺を睨みつけてくる...のではなく、獲物を狙う目になっている。
昨日の意趣返し?いや、ブレてないだけか。昨晩は借りてきた猫のように大人しかったのに。
俺が食卓に着くと、朝食が始まった。
新居になっても二人が作ってくれる朝食は変わらず美味い。
厨房は新居の方が数倍広くなったのだが、エネドラ達は上手く使いこなしているようだ。
そして、クーラタルの方が食材が豊富に手に入るから、更に美味しくなるかもしれない。
そのうち、俺も元の世界の料理とか披露してみるかな。
でも、異世界あるあるのように飯テロとか無理な気がするなぁ。
実際、エネドラ達の料理は迷宮食材とか使わなくても結構美味しいから。
俺が異世界レシピを提供して、料理は任せた方が美味い食事にありつけるのでは?
まあ、そのうちだ。今は、目の前のイベントをこなそう。
今日の予定を軽く確認して雑談しながら、食事を終了。ご馳走様でした。
準備を整えて、エネドラ達に見送られて、ベイルの16階層の小部屋にワープした。
ベイルの16階層の新規モンスターはグラスビーだ。
既にクーラタルの15階層でも戦っているので、苦手意識はない。
ただ、グラスビー、マーブリーム、サラセニアが多いので、弱点属性の魔法がバラバラというのが面倒な感じ。
火魔法と風魔法を使うか。グラスビーに嫌がらせが出来るし。
グラスビーはアミル達三人に任せて、残りは俺がとる。
戦ったことのないモンスターはいないので、さほど危険は感じない。
昨日模擬戦をしたからではないのだろうが、ヴィルマとイレーネの動きがキレキレに思える。
モンスターとの戦闘は対人戦の経験がそれほど役には立たないのに。
あいつらは人間に使うフェイントとか全然効かないし。
でも俺とやった1対2の戦いで連携の力が増したとかはあるかも。俺をボコりやがって。
実際、アミルと二人の連携はキッチリはまってる感じがする。
アミルもうまくグラスビーを空中から叩き落として、二人に繋いでいる。
俺は...何だろう。まあ、オーバーホエルミングで一人旅だ。
一人で行って、一人で帰ってくるみたいな。
それでもベイルの16階層は問題なく、ドンドン攻略してクリアにしていける。
途中の魔物部屋を俺が殲滅したが、全滅したパーティは居なかったようだ。
ヴィルマがノリノリで俺の後に付いて魔物部屋に入ろうとしてアミルに羽交い締めされてた。
何か前にも見た光景。
ボス部屋のみ残してクリアにした。
ボス部屋もいつもの分担で、キラービーは俺が、お供のグラスビーは3人で倒してもらった。
キラービーはいつもより激しく叩かせてもらった。俺のストレス解消のためだ。
昨日の模擬戦からの良い流れで、迷宮探索に入れたような気がする。
これでモンスターカードでもドロップしてくれれば言うことないが、現実は甘くない。
16階層の魔物部屋、ボス部屋含めた戦果は、大量の蜜蝋と白身と附子。シェルパウダーと錫が少々。蜂蜜が1つ。モンスターカードはなし。
ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)
探索者Lv46 英雄Lv46 鬼武者Lv46 遊び人Lv46 剣匠Lv46 魔法使いLv46
装備 デュランダル 硬直のエストック ダマスカス鋼の剣 ひもろぎのスタッフ
アルフレイル ダマスカス鋼の額金 硬革のグローブ 竜革の靴 身代わりのミサンガ
101万8750ナール
アミル(ドワーフ族 ♀ 16才 奴隷)
探索者Lv25
装備 ダマスカス鋼の槍 ダマスカス鋼のプレートメイル ダマスカス鋼の額金 革のグローブ 硬革の靴 身代わりのミサンガ
ヴィルマ(虎人族 ♀ 17才 奴隷)
獣戦士Lv40
装備 エストック 鋼鉄の盾 竜革のジャケット 硬革の帽子 革のグローブ 硬革の靴 身代わりのミサンガ
イレーネ(豹人族 ♀ 17才 奴隷)
暗殺者Lv31
装備 エストック 鋼鉄の盾 竜革のジャケット 硬革の帽子 革のグローブ 硬革の靴 身代わりのミサンガ
エネドラ(人間族 女 27才 奴隷)
武器商人Lv22
装備 ダガー 皮のグローブ 皮の靴
チクルス(人間族 女 18才 奴隷)
薬草採取士Lv39
装備 ダガー 皮のグローブ 革の靴
17階層に抜けて、これで午前中に探索は終了。
ヴィルマ、物足りなさそうな顔しても終わりだから。
ワープゲートを開いて、ヴィルマの背中を押して玄関に。
エネドラ達に午前の探索の終了を告げて、二階に上がった。
昼食を取りながら、午前中の状況の共有と午後の段取りの最終確認。
特にルークとの取引については、エネドラと最終確認を行う念の入れよう。
交渉は俺メインで行い、エネドラは何かあれば助言する役割分担。
昨晩、簡単な想定問答の検討もしているので、あまり心配はしていない。
読めないのは、ルークがどのような反応を示すのかという点くらい。
ただ、今日の取引をこちらの思う通りに絶対成功させたいという訳でもない。
軽い練習くらいのノリだ。準備は万端にして臨むけど。
別に取引ルートをルークだけで考える必要はなく、昔のエネドラの知人のルートを開拓しても良いと話してある。
もちろんルーク以上の有力者ではないだろうが、どのみち商会としての取引ルートは複数にしておきたいので。
外出の準備を終えて、三人で玄関からクーラタルの冒険者ギルドにワープした。
商人ギルドへと向かい、受付でルークとの面会を申し出た。
応接室に案内され、ルークを待つことしばし。エネドラとアミルは少し緊張気味か。
ルークが入室してきたが、今回は俺たちが三人居ることに少し驚いた表情で、特にエネドラの顔をマジマジと見ていたように思える。
二人は確か知り合いだったか?エネドラがそんなことを言っていた気がする。
挨拶を終え、まずはモンスターカードの取引だ。ルークが提示したカードは
芋虫1、ウサギ1、コボルト1
の計3枚。合計で11000ナール。ウサギは欲しかったので文句はない。
次回は、サイクロプスやはさみ式食虫植物の優先度を上げてほしい旨の要望を出した。
手数料も追加で3枚分を3割引が効いて、1050ナール更に支払った。
ルークの取引はこれで終わりかと思っていたのだが、
「先日取引させて頂きました鏡はまだ在庫がありますでしょうか?」
おっと、鏡の取引か。これは予想外。
「在庫はまだある。前回同様、2枚以上の販売で売値が同じなら、取引可能だ」
「そうですか。では、2枚お願いしたいと存じます」
最悪は前回で取引終了かと思っていたのだが、思っていたより価値が認められたか?
「了解した。では、次にこちらに来る時に持ってこよう。
すぐにでも持ってきた方が良ければ急ぐがどうだろうか?」
「いえ、緊急ではないので次回の落札の取引の際で結構です」
こっちも資金面で困ってる訳ではないので、急がなくても良いだろう。
「では、鏡の件は了解した。それで、今回は新しい取引の話をしたいと思ってる」
アミルから6本の妨害の剣セットを取り出してもらい、テーブルに並べた。
「これは、どのような武器でしょうか?」
「妨害の銅剣が5本と妨害の鉄剣1本だ。これをルークと取引したいと考えている」
『ルークと』というところを少しだけ強調。
「妨害のスキルつきの武器ですか?オークションに出したいということでしょうか?」
「いや、オークションは現時点では考えていない。
今回はルークに買い取ってもらうことをまずは想定して、見積もってもらいたい」
「後ほど武器鑑定をさせてもらうとして、妨害の銅剣なら1本15000ナール、
鉄剣なら少し値が上がって、18000ナール、
6本セットなら、10万ナールのところを13万ナールでなら、お引受できると思います」
「13万ナールか?それ以上の価格交渉は厳しいかな?」
銅剣を鉄剣にしたけど意味がなかったか。原作も値引き前は10万ナールだったっけ?
「そうですね。最大限、こちらが譲歩しての引取り価格とお考え頂ければと。
それ以上を狙うのであれば、先ほど申し上げたオークションが良いかもしれません。
もちろん、13万ナールを超えないこともあり得ますので、そこは運の要素もございます」
「なるほど。では、この際、新しい形の取引を考えてもらえないだろうか?」
「新しい形ですか?それはどのようなものでしょうか?」
「ルークもスキルつきの防具の取引や、鍛冶師への依頼経験があるだろうから、
言わずもがなであろうが、スキルつきの武器の成功確率は非常に低い。
運が良ければ1、2回目で成功することもあるが、
運が悪ければ、13回、14回目で目指す武器が融合ということもあり得るだろう?」
ルークは、こちらを見つめながら、黙って頷く。
「だが、今回6本用意するのに数十回の融合を行ってみたが、
融合の回数が増えれば運のブレ幅は収束し、おおよそ10回に1回程度の成功率になる。
これについては、ルークも多分知っている事実であろう?」
今回もルークは黙ってうなずく。融合は1回しかやっていないが、そんなことは言えない。
「簡単に言ってしまうと、この6本の妨害の剣を融合するのに、
銅剣を50本、鉄剣を10本、うさぎのカードを60枚用意して、
ようやく、この6本セットが出来上がる訳だ。
6回で成功することはなく、120回でようやく出来上がるということも無いだろう」
ルークは今度は頷かず、俺の次の話を待っているようだ。
「運の要素が絡んでいるとはいえ、まあ50回から70回程度を見ておけば、
6本セットは融合できると考えておけば良いだろう。
話を簡単にするために剣60本、カード60枚とまずはしておこうか」
「で、先ほど、金銭での取引なら13万ナールという話だったが、
これを剣60本と60枚のうさぎのカードと交換することは可能だろうか?」
これには、ルークはかなり慌てたようで
「60枚のうさぎのカードですか?それは、不可能とは言いませんが、
かなり時間を要する取引となり、とても現実的な取引とは言えないと思います」
「そうだろうな。今回、うさぎのカードの取引をしたが、前回から3、4日経過しているので、
60枚を集めると単純計算で180日から240日で、とても長い月日がかかることになる。
まあ絶対出来ないとまでは言わないが、普通はやらない取引になるだろう」
「その通りでございます」
ルークは表情を元に戻して、俺の言葉に賛同してくれた。
「ウサギのカードはおおよそ3000ナール前後、
コボルトのカードは4000から5000ナール程度の相場であろうか?」
「日によっての変動はございますが、おおよそはその程度と考えておけばよろしいかと」
「では、ウサギのカード3枚がコボルトのカード2枚の落札金額と同じとすれば、
先ほどのウサギ60枚はウサギ30枚とコボルト20枚と置き換えることは出来るかな?」
「むっ、まあ単純計算ではそのように置き換えることは出来るかもしれませんが...」
「先ほど、180日から240日という話だったが、この2種類にすると、
90日から120日に短縮できる計算となる。あくまで机上の計算だが」
「そうなりますね。理屈の上では」
「ウサギのカードと芋虫のカードは同じ程度の落札額で、
コボルトとサイクロプスのカードであれば、
コボルト5枚とサイクロプス4枚が同じ金額だろうか?正確には調査が必要となるだろうが」
こちらの意図が伝わったのか、ルークの顔が少し真剣な表情になった気がする。
「その前提に立てば、ウサギ30枚、コボルト20枚は
ウサギ10枚、芋虫20枚、コボルト10枚、サイクロプス8枚に置き換えることが
出来るかもしれないな。これなら調達する期間はぐっと減るかもしれないな」
「つまり、ウサギ60枚のカードに相当する複数種類のカード数十枚と
交換をする取引をしたいというお話でしょうか?」
「話が早くて助かるな。その通りだ。
今までにはなかった取引だから、ルークの裁量によるところになるが、
1つ目の取引方法については、その通りだ」
「まだ別の取引方法のお話があるのでしょうか?」
ルークの目が鋭くなった気がする。さて、このまま続けても大丈夫かな?続けるのだけど。
「まあ、待ってくれ。一つ目の取引にはまだ続きがある。
ここまでモンスターカードの話しかしてなかったが、
武器の装備品として50本の銅剣と10本の鉄剣も融合に使っている。
銅剣は武器屋で売れば250ナール、購入すれば1000ナールだ。
まあ、簡単にするために原価としては250ナールかかってるとしよう」
少し話が長くなってきたが、カルク持ちなら大丈夫だろう?アミルはもうダメかな。
「銅剣250ナールが50本だから合計12500ナール。
鉄の剣であれば、12、3本分、ダマスカス鋼の剣に換算すると3本分くらいだろうか?」
「誤差はございますが、そのように考えることも出来るかと。
それは、武器もそのように置きかえて取引をしたいということでしょうか?」
「一つ目の取引方法としては、そのように考えてもらって構わない。
この考え方は客と商人というよりは、商人同士の等価交換というのが根底にある考え方だな」
「商人同士ですか?それで、後ろにエネドラさんが控えていらっしゃるのですね?」
ルークはエネドラの方に視線を向けた後、俺の方に向き直って少し難しい顔をしている。
これは、望み薄か?
「理解が早くて助かるな。まあ、そういうことだ。
責任者は俺がなるのだが、こちらも商会を構えようと思っている。
ただ、ルークのような公爵家の御用達商人のような本格的なものではない」
ひょっとしたら、どこかの御用達商人になることもあるかもしれないが、まあ今は違うし。
「迷宮で素材やカードも集めつつ、少し変わった形態の取引も行う小さな商会だ。
迷宮攻略を重きに置くので、装備をドンドン作って売り出すということは無いと思っている。
通常の売買もやるだろうが、それであまり儲けることはないだろう」
「そうですか。先程は銅剣を...例えばダマスカス鋼の剣に置き換えるような話でしたが、
鍛冶師の方がいらっしゃるのでしたら、ご自身で作成するのも良いのではないでしょうか?」
ルークは今度はアミルの方に視線を向けて、別の話をしてくる。
これは、一つ目の取引の話はあり得るのだろうか?
「そうだな。その話が2つ目の取引方法の話になる」
「ほう。伺いましょうか」
「さきほどは、銅剣の原価250ナール換算で12500ナールの装備という話をしたが、
金額換算分の原価で鍛冶素材との交換を考えている。それが2つ目の取引方法だ。
つまり12500ナール相当で、ダマスカス鋼の素材等に交換するといった形態だ。
ダマスカス鋼の原価は確か400ナールだったと記憶している。
12500ナールに換算するとダマスカス鋼を約31個といったところかな」
「ふむ..まあ、計算上はその通りでしょうか」
表情からは取引きに肯定的なのか否定的なのか、今一つ読み取れないな。
「加えて言うと、別にダマスカス鋼に限定せず、竜革素材でも良いし、
ダマスカス鋼と竜革の組み合わせでも良いと考えている」
「武器だけではなく、防具も対象にするということなのですね」
俺は、ルークの言葉に頷く。
「その通りだ。迷宮攻略の花形は武器なのだろうが、
上の階層を目指すのであれば防具の充実も不可欠だと考えているからな。
ルークは防具商人だから、ダマスカス鋼や竜革素材の入手ルートも持っているだろう?」
「さて、どうでしょうか...それにしても、カードと素材の組み合わせですか。
商人同士であれば、カードや素材の融通というのはございますが、
スキルつきの武器との等価交換をこの規模でというのは、なかなかございませんね」
ルークは少し、もったいぶっているようにも見えるな。
規模の違いはあるが、やったことのない取引ではないだろうな。
「そうかもしれないな。自分が欲しいモノを作るか、受注があってから作る。
通常は融合が成功した装備品を無関係の者と取引はしないだろうからな。
だが、装備品のグレードを上げていこうと思えば、
半ば賭けに近いような手を打つことも必要だと思っている」
こちらはモンスターカード融合で失敗しないから、カードの取得速度を上げたいのが本音だ。
「さきほどは、60枚のカードと22500ナールの装備ということで話をしたが、
その割合は変えても良いと思っている。話を簡単にするために、
13万ナールの売却額から22500ナールを差し引いた分をカードと置き換えて、
差額を10万7500ナールとしよう」
ここからは、ちょっと面倒臭い事例だが大丈夫かな?
「その10万7500ナールの半額5万3750ナールに
22500ナールを加えた7万6250ナール分の鍛冶素材と
ウサギのカード30枚分の金額換算出来る複数種類のカードといったようにだ。
カードの必要総枚数を半分にして、その分を素材に変換するというパターンだな。
鍛冶素材を用意できるのなら、取引の期間も現実的なものになるのではないだろうか?」
ルークがどのような提案をしてくるか分からないので、ちゃんと検証しないとな。
「あとは、妨害の剣6本セットというものに対して、ルークがどの程度の価値を見出すか、
あるいは、取引相手と交渉出来るかということにかかってるのでないだろうか?
妨害の剣のセットを欲しがる商人に、完成品を既に用意しておいて、
それに見合う材料を集めさせれば現実味がある話ではないだろうか?」
取引のヒントも提示しておく。商人だったら簡単に思いつく考え方だろうけど。
「融合に成功した装備品とその素材、カードの交換という取引形態だ。
今ここで結論をすぐに出せということはないので、検討してもらえないだろうか?」
ルークは頷かないが、全否定という表情にも見えない。
「カードについては、今依頼中のものや他のカードも提案に含めてもらっても構わない。
出来れば、何枚かはこちらで選択が可能なように幅を持たせてもらえるとありがたい」
ルークは少し考え始めたようだ。
「そうですね。こちらで用意可能なものと具体的に突き合わせて、
取引や提案が可能かどうかを考えてみたいと思います。
新しい形の取引ですし、我が家の商会内でも話が必要ですから、
少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
「ああ、色よい返事を期待している。
結果が出たら、また伝言をもらえれば、ここでまた話をしたいと思っている」
まあ、こちらの要望は概ね全て伝えたので、後はルークからの提案待ちだ。
ダメなら13万ナールで取引しても、こちらが損する訳ではないのだが、簡単にこの取引きを引っ込めるのは悪手だ。
「もし、ルークの商会では取引できないようなら、別の取引相手を紹介してくれても構わない」
ルーク以外にも、この話を持っていくぞと、一応、釘を刺してみる。
クーラタル以外の...帝都の商人ギルドなら、この話に乗ってくるところもあるのでは?
クーラタルのギルドに属する商人と簡単に取引きしないというのであれば別だが、完成品のスキル融合武器の魅力に抗えるのかどうか。
「鏡の取引は、その新しい取引の検討結果を聞かせてもらうタイミングで良いだろうか?」
「承知いたしました」
一応、時間を無制限で与えないために、釘を刺しておく。
ルークは慇懃な礼を我々にして、今回の取引は終了となった。
現時点でまだ、どう転ぶかは分からないが、説明の仕方に落ち度はなかったと思っている。
果報は寝て待てかな。
今日は3枚のカードを入手して、鏡の取引の予約をもらったし悪い取引ではなかっただろう。
商人ギルドを出て、適当な木陰から自宅にワープした。
お読みいただき、ありがとうございました。
今回は商家を構えるということで、商人としての取引きを行うという流れでクーラタルの商人へちょっかいをかけるというアプローチを描きました。
オークションも使うのですが、オークションが商人に牛耳られているので、それを回避する手段を導入するという主人公の試みです。
オークションに商家として介入する話はちょっと面倒臭そうなので、記載するかどうか迷っています。
別の話で、ダマスカス鋼の装備品が原作よりも安めになっているということをどこかで描いたと思いますが、いくつか理由があります。
私が作った装備品生成の素材一覧表で
・利用する素材の数が少ない(鉄もダマスカス鋼も両手剣を作る素材数は同じみたいにしてます)
・素材のグレードが上がってもそのコストが跳ね上がり方が小さい
例:銅を1とした各コストが鉄(4.5)、鋼鉄(10)、ダマスカス鋼(20)
最終的には、今回の商家での等価交換を基本に考えているので、装備品に利用する素材数や素材の値段はあまり真面目に考えても意味ないかなぁ~なんて割り切りました。
次の話も商人ネタなのですが、ちょっと難航していて、明日投稿できるかどうか。
出来なかったら、別の話を投稿するかもしれません。