起きる、起きるけど...起きます。
...昨晩のエネドラとのガチバトルが激しすぎたのか、今日は体が重いし頭も少し痛い。
今日は迷宮攻略がないので、体が重くても頭が痛くてもなんとかなるか。
徐々に体を伸ばして、体調を整える。
手当...をかけてもあまり効果がないな。万能丸とか飲めばなんとかなるのだろうか?
昨日、薬師になるために作ったよな。
でもあれはポーラのためだし、この程度は我慢か。
体を動かして、食事でもしているうちになんとかなるだろう。
体をじっくりと丁寧に伸ばして、今日の予定を思い出す。
今日の一番のイベントはルークとの取引きか。
前回、相手にボールを投げて、それをどうルークが打ち返してくるか。
相手の出方を見ながら情報収集だ。
こちらに不利な条件なら、この取引きは流せばよい。
不利な条件というのは、
・金での取引きを行うこと
・オークションにかけること
・こちらの意に沿わない条件での等価交換を行うこと
この3つか。
最初と2番目は談合している商人の土俵で戦うことだ。これはまず避けたい。
等価交換を持ち掛けたのはこちらだが、こちらも欲しいカードや素材がある。
それと全く異なるのなら、この取引きはなかったことにする。
別の取引相手を探しても良いし、ルークに2回目の等価交換の取引きを持ち掛けても良い。
相手が等価交換の取引きで切った手札を見極めて、利用しても良い。
出してきたカードと素材の中に俺が必要なものがあるなら、欲しいものだけ金で買っても良い。
欲しいカードがあれば、オークションでの取引き価格に手数料を上乗せして買い付ける。
どうせ、カードはオークションで依頼した体裁になっているのだ。
まとめて買い上げてもこちらは何の問題もない。
出してきた手札で、魅力的なものが10枚のカードしかなければ、10枚買ってしまえばよい。
それを打診した際のルークの対応も見てみたい。
とにかく、この取引きに対するルークの対応内容の確認や情報収集が重要だ。
ルークがどのような提案を持ってくるのか楽しみだな。
取引きの脳内シミュレーションをしていると、ヴィルマが呼びに来た。
ヴィルマの後に従いながら一階に向かう。
今日は迷宮がお休みだが、ヴィルマはイレーネと一日訓練するのだよな。
すごく仲が良いとは思えないのだが、趣味(戦闘)が共通する仲間って感じなのだろうか?
「ヴィルマはイレーネと一日、訓練...模擬戦やっても厭きないのか?」
「多分、大丈夫。イレーネはなかなか剣筋を読ませないようにしてくるので、おもしろい」
そんなものなのかね。一日中、二人で模擬戦って、相当なものだよな。
ギスギスしてるよりはマシだけどさ。
まあ、確かに二人の戦闘スタイルは全然違うから、対戦するとおもしろいのかな。
俺も機会を見つけて二人とやるか。
いや、レドリックも入れて、30人を統べる戦士団のリーダの実力を見せてもらおうか。
だだっ広い食堂に、テーブルがぽつんと設置してあり、食事をする場所だけ拠点構築で設置した照明が点灯している。
テーブルが置いてないところには、照明を設置していても灯りは点けていないので薄暗い。
なにか、ラウンドガールに連れられて入場するボクサーのような気分だ。
テーブルに近づくと、既にイレーネが臨戦態勢で俺に視線を向けてくる。
本当にもう、ゴングを待ち切れない対戦相手のようだ。慌てて席に座った。
食事が始まると、イレーネは素早く口に肉を運ぶいつもの風景。
食事をしながら、午前中の段取りを再確認。
「エネドラ、先にクーラタルで服を購入するのだけど、送った方が良いか?」
「いえ、四人で歩いていきます。旦那様はアミルさんを送ってあげて下さい。
私達は食事の片づけ等ありますから、この前の店にゆっくりと向かいます」
そうか、まあ全員で団体行動とか無駄か。
「じゃあ、エネドラ達が買物が終わりそうなタイミングで、俺が会計に向かえば良いか」
「はい。それで問題ございません」
まあ、タイミングと言っても適当だ。待ち合わせ時刻の取り決めもないのだし。
「アミル、食事が終わったら図書館だな」
「はい。既に準備は出来ています」
図書館に行くのが楽しみなのかな。そうであってほしい。
今日、帝都に行ってから買いたい服について、チクルスが熱心に説明している。
だが、俺の頭には全く入ってこない。すまん、チクルス。ポーラ達に説明しておいてくれ。
「レドリック、今日の午後の商談は一応、護衛の訓練だと思ってくれ。
相手は丸腰の商人一人だろうから、万が一ということもないのだが。
まあ、ギルドの雰囲気に慣れるとか、練習だな」
「はい。承知しております。ご主人様」
やっぱり、エネドラに何か言われているのだろうな。昨晩の会議の内容を伝えたとか。
食事が終わり、俺とアミルは二階に上がる。
アミルはチクルスから昼のお弁当を受け取っていた。
どんな弁当なのだろうか。ちょっとだけ興味が惹かれる。
二階で着替えをしていると、窓の外からヴィルマとイレーネの模擬戦の音が聞こえてきた。
ここまで、音が聞こえるって、気合入り過ぎじゃないか。本当にケガしないでくれよ。
いや、願っているだけでは多分、何も変わらない。
俺は窓を開けて、バルコニーの向こうに見えるヴィルマとイレーネに向かって叫んだ。
「おーい。ヴィルマ、イレーネ、気合入れ過ぎてケガするなよ!」
「分かった。主、頑張るー」
ヴィルマは先程よりも更に激しく剣を振り始めた。
イレーネもそれを受けて、木刀で鋭い刺突を放つ。
ダメだ。言葉の意味は理解していても、話の通じない奴がいるってのを忘れていた。
あいつらは、その部類だ。
イレーネは意図を把握していて、無視されている気もするのだが気のせいだろうか。
ケガだけはないようにな。もう祈るだけにしよう。
あいつらの元気に毒気を抜かれたのか、さっきまでの体の重さが吹っ飛んた気がする。
もういいや、ちょっと早いけどアミルと図書館に行こう。
一階に降りると、アミルは既に待っていた。心なしか楽し気な雰囲気。
アミルは心のオアシスだ。見ているだけで、安らぎを与えてくれるのかも。
エネドラ達に見送られて、帝都の冒険者ギルドにワープした。
ギルドを出て図書館に向かう。既に何度か歩いている道順なので慣れたものだ。
「竜革の素材は使い切ってしまったのだよな?」
「そうですね。革が無かったので、全て竜革のグローブを作ってしまいました」
革なしで竜革だけで作れる防具で素材数も少ない装備品。
アミルと相談して竜革のグローブを作ろうという話をしていた。
数多く作れば、拠点構築のリーダ効果と相まって、空きスロットの多いものが生成できる確率が増えるから。
それでも、竜革の在庫が無くなってしまったのは痛い。また補充しないと。革もね。
「まあ、しばらくはミサンガを作っていますから」
「そうか、すまないな」
ホント、もう隻眼を目指そうかというアミルにミサンガ作りをさせてしまって申し訳ないよ。
「初心に戻ったつもりで作りますから。気にしないで下さい、ご主人様」
「ああ。もう少し辛抱してくれ」
そして、気まで遣わせてしまっている。
ドブローのダマスカス鋼工房の親父の言葉が思い出される。
パトロンなのに情けない。
アミルが図書館に入っていくのを見届けて、俺はドブローの冒険者ギルドにワープした。
ギルドに着くと、カウンターで強壮剤用の素材を数個購入した。
ギルドを出て、人目につかない所で生薬生成。強壮剤を数個作成した。
木陰から、ザビルの冒険者ギルドにワープした。
連続でワープしたが、距離を分けたのでMPはそれほど減った感じではない。
そのまま、ギルドの受付に向かった。さすがに朝なのでギルド職員以外の人は少ない。
「ペルマスクへの朝の定期便はもう出てしまったか?」
「いえ、まだですが、もうすぐ出発します。ご利用の方でしょうか?」
俺は職員に黙って頷いた。
この世界の『もうすぐ』がどの程度なのか、いつも対応に苦しむ。
俺がセッカチなのだろうか?
ギルド内で目に入る人を鑑定しまくっていると、時間になったようだ。
「ペルマスクに行く方はお集りください」
俺も含め、何人かの人間がギルド職員の方に集まっていく。
「一人、500ナールこちらで支払って、そこの冒険者の職員の所に並んでください」
アイテムボックスから銀貨5枚を取り出して、職員に渡した。
指定された冒険者の列に並ぶ。列と言っても、まだ俺は3番目だ。
朝早くだと、もう少し混んでいるのかと思ったのだが、そうでもなかった。
冒険者のパーティ編成に入れてもらった。
あとは五人目まで入ってくるのを待つだけだ。
運よくと言ってよいのか、五人目まで入ってきて満員御礼となった。
余った人が三人ほどいるが、残りの二人を待つのだろうか?
俺は次の関門に備えて、1stジョブを冒険者に変更した。冒険者Lv1だ。
ボーナスポイントの変更が面倒臭い。
獲得経験値二十倍を外すだけだが、最近外してなかったので何だか不思議な気分だ。
冒険者に先導されて、絨毯のかかった壁のゲートをくぐった。
出た先がペルマスク?ギルドっぽい場所なので、ペルマスク感はまったくない。
出た先にはギルドの職員が居て、初めて訪れた人のために説明をしてくれるようだ。
「まず、ペルマスクの街に行きたい方はインテリジェンスカードの確認をさせて頂きます。
お名前と街を出る予定日時を申告して頂き、こちらで記録いたします。
予定日時より前にペルマスクを去る方は問題ありませんが、
遅れると罰金を支払って頂くことになりますので注意してください。
ペルマスクの街から出る際には、
この入口を入った受付の所でサインをもらってからお帰り下さい。
無許可でペルマスクの街を去った方は
二度とペルマスクの街を訪れることができませんし、騎士団の方に連絡させて頂きます」
最後におっかないことを言っているな。
騎士団に連絡した後、どうなるのだろうか?この場で確認する気にはなれないな。
街に入ってから訊いてみるか?この後やることを考えると藪蛇になるからやめておくか。
「了解」と応諾して、インテリジェンスカードをチェックしてもらい、名前と退去予定日時を伝えて街へ入ることにした。
街を出る際に返却するようにと、少し洒落た木製っぽい札を渡された。
一時滞在用のビザみたいなものだろうか。
失くすと500ナール取られるから大切に保管するようにと釘を刺された。
アミルに頼んで、木製の盾をこのカードに模して防具製造出来ないだろうか?
使い道がないし、そこまではやらないけど。
街の中は、南国のような砂漠の国のような、異国情緒あふれる街だった。
マンガの描写を見た時には地中海の島ってイメージを抱いたのだが、ペルマスクの「ペ」はペルシャに通じているのだろうか?
ただ、少し商売っ気が多いのか、街に入ってくる人間を見かけると我も我もと寄ってくる。
鏡の工房に行きたいと伝えると、二人ほど候補の男が手を挙げたので、ベテランっぽい商人の方に頼むことにした。
「私の案内する工房は品揃えが多く、貴族向けや大商人向けの高級品をたくさん揃えています」
俺の恰好を見て、貴族向けや大商人向けの商品を買い付けるように見えるのだろうか?
この男の目は節穴かもしれない。ベテランっぽいからと言って頼りになるかは別問題だな。
「装飾の付いていない、鏡だけの購入をしたいのだが」
「それは貴族の委任状でもないと取引は無理ですね。どこの工房でも同じですよ」
原作通りの展開で一蹴された。だが、高級鏡の提案だけは諦めずにしてくる。
商魂たくましいね。エネドラと戦わせてみるか。
俺はのらりくらりと商人の言葉を交わし、逆にこの街で売るなら何が良いかと尋ねてみた。
この街は日差しが強いので、それに対応する何かだと、売れるのではないかと伝えてきた。
具体的には何とは言わなかったが、過去には日差しを遮る民族衣装っぽいものが、一過性だがそれなりに売れたようだ。
ただ、模造品が作られて広く普及したらしい。ダメじゃん。まあ、そんなものか。
この辺りはエネドラと相談だな。
「石鹸等は売れるだろうか?」
「そうですね。貴族や大商人向けには売れるでしょうか」
このあたりが手がかりだろうか。
「この街で鏡以外の特産とかは無いのか」
「鏡の生産に力を入れ過ぎていて技術者を外に出さないように、
法律や役人がいろいろと気張っているので他の産業が育ちにくいですかね。
鏡はそれなりに売れるのですが、逆にそれ以外はサッパリです。
商売人としては、ちょっと退屈な感じですね」
次の特産品がなかなか出てこないボヤきか。
まあ、愚痴の中には本音が隠されてることがあるし、それが聞けたから満足か。
今は時間がないし、鏡の工房に行くのはまた後だ。
「ちょっと無理して朝早く出てきたので、疲れているんだ。
どこかお薦めの宿はあるだろうか?」
「はいはい。ございますよ。ご案内いたします」
きっと、紹介料をもらっているのだろうな。
急いでるから別に良いのだけど。
お薦めの宿は一泊1000ナール。高いよ!
ボイルの宿の何倍だ?
見た感じオーバーツーリズムなど発生していないのに何この価格は!
宿の食事処もガランとしているし。ボラれてる?
必要経費と思って割り切ろう。別にこの宿でナニをする訳でもないのだし。
「ちょっと朝早くこの街に来るために無理したので、寝ていないんだ。
夕方まで起こさないようにしてくれ」
「はい、はい。大丈夫ですよ」
何か口調がさっきの男と似てる気がする。親戚とかじゃないだろうな。
1000ナール宿泊料を取ったから別にもう用はないってことかも?
素泊まりで1000ナールは酷いよな。しかも高級宿屋という風情でもないし。
まあ、ベイルの旅亭でいつぞややったワープ拠点のためなのだから別に良いけど。
俺も今から密出国するために、この宿を騙してるだけなので、お互い様?
部屋のカギを閉めて、ベッドのふとんを少し盛り上げて、無駄な偽装を試みる。
壁に向かって、
(フィールドウォーク)
予想通り、ゲートは開かない。これなら大丈夫か。
改めてワープゲートを開いてドブローの冒険者ギルドにワープした。
MPが結構減った気はするが、まだ大丈夫か。
出た壁から、更にクーラタルの冒険者ギルドにワープした。
連続で実施したせいか、今度はもっとハッキリとMPが減った気がした。
朝、体調が悪かったことを思い出して、念のため強壮剤を一錠飲むことにした。
とりあえず、前にエネドラ達と行った店に向かった。
パーティ効果でおおよその方向は分かるので、合流は簡単だ。
店に入ると四人の姿が目に映った。
「悪い、遅くなった。もう会計するだけだよな?」
「いえ、今、選び終わったところですから」
四人にも気を遣わせてしまった。朝からこればっかりだな。
レドリックもポーラも死んだような目をしておらず、にこやかに談笑していた。
俺とヴィルマとイレーネは少数派に転落したようだ。この後、与党に復帰できる気はしない。
会計を済ませて、店を出た先の木陰から自宅にワープした。
「じゃあ、俺は食堂で待っているから、ゆっくり着替えてきてくれ」
四人が戻ってきたのでワープゲートを開いて、この前訪れた帝都の店の絨毯を...指定出来たのでワープゲートを繋いだ。
ゲートから出ると店員が寄ってきた。
向かっているのは、エネドラの方だ。
さすが高級洋品店、誰が意思決定能力を持っているのかを心得ている。
そして、俺の方にはフロアマネージャらしき者が寄ってくる。
財布が誰なのかも前回で把握済だ。
短い期間で再度来店しているからなぁ。
「予算は彼女に任せているので、満足のいくものを選べるように助力してくれ」
「心得ました」
もう、当面の俺の役割は済んだ。
「では、会計の際にまた来るので宜しく頼む」
「お待ちしております」
俺は元来た絨毯から、ドブローの冒険者ギルドにワープにした。
ギルドを出て、ダマスカス鋼の工房に向かった。
工房に行き、ドアをノックしてデカい声で呼ぶと今回は親父がちゃんと出てきた。
「おお、この前の。また何か買いにきたのか?」
「ああ、装備品を見せてもらっても良いか?あと相談もある」
前回から時間が経ってないから、空きスロット付きの装備品はそれほど増えていないだろう。
今回の目的は素材だ。しかも何故か革。ダマスカス鋼の工房に来てるのに「革をくれ」と。
ざっと、装備品を見せてもらったけど、やはり空きスロット付で惹かれるものはなかった。
それは仕方がない。次の話だ。
「また、素材を融通してもらえないかなと思ってだな。
何か入用の装備品があれば、それを調達して交換でも良いのだが」
「お前、そんなのでよく鍛冶師のパトロンなんかやってるな。
もう少し、しっかりやれよ」
もう、ご指摘の通りでございます。返す言葉もございません。
「素材ね。そうだな、お前にちょっと頼みがある」
親父がニヤニヤした顔している。ろくでもない事の前触れに違いない。
「お前、肉を見る目があるか?」
「えっ?」
今、『肉』って言った?肉を見る目って何だ?
A4とかA5とかノートのサイズみたいな品質を鑑定出来るかということ?
「どういうことだ?」
「今から、紹介状を書いてやるので、そこに言って話を聞いてこい」
いや、それは何の説明にもなっていないだろう。
「あの、もう少し説明をだな...」
「いいから素材が欲しければ、そこに行ってこい」
強制クエストですか...しかも選べるキャラは俺一人。
紹介状と地図のメモをもらって、クエストの場所に向かう俺。
硬革防具の工房らしい。
なんかドブローって鍛冶バカ、武器バカ、防具バカの集う街なのだろうか?
向かった場所は意外にも街中だったので、割とすぐ場所を見つけてドアをノックした。
装備品の店じゃないから、勝手に入っていく訳にはいかないしな。
禿頭の親父が出てきたので店主にもらった紹介状を見せたところ、「入りな」と言ってくれたので遠慮なく工房に入れてもらうことにした。
「まあ、あいつの紹介なら...」と、工房の倉庫に案内してくれた。
おおぉ、結構良いのがあるな。
硬革の鎧(空3)、硬革の帽子(空3)
空きスロット3つの防具が目についた。いやいや、今更、硬革の防具は不要か。
あれっ、何しに来たのだったっけ?
「ダマスカス鋼の工房の親父に頼みごとをしようとしたら、ここに行けって言われたのだけど」
「ああ、そっちのことか」
そっちって、どっち?
店主の話を訊くと、
「バラ、三角バラ、ざぶとんの3種類の肉を一緒に食いたい」
はあぁ、何このクエスト?
この工房の店主は昔、ステーキの有名な店で三角バラを食わせてもらえると聞いて行ったのだが、その店で出していたのは、だたのバラだったというのを後から聞いて悔しい思いをしたそうだ。
バラと三角バラは見分けがつきにくく、素人がよく騙されるらしい。
なので、高級食材のざぶとんと美味いバラ、幻の肉である三角バラを一堂に集めて、焼いたものを食うのが夢なのだそうだ。
なんか、心底どうでも良い気がしてきた。
素材を融通してもらえると思うから頑張れるのだが。
迷宮で普通に鍛冶用のドロップ素材を狙った方が良いのかも...という気がしなくもない。
「じゃあ、任せたぞ」
成り行きで押し付けられてしまった。
アミルになんと説明したものか。頭が痛い。
今朝は頭が痛かったのを回復したのに、またぶり返してしまった。
ドブローの武器屋、防具屋を巡っても、工房の在庫があれでは望み薄か。
ペルマスクに再び行くのは時間がないので、とりあえず帝都の武器屋、防具屋巡りでもするか。
そっちも望み薄だろうが、さすがに洋品店に行くのはまだ早いだろう。
適当な木陰から帝都の冒険者ギルドにワープした。
今日は遠隔地を移動しまくりだな。しかも密出国のおまけつき。
次にドブローに来るときは、ざぶとんとバラ、三角バラを持ってくるのだろうか。
ヤバい運び屋にでもなった気分だよ。