異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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007.ベイルの迷宮(その1)

 朝は少し早めに目が覚めてしまったが、1階ではもう複数人の動きが確認できる。

 索敵スキルは今日も好調だ。見えている限りでは盗賊はこの宿には泊ってはいないと。

 インテリジェンスカードのチェックがあるから当たり前か。

 

 1階に降りて朝食を頂く。

 朝からヘビーな量だが燃費が悪いのか、ペロリと平らげてしまえる。

 鬼人族はやっぱり脳筋系の種族に思えてきた。

 魔法使いを取得しても、知力が低くて火力が低いということがなければ良いのだが。

 

 食べた後は軽く歯を磨いて口をすすぎ、装備を整えて冒険者ギルドに向かった。

 傷薬である滋養丸、MP回復の強壮丸を10個ずつと麻痺解除のための抗麻痺丸を5個購入し、黒魔結晶も2つ購入した。

 薬草採取士を取得すればリーフから毒消し丸は作れるはずなので、購入は保留だ。

 窓口の人はカルクも使えないので30%値引きも効かず、お金の勘定でエラく時間がかかる。

 全部で1720ナールだった。金が出ていくばかりだが迷宮で取り戻そう。

 

 ベイルの迷宮は昨日、アランからおおよその場所を聞いていた。

 冒険者ギルドから迷宮に向かうと思われる人達の後についていくと、あっさりと到着。

 入り口の所にいる探索者に各階のモンスターについて念のため確認。

 1階がニードルウッド、2階がグリーンキャタピラー、3階がコボルトで原作通りだ。

 

 1階がモンスター1体、2/3階が最大2体のはずなので今日は1階で小手調べだ。

 それにしても迷宮の周りにたむろしているパーティーの中に盗賊がチラホラいる。

 騎士団から派遣されているであろう探索者が入口のそばにいるので、いきなり襲ってくることはないのだろうがベイルの街は大丈夫なのだろうか?

 

 1階から侵入して、周りに人がいないことを索敵スキルで確認。

 索敵スキルは少しずつマップがクリアになっていく感じなのだな。

 行ったことのないマップの場所はグレーで何も見えない。

 見える範囲ということで、わずかでも視界に入っていればクリアになるようだ。

 これはかなり便利だ。見えてない所はクリアにならないので、まあ歩く必要はある。

 クリアになったエリアに赤い点が見えるから、それがきっとモンスターなのだろう。

 

 それにしても、迷宮というのは思っていたよりも狭くて広い。

 なんというか、近くの廊下は思っていたよりも狭い・・・・・・モンスターが4匹とかは並べないのではないだろうか?

 こっちも前衛は三人が限度か?大柄な人間が並ぶと狭く感じる。

 そして、まっすぐ廊下が延びている所は、目視で先を見通すと全然先まで廊下が延びていて、かなりの広さというか奥行を感じる。

 階層が上がると、道幅は広がるのだろうか?

 メジャーは宿屋に置いてきたけど、後で測ってみるか?

 

 原作主人公がクーラタルの一階をクリアした際には、先に進む冒険者に付いてあれよあれよという間にボス部屋にたどり着いてたので、フロアの広さはそれほどでもないと想定していたのだが予想外に広く感じる。

 原作では後ろをダラダラと付いていただけで、長く歩いていたのだろうか?

 それともハードモードのせい?よく分からん。

 索敵スキルのおかげで先を見通せるため、マップを全てクリアするのに隅から隅まで歩きまわる必要はなさそうだ。

 これは大きなアドバンテージかもしれない。まあマップが見えてない人は全クリアとか考えないから有利もへったくれもないか。

 完璧に全エリアをクリアにするかは手間次第だな。

 中間部屋、ボス部屋とその待機部屋、魔物部屋の位置が分かる程度で良いのかもしれない。

 

 ジョブ設定で盗賊はいったん外して、取得したばかりの探索者をセットした。

 探索者はレベル1だが、アイテムボックスが1つ使えるのでほむらのレイピアを格納。

 目の前に1個だけ箱っぽいアイテム収納口が現れ、そこにほむらのレイピアを入れた。

 これがアイテムボックスか。異世界小説では定番というか展開によっては垂涎のスキル。

 

 今度はアイテムボックスを開いて、収納したものを取り出してみる。

 さきほどと同様に箱が一つ現れ、剣が雑に収納されている。

 手をかざすと「レイピア」とうっすら表示された。スキル名は省略なのか。

 この光景は他人には見えないのだろうか?

 本人が取り出さない限り、横からひったくるとかも多分できないのかな?

 

 たしか空きスロットがあろうとなかろうと同じ場所に収納できたはず。

 だからスキル有無に関係なく収納できるのだろう。

 そもそもスキル名付きで表示されたら、武器鑑定の意味がないか。

 スキルを知りたければ武器鑑定、防具鑑定をしろと。それがこの世界のルールか。

 鑑定のスキルも一時的に外してみたけど、アイテムボックスの表示に変化はなし。

 ボーナススキルの鑑定の影響はなく、やっぱりこの世界の一般ルールだと考えよう。

 

 防具はいったん革の鎧のままで進めることにした。空きのアイテムボックスがないので。

 低階層では状態異常にかかる確率が低いと聞いているので、それを頼りにいったん進める。

 いざとなれば薬を飲めばよい。麻痺の薬しかないけど。

 どうせレベル1なら、すぐにレベルが上がるだろう。

 ケガだけならばフラガラッハで何とかなるはずだ。

 戦闘後なら歩きながら僧侶の手当で十分だろう。

 異世界言語も拠点構築もソロで迷宮を探索する際には必要ないので、経験値系に目一杯振って、残りは結晶化促進に割り振ることにした。

 余剰ポイントはレベルが上がったら、更に結晶化促進に振ってみるか。

 

ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)

戦士Lv12 剣士Lv12 英雄Lv8 僧侶Lv9 商人Lv9 探索者Lv1

装備 フラガラッハ 皮の鎧 皮の靴

 

ボーナスポイント(209)(初期値198+11(Lv上昇分))

・キャラクター再設定(1)

・武器5(フラガラッハ)(31)

・鑑定(1)

・ジョブ設定(1)

・索敵(5)

・必要経験値二十分の一(63)

・獲得経験値二十倍(63)

・結晶化促進八倍(7)

・シックスジョブ(31)

・詠唱省略(3)

・ワープ(1)

余剰ポイント(2)

 

 まずは初回の戦闘に集中。

 こいつがニードルウッドか。

 思っていたよりは小さく感じる。いや、近づいてみるとノッポでデカい。

 リーチが長いせいか、ちょっと戦いにくく感じる。

 スローラビットとコボルトしか戦ってないからな。

 

 レベル差があって余裕のはずだけど、初回だけオーバーホエルミング・・・・・・と。

 うん、一撃だ。フラガラッハの通常攻撃一発で倒せる。

 そして探索者のレベルが3になった。経験値400倍だからな。

 必要経験値二十分の一を必要経験値十分の一に変更。

 防具をアルフレイルに変更して、皮の鎧はアイテムボックスへ。

 黒魔結晶の色は変わらず。買った時の残りは1以下だったか?・・・・・・まあ、ゼロか。

 

ボーナスポイント(209)(初期値198+11(Lv上昇分))

・キャラクター再設定(1)

・武器5(フラガラッハ)(31)

・防具5(アルフレイル)(31)(防御力2倍、魔法ダメージ削減、状態異常無効、レベル補正無視)

・鑑定(1)

・ジョブ設定(1)

・索敵(5)

・必要経験値十分の一(31)

・獲得経験値二十倍(63)

・結晶化促進八倍(7)

・シックスジョブ(31)

・詠唱省略(3)

・ワープ(1)

余剰ポイント(3)

 

 他のパーティー(灰色の点)を避け、クリアしたエリアが広がるように探索を行う。

 モンスターとの戦闘も怯むことなく行なっていく。

 戦士、剣士、英雄、探索者といった近接系の強化が効いてるのか、フラガラッハの攻撃力のおかげなのかは分からないが原作と同じく一撃で煙となってくれる。

 ラッシュ、スラッシュを一度使ったが使い勝手はよく分からない。

 ダメージが多く出たっぽくはあるが、元から通常攻撃で一撃なのだし。

 こちらはダメージをほぼ受けずにニードルウッドを仕留めていく。やっぱり結構、楽しいな。

 

 ニードルウッドはノーモーションで枝(腕?)を振り回してくるのだと初めは思ったが実際には違ったようだ。

 顔がなくて表情が読めないだけで、枝を振るときにはテークバックをするので分かりやすい。

 それに気づいてしまえば、逆側に回り込んでフラガラッハを打ち込めば終わりだ。

 バックステップで後ろに避けることもできる。今はソロだから周りを気にせず動けるし。

 

 コボルトやスローラビットは的が小さくて気づかなかったが、今回、戦闘に違和感を覚えた。

 ニードルウッドの枝(手?)に剣が当たろうが、胴体に当たろうが一撃で倒せている。

 どこに当たろうと、同一のダメージ判定なのか?

 

 一方で異なるダメージ判定になったのは、枝でも胴体でも芯に当たらなかった場合だ。

 つまり剣がモンスターにかするような当て方では、一撃では倒れないと。

 剣道やっていた頃の抜き胴っぽいことをやろうとして、失敗した時に気付いた。

 ただ当たればよいという訳ではないが、どこに当てても芯であればダメージは通ると。

 

 なんともゲームっぽいというか、モンスターという不思議生物らしい攻略法か?

 いや、盗賊退治の初期イベントでもそうだったか。

 

 盗賊退治の際には基本的に首を刎ねるようにしていた。

 何故ならモンスターと違い、討伐した際に煙となって消えないので死亡判定ができない。

 死んだふりの止めを刺したり、万が一に備えて残心をするような余裕はなかった。

 乱戦で次々に倒さなければならなかったから。

 ただ乱戦だけあって、こっちも相手も動き回る中での剣戟なので全部が斬首とはいかない。

 首を刎ねるつもりが腕を切断することも普通にあって、その場合でも即死であった。

 

 普通なら、腕を切断されただけで即死はしないだろう。

 この異世界の装備品を使った戦闘ならではだと思っている。

 デュランダルもフラガラッハも防御無視のスキルが付与されている。

 これは相手の防具などの防御力を無視して、直接、体(HP?)を削りにいってるのでは?

 

 ダメージ判定に防具によるマイナス補正がかからないのなら、腕を切ろうが首を切ろうがHP以上のダメージを与えたかどうかで死亡判定ということではないだろうか?

 そして、防具も同じような不思議仕様がある。

 盗賊退治の際に斬首を狙った理由の一つは後で装備品を売却するためだった。

 下世話な話だが、フラガラッハでザックリと皮の鎧をブッ刺したら後で売れないだろうと。

 

 斬首を狙いながらも、実際の戦闘では胴体にザックリと突き刺してしまった時もあった。

 もちろん盗賊は即死なのだが、後で取得装備品の確認をした際に破損した鎧はなかった。

 あの短時間に村人が補修したとは思えないので、鎧は壊れていなかったということだろう。

 血塗れだったから、洗浄くらいはしたのかもしれないが。

 戦闘でダメージがちゃんと通ると思われる時に、それを逃す必要はないということか。

 その続きの連撃で斬首を狙うのも良いかもしれない。

 

 まあ剣道でも空手でも判定の旗が上がって、それを自分が完全に確認できるまではセルフジャッジはしないで、攻撃を続行する癖をつけていたのでその延長だな。

 

 デュランダルもフラガラッハも装備品を破壊するスキルはないので、対人戦闘の際に変に斬首のみを狙うのでなく、殺す気で剣を振るえばよいと思う。

 ただ死亡判定を明らかにするために、これからも斬首を狙える時は狙うつもりだ。

 その方が効率的なので。こういうことを考える自分にドン引きな気もする。

 

 思考が横道に逸れながらも、ニードルウッド相手にいろいろと試しながら戦闘を行う。

 

 たまにリーフが落ちるが、ドロップアイテムはほぼブランチばかりだ。

 昨日、雑貨屋で購入したリュックにドンドンたまっていく。

 アイテムボックスに入れても良いのだが、また取り出すのが面倒なのでリュックの中だ。

 リーフを拾ったので、薬草採取士が取得できたがレベリングは後回し。

 

 ニードルウッドは的がでかいので、斬り方のバリエーションをいろいろ試しながら進める。

 どこに当てても同じダメージなら変化は必要ないのが、今のうちにいろいろ試しておきたい。

 それに、やっぱり同じ斬り方ばかりだと飽きが来てマンネリになってしまう。

 素振りの時だって、実戦的にやらないと技術が身に付かないからね。

 

 持ち方を変えたり、なんとなれば上側の両手ではなく、下側の両手を使ったり。

 右側の両手を使ったり、左側の両手を使ったり。

 意外に右利き、左利き関係なく、剣を振り回せることに感動。

 初めて転移した村でのスローラビット、コボルトの時はそこまで気が回らなかったな。

 初めてのモンスター狩りでハイテンションだったのと、心にゆとりがなかったのかも。

 

 20個ほどブランチが貯まった時点で、冒険者ギルドに戻って精算。

 ブランチは1つ15ナールなので、300ナールに3割アップ付けて、一泊分の宿代くらいか。

 アイテムはギルド神殿が利用されているのか、精算は大して時間がかからなかった。

 探索者のレベルが8になったので、金貨はすべてアイテムボックスに収納。身軽になった。

 もう少し空きを作らないと、預けている装備品を格納するには心もとない。

 

 リュックから腕時計を取り出して見ると、ここまでで3時間くらいか?

 朝早くから迷宮入りしたので、昼までまだ時間がかなりある。

 いろいろ試したり、考え事で脱線してたから思っていたより時間を食った。

 余計なことをしなければ、だいたい1時間で10戦ぐらいは軽くいけそうだ。

 問題があるとしたら、フロアが他のパーティーで混んでいて迂回する時くらいだろう。

 幸い、今日の1階層は混んではなさそうだ。まだ迷宮が出現したばかりだからか?

 

 体力的にもメンタル的にまだまだ問題ない。

 少しハイテンションだから差し引いて考える必要があるかもしれないが。

 

 魔結晶は黒から紫に変わった。換金は緑に変わった直後あたりにするか。

 黄色までだと時間がかかりそうだし。

 元値は10ナールだから緑でも黄色でもどうせ誤差だ。

 

 冒険者ギルドへ初の遠距離ワープを試みたが、特に気分が悪くなることもなく移動できた。

 今はモグリの冒険者だから、早く正式な冒険者のジョブを獲得したいが道のりは遠い。

 

 ギルドでの精算後に屋台の串焼きを少し早めの昼食替わりにして、ベイルの宿屋に戻った。

 市の日ではなくても、屋台は普通にあるのは迷宮が出現したからか?食い物屋は元々?

 ベイルの宿屋でも昼食の弁当食えたのだっけ。今度試してみよう。

 あの宿屋は朝食も夕食も結構美味しかった。

 昼食を頼んでおけば良かったと、ちょっと後悔。

 異世界買い食い生活もやりたかったことだし、楽しめたからいいや。

 

ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)

戦士Lv14 剣士Lv14 英雄Lv10 僧侶Lv12 商人Lv12 探索者Lv8

装備 フラガラッハ アルフレイル 皮の靴

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