異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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041.カードの融合方針

「じゃあ、次はモンスターカード融合の話をしようか。

 ただ・・・・・・その前にヴィルマとイレーネは限界みたいだから解放するか。

 もう自室に戻っても良いぞ」

 ヴィルマとイレーネは生き返ったように立ち上がり、お休みの挨拶をして去っていった。

 

「ご主人様、説明はどのように致しましょうか。

 調べた内容を読み上げれば良いでしょうか?」

「それだと分かりにくいだろうから、

 俺の方で方針を説明したり、質問した後に足りない部分を

 アミルの調査結果で補ってもらう形にしようか」

 エネドラ達も残っているので、説明な詳細をいきなり聞かせるのはツライだろう。

 

「まず、俺の方から質問するぞ。初めに確認したいのは最終目標に関わるものだ。

 ハイコボルトという通常とは異なる上級のモンスターカードがあるよな。

 そのハイコボルトと合わせて融合するモンスターカードの種類の確認だ。

 通常のカードなら、コボルトに合わせてヤギを融合して知力2倍にするだろう?

 例えば、そのヤギの上級カードが存在して、

 知力3倍とか知力5倍になることがあるのだろうと予想しているのだけど、

 どのぐらいの種類が存在するのかという質問だ」

「えーと、調査した限りでは2種類しかないようでした。

 ヤギの上級であるハイゴートとサイクロプスの上級であるハイサイクロプスの2枚しか

 現在のクーラタルの迷宮では発見されていないようでした」

 えっ?2種類しかないのか。

 

「そうか2種類しかないのか。効果は知力と攻撃力の強化だろうか?」

「はい。ハイコボルトと合わせて知力5倍と攻撃力5倍のようです」

 そうか。まあ、分かり易いと言えば分かり易いな。

 

「モンスターカード融合はやはり隻眼のジョブでなければ出来ないのだろうか?」

「はい、恐らくは。図書館の記録を調べた限りでは隻眼でなければ成功例がないようです。

 隻眼以外・・・・・・の鍛冶師では失敗して上級モンスターカードは失われたそうです。

 あくまで確認できた成功例が隻眼しかないのであって、

 秘匿されている場合の鍛冶師での成功例はあるのかもしれませんが、

 図書館での調査では分かりませんでした」

 いや、調査結果としてはそれで十分だろう。

 

「では、ハイゴートと通常のコボルトのカードを使った融合は可能なのだろうか?」

「それも成功例は確認できていないです。

 隻眼であっても成功例がないようなので、上級のカード同士で融合するのが

 良いと思われます」

 常識的に考えて、その方が自然だよな。

 ハイゴートと通常のコボルトで知力3倍ということもなしと。

 

「後は隻眼のジョブを得て、上級のモンスターカードが手元に来てからの話だが、

 上級のモンスターカード融合の際に消費される空きスロットの数も注意したいな。

 上級のカードで成功させる場合に、

 ひょっとしたら1回の融合で空きスロットが2つ必要といった制約があるかもしれない。

 初回の融合の際に確認すれば良い話だが、

 空きスロットが1つしかないものでは失敗するかもしれないということだ。

 俺の考え過ぎかもしれないがな」

「なるほど。今は私でも倉庫を使って空きスロットの数が確認できるので注意しておきますね」

 頼んだ、アミル。俺以外にも注意してくれる人がいた方が助かる。

 

「さて、上級カードの件は話が分かり易いな。

 知力と攻撃力は最終的には上級カードを利用した融合を目指したいが

 それまでは通常の知力2倍、攻撃力2倍を基本に融合していこう。

 上級カードの融合は隻眼のジョブでしか出来ないのだから、

 隻眼を得てから考えれば良いので、焦らずに通常のカードの利用を心がけよう」

「はい。分かりました」

 上級のカードを求めて、クーラタルの迷宮の上位階層をアチコチうろつかなければならないと思っていたのだが、その必要はなさそうだ。

 隻眼に伝手がないと厳しいだろうから、通常のパーティには縁のない話なのかな。

 オークションで落札したとして、そのカードをどうするの?・・・・・・という話だろうし。

 

「知力と攻撃力・・・・・・魔法ダメージと物理ダメージの話が出たので、

 それを強化するカードについての質問だ。

 アミルもこの前見たと思うが、

 デュランダルやフラガラッハには防御無視やレベル補正無視というスキルが付与されている。

 相手側の防御やレベルを無視してダメージが入れば、そのダメージは増加することになる。

 そういったカードは存在するだろうか?」

「これに関しては不明点もあるのですが、

 鳥や鯉のカードがそうではないかという記録がありました。

 鳥のカードを融合したところ、コボルトなし、コボルトありで融合すると

 レベル補正軽減やレベル補正削減が装備品の鑑定で確認出来るようになったそうです。

 ただ、それがどのような意味を持つスキルなのかは解明されていないそうです。

 なお、鯉の場合は、クリティカル上昇とクリティカル二倍が鑑定されたそうです」

 探索者にしかレベルという名のアイテムボックスの大きさでしか判明していない世界で、レベルの概念を持ち出しても理解される訳ないか。

 ましてや相手がモンスターなのだから。

 

 それにしても、鯉で何故クリティカルが上がるのか?

 鯉(恋)の力で思わぬ力が出る?そんなバカなことはないか。

 

 レベル補正無視は存在しないのだろうな。

 ひょっとしたら未攻略(未踏)の上位階層にあるのかもしれないが90階層以降なんて途方もない話だ。

 レベル補正削減は俺達がレベルをカンストしてしまうと使い道がなくなるな。

 鯉のカードは運の要素があるだろうけど、おもしろいカードかもしれない。

 

「あとは対モンスターの種別毎の攻撃強化についての質問だ。

 特定の種別のモンスターへの攻撃を強化するカードはあるだろうか?

 もっとも仮にあったとしても融合の優先度は低くするつもりだ。

 特定の種別のモンスターとの戦闘だけ強化されても、

 迷宮では戦う相手が必ずしも選べる訳ではないので、使い勝手が悪すぎるからな」

「木と海水魚と豚のカードが該当しますね。

 これらのカードのスキル融合の優先度は低いということですね」

 俺はアミルの言葉に頷いた。

 

「それらの対モンスターの種別毎の攻撃強化するカードは武器にだけ融合できるのか?

 防具にスキル融合して、モンスター種別毎の防御を強化することは出来ないのか?」

「調べた限りは武器にだけ融合可能で防具への融合はダメなようです」

 武器にしか融合できないのか、それならそれで使い道があるか。

 

「他には対人戦を強化するカード等は存在するだろうか?

 そのようなカードがあるのなら、モンスターとは違って優先度は高くなる」

「対人戦を強化するカードは牛人のカードのようです。

 これも武器にだけ融合可能で防具はダメのようです」

 牛人が何故、対人戦強化になるのだろうか・・・・・・謎だ。

 

 それにしても決意の指輪に付与されていたスキルに対人戦強化があった気がする。

 防具にスキル融合出来ている気がするけど、ボーナス装備だから・・・・・・もしくは固定の装備品だから出来てしまったのだろうか?

 よく分からないな。

 

「あの・・・・・・旦那様、

 木や海水魚、豚や牛人のカードは人気のないモンスターカードとなっていて、

 かなり安値で取引されているようです」

「そうか、なるほど。それを聞くとますます使い道が出てきたな」

 人気がないなら好都合だ。

 

「えーと、どういうことでしょうか?ご主人様、私にも分かるようにご説明頂けると・・・・・・」

「ああ、そうだな」

 アミルがジト目で非難がましい表情を向けてきた。

 

「この世界では、盗賊や場合によっては人間の敵対勢力と戦うことを想定して、

 対人戦闘用のカードを融合した武器を所有していても良いと考えている。

 もちろん迷宮攻略とは分けて考えるべきだな。

 なので牛人のカードは使わずに在庫として一定数所有していても良いと思っている」

「なるほど?・・・・・・そういうものでしょうか」

 アミルも分かったのだか、分かってないのだか。

 

「次に木、海水魚、豚のカードについては使い道が2つある。

 一つ目はモンスターカードの融合成功数を稼ぐための役割だ。

 隻眼のジョブの取得条件に融合の成功数が必要なら、その数値を稼ぐためだ。

 防具と比べると武器の方が装備する数が少ない。

 もし、武器と防具と一定数以上の成功が求められているのなら

 武器の融合しか出来なくて価格が安いその3枚のカードは有効かもしれない。

 武器、防具に拘わらずスキル融合が成功した総数が条件の場合でも有効だろう」

「なるほど。もしご主人様の予想するジョブ取得条件なら、そうかもしれませんね」

 予想通りならな。予想通りかは分からないので、でたとこ勝負だが。

 

「まあ、俺の予想が外れている場合もあるから、話半分に聞いておく必要があるな。

 もう一つの役割は装備品から素材に戻すためだ。

 例えばオリハルコンの鎧があって、空きスロットが全くない場合に、

 その3つカードのどれかと融合すると失敗して素材に戻せるだろう。

 素材に戻した後に改めて武器なり防具なり装備品の生成を行えば

 空きスロット付きが出来る可能性がある。

 これは隻眼を得た後の利用方法なので現時点での優先度は高くない。

 少しひねった利用方法になるが、安値のカードだからこそ使い道はありそうだと思ったのだ」

「おもしろい発想ですね。心に留めておきます」

 

「武器の話をもう少し続けようか。

 さっきまでダメージを与えることを念頭にスキル融合を考えていたが、

 次はそれ以外の用途だ。具体的に言うと継戦能力の向上と状態異常付与だ」

「ケイセン能力ですか?」

 噛み砕いた説明をしないとな。

 

「継戦能力。つまり、継続して戦闘するための能力だ。

 具体的に言うと、HPを一定に保つこと、MPを一定に保つことだ。

 ケガしても直ぐにHPが回復出来れば戦闘を継続できるだろう。

 HPを回復するには僧侶などの治癒魔法に頼ることもあるが、

 HP吸収のスキル融合でも可能だ。もちろん相手を攻撃してダメージを与えることが前提だ。

 MP吸収のスキル融合した武器を使うことは、詠唱を必要とするアクティブスキルを

 連続して使うことが出来るようにすることだ。

 百獣王のスキルや魔法使いの魔法がそれにあたる。

 魔法使いは直接攻撃でダメージを与えることが少ないので融合の対象からは外れるがな」

「なるほど、HP吸収はつぼ式食虫植物、MP吸収ははさみ式食虫植物を

 コボルトと合わせてモンスターカード融合すれば良いですね」

 その通りだ。

 

「次は状態異常付与についてだ。

 既に硬直のエストックを戦闘で使ってるから、その効果は想像しやすいだろう。

 状態異常を付与する場合、石化、麻痺、睡眠、毒の4つが基本だと思っているが

 その他の状態付与が可能なカードは存在するのだろうか?」

「調査した限りでは、ご主人様の理解の通りだと思います。

 それぞれ、サンゴ、灌木、羊、アリが該当します」

 自分の理解の通りで良かった。

 

「さきほどは、サンゴ、灌木、羊、アリの順で話をしたが、

 俺はこの順が状態異常を与える優先度の高さだと理解している。

 優先度の判断基準は相手を無力化する度合いだ。

 石化してしまえば相手はこちらを永遠に攻撃できなくなる。

 麻痺や睡眠の無力化は一時的で、それが解ければ攻撃を再開されてしまう。

 毒は相手にダメージを与えるものの、こちらへの攻撃が可能だ。

 なので、俺は今並べた順に状態異常付与の武器を作るべきだと考えている。

 睡眠の方は、眠ってる相手に攻撃すると睡眠が解けてしまうだろう?

 麻痺はいつ解けるかは分からないが、攻撃したからと言って必ずしも解ける訳ではない。

 だから、睡眠よりも麻痺の方が有効だと思っている」

「なるほど、言われてみればそうかもしれません」

 うーん、何か反論が欲しいのだが、まだ無理か。

 

「そして、状態異常の場合は相手に状態異常を付与する確率も重要だ。

 通常の状態では、石化の発生確率がもっとも低く、

 麻痺、睡眠、毒は石化よりは発生確率が高いが、3つに優劣はあるのだろうか?」

「あまりハッキリとした記載はなかったのですが、

 その3つは石化よりは高い確率で発生するという記載はありました」

 まあ、そうだよな。統計でも取ってやるなら別だが、そこまでやった学者さんはいないのか。

 

「はっきりとした優劣がないのなら、先程の無力化の順番、つまり石化、麻痺、睡眠、毒の

 優先順で状態異常の付与を考えたい。

 実際問題として、近接戦闘系の武器は状態異常だけを付与するだけという訳にはいかない。

 先程話をした継戦能力を考慮する必要があるからな。

 だから最大でも2つ、つまり石化と麻痺までが限界だと思っている。

 どうしても3つ目を付与するなら、睡眠ではなく毒が良いという考えはあるかもしれないな。

 なかなか倒れない相手に継続してダメージを与え続けられるという点を生かす場合だ。

 ただ、3つ目を付与するのはかなり稀な場合ではないかと俺は思っている」

「ちょっとご主人様の考えについていけなくなりかけています」

 俺の方は原作の小説を読んで、考え込んだ結果だからな。今すぐ理解せよとか無理な話だよな。

 

「まあ、後で俺が作ったメモを渡すから、また分からないことがあったら質問してくれ」

「はい。ありがとうございます。とっても助かります」

 そう言って更に頑張らせてしまうのが、俺の悪いところかもしれない。

 

「博徒というジョブを使って、状態異常付与の発生確率を上げることが出来る。

 俺やイレーネの暗殺者や刺客のジョブが攻撃している対象に今は使うことがある。

 その場合は石化の発生確率が上がるので、やはり石化のスキル融合武器は有効だ。

 一方で、ヴィルマの方には博徒のスキルを使うのが後回しになることがある。

 そちらの場合はヴィルマの武器には石化ではなく、麻痺の方が有効かもしれない。

 麻痺の方が発生確率が高く、一定時間相手を無力化できるから、

 ヴィルマのジョブである百獣王や獣戦士のアクティブスキルの詠唱時間が確保出来て

 攻撃力の高いスキル攻撃が使えるからな」

「す、すみません。もうついていけません」

 アミルが涙目になってきた。エネドラもチクルスもかなり厳しい表情だ。限界か?

 

「もう一つは詠唱中断だ。これは今アミルがこなしている中衛の近接戦闘職には必須だ。

 それ以外の近接戦闘職の者は空きスロットの空き具合によって必要に応じて

 スキル融合を行うことにしたい」

「そうですね。全員に付与する必要はないかもしれません」

 これは普段の戦闘でも使っているから分かり易かったかもな。

 

「ちょっと、議論は止めて休憩しようか」

「そうですね、旦那様。ちょっと頭を休めた方がよいかもしれませんよ、アミルさん」

 エネドラが、皆のコップにハーブティーを注いで回る。

 

 こんな時にクッキーとか摘まめる甘いものがあるとリラックスできるのだろうが、我が家にはそのような気の利いたものはない。

 

「ちょっと細かすぎて、しかも専門的な内容だから俺の話を理解するのは難しいか?」

「はい。ご主人様は剣の師匠にこのような事を習ったのでしょうか?

 これほどの内容を教え込まれるのは、かなり厳しい修行だったのでしょうか?」

 うーん、全部、自分の趣味で考えた内容だからなぁ・・・・・・どう説明したものか。

 

「まあ、確かに厳しい師匠だったな。俺も必死だったよ」

「やはり・・・・・・そうなのですね」

 アミルは俺を気の毒そうに見ているが、エネドラを俺を訝しげに見ている。

 エネドラには見透かされているような気がするぞ。

 

「後で俺が今の話をまとめたメモを渡すから、もう一度確認してみれば良いから」

 俺は、書きかけのメモをアミルに渡して、安心材料を与えてみた。

 

「ありがとうございます。とても分かり易いメモで安心しました」

 アメとムチだな。アメになっているかは疑問だが。

 

「じゃあ、議論に戻るぞ。先程説明したように、

 武器の装備品の融合には魔法攻撃、直接攻撃、継戦能力、状態異常付与を

 ジョブや近接戦闘職、魔法戦闘職といった役割に応じて割り振る必要がある。

 まずは、個々の割り振る内容をちゃんと理解した上で、

 我が家のパーティメンバのジョブや役割と照らし合わせて

 装備品にモンスターカード融合していかなければならない」

「融合はやり直しがきかないので、その都度ご主人様と相談させてください」

 俺はニッコリ笑って、アミルの言葉に頷いた。

 

「じゃあ、次は防具の話をするな」

「そういえば、まだ防具の話がありましたね」

 アミルの表情から余裕がなくなった気がする。

 

「まあ、防具の方が分かり易いから。

 まずは魔法耐性の話からだな。

 これは、火、水、風、土の魔法耐性で全員の頭装備に必須で融合したい」

「トカゲ、人魚、蝶、ゴーレムですね。

 全員必須というのは、4つのスキル融合を同じ装備品にするということですよね・・・・・・」

 アミルの言葉の最後の方が小さくなった気がするが、俺はニッコリ頷いた。

 

「次に、状態異常だが、

 麻痺、睡眠、毒、石化の状態異常耐性で全員の胴装備に必須で融合したい」

「灌木、羊、アリ、サンゴですね。

 全員必須というのは、4つのスキル融合を同じ装備品にするということですよね・・・・・・

 (分かり易い、分かり易い・・・・・・って一体・・・・・・???)」

 何か、同じ事を言ってるのにアミルの表情がドンドンなくなっている。

 最後の方では、『モームリ』って聞こえた気がするのだが気のせいか?

 

「次に物理攻撃耐性だが、これはスライムにコボルトを合わせて融合するのだったろうか?

 これも全員の腕装備に必須で融合したい。

 その他に魔法耐性や何か特別な耐性に関するスキル融合はあるのだろうか?」

「物理攻撃耐性については、ご主人様の理解の通りです。

 魔法耐性については、特にどれかの魔法耐性に特化するのではなく汎用的な耐性として、

 魔法ダメージ削減が、ドラゴンとコボルトを合わせて融合することで可能のようです。

 個々の魔法耐性とは異なるため累積して効果が望めるようです」

 へぇ・・・・・・そんなのがあるのか。

 

 コボルトは全魔法に弱くてドラゴンは全魔法に耐性があったから、ある意味納得だな。

 

「では、それも腕装備に全員必須としよう。他にはないだろうか?」

「さきほど武器のところで説明した鯉とコボルトを合わせると

 防具ではクリティカル耐性になります。

 他には、状態異常全般に対する耐性として状態異常耐性を付与するのに

 ハーブとコボルトを合わせて実現できます」

 状態異常は個々の耐性を突破して状態異常を付与されてしまうことがあるのだろうか?

 まあ、保険としてハーブを使うのはアリだな。何か名前からして効果がありそうだし。

 

「では、その2つも合わせて4つを腕装備で全員必須としよう」

「分かりました。

 (また4つ、また4つ・・・・・・分かり易いけど何か思っていたことと違う)」

 武器と比べれば圧倒的に分かり易い説明なのにアミルの表情が冴えないな。

 

「では、次はアクセサリーだ。これは基本的に身代わりのミサンガを標準としたい。

 壊れることを前提にしているので、複数スロット付きのアクセサリーにして

 モンスターや対人戦でダメージを受けて壊れ、自分の能力が変化しても困るし、

 壊れた際に予備の身代わりのミサンガを直ぐに使えるようにしたい」

「その判断は合理的ですね」

 アミルの表情が明るくなったような気がする。良かった。

 

「その他には能力..例えばHPやMPを強化するスキル融合はあるだろうか?

 あれば、それらは脚装備にスキル融合しようかと思っている」

「HP2倍を付与するのに、亀とコボルトを合わせて融合、

 MP2倍を付与するのに、オリーブとコボルトを合わせて融合、

 体力2倍を付与するのに、トロールとコボルトを合わせて融合、

 精神2倍を付与するのに、貝とコボルトを合わせて融合、

 器用2倍を付与するのに、蜘蛛とコボルトを合わせて融合、

 回避力2倍を付与するのに、牛とコボルトを合わせて融合すれば良いようです」

 アミルが自分のメモを見ながら、説明し始めた。俺も負けずにメモを一生懸命に取る。

 

「HP2倍と体力2倍、精神2倍は全員必須にしたい。

 回避力2倍は近接戦闘職が必須、MP2倍は魔法戦闘職が必須にしよう。

 これで、もう4つの空きスロットが埋まってしまう。

 空きスロットが5つのものが入手出来たら、器用2倍の付与を考えたいが、

 まだ先の話だろう。

 後は、移動力増強は基本的には融合しないことにする」

「移動力増強を候補から外すのは何故でしょうか?」

 これはちゃんと説明しないとな。

 

「戦闘においては、パーティ全員の足並みを揃えるのが必要だ。

 俺は遊撃だから一人突出することがあるが、他の者は一塊で動いた方が良いので

 移動力増強は不要だと俺は考えている。

 俺の場合はスキルの力で高速で移動するので、移動力増強のスキル融合は効果が薄いと思う。

 移動力増強を付与するなら、器用2倍の方が良いかもしれない」

「なるほど、分かりました」

 原作Web小説の感想返信で器用2倍で状態異常付与効果が上がるかもという記載を見かけた気がするので、俺ならそちらを選択するな。

 

「という訳で、能力強化系のスキル融合も脚装備に概ね4つを必須でスキル融合したい」

「ご主人様、分かりました。

 (分かったけど、分かったけど。身代わりのミサンガ以外は全て4つ融合するのか・・・・・・)」

 武器と比べれば防具の方が圧倒的な分かり易さだな。

 

「それ以外では、蜂とコボルトを合わせて武器と防具にスキル融合すると、

 ダメージ逓増とダメージ逓減というスキルが発生するらしいが、

 現時点ではこの2つは融合することを考えてはいない。

 使いどころが難しそうで、迷宮の最終的な攻略が見えてから考え直す必要があるか検討する。

 武器の空きスロットもそれほど余裕がないので、蜂のカードは在庫に一定数確保する程度だ。

 これで、モンスターカードのスキル融合の方針や俺の疑問点を全て網羅したはずだ。

 アミルの方から調査した内容で説明漏れなどはないだろうか?」

「えーと、ちょっと待って下さい・・・・・・多分、大丈夫だと思います」

 アミルの調査内容は俺の知らなかった説明を補完するのに十分だったと思う。

 

「そうか。よくこれだけの事を調査してくれたな。

 アミルのおかげで、迷宮探索はかなり捗ると思う。本当にありがとう」

「いえ、こちらこそ多くのことを教えて頂き、ありがとうございました。

 明日からスキル融合について相談したいので、よろしくお願いします」

 まあ、相互理解が進んだと思いたい。大丈夫だよね?

 

 その後は、ルークから等価交換の取引で入手したカードと我が家の在庫にあるカードを突き合わせて、直近の融合対象を決めた。

 分かり易いのは魔法四属性の頭装備への融合と身代わりのミサンガで、それ以外はアミルの理解が進むまでは保留とした。

 

(ルークから入手)

トカゲ3、人魚3、蝶3、ゴーレム3(アミル、イレーネ、ヴィルマの頭防具に融合)

サイクロプス2(保留)

スライム2(保留)

アリ2(既にイレーネ、ヴィルマの胴装備に融合済)

コボルト18(既に2つ消費済。残り16だが、頭装備で12個消費予定)

芋虫6(全て身代わりのミサンガにする)

 

(我が家の従来の在庫)

ウサギ1(保留)

羊1(保留)

はさみ式食虫植物1(保留)

トロール1(保留)

ヤギ1(保留)

コボルト4(保留)

芋虫2(全て身代わりのミサンガにする)

 

 

「これが俺がさっき作ったスキル融合のメモだ。

 時間があるときに目を通してみて、疑問があれば質問してくれ」

「分かりました。すごい量ですが頑張って確認してみます」

 

■武器のスキル融合メモ

魔法攻撃系

①知力2倍(ヤギ※+コボルト):魔法戦闘職は必須※ハイゴートが最終目標

 

直接攻撃系

①攻撃力2倍(サイクロプス※+コボルト):近接戦闘職は必須※ハイサイクロプスが最終目標

②クリティカル二倍(鯉+コボルト) :近接戦闘職が必要に応じて(残り空きスロットと相談)

③詠唱中断(ウサギ+コボルト):近接戦闘職で中衛は必須。後は空きスロットと役割に応じて

 

継続戦闘能力向上

①HP吸収(つぼ式食虫植物+コボルト):近接戦闘職は必須

②MP吸収(はさみ式食虫植物+コボルト):アクティブスキル持ちのジョブの者は優先

 

状態異常付与系

①石化(サンゴ+コボルト):博徒を使う場合は第一優先

②麻痺(灌木+コボルト):第二優先もしくは博徒を使わない場合の第一優先

③睡眠(羊+コボルト):基本的には融合しない

④毒(アリ+コボルト):ボスもしくは迷宮主など継続ダメージを与えたい場合に融合(レア)

 

その他の考慮事項

(優先度低)ダメージ逓増(蜂+コボルト)※積極的に融合せず在庫を確保しておく程度

(優先度低)レベル補正削減(鳥+コボルト)

(優先度低)対モンスターの種別毎の攻撃強化(木、海水魚、豚+コボルト)

        ※安値で取得可。分解用、融合数稼ぎに利用可能

(特別枠)対人戦攻撃2倍(牛人+コボルト)※積極的に融合せず在庫を確保しておく程度

 

■防具のスキル融合メモ

属性魔法耐性(頭装備に付与)

①火耐性(トカゲ+コボルト):全員必須

②水耐性(人魚+コボルト):全員必須

③風耐性(蝶+コボルト):全員必須

④土耐性(ゴーレム+コボルト):全員必須

 

状態異常耐性(腕装備に付与)

①麻痺耐性(灌木+コボルト):全員必須

②睡眠耐性(羊+コボルト):全員必須

③毒耐性(アリ+コボルト):全員必須

④石化耐性(サンゴ+コボルト):全員必須

 

物理攻撃耐性(胴装備に付与)

①物理ダメージ削減(スライム+コボルト):全員必須

②クリティカル耐性(鯉+コボルト):全員必須

 

魔法攻撃耐性(胴装備に付与)

①魔法ダメージ削減(ドラゴン+コボルト):全員必須

 

状態異常耐性(胴装備に付与)

①状態異常耐性(ハーブ+コボルト):全員必須

 

能力向上(脚装備に付与)

①HP2倍(亀+コボルト):全員必須

②MP2倍(オリーブ+コボルト):魔法戦闘職は必須

③体力2倍(トロール+コボルト):全員必須

④精神2倍(貝+コボルト):全員必須

⑤器用2倍(蜘蛛+コボルト):空きスロットに余裕があれば

⑥回避力2倍(コウモリ+コボルト):近接戦闘職は必須

⑦移動力増強(牛+コボルト):基本的に融合しない

 

特別枠(アクセサリーに付与)

①身代わり(芋虫):全員必須

 

その他の考慮事項

(優先度低)ダメージ逓減(蜂+コボルト)※積極的に融合せず在庫を確保しておく程度

(優先度低)レベル補正削減(鳥+コボルト)

 

 

 一応、ドワーフの言葉で記載したので、分かり易いはず。

 やはり俺の異世界言語のスキルは優秀だ。

 

 きっと、アミルも満足してくれるに違いない。




お読みいただき、ありがとうございました。

今回は本作におけるモンスターカード融合の内容や融合方針を主人公に語らせる話でした。

上級カードについては詳細を全て考えるのも、主人公に上級カードを集め直させるのも(私が)面倒なので、2種類に絞りました。
上級カードによる装備品の能力インフレを抑えるために2つに絞ったということでもあります。
能力インフレになったスーパー武器を使って戦乱を描くと、死者が出まくって危なすぎるので。
自分が使えそうな武器は敵も使えるので、全部、自分に戻ってきてしまいますから。

戦争なので死者が出るのは仕方ないのですが、スーパー武器で死ぬのはちょっと哀れかなと。
本作主人公にはボーナス武器があるので、依怙贔屓ですが。
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