朝起きると、何故かとっても晴れやかな気分だ。
刺客ジョブが取れずに溜まっていたストレスがアミルのおかげで吹き飛んだのかもしれない。
アミルのおかげというか、チクルスのおかげというか。
ともかく、日課のストレッチをして体を覚醒させる。
いつも通り、丁寧に足の筋を伸ばしながら、腰を回して体全体を解していく。
視線の先に・・・・・・あれっ、あの落ちてるのはアミルの穴の開いた・・・・・・?
拾い上げるとやっぱりそうだ。
アミルはいつものごとく、俺が起きたら既に姿は見えなかった。
アミルはコレをここに置いて、どうやって自室に戻ったのだろう???
なんだか、朝から煩悩が全開になってきた気がする。
煩悩を払うために洗濯行きの籠に放り込んだ。
明鏡止水、明鏡止水・・・・・・ストレッチを再開する。
エネドラが迎えに来たので、一階に降りる。
チクルスの所業って、エネドラはどこまで把握しているのだろうか。
エネドラの指し金ってことはないだろうけど、凡そは把握してるのではないかという気もする。
たまには、エネドラがチクルスの悪戯に翻弄されてる姿も見てみたいものだ。
いかん、いかん。朝から妄想が暴走している。
明鏡止水、明鏡止水・・・・・・
俺とエネドラが席に着くと朝食が始まる。
アミルは挙動不審な状態。
チクルスは肩を震わせている。お前、もう隠す気が微塵もないだろう?
新しく来たレイモンドとモニカは当惑した顔をしながら朝食を食べている。
今は他人事のように考えているだろうけど、お前ら二人はチクルスの恰好の獲物だぞ。
絶対にチクルスの毒牙にかけられている確信が俺にはあるよ。
別に教えてやったりはしないけど。こういうのは慣れだから。
チクルスのことだから、昨日のアレをレイモンドからモニカにプレゼントさせるとかやりかねない気がする。
モニカのスラッシュが火を噴くかもな。
やはり、護衛メンバの拡充は急がなければならない。
レドリックはポーラ一筋だから、チクルスのセンサー(?)には引っかからなさそうだよな。
イケメンで真面目で一人の女性にゾッコン、そして将来の剣聖候補。
どう考えても主人公属性の持ち主だ。
強面で迷宮のガチ攻略好きでハーレム持ち、ジョブは百鬼夜行・・・・・・誰のこと?
食事を終えて、レイモンドとモニカに装備品を渡した。
今日から護衛任務をしてもらうのだから、装備品なしという訳にもいかない。
モニカの硬革のジャケットはアミルが防具生成したものだが、それ以外は迷宮での拾い物だ。
それでも、全て硬革製の防具に身を包んでいるのだから、それなりの装備品と言えるだろう。
レイモンドは昔のパーティでも槍を使っていたらしいので、鋼鉄の槍を渡した。
モニカはレイピアと鋼鉄の盾だ。
レベリングが進んだら二人の武器はもう少しグレードを上げよう。
レドリック(人間族 男 25才 奴隷)
剣士Lv1
装備 エストック 鋼鉄の盾 硬革の鎧 硬革の靴 硬革の帽子 硬革のグローブ
身代わりのミサンガ
(控えのジョブ)村人Lv7 薬草採取士Lv1 探索者Lv3 戦士Lv31 騎士Lv1
レイモンド(人間族 男 19才 奴隷)
探索者Lv9
装備 鋼鉄の槍 硬革の鎧 硬革の靴 硬革の帽子 硬革のグローブ 身代わりのミサンガ
(控えのジョブ)村人Lv5 薬草採取士Lv1 戦士Lv1 剣士Lv1
モニカ(人間族 女 20才 奴隷)
剣士Lv7
装備 レイピア 鋼鉄の盾 硬革のジャケット 硬革の靴 硬革の帽子 硬革のグローブ
身代わりのミサンガ
(控えのジョブ)村人Lv6 薬草採取士Lv1 戦士Lv1 探索者Lv3
レドリックは剣士Lv1になってしまったので、通常部隊の方に入れてレベリングするか。
ボス部屋に入る時だけ小荷駄に入れれば良い。
レイモンドやモニカは小荷駄隊に入れておく。
三人のレベルが揃ってきたら、逐次ローテーションしていこう。
「旦那様、迷宮で拾得した装備品を、お風呂場に置いておくようにお願いします。
後ほど、レイモンドとモニカに洗浄してもらいますので」
「分かった、後で置いておくよ」
刺客ジョブを取得するために魔物部屋巡りしたけど、3パーティ分くらいの装備品を拾ったのだよな。
洗うのは手間だが、人手が増えたのだから問題ないか。
我が家に加わると、まずは(拾った)装備品の洗浄からやるという掟が作られたのだろうか?
ヴィルマとイレーネはやってないから、そんな掟はないか。
風呂場に装備品を出して、急いで二階に上がった。
準備を整えて、一階に降りると迷宮組三人が待ち構えている。
そして、見送る人間の方が多くなってきた。ちょっと仰々しくて不思議な気分。
六人に見送られて、ベイルの21階層にワープした。
ベイルの21階層の新規モンスターはラブシュラブだ。
雑魚モンスターが鍛冶素材でボスが生薬素材をドロップする。
ラブシュラブ、ピッグホッグ、ビッチバタフライの順に多い。
ビッグホッグは食材をドロップするので、この階層はまあまあ当たりの部類だ。
比較的足の速いモンスターが多いので、一部を三人に流しながら残りを俺が倒そう。
雷魔法とイレーネの硬直のエストックで相手の戦力を減殺しながら、フラガラッハと激情のダマスカス鋼剣で削っていくのが基本戦略だ。
まずは四匹の集団から。
「前にラブシュラブ1、ピッグホッグ2、後ろにラブシュラブ1だ。2番だ」
「了解」
「了解」
「了解」
まずは、オーバーホエルミングからのサンダーストーム2連発。
そこからの突撃・・・・・・あらっ?・・・・・・モンスターが一匹も来ない。
前衛が全部、麻痺か。ビッグホッグ一匹か二匹は三人に渡すつもりだったのだが。
前衛の3匹が硬直してしまったので、いち早く辿り着いた俺がフラガラッハと激情のダマスカス鋼剣の連打と剣聖のスキルで倒す。
その後ろからラブシュラブの遠隔攻撃が飛んできた。
慌ててダッキングで躱そうとするけど、肩に掠って飛んでいった。
「痛ってぇな、この野郎が」
オーバードライブをかけて、怒りの連撃を繰り返して倒した。
結局、俺一人で倒してしまった。
きっとヴィルマがお冠だな。
でも、後方で滞留していたんだから俺のせいじゃないよ。
魔道士のレベルもかなり上がってきたからなのか、雷魔法で麻痺がよく発生している気がする。
レベルと麻痺の確率は関係ないのだっけ?
でも、徐々に確率が上がってる気がするんだよな。
麻痺するかどうかは運の要素もあるので、その後は受け流したり、やっぱり滞留して倒したりなんてのを繰り返しながら未確認エリアをクリアにしていく。
ヴィルマもたまにビーストスラッシュが撃てるので気分よく戦えているようだ。
イレーネだけは淡々というかコツコツと、硬直のエストックでモンスターに打撃を的確に与えてコンスタントに麻痺させている。
さすが刺客というか、暗殺の職人技を繰り出している雰囲気だ。
表情をほとんど変えないけど、石にした時にたまに口角が少しだけ上がってるのが怖いのですけど。
魔物部屋には俺が一人で入って魔法を繰り出しながら出入りして、全滅させた。
装備品は残ってなかったので、全滅したパーティはいなかったと思いたい。
ボス部屋も四人で侵入し、レドリックを小荷駄隊に入れて、有利な位置からボス戦開始。
ラフシュラブを俺が相手をして、ピッグホッグを三人に引き受けてもらう。
オーバーホエルミングからの雷魔法二連発からスタートして、俺はボスを連撃で瞬殺する。
あとは三人の戦いを見守るだけ。
イレーネの石化が早いか、ヴィルマのビーストスラッシュの止めが早いか?
軍配はイレーネに上がったようだ。
最後はヴィルマが怒りのビーストスラッシュを叩きつけて終了。
22階層に抜けた。
これで午前中の迷宮攻略は終了だ。
モンスターカードはドロップしなかったが、鍛冶、食材、生薬の素材になるドロップ品がそれなりに取得出来たから悪くないか。
イレーネの刺客とチクルスの薬師はLv20まで到達したが、アミルの冒険者とヴィルマの百獣王はLv18とLv16だ。
まだまだ成長の余地がある。
レドリック、レイモンド、モニカのパワーレベリング組はLv15前後だ。
2、3日この状態を続ければ直ぐに使えるレベルになるだろう。
やはり、百鬼夜行の育成能力は素晴らしい。
ジョブの名称の響きからは想像もつかないが。
ワープゲートを開き、自宅に戻ることにした。
厨房のエネドラ達に声をかけて帰宅を伝えた。
「旦那様、ルーク様の伝言を伝える者が先ほど我が家に参りました。
サンゴのカードを落札したそうです。
この前の等価交換での取引に附帯する契約のスキル融合品が出来ていましたら、
次回来訪時に持ってきて頂きたいとのことでした」
「そうか、向こうも乗り気ってことなのかな。
いつ商人ギルドに行くかは昼食の時間にでも相談しようか」
「はい。もうすぐ昼食の準備が整いますので、お着替えが終わりましたら、
そのまま食堂へお願いします」
「ああ、分かった。ありがとう」
・・・・・・
昼食を頂きながら、ルークとの対応についてエネドラと相談。
「早い方が良いかな?
落札したカードの受取とスキル融合装備品の提示なら、それほど時間もかからないだろうし。
装備品との交換条件もこちらの要望を伝えるだけだしな。
こちらの希望するモンスターカードは、
サンゴ、つぼ式食虫植物、はさみ式食虫植物、スライム
の中からどれか2つを5枚ずつとコボルト10枚で良いかなと思っている」
「ご主人様、サンゴは落札したと伝言がありましたが、まだ必要ですか?」
まだまだサンゴは必要だよ。
「そうだ。サンゴは状態異常の優先度が高いって前に説明したけど、
逆に攻撃を受ける側に回った際には、耐性としても一番優先度が高いことになる。
今、石化の耐性を付与した防具は誰も装備していないから、
まだまだサンゴのカードは必要だな」
「なるほど、言われてみればそうですね。分かりました」
さて、後はいつ行くかだけど。
「エネドラは俺と一緒にルークの所に行ってほしいのだけど、いつにしようか?」
「可能なら今日の午後でいかがでしょうか?
先送りにする必要もありませんし、
提示してから20日以内に追加分の取引の決着をつけるのなら、早い方が良いと思われます」
確かにそうだな。
エネドラの方の旧知の商人との取引も進むかもしれないし。
「じゃあ、今日の午後一にしようか。
ヴィルマとイレーネは悪いけど俺達が戻るまで待っててもらえるか?
アミルとレドリックは俺とエネドラと一緒に商人ギルドに行こう。
大楯を出すので、アミルの力が必要だ。
俺が出しても良いのだけど、まあアミルの方が無難かな。
後で倉庫から大楯を出して、目の前で一緒に融合しよう」
「はい。よろしくお願いします」
イレーネとヴィルマも不満気ではないから、訓練をしながら待っていてくれるのだろう。
「本当はレイモンドとモニカも連れていきたいのだが、さすがに人数が多過ぎるのでな」
商人ギルドに連れていく機会は、また訪れるだろうから次回以降だ。
「ユキムラ様、産婆さんへの来訪を今日にしても良いでしょうか?
ポーラさんの体調も良さそうですし、早いうちに一度訪ねてみたいと思いまして」
「そうか、それも良いかもな。
産婆さんの所に行くのなら護衛は女性が良いだろう。
モニカにお願いするか」
レドリックの方を見ると、頷いているので大丈夫だろう。
まあ、近所らしいから何も起きないと思うが念のためだ。
「レイモンドは・・・・・・ヴィルマとイレーネの訓練に参加してみるか?」
「は、はい。分かりました」
うん、全く分かってないな。
あの二人との訓練はなかなか厳しいので、それは身をもって分かるしかないのだ。
レドリックも苦笑いしながら頷いてるから、きっと俺と同じ意見だ。
俺の留守中にヴィルマとイレーネとレイモンドというのは少し不安が残るが、まあ慣れだ。
頑張れ、レイモンド。
・・・・・・
食事を終えて、俺とアミルは二階に上がった。
作業部屋に行き、2枚のカードとダマスカス鋼の大楯を倉庫から取り出す。
カードだけテーブルに置き、アミルのジョブを鍛冶師にして大楯はアミルに渡す。
小柄なアミルが大楯を楽々と持っているのが、いつ見ても不思議な光景。
「今ぞ来ませる御心の、言祝ぐ蔭の天地の、モンスターカード融合」
頑強のダマスカス鋼大楯(物理ダメージ削減)
この大楯はダマスカス鋼工房の親父が作ったものではなく、アミルが鍛冶師の経験を積むために作った防具だ。
アミルが作ったダマスカス鋼の大楯にスキル融合した防具だと思うと、ちょっと引き渡すのが惜しくなるな。
別に親父とアミルで性能に差はないのだが、気分的な問題だ。
「アミル、ありがとう。そのままアミルのアイテムボックスに入れておいてくれ」
「はい、ご主人様」
楽々と持ち上げて、アイテムボックスに収納している。シュールだ。
「じゃあ、一階に降りよう」
アミルと玄関に向かうと、既にエネドラとレドリックは待っていた。
チクルス達はまだ昼食の片づけがあるので、厨房だ。
そのうち出掛けるのだろう。
ヴィルマ達はレイモンドを連れて、裏庭に行ったようだ。
ケガはなるべくするなよ、レイモンド。
本来はヴィルマやイレーネに頼むべきことだが、あいつらにはきっと無理だろうからな。
玄関でワープゲートを開き、商人ギルドの壁に繋いだ。
受付でルークを呼び出してもらい、指定された商談室に向かう。
俺とエネドラが座り、後ろにアミルとレドリックが控える。
今回は別にガチの商談がある訳ではないので、リラックスしながらルークを待つ。
やがて、ルークが礼をしながら入室してきた。
今回も例の武器商人の付き人がいるな。
今回の提示する装備品は防具なのだが。
軽く挨拶を交わし、ルークからモンスターカードが提示された。
サンゴ、はさみ式食虫植物、コボルト
それぞれ1枚ずつの計3枚。
特に文句もないので落札金額で支払い、次回継続分のカードの手数料も前払いで払った。
リュックにメモと合わせてカードを仕舞った。
「次回の落札も先日伝えた通りの優先度で頼む」
ルークも苦笑いしている。まだまたカードは必要なので諦めてくれ。
「今日は、先日の取引に附帯させた契約のスキル融合品を持ってきた。
頑強のダマスカス鋼大楯だ。確認してくれ」
俺はアミルに目配せして、アイテムボックスから大楯を取り出してもらった。
少しルークの表情が揺らいだような気もする。
思っていたよりも良い装備品を出してしまったからだろうか。
それとも、大楯という防具に何かあるのだろうか。
ルーク自身が防具鑑定の詠唱を行い、確認を行なった。
「確かに頑強のダマスカス鋼大楯のようです。
こちらを取引の候補としてよろしいのですね?」
「ああ、問題ない」
よろしいから持ってきた訳だしな。
「先日も伝えたが、今回も等価交換の取引にさせてほしい。
今回のこちらの要望は、素材はダマスカス鋼と竜革、
希望するモンスターカードはサンゴ、つぼ式食虫植物、はさみ式食虫植物、スライムで
可能であれば5枚ずつの組み合わせをその4つのどれかから2組だ。
あとは、それに対応するコボルトが10枚というものだ」
「サンゴ、はさみ式食虫植物は先程、お渡ししましたがよろしいのでしょうか?」
俺はルークの言葉に頷いた。
「それぞれ1枚だけなんて誤差の範囲だから、数をこなさければならない。
それでも成功するのは、せいぜい1回だけだろう。
今後もモンスターカード融合は数をこなさなければならない」
「左様ですか」
ルークの表情からは何を考えているのかまでは読めない。
「こちらの希望は伝えたので、後はそちらの返事を待てばよいだろうか?」
「はい。決まり次第、伝言させて頂きます」
ボールはルークへと渡った。こちらは待つだけだ。
アミルに大楯を仕舞ってもらい、ルークに見送られて商談室を後にした。
「エネドラはどうする?
このまま一緒に帰るか、それとも、レドリックを連れて商人達の所を回るか?」
「そうですね。せっかく来たので少し情報収集してから帰りたいと思います」
その方が良いだろう。
「レドリック、護衛は任せたぞ」
「はい。お任せください」
二人に見送られて、商人ギルドの壁から自宅へワープした。
自宅に帰ると我が家にいたのは訓練組の3人のみ。
チクルス達は出かけたようだ。
アミルと裏庭に回って三人のいる広場に向かう。
レイモンドは大の字になって、空を見上げている。
ヴィルマとイレーネは木刀で激しい打ち合いをしていたが、こちらに気づいて手を止めた。
「主も一緒にやるか?」
「いや、この後、迷宮に行くから準備をしてくれ」
午後は訓練の時間だとは伝えていないのだが。
「分かった、準備をする」
イレーネもコクコク頷いて、レイモンドを置いてサッサと行ってしまった。
なかなかに酷い仕打ちだ。
「大丈夫か?」
俺はレイモンドに手当をかけながら、話しかけた。
「何なのですか?あのお二人は?
全く、敵わないとかいうレベルじゃなくて、剣先がほとんど見えないのですけど」
「そうだな。あいつらは、いつもあんなモノだ」
あの二人は時々、カウンターの取り合いの練習をしているから、鋭く素早い軌道での剣に磨きがかかってるんだよね。
「こうなることが分かっていて、僕を置いていきました?」
「ああ、口で説明するよりも体験してもらった方が早いと思ったからな」
我が家の常識は体験して修得するものだから。
「ひ、酷くないですか?」
「まあ、愚痴は風呂の時に聞いてやるから。それより、立ち上がって家に戻れ。
俺達はこれから迷宮に行くので、一人で留守番していてくれ」
俺のセリフもなかなか酷いものだろうか。
レイモンドも来た当初は俺が主人ということもあって、かなり遠慮していた。
けれど一緒に風呂に入り、こうしてヴィルマ達に可愛がられると徐々に内心が見えてきて興味深いな。
これからも、同様の酷い目に遭うだろうが命を取られる訳でもない。
慣れてもらおう。
肩を落とすレイモンドと共に玄関に戻ると、既にヴィルマとイレーネが文字通り臨戦態勢で待ち受けていた。
レイモンドの口から「ヒィ・・・・・・」と息を飲み込むような声が聞こえた気がした。
別にお前がこれから戦う訳ではないだろうに。
同情するなら、あの二人の相手をするモンスターの方にしてやれ。
二階に急いで上がって出発の準備をした。
玄関に行くと既にアミルも待っていた。
見送りはしなくて良いと伝えたのにレイモンドも何故か居た。
「そのうち、エネドラ達かチクルス達が戻ってくるだろう。
来客があっても出なくて良いので休んでいろ。
後は風呂で汗でも流した方が良いぞ」
護衛に言うセリフではなく、子供に留守番させるような口調だが別に構わないだろう。
この状態で来客対応させる方がよっぽど拙い気がするし。
レイモンドは力なく頷いた。
玄関にワープゲートを繋いで、迷宮組はザビルの迷宮の21階層に出発した。