宿屋でボイルから鍵を預かり、掃除終了を確認した後、しばらく部屋で寝ることを告げた。
偽装工作のためだ。この宿に「Please Don’t Disturb」の掛け札はない。
この異世界のどの宿にもないかもしれないが。
邪魔されずに自由に宿と迷宮を行き来するためだが、意味があるかどうかは微妙。
部屋に戻り、水を少し飲んで休憩した後、ベイルの迷宮の一階の小部屋に直接ワープした。
探索の再開だ。戦闘前に気になっていたことの確認から始める。
メジャーで測ると、廊下の幅は5mだった。この世界にメートル法があるのかは知らん。
5mって、三人並んで剣を振り回すのはちょっと、厳しい気がする。
1階層では敵は一体だし、そもそも俺はまだソロ攻略だから問題はないのだが。
階層が上がると道幅や階層全体の面積が変化するのかは、ちょっと気になる。
昼食後は経験値ボーナス系を少し控え目にして、結晶化促進を32倍にして進めてみる。
ボーナスポイント(211)(初期値198+13(Lv上昇分))
・キャラクター再設定(1)
・武器5(フラガラッハ)(31)
・防具5(アルフレイル)(31)(防御力2倍、魔法ダメージ削減、状態異常無効、レベル補正無視)
・鑑定(1)
・ジョブ設定(1)
・索敵(5)
・必要経験値十分の一(31)
・獲得経験値十倍(31)
・結晶化促進三十二倍(31)
・シックスジョブ(31)
・詠唱省略(3)
・ワープ(1)
余剰ポイント(12)
まだ、クリアになっていない部分を重点的に歩いて、ニードルウッドを狩っていく。
一階のエリアがどんどんクリアなマップになっていくのが非常に気持ち良い。
一方で、どうしてもたどり着けないエリアが存在するのだが、きっと魔物部屋だと思う。
グレーなエリアに隣接する廊下の壁には触れないように気を付けている。
魔物部屋のサプライズ経験という聖地巡礼はノーサンキューだ。
未探索エリアで、モンスターの数が不明だから非常に危険だ。
魔法使いも未取得でレベリングも始めたばかりだから、今はスルーしよう。
ハイテンションでも、現状の戦力で魔物部屋に突入する気にはとてもなれない。
せめて余裕を持ってメテオクラッシュが使える状況じゃないと無理だろう。
それはそれとして、再びメジャーの出番だ。周囲に他のパーティーがいないのは確認済。
魔物部屋らしきエリアの壁に触れないように、廊下の長さをメジャーで測る。
索敵のマップで見ると、魔物部屋の広さは約10メートルの正方形の部屋なのだろうか?
まあ、中がいくつかの部屋に分かれている可能性はあるかも。
原作では魔物部屋は4、5メートル四方で、モンスターが10匹から20匹だったっけ?
いやいや5メートル四方に20匹はないか?ちょっと混んでいる電車並の密度じゃない?
10匹でも、かなりの圧迫感だよな。俺よりも背が高くてリーチもある。
肩が触れた手が当たったとかで大乱闘?有体に言って集団リンチだ。やはり恐ろしい。
いや、問題はそこではなくて、今回は10メートル四方かもしれないってところだ。
5メートル四方で10~15匹だとしても、10メートル四方なら40~60匹?
エレベータみたいに人数(重量)制限があれば良いけど、ちょっと無理ゲーじゃないか?
手違いで入ってしまったら、普通に死ぬでしょ?やっぱりハードモードだ。
これは普段から壁に触らないで探索する習慣を身につけないと、長生きできないと思う。
早いうちに気づけて良かった。
思い付きでメジャーをこの世界に持ち込んだ自分を褒めてあげたい。
95%は索敵スキルのおかげだが。
また思考が横道に逸れたが、迷宮探索をする上での必要経費だ。
これからも頑張って考えた方が良い気がする。
クリアになったエリアにリポップした赤い点を追って、ニードルウッド狩りを続行。
ワープと索敵スキルの相性は良いようだ。ワープしても気分の落ち込みもない。
英雄のレベルが程よく伸びているおかげかもしれない。
リュックが一杯になる度にアイテムボックスに収納。
宿屋に戻る時間が惜しくなってしまった。偽装工作は無駄だったかもしれない。
魔結晶は紫になった時点で予備の黒魔結晶に切り替えた。
試しに売却してみたくなったのだ。初めのうちは色々経験しておいた方が良いだろう。
二度目のリュックのブランチが一杯になった時点で、ボス部屋手前の待機部屋に入った。
待機部屋近辺に他のパーティーがいないタイミングを見計らってワープする。
初めてのボス戦闘だが、緊張は全くしていない。
ボスのウドウッドはオーバーホエルミング中にラッシュとスラッシュの2連発で煙と消えた。
スラッシュは空振りだったかもしれない。微妙に当たったようなかすったような感じだった。
ドロップ品はワンドだったが、空きスロットはなしだ。
ワンド程度ではモンスターカードは融合しないだろうが。
魔法使いのジョブは未取得だが初心者魔法使い用の武器は入手した。
そういえば、原作小説やマンガの方はボスドロップがリーフだった気がする。
ワンドがドロップしたのはWeb小説側だったか?
この世界がどちらに準拠しているのかは、もう考えても仕方ないかな。
なんか入り混じってる気もするし、統合された別世界と考えた方が良いかも
それでも、原作のストーリーや進行内容はそれなりに参考にする予定。
ジョブの解放条件とかモンスターの特性とかは事前に分かった方が有利なのは間違いない。
ジョブ取得条件は割と原作通りだったので、非常に参考になっている。
索敵で見ると待機部屋やその近辺の通路に他のパーティーはいない。
ボスを倒したので2階層の小部屋に抜けた。
2階層の小部屋から1階層のボス待機部屋に直接ワープした。
他のパーティーがいないことを見計らって、ボス狩りの周回を行う。
やはり索敵スキルがあると、ワープを使ってボス部屋と待機部屋の行き来が楽で良いな。
追加で3周した後、今日の探索は早めに切り上げることにした。
ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)
戦士Lv16 剣士Lv16 英雄Lv12 僧侶Lv15 商人Lv15 探索者Lv13
装備 フラガラッハ アルフレイル 皮の靴
探索者のレベルはかなり上がったので、明日は薬草採取士のレベルも上げてみたい。
ボス周回の2回目以降はリーフがドロップした。ワンドはレアドロップということだった。
通常戦闘でリーフは平均すると10回に1回程度でドロップした。
つまりレアドロップ率は十分の一か?
ボス戦でもレアドロップ率が同じだとすると、初回レアドロップはラッキーだったのだろう。
とりあえず、リーフとワンドは売らずにとっておこう。
一度、宿屋の部屋にワープして、アイテムボックスから大き目の袋にブランチを移し替えた。
目立つボーナス装備は仕舞って、ほむらのレイピアと皮の鎧を取り出して装着と。
冒険者ギルドにワープした後、探索者ギルドへ行き、ブランチと青魔結晶の精算をする。
受付のお姉さんが、ブランチがたくさん入った俺の袋を見て顔をしかめた。
「数が多い場合は、別の窓口で精算するので」と言われて別室に通された。
で、お姉さんとは違う事務員っぽい男の人がギルド神殿らしきものを操作している。
「ここにアイテムをドンドン入れていって、終わったら声をかけてください」
「ここに入らないものは精算できないものと思ってください」
セルフレジらしい。事務員のしゃべり方も非常に機械的だ。
精算ボタンを押す時だけ事務員対応?異世界にも省力化の波が来ているのかもしれない。
事務員はカウンターの方に戻っていったようなので、ブランチをドンドン入れていく。
事前にブランチの本数は数えてある。青魔結晶も入れてみると飲み込まれていった。
ワンドはドロップアイテムだけど武器でもあるのだが、入るのだろうか?
入れてみたい衝動に駆られ、思い切って入れてみたが入らずに床に転がった。
面倒がらずに武器屋に行けと。
もう入れるものがなくなったので、さきほどの事務員を呼ぶことにした。
気軽に呼びつけているけど、実はギルドマスターでしたというオチがあるのだろうか?
原作にもギルドマスターの記載はなかったから、ただの事務員だろうけど。
精算ボタンが押されたのか、貨幣がジャラジャラ出てきた。
事務員がトレーで受けて、俺に渡してくれた。慣れた対応だな。
なんか、元の世界のパチンコ屋が思い出された。お金が直接出てきてるけど。
トレーのお金を小袋に移し替え、カウンターで黒魔結晶を6個買ってギルドを後にした。
探索に夢中になったせいで、鬼人族の固有ジョブ解放の実験忘れてた。明日の宿題だな。
小袋の中身を確認して、ブランチの数と青魔結晶を計算すると想定通りの金額だった。
青魔結晶は1000ナール、ブランチは15ナールで数えた本数分を合算して3割アップ。
合計2002ナール・・・・・・御明算。子供の頃に通っていたソロバン塾を思い出した。
カルクがなければ絶対にできない暗算だ。
まだ時間があるので武器屋と防具屋に寄って、預けていた装備品を受領。
ワンドの売却価格を聞くと500ナールだった。うーん、高いような安いような。
魔法使いの武器と思えば安いが、1つのドロップ品と思えば高い。
レアなのでドロップ率が低いとはいえ。
ちなみに魔法使いなど来ないので、この武器屋ではワンドの買取りはしていないそうだ。
もっともな理由だけど、なら展示しているあの残念武器は誰も買わないのではないか?
店主の買取りが失敗した黒歴史なのかもしれない。
いつか、あの武器が売れる日が来るのだろうか・・・・・・来ないと思う。
帝都やクーラタルの武器屋なら、その金額で買い取ってくれるらしい。全ては需要次第。
買取価格や売却価格は商人ギルドで決まっていて、ギルド加入商店は固定価格らしい。
この世界の商店は自由競争ではないようだ。ゲーム仕様とも言うかもしれない。
ただ、固定価格の割には3割アップや3割引は有効のようだ。これもゲーム仕様か?
最近、迷宮ができたので探索者が増えれば、買取りを始めるかもしれないとか言っている。
迷宮でのドロップ品が持ち込まれると、武器屋でのラインアップが増えるとかゲーム仕様か?
違うな、買取りは拒否されているから。
アイテムボックスに余剰装備が収納できたし、鎧を皮の鎧から鉄の鎧に変更した。
1日で新米冒険者から脱した気分。まだ1階層しか攻略を終えてないのだけど。
青魔結晶と通常ドロップ品の売却額は3割アップが効いて、およそ1日2300ナール強。
これじゃあ、金策としては厳しいか。
ボス周回して、レアドロップのワンド狙いだと、1日に10本とか取得可能だろう。
3割アップで6500ナール。かなりマシか。
クーラタルとか帝都で毎日、ワンドを10本売却?きっと悪目立ちするだろうな。
そして、そのうち買取りを拒否されるのが目に浮かぶ。異世界での金策もなかなか厳しい。
まだ陽が出ているので、今日のうちにビッカーの商館に行ってみることにした。
金策の本命はこっちだ。
ビー玉を2つと鏡を2つリュックに入れてるので、どれほどの値段になるのかを確認したい。
ビッカーの商人としての実力がどれほどのモノかは不明だが、それも含めて確認だ。
先日、アンナさんに案内してもらった建物に行き、入口のノッカーをたたく。
使用人らしき人が出てきたので、店主に相談がある旨の用件を伝えた。
しばらくするとビッカーの許可が出たのか、応接室に案内された。
待つこと3分程度で応接室の奥からビッカーが現れ、お互いに挨拶を交わした。
「それで、今日は相談があるとのことですが」
探るような目つきで口元だけは笑みを浮かべながら、少し警戒するように切り出してきた。
布にくるんだビー玉2つと小さな鏡を1つ取り出して、本題を伝えた。
「私は外国の出身なのですが故郷で取り扱っていた、このガラスの球体と鏡を
どこかの商会へ販売できないものかを思いまして、
先日、ご紹介いただいたビッカー殿に相談してみようかと思った次第です」
テーブルの上に載せられたものを確認すると少し驚いた表情で、こちらに視線を向け
「品物を確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろん。存分にご確認下さい」
ホームセンターで購入した安物だが、こちらの世界では、これほどのものを製造する技術はないので、かなり稀少性があると思いたい。
鏡自体の品質だけなら、元の世界の既製品に敵うはずはないだろう。
ビッカーは手袋をはめてビー玉を持ち上げて、陽光が差し込む窓の方に向けたり、向きを変えて透かしてみるようなことをしている。好感触か?
「そして、こちらは鏡でございますね。
小さなものですが、装飾が凝ってるのと鏡自体の品質は非常に高いものですな」
感心したように鏡の向きを変えて覗き込んだり、持ち上げたりしながら確認をしている。
「このガラスの玉については、1つ5000ナールなら当方で買い上げ可能です。
鏡の方は残念ながら、手前どもの手に余る逸品のようなので、
よろしければ大きな商会への紹介状をお出しすることもできます」
1つ5000ナールなら50個で200円ぐらいで購入したはずなので、ぼろ儲けでしかない。
二度と補充はできないが惜しくもないので、ここで手を打つか。
「では、ガラスの玉2つについては、ビッカー殿へお売りいたします。
あと、紹介状については、是非お願いしたく存じます」
俺とビッカーはガッチリと握手をして、商談は無事成立した。
商談のついでに、このベイルで家を借りる際の世話役の居場所も聞き出した。
パピルスのメモに名前と住所を記載してもらった。
地図とか描く習慣はないのかな?まあ、異世界言語で解読可能だから良いけど。
ベイルの家賃はクーラタルや帝都と比べれば全然安いらしいとはビッカーの話。
そんな情報をどうやって入手しているのだろうか?
実は他の街の商会にも顔が利くのだろうか?
短時間の取引だったが結果からすると、ビー玉2つで3割アップで13000ナール。
鏡については値段がつけられず保留となったが、好感触な気がする。まずまずの成果だろう。
ビー玉はまだ手元に48個ある。
全部売ったら、3割アップで30万ナール強。
だが一度にそんなにビッカーもさばき切れないだろうし、ちょっと様子見だ。
別の商人への紹介状は暫くかかるとのことで、泊ってる宿屋に伝言をもらえることになった。
ビー玉を月に1回2個ずつとか売れば、1年で自由民と奴隷メンバーの税金ぐらいは稼げるか。
商人の紹介があるまでは迷宮での探索を続けることになるだろう。
明日はアランのところを訪ねてみるのも良いかもしれな。
周りに人がいないことを確認して適当な木の幹からワープで宿屋に戻った。
夕飯を美味しく頂き、桶のお湯を2つもらってサッパリしたところで、明日の予定を検討。
まずは当面の計画目標として、
①迷宮に入り、ジョブ取得とレベリング:探索者、薬草採取士ジョブ取得済
⇒可能なタイミングで魔法使いの取得。鬼人族の種族固有ジョブ取得
②元の世界から持ち込んだ物品の値付け(ビッカー頼り)
⇒ビー玉は2個で13000ナール(残り48個)。鏡は紹介状待ち
③魔結晶の結晶化促進による資金繰りの可否確認
⇒1日1300ナールほどの魔結晶は可能(レベリングを犠牲にしたボス周回で改善可能)
④パーティーメンバーの拡充(1人~2人):第一候補はドワーフのアミル
⇒明日、アランと条件闘争してみよう。3割引きなら14万ナールなので何かセットで
⑤拠点の確保
⇒早期に家に借りたいが、資金繰りとパーティーメンバーの拡充が優先
⑥モンスターカードの購入の窓口確保
⇒商人ギルドに出向き、適切な商人の伝手を手に入れる
⑦鍛冶師による装備の作成(鍛冶師加入後)
明日は取得固有ジョブの模索をしながら、2階層以降の探索を進めたい。
この世界に来てまだ1週間も経過していないが、順調に生きていけそうでホッとした。
今日はゆっくり安眠できそうだ。
ボーナスポイント(213)(初期値198+15(Lv上昇分))
・キャラクター再設定(1)
・武器5(フラガラッハ)(31)
・防具5(アルフレイル)(31)(防御力2倍、魔法ダメージ削減、状態異常無効、レベル補正無視)
・鑑定(1)
・ジョブ設定(1)
・索敵(5)
・必要経験値十分の一(31)
・獲得経験値二十倍(63)
・結晶化促進八倍(7)
・MP回復速度三倍(7)
・シックスジョブ(31)
・詠唱省略(3)
・ワープ(1)
余剰ポイント(0)
ユキムラ タケダ(鬼人族 ♂ 17才 自由民)
戦士Lv16 剣士Lv16 英雄Lv12 僧侶Lv15 商人Lv15 探索者Lv13
装備 フラガラッハ アルフレイル 皮の靴
所持金 24万7200ナール