異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

84 / 265
050.ターヘラと嗜み

 朝起きて、昨晩のイレーネとの戦いの独り反省会。

 

 序盤は手数の多さで勝負して優勢に進めながら、後半から足技を駆使して変化をつけ、最後は下から潜り込んでの裸締めでダウンさせた。

 別に頸動脈を圧迫したりはしてないのだが、気付くとイレーネはダウンしていた。不思議だ。

 イレーネは意外とこちらに対抗意識を燃やしてくるので、ついヤリ過ぎてしまうのが玉に瑕。

 次の対戦機会では、相手にマウントを取らせてからの攻防を楽しみたいものだ。

 

 反省会が終わる頃にはストレッチでかなり体が温まってきた。

 チクルスが呼びに来たので、朝食のため階下に降りた。

 

 

・・・・・・

 

 食事を終えて、エネドラと少し内緒話。

 

「今日の午後、昨晩相談した件、アミルに伝えるつもりだ」

「そうですか、分かりました。私の方でもそれとなく見てフォローしておきます」

 

「ああ、よろしく頼む。それとだな、今晩の話なのだが・・・・・・」

 

(・・・・・・)

 

「旦那様、アミルさんの件もそうですが、加減というものをお忘れなく」

「そ、そうだな。肝に銘じておく」

 まだ何も説明してないのに、全てを見透かすようなエネドラの発言には心底ビビらされる。

 まあ、でもやると決めたのだから、準備を万端に整えよう。

 

・・・・・・

 

 迷宮探索の準備を終えて、玄関に集合。六人に見送られて、ザビルの22階層にワープした。

 

 サビルの22階層の新規出現モンスターはマーブリーム。

 マーブリーム、サラセニア、ロートルトロールの順に多い。

 

 どれも足の速いモンスターはいない。

 雷魔法を2発放って待ち受ける。

 近づいてくるのが三匹なら、俺とヴィルマ、イレーネでそれぞれ受け持つ。

 二匹しかいなければ俺は後方のモンスターを狩りにオーバーホエルミングでダッシュする。

 

 前方で戦う場合だろうと後方であろうと俺の戦い方は同じだ。

 オーバードライブをかけて、フラガラッハと激情のダマスカス鋼剣と硬直のエストックで滅多打ちにする。

 石化が確認出来る前に、大抵は煙に変えてしまう。

 

 終わったら、アミル達の居る所に戻って三人の戦いに加わる。

 と言っても二人とも獲物を取られるのを嫌がるので、ほとんど見学だ。

 

 イレーネが先に石化させてしまったら、刻んで煙に変えてからヴィルマの方に参戦する。

 最後はどちらが倒すかの競争だが、さすがにフラガラッハに軍配が上がることが多い。

 

 二日後の盗賊討伐に向けて対人戦の調整をしたいが、モンスター相手ではないものねだりだ。

 少なくとも、この階層程度では対人戦闘を感じさせるような駆け引きをモンスターが仕掛けてこないから。

 

・・・・・・

 

 戦闘の合間にアミルと午後相談したかった話を前倒しで話をする。

 

「その頭装備は密閉性が重要なのですか?」

「そうだ。弾力があってピッチリと頭を覆い尽くすのが理想だ」

 アミルが真剣に確認してくるので、こちらも思いつく限りのことを伝える。

 

「あとは、色は白っぽい方が良いな」

「色が重要なのですか?頭防具で色が白って珍しいですよね」

 まあ、確かに珍しいな。でも俺のイメージは白なのだから仕方がない。

 

・・・・・・

 

「ヴィルマ、スイッチ」

 後方に居た二匹のマーブリームを片づけた俺は、アミル達の所に戻って、ヴィルマが相手していたロートルトロールを引き受けた。

 

 ヴィルマはイレーネの相手するロートルトロールに近づき、牽制をしかける。

 

「イレーネ、スイッチ」

 ヴィルマが割り込んでロートルトロールの攻撃を受ける。

 こうなると、イレーネはロートルトロールを硬直のエストックで突き放題になる。

 

 俺の相手しているロートルトロールは早々に煙に変えたが、イレーネも石化させて終了した。

 後は、MP回復のためにひたすら刻むだけ。

 

・・・・・・

 

 次の相手に遭遇する前に、またアミルと別の防具の話をする。

 

「その凹凸が重要なのですか?」

「そうだ。弾力があって丸みを帯びた凹凸が必要なのだ」

 頭の中にあるイメージをアミルに身振り手振りで必死に伝える。

 

「大きさは、大楯の3倍くらいの面積かな」

「3倍!それはもう鎧ではないですよね?」

 まあ、鎧としては使わないかもしれない。

 

 

「色は黒が良いな。黒っぽいではなく、真っ黒だ」

「今度は黒ですか。黒っぽい鎧はよく見かけますが、漆黒なのですね」

 機能性を考えれば、俺の中では黒一択だ。

 

「分かりました。

 午後に試作品を作ってみますので出来上がったら、

 ご主人様の部屋にお持ちしますね」

「ああ。忙しいところ悪いが、よろしく頼む」

 これで準備の一つは完了できるだろうか。

 

 まだ足りないものがあるから用意しないとな。

 

 ヴィルマとイレーネは、俺とアミルの会話には全く乗ってこない。

 今は二人で話をしているようだ。

 

 だが、今チラ見した時にはイレーネはハッキリと笑っていた。

 珍しい光景。

 

 いつもなら、口角をちょっと上げる程度しか笑みを浮かべないのに、今は楽しそうに笑っているように見えた。

 ヴィルマとイレーネの距離が縮まったのだろうか。軽く嫉妬を覚えてしまう。

 俺の方は気長に対応していくか。

 

 訓練を付きっきりでやれば親しくなれるのだろうか。

 そんな単純な訳ないか。余計な下心なしに付き合うから心を開くのかもしれない。

 なんにしても、イレーネがハッキリと笑うようになって何よりだ。

 

・・・・・・

 

 その後も順調に22階層のモンスターを倒しながら、クリアなエリアを広げていく。

 途中、魔物部屋を殲滅。全滅パーティは無し。

 

 最後のボス部屋も通常戦闘でさっくり倒した。

 

 この階層でのモンスターカードのドロップは無し。

 

 これで3迷宮の22階層を攻略したことになる。

 あとは、いつ23階層以降に進むのかの判断をするかだな。

 

 レドリックの剣士はLv30に達し、剣匠のジョブが取得出来た。

 明後日に盗賊討伐することを考えると、このタイミングで新ジョブへの変更はないだろう。

 変更するなら新ジョブへの慣らしを終えて、少しはレベリングしてからだ。

 

 

 23階層に抜けて、本日の迷宮探索は完了とした。

 ワープゲートを開き、自宅に戻ることにした。

 

 

・・・・・・

 

 食事を終えて、俺の自室でアミルと二人で向き合っている。

 昨晩伝えておいた相談事項のためだ。

 

「アミル、お前には人を殺してもらう」

「・・・・・・」

 アミルの顔には緊張が見て取れる。俺の言ったことを理解しているのだろう。

 

「明後日に盗賊討伐作戦がある。

 その時に、最低一人の盗賊をアミルの手で殺してもらうぞ。

 覚悟を決めてくれ」

「・・・・・・分かりました」

 まだ本当には分かってはいないだろう。

 

 俺もこの世界に来て盗賊討伐イベントで初めて人を殺した。

 ゲームのような世界で感覚が麻痺していたのかもしれないし、異世界に来て舞い上がっていたのかもしれない。

 何にしてもどさくさに紛れて殺してしまった気もする。

 その後も、盗賊討伐のために何十人と盗賊を殺してきた。後悔も感慨もなかった。

 

 今後も、俺と共にアミルが歩むのなら盗賊殺しや敵対勢力を手に掛ける事は避けられない。

 その時になってパニックになりながら遂行するよりは、今のうちに俺の見える安全な場所で盗賊を殺めてほしいと思っている。

 

 迷宮で盗賊を捕まえて、身動き取れない相手に対してデュランダルで斬首するよりは盗賊討伐作戦の流れの中でやる方が自然な気がしたので、この機会を利用させてもらうことにした。

 

「この世界で生きていくためには、盗賊如きに後れを取る訳にはいきません。

 私は大丈夫です。ご心配はいりません」

「ああ、分かった。

 盗賊討伐作戦の時は俺とアミルは同じ組にする予定だ。

 俺も支援するから、しっかり務めてほしい」

 我ながら酷いことを言っている。だが、きっと必要なことのはずだ。

 

「話はこれで終わりだ。もう自室に戻って良いぞ」

「はい。失礼します」

 アミルは俺の部屋を出ていったが、俺の気持ちは重いままだ。

 

 気持ちを切り替えなければ。

 明後日は失敗出来ないから、可能な限りを準備を整えよう。

 

 コップにハーブティーを一杯注いで飲み干した。

 まだ時間はかなりあるので、奴隷商館巡りでもするかな。

 

・・・・・・

 

 エネドラに外出の声掛けをして、玄関からベイルの冒険者ギルドにワープした。

 ギルドの受付で目当てのものを購入して、そのままギルド員に質問。

 

「ターヘラに行きたいのだが、案内してくれる冒険者は今いるだろうか?」

「あのテーブルに座っている人がそうですね。声をかけてみれば大丈夫だと思いますよ」

 ギルド員が指さす方向に、暇そうな顔をした冒険者が座っていた。

 

「ターヘラに行きたいのだが、案内してくれるだろうか?」

「銀貨1枚だ」

 リュックから銀貨1枚を出して、冒険者に支払った。

 

パーティに入れてもらい、ギルドの絨毯からターヘラへのゲートを開いてもらった。

「俺は行かないので、一人で行ってくれ」

「ああ、分かった。ありがとう」

 ゲートを一人で通り抜けた。

 

 出た先がターヘラの冒険者ギルドのようだ。

 ギルド内を見渡した感じ、少しガランとしているようだ。

 とはいえ、ギルドなのでギルド員は受付に座ってはいる。

 

「すまないが、武器屋、防具屋、奴隷商館の場所を教えてくれないだろうか?」

「はい。その3つですと・・・・・・」

 ギルド員は俺に3箇所の場所を教えてくれた。

 

「このターヘラは何か名物や名産品などはあるのだろうか?」

「うーん。特にないですね。農産物を多く扱っていますけど、特別珍しいものではないですし」

 あまり特徴のない街なのか。今回の目的は奴隷商館だから良いけど。

 

 ギルドを出て、武器屋、防具屋を先に巡ってみたが特に掘り出し物はなかった。

 掘り出し物以前に品揃えが少ない。

 見つかればラッキー程度に思っていたからガッカリはしていないが。

 

 途中、商店っぽい所があったので寄ってみた。

 たしかに置いてあるのは農産物が多い。

 しかも、パッと見はそれほど珍しい感じでもない。

 穀物がメインで、多少果物っぽいものがある程度。

 酒や加工品っぽいモノは置いていない。

 価格の安そうな商品ばかりだな。

 

 あとは、何か装飾品っぽいモノが数は少ないが置いてある程度か。

 ターヘラはあまり発展していないのかな。

 帝都やクーラタル、そこそこ発展しているベイルを初めに見てしまったからそう感じるだけで、これがこの世界の標準的な街なのかもしれないか。

 

・・・・・・

 

 お目当ての奴隷商館に辿り着いた。

 少し小奇麗な感じだが、それほど大きくはない建物。

 守衛っぽい者も特にいないのでドアをノックした。

 

「はい。何か御用で?」

 若い兄ちゃんが出てきたので用向きを伝えた。

 

 そのまま、兄ちゃんに連れていかれた応接室に座るとその前に兄ちゃんが座った。

 どうやら、この若者が店主のようだ。

 

(鑑定)

 

 

アルマー(人間族 男 22才)

奴隷商人Lv1

装備 皮の靴

 

 レベル1か。ここまでレベルの低い奴隷商人を見たのは初めてだな。

 

「戦闘がこなせる者、商売を経験したことのある者、家事がこなせる者を探している」

「なるほど、それでしたら当商館にも心当たりの者が何名かいます」

 本当に?まあちょっとでも経験したことがある奴隷ならいるのかもしれないな。

 

「では、お薦めの奴隷を何人か見せてもらえないだろうか?

 その者と面談をして、こちらの希望に合ってるのか確認したい」

「えっ、それは難しいかと」

 いや、何故難しいの?奴隷を売る気があるのだろうか。

 

「理由を教えてもらっても良いだろうか?」

「えーと、恥ずかしながら当商館には奴隷を一人も置いていないので」

 いないのかよ。それは本当に恥ずかしいな。

 その状況で、どうやって薦めるつもりなのか?

 

「奴隷を置いていなくて、どうやってその奴隷を売るつもりなのだ?」

「あ、あくまでここには居ないというだけで、売る候補の者は別の所に居るのです」

 そんな売り方、この世界に来てから初めて聞いたぞ。

 どこかで奴隷の委託販売しているの?

 

 この奴隷商人Lv1の兄ちゃん、大丈夫なのだろうか?

 

「どうすれば、その候補の者に会えるのだろうか?」

「私が事前に話をつけておきますので・・・・・・

 明日の午後にでも、ここにまた来ていただければ、ご案内いたします」

 本当に?何か怪しい気がするのだけど、まあ条件次第か。

 

「明日また来るのは良いのだが、

 せめてその候補の者のジョブぐらいは教えてもらえないだろうか?」

「そうですね。獣戦士の若い子が二人と商人の若者が一人います」

 本当かよ。若くして獣戦士になるって、相当な逸材では?

 ・・・・・・って年齢聞いてないから若いと言っても、この兄ちゃんの感覚次第か。

 

「ちなみに、その獣戦士の者の年齢は?」

「二人とも15才です。商人の方は23才です」

 嘘だろう?

 

 15才で獣戦士になったのに奴隷になって、この駆け出しの奴隷商人の所に来たと?

 なんか怪しいな、この男。

 でも、索敵で確認する限り、赤ではなくてグレーなのだよな。

 まあ、本人に騙す気はなくて、騙されていたりする場合もあるのかもしれない。

 

 来てみれば分かるから、騙されたと思って明日また来るか。

 

「では、明日の午後また、ここに来るので明日の面談の段取りをお願いしても良いだろうか?」

「はい。大丈夫です。

 あまり遅い時間・・・・・・夕方近くだと困りますので午後の早いうちに来て頂ければと」

 なにがどう困るのか分からないが、まあ、明日の午後なら大丈夫か。

 

 明日は朝イチで士爵家との模擬戦、午前中は作戦の詰めだが、午後は準備のため時間を空けてあるはずだから。

 

「分かった。

 午後のなるべく早いうちに来るように努力する。

 そちらも準備の方を抜かりなく頼むぞ」

「はい。よろしくお願いいたします」

 大丈夫だろうか?この若者。

 

「ちなみに、その三人の候補の者の値段を訊いても良いだろうか?」

「えっ、それはこれから相談して決めます」

 値段が決まってないのもビックリだけど、誰と相談して決めるの?

 こいつは店主じゃなくて、奴隷商館の店主は別にいるのか?不安が増してきたぞ。

 

 若葉マークの奴隷商人なのだろうか?

 こいつがボンクラでも、良い奴隷であれば文句はないのだけど。

 法外な値段でなければね。

 

 俺は店主に礼を言って、商館を後にした。

 アミルに頼んだ装備品の確認も必要だし、一度自宅に戻ろう。

 

・・・・・・

 

 自宅にワープして、自室に戻ると直ぐにアミルがやってきた。

 

「これが試作品になりますけど、ご主人様の希望と合っているでしょうか?」

「そうだな。良く出来ていると思う。俺の希望通りのものだ。

 このまま更に2つずつ作ってもらえるだろうか?」

 皮の帽子も皮の鎧も希望通りのものが出来上がっていた。

 

「そうですか。分かりました。出来ましたら後で持ってきます」

「ああ、よろしく頼む」

 アミルは俺が出来栄えに満足したのにホッとしたのか、にこやかに退出していった。

 

・・・・・・

 

 食事を終えて、男三人で湯舟に浸かりながら雑談。

 

「なあ、意中の女の気持ちが分からない時って、

 お前らならどうやって口説き落とすのか教えてもらえないか?」

「えっ、僕は女の子を口説いたことなんてありませんから、分かりませんよ」

 この勝ち組野郎め!

 

「ご主人様のおっしゃっている意中の女って、誰のことですか?」

「えっ、うーん、イレーネの事だ。あいつの考えていることが分からなくてね」

 もう藁にも縋る気持ちでストレートに頼ろう。

 

「奴隷なんだから、別に気持ちが分からなくても良いと僕は思いますけど」

 この野郎。モニカの前でも同じ言葉を言ってみろよ。

 

「確かに、あの方の剣筋は全く読めませんね」

 いや、そういう気持ちを察したい訳ではないのだけど。

 

「確かに、僕も気づいたら首を刎ねられているような気分になることが多いです」

 まあ、イレーネのジョブは刺客だからな。

 

 はあ、こいつらは所詮勝ち組のイケメン連中だから、質問する相手が悪かったか。

 イレーネの事は暫く現状維持で頑張ろう。

 

・・・・・・

 

 全員、風呂が終わったので会議を開始。

 

 まずは明日の予定と盗賊討伐作戦の流れのおさらいから。

 

「明日は朝イチでベイルの騎士団詰所に行って、士爵家の三人と模擬戦を行う。

 こちらは俺、アミル、ヴィルマ、イレーネ、レドリックの五人が参加する。

 レイモンドとモニカは護衛で残していく。

 アミルのジョブは盗賊討伐作戦では鍛冶師で戦ってもらうので、

 今日以降は暫く鍛冶師のままなので意識しておいてほしい。

 模擬戦で俺達の実力が認められなければ、今回の作戦は発動しない。

 認められれば、午前中はそのまま作戦会議に移る。

 作戦が決まれば午後は準備作業だが、今の所、特別準備するものはなく訓練程度だ。

 翌日、つまり明後日が作戦決行日だ。

 やはり朝イチでベイルに行き、士爵家の配下で盗賊討伐作戦に参加する」

「では、明日は遅刻しないように私が旦那様を起こしに参ります」

 うっ、エネドラに釘を刺された気もするが、きっと気のせいだ。

 

「午後は俺はターヘラの奴隷商館の所に行き、奴隷候補の面談をする予定だ。

 どのぐらい時間がかかるか分からないので、明日の迷宮攻略は一日休みとなる。

 盗賊討伐作戦に参加する四人は午後は対人戦用に訓練をするようにしてくれ」

「分かりました」

 アミルが代表して返事してくれているが、イレーネもヴィルマも放っておいても訓練だろう。

 アミルとレイモンドも訓練に参加して翌日に備えてくれ。

 

 

「では、これで会議は終了だ」

 皆にお休みの挨拶をして、各自、自室に戻ることにした。

 

 

■情報▼

【拠点名】クーラタルの邸宅<本城>(2/4)▶

 

【拠点名】ベイルの屋敷<支城>(1/4)▶

 

■人材育成/採用(ユキムラ)▼

ユキムラ(百鬼夜行Lv52/英雄Lv52/勇者Lv51/遊び人Lv52/魔道士Lv52/刺客Lv52/冒険者Lv41)

アミル(冒険者Lv25)、ヴィルマ(百獣王Lv24)、イレーネ(刺客Lv27)

チクルス(薬師Lv26)、レドリック(剣士Lv30⇒剣匠Lv1)

レイモンド(探索者Lv32⇒冒険者)、モニカ(剣士Lv29⇒剣匠)

【育成保留中】エネドラ(武器商人Lv47)、ポーラ(僧侶Lv29)

※アミル:隻眼のジョブ取得条件は不明のまま。装備品のスキル融合数を増やす

 ⇒後方支援メンバ、護衛メンバ、迷宮探索メンバを拡充予定(ターヘラで明日午後面談予定)

 

■軍事(ユキムラ)▶

 

■商業/取引(ユキムラ)▶

 

■開発(エネドラ)▶

 

■生産(チクルス/アミル)▶

 

■その他/クエスト▼

①カードハンターとの取引(ベイル)

 ⇒コボルトハンター経由で依頼中(3日後に来訪予定)

 

②ダマスカス鋼工房の対応(ドブロー)

 ⇒スキル融合防具の依頼の可能性有

 

③硬革工房からの依頼(ドブロー)

 ⇒肉3種を納品(ザビルの25階層攻略時?)

 

④ハルツ公爵の災害救助支援(クーラタルの冒険者ギルド)

 ⇒災害救助物資の輸送支援作業完了。

 ⇒ハルツ公爵、ゴスラー騎士団長と知己を得た。困り事があれば訪問可能となった

 

⑤ゴッゼル士爵への対応(ベイル)

(1)盗賊討伐作戦(2日後に決行)

 ⇒明日朝イチで模擬戦を実施。午前中に作戦の詰めを行う

 

(2)別の施策検討

 ⇒エネドラと対応を協議中

 

明日の予定

(午前)

・俺    :ベイル(模擬戦参加、作戦会議)

・アミル  :ベイル(模擬戦参加、作戦会議)、(朝:装備品作成)

・ヴィルマ:ベイル(模擬戦参加、作戦会議)

・イレーネ:ベイル(模擬戦参加、作戦会議)

・エネドラ :朝食・昼食準備、洗濯、石鹸試作

・チクルス:朝食・昼食準備、洗濯、生薬生成

(午後)

・俺    :奴隷面談(ターヘラ)

・アミル  :訓練、装備品作成

・ヴィルマ:訓練

・イレーネ:訓練、(ブラヒム語勉強)

・エネドラ :夕食・朝食の準備、(掃除)、石鹸試作

・チクルス:夕食・朝食の準備、(掃除)、生薬生成

※夜は定例会議

※ポーラ(家事)、レイモンド/モニカ(護衛、訓練、雑用等)

※レドリック(ベイルで模擬戦参加、作戦会議、訓練)

 

 

・・・・・・

 

 今日はちょっとだけ忙しい。いろいろと準備があるのでバタバタだ。

 

(コンコン)

 

 ドアを開けると、そこにはチクルスの姿が。俺と目を合わそうとしない。

 今晩、チクルスがここに来るのは朝、エネドラから確認済だ。

 

「・・・・・・いらっしゃい」

「ユ、ユキムラ様、何故かとても怖い表情をしている気がするのですけど」

 

「きっと気のせいだと思うけど」

「そういえば、災害救助支援の日にアミルさんからお弁当もらってましたよね?

 美味しかったですか?私もイロイロと助言したのですけど・・・・・・」

 それはそれ、コレはコレだ。

 

(よっと)

 

 俺はチクルスをお姫様抱っこで抱え上げた。

 

「ちょ、ちょっとユキムラ様・・・・・・」

 

 俺は、チクルスを抱えてベッドに向かった。

 俯せの状態で、チクルスをベッドに降ろした。まずは下準備からだ。

 

「あ、あの。ベッドの先に見たこともないものが見えた気がするのですけど」

「まあ、おいおい分かるから」

 チクルスの言葉をスルーして、俺はマッサージに入る。

 

 いつも通り、首から背中、そして腰と丹念に揉み解していく。

 終わったら、肩から腕、肘、手首にかけても揉み解す。

 その後は腰から尻、腿、ふくらはぎ、足首とゆっくりと解していく。

 

 そろそろ終わりが見えてきたので、並行して次の準備に入る。

 手が四つあると並行作業が楽だ。

 

(よっと)

 

 俺はチクルスの着ているモノを順番に剥ぎ取っていく。

 

 チクルスは大きくため息を吐いて、首を少しひねってこちらを振り向こうとした。

 

「もう、覚悟を決めました・・・・・・って、何ですか?その白い帽子は?」

「これか?これは皮の帽子という装備品だ」

 俺はアミルに作ってもらった皮の帽子を装備している。

 

「装備品って、ユキムラ様、迷宮に向かう時、それ装備してないじゃないですか。

 そもそも、何故今、装備品を着けているのですか?」

「だから、それはこれから分かるっての」

 俺はチクルスばりのニマニマした笑顔で対応する。

 

「その白い帽子には何の意味があるのですか?」

「これか?これがないと明日の朝、とっても大変なことになるのだよ」

 ニマニマの笑顔で答えた。

 

「何が起きるのか、教えて下さい!」

「いや、言葉で説明しても理解できないから体験してもらって判断するしかないな。

 チクルスに出来ることは、この皮の帽子を被るのか、被らないかの二択だな」

 俺はチクルスに選択を迫る。

 

「分かりました。被ります。被りますから・・・・・・」

 俺はチクルスに白い皮の帽子を被せてやる。髪の毛がはみ出ないように、帽子の中に押し込んだ。

 

 ベッドの上で白いスイミングキャップを被った裸の男女が向き合うという珍妙な構図。

 

「さて、準備は完了だな」

「これから何が起きるのですか?」

 俺はチクルスの言葉を無視して、再びお姫様抱っこで抱え上げる。

 

「ひぃ・・・・・・」

 

 俺はベッドの横に敷いた、アミルの作ってくれた皮の鎧の上にチクルスを俯せに横たえた。

 

 皮の鎧といっても幅が2.5m、長さが4m程ある凹凸のあるマットのようなものだ。

 未装備状態では、このサイズ。装備すると体のサイズに合わせて密着する鎧だ。

 試しに装備してみたら、某外資系タイヤメーカーのミシュ●ンマンの胴体部分だけみたいな感じになった。

 凹凸の筋というか向きが横ではなく縦なのがとっても違和感あるが。

 そもそも、これは装備してから使うものではないから別に良いのだけど。

 

 だってこれは、所謂、ローショ●マットだからね。

 黒いマットの方が白い肌が映えて目の保養にもなる。

 

 ギルドで買ってきたカメリアオイルを二本の腕の手のひらに垂らして、チクルスの背中に塗っていく。

 カメリアオイルは、『侍女の嗜み』で使うのだっけ?

 さしずめ、このマットプレイは『紳士の嗜み』というところだろうか。

 

「ひぃ・・・・・・ちょっと、ユキムラ様、何を・・・・・・」

 チクルスの言葉を無視して、俺は一心にオイルを広げていく。

 

「ちょっと、ユキムラ様、私の話を聞いています?・・・・・・っとそこは!」

「ん?ここはヴィルマに、とっても気持ちの良い場所だって教えていた所じゃないのか?」

 アミルだけじゃなくて、ヴィルマの分も仕返しをしておかないとね。

 

「ひぃ・・・・・・ユキムラ様、参りました。降参しますから!」

 さて、今晩、チクルスは何回くらい「ひぃ」って言うかな?

 ちなみにチクルスに無条件降伏の選択肢はない。

 

「あまり騒ぐと、エネドラが飛んでくるかもよ。

 耐えられなかったら、これを噛んでおくと良いかも」

 俺は口で噛めるサイズの厚手の小さめのサイズの布をチクルスの口先に出した。

 これも今晩のために用意しておいたのだ。

 

 俺は抜かりなく準備を整えてコトに臨む人間なので。

 そのために、午後の迷宮攻略を休みにするのはどうかと思うが、全てはチクルスのためだ。

 

 別に口枷をして非道な事をしようとしてる訳ではない。

 あくまで選ぶのはチクルスの自由に任せる。

 

「あと、暴れると翌朝大変なことになるから、静かに受け入れた方が良いと思うけど・・・・・・」

 チクルスからは返事が戻ってこない。

 

「結構、気持ち良いのじゃないのか?」

「いえ、くすぐったくて、気持ちよくて・・・・・・なんだか訳がわからないっ・・・・・・っそこは!」

 チクルスは、この世界の人間で初めてマットプレイを経験した偉人になったかな。

 他に似たようなことをしていた奴がいるか知らんが。

 

 アミルが空きスロットを初めて確認した偉人になっていたから肩を並べたか?

 称賛されるかどうかは別だが。

 

 この後は、とにかくカメリアオイルを四本の手を使ってじっくりネットリと塗りたくってチクルスを蹂躙した。

 

「ひぃ・・・・・・ちょっと、これ以上は・・・・・・」

 

 結局、チクルスは途中まで我慢していたが、限界を超えて意識を失ってしまった。

 残念。もっと楽しみたかったのだけど、別の機会に再度挑戦しよう。

 

・・・・・・




お読みいただき、ありがとうございました。

鍛冶師のモノ作りの想いはどこに行ってしまったのか?・・・・・・と思わなくもない話になりましたが、仕返しのためなら止む無しと割り切りました。
本作主人公はカメリアオイルをドロップする階層まで待てなかったみたいですね。
私も待てませんでした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。