異世界迷宮と戦乱と   作:HMI

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055.御先陣を賜る?

 夕食を頂きながら、今日の午後の出来事をかいつまんでエネドラ達に話した。

 エマーロ族の商人の奴隷候補が居たこと、孤児院に獣戦士の若い双子が居て、戦闘奴隷としては有望そうなことなど。

 双子達の話の際、チクルス・センサーが反応した気がした。

 着せ替え人形になりそうな予感がする。

 

 アミルの表情はいつもと比べると、翳りが見えるように感じるのは俺の気のせいか。

 

 今晩はベイルに偵察に行くので、この後は俺だけ風呂は入らず、レドリックとレイモンドだけ入ってもらう事にした。

 そして、食事の片づけが終わったら、そのまま会議を行いたいと伝えた。

 

「食事の片づけは私とモニカちゃんだけでやりますので、

 皆さんは会議に参加されたらどうでしょうか?」

 ポーラから提案があり、エネドラが即決で承諾。女性陣の連携は素晴らしいね。

 

・・・・・・

 

 食事を終えて、会議に入った。

 

「まずは、明日の予定だが、

 俺、アミル、ヴィルマ、イレーネ、レドリックが早朝からベイルで盗賊討伐作戦に参加だ。

 作戦終了時間は分からないので、ひとまずは一日居ないと思ってくれ。

 早く終わって時間があれば、ルークとの取引かカラダンとの面談に行きたい。

 どちらもエネドラに来てほしいので、意識しておいてくれ」

「承知しました、旦那様。

 一応、いつ旦那様達が戻られても良いように、軽食を用意しておきます」

 あとは何かあったっけ?

 

「エネドラ達はいつも通りか?」

「私は明日レイモンドを連れて、商人ギルドに行って情報収集をしたいと考えています。

 あとは、我が家の奴隷が増えそうなので、

 今のうちに家具類を買い足しておこうかと考えています」

 なるほど、前回からちょっと時間が空いたから何か進展があるだろうか。

 

 今、2セットくらいベッド等の予備があったはずだが、増やしておいた方が良いか。

 

「それ以外はいつも通りの予定です」

「分かった。ありがとう」

 そういえば、レイモンドの護衛は初めてか?

 

「あっ、エネドラ、レイモンドの護衛はレドリックから引継ぎを・・・・・・」

「既にレドリックにはレイモンドに伝えるように命じております」

 抜かりはないと。流石だね。

 

 恐らくは商人ギルドの護衛程度では問題ないだろうが、レイモンドの練習だからな。

 

「次は商売に関連した話だ。

 ターヘラの奴隷商館でカラダンというエマーロ族の商人のジョブを持つ奴隷候補を見つけた。

 カラダンはターヘラの商店で働いていて、その商店では装飾品と瑪瑙を取り扱っていた」

「瑪瑙ですか。それは稀少なものなのでしょうか?」

 エネドラもさすがに瑪瑙の価値は分からないだろうな。

 

「瑪瑙はターヘラ近辺の山で採れる鉱石で、凄く稀少という程ではない。

 原石は一個1000ナール程度だそうだ。

 研磨して、装飾したものはブレスレットやペンダントなどに使われるそうだ」

「なるほど。とはいえ、どの程度で売れるものか私には分かりません」

 俺にも分からないよ。

 

「なので、カラダンを我が家に迎えると決まったら、

 仕入れや販売経験のある彼に任せてみようかと思っている。

 幸い、そのターヘラの商店は瑪瑙の加工を行なっている工房も持ってるそうで、

 カラダンが元居た店なので融通が利くだろう」

「なるほど。では、カラダンの加入は確定なのですね」

 いやいや確定ではないよ。

 

「エネドラの眼でカラダンを評価してほしいから

 今言った瑪瑙の件は切り離して、カラダンを見極めてほしい。

 本人はやる気があるように見えたが、俺には分からない所で、

 商人として致命的な欠点があるかもしれない。

 そこはエネドラ自身がキッチリと判断してほしい」

「承知しました。旦那様」

 

「瑪瑙の他にも迷宮のドロップ品を装飾品に加工して、その店で販売しているようだ。

 迷宮でのドロップ品はギルドに全く売却していないので、大量に我が家の倉庫に眠っている。

 そのドロップ品も使って、瑪瑙の原石や加工した装飾品を安く仕入れることを考えたい。

 瑪瑙や装飾品の原価率を確認した上で金銭での取引が有利なのか、

 素材との交換が有利なのかを見極めようと思っている。

 もっとも、これはカラダンが加入して、その知識や経験が使えることになってからの話だ」

「なるほど、私もその議論に参加させて下さい」

 あくまでカラダン加入が決まってからね。もう加入が規定路線になりつつあるけど。

 

「付け加えるなら、どうもハルツ公爵領のボーデに琥珀を取り扱っている店があるようだ。

 瑪瑙と同様な取引が見込めるかもしれないので、頭の片隅に置いておいてくれ」

「承知しました」

 ハルツ公爵とのイベントもこなしたし、きっと琥珀のイベントも発生するだろう。

 

「次は、剣術指南所に居た獣戦士の双子に関連する取引の話だ・・・・・・」

 

 俺はエネドラに剣術指南所(孤児院)、タケダ家、ターヘラの商店との間で結べそうな取引や提携内容のアイディアについて説明した。

 

「今日の午後、ターヘラで双子と会ってから、もうそこまでの事をお考えなのですね。

 カラダンに関連した瑪瑙の取引も含め、旦那様の発想はどこから湧いて出てくるのか・・・・・・」

 原作や学校で習った歴史から学んだからね。全て誰かのアイディアの流用だよ。

 

「今すぐ全部を理解する必要はないので、徐々に議論を深めていこう」

「承知しました」

 

「では、今日の会議はこれで終わりにする。

 俺はこの後ベイルに偵察に行くので、皆は風呂に入るなり適当に寛いでくれ」

 

 

「少し話をしたいのでアミルだけ、ここに残ってくれ」

 アミルを残して皆が退出していった。

 

「なんでしょうか?ご主人様」

「ちょっと立ってもらえるか?」

 立ち上がったアミルに俺が近づく。

 

「明日の盗賊殺しの件、大丈夫か?」

「もちろん、大丈夫です。盗賊如きに後れを取ることはありません。ご安心ください」

 アミルは真剣な顔で言い切った。だが、その表情が逆に不安を感じさせる。

 

 アミルに近づき、彼女の額に俺の額をぶつける。

 

「アミル、明日辛かったら俺を頼ってくれ。

 そのために明日はお前の傍に俺が居るのだから。

 決して我慢をし過ぎないでくれ。

 誰でも盗賊殺しをやった時や、やった後はキツイのだから

 アミルが辛くても恥ずかしいことではない。

 レドリックもそうだって言っていたぞ」

「はい。分かりました」

 震えていたアミルを抱きしめて、しばらくして解放した。

 

「今晩はなかなか眠れないかもしれないが、

 それでも体を横たえて、よく休んで明日を迎えてくれ」

「はい。ありがとうございます」

 俺の言葉が、少しでも気休めになってくれれば良いのだが。

 

 明日はとにかく、アミルを全力でフォローしよう。

 

 

 偵察の準備を終えて、階下に降りると食堂にレドリックとレイモンドが居た。

 女性陣が風呂に入ってるから暇なのかな?

 いつも、俺は二階に上がってしまうから気づかなかっただけかも。

 

「レドリック、ちょっと良いか。

 訓練の時のアミルの様子を聞かせてほしいのだけど」

「そうですね。

 表面的にはいつも通りで、

 特に訓練中も集中力がないとか、気が散っているという感じではなかったですね。

 ただ、明日の宿題のことを忘れるために訓練に没頭していたのかもしれないですが」

 それなら、今日のところはそれで良いか。

 

「そうか、ありがとう。俺はこれから偵察に行ってくる。

 まあ、何もないと思うけど、後の事を頼むな」

「はい。外部の者が敷地内に入ると、

 ご主人様のスキルで教えてくれるので警備の方は万全ですが、一応注意しておきます」

 えっ、そうだったの?

 

 そういえば、新居になって侵入者検知を設定出来るようになっていたから設定したけど、そういう仕組みだったのか。

 いつかエネドラに確認してみようと思っていたけど忘れていたよ。

 俺が外出中に来訪者が来るパターンしかなかったから、気づかなかったのか。

 外出中の俺に転送通知なんてのはないのか。まあ、流石にないわな。

 

「そうだな。よろしく頼む」

 今更で、ちょっと気恥ずかしくなったので取り繕ってしまった。

 

・・・・・・

 

 クーラタルからベイルの旧宅の玄関にワープした。

 玄関から出て鍵を締め、一番近いスラム街の南側の入口に向かった。

 

 もう、陽がとっぷり暮れて暗くなっているが、俺の鬼武者の種族特性に夜目があるおかげで、比較的よく見える。

 少し見すぼらしいマントを着ているので、スラム街に溶け込んでくれると良いのだが、体が大きいことだけは誤魔化しようがない。

 

 スラム街に入って、まずは索敵スキルを発動。

 目に入ってくるマップには、グレーの点がほとんどだが、赤い点がポツポツと見える。

 少ないが道を歩いている人間に歩調を合わせながら、目深にフードを被って赤い点に向かう。

 鑑定すると、やはり盗賊で、レベルはマチマチだ。

 盗賊の方もウロウロと歩いている奴もいれば、家の前で立っているだけの奴もいる。

 

 ゆっくり歩きながら、クリアなマップを広げていく。

 時々、人影が途切れたタイミングで目立たない暗闇に移動して、盗賊のレベルを自分で作成した拙いマップにメモしていく。

 夜目が使えるおかげで暗闇でも文字が書けて便利だ。

 

 メモが終わると、また歩き出してマップをクリアにしながら未確認の赤い点を追って、遠くから鑑定をしてレベルをメモするといった繰り返し。

 南側から徐々に北側へとマップをクリアにしながら盗賊のレベルをメモしていく。

 レベルの高い奴は名前も念のため記しておいた。

 明日、遭遇してくれるとありがたい。レベルの高い奴は残しておきたくないからな。

 

 暗闇だから気づかれないのだろうが、やっていることはかなり怪しい行動だ。

 だが、誰も俺を付け回したり、近づいてきて因縁をふっかけるといったことはしてこない。

 縄張りに入って派手なことをしない限りは、仕掛けてこないのだろうか。

 

 家の数も数えてみようかと思ったのだが、住居の切れ目が曖昧だったりして途中で断念した。

 南から北に向かって、メモを記載し終えたので、今度は北から南へと向かって、盗賊をもう一度チェックした。

 それにしても、北側の方が臭いが酷い。

 

 原作でもベイルは南側に一般市民の住居があり、北側がスラム街と描写があった気がする。

 川下が北側で、下水が流れ込んで下流側が臭くなるとかだったか。

 

 赤い点を追いかけたメモを南下して書き終えた。

 時間にして一時間半程だろうか。

 

 一度、南側からスラム街を出て、ベイルの自宅に戻った。

 食堂に入って照明を点けて、記載したメモを見返す。

 

 歩き回っていた盗賊も居たが、メモったレベルの数値を見ると南側の方が高い傾向がある。

 北側の方がスラムの奥側ということになるのだが、奥だからレベルの高い盗賊がたくさん居るという訳ではなさそうだ。

 

 北側の居住環境の方が酷いから弱者が集まるのかもしれない。

 盗賊とはいえ、強い奴は南側の良い環境に集まっているのだろうか。

 

 明日は、なんとかして俺の居る組を南側に配置させるか。

 ヴィルマとイレーネは心配ないが、レベルの高い盗賊が相手だと士爵家側の二人が心配だ。

 

 うろついてる奴もいたから多少誤差があるだろうが、この時間帯に確認出来た盗賊は14人。

 うち三人はレベルが30を超えていた。

 レベル20台が三人、10台が三人、一桁台が五人。

 偶然かもしれないが、レベルが適度にバラついている。

 

 家の中に居て確認出来なかった盗賊も当然いるだろう。

 当たり前だが、ほとんどのドアが閉じられていたから、暗闇から中を覗いて家の中を索敵や鑑定で確認などは出来なかった。

 

 あのスラム街に何人の盗賊が居ると想定するか。

 

 外に出て確認出来たのが3割とするなら、46人か47人ぐらい?

 だとすると、かなりの人数だ。

 半分だとしたら28人で、やや安心できる人数か。

 

 50人近く居て、俺が明日一人で7割くらいは昼間に始末する?

 なかなか胸が熱くなる展開だな。

 まあ、全員抵抗してくる訳でもないから、多少は捕縛できるのだろうか。

 これ以上、偵察する必要はないだろう。偵察任務は終了だ。

 

 ベイルの玄関からクーラタルの玄関にワープした。

 

 自宅の玄関で靴を脱いだら、そのままワープゲートを開いて自室に繋いで戻った。

 スラム街に行っていたからか、マントの臭いが気になった。

 自宅の廊下などに悪臭をまき散らしたくない。

 

 マントは大きな布袋に入れて、袋の口を閉じた。

 

 装備品を外して収納。

 

 身軽な恰好になったところで、自室からゲートを開いて風呂場に繋げた。

 こればっかりだな。だが、臭いを消して安眠するためにはお湯と石鹸で綺麗にしたい。

 

 体を洗いながら、明日の作戦の流れを想定してみる。

 

 アミルの出番は最初の方ではなく、中盤くらいで数をやや減らしてからにするか。

 事前にアミルにも出番のタイミングを伝えておいた方が良いな。

 そうでなければ精神的なスタミナが持たないだろう。

 

 対象はレベルが一桁台で、周囲の盗賊を俺が始末して安全を確保してからか。

 アミルに殺らせるゴーサインを出す合図も決めておかないとな。

 

 風呂場で丁寧に体と髪を洗ってから、布で水分を拭って自室にワープ。

 

 少し明日への興奮が冷めやらないまま、最近の主立ったイベントを再点検。

 

 

■情報▼

【拠点名】クーラタルの邸宅<本城>(2/4)▶

 

【拠点名】ベイルの屋敷<支城>(1/4)▶

 

■人材育成/採用(ユキムラ)▶

 

■軍事(ユキムラ)▶

 

■商業/取引(ユキムラ)▶

 

■開発(エネドラ)▶

 

■生産(チクルス/アミル)▶

 

■その他/クエスト▼

①カードハンターとの取引(ベイル)

 ⇒コボルトハンター経由で依頼中(2日後に来訪予定)

 

②ダマスカス鋼工房の対応(ドブロー)

 ⇒スキル融合防具の依頼の可能性有

 

③硬革工房からの依頼(ドブロー)

 ⇒肉3種を納品(ザビルの25階層攻略時?)

 

④ハルツ公爵の災害救助支援(クーラタルの冒険者ギルド)

 ⇒災害救助物資の輸送支援作業完了。

 ⇒ハルツ公爵、ゴスラー騎士団長と知己を得た。困り事があれば来訪可能となった

 ⇒鏡、琥珀、ネックレスの商談の計画を立てる(カラダン加入後)

 

⑤ゴッゼル士爵への対応(ベイル)

(1)盗賊討伐作戦(明日決行)

 ⇒明日朝イチで作戦開始

 

(2)別の施策検討

 ⇒エネドラと対応を協議中

 

明日の予定

(午前)

・俺    :ベイル(盗賊討伐作戦参加)

・アミル  :ベイル(盗賊討伐作戦参加)

・ヴィルマ:ベイル(盗賊討伐作戦参加)

・イレーネ:ベイル(盗賊討伐作戦参加)

・エネドラ :朝食・昼食準備、商人ギルド情報収集、家具類購入

・チクルス:朝食・昼食準備、洗濯、生薬生成

(午後)

・俺    :ベイル(盗賊討伐作戦参加)、(奴隷面談(ターヘラ) or ルーク来訪)

・アミル  :ベイル(盗賊討伐作戦参加)、(装備品作成)

・ヴィルマ:ベイル(盗賊討伐作戦参加)

・イレーネ:ベイル(盗賊討伐作戦参加)

・エネドラ :夕食・朝食の準備、石鹸試作、(奴隷面談(ターヘラ) or ルーク来訪)

・チクルス:夕食・朝食の準備、(掃除)、生薬生成

※夜は定例会議

※ポーラ(家事)、レイモンド/モニカ(護衛、訓練、雑用等)

※レドリック(ベイル(盗賊討伐作戦参加))

 

 

 そろそろ就寝しようとしたらドアがノックされた。

 

 今日の夜の課外活動はお休みではなかったのか?

 最近の俺の目に余る行動のせいで明日の大事に備えて、そう言い渡されていたはずだがエネドラの気が変わった?

 

 ドアを開けると、イレーネが佇んでいた。

 いつものように中に入ってズンズンと進んで・・・・・・いかない。

 

 部屋に入ると、俺を見据えて、

 

「御先陣を賜るのは、武人として、この上ない誉」

 ど、どうしたのだ?どこかに決戦にでも行くのか?

 明日の討伐作戦で気持ちが高ぶっているのか???

 

 なんか、前に硬直のエストックを初めて渡した時にも似たようなことを言ってなかったか?

 また、チクルスに変な言葉を吹き込まれたのだろうか。

 

 俺が呆けた表情をしていたら、イレーネは小首を傾げてしまった。

 

「違った?」

 違うも何も正解が分からない。

 

 やがて、いつも通りベッドに突き進んで、俯せに横たわってしまった。

 

 とりあえずはマッサージをしてやろう。

 実は明日に向けて緊張してたり・・・・・・はないか。

 

 揉み解していくと、完全にリラックスモードになってしまった。

 

「明日の盗賊討伐作戦のことを考えて、緊張しているのか?」

「ない。盗賊、見つけたら殺す」

 ブレないな。でも、さっきのはなんだったのだろうか?

 

 それと一応、降伏してきたら捕縛なのだけど、分かっているのだろうか。

 

 明日のカミーユ組の方は誰一人盗賊が生き残れないかもな。

 

 マッサージが終わったので頭を撫でようとしたら、手首を掴まれて仰向けに転がされた。

 イレーネが俺の上に伸し掛かってきた。

 

 どうしたのだろう、何かいつもと違うな。

 

 彼女の唇が、俺の口を拙く(ついば )んでくる。

 

 積極的なイレーネに驚きながらも、身を委ねることにした。

 

・・・・・・

 

 急にピンときた。

 

「なあ、さっきのって、『武人』ではなくて『婦人』じゃないか?」

「ブジン?フジン?」

 分かっていて使った言い回しではなかったのか。

 

 でも、歴史小説で読んだことがあるような。

 あれは決戦前夜ではなく、帰陣のときだった記憶がある。

 

 そして、イレーネのことを少しだけ理解出来たような気がした。

 

 彼女の方は俺の言葉の理解を諦め、攻撃を再開した。

 

・・・・・・

 

 やられっぱなしというのも性に合わない。

 反撃を開始しよう。

 

 怒涛の連撃を打ち込み、イレーネを守勢に回らせた。

 守りに入ると反撃の機会を窺うので、その隙を見せないようにしないと。

 

 変化をつけながら、意表をつく攻撃を繰り返して、徐々に彼女の忍耐と集中力を削っていく。

 そろそろ雌雄を決するか。

 

「お、御館様・・・・・・」

 

 苦悶と喜悦が入り混じった表情が見て取れる。

 止めの一撃を放って、イレーネの意識を刈り取った。

 

 意識を失ってしまったので感想戦も出来ないな。

 でも、今日のは夜伽じゃなくて、夜這いだったのだと俺は理解した。

 

・・・・・・




お読みいただき、ありがとうございました。
今話と次話(の次の話?)で執筆者側観点から実験的なことをしますが、読者様の反応を見て後から修正するかもしれません。
だいたい私の予想は外れるので、何も起きないかもしれませんけど。

個人的な感想ですが、新田●郎氏の歴史小説、大好きです。
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