スクワッド:公安特別捜査隊専従班   作:松コンテンツ製作委員会

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第9話『東京ドーム爆破テロを阻止せよ!黒部元首相の一族』

 手錠を嵌められた日向竜介巡査部長は内閣危機管理センター幹部会議室に連行され、畠山正晴内閣総理大臣の前に連れてこられる。

 老宰相の厳しい眼光が若い日向を射抜く。 

 それでも、ここで直訴せねば、自分と特捜専隊の先達は抹殺されてしまう。

「総理、このままでは東京ドームが爆破されます」

「なぜそれをお前が知っている?」

 意を決し、日向は口を開いた。

「アバンギャルドと中村理事官が共謀しています!」

 日向が語り出した警察庁上層部の不正に、仁科完治は憤激する。

「アバンギャルドと共謀していたのは、特捜専隊の方だろう!」

「いや、あれはやむを得ず」

「総理、騙されてはなりません!」

「やめんか!」

 畠山が落とした雷に皆が背筋を正した。

「手錠を外してやれ」

「総理!?」

「日向とやら、わしの息子は信頼に足る上司か?」

「はい、最高の上司です」

 日向は言い切った。

「そうか」

 畠山総理大臣は背もたれに身を委ねる。そこには一国の宰相としての威厳があった。

「総理大臣というのは、嫌われるのも、裏切られるのも、どれも仕事のうちだ。だがお前たちがその役回りを担う必要はない。私は息子が信じた部下を信じる。手錠を外してやれ」

 総理官邸警備隊の警察官がやや不満げに日向の手錠を外す。

「ありがとうございます、今すぐ東京ドームの安全点検を!」

「既に大河内二佐の指令で、別班が点検に入ったと報告が入っている」

 畠山総理の席の内線が鳴り、畠山は受話器を取る。

「私だ、何!?」

 皆が畠山に目を向ける。

「ドームには歌い手のライブで観客が既に入っているだと!?」

 

      *     *

 

 今夜東京ドームでライブを開くのは、すたぷりの系列ユニット、めろすただ。そのセンターのゆーとは、甘いルックスに確かなリーダーシップで歌い手界隈に旋風を起こしている青年だ。

「観客がいるのにどうやって爆弾を解除すりゃあいい」と、大河内が唸る。

「私たちに任せて、運営会社と歌い手に協力してもらう」と、春は電話をかけている。

 2年前のクーデターにおいて、別班の大河内が極秘裏に畠山総理大臣救出作戦のメッセージを送ったのが、すたぷりのゲームのDM機能なのだ。春はそれに賭け、すたぷり運営会社に直談判した。

 そうして桜祐警部は東京ドームの楽屋に通してもらうことができた。

 ゆーとは演奏演出スタッフを楽屋に集めた。それだけでも祐は感謝している。

「警察の方がどうしたんですか?」

「落ち着いて聞いてください。東京ドームに爆弾が仕掛けられました。爆弾は音響の大小で爆発する仕掛けです。下手に今から中止しても危ない。地下空間には消火水槽を転用して可燃性ガスが充満しており、危険です」

 音楽スタッフらが狼狽する。

「じゃあ、どうするんですか」

「そこで、ゆーと君には公安の指令に従って曲目、声量、音量を上下させてもらって、爆弾解除に協力してほしい」  

 音楽スタッフが怒鳴った。

「無茶苦茶だ!!」

 だがゆーとは冷静だった。

「やります。リスナーを楽しませて、無事に帰します」

「ありがとうございます!」

 暗幕から舞台を覗きながら、桜祐とゆーとは会話を交わす。

「よくぞ引き受けてくださいました」

「父ならそうしました」

「父」

「俺の父は、黒部新造だからです」

「え?」

 桜祐の聞き間違いでなければ、黒部新造とは、民自党幹事長、内閣官房長官を歴任して憲政史上最長の政権となった内閣総理大臣だ。その黒部総理大臣の息子がゆーとだと言うのか。

 ゆーとは名乗る。黒部勇人だと。

 ライブはもう始まる。もう止めることはできない。

  

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