スクワッド:公安特別捜査隊専従班 作:松コンテンツ製作委員会
国会議事堂衆議院本会議場を制圧したアバンギャルド。山本剛志警部はシナリオとは違う台詞を語り始めた。
「日本を操る影の帝がいる」
「何だと!?」
「皇室から分家した影の帝の目的は、皇室を正当な血筋に戻すこと」
そしてそれは、アメリカのトランブル大統領が語る地下政府ディープステートと同義だった。
インターネットの反応は散々だった。
『嘘でしょ』『陰謀論乙』『トランブルに毒されたか』
「陛下、本当なのですか」
「ええ」
警視庁の貴賓室において、天皇は頷いた。
「影の帝もまた神の末裔。私から玉座を奪うつもりです」
警視総監にも思い当たることはあるらしい。
「影の帝の手足となって動くのが、警察庁警備局警備企画課情報担当第二理事官、中村照警視正だ!」
その中村警視正は議場の中継で自らの背後にいるやんごとなき方の存在が暴露され、取り乱していた。
「山本め、何をほざいている。山本を始末しろ! 中継はやめさせろ!」
中村は指揮下の公安警察作業班に命じた。
* *
アバンギャルドが一斉に山本に銃口を向ける。
「お前たちは」
山本はぎろりとアバンギャルドの覆面の男たちを睨む。
「アバンギャルドの同志ではなかったのか?」
「我々は中村理事官の作業班だ。この時のためにアバンギャルドに潜入していた」
山本の首筋に冷たい銃が押し当てられる。
「お前は婚約者を国のために失い、恨みで目が曇っている。だから利用した──東京を火の海にし天皇を恫喝し退位を迫るために!」
中国共産党もロシア系反米テロ組織アバンギャルドも、影の帝と中村照警視正の手に踊らされていたのだ。
覆面の男が銃の撃鉄を起こす。
「死ね」
その時だった。
衆議院本会議場の荘厳な木の扉が破られたかと思えば、自衛隊別班の大河内和夫二等陸佐、若き日向竜介巡査部長が踏み込み、乱れ撃ちでアバンギャルドを蹴散らしていくではないか。
中央には桜祐警部。
後ろから、君塚信一警視らも続く。
ついに特捜専隊が国会に突入、反撃に転じたのだ。
桜警部は正確に狙いをさだめ、山本剛志の両隣のふたりの敵を銃撃で昏倒させる。
「おのれ! 台無しにしてくれたな!」
中村理事官は冷静さを失う。
「SAT突入せよ! 山本を殺せ!」
考えるより早く、日向巡査部長が躍り出た。
特殊部隊が山本の命令を受け、スコープ越しに山本を捉えるが、前に日向が割り込む。
発砲!
銃弾は日向竜介の太ももをかすめ、鮮血が飛び散った。
「やめるんだ! 日向君!」
「証人のあんたを、死なせない」
桜たちは威嚇射撃で狙撃手を黙らせた。
「日向君! しっかりするんだ!」
* *
天皇の玉座を争い、国会議事堂の議場が、民主主義の神聖な場が血にまみれつつある。
とうとう天皇は心を示した。
「こうなった以上、私は玉座を影の帝に譲るべきなのかもしれない」
「陛下!?」
『お考え直しください!』
と、突如、オンラインで割り込む者がいた。
黒部新造元内閣総理大臣の隠し子、歌い手グループめろすたのゆーとこと黒部勇人その人であった。
『たとえ正当性が揺らいでも、民を想う心があれば民の上に立つ資格が陛下にはおありです!』
世論は驚愕し、揺れた。
『ゆーと君?』
『あれ? まさか黒部元総理の息子さん?』
『今、日本に何が起こってる?』