スクワッド:公安特別捜査隊専従班   作:松コンテンツ製作委員会

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第3話『歌い手と手製銃とイージス艦』

 特捜専隊の桜祐警部と千代田春警部にも休日はある。

 東京都、御徒町駅近くの映画館、TOKYOシネマズ上野に、ふたりの姿はあった。

 にぎやかなチケット売り場やロビーの一画に空いているテーブルを見つけ、祐と春は着席する。

「観たかったんだよね、すたぷりの映画」

「ようやく休み取れましたね」

 彼らがこれから観ようとしているのは、歌い手グループすたーぷりんすがデビューするまでのサクセスストーリーを描く「劇場版すたぷり:デビューへの階段」である。

 すたぷりは6人組でライブ以外顔出しせず、イラストアイコンやアニメアバターで活動しており、劇場版ももちろんアニメ映画だ。

「あ!」

 千代田春が指差す先には……

「めろすたのゆーと君だ!」

「歌い手グループメロディスターズですか?」

 センターのゆーとの正体は黒部新造元内閣総理大臣の甥っ子と言う真偽不明の都市伝説もあるが、祐はその話を飲み込むことにした。

 それにしてもゆーとは男から見ても可愛くイケメンで華麗だ。

 

 ……祐と春は劇場の席に横並びで着席する。祐が抱え持つポップコーンから春がつまみ食いする。

 本編開始前の予告編が始まった。

『全米が感動──』

『──してほしい!』

「(してほしい??)」

『海上自衛隊イージス艦がテロリストに乗っ取られる!?  映画バトルオーシャン、来週いよいよ──』

『──撮影開始!!』

「(まだ撮ってないんかい!)」

 祐は怒りのあまり、ドリンクを握る力を込めた。

 だが祐は違和感に気づく。なぜこのような物騒な映画に海上自衛隊が全面協力したのだろうかと。あとで大河内に聞いてみようと思う。

 予告編が終わり、本編が始まる。

『君の個性が光り出し』『僕の未来が照らされて』

 ふたりは来たる明るい雰囲気に胸を弾ませた。

 

      *     *

 

 映画を見終え、御徒町の喫茶店で会話する桜祐と千代田春。

「面白かったね」

「サクセスストーリーでしたね」

 コーヒーを啜り、祐は考えこむ。

「(なんか来る途中、実銃に改造できそうな怪しい玩具銃があったなあ、イージス艦がテロリストに乗っ取られる映画もあったし、きな臭いな)」

 祐は一足先にコーヒーを飲み干すと、会計を済ませてくると言い、腰を浮かした。

「早くない?」

「ちょっと寄りたいところが」

 

 ……場所は変わって秋葉原、ゲームセンターに彼らの姿はあった。

「寄りたいところって、ゲーセン!?」

 なかなか景品の玩具銃が取れない。

 百円玉を片手に唸る祐に、春は呆れていた。

 

      *    *

 

「どんな破天荒なデートしてきたんだよ!」

 秋葉原、特捜専隊アジトにて、大河内和夫は桜祐を怒鳴りつけた。

「彼女ほったらかしてゲーセンで金溶かしたのかよ!」

 祐は大事そうに玩具銃を持っていた。

「でも見てくださいよ、いや、大河内さんに見てほしくてこの代物を」

「どれ! ……これ、ちょっと改造すりゃ、殺傷能力のあるガスガンになっちまうぞ!?」

「あくまで勘ですが、このガンとイージス艦映画撮影企画が関係あるような気がして」

「まあ、桜警部の勘はよく当たるからな」

 大河内も頷くと、今まで聴いていた君塚警視が立ち上がる。

「中国共産党とアバンギャルドの陰謀は固く密封された缶詰だ、開ける缶切りを探さねば。今の話が缶切りだ」

 と言い、大河内は指示を下し始める。

「乃木調査官には公安調査庁の筋からこのガンがどれだけ出回ったか調べていただきたい」

「承った」

「大河内二佐は、防衛省内部から、イージス艦映画撮影企画を内偵捜査してくれ」

「了解しました」

「そして桜警部!」

「はい!」

「まずは千代田警部に謝りたまえ」

「はい?」

 振り返ると、千代田春がふくれっ面になっていた。

「もう! せっかくのデートが台無しになったんだから!」

「ごめんなさい……」

 

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