魂を満たす物語   作:よヨ余

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障害物競走ってトリガーだったらどんな妨害でもできると思うの。











体育祭開始!!

とうとう体育祭当日を迎えた。私は入試の時と同じように基礎鍛錬を積み、コンディションを整えた。今の状態は結構いいほうだろう。

 

しかし、それだけでなく、個性の可能性も追求した。トリガー以外のエネルギーの利用方法を模索した。なかなか形になったので、この体育祭で見せることができたらいいなと思う。

 

「さあ、群がれマスメディア!!今年もおまえらが大好きな高校生たちの青春……雄英体育祭が始まディエビバディアァユレディ!!?」

 

実況席からのマイク先生の爆音がこの控室にも響き渡る。

 

そろそろ始まるのだということを察すると、轟が立ち上がり、緑谷のほうに歩んでいった。

 

「緑谷」

 

「轟君………何?」

 

緊張をほぐすために深呼吸していた緑谷だが、轟が話しかけてきたからかまた緊張をしてしまったようだ。やはり轟は会話が苦手なようだな。

 

「客観的に見ても、実力は俺のほうが上だと思う」

「へ!?う、うん……」

「でもお前、オールマイトに目ぇかけられてるよな」

 

轟は案外鋭いことを言う。襲撃の日での保健室での反応から、緑谷とオールマイトには何かしらの隠し事があるようだったし、轟の発言は正しいだろう。

 

「別にそこ詮索するつもりはねぇが……お前には勝つぞ」

 

…………轟は会話じゃなくて宣戦布告をしに来ただけのようだ。

 

轟は襲撃の際も、ヴィランを対処した後、爆豪、切島、緑谷と一緒にオールマイトの手助けをしたそうだ。しかも、結構活躍したらしい。

 

「急に喧嘩腰でどうした!?直前にやめろって!」

「別に仲良しごっこじゃねぇんだ。なんだっていいだろ……それに夜月、戦闘訓練の時にも言ったが…お前にも負けねぇぞ」

 

険悪な空気を嫌った切島が轟を仲裁するも、轟は気にした様子を見せなかった。ついでに私にも宣戦布告してくる。それには答えるのが義務だろう。

 

「私も負けるつもりはないよ。轟だけじゃなくて、みんなにもね」

 

私が答えると、緑谷がこぶしを握り、轟に対して吠えた。

 

「……轟君が何を思って僕に勝つって言ってんのかはわかんないけど……。そりゃ君のほうが上だよ。実力なんて大半の人が君には敵わないと思う……」

 

「緑谷もあんまそーいうネガティブなこと言わないほうが……」

 

「でも……!!みんな…ほかの科の人たちもみんな本気でトップをねらってるんだ。僕だって……後れを取るわけにはいかない!!」

 

緑谷は真剣さを感じる顔で轟に向かって言う。

 

「僕も本気で取りに行く!!」

 

緑谷の気迫に私を含めみんなが感化された。

 

 

 

 

 

『さあ、1年ステージ!選手たちの登場だぁ!!』

 

入場のアナウンスが鳴り、私たちも入場を始める。

 

『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはと鎬を削りトップを目指す年に一度の大バトル!!どうせテメーらあれだろ、こいつらだろ!?ヴィランの襲撃を受けたにもかかわらずそれを乗り越えた超新星!!』

 

マイク先生の煽り文句に観客のボルテージが高まる。

 

『ヒーロー科、1年A組だろぉ!?』

 

マイク先生の言葉とともに歓声が上がり、私たちも入場を始める。

 

「わあぁぁ…人がすっごい!」

「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるのかどうか…!これもまたヒーローとしての素養を身につける一環なんだな!」

 

大衆の視線に緑谷が少し上がり気味になっていると、飯田が体育祭の意義について考察を始めていた。

 

「やっぱめっちゃ持ち上げられてんな……。なんか緊張すんな!爆豪!」

「しねぇよ、ただただアガるわ」

 

切島も少し緊張し始めたようだ。爆豪はこの大衆の目によって気分が高揚しているようだけれども。

 

『B組に続いて普通科C・D・E組!サポート科のF・G・H組!さらに経営科I・J・K組も来たぞー!』

 

マイク先生の露骨なA組贔屓にほかのクラスの人たちは悪感情を見せる。中には睨みつけてきたりする生徒もいた。初っ端からヘイトを集めてしまった。

 

そんな面倒ごともあったが、すべての1年生徒がスタジアムの中央に集まる。

 

「選手宣誓!!」

 

中央に集まると、ミッドナイト先生が鞭を振るいながら言った。今年の1年ステージの進行を務めるのはミッドナイト先生のようだ。その魅惑的なプロポーションに多くの男性の視線が釘付けになる。

 

「18禁なのに高校にいてもいいものか」

「イイ!!!」

「即答じゃん」

 

常闇の疑問に、峰田が即肯定する。即答した峰田に上鳴が突っ込んでいた。

 

「選手代表!!1年A組、夜月静江!!」

 

ミッドナイトが私の名前を呼んだので、私は返事をしてから前に出る。

 

「選手代表って夜月なんだ」

「入試1位通過だもんな〜」

「ヒーロー科の入試……な」

 

耳郎と上鳴の発言に普通科の生徒がわざわざ訂正をする。やはりA組へのヘイトは高いらしい。

 

私は後ろを確認する。多くの生徒はA組に悪感情を抱いており、A組はそれを受けて居心地悪そうにしていた。……轟と爆豪以外。

 

……理不尽な話だ。先日の爆豪の暴言は確かによくなかったのでヘイトが集まるのもわかるが、襲撃の件に関しては私たちに何一つ非がない。

 

それに、周囲が負の感情を含めた視線を向ける権利はないと思うのだ。私たちは先日、教室の周囲を興味本位で囲まれて下校の妨害をされている。私もそのせいでスーパーのお肉の特売を逃しかけてしまったのだ。何とか間に合ったが。

 

そして、今日何回か見られた私たちへの悪態の数々。私たちのほうが文句を言いたいものだ。

 

私はいくつかの感情をないまぜにしたまま宣誓を行う。……つもりだった。

 

 

……少しくらい、羽目を外してもいいと思うんだ。

 

 

私はマイクを創造し、生徒のほうを向く。

 

「宣誓。私は自分がこの中で一番であるという自負があります」

 

私の言葉に、A組はギョッとする。そりゃそうだ。私はこのままだと火に油を注ぐ行為をしているだけだからだ。爆豪は対抗心をメラメラと燃やしていた。

 

「私は全員にこの体育祭に全力で臨むことを希望します。その上で、私が一番になるので。……そして、A組の引き立て役であることに不満を持っている人たちへ伝えます」

 

私は少しだけ圧力を放って言葉を続ける。

 

 

「文句を言う暇あったら全力で来いよ。私が勝つから」

 

 

宣誓を終え、私が元居た場所に戻る。全員が何も言わなかった。いや、A組の一部は「よく言った!」というような目で見ていたか。……「お前こんな事言うのか」っていう目もあったが。

 

そして、ミッドナイト先生が競技の説明に移った。

 

「さーて、それじゃあ第一種目の説明に移りましょう!いわゆる予選!毎年ここで多くの選手が涙を飲むわ(ティアドリンク)!運命の第一種目!今年は……コレよ!!」

 

先生の言葉と同時に空中に浮かんだディスプレイに文字が浮かぶ。浮かんだ文字は……”障害物競走”。

 

「計11クラスでの総当たりレース!コースはこのスタジアムの外周約4㎞!!コースさえ守れば何をしたってかまわないわ!さあさあ、位置につきまくりなさい!!」

 

先生の号令に大勢が位置につく。私は最後尾に位置どった。普通科の人が訝し気な視線を向けるが気にしない。だって正しいのだから。

 

「スタート!!」

 

先生の号令で、第一種目がスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さーて実況していくぜ!解説アーユーレディ!?イレイザー!』

『無理やり呼んだんだろが』

 

実況室。そこではプレゼント・マイクとイレイザーヘッドがスポーツ競技の実況と解説を務めていた。

 

『早速だがイレイザー!序盤の見どころは!』

『今だよ』

 

イレイザーヘッドがそう言ったのとほぼ同時に、入り口の付近が冷気で覆われる。そして、氷に覆われて、多くの選手の行動自由を奪った。轟の仕業である。

 

『オイオイオイ!いきなりだな!A組轟焦凍!スタートと同時に大勢の行動を阻害したぁ!最初のトップは轟だぁ!』

 

しかし、轟の攻撃はヒーロー科の人など、一部の人間には回避されていた。

 

『さあさあ、ただ轟の攻撃は実力者には回避されている!……っておい!?急に夜月が轟の前に出現!?イレイザー、こりゃどーゆーことだ!?』

 

『テレポーターだな。夜月は大気のエネルギーを使って様々な事象を起こすことができる。それで短い距離とはいえ瞬間移動したのだろう』

 

『マジかよ!なかなかにチートな個性だなオイ!何はともあれトップが早くも入れ替わった!後続も続々と動き出してるぞ!』

 

シズはテレポーターで移動した後、グラスホッパーを用いて加速しながら移動していた。移動を始めてすぐに障害物が見えてくる。

 

 

『さあ、いきなり障害物だ!まずは手始め!ロボ・インフェルノ!仮想ヴィランロボットたちが相手だ!倒すもよし!避けるもよし!自分の能力と相談しながら突き進め!!』

 

シズは眼前に立ちふさがる仮想ヴィランを見ても止まることはなかった。即座に弧月を2本生成し、振るう。

 

「旋空弧月」

 

2本の弧月から繰り出される旋空は0ptヴィランの体を細切れにし、3体の0ptヴィランが崩れ落ちる。

 

『オイオイ即突破かよ!1-A夜月!大量の仮想ヴィランを物ともせず突き進む!強力な個性でもあるが何よりもその個性の扱いがとびぬけている!流石主席だぜ!』

 

『旋空も弧月2本で繰り出しているな。入試の時よりも扱いがうまくなっている』

 

『なんてこったい!入試主席はそれに胡坐をかかずに鍛錬を続けていた!こりゃ抜かすのは難しいぞ!!』

 

シズは旋空で切り払った後にスパイダーで仮想ヴィランをいじくりまわしていた。

 

『ん!?なんだなんだ!?仮想ヴィランから部品が……』

 

『夜月の仕業だな。仮想ヴィランの内部にあるレアメタルだけ抜いているんだろう。大破しているが、レアメタルだけは再利用できるように配慮していたんだな』

 

『ぶっちぎりで1位を取りながらこっちの事情に配慮してんのかよ!余裕にもほどがあるだろちくしょー!』

 

抜き取ったレアメタルはご丁寧にコース外に置かれていた。

 

そのころ、シズの後ろでは轟がヴィランを氷結させ、ほかの選手が通りかかったところで倒れるように調整。突破と後続の妨害を同時にこなした。ほかの選手も上から突破したり、倒してから突破したりと、各々の方法で突破していた。

 

『オイオイ第一関門チョロいってよ!んじゃ第二はどうよ!?落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!ザ・フォール!!!』

 

第二関門には多くの大きな相当深い穴が存在している。落ちたら一たまりもないだろう。少なくとも、大幅に順位が落ちてしまう。

 

しかし、シズには関係ない。グラスホッパーを用いて、穴があるのをお構いなしに進んでいた。

 

『まあ、だと思ってたよ!夜月がまた突き進む!てかほんとに止まんねぇなおい!』

 

シズは第二関門を突破した後、レーダーで状況を確認する。迫ってきているのは轟と爆豪程度。その二人も第二関門に入って少しのところだったので、すぐに抜かされることはないだろう。

 

『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過かどうかは公表してねぇから安心せずに突き進め!そして早くも最終関門だ!かくしてその実態は…………一面地雷原!怒りのアフガンだ!!地雷の位置はよく見りゃわかるようになってんぞ!目と脚酷使しろ!』

 

マイクの言葉の通り、そこには多くの地雷があった。目を凝らせば見えるため、踏んでしまうことはそうないだろう。

 

シズはまたもやグラスホッパーを用いて空中移動をし、地雷を避ける。汎用性において、グラスホッパーの右に出るものはないだろう。 

 

『まあ、だよな……。うん、そんな気がしてた……』

『もう少し空中に浮遊できる個性に対応したものにすべきだったな』

 

エンタメ性に欠如していると感じたシズは所々で着地をし、エスクードを出して後続の難易度を上げることにした。

 

『おぉっと!?夜月がここで新たに障害物を作った!しかもたくさんある上に不規則に並んでいる!!なんとも後続泣かせじゃねぇかおい!』

 

シズは地雷原を突破し、ゴールへと向かう。これ以上の関門はなかったため、特に問題もなくゴールインした。

 

『スタートからすぐに1位に躍り出てその後も後続に抜かれることもなく1位をキープ!さらに我々の予算にも配慮する走りを見せた―――――1-A夜月静江!今ゴール!!!』

 

第一種目はシズの勝利で幕を閉じた。

 

 




メテオラ降らせるとか考えたけどやめました。流石に鬼畜すぎるかなって……。

ちなみにエスクード妨害はマジでエンタメに配慮してやってます。善意です。
……やっぱりズレてますね。




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