もしかしたら自分の好きなキャラも予想ついているかな?
答えはあとがきに……。
それは私が指定した魂のみを砕き、生命活動を停止させる。今回はお母様を乗っ取っているような形になっている脳無に放ったので、そこにあるお母様の魂を停止させる。この脳無は恐らく無理に高性能化したものであるため、支える魂がなければ暴走してしまうだろう。
しかし、お母様の魂を死の苦しみ、痛みから救うことができる。橘とお兄様にはそれを真正面から体験させてしまった。誰もが被害者である以上、あまり肯定的には考えられない。――橘は人斬りを楽しむようなサディストの一面を持つものの、強制脳無化されてしまった以上被害者と判断していいだろう。
だから、白閃炎覇を放ったのだ。
でも、お母様は―――
―――
私は、とある白い空間にいた。
施設ではない。施設は壊れてしまったし、そもそも上下の感覚すら危うく感じているからだ。白閃炎覇を放ってからこうなったので、お母様が何かしたのかもしれない。もしかしたら――
「ここがあの世ってやつかな…?」
「フフッ、違うわよ。ここは私の魂の中よ」
私のつぶやきに反応する者がいた。声色だけで判断できる。今日まで存在すら忘れていたのに、今ではその声やしぐさ、癖までもが鮮明に思い出せる。コロコロと笑う姿は今でも健在だった。
「お母様……!」
「久しぶり……って、こっちはそうでもないんだけど、あなたからしたらそうよね」
「そうでもない?」
私はお母様の発言を訝しみ、そう聞き返してしまう。
「夢に出ることであなたの成長を視てはいたのよ。もっとも、怪物になってからできるようになったから何もできなかったのだけれど。怖がらせてしまったかもしれないわね。ごめんなさい」
成程。どうやら最近見ていた夢はお母様の影響らしい。そういえば、夢の化け物は脳無化したお母様とお兄様に似ていた。父母、息子の構成だったが、私の家族だったようだ。
「問題ありません。もう高校生ですよ?夢程度では怖がりません」
「その割には、飛び起きていたようだけどねぇ?」
私はぎくりと肩を震わせてしまう。それを見たお母様はニヨニヨと笑っていた。それを見た瞬間に私は私のミスを察する。
「あら、勘で言ったのだけれど、案外当たっているのね」
「お母様!」
「フフフ、ごめんなさい。大きくなったシズと会えたのがうれしくって」
変わっていない。私の記憶の中のお母様そっくりだ。年齢の割には童顔で、しかしながら上品なイメージを持たれるような人だったが、身内に甘く、ちょっとしたいたずらもするような顔とイメージの合う人だった。その上、みんなと少しだけズレているような印象を持たれる。お母様と関わっていくとその面がよく見れた。
「それにしても、あなたの名前は変わらず静江なのね。お師匠さん?にお世話になったようだからその人に名前を付けられたのだと思っていたのだけど」
覚えていてくれたのかしら?とお母様は可愛らしく首をかしげるが、私の心境は複雑だった。由来が由来だったからだ。
「名付けられはしましたよ。それが静江という同じ名前だっただけです」
私は由来の部分を伏せて正しいことを言った。うん、ウソは言っていない。
お母様はお師匠と同じ名前を付けたことに驚き、それを面白く思ったのかコロコロと笑った。
「じゃあ、夜月である理由は?これもお師匠さん?」
私はそれに答えるべきか悩んだ。だが、これはお母様の魂の中――精神世界――なので、オールフォーワンに聞かれることはないだろう。
「それは―――」
私はお母様に夜月の由来を話した。夜月は私がお師匠に自己紹介するときにはじめて人に言った名前だ。誰かに名付けられたものではない。だから、私の言葉で話すことができた。
「そう…そう!いい考えね!その考えに至ったのが私のせいというのは複雑で申し訳ないけど……応援してるわ。頑張って」
お母様は私にそうエールを送った。そして、少し複雑そうな顔をしていた。申し訳なさもそうだが、何か別の憂慮があるようだった。
「何か不安なことでもあるのですか?」
「……分かるのね」
「…人を良く見る子に育ったので」
お母様はため息をつき、意を決したように言葉を放った。
「実はあなたには、妹がいるの。今はきっと6つよ。あなたと同じ白髪に赤い目。紫色のメッシュはないけれど、髪質も似ていて、額には角もあるわ。……あの子は個性が発現したときにお父さんを…消してしまったの」
「消した…?」
「ええ、そういう個性なのでしょうね。お父さんは服を遺して消えてしまったわ。私はそれが受け入れられなくて……あの子を一度御爺様の家で面倒を見てもらうことにしたの。ちょっとしたら気持ちの整理がついたから迎えに行こうとしたのだけれど、その前にオールフォーワンの手が回ったことで迎えに行くことができなくなってしまったの……」
「……御爺様がいたのですね」
そういうと、そこじゃないでしょう、という目で見られた。
「でも、御爺様ならいいのでは?憂慮する要素が見当たりませんが……」
一度咳払いをし、そう問いかける。お母様はどもりながら言う。
「あなたを夢で観察していたように、妹のことも視ていたの。そしたら……」
お母様はそこで言葉を切った。わざとではなく、そのあとの言葉を言うのがつらいようだ。表情が物語っている。
「……分かりました。私にお任せください」
私は言葉を遮るように言う。これ以上苦しそうな顔を見たくなかったからだ。
「いいのかしら?あなたからしたら顔も合わせていないような、極端に言うのなら血のつながっただけの他人なのよ?それに、私はあなたに何もしてやれていない。正直、私なんかのお願いを聞かなくてもいいのよ?」
「愚問ですね、お母様。血がつながっていること、私からしたらそれが大切なのです。それに……私、お姉さまという存在に憧れていたのですよ?お姉ちゃんでもいいですけど」
「……やっぱり、あなたは優しいわね」
お母様は私にそう微笑む。その顔を見ることができてうれしく思う。思わず私まで笑顔になってしまった。
「――そろそろ時間ね」
妹の名前を教えてもらい、少し話をした――口の悪さを咎められたりした――ところ、お母様は唐突にそう言った。見れば、この空間が歪んでいる。お母様の魂が限界を迎えたようだ。
「じゃあ、最後に言わせてもらうわね」
お母様は私の手に両手を重ねた。
「あなたを産んでよかった。あなたが生きててよかった。―――行ってらっしゃい。あの世で家族みんなで見てるわ」
そう言った後、お母様は私の手にお母様の体温を遺して消えた。
お母様も、死んだ。
涙は出ない。オールフォーワンが枯らしてしまったから。
でも、でも。
この気持ちに、ウソはない。
「―――行ってきます」
そして、意識は現実に帰る。
―――
私の意識が現実に帰ってきてすぐに感じたのは、私の体の不調だった。先程まで腹に大穴が開いていたからだろう。
治した今も、体がズキズキ痛んで仕方ない。
『君のお母さんが暴走してしまったね。このままだと負けてしまうよ?言いたいことがあるんだろう?夜月の由来――教えておくれよ!』
「負けてしまう?はは、そんなことはないさ。お母様の魂が残っていた時ならともかく、暴走して短絡的な行動をするような愚者に負けることはないさ」
『へぇ、言うじゃないか。―――脳無』
オールフォーワンがそう言うと、脳無が動いた。それは私に牙をむくためでなく、ある目的を達成するためだった。
脳無は私が倒した元橘と元お兄様の脳無の死体を魔法で取り込んだ。お母様の魂を失ったとはいえ、その個性は健在だ。そして、それは橘の物も同様だろう。
私はそれを止めることができず、脳無に強化を許してしまった。
『よかったね。負ける理由ができたよ?』
「負ける理由ができた?なわけねぇだろ」
私はそう言ってコスチュームを生成。体育祭の爆豪戦の時のように。わざわざコスチュームを生成するのは私が本気を出した合図だった。
「夜月の由来は脳無を倒すときにでも教えてやる」
私はそう言い捨て、脳無に斬りかかる。
込めた権能は
それを脳無は剣で受け止める。その際、呪壊弾の効果がかき消された。どうやら橘の脳無を吸収したときに彼の個性も吸収したようだ。お兄様に与えられた個性も使えると思ったが、そんなことはないようだ。あちらも武器の類を扱うため使用条件を満たさないのだろう。
橘の個性は『
私の場合、それが適用されるのは実際に斬られたときのみ。実に対処が簡単な個性だ。
だが、それはその個性ただ一つだけを持っている場合だ。
この脳無の場合、お母様の個性を扱うことができる。斬られまいと距離をとっても魔法の遠距離攻撃で追い詰められるのだ。それも、そちらの技量のほうが優れているときた。対処するには近づくしかない。だが、近づいたら剣戟が待っている。もっと言うのなら、拳による超近接戦も行える。近中遠すべてに対応したパーフェクトオールラウンダー、それが二体の脳無を吸収した脳無の特徴だ。
(だが、それは私も同じこと)
そう。私も近中遠すべてに対応できる。特に近距離と中距離は得意分野だといえる。爆豪や轟など、一定のプロレベルの実力を持った人間でも必ず負けると断言できる脳無で、No.2ヒーローのエンデヴァーでもほぼ勝てないような存在でも私なら勝てる。
私は得意の至近距離まで脳無に近づき、剣を交える。脳無の刹那の隙を銃弾で突き、戦いを有利に進める。
脳無は私の変則攻撃に対応するのにいっぱいいっぱいなようだ。私の攻撃を避けるときも体勢を崩すことが多く。余裕が少ないことが見て取れる。
(……少し詰めるか)
私は攻撃の手を強めた。弧月と銃だけでなくアステロイドなどのキューブも攻撃に混ぜた。ときには
少しずつ隙を大きくし、大技が当たるだけの隙を作り出す。それが十分だと判断した瞬間に朧・百華繚乱で脳無を細切れにした。しかし脳無の再生能力によってそれは決定打にならない。きっとすべてを消滅させるだけの攻撃でないと死なないのだろう。お母様の魔法で脳がなくても動くことができるようになっている。
しかし、勝てる。私が終始優勢で、脳無を殺す手段を持っているからだ。
私はそれで調子づいたのだろう。
それを脳無は見逃さない。
私の手から弧月と銃を落とした脳無は私の長い髪を掴み、動きを制限してから腹を殴打する。重力崩壊で弱化した腹は現在私の弱点となっているため、とても重たい痛みが生じる。
だが、私はそれを気にしなかった。
もっと気にするべきことがあったからだ。
思い起こされるのは、お師匠との記憶。
――
それは、お師匠に頼んでドライヤーをやってもらっているときのことだった。
『シズの髪ってキレーだよな』
お師匠は私の髪を梳きながら言う。
『そう?まあ、手入れはある程度しているからね』
『ほーん……』
私はお師匠に髪を褒められたことを嬉しく思った。
お師匠の手をくすぐったく思いつつ、少し甘えたい気分になったので頭を手に押し付けてなでなでさせる。
『ハハッ、くすぐってぇよ』
『ンフフ』
私とお師匠は互いに笑いあう。小学6年生のときの淡い記憶だった。
――
お師匠に褒められた髪。それを他人に汚されたような気がしてならなかった。
お母様の魂がまだ存在しているときは違うが、それがなくなった抜け殻は他人だ。
髪を掴まれている現在、私は脳無に殴られるだけ。何とか髪を傷つけずに対処したかったが、どうやら無理なようだ。五発くらい殴られてからそう判断する。
私は苦渋の決断を下した。
手刀で私の髪を切断する。私は脳無の手から逃れ、後退してから髪に意識を向ける。
髪は雑に切られ、バラバラになった後ろ髪が私と脳無の間に落ちていた。
「チッ……」
私は本心から舌打ちし、後ろ髪に手を当てた。それだけで雑に千切れた髪は整い、ロングウルフの髪型へと変容する。もっさりした感じはしなく、サラサラした髪がある感じだ。
(……これはイメチェン。これはイメチェン……)
私は自分で自分に言い聞かせ、お師匠が私をほめてくれる表情や言葉を想像することで激情を和らげた。すべては私が調子づいたことが原因なのだが、そんなことは知らない。
(これを機に前髪も整えるか)
冷静になった私には戦いの後を考える余裕さえある。
脳無が愚直に対象を殺す考えなしでないことが分かった今、油断はしない。
徹底的に殺すとしよう。
この状態、精神になった私を倒す、あるいは殺すことができるのはオールマイトやオールフォーワン、アメリカNo.1ヒーローのスターアンドストライプくらいだろう。
私の虚無にはそれだけの力がある。
虚無。
私の奥の手。大気に循環している正負のエネルギーを寸分の狂いのない1:1の割合で混ぜ合わせることで生成できる絶対的な破壊エネルギー。それは私の技量によって密度を変え、脅威を底上げする。今の私の技量なら土木工事にも太陽系消滅にも使用できる。流石にそこまで密度は上げないが。
きっと、いや絶対にオールフォーワンの目的は私の個性の強奪――もっというなら虚無の強奪――だろう。最低限私を脳無にすることで虚無を手中に収めることくらいはするはずだ。
だから私は、悪人から狙われる。
その前に自爆でもして脳無諸共死ぬべきだろうか?
そんな疑問さえ浮かんだ。
だが、それはお母様と話す前の話だ。正確には、記憶を取り戻した直後の話だ。
今は違う。
私は生きなければならない。顔も知らない妹のためにも。お師匠に会うためにも。
私の問題は私で解決する。今回オールフォーワンと脳無の問題を解決すれば十分収束するだろう。
そう考えていると、異変に気付く。異変の詳細を自分なりに調べていると、オールマイトがオールフォーワンの本体を倒したことが分かった。いずれヒーローがこちらに来る。私のけじめをつけるために、彼ら彼女らが来る前にことを片付けないといけない。
私は動きを止め、虚無を練り始める。脳無は悪寒を感じたのか私を殺しにかかるが、私が事前に張った結界に阻まれる。破れないと判断した脳無は最大の重力崩壊を繰り出すために魔力を練り始めた。
「お昼には、お日様がいるんだ」
『……は?』
オールフォーワンは急な私の言葉に疑問を漏らす。
「オールマイトを筆頭として、エンデヴァー、ホークス、ベストジーニスト等々。数年経てば私のクラスメイトを筆頭とした世代が頭角を現すだろう。お昼を照らすお日様として。それは何一つ不自由なく生きてきた幸せで健全な少年少女に夢を与える。希望を与える」
オールフォーワンは私の言葉を黙って聞いていた。話の要領がつかめないようだった。
「じゃあ、夜は?」
そこでようやくオールフォーワンは夜月の由来の話だと気づく。
「夜にはお月様は存在しない。……もしかしたらいるのかもしれないが、それはきっと私の思うお月様じゃない。私のように、絶望や無を生きる人、つまり夜には、希望となるお月様は存在しない」
私は続ける。
「私はその希望になりたい。私のような人生を歩んで絶望した者に、希望があるんだよと伝えたい」
私は息を吸い、言葉を続ける。
「―――だから私は、夜月になるんだ」
私の胸の内を吐露することに緊張したのだろうか?私は興奮状態にあり、多少発汗して頬は紅潮していた。
オールフォーワンはそんな私に口を出す。
『だが人間の本質は変わらない!君の本質は間違いなくヴィランだよ!この映像を見てみるといい!』
脳無が映している私の過去の映像では、私が死刑囚たちと殺し合い、死刑囚に手をかけている私の姿が映った。純白の服は鮮血で真っ赤に染まっている。
「知ってるよ。人の本質は変わらない、だけど、人は変われる」
私の手の中にある虚無が誰の目にも見えるようになった。技の準備が整った合図だ。
今まで一度たりとも成功しなかった絶対的な技。
「私が夜月となるために、1億分の1の
そして私は虚無を開放する。オールフォーワンが私の力を狙う原因。そのすべてを。
その技は、世界をも滅ぼす。
重力崩壊すらも優に凌駕する究極の消滅波。私の理想とする
脳無の重力崩壊すら終末崩縮消滅波の燃料となり勢いを増す。本来なら約5㎞を更地にするだけだったはずだが、その相乗効果により7㎞までに拡大してしまった。
しかし、結果は変わらない。
私の過去の映像とオールフォーワンの映像が消失したことで、私は勝利を確信した。
身体は思うように動かず、立つことすらおぼつかない。ただ、これはまだ軽いほうだろう。本来なら消滅波によって体の大半が消滅してもおかしくないのだ。
「終わった……」
脳無が消失したため私の声が世間に流れることはない。今は一人だ。
過去の清算。記憶の奪回。自分の確立。
今日は濃い一日だった。
「いや、始まったのか……」
妹のこと。お母様が私に託した唯一の肉親。
夜月になるために、その第一歩。
お師匠のこともある。生きてると知った今、早く会いたいという思いが湧き上がってくる。
やることがいっぱいだな。
魂が満たされる感覚とでも言うのだろうか。私に足りないものが多いのに充実している感覚がある。
私の空っぽの魂に、何かが注がれる感覚。
「嗚呼、そうか」
ようやく魂ができたのだ。満たされるための容器が。
私は更地になった土地に仰向けになる。終末崩縮消滅波の影響で空には雲一つなく、朝日が顔を出していた。目をつむり、ポカポカした朝日を浴びる。
自然と笑みが零れた。
今までは、魂を創る物語だった。
その魂は今日創られた。
これからは、魂を満たす物語だ。
基本全キャラ好きっちゃ好きだけどね。いろんな魅力がある。
二人はね、技がいいのよ。技が。シズの技は少し変えてるけど。二人とも虚無使わないし。
見た目はウルティマ。ジャンルは違えどテスタロッサも好き。悪魔3人娘いいよね……!
カレラの服のマントかっこよくない!?お気に入りなんですよね。シズのコスにも要素あるし。