デュエマプレイヤーは「カードが全ての学園島」で成り上がるそうです。   作:タク@DMP

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第11話:勝利の覇道

「──キャーッッッ!! 素敵ーッッッ!!」

 

 

 

 駆け付けた照陽と澪音を出迎えたのは──悲鳴は悲鳴でも黄色い悲鳴。

 辺りには人だかりができているが、その声を打ち消す勢いで爆音が垂れ流されている。

 生徒教師問わず、その爆音に歓声を上げている。

 彼らの目は異様な熱を帯びており、一目見ただけで正気ではないことが伝わってきた。

 

「この流れで悲鳴が黄色い事ってあるんだ!!?」

「誰ヨ、こんなの垂れ流してるのは──って」

 

 

 

「ロックンロール、ブルァァアアアアアアアアアーッッッ!!」

 

 

 

 怒号が轟いた。 

 人だかりの中央に立っていたのはギターを手にした担任教師・岩本。

 その姿はいつものスーツ姿ではあるが、目にはサングラスを掛けており、激しい怒号と共にギターをかき鳴らしている。

 照陽からすれば聞くに耐えない爆音であるが、それでも観客たちは聞き入ってその場から離れようとしない。

 

「い、岩本先生って、やっぱりああいうキャラだったのか!?」

「んなわけないデショ!! あの人、ギターは静かに弾く派よ!」

「そうなんだ……それより、周りの人たちは……」

「あれはカードの精霊のチカラにアテられてるのヨ!!」

 

 照陽はボルメテウスのカードを握り締め、岩本を凝視する。

 彼の背後に浮かび上がるのは──巨大な竜の生えた戦車に乗った猿人。

 その名を照陽はすぐに看破してみせた。

 

「《勝利龍装クラッシュ”覇道(ヘッド)”》か……!」

「ロックンロール、ブルァァアアアアアアアアアーッッッ!!」

 

 怒号と共にさらに爆音が鳴り響く。

 すると、それを浴びた人々は次々に力尽きたようにその場に倒れていってしまうのだった。

 

「暴走したカードの精霊は、ありとあらゆる方法で周囲の人からマナを吸い出そうとするノ! クリーチャーはマナをエネルギーにするかラ!」

「ごめん、何にも聞こえない!! 周りがうるさすぎて!!」

「でも、人が持つマナなんてたかが知れてる。だから、ああやって倒れちゃうってワケ! 死にはしないケド……今度は別の獲物を探しに行くハズ、放っておけなイ!!」

「ああ、成程僕の声も君に聞こえてないのか!!」

「……ンンン? 見た所、俺のロックに魂を揺さぶられねえ奴らが居るみてェだなァ? まあ良いぜェ、魂に直接俺の音楽浴びせてやんよ、レッツら・ミュージィィィック」

 

 次の瞬間、《クラッシュ”覇道(ヘッド)”》が照陽たちの目の前で完全に実体化した。

 猿人が掛けたサングラスからは悍ましい赤い眼光が迸っている。そして照陽達を引き潰さんとばかりに戦車の履帯を回転させて迫る。

 戦慄する照陽。人間ならばミンチにされてしまうサイズだ。

 校庭の地面はボコボコにへこんでおり、今目の前にいるクリーチャーが質量を持った実体であることを嫌でも思い知らされる。

 

「チカラ勝負ならァ、ゼニスの領分なんだかラ!! シャングリラァ!!」

 

 澪音の背後から沸き立つは零の化身。

 拳を振り上げたシャングリラ・ファンタジアは、真正面からクラッシュ”覇道”を受け止めるのだった。

 

「暴走した精霊は、先ず……実体化したヤツを無力化すルッ!! 真のデュエルを挑むのはソレカラ!!」

 

 しかし──実体化したクリーチャーの力はすさまじく、澪音諸共徐々に押されてしまっている。

 

(そ、そうだ、僕も手助けしなきゃ──ッ!!)

 

 照陽が首からぶら下げたボルメテウスのカードを握り締めようとしたその時。

 

 

 

 ──乾いた銃声が響く。

 

 

 

 シャングリラの頭部が砕け散り、そこを起点としてシャングリラの体が一気に崩壊した。

 

「えっ──」

 

 何が起きたか分からないという顔で目を見開く澪音。

 

「──ッ!? 危ない!!」

 

 照陽は咄嗟に駆け出し、澪音を抱きしめ──横に跳んだ。

 すぐさま抑えを失ったクラッシュ”覇道”が掠めるように飛び出す。

 そのまま二人はもつれ合ったまま地面に転がる。

 間一髪だった。もう少しで二人共引き潰されていたところである。

 

「大丈夫!? ケガは──ッ」

「あ、う、だいじょう、ぶ……」

 

 シャングリラの実体化が解除されたという想定外の事態に澪音は口をぱくぱくとさせるしかない。

 照陽もその瞬間は見ていたので理解出来た。

 場外から飛んできた何かがシャングリラの頭を貫くのを──

 

「ロックンロォォォォーッッッル!!」

 

 ──しかし。

 方向転換してきたクラッシュ”覇道”が再び二人を引き潰すべく迫りくる。

 

「また来る──ッ!! 一回実体化を解除されたら、しばらくクリーチャーの力は使えなイ!!」

「なら僕がやる!!」

「無茶ヨ!! 貴方の精霊って──」

 

(確かにあの戦車のパワーはボルメテウスで正面から受け止めるのは無謀だ。だけど、戦車という点に弱点がある!!)

 

「──ボルメテウス・武者・ドラゴンッ!!」

 

 照陽の背後から飛び出す青い武者鎧の竜。

 それは何も言わずとも照陽の意図を感じ取り、背中の刀を振るう。

 狙いは堅い骨で出来た正面装甲ではない。

 地面を抉りながら進む──戦車の足たる履帯だ。

 

「──ッ!?」

 

 履帯が千切れた事でクラッシュ”覇道”は急速に速度を落とし、そして地面を引きずるようにして止まってしまう。

 その隙を突いたボルメテウスは、すぐさま上に乗っていた猿人に飛び掛かり、一刀両断斬り伏せてみせる。

 実体化していたクラッシュ”覇道”はそのまま光の粒子となって消滅してしまうのだった。

 そして同時に、マナを消費しきったボルメテウスもまた、消滅して元のカードへと戻っていく。

 

「これでいいのか……ッ!?」

「チィッ……小癪なァ!! 小僧共ォォォーッ!! 俺の音楽をどうして理解しねえェェェーッ!!」

「まだ戻ってない!!」

 

 肝心の岩本はギターを振り回し暴れ狂ったまま。

 正気を取り戻してはいない。

 その証拠に、彼の影には未だにクリーチャーの影が蠢いている。

 

「デモ、これで隙が出来タ!! 真のデュエルで、岩本先生を──ッ」

 

 立ち上がり、デッキを握ろうとする澪音。

 しかし彼女は呻き、蹲ってしまう。

 さっきクラッシュ”覇道”に轢かれかけた時に、足を挫いてしまったのだ。

 

「ウソデショ、こんな時ニ……ッ!!」

「僕が行くッ!!」

「──! デ、デモ──ッ」

「でももへちまも無いさ、誰かがやるしかない……!!」

 

 岩本の前に立つ照陽。

 真のデュエルはこれで二度目。

 鳴りやまぬ心臓を握り締め、彼は──岩本の前にデッキを突きつける。

 

「僕は──もう、円架みたいな人は……見たくないッ!!」

 

 辺りは白い空間へと塗り替えられていく。

 その中に──澪音も巻き込まれるのだった。

 シールドが浮かび上がり、デッキがデュエリストの手元に現れる。

 クリーチャーが実体化し、痛みと命をやり取りする真のデュエルが今、幕を開けたのである。

 

「勝負だ先生ッ!! いや……クラッシュ”覇道”!!」

「──俺の音楽を聴いてもらおうかァ!! ブールァァァァァーッ!!」

 

 

 

【天戸 照陽】VS【”無銘学園・音楽教師”岩本】

 

 

 

 ──2ターン目。

 先攻となる照陽は《超魂設計図》を唱えて手札に《ソウルサンライト コハク》と《PERFE910-御代紅海》を加える。

 一方、岩本は火と自然のマナを捻りだし、ドラゴンの鳴動を奏でる。

 

「──呪文《メンデルスゾォォォーン》ッッッ!! ドラゴンの咆哮を聞けェェェい!!」

「うるさ……ッ!! 2コス初動だぞ、ただの……ッ!!」

 

《メンデルスゾーン》 火/自然文明 コスト2

 

 岩本の山札からドラゴン2枚がマナゾーンへと送られる。

 デッキの殆どをドラゴンで固めていれば、高確率で2枚のマナブーストが可能なこのカードは、現代に於いてもドラゴンデッキ最強の初動だ。

 思わず澪音は生唾を飲み込む。岩本が得意とするドラゴンデッキには、彼女も幾度となく手を焼かされたからである。

 

(流石にこの学校の教師と言うだけあってデッキも手堅いのよネ、岩本先生……ッ!! スキルも高いワ……ッ!!)

 

「次で5マナか……だけど、足は止めさせて貰うッ!! 2コスで《コハク》、軽減1コスト《一音の妖精(ワンオン)》に進化ッ!!」

 

 対抗するように照陽は無敵の《一音の妖精》を繰り出す。

 

《一音の妖精》

・《ソウルサンライト コハク》の登場時効果で、次の照陽のターン開始時まで場を離れない。

 

(どうだ、ロックコンボ!! 次のターンに出てくるのは──)

 

「──俺ァ5マナでェ!! 《王道の革命 ドギラゴン》を召喚ンンンッ!!」

 

(そう、来るのは《王道の革命 ドギラゴン》だ!! だけど、()()()()()()()()()()!!)

 

 岩本の場には、赤い鎧に身を包んだ龍を超えた龍・ドギラゴンが降臨する。

 その能力は、山札の上から2枚をマナゾーンに置き、更にマナゾーンからカードを1枚回収するというもの。

 自身はスピードアタッカーであり、後続の展開を一気に行える恐ろしいカードだ。

 

(《ドギラゴン》からの()()()()()()は鉄板中の鉄板。ダケド──《一音》の所為で岩本先生はクリーチャーを1ターンに1度しか出せナイ)

 

「効果で俺ァ《クラッシュ”覇道(ヘッド)”》をマナからサルベェェェジ!! そんで、これでターン終了ォ!!」

 

(切札を手札に回収した!!)

 

 《勝利龍装クラッシュ”覇道(ヘッド)”》。

 それは自身のコストを2軽減する代わりにターン終了時に破壊される効果を持つ10コストのドラゴンだ。

 

《勝利龍装クラッシュ”覇道(ヘッド)”》 火文明 コスト10

クリーチャー:ビートジョッキー/ドラゴンギルド パワー9000+

 

 しかし、その本領は破壊された際の効果にある。

 破壊された時にタップされていれば「もう1度自分のターンを行う」というものだ。

 

(つまり自分の効果で破壊されることで能動的にエクストラターンを取れる恐怖の切札……! アイツが着地したらほぼ負けと思って良い!!)

 

 照陽の勝利条件は──《クラッシュ”覇道”》が登場する前にケリをつけることだ。

 

(モタモタは出来ない、速攻するしかない!!)

 

 ターンが回ってくる。 

 照陽の手札には先程《超魂設計図》で回収した《御代紅海》が握られている。

 

「──よし、僕は軽減4コスで《PERFE910-御代紅海》を召喚ッ!! コイツはマッハファイターだ!! 《王道ドギラゴン》に攻撃──」

 

(出た、テクノサムライの黄金展開!! デモ──この展開、何処かで見たようナ……)

 

「する時に、効果発動!!」

 

 今度は照陽のマナゾーンが1枚増える。

 そして、その中の1枚が《PERFE910-御代紅海》の下に重ね、クロスされる。

 

「《魔誕の悪魔 デスモナーク》!! これで《PERFE910-御代紅海》は超魂Xで攻撃の終わりにアンタップする!!」

 

(これで《PERFE910-御代紅海》は2回攻撃デキル……!! デモ、何だろう、すごい見落としをしているようナ……)

 

《PERFE910-御代紅海》(パワー9000WIN)VS《王道の革命 ドギラゴン》(パワー5000LOSE)

 

 とはいえ無事に《王道ドギラゴン》は真っ二つに爆散する。

 そして今度は《一音の妖精》が岩本のシールドへ跳んで行く。

 その際に《PERFE910-御代紅海》の効果が更に起動。下には《ソウルスカーレット アカネ》が重ねられ、そのパワーが跳ね上がる。

 

「これで《一音の妖精》は無敵化だ!! ──シールドをブレイク!!」

「ッチィッ!! トリガー無ァし……!!」

 

 岩本

 残りシールド:4枚

 

「そして《PERFE910-御代紅海》で2度目の攻撃!! マナゾーンから《アルジェン・ゴルギーニ》を重ねて、こっちも無敵化だ!! W・ブレイク──その時、効果発動!!」

 

 《PERFE910-御代紅海》に挿入された《アルジェン・ゴルギーニ》のカードが輝く。

 

「──《アルジェン・ゴルギーニ》の超魂Xでブレイク時に山札を見て、それをマナかシールドに置くッ!! 僕は2枚ともシールドに置くよ!!」

 

 照陽

 残りシールド:5枚→7枚

 

 岩本

 残りシールド:4枚→2枚

 

 これで残る岩本のシールドは2枚。

 凄まじい爆風が照陽の顔にも吹き荒ぶ。

 しかし、これだけシールドが破壊されて何も無いはずがなく。

 

「S・トリガーッ!! 《ルード・ザーナ》ァァァッ!!」

 

《ルード・ザーナ》 水文明 コスト7

クリーチャー:サイバー・コマンド・ドラゴン パワー5000

S・トリガー

 

 飛び出したのは電影に包まれた巨大な蒼神龍。

 その大竜巻に照陽のクリーチャーは巻き込まれていく。

 しかし──無傷。

 

「《ルード・ザーナ》のバウンス効果は効かないよ。僕の盤面は無敵化した!! ターンエンドだッ!!」

 

(確かに盤面は堅イ……!! デモ……何か見落としているようナ……!!)

 

「ヴァカが……!! 無敵なんぞに、頼ってんじゃねええええええええッッッ!!」

 

 絶叫し、ギターをかき鳴らす岩本。

 盤面に現れるのは──巨大な4つの首を持つ龍だった。

 

 

 

「──《六番龍 シックスフォール Par(ターキー)》ッッッ!!」

「あっ……!!」

 

 

 

 思わず照陽は声を上げた。

 無敵の《御代紅海》のもう1つの対処法。

 それは──

 

「──《シックスフォール》の効果を起動ォ!! テメェの場の《一音の妖精》を《御代紅海》の下に重ねるゥゥゥ!!」

「成程ね、《シックスフォール》積んでるのか……そのデッキ!」

 

 動揺はしつつも照陽は面白そうに口角を上げた。

 《御代紅海》の対処が出来る数少ないドラゴンカードだ。

 

「そう言えば思い出しタ!! あの入学試験デュエルの後、相手の《御代紅海》にどうやって対処するかって緊急授業があっテ……岩本先生が出したアンサーの1つが《シックスフォール》だったノ!!」

 

 確かにパワーが0になる以外では《御代紅海》は場を離れない。

 ならば、場から離す以外の方法で無力化すれば良い。

 《シックスフォール》は互いのプレイヤーのクリーチャーを2体選び、()()()()()()()()()()()()()という効果がある。

 これはバトルゾーンの中を移動しているだけなので「場を離れない」効果に引っ掛からないのだ。

 従って、照陽の場に誕生するのは除去耐性を失った哀れな《一音の妖精》なのであった。

 

「そして俺は《シックスフォール》を自身の効果で《ルード・ザーナ》の下に重ねるゥ!! 残る2マナァ!! 《超英雄タイム》で《一音の妖精》を破壊ィィィ!!」

「……確かにこれは厳しいね。流石デュエリスト養成学校の教師だ……ッ!!」

 

 自慢のコンボが打ち破られ、冷や汗を流す照陽。

 だが岩本の猛攻はまだ続く。

 

「更にィ!! 《ルード・ザーナ》でェェェ──攻撃する時、革命チェンジ発動ッッッ!!」

 

 電影龍が旋律と共に岩本の手札に戻っていく。

 

「条件はコスト5以上の光または水のドラゴンの攻撃時ッ!!

フォルテ……フォルテ……フォルテ──フォールテッシモォォォーッッッ!!」

 

 奏でられるは静寂の旋律。

 時を駆け、全てを静止させる時の王。

 

 

 

「そしてこれで、コーダ──即ち演奏の終結とするッ!!

《時の法皇 ミラダンテXII(トゥエルブ)》ッ!!」

 

革命チェンジ

《ルード・ザーナ》→《時の法皇 ミラダンテXII(トゥエルブ)

 

 

 次の瞬間、照陽の足元に巨大な時計盤が現れ、茨が彼を締め付ける。

 棘が肉に食い込み、苦痛と共に腕から血が溢れ出す。

 

「ッ……これは……!!」

「《時の法皇 ミラダンテXII(トゥエルブ)》が着地した時、ファイナル革命が発動するゥ!! オマエはコスト7以下のクリーチャーを召喚出来ないイイイーッ!!」

「……マズいね、確かに」

 

 悪名高い強力なロック効果を持つ《時の法皇 ミラダンテXII(トゥエルブ)》。

 それは革命チェンジによって場に出たが最期、相手のコスト7以下のクリーチャーの召喚を()()()()()()()()()()()()封じるというもの。

 即ち、この攻撃によるS・トリガークリーチャーの発動も封じられるということでもある。

 

「シールドをT・ブレイクゥゥゥーッ!!」

 

 そして、時計の針が次々に照陽のシールドに突き刺さり、砕き割る。

 その爆風が照陽に襲い掛かり、更にその破片が彼の身体を切り裂いていく。

 

「あっぐっ、痛ぁ!?」

 

 鮮血が腕から、足から噴き出す。

 だが仰け反る事すら許されない。

 彼の身体は時計盤の上で茨によって拘束されているのだから。

 

「げほぉっ、げほっ……クソッ……これが、真のデュエル……!?」

「これでテメェは次のターン、何も出来ねえ。何も出来ねえまま、沈んでいけェッ!! ロックンロォォォル!!」

「……ヤバいでショ、幾ら何でも……!! 無敵の《御代紅海》も破られタ!! 次のターン、コスト7以下は召喚できないのヨ!? しかも先生の手札には──」

 

 《クラッシュ”覇道”》が握られている。

 照陽のデッキに、このカードを破壊以外の手段で退かすことができるS・トリガーは存在しない。

 もし次のターンを岩本に渡せば、その瞬間に敗北が確定する。

 

「……何も出来ない、か」

 

 しかし。

 天戸照陽は──それでも尚、笑っている。

 

 

「笑わせんなよ──何も出来ない、だなんて誰が決めた?」

「デモ、クリーチャーを召喚できないのヨ!? 貴方のデッキ、コスト7以下のクリーチャーばっかりじゃなイ!! 私は一回戦ったから分かるワ!!」

「……やられてばっかで黙ってられない。勝負は此処からだッ!!」

 

 照陽は──絡みついた茨を力任せに引き千切る。

 彼の目には、鬼が宿っていた。

 

「──5マナで《轟壊!!切札MAX》を唱えるッ!! くたばってばっかいんなよ《御代紅海(ギャラクシー)》!! マナゾーンから場に出すッ!!」

「そ、そっカ!! 《ミラダンテ》が封じられるのは召喚だケ!! 効果で”場に出す”のは封じられなイ!!」

「そうだ!! 《御代紅海(ギャラクシー)》はマッハファイター、《ミラダンテ》を攻撃だ!!」

 

 《御代紅海(ギャラクシー)》の斬撃が《ミラダンテ》を襲う。

 一方、《ミラダンテ》も時針を飛ばして反撃するが──

 

「──《場和了GO-YAMA-58》を下に重ねるッ!! 《御代紅海(ギャラクシー)》のパワーは+6000され、《ミラダンテ》を上回る!!」

 

 銀河さえも断つ《御代紅海(ギャラクシー)》の斬光には敵わない。

 

「ロックを掻い潜って盤面をひっくり返した……これなラ……!!」

「……いや、まだだ」

「チッ──簡単にはいかねェみてぇだなコラ」

 

 だがしかし。

 それでも──戦況は未だ覆らず。

 

「……テメェは地雷を踏んだァ、天戸。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

「──来る」

「従ってェ!! 罰を与えまァァァすゥゥゥ!!」

 

 照陽にとってこれが、苦し紛れの反撃だったことには違いなかった。

 何故ならば、更に手痛い反撃が此処から待っているのだから。

 

 

 

「──《流星のガイアッシュ・カイザー》、無償降臨ンンンッッッ!!」

 

《流星のガイアッシュ・カイザー》 自然/水文明 コスト6

クリーチャー:ブルー・コマンド・ドラゴン/グリーン・コマンド・ドラゴン/ハンター 

パワー8000

・相手がコストを支払わずにクリーチャーを場に出した、あるいは呪文を唱えたのでターン終了時にタダで出てくる。

 

 

 

 まさに恐れていた事態。

 その龍は、巨獣を呼び込む龍。

 その能力により、岩本の手にカードが2枚加えられる。

 

「登場時にカードを2枚ドロー……そしてェ!! 覚悟は良いかァ、天戸ォ!!」

 

 岩本がタップしたのは──僅か4マナ。

 

「──B・A・D(バッド・アクション・ダイナマイト)2ッ!! 更に《流星のガイアッシュ・カイザー》でコストを4軽減ッ!!」

 

《流星のガイアッシュ・カイザー》

・コスト10以上のクリーチャーのコストを4軽減する。

 

「これが俺の、勝利の譜面ッ!! 龍の王道、即ち覇道ッ!!」

 

 ──それは轢殺し宣言する。

 

 

 

「マジでB・A・Dだぜ──ロックンロール、《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》ッ!!」

 

 

 

 即ち──確定された”勝利”を。

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