デュエマプレイヤーは「カードが全ての学園島」で成り上がるそうです。 作:タク@DMP
再び現れた《ヴリドガルド》。
最早、その進化元は何でも問題は無かった。
下に入ったカードは《修羅の死神フミシュナ》だ。
そして──《デッドゾーン》の猛攻が照陽目掛けて突き刺さる。
「──シールドを幾ら増やしても無駄だァッ!! T・ブレイクッ!!」
「無駄なんかじゃない……ッ!! G・ストライク発動!!」
砕かれたシールドの中から照陽が見せるのは《超魂設計図》。これにより、《ヴリドガルド》は沈黙。
G・ストライクを持つカードは、シールドから手札に加わった時、相手クリーチャーを1体攻撃不能にすることが出来るのである。
「どうにかして、あの盤面を処理しないと──ッ!!」
焦る照陽。
デッドゾーンは破壊で処理すると何度でも場に出てくる。
更に《ヴリドガルド》は一度の除去では完全に盤面から引き剥がす事が出来ない。
「どうしたァ、天戸照陽ッ!! オレはなぁ、オマエを倒したら学園中の生徒からヴリドガルドの力で魂を吸い上げに行くッ!!」
「──魂を……!?」
「そうだ。オレにはやらねえといけねえことがある。その為には、ヴリドガルドをもっと成長させねえといけねえ!! さあ、どうしたァ!? 止めてみろよ、オレを!!」
(あからさまな挑発だ、僕を揺さぶる為に……でも、大丈夫……ッ!! どうにか出来るカードは……あるッ!!)
照陽は手札を見遣る。
努めて冷静に、彼は盤面を整理。
今此処で最優先にするべきは、盤面の一掃。そしてシエルを追い詰める為にシールドを吹き飛ばす事だ。
(対応力に長けたヴリドガルドデッキは……1ターンで相手のシールドを削ってトドメまで持って行く力が低いッ!!)
故に。
先んじて完全に追い詰めれば、一気に優勢に立つことができる──と照陽は判断する。
「先ずは2マナで《超魂設計図》──効果で《デスモナーク》と《無頼BEN-K1000》を回収。そして──3マナで《無頼BEN-K1000》を出すッ!!」
シールド、マナ、そして──《BEN-K》の下にカードが重ねられた。
「そして、《無頼BEN-K》でプレイヤーを攻撃する時、
次の瞬間、シエルの盤面は一気に地均しされた。
《デッドゾーン》も《ヴリドガルド》もまとめて吹き飛ばされたのである。
辛うじて《ヴリドガルド》だけは生き残ったが、次はない。と、思われたが──
「──いや、重ねたのは1枚だけじゃないッ!!
「何ィッ!?」
「シールドも、T・ブレイクだッ!!」
《ベアフ・ガンガンオー》の上に更に重なる《ベアフ・ガンガンオー》。
今度こそ《ヴリドガルド》は討ち滅ぼされる事になる。
盤面は壊滅。
そして、シエルのシールドもまた、全てがブレイクされたのだった。
「ッ……クソがやるじゃねえか……!!」
「侵略は同時に宣言すれば2枚以上重ねられル……これで、シエルのバトルゾーンもシールドも全滅だワ!!」
「──だけどなァッ!! これで終わりなワケ、ねえだろがッ!!」
シエルのシールドが1つ、再生する。
血塗れになっていた彼女だったが──それでも尚、戦いを楽しむようにカードを手に取った。
「S・トリガー発動、《月の死神 ベル・ヘル・デ・スカル》を召喚ッ……!! 効果で墓地からカードを回収する──ッ!!」
(墓地かマナからカードを回収するクリーチャー!? ……S・トリガーとしては弱いカードだが、まるで特定のキーカードを手札に持ってくるために搭載されたかのような……!!)
「オレのシールドがゼロ──なかなかやるじゃねえか、天戸照陽。やっぱりオマエはそうじゃねえとなァ」
照陽の逡巡はそこで断たれた。
シエルは、何かを知っているかのように照陽に問いかける。
「……だが、オレの知ってるオマエは、こんなんじゃあなかったよなあ? もっと苛烈で──もっと──焼けつくようなッ!! そんな男だったッ!! ──《ベル・ヘル・デ・スカル》で攻撃ッ!!」
飛び掛かる牙獣の悪魔。
その瞬間、シエルは手札のカードを1枚、見せつける。
そこに刻まれた名前を見た時。
照陽は──驚愕した。
「それは──ッ!!」
「オレは──《轟く邪道 レッドゾーン》の
──DREAMと刻まれた轟速の侵略者のカード。
だが同時に──それが存在するはずがない、と照陽の頭は否定する。
幾ら異世界とはいえ、この世界は照陽の住んでいた世界と同じようにカードが発売されている。
(──《轟く邪道 レッドゾーン》は本来、次のエキスパンションで発売される目玉カード!! まだ此処にあるはずがないッ!!)
──そこにあるはずのないカードであり。そして──そこに宿った炎のマナは、確かに精霊のものに酷似していた。
「何でそのカードを!? こっちでもまだ、王道Wの3弾は発売されてないはずだ!!」
「……やっぱりオマエは、俺の知ってるオマエとは違うんだな。質問の答えを知りてえなら、オレを倒してみせろ天戸照陽ッ!!」
「ッ……君は、何を知っているんだ……ッ!?」
「この世界で今、本当に起きていること……
ドクン、と照陽の心臓が強く脈打つ。
「──だがその前に、轢き殺しちまうかもなァッ!! 4マナをタップし、《ベル・ヘル・デ・スカル》から進化ァッ!!」
──《ベル・ヘル・デ・スカル》を追い越す勢いで一台のバイクが走り抜ける。
そしてバイクのパーツはバラバラに分解され、《ベル・ヘル・デ・スカル》に装着されていく。
「──お前のスピードじゃ届かないッ!! これが轟速の赤、スピードの邪道ッ!!
《轟く邪道 レッドゾーン》ッ!!」
《轟く邪道 レッドゾーン》 火文明 コスト6
G-NEOクリーチャー:ソニック・コマンド/侵略者 パワー12000
G-NEO進化:闇、火、または自然のクリーチャー1体の上に置いてもよい。
──その名はレッドゾーン。
スピードの果ての果てを欲しいがままにした最強にして最速の侵略者。
その名前が今、現代に蘇る。
巨大なバイクが変形したかのようなロボットのクリーチャーは、目の前に居た《ベアフ・ガンガンオー》を殴り飛ばし、一撃で鎮めてみせるのだった。
「《レッドゾーン》が出た時の効果を発動ッ!! 相手のパワーが一番小さいクリーチャーを全て破壊し、更にアンタップするッ!!」
「これが、新しい《レッドゾーン》……ッ!?」
──新たなレッドゾーンが持つ能力はD・D・D。
それは、クリーチャーの攻撃時に指定のコストを支払う事で場に出るというもの。
そして、《レッドゾーン》はG-NEOクリーチャーの為、攻撃中のクリーチャーに重なって場に出てくる。
(それがアンタップすると言う事は、
照陽のシールドは3枚。
この《レッドゾーン》はシールドを3枚破壊するT・ブレイカー。
此処でS・トリガーを使って《レッドゾーン》を止めなければ、アンタップした《レッドゾーン》の二度目の攻撃でトドメを刺されてしまう。
(だが、《レッドゾーン》はG-NEOクリーチャー!! 一度の除去じゃ止まらない上に──とんでもない効果がある!!)
「更に《レッドゾーン》は味方のクリーチャー全員に”相手による攻撃出来ない効果”を無視させるッ!! G・ストライクは通用しねえんだよ!!」
通常、連続攻撃持ちのクリーチャーへの特効薬となるG・ストライクも《レッドゾーン》には通用しないのだ。
轟速の拳が照陽の全てのシールドを叩き割った。
「なんて綺麗だ、レッドゾーン──まるで太陽が──もう1つ昇ったみたいじゃねえか……ッ!!」
「ぐああああああーッ!?」
恍惚とするシエル。
衝撃波が襲い掛かり、吹き飛ばされる照陽。
今まで受けてきた攻撃の中で最も苛烈で過酷な一撃。
立ち上がろうにも力が入らず、カードを手に取ることすら叶わない。
「くっ、そぉ……!!」
「ダーリンッ!! しっかりして──ッ!!」
咳き込むと血混じりの痰が吐き出される。
視界が揺れ、定まらない。
「諦めろ。やっぱりテメェじゃ無理だ。……オマエじゃあ、
「う、る、さい……ッ!!」
だが、それでも。
照陽は──地面を殴りつけ、無理矢理立ち上がる。
砕け散ったシールド。そこから収束したカード。
そこに──S・トリガーの姿は無い。
「──勝負はまだ、ついてない……ッ!! 此処からだッ……!!」
「トリガー無しで今更何をッ!! 《レッドゾーン》でダイレクトアタックだァッ!! ヒャッハハハハハハッ!!」
哄笑。
そして再び立ち上がり、剥き身の照陽へ殴りかかる《レッドゾーン》。
しかし──
「まだだ……──逆転の札はまだ残ってるッ!! 逆転撃を宣言、《情熱の逆転撃》ッ!!」
「──ックソ、そんなものを持ってたのかテメェ──!!」
マナゾーンから飛び出すのは──序盤にマナに埋めた《無頼BEN-K1000》。
攻撃を止められないならば、もう一度シールドを増やせば良いだけの話だ、と。
「山札の上から3枚を見る──そして、その中から──ッ!!」
その中の1枚を見て、照陽は笑みを浮かべた。
S・トリガーを大量に積んだこのデッキだが、どうしてもタイミングには恵まれなかった。
だが、今此処で。最高のタイミングでそのカードは来てくれた。
「カードを1枚シールドに、そして《御代紅海》をマナゾーンに──ッ」
「今更おせぇっ!! 《レッドゾーン》で最後のシールドをブレイクッ!!」
砕かれるシールド。
しかし──そこから出たのは、
「──S・トリガー、《轟壊!切札MAX》!! 効果で《レッドゾーン》を破壊して、マナゾーンから《御代紅海》を出すッ!!」
「……ッ!!」
──照陽のデッキを支える最大の要、《PERFE910-御代紅海》が飛び出す。
「し、しぶてぇ……!! 何回出てきやがったら気が済みやがる……ッ!!」
「くたばってばっかいんなよ《
シエルのシールドはもう無い。
しかし、逆転撃のコストを支払ったことで照陽のマナももう使えない。
場にあるのは──カードが3枚で構成された《御代紅海》だけだ。
「行くぞッ!! 《PERFE910-御代紅海》でダイレクトアタックッ!! する時に、カードを1枚このクリーチャーの下に重ねる──」
「……させねえ、やらせねえ、行かせはしねえ──ッ!!」
だが、まだシエルも諦めはしない。
その手から放たれるのは──最大の悪魔にして悪夢。
「クリーチャーが自分をアタックする時、シールドが無ければ──《悪夢神 バロム・ナイトメア》を宣言ッ!!」
DREAM、と刻まれたもう1つのカード。
悪魔の逆転劇の王道だ。
「──そいつは……ヤバいわ、ダーリンッ!?」
「《バロム・ナイトメア》はデッキの一番下のカードを墓地に置き、それがデーモン・コマンドならばコイツの上に重ねて出てくるッ!! そして、出てきた瞬間にデーモン・コマンド以外を消すッ!!」
「だけど、《御代紅海》の耐性は発動してる──場を離れないッ!!」
(甘いなッ!! この構築は一般的なヴリドガルドとはかなり構成を変えてんだよ!!)
確かに《御代紅海》は除去することは出来ない。
しかし──それでもまだ、彼女には希望が残っている。
(……このデッキには、超魂Xで敗北を1度だけ回避できる《怒像アゲ》が入っているッ!! それを、引き当てられれば──ッ!!)
《怒像アゲ》
・超魂X:自分が敗北する時、これが進化クリーチャーならば、負ける代わりに下のカードを全て墓地に置く。
山札の下からカードが墓地に置かれる。
──置かれたのは《究極の虚 ジャシン=ヴリドガルド》ッ!!
「──や、やっタ……!?」
「まだだァッ!! 《バロム・ナイトメア》降臨──そしてぇっ!!」
降臨し、全てを破滅させる悪夢の王。
その中には確かに──《ヴリドガルド》が取り込まれているのだ。
(──まだ《ヴリドガルド》の超魂レイドが残っているッ!! これで《怒像アゲ》を引き当てれば──ッ!!)
捲られる3枚のカード。
そこにあったのは──
──1枚目は《~墓碑に刻まれし魔弾の名~》。
──2枚目は《S級不死 デッドゾーン》。
「3枚目ェェェーッ!!」
──捲られる最後のカード。
そこにあったのは──
「ッ……来たッ!! 《怒像アゲ》……ッ!!」
──《悪夢神バロム・ナイトメア》に取り込まれる怒りの像。
それが浮かび上がり、《御代紅海》の攻撃を受け止める。
「──《怒像アゲ》の超魂クロス発動ッ!! 自分がゲームに負ける時、代わりにこのクリーチャーの下のカードを全て墓地に送るッ!!」
「……見事だ。除去耐性を貫通するとんでもないカウンターカードだよ、《バロム・ナイトメア》。恐れいった」
「そうだッ!! 俺は負けねえッ!! それがオレの存在意義、だッ!!」
「……だけど」
照陽は──ふらついた足を──
「──まだだ。僕達はまだ戦える。そうだろう《御代紅海》ッ!!」
──もう一度、踏み込んでみせるッ!!
「な、なんだ──まさか、まだ何か手が──」
「さっきのターン、僕が《超魂設計図》で回収して──このターン、マナに置いたカードを覚えているか?」
《御代紅海》のカードの下に重ねられたカード。
それは──《御代紅海》の攻撃時効果で置かれたカード。
「ッ……しまった、《魔誕の悪魔 デスモナーク》!! さっきの攻撃で下に置いてたのか!!」
「そうだ。初めての攻撃の終わりに《御代紅海》はアンタップする。そして──《バロム・ナイトメア》はドリームクリーチャー。超強力な効果を持つ代わりに”同名のカードを2枚以上並べられない”という制約を持つッ!!」
つまり、もうシエルは《バロム・ナイトメア》を出すことは出来ない。
完全に逆転の手段は失われた。
それを告げられた彼女は膝を突く──
「ハ、ハハ、マジかよ……!! 細い糸、全部通したってのにッ!! 結局ダメだったのか……!? オレの存在意義は──」
「──君にもう、明日の太陽は昇らない」
「ッ……!!」
完全なる勝利宣言とも言えるその言葉。
──君にもう、明日の太陽は昇らない
「おなじ、だ……ッ!! やっぱり、テメェは……天戸照陽──ッ!!」
──《御代紅海》から放たれた斬撃が、ヴリドガルドを──そしてシエルを切り裂く。
「ダイレクトアタック──対戦ありがとうございました」
──勝者、天戸 照陽。